JP2000238650A - ラック軸およびその製造方法 - Google Patents
ラック軸およびその製造方法Info
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Abstract
力の方向による曲げ強度のばらつきが大きい。 【解決手段】本ラック軸4では、中空軸からなるラック
軸4の外周面41aの全周にわたり、複数の平坦部41
b〜41gを冷間鍛造により形成し、横断面形状を略6
角形形状とする。一つの平坦部41bにラック歯44を
形成した。 【効果】応力集中を緩和することができる。本ラック軸
を備える舵取り装置では、車両でのレイアウトの自由度
を高めることができる。
Description
る。例えば、自動車のラックアンドピニオン式舵取り装
置等に利用されるラック軸に関する。
装置では、自動車のハンドルに連結されるピニオンが回
転し、それに伴いピニオンと噛み合うラック軸が車両幅
方向に移動して、その結果、ラック軸の端部に連結され
る車輪の向きを変えて、車両の操舵がなされる。このと
き、ラック軸には、ピニオンからの軸方向の力の他、車
輪からの曲げ力が作用する。
面を冷間鍛造して平坦部を形成した後、この平坦部にラ
ック歯を形成することにより製造している。ラック軸の
外周面は平坦部と円周面で構成され、その断面形状が略
D字形形状となっている(図5参照)。
形形状の中空のラック軸では、曲げ力が働く方向による
曲げ強度のばらつきが大きい傾向にある。例えば、ラッ
ク軸を反らせるように曲げ力がかかる場合を想定する。
図5に示すように、ラック軸94の軸方向から見たと
き、曲げの中立軸NAが、平坦部CLに対してなす角度
Dが、約20度となる場合に、曲げ強度が著しく低下す
る。
アウトの異なる複数の舵取り装置でラック軸が共用化さ
れている。従って、ラック軸が曲げ力を受ける方向もま
ちまちとなるが、上述のように曲げ強度が低い方向への
曲げ負荷は避けなければならず、舵取り装置のレイアウ
トに制限があった。また、舵取り装置に限らず一般の機
械や装置等であっても、ラック軸を利用する場合に、曲
げ方向に関して曲げ強度のばらつきが大きいと好ましく
ない。
題を解決し、曲げ方向に関する強度のばらつきを少なく
できるラック軸およびこれの製造方法を提供することで
ある。
め、請求項1に記載のラック軸は、ピニオンと噛み合う
ラック歯が軸方向の少なくとも一部の外周面に形成され
たラック軸において、上記外周面は、軸方向に延びる複
数の平坦部を周方向に沿って配置することにより、断面
形状を略多角形形状とされ、一の平坦部にラック歯が形
成されていることを特徴とする。
状であれば、略D字形状に形成された従来のラック軸に
比べて、曲げ方向に関する曲げ強度のばらつきが少なく
なる。請求項2に記載のラック軸は、請求項1に記載の
ラック軸において、上記各平坦部が冷間鍛造により形成
された中空軸からなることを特徴とする。
を複数設けて、全周にわたって配置することになるの
で、応力集中を緩和することができる。請求項3に記載
のラック軸の製造方法は、請求項2に記載のラック軸の
製造方法であって、上記各平坦部は冷間鍛造により同時
に形成されることを特徴とする。
同時にされるので、平坦部毎に分けて冷間鍛造する場合
に比べて、冷間鍛造に伴う残留応力や歪み等も断面全体
でバランスし易い。その結果、部分的な残留応力や歪み
に起因する曲げ強度の低下を防止できる。
ック軸を、これを有した舵取り装置を例に説明する。図
1は、上述の舵取り装置の概略構成を示す正面断面図で
ある。本舵取り装置1は、ラックアンドピニオン式のも
のである。舵取り装置1は、車両のハンドル(図示せ
ず)に連結される入力軸2と、この入力軸2に連結され
るピニオン3と、このピニオン3と噛み合うラック歯4
4が周面の一部に形成されたラック軸4と、ラック軸4
を覆うハウジング5とを有している。
軸4の噛み合い部を覆うギアボックス51と、このギア
ボックス51に連接された筒状のシリンダ52とにより
構成されている。ハウジング5は、ギアボックス51内
で軸受53を介してピニオン3を回転自在に支持し、ま
た、シリンダ52の端部に設けられたラックブッシュ5
4と、ギアボックス51内に設けられたサポートヨーク
56(図3参照)とを介してラック軸4を摺動自在に保
持している。
端の開口部から突出している。ラック軸4の両端部に
は、ボールジョイント6、タイロッド7等を介して操向
車輪(図示せず)が連結されている。また、本舵取り装
置1は、ラック軸4の軸方向の移動を補助する操舵補助
用のパワーシリンダ8と、このパワーシリンダ8に操舵
方向と操舵抵抗に応じて圧油を供給するために入力軸2
の周囲に設けられた油圧制御弁9とを有して、油圧パワ
ーステアリング装置に構成されている。なお、本発明
を、パワーシリンダ8および油圧制御弁9を省略したマ
ニュアル型の舵取り装置にも適用することができる。
し、これに噛み合うラック軸4がその軸方向(車幅方
向)に移動する。これにより操向車輪を操向することが
できる。これとともに、操舵方向と操舵抵抗に応じて油
圧制御弁9により圧油がパワーシリンダ8に供給され、
パワーシリンダ8によりラック軸4に操向操作の補助力
が付与される。
タイロッド7、ボールジョイント6を介して、曲げ力が
作用することがある。舵取り装置1の車両でのレイアウ
トに応じて、上述の曲げ力の方向も決まるが、曲げ力の
方向が異なると、従来のラック軸を利用することができ
なくなる場合があった。これに対して、本発明では、曲
げ力の方向に関わらずに共通のラック軸4を利用するこ
とができる。以下、詳細に説明する。
空軸である。ラック軸4は、その軸方向の中間部にあっ
てラック歯44を有する歯形成部41と、歯形成部41
の両端から軸方向の両側に延設されてボールジョイント
6に接続される2つの延設部42とを有しており、これ
ら各部は一体に形成されている。延設部42の断面形状
は、円形環状に形成されている。延設部42の一部がパ
ワーシリンダ8を貫通している。延設部42は、外周面
が円周面からなるので、一般的なオイルシール等を利用
できて、パワーシリンダ8で作動油を容易に封止するこ
とができ、また、曲げ方向にかかわらず均一な曲げ強度
を得られる。
断面図に示すように、複数、例えば6つの平坦部41b
〜41gが形成されている。これら複数の平坦部41b
〜41gは、外周面41aの周方向に沿って配置され、
断面形状を略6角形形状に構成している。各平坦部41
b〜41gは、ラック軸4の軸方向に延びる平行な平面
で形成されている。また、互いに隣接する平坦部41c
〜41g同士は、円周面41rにより接続されている。
一の平坦部41bにラック歯44、例えば斜歯が形成さ
れ、平坦部41c〜41gにはラック歯44は形成され
ずに、平面とされている。
は、幅方向(その平坦部41bの表面に沿う方向であ
り、且つラック軸4の軸方向に直交する方向)に、他の
平坦部41c〜41gと比べて長く形成されている。こ
のように、ラック歯44を、幅方向に長い平坦部41b
に形成しているので、ピニオン3とのかみ合い部での歯
幅を確保できるようになっている。
ように無理なく冷間鍛造できる形状であり、鍛造等の塑
性変形による応力集中を緩和するような形状に形成され
ている。例えば、内周面41hは、平面41jと、円周
面41iと、平面41jおよび円周面41iを滑らかに
接続する凹湾曲面41kで形成され、略D字形状の断面
形状を有している。平面41jは、ラック歯44の形成
された平坦部41bの直近の内側に形成されている。ま
た、凹湾曲面41kにより、冷間鍛造時に平面41jお
よび円周面41iの接続部に皺が生じることが防止さ
れ、皺に起因する強度の低下や、また、皺に起因する焼
き入れ時の焼き割れを防止することができる。
に示すように、ギアボックス51内で、ラック歯44に
対する背面側から圧縮ばね57によってサポートヨーク
56を介して付勢され、ピニオン3との噛み合いを維持
するようにされている。サポートヨーク56は、ギアボ
ックス51に形成された保持孔51a内に保持され、ラ
ック軸4の軸方向およびピニオン3の回転軸の延びる方
向に共に直交する方向(図3の矢印M参照)に摺動自在
とされている。サポートヨーク56は、柱状部材で、そ
の一端で圧縮ばね57と当接し、その他端に、押圧面5
6aが形成されている。この押圧面56aは、複数、例
えば3つの平面を含み、各平面は、ラック軸4の背面と
なる平坦部41d〜41fに面当たり状態でそれぞれ当
接して、ラック軸4のその軸回りの回転を規制しつつ、
ラック軸4を押しつけている。
方法を図4を参照して説明する。まず、断面略円形の鋼
管90をワークとする(図4(a),(b)参照)。こ
のワークの歯形成部41となる部分を冷間鍛造する。す
なわち、ワークに芯金91を挿入しておく。この芯金9
1の横断面形状は、ラック軸4の歯形成部41の内周面
41hの形状に形成されている。ワークの外周面を全周
にわたって、例えばプレス加工により塑性変形させて、
複数の平坦部41b〜41g等の外周面41aおよび内
周面41hを同時に形成する(図4(c),(d)参
照)。
する(図4(e),(f)参照)。このラック歯44の
歯切り加工には、公知の方法を利用できる。さらに、ラ
ック歯44を所定の硬度になるように硬化処理を施す。
この硬化処理には、公知の熱処理や表面処理の方法を利
用できる。このように本実施の形態によれば、図2に示
すように、ラック軸4の歯形成部41の横断面形状が略
多角形形状であるので、略D字形状の外形に形成された
従来のラック軸(図5参照)に比べて、曲げ方向に関す
る曲げ強度のばらつきが少なくなる。その結果、例え
ば、本ラック軸4が適用される舵取り装置1の車両での
レイアウトの自由度を高めることができる。従って、本
ラック軸4を備える舵取り装置1をより多くの車両に適
用することができる。
きが少なくなる作用は、断面形状が略多角形形状であれ
ばよく、中空軸の他、中実軸であってもよいし、また、
ラック軸4の製造方法にもよらない。また、ラック軸4
は、冷間鍛造される複数の平坦部41b〜41gを外周
面41aの全周にわたって配置しているので、応力集中
を緩和することができる。というのは、中空軸からなる
ラック軸4の平坦部41b〜41gを冷間鍛造により形
成する場合には、平坦部41b〜41gに近い内周面近
傍に応力集中が生じることがあるからであり、このとき
の集中する応力を全周にわたって分散させることができ
るので、曲げ方向による曲げ強度のばらつきを確実に少
なくすることができる。
平坦部41b〜41gで同時にされるので、平坦部41
b〜41g毎に分けて冷間鍛造する場合に比べて、冷間
鍛造に伴う残留応力や歪み等も断面全体でバランスし易
い。その結果、部分的な残留応力や歪みに起因する曲げ
強度の低下を防止できる。その結果、曲げ方向による曲
げ強度のばらつきを確実に少なくすることができる。
とラック軸4の平坦部41d〜41fとが平面同士で当
接するので、ラック軸4のその軸回りの回転を抑制で
き、操舵操作時の快適感である操舵フィーリングを向上
させることができる。また、ラック軸4の断面の外形形
状は、略6角形が好ましい。というのは、3角形、4角
形および5角形の場合には、平坦部を冷間鍛造する際の
変形量が大きくなるので、残留応力や応力集中が生じる
ことが懸念される。また、7角形以上の多角形の場合に
は、6角形の場合と断面の大きさをほぼ同じにしたとき
に、ラック歯44の歯幅を十分に確保し難くなるからで
ある。
形形状とは、外形の隣接する辺同士が角を形成する通常
の多角形形状の他、外形で隣接する辺同士が曲線で互い
に接続される上述したような多辺形形状も含み、また、
多角形としては、各辺の長さが同じの正多角形の他、各
辺の長さが異なるものも含む趣旨である。また、上述の
実施の形態では、ラック軸4の内周面41hの形状は、
略D字形状の他、例えば、ラック軸4の外形に相似とな
る上述の略多角形形状としてもよい。
gは、公知の加工方法を利用して形成してもよい。その
他、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の設計変更を
施すことが可能である。
向による曲げ強度のばらつきを少なくできるので、本ラ
ック軸が適用される舵取り装置の車両でのレイアウトの
自由度を高めることができる。請求項2に記載の発明に
よれば、冷間鍛造された複数の平坦部を全周に配置する
ことによって、応力を分散させることができるので、曲
げ方向による曲げ強度のばらつきを確実に少なくするこ
とができる。
を冷間鍛造により同時に成形することで、部分的な曲げ
強度の低下を防止でき、曲げ方向による曲げ強度のばら
つきを確実に少なくすることができる。
り装置の概略構成を示す一部断面正面図である。
ラック軸とピニオンとの噛み合い部近傍の断面を示す。
の断面図であり、(a)の正面断面図および(b)の側
面断面図、(c)の正面断面図および(d)の側面断面
図、(e)の正面断面図および(f)の側面断面図の各
対がそれぞれ対応している。
Claims (3)
- 【請求項1】ピニオンと噛み合うラック歯が軸方向の少
なくとも一部の外周面に形成されたラック軸において、 上記外周面は、軸方向に延びる複数の平坦部を周方向に
沿って配置することにより、断面形状を略多角形形状と
され、一の平坦部にラック歯が形成されていることを特
徴とするラック軸。 - 【請求項2】請求項1に記載のラック軸において、上記
各平坦部が冷間鍛造により形成された中空軸からなるこ
とを特徴とするラック軸。 - 【請求項3】請求項2に記載のラック軸の製造方法であ
って、上記各平坦部は冷間鍛造により同時に形成される
ことを特徴とするラック軸の製造方法。
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