JP2000237535A - 燃焼排ガス中の無水硫酸の低減方法及び装置 - Google Patents

燃焼排ガス中の無水硫酸の低減方法及び装置

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JP2000237535A
JP2000237535A JP11046821A JP4682199A JP2000237535A JP 2000237535 A JP2000237535 A JP 2000237535A JP 11046821 A JP11046821 A JP 11046821A JP 4682199 A JP4682199 A JP 4682199A JP 2000237535 A JP2000237535 A JP 2000237535A
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sulfuric anhydride
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Kikuo Tokunaga
喜久男 徳永
Yuichi Fujioka
祐一 藤岡
Toshihiko Setoguchi
稔彦 瀬戸口
Toshimitsu Ichinose
利光 一ノ瀬
Masashi Hishida
正志 菱田
Yoshinori Kobayashi
由則 小林
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 燃焼ガス中に含まれるSO3 、それに基づく
2 SO4 に起因する低温腐食、灰付着等のトラブルを
防止することができ、原料の水素ガスが容易かつ低価格
で入手でき、操作も容易な、燃焼排ガス中の無水硫酸の
低減方法及びそのための装置を提供すること。 【解決手段】 燃焼装置後流の燃焼排ガス温度が600
〜1000℃である領域の煙道内に、燃焼装置後流の煙
道中の燃焼排ガス温度が300〜400℃である領域に
設けたメタノール改質反応器で燃焼排ガスの保有する熱
を利用して生成させた水素ガスを添加し、前記燃焼排ガ
ス中に含まれる無水硫酸(SO3 )を還元することを特
徴とする燃焼排ガス中の無水硫酸の低減方法及びそのた
めの装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は化石燃料を燃料とす
るボイラなどの燃焼装置の燃焼排ガスに水素ガスを添加
し、該燃焼排ガス中に含まれる無水硫酸(SO3 )を低
減させる方法及びそのための水素発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図6に通常のボイラにおける燃焼排ガス
の流れを示す系統図の1例を示す。図6においてバーナ
(2) に供給された燃料は火炉(1) 内で燃焼し、燃焼排ガ
スは再熱器、二次過熱器、及び後部煙道(4) 内に設けら
れた一次過熱器、節炭器などからなる熱交換器(3) を通
って煙道(5) に送られ、脱硝用NH3 供給装置(11)から
NH3 を添加された後、脱硝触媒(6) で脱硝される。さ
らに、空気予熱器(7) で熱交換された燃焼排ガスは、電
気集塵装置(8) 等で集塵された後、湿式脱硫装置(9) な
どで脱硫され、煙突(10)から大気中に放出される。な
お、空気予熱器(7)の後流の集塵機、熱交換器などの詳
細は記載を省略した。このようなボイラ等の燃焼装置に
より硫黄(S)分を含有する化石燃料を燃焼させると、
火炉(1) にて発生する燃焼排ガス中にはS分の燃焼によ
って生成した亜硫酸ガス(SO2 )、亜硫酸ガスの一部
が酸化されて生じた無水硫酸(SO3)、400℃以下
の比較的低温部においてSO3 と水蒸気との反応により
生じる硫酸(H2 SO4 )及び水蒸気(H2 O)などが
含まれている。これらのSO3 、H2 O及びH2 SO4
はボイラ等の燃焼装置のガス流れ下流に設置された煙道
(5) 、空気予熱器(7) 、煙突(10)等において、表面温度
が酸露点以下になる低温部に高濃度H2 SO4 として凝
縮付着し、低温腐食、灰付着等のトラブルの原因とな
る。
【0003】このような低温腐食、灰付着等のトラブル
を防ぐためには、燃焼排ガス中のH 2 SO4 及びSO3
濃度を低減させて酸露点温度を低下させ、これによりH
2 SO4 の凝縮量を低減させる対策が有効である。この
対策の一つとして、煙道内の燃焼排ガス中に炭酸カルシ
ウム(CaCO3)や消石灰(Ca(OH)2 )又は水
酸化マグネシウム(Mg(OH)2 )等の中和剤を添加
して燃焼排ガス中のH2 SO4 及びSO3 が気体で存在
する間に中和除去し、酸露点温度を低下させ、H2 SO
4 凝縮量を低減させる対策が試みられている(特開平9
−75661号公報、特開昭58−36623号公報な
ど)。しかしこれ等の対策では、ガスとしてのH2 SO
4 及びSO3 の濃度が小さく、しかもCaCO3 など固
体の中和剤との接触効率が悪いために十分な脱硫酸反応
効率および中和剤の利用効率が得られない。また、中和
剤のハンドリングを含めた操作上、装置上の問題や、中
和後に生成する硫酸カルシウム(CaSO4 )、硫酸マ
グネシウム(MgSO4 )などのダストの付着性を含め
たその処理の問題等が未解決である。そして現状では、
これらを総合した経済的なメリットが確定されていない
ことから、未だ実用化には至っていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】燃焼排ガス中でのSO
3 の生成、それに基づくH2 SO4 の生成に起因するボ
イラ煙道、熱交換器、空気予熱器などボイラ後流の低温
部への高濃度H2 SO4の凝縮付着による低温腐食、灰
付着などのトラブルを防止するために、煙道にCaCO
3 等の固体のSO3 中和剤を添加する場合、前記のよう
に脱硫酸反応効率や中和剤の利用効率が低い、SO3
和剤のハンドリング性が悪い、中和後生成するCaSO
4 等のダストの処理が難しい、煙道内へダストが付着し
トラブルの原因となるなどの問題がある。本発明はこの
ような従来技術の問題点を解決し、燃焼ガス中に含まれ
るSO3、それに基づくH2 SO4 に起因する低温腐
食、灰付着等のトラブルを防止することができ、SO3
の除去に使用する原料の水素ガスが容易かつ低価格で入
手できて操作も容易な、燃焼排ガス中の無水硫酸の低減
方法及びそのための装置を提供しようとするものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する手段
として、本発明は次の(1)〜(5)の構成を有するも
のである。 (1)燃焼装置後流の燃焼排ガス温度が600〜100
0℃である領域の煙道内に水素ガスを添加し、前記燃焼
排ガス中に含まれる無水硫酸(SO3 )を還元すること
を特徴とする燃焼排ガス中の無水硫酸の低減方法。 (2)水素ガスの添加量がSO3 /H2 のモル比で1/
1〜1/15であることを特徴とする前記(1)の燃焼
排ガス中の無水硫酸の低減方法。 (3)前記水素ガスが、燃焼装置後流の煙道中の燃焼排
ガス温度が300〜400℃である領域に設けたメタノ
ール改質反応器で燃焼排ガスの保有する熱を利用して生
成させた水素ガスであることを特徴とする前記(1)又
は(2)の燃焼排ガス中の無水硫酸の低減方法。 (4)メタノール改質反応器を出た水素を含む生成ガス
に、煙道内の燃焼排ガスの一部を抽出た循環ガスを添加
し、燃焼装置後流の燃焼排ガス温度が600〜1000
℃である領域の煙道内に添加することを特徴とする前記
(3)の燃焼排ガス中の無水硫酸の低減方法。 (5)燃焼装置後流の節炭器出口から空気予熱器までの
間の煙道内に設けられたメタノール−水混合液の蒸発器
及びメタノール改質反応器と、水素ガスを燃焼装置後流
の燃焼排ガス温度が600〜1000℃である領域に供
給するノズルと、前記メタノール改質反応器で生成した
水素ガスを煙道内から抽出した循環ガスと共に前記ノズ
ルに供給する配管と、煙道内の排ガスの一部を抽出して
循環ガスとして前記配管に供給する循環ガス抽出部と、
原料のメタノール及び水を貯留する貯留槽とを備えてな
ることを特徴とする燃焼排ガス中の無水硫酸を低減する
ための水素ガス供給装置。
【0006】次に、本発明を詳細に説明するが、以下の
記載においてガス濃度を示すppm及び%は、特に記載
のない限り容積濃度を示すものである。本発明の方法に
おいては、燃焼装置後流の燃焼排ガス温度が600〜1
000℃である領域に水素ガスを添加し、前記燃焼排ガ
ス中に含まれるSO3 を還元してSO2 とすることによ
り、排ガス中のSO3 を低減させる。
【0007】一般にボイラ内の燃焼排ガス中の硫黄
(S)分は、酸素の共存下において次のような化学反応
によりSO2 、SO3 、H2 SO4 を生成する。
【化1】 式(a) S+O2 →SO2 (1000〜1400℃) 式(b) SO2 +1/2O2 →SO3 (300〜1200℃) 式(c) SO3 +H2 O→H2 SO4 (400℃以下)
【0008】式(b) の反応は付着灰の触媒作用により加
速されることがわかっている。この燃焼排ガス中に水素
ガスを添加すると式(d) 〜(h) の反応が生じてSO3
びH 2 SO4 は還元されてSO2 、H2 SO3 となり、
また、付着灰に吸着している酸素も水素により還元され
るためSO3 の生成が抑制される。
【化2】 式(d) SO3 +H2 →SO2 +H2 O (200〜1000℃) 式(e) H2 SO4 +H2 →H2 SO3 +H2 O (400℃以下) 式(f) SO2 +(O)→SO3 +H2 O (灰触媒:300〜1000℃) 式(g) H2 +(O)→H2 O (灰触媒:300〜1000℃) 式(h) H2 +1/2・O2 →H2 O (高温)
【0009】このような燃焼排ガスの温度が600から
1000℃、好ましくは650〜900℃の温度域に水
素ガスを添加すると、式(b) 及び(f) で生成したSO3
は式(d) の反応によりSO2 へ還元される。1000℃
を超える高温では添加した水素ガスが式(h) の反応によ
り燃焼するが、1000℃以下であれば式(d) の反応が
選択的に生起して水素ガスが燃焼により消費されないこ
とが判明した。従ってこのような条件下で水素ガスをS
3 量に比較してかなり多量に添加すれば、式(d) の反
応が加速され、SO3 は生成と同時に還元されてSO2
になると考えられる。従って、H2 SO4 の生成は阻止
されるか、後流の低温部で多少生成するにしても、残っ
た水素ガスにより式(e) の反応により還元されてH2
3 となる。
【0010】図6に示した通常のボイラにおける燃焼排
ガスの流れを示す系統図において、再熱器、二次過熱器
の設けられた前部煙道入口から、一次過熱器の設けられ
た後部煙道にかけての燃焼排ガス温度が600〜100
0℃、好ましくは650〜900℃の範囲の煙道中に水
素ガスを添加すればよい。この部分で生成したSO3
温度と水素ガスの添加位置を適当に選択すれば、後にデ
ータで説明するようにほぼ100%の還元が可能であ
り、後部煙道で多少のH2 SO4 が生成しても過剰の水
素ガスにより還元されてH2 SO3 となる。従って、こ
の方法によりSO3 だけではなくH2 SO4 も還元され
て、それぞれSO2 及びH2 SO3 となる。
【0011】水素ガスの添加量は、燃焼排ガスの性状等
により適宜設定すればよいが、高硫黄分の化石燃料を使
用するボイラにおいては、50〜200ppm程度のS
3が生成するので、後述する実験結果からSO3 /H
2 のモル比で1/1〜1/15とするのが好ましい。経
済性を考慮すればSO3 1モルに対して水素ガスは5〜
10モル程度添加すればよい。
【0012】本発明で使用する水素ガスとしてはいかな
る方法で製造したものであっても特に問題はないが、同
一プラント内において燃焼排ガスの保有する熱を利用し
て、メタノール改質反応により製造した水素を使用する
ことができる。本発明において使用する水素は高純度で
ある必要はないので、前記改質反応により生成した水素
含有ガスをそのまま使用することができ、極めて効率
的、経済的なプロセスとすることができる。メタノール
改質反応は300〜400℃の温度範囲で進行するの
で、煙道内の燃焼排ガスがこのような温度となる部分に
それぞれの反応器を設置するようにすれば、燃焼排ガス
の保有する熱を効率的に利用することができるので好都
合である。メタノール改質反応による水素ガス製造は、
メタノール蒸気と水蒸気を約300℃で触媒を用いて反
応させ、次式による改質反応を生起させるものである。
【化3】CH3 OH+H2 O=CO2 +3H2 例えば、触媒にCu−Zn−Cr系触媒を使用し、反応
圧力9kg/cm2 G、H2 O/CH3 OHモル比1.
2/1、触媒層温度300℃、空間速度(CH 3 OH基
準)300で、約100%のメタノール転化率が得られ
ることがわかっている。
【0013】本発明で使用する水素ガスの他の例として
炭化水素改質反応と一酸化炭素の転換反応とを組み合わ
せた方法により製造した水素ガスがある。炭化水素改質
反応及びCO転換反応による水素ガス製造は次式のよう
に進行する。反応温度は改質反応が約800℃、CO転
換反応は300〜400℃程度であり、この場合も煙道
内の適当な個所に反応器を設置するなどの方法により、
燃焼排ガスの保有する熱を利用すれば効率的である。
【化4】 Cn 2n+2+nH2 O→nCO+(2n+1)H2n 2n+2+2nH2 O→nCO2 +(3n+1)H2 CO+H2 O→CO2 +H2
【0014】なお、水素ガスの添加量は煙道内の燃焼排
ガスの量に比較して非常に少ないので、煙道内の燃焼排
ガスの一部(3〜10%程度)を抽出して循環ガスと
し、これに水素を混合して煙道内に添加するようにすれ
ば、添加部での燃焼排ガスとの均一な混合、拡散が容易
となり、SO3 との反応効率も向上するので好都合であ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明の第
1の実施態様に係る、ボイラにおける燃焼排ガスの流れ
を示す系統図である。図1の例はSO3 の低減のために
添加する水素ガスとして、煙道内に設けたメタノール改
質反応器により、燃焼排ガスの保有する熱を利用して製
造した水素ガスを使用する例である。なお、図1中のH
2 関連部分以外は図6と同じであり、その部分について
は説明を省略する。図1において、先ず貯留槽(14)にメ
タノール(12)及び水(13)を導入して混合した後、配管(1
6)を経て煙道内に設けた水ーメタノール混合液の蒸発器
(17)へ導入する。貯留槽(14)は運転開始直後は煙道内の
燃焼排ガスの温度が十分高くなっていないので、必要な
熱量を補給するため蒸気や電気ヒータ等の加熱手段(15)
を備えている。蒸発器(17)では所定温度の水ーメタノー
ルの混合液を煙道内の燃焼排ガスにより300〜400
℃程度まで加熱し、蒸発させて配管(18)を経て改質反応
器(19)へ導入する。蒸発器(17)は特別の構造のものは必
要なく、通常の管式のものでよく、管壁を通して燃焼排
ガスと水ーメタノール混合液を接触させることにより熱
交換させればよい。改質反応器(19)内には触媒が充填さ
れており、燃焼排ガスにより300〜400℃に加熱さ
れた触媒充填層中に水ーメタノール混合ガスが導入さ
れ、改質反応により水素ガスが生成する。
【0016】改質反応器(19)の構造の1例を図2に示
す。蒸発器(17)で蒸発したメタノールー水混合ガスはメ
タノールー水混合ガス入口(19-2)から、煙道内に設けら
れた改質反応器(19)へ導入される。改質反応器(19)は内
部にガス分散盤(19-3)、内部を燃焼排ガスが通過する排
ガス管(19-4)、触媒充填層(19-5)及び改質ガス出口(19-
6)により構成されている。改質反応器(19)で生成した改
質ガスは、配管(20)を経て配管(21)に導かれ、ガス循環
ポンプ(22)により煙道内から抽出された燃焼排ガスの一
部と合流して配管(23)を経てノズル(24)からボイラ出口
の煙道内に噴射され、燃焼排ガスと混合される。ここで
いうボイラ出口とは、具体的には火炉(1) 出口の燃焼排
ガス温度が600〜1000℃の部分であり、例えば、
二次過熱器出口付近から一次過熱器にかけての部分であ
る。なお、蒸発器(17)、改質反応器(19)及び配管(21)が
挿入される燃焼排ガスの抽出部はいずれも節炭器出口か
ら空気予熱器(7) までの間の煙道(5) 内に設けられる。
この間は、通常は300〜400℃の温度域にある。ノ
ズル(24)から噴射され、燃焼排ガスに混合された改質ガ
ス中の水素ガスは、燃焼排ガス中のSO3 をSO2 に還
元する。また、付着灰に吸着している活性な酸素を還元
してH2 Oとし、SO3 の生成を防止する効果がある。
【0017】
【実施例】以下、図面を参照した実施例により本発明の
効果を実証する。 (実施例1)図3は、本発明の効果を確認する目的で構
成したSO3 低減試験装置の概略を示す系統図である。
本装置は燃焼排ガス組成の模擬ガスを製造するための模
擬ガス製造部、模擬ガスを触媒に接触させてSO3 を生
成させるSO3 生成反応部、水素ガスを添加してSO3
を低減させるSO3 低減反応部、及びSO3 低減反応部
からの出口ガス中のSO3 を分析するSO3 濃度測定部
から構成されている。試験は先ず、ボンベのガスを使用
して乾式ベースでSO2 :2400ppm、CO2 :1
5%、O2 :1%、残りN2 の混合ガスを作製し、一定
温度に過熱した水を充填した加湿器(31)に通し、16%
の水分を含む模擬ガス(32)とし、1.0リットル/mi
nの流量でSO3 生成反応部へ導入する。SO3 生成反
応部は石英管(33)の中にSO3 生成触媒(34)を設置し、
外部から電気炉(35)で300〜700℃に加熱するよう
にしてある。SO3 生成触媒としては、実機でオリノコ
タールのエマルジョン(オリマルジョン)燃料を燃焼さ
せた表1に示す組成の燃焼灰(以下、試験灰という)を
使用し、内径9mm、厚み1mm、長さ150mmの半
割石英管の内側に0.25gを塗布した形で使用した。
【0018】
【表1】
【0019】SO3 生成反応部で試験灰の触媒作用によ
り生成したSO3 を含んだガスは次のSO3 低減反応部
へ導入される。SO3 低減反応部の入口ではH2 ガス及
びN 2 ガスのボンベから所定濃度の水素を含んだ混合ガ
スを添加ガス(36)として導入する。SO3 低減反応部で
は、石英管(33)を外部より電気炉(37)で加熱し、SO 3
生成反応部よりの模擬ガス(32)1.0リットル/min
と添加ガス(36)0.1リットル/minの混合ガスを通
過させることによってSO3 のH2 による還元反応を生
起させる。SO3 低減反応部を出たガスはSO3 濃度測
定部へ導入される。SO3 濃度測定部は吸収液としてイ
ソプロピルアルコールの90%水溶液を充填したSO3
吸収瓶(38)、ガスメーター(39)、及び系外への排気管(4
0)よりなる。SO3 の分析はJIS−K0103に準じ
たイソプロピルアルコール法によって行った。なお、S
3 生成反応部及びSO3 低減反応部に使用した石英管
(33)は、いずれも内径11.5mm、厚み1.75m
m、長さ500mmのサイズである。このような試験装
置を使用して行った実験結果を図4及び図5に示す。
【0020】図4は、表2に示す条件で反応させた際の
SO3 低減反応部(H2 ガス添加部)の温度(反応温
度)とSO3 低減率との関係を示したものである。図4
よりH2 ガスの添加によりSO3 は温度の上昇とともに
急激に減少し、特に600℃付近から加速され、700
℃付近で最大の低減率を示し、900℃付近までは同様
の傾向が認められるが、1000℃付近では逆に減少す
る。すなわち、H2 ガスの添加により、温度の上昇と共
にSO3 の還元反応が生起し、特に600〜1000
℃、好ましくは650〜900℃の温度域で最大の低減
率を示すようになる。しかし、1000℃付近からはガ
ス中に含まれるO2 による酸化反応(H2 +1/2・O
2 →H2 O)が優先して生起するためにSO3 の還元反
応が抑制されるものと考えられる。この傾向はH2 ガス
の添加量にかかわらず同様である。
【0021】
【表2】
【0022】図5は、表3に示す条件で反応させた際の
2 ガスの添加量(添加濃度)とSO3 低減率との関係
を示したものである。図5から、H2 ガス添加量200
ppm(SO3 /H2 モル比:1/3)以上で50%以
上のSO3 低減率が得られ、1000ppm(SO3
2 モル比:1/15)以上では90%以上のほぼ一定
となる。従って、経済性を考慮すればSO3 /H2 モル
比は1/3以上、好ましくは1/3〜1/15とすれば
よい。なお、SO3 の一部は排出までに系内で灰に吸収
されるので、SO3 が低濃度域では1/3未満でもよ
く、実用的にはSO3 /H2 モル比は1/1〜1/15
程度とすればよいと判断される。これらの傾向は700
℃以外の温度、特に650〜900℃の範囲でも同様で
あった。
【0023】
【表3】
【0024】
【発明の効果】本発明の方法によれば、化石燃料などの
硫黄(S)分を含有する燃料の燃焼排ガス中のSO3
濃度を効率よく低減させることができる。これにより、
次のような装置上あるいは装置運用上の効果があり、そ
の経済的メリットは極めて大きいものである。 (1) ボイラ燃焼排ガス後流の低温部への高濃度H2 SO
4 の凝縮付着による低温腐食、灰付着等のトラブルを防
止できる。 (2) H2 SO4 及びSO3 に起因した紫煙トラブルも解
消できる。 (3) H2 SO4 の発露による腐食等が防止でき、排ガス
温度を現状より低下させることができ、発電効率が向上
する。 (4) CaやMg化合物添加時のようなダストやスラッジ
の発生がなく、運転が容易であり、従って運転経費も削
減できる。 (5) ボイラ高温部でSO3 を低減させるため、後流の脱
硝部及び電気集塵機(EP)入口でのアンモニア注入量
を少なくすることができ(SO3 又はH2 SO3に消費
される分が減少する)、アンモニアの注入によって生じ
るダスト(硫酸アンモニウム:(NH4 2 SO4 )の
量を減少でき、電気集塵機の負荷・容量を軽減すること
ができる。 (6) 使用する水素ガスは多少不純物(メタノール、CO
等)を含んでいても高温部で燃焼するので精製する必要
はないため、メタノール改質反応で生成させた水素含有
ガスをそのまま使用することができ、市販の水素ガスを
使用する場合に比較して著しく低コストとなる。 (7) 煙道内に原料の蒸発器、改質反応器を設置し、燃焼
排ガスの保有する熱を利用して水素ガスの製造を行うこ
とにより、熱エネルギの有効利用ができ、より効率的な
プロセスとなる。 (8) 燃焼排ガス中に水素ガスを添加する際に、煙道内の
燃焼排ガスの一部を抽出した循環ガスと混合して添加す
ることにより、添加部での燃焼排ガスとの混合、拡散を
よくし、SO3 との反応効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施態様に係る、ボイラにおける燃
焼排ガスの流れを示す系統図。
【図2】図1におけるメタノール改質反応器の概略を示
す断面図。
【図3】本発明の効果を確認する目的で構成したSO3
低減試験装置の概略図。
【図4】実施例におけるH2 添加部の反応温度とSO3
低減率との関係を示す図。
【図5】実施例におけるH2 添加濃度とSO3 低減率と
の関係を示す図。
【図6】通常のボイラにおける燃焼排ガスの流れを示す
系統図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 瀬戸口 稔彦 長崎県長崎市深堀町五丁目717番1号 三 菱重工業株式会社長崎研究所内 (72)発明者 一ノ瀬 利光 長崎県長崎市深堀町五丁目717番1号 三 菱重工業株式会社長崎研究所内 (72)発明者 菱田 正志 東京都千代田区丸の内二丁目5番1号 三 菱重工業株式会社内 (72)発明者 小林 由則 長崎県長崎市飽の浦町1番1号 三菱重工 業株式会社長崎造船所内 Fターム(参考) 3K070 DA03 DA09 DA14 DA22 DA23 DA25 DA30 DA50 DA54 DA58 DA59 DA60 DA64 DA83 4D002 AA02 AC01 BA06 BA12 CA07 DA07 DA54 FA06 GA01 GA02 GB01 GB02 GB03 GB06 GB08 GB11 GB20 HA10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃焼装置後流の燃焼排ガス温度が600
    〜1000℃である領域の煙道内に水素ガスを添加し、
    前記燃焼排ガス中に含まれる無水硫酸(SO 3 )を還元
    することを特徴とする燃焼排ガス中の無水硫酸の低減方
    法。
  2. 【請求項2】 水素ガスの添加量がSO3 /H2 のモル
    比で1/1〜1/15であることを特徴とする請求項1
    に記載の燃焼排ガス中の無水硫酸の低減方法。
  3. 【請求項3】 前記水素ガスが、燃焼装置後流の煙道中
    の燃焼排ガス温度が300〜400℃である領域に設け
    たメタノール改質反応器で燃焼排ガスの保有する熱を利
    用して生成させた水素ガスであることを特徴とする請求
    項1又は2に記載の燃焼排ガス中の無水硫酸の低減方
    法。
  4. 【請求項4】 メタノール改質反応器を出た水素を含む
    生成ガスに、煙道内の燃焼排ガスの一部を抽出た循環ガ
    スを添加し、燃焼装置後流の燃焼排ガス温度が600〜
    1000℃である領域の煙道内に添加することを特徴と
    する請求項3に記載の燃焼排ガス中の無水硫酸の低減方
    法。
  5. 【請求項5】 燃焼装置後流の節炭器出口から空気予熱
    器までの間の煙道内に設けられたメタノール−水混合液
    の蒸発器及びメタノール改質反応器と、水素ガスを燃焼
    装置後流の燃焼排ガス温度が600〜1000℃である
    領域に供給するノズルと、前記メタノール改質反応器で
    生成した水素ガスを煙道内から抽出した循環ガスと共に
    前記ノズルに供給する配管と、煙道内の排ガスの一部を
    抽出して循環ガスとして前記配管に供給する循環ガス抽
    出部と、原料のメタノール及び水を貯留する貯留槽とを
    備えてなることを特徴とする燃焼排ガス中の無水硫酸を
    低減するための水素ガス供給装置。
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