JP2000236757A - 藻マルチングシート及びその製造方法 - Google Patents

藻マルチングシート及びその製造方法

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JP2000236757A
JP2000236757A JP11042872A JP4287299A JP2000236757A JP 2000236757 A JP2000236757 A JP 2000236757A JP 11042872 A JP11042872 A JP 11042872A JP 4287299 A JP4287299 A JP 4287299A JP 2000236757 A JP2000236757 A JP 2000236757A
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Atsushi Hirano
篤 平野
Takayoshi Hamada
高義 浜田
Masahito Kaneko
雅人 金子
Michio Haneda
道夫 羽田
Makio Hasuike
牧雄 蓮池
Seiji Kagawa
晴治 香川
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Tokyo Electric Power Company Holdings Inc
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Tokyo Electric Power Co Inc
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紙パルプ使用による木材保護の面及び分解し
にくいという面を改善した藻マルチングシート及びその
製造方法を提供する。 【解決手段】 抄紙に際し、叩解装置1による叩解の結
果、叩解濾水度約400ccパルプの使用により紙とし
て必要な濾水度や歩留まり率の条件を同時に満たすこと
ができ、歩留まり率向上剤を5000ppm添加するこ
とで、手抄き紙を作成したときのクロレラ歩留まり率は
約70%程度示しており、クロレラ混入紙の湿紙強度は
35%のドライネスが確保できれば、晒し針葉樹クラフ
トパルプ60g/m2 に相当する強度が得られること等
の知見を基礎とするもので、紙パルプに藻を添加して抄
紙を行ない藻添加紙を得るものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、農業の畑作等に用
いられる藻マルチングシートとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】農業における畑作等においては、水分の
蒸散の防止その他の目的で土壌被覆が行なわれ、この土
壌被覆材として従来からビニール製の農業用マルチング
シートが用いられている。
【0003】しかし、このビニール製マルチングシート
にあっては、使用後の剥離作業、回収、土落し(洗浄)
及び焼却処理等が必要であり、手間がかかり、焼却時に
はダイオキシン等の発生も懸念されて環境対策上も問題
となっている。
【0004】このため、上述の手間や環境対策の面か
ら、再生紙を利用したマルチングシートが開発され利用
され始めている。ところが、古紙を有効利用した再生紙
マルチングシートは、まだまだ段ボール、新聞等に利用
できる紙を使用しており、マルチングシートに利用する
に当っては木材の保護の面から問題となるものと考えら
れ、一考を要する。
【0005】また、再生紙マルチングシートを畑に使用
した場合、パルプ繊維の分解速度が非常に遅く、畑作等
の二期作、三期作等にてはパルプシートが残存してお
り、作業性が非常に悪いという問題がある。
【0006】本発明は、上述の問題に鑑みなされたもの
で、ビニール製のマルチングシートを使用せず、再生紙
を使用した場合のような木材保護の面あるいは作業性の
悪さの点について更に改良した藻マルチングシート及び
その製造方法の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成する本
発明は、次の発明特定事項を有する。 (1) 紙パルプに藻を添加して抄紙を行なって得た藻
添加紙からなることを特徴とする。 (2) 上記(1)において、藻添加率を50〜80w
t%とした藻添加紙からなることを特徴とする。 (3) 紙パルプに藻を添加した原料を抄紙工程を経て
藻添加紙として得るようにしたことを特徴とする。 (4) 上記(3)において紙パルプは10〜40wt
%、藻は60〜90wt%の条件の原料としたことを特
徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は、最近の湖沼等における
富栄養化に基因した藻に着目して、この藻の有効利用の
ために藻マルチングシートを得るものである。すなわ
ち、湖沼では窒素や燐を多く含有した富栄養化物質によ
りいわゆる「アオコ」が多量に発生し、また、海岸や海
水湖では同様の「アオサ」が多量に発生しており、この
「アオコ」や「アオサ」は自然浄化作用としての役割は
非常に重要であるが、一方でこの成長した「アオコ」や
「アオサ」の処理に苦慮しているのもまた現状である。
本発明は、かかる藻特に微細藻類を利用いてマルチング
シートを作るものである。
【0009】本例では微細藻の一例としてクロレラを利
用して藻添加紙を作るものであり、原料条件としてはク
ロレラ60〜90wt%、紙パルプ10〜40wt%、
パーコール(歩留まり向上剤)添加5%以下とし、製品
としてクロレラ添加率50〜80wt%、坪量100〜
150g/m2 のマルチングシートを得た。
【0010】つまり、図1に示すように連続抄紙装置に
てマルチングシートを得るもので、叩解装置1、原料タ
ンク2、濃度調整槽3、パーコール添加槽4、スクリー
ン5、ヘッドボックス6、フローボックス7、ワイヤー
パート8、プレスパート9、ドライパート10からなる
ものである。
【0011】ここで、連続抄紙装置にあって、叩解装置
1はパルプを叩きもみほぐして繊維相互の絡み合いを増
し、ついで原料タンク2にて叩解され膨潤されたパルプ
繊維及びクロレラが入れられ、濃度調整やペーハーの調
整、歩留り向上剤(パーコール)の添加、除塵、が槽
3、4、スクリーン5にて行なわれて抄紙機へ送られ
る。抄紙機におけるワイヤーパート8では、縦横に張ら
れた金網(ワイヤークロス)等により脱水が行なわれ、
プレスパート9にて更に水が絞り取られ、ドライパート
10では乾燥され、連続紙として巻き取られる。
【0012】ここで、抄紙に当って、藻添加紙としての
抄紙可能性や強さについての可能性に関する考察である
が、叩解装置1による叩解の結果、叩解濾水度約400
cc(落下水)パルプの使用により紙として必要な濾水
度や歩留まり率の条件を双方共満たすことができると考
えられること、歩留まり率向上剤を5000ppm添加
することで、手抄き紙を作成したときのクロレラ歩留ま
り率は約70%程度示しており、例えば40%クロレラ
添加紙について実機での抄造は可能であると予測される
こと、そしてクロレラ混入紙の湿紙強度は35%のドラ
イネスが確保できれば、NBKP(晒し針葉樹クラフト
パルプ)60g/m2 に相当する強度が得られるため、
搬送時の強度上の問題はないこと、との考察の結果によ
り抄紙幅44cm、ライン長さ25mの連続抄紙装置に
より実施した。以後はその概要である。
【0013】 〈藻添加紙の目標仕様〉 坪量 :100g/m2 藻添加率:40%(藻40g/m2 、パルプ60g/m2 ) 製造量 :幅約44cm×800m 原料 :パルプ(NUKP(未晒し針葉樹クラフトパルプ)):9kg クロレラ(品名 生クロレラV−12):6kg−dry 歩留まり向上剤(パーコール47)
【0014】 〈連続抄紙の準備作業〉 機器点検、原料調達,クロレラによる抄紙機ベルト汚染対策を実施。 1.パルプ(NUKP)の叩解 スラリー濃度 4% スラリー量 3m2 (パルプ 120kg−dry) 叩解度 280cc(目標 400cc) 原料チェスト移送分 約2m2 (約90kg−dry パルプ) 2.クロレラ添加 クロレラスラリー濃度 116g/l 原料チェスト投入液量 508.85kg 投入クロレラ 59.0kg−dry 3.抄紙機関係 パーコールの溶解および添加ラインの設置 プレスパート9のベルトヘキャンパスコーティング剤の塗布
【0015】〈抄紙実施〉表1に示す初期条件にて運転
を開始し、不具合調整後調整条件により本運転を行な
う。
【表1】
【0016】フローボックス出口で紙幅44cmである
が、耳切りおよび乾燥で38.5cmに縮む。巻き取り
部で坪量92g/m2 (風乾)、幅38.5cmの藻添
加紙を約900m製造できた。また、抄紙後プレスパー
ト9のフェルトに着色が強く認められたが、専用洗剤、
高圧水の洗浄によって、ほぼ回復することが出来た。
【0017】〈藻添加紙の物性測定及び耐久性試験〉作
製した藻添加紙の物性を測定した。測定結果は表2に示
す。なお、市販の再生紙マルチングシートの例につき物
性測定結果を併記した。
【表2】
【0018】表2から判明するように、作成した藻添加
紙は、強度の面と平滑度が向上し、透気度と白色度が低
下する特徴があった。作成した藻添加紙をビニールハウ
ス内に28日間天日下に静置して、経時的にサンプルを
取得した。取得サンプルの色変化については、開始11
日後にすでに退色がおきており、28日後ではパルプ
(NUKP)の色に近くなった。この期間では藻体の緑
色が失われており、藻体の色素であるクロロフィルが分
解したと考えられる。また、紙に細かいしわが現れ、紙
の感触はしなやかさが失われた。因に、再生紙マルチシ
ートは、かかる時間では藻添加紙と比較して分解は極め
て難しい。
【0019】こうして、次の結果を得た。 (a) 連続抄紙機を使用し坪量約100g/m2 、ク
ロレラ添加率40wt%の藻添加紙を約900m×0.
39m製造し、取得した。 (b) 物性測定の結果、市販再生紙に比べ強度の面と
平滑度が向上し、透気度と白色度が低下する特徴があっ
た。 (c) 藻添加紙は、屋外では約1ヶ月で緑色を失っ
た。
【0020】上述の説明では、製品のクロレラ添加率4
0wt%の藻添加紙につき述べたのであるが、この添加
率は分解のしやすさと抄紙の可能性や紙の強さ等とのバ
ランスにより設定され、クロレラについては製品につい
て云えば50〜80wt%の添加率にて抄紙と分解との
双方共しやすく、例えば80wt%にては分解速度も極
めて早い。
【0021】また、クロレラの添加により再生紙マルチ
ングシートに比べて透気度が低下しており、添加率が高
くなる程透気度が低下することが予想されるので、これ
を加味して対象栽培植物に応じて添加量を調整すること
も必要と考えられる。更に、藻添加マルチングシートで
は雑草の成長抑制効果を得ている。
【0022】図2は、ビニールハウス内のほうれん草の
収穫量を示したものであり、従来のビニールマルチング
シート、再生紙マルチングシート、本例でのクロレラマ
ルチングシート、及びマルチングシートを施さない裸土
につての測定結果を示しており、収穫量についてはマル
チングをしている場合としていない場合とで差が生じて
いる。マルチングシート相互の差はさほど生じていな
い。なお、同時にクロレラを土壌に直接散布した場合も
測定したが、直接散布の場合にはかびが発生し発芽率が
良くないことも判明した。直接散布させる場合にはコン
ポスト化等の加工が必要であり、コンポスト化した藻と
藻添加マルチシートの組合せは、現状の化学肥料を施し
たビニールマルチングシートの組合せ程の効果が期待で
きる。
【0023】上述の例は、クロレラについての例示であ
ったが、先述した「アオコ」や「アオサ」についても、
原料としてクロレラ同様用いることができることも試験
により判明している。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、次
の効果を有する。 (1) 藻マルチングシートは紙パルプの使用量を減少
できるため木材保護になる。 (2) 藻マルチングシートは、従来の再生紙マルチン
グシートに比べ、分解性に優れているため、使用後はト
ラクター等により直接土壌にすき込むことが容易であ
り、使用後の処分の手間を省略できる。藻マルチングシ
ートは夏場では略3〜4週間で分解し、作業性の悪化を
防止できる。 (3) 廃棄藻類の有効利用が図れることから、生産性
向上と共にコストダウンが可能となる。 (4) ビニールや再生紙のマルチングと同様の生育結
果が得られる。 (5) 藻マルチングシートは、使用後に土壌へのすき
込み等の結果、短期間で有機肥料となり、土壌がこえ
る。 (6) 夏場での地質低下及び保水性に効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】連続抄紙装置の簡略構成図である。
【図2】本発明と従来技術とのほうれん草収穫量の差を
表すグラフである。
【符号の説明】
1 叩解装置 3 濃度調整装置 2 原料タンク 4 パーコール添加槽 8 ワイヤパート 9 プレスパート 10 ドライパート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浜田 高義 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内 (72)発明者 金子 雅人 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内 (72)発明者 羽田 道夫 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内 (72)発明者 蓮池 牧雄 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内 (72)発明者 香川 晴治 東京都千代田区丸の内二丁目5番1号 三 菱重工業株式会社内 Fターム(参考) 2B024 DB03 DB10 4L055 AA05 AH01 EA04 EA32 FA21 GA25

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紙パルプに藻を添加して抄紙を行なって
    得た藻添加紙からなることを特徴とする藻マルチングシ
    ート。
  2. 【請求項2】 藻添加率を50〜80wt%とした藻添
    加紙からなることを特徴とする請求項1記載の藻マルチ
    ングシート。
  3. 【請求項3】 紙パルプに藻を添加した原料を抄紙工程
    を経て藻添加紙として得るようにしたことを特徴とする
    藻マルチングシートの製造方法。
  4. 【請求項4】 紙パルプは10〜40wt%、藻は60
    〜90wt%の条件の原料としたことを特徴とする請求
    項3記載の藻マルチングシートの製造方法。
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