JP2762005B2 - 水田用マルチ紙及びその製造方法 - Google Patents

水田用マルチ紙及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水田用マルチ紙及びそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、水田稲作に於いては除草剤を散
布して雑草の生育を阻止しているが、除草剤の散布は人
体に有害であるのみならず、水質汚濁又は生態破壊等の
環境公害問題を引き起こす原因になっている。このた
め、除草剤を全く使用しない有機農法(無農薬農法)、
或は除草は手作業で行うと言った手段が採られている。
更に、最近ではポリエチレン、塩化ビニール等のマルチ
フィルムで水田を覆って雑草の生育を阻止するようにし
た、ビニールマルチと称する除草剤を使わない稲作技術
も開発された。これは太陽光線の遮光率が90%を超え
ると、雑草が生育しない事実を利用したものであり、ブ
ラックカーボン等の黒色顔料によりマルチフィルムを黒
く着色することで目的を達成することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記ビ
ニールマルチは使用後の処分に問題があり、即ちマルチ
フィルムは生分解性がないためそのまま放置すると水田
中にいつまでも半永久的に残存することになる。このた
め、マルチフィルムを使用後に水田から回収して焼却処
分するが、回収作業には多大の労力を必要とし、又焼却
時には塩素ガス等の有害ガスが発生して二次公害を引き
起こすことになる。本発明は、このような従来の問題点
を解決するためになされ、使用後の回収作業及び焼却処
分を必要としない、生分解性を有する水田用マルチ紙及
びその製造方法を提供することを課題としたものであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記課題を技術的に解決
するための手段として、本発明は、木材パルプ又はその
他のセルロース繊維を基材とし、厚さが0.08〜0.
30mm、坪量が35〜160g/m2 、湿潤引っ張り
強度が0.20〜2.00kgf/15mm幅、ステキ
ヒト・サイズ度が15秒以下となるように抄造して成る
水田用マルチ紙を要旨とするものである。又、水田に敷
設後約40日間はシート状を保持し、50〜70日間で
溶解消滅する水田用マルチ紙を要旨とするものである。
更に、カナダ標準濾水度400〜500mlに叩解した
段ボール故紙を紙料とし、原則として薬剤を添加せずに
抄紙機を用いて坪量35〜160g/m2 にて抄造する
水田用マルチ紙の製造方法を要旨とするものである。
又、カナダ標準濾水度200〜300mlに叩解した針
葉樹未晒しクラフトパルプを紙料とし、原則として薬剤
を添加せずに抄紙機を用いて坪量約50g/m2 にて抄
造する水田用マルチ紙の製造方法を要旨とするものであ
る。
【0005】
【作 用】水田用マルチ紙は植物性繊維を基材とし、原
則として薬剤無添加であり且つ厚さや坪量を特定して太
陽光線の遮光率が90%を超えるように抄造されている
ため、水田に敷設後一定期間はシート状を保持して雑草
の生育を阻止すると共に、稲が生育しマルチが不要とな
った頃には生分解性により自己溶解し消滅する。更に、
マルチングとして必要な湿潤引っ張り強度を付与したの
で、機械的手段によって田植えと同時に水田に敷設する
ことができる。
【0006】
【実施例】以下、本発明の実施例について詳細に説明す
る。先ず、マルチ紙により水田をシート状に覆って、太
陽光線の遮光率を90%以上に設定するにはマルチ紙の
坪量及び厚みが問題になる。この問題を解決するため
に、マルチ紙の坪量及び厚みと不透明度との関係を実験
したところ図1のようなグラフが得られた。この実験は
JIS−P8138(紙の不透明度試験方法)に準じて
行った。この結果によると、マルチ紙の厚みがほぼ0.
08mmで、坪量が約35g/m2 の時に90%の不透
明度が得られ、厚みが増すにつれて不透明度は急激に増
大し、厚さ0.2〜0.3mmの間ではほぼ100%に
近い不透明度で横這い状態となる。従って、マルチ紙の
厚さは0.08〜0.3mm、坪量は35〜150g/
2 の範囲内或はそれ以上が好ましいと判明した。
【0007】次に、水田において田植えをする場合、当
然のことながら土表面は水濡れ状態であるから、水田を
マルチ紙で覆ってその状態を一定期間保持するには適度
の耐水強度が必要となる。又、マルチ紙の敷設作業は手
作業によると非能率的であるためロール状に巻いた長尺
のマルチ紙を田植え機に搭載し、マルチ紙を敷設しなが
ら田植えが出来るようにすることが望ましく、このため
機械的敷設に耐えるに充分な湿潤引っ張り強度が要求さ
れることになる。
【0008】マルチ紙の湿潤引っ張り強度に関して種々
実験したところ、0.20kgf/15mm幅未満だと
田植え機による敷設作業時にマルチ紙が破れ易く、マル
チングが困難となる上その破れた箇所から雑草の生育現
象が見られ、0.20kgf/15mm幅以上であると
田植え機による敷設作業時にマルチ紙は破れず、同時に
その上から田植え(この時稲苗の移植部分のみ穴があ
く)が可能であることが判った。ところが、湿潤引っ張
り強度が2.00kgf/15mm幅を超えると稲の初
期生育を妨げる事態が生じて好ましくなく、従って湿潤
引っ張り強度は0.20〜2.00kgf/15mm幅
の範囲内であると良いことが判明した。
【0009】更に、マルチ紙の濡れ性との関係でステキ
ヒト・サイズ度をチェックしたところ、そのサイズ度が
15秒を超えるとマルチ紙の湿潤時(5秒程度)の剛度
(こわさ)が高まってゴワゴワした感じの物となり、水
田土壌の表面に密着し難くなって其処に隙間が生じ、移
植後の入水又は風等によってマルチ紙が移動し、裸地が
生じるため雑草が繁茂し易くなってしまう。ステキヒト
・サイズ度が5秒前後のものが最良であったが、15秒
以下であるならば充分適用可能であるとの結果が得られ
た。
【0010】ステキヒト・サイズ度を下げるために、例
えば界面活性剤やカセイソーダ等を使用し紙面の濡れ性
を良くする方法が採られるが、これらの薬剤は稲の生育
上好ましくないので本発明に係るマルチ紙には原則とし
て添加しない。
【0011】一方、ステキヒト・サイズ度及びマルチ紙
の強度の調整剤としては、天然資源よりなる紙力増強剤
例えばとうもろこし、馬鈴薯、タピオカ等から得られる
澱粉が好ましく、この澱粉の添加方法に関しては内添、
外添スプレー、塗布による何れの方法でも良く、澱粉の
種類としては変性の少ないものが好ましい。しかしなが
ら、澱粉の添加率が10重量%を超えるとマルチ紙の湿
潤時(5秒程度)の剛度(こわさ)が高まってゴワゴワ
した感じの物となり、水田土壌の表面に密着し難くなる
ので避けるべきである。又、マルチ紙の製造時において
抄紙性を向上させるために、若干の硫酸バンドの添加は
行っても良いが、澱粉と同様に極力控えるべきである。
【0012】マルチ紙はポーラスな構造で通気性の良い
ことが望まれ、この観点からするとマルチ紙の密度は
0.40〜0.80g/cm3 程度が妥当であり、ポー
ラスな構造とするためには例えば段ボール故紙を原料と
する場合、叩解度(フリーネス)を400〜500ml
に調整して長繊維の割合をできる限り多く配合する必要
がある。これは原料の種類に応じて適宜調整しなければ
ならない。尚、抄造・乾燥工程後の紙の平滑性・光沢を
付与するカレンダー仕上げは行わない方が良い。
【0013】上記のような特性を備えた本発明に係るマ
ルチ紙の製造実施例について説明する。 (製造例1)カナダ標準濾水度450mlに叩解した段
ボール故紙を紙料とし、薬剤は無添加で長網抄紙機を用
いて坪量120g/m2 にて抄造した。 (製造例2)カナダ標準濾水度450mlに叩解した段
ボール故紙を紙料とし、ロジンサイズ剤を使用し、長網
抄紙機を用いて坪量120g/m2 にて抄造した。 (製造例3)カナダ標準濾水度450mlに叩解した段
ボール故紙を紙料とし、薬剤は無添加で長網抄紙機を用
いて坪量160g/m2 にて抄造した。 (製造例4)カナダ標準濾水度250mlに叩解したN
UKP(針葉樹未晒しクラフトパルプ)を紙料とし、薬
剤は無添加で円網抄紙機を用いて坪量約50g/m2
て抄造した。
【0014】前記製造例1〜4のマルチ紙を用いて実際
に稲作実験し、これをマルチ無しでの稲作データと比較
したところ表1が得られた。尚、物性の測定は前記と同
様であり以下の方法によった。 (1)湿潤引っ張り強さ……JIS−P8135に準拠 (2)ステキヒト・サイズ度……JIS−P8122に
準拠 (3)不透明度……JIS−P8138に準拠 (4)密着性……JISにないため次のような試験方法
によった。 試験片は繊維方向20cm、幅方向15mmとす
る。 試験片を20°Cの蒸留水に1秒間浸けて取り出
す。 取り出し後、図2に示すように台の角部に繊維方向
の10cmを水平に保持し、片方の10cmをフリーな
状態にする。 取り出し4秒経過後、垂れ下がった先端部より台の
垂直面までの距離Xの距離を測定する。 試験片は5枚とし、その平均値を密着性(mm)と
して求める。 (この数値が大きければ、湿潤時の剛度即ちこわさが高
く、ゴワゴワした感じの物となって土壌表面に密着し難
くなる。)
【0015】
【表1】
【0016】表1によれば、製造例1〜4何れのマルチ
紙においても、除草効果が無除草の場合の雑草量100
に対して0.5〜6.2であって極めて良好であると共
に、稲の生育状況も470〜480kg/10aであっ
て無除草の場合の360kg/10aに比べると遥かに
優れ、除草剤を使った慣行農法の場合の480kg/1
0aとほぼ同等の結果が得られ、且つ生分解状態は50
〜70日間で完全に分解した。又、ロール状に巻き取っ
た長尺のマルチ紙を田植え機に搭載することにより、水
田に敷設しながら田植えを能率良く行うことが出来た。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によるマル
チ紙は、植物性繊維を基材とし、原則として薬剤無添加
であり且つ厚さや坪量を特定して太陽光線の遮光率が9
0%を超えるように抄造されているため、水田に敷設後
一定期間はシート状を保持して雑草の生育を阻止すると
共に、稲が生育しマルチが不要となった頃に生分解性に
より自己溶解し消滅することができる。従って、マルチ
紙の回収の手間が省けると共に焼却処分も不要であり、
しかも水田中に溶解しても無害であるから水質汚濁、生
態破壊その他の環境公害問題を引き起こすことがなく、
更にマルチングとして必要な湿潤引っ張り強度を付与し
たので、機械的手段によって田植えと同時に水田に敷設
できる等の優れた効果を奏する。又、本発明によれば、
雑草だけでなくイネミズゾウムシ、モンガレ病等の病害
虫発生を防いだり、パルプの吸水性、保水性を利用する
ことで使用する灌漑水が少なくて済む節水効果、地温制
御効果等も期待できる。更に、パルプ等の天然資材を有
機肥料として再利用することも可能であり、除草剤を全
く使用せずに安全性の高い米を供給できる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るマルチ紙の坪量及び厚みと不透
明度の関係を示すグラフ図である。
【図2】 マルチ紙の密着性試験を示す説明図である。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木材パルプ又はその他のセルロース繊維
    を基材とし、厚さが0.08〜0.30mm、坪量が3
    5〜160g/m2 、湿潤引っ張り強度が0.20〜
    2.00kgf/15mm幅、ステキヒト・サイズ度が
    15秒以下となるように抄造して成ることを特徴とする
    水田用マルチ紙。
  2. 【請求項2】 水田に敷設後約40日間はシート状を保
    持し、50〜70日間で溶解消滅する、請求項1記載の
    水田用マルチ紙。
  3. 【請求項3】 カナダ標準濾水度400〜500mlに
    叩解した段ボール故紙を紙料とし、原則として薬剤を添
    加せずに抄紙機を用いて坪量120〜160g/m2
    て抄造することを特徴とする水田用マルチ紙の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 カナダ標準濾水度200〜300mlに
    叩解した針葉樹未晒しクラフトパルプを紙料とし、原則
    として薬剤を添加せずに抄紙機を用いて坪量約50g/
    2 にて抄造することを特徴とする水田用マルチ紙の製
    造方法。
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