JP2000236123A - 圧電トランス、圧電トランスの製造方法および圧電トランスの駆動方法 - Google Patents

圧電トランス、圧電トランスの製造方法および圧電トランスの駆動方法

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JP2000236123A
JP2000236123A JP11036904A JP3690499A JP2000236123A JP 2000236123 A JP2000236123 A JP 2000236123A JP 11036904 A JP11036904 A JP 11036904A JP 3690499 A JP3690499 A JP 3690499A JP 2000236123 A JP2000236123 A JP 2000236123A
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JP
Japan
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piezoelectric transformer
power generation
piezoelectric
generation unit
unit
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JP11036904A
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English (en)
Inventor
Toshiyuki Asahi
俊行 朝日
Kojiro Okuyama
浩二郎 奥山
Hiroshi Nakatsuka
宏 中塚
Hiroshi Sogo
寛 十河
Hiroyuki Hase
裕之 長谷
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 破壊強度に対する安全率を高めて耐電力性の
向上させ、破壊しにくい圧電トランスを提供する。 【解決手段】 駆動部111と発電部141とが互いに同
軸に重ね合わされており、駆動部111は、厚み方向に
分極されるとともに、その厚み方向で対向する主平面1
2a,12b上にそれぞれ電極13a,13bが形成され、
また、発電部141は、径方向に分極されるとともに、
その中央部と外周部とにそれぞれ電極16a,16bが形
成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、液晶ディ
スプレイのバックライト用インバータなどの電力変換装
置に用いられる圧電トランス、圧電トランスの製造法お
よび圧電トランスの駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】圧電トランスは、入力した電気エネルギ
ーを逆圧電効果によって、機械エネルギー(振動)に変換
し、その機械エネルギーを再び圧電効果によって電気エ
ネルギーに変換することで、電圧の昇圧または降圧を行
っている。
【0003】圧電トランスの一例として、現在、最も一
般的な構成とされているローゼン型圧電トランスの構成
を図8に示す。
【0004】このローゼン型圧電トランスは、たとえば
PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)セラミック等でできた平
板状の圧電体40を有し、この圧電体40の長手方向の
中央よりも図中の左半分が駆動部41とされ、図中の右
半分が発電部42とされる。
【0005】そして、駆動部41は、圧電体40の主平
面上に、例えば銀焼き付けなどにより、入力電極43お
よび共通電極45が形成されていて、図中矢印で示すよ
うに、厚み方向に分極されている。また、発電部42
は、圧電体40の端部に出力電極44が形成されてお
り、図中矢印で示すように、長軸方向に分極されてい
る。
【0006】このように形成された圧電トランスにおい
て、入力電極43と共通電極45との間に交流電気信号
を印可すると、逆圧電効果によって圧電体40の軸方向
に沿って伸び振動が発生する。この機械振動により、振
動方向にある発電部42は、その応力を受けて圧電効果
によって出力電極44と共通電極45との間に駆動部4
1と発電部42のインピーダンスの比に対応した高電圧
が発生し、電気振動として取り出される。印可される交
流電気信号の周波数を圧電素子40の長軸方向の伸び振
動の共振周波数近傍とすることにより、強い機械振動が
得られる。
【0007】ところで、現在、このローゼン型の圧電ト
ランスは、液晶デスプレイのバックライトとしての冷陰
極管を発光させるインバータとしてよく用いられている
が、液晶画面サイズの増加に伴い、冷陰極管の電力も増
加の傾向にある。
【0008】圧電トランスは、電磁トランスと比較し
て、一層大きな電力密度で使用できるので小型化に適
している、不燃化が図れる、電磁誘導によるノイズ
が減少する、といったメリットを持っている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来のローゼン型圧電
トランスの振動モードは、長軸方向の伸び振動なので、
振動によって発生する力は長軸方向と垂直な小さな面に
応力として作用している。
【0010】また、駆動部41と発電部42との境界部
分は、分極の反転層となっていて強度的に弱く破壊しや
すい。
【0011】近年の液晶パネルの大型化に伴い、大きな
駆動電力を得るためには振動(応力)も大きくなってお
り、破壊強度の向上が求められている。
【0012】本発明は、以上のような問題点に着目し、
破壊しにくい構造の圧電トランス、圧電トランスの製造
法および圧電トランスの駆動方法を提供するものであ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ため、次のようにしている。
【0014】第1の発明では、駆動部と発電部とが互い
に主平面上で重ね合わされており、前記駆動部と発電部
の内、一方側は厚み方向に分極されるとともに、その厚
み方向で対向する主平面上にそれぞれ電極が形成され、
また、他方側は径方向に分極されるとともに、その中央
部と外周部とに電極が形成されている。これにより、破
壊強度に対する安全率を増加させることが可能となる。
【0015】第2の発明では、第1の発明において、駆
動部と前記発電部は絶縁層を介して重ね合わされてい
る。これにより、駆動部と発電部を電気的に分離でき、
駆動部と発電部とを異なる電位で作動することができ
る。
【0016】第3の発明では、第1または第2の発明に
おいて、主平面の形状は、実質的に、円、または多角
形、もしくは円および多角形から円、または多角形を打
ち抜いた図形のいずれかであることを特徴としている。
これにより、振動モードが均一になり、効率のよい圧電
トランスを提供できる。また、形状を多角形、または、
多角形から円または多角形を打ち抜いた図形、特に正方
形、正6角形とすることで、切断による加工が容易とな
り、生産性が向上する。
【0017】第4の発明では、第1ないし第3のいずれ
かの発明において、駆動部および発電部の内の少なくと
も一方は、圧電セラミックでできていることを特徴とし
ている。これにより、圧電定数が大きく、安価な圧電ト
ランスと提供することができる。
【0018】第5の発明では、第1ないし第4のいずれ
かに記載の発明に係る圧電トランスを製造する方法であ
って、前記駆動部と発電部の内、一方側を厚み方向に、
他方側を径方向に分極する分極工程と、前記分極工程後
に前記駆動部と発電部とを互いに主平面で重ね合わせて
積層する積層工程とを含む。これにより、圧電特性や強
度特性はよいが、焼結温度が高く、グリーンシートの積
層法が使えない圧電材料においても圧電トランスが製造
でき、電極材料などの制限が緩和される。
【0019】第6の発明では、第1ないし第4のいずれ
かに記載の発明に係る圧電トランスを製造する方法であ
って、前記駆動部と発電部とをグリーンシートにより作
成して積層する積層工程と、前記積層工程の後に前記駆
動部と発電部とを焼結する焼結工程と、前記焼結工程後
に駆動部と発電部の内、一方側を厚み方向に、他方側を
径方向に分極する分極工程とを含む。これにより、駆動
部または発電部の積層が容易になり、一体に焼結できる
ため、製造が容易になる。
【0020】第7の本発明では、第1ないし第4のいず
れかに記載の発明に係る圧電トランスにおいて、前記駆
動部を広がり振動モードで駆動することを特徴としてい
る。これにより、高い結合係数を利用でき、昇圧比を向
上できる。また、破壊強度に対する安全率を増加させる
ことが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照して説明する。
【0022】(実施形態1)図1は本発明の実施形態1に
係る圧電トランスの斜視図である。
【0023】この実施形態1の圧電トランス101は、
昇圧用のもので、共に円板状をした駆動部111と発電
部141とを有し、両者111,141が上下に重ね合わ
された状態で接着剤などにより一体的に接合されて構成
されている。
【0024】下側の駆動部111は、PZT系のセラミ
ックからなる円板状の圧電体12を有する。なお、圧電
体12としては、LiNO3等の圧電体単結晶を使用する
こともできる。そして、この圧電体12の上下の両主平
面12a,12b上には電極13a,13bが形成されてい
る。
【0025】また、上側の発電部141は、駆動部111
と同じ材質でかつ同径の圧電体15を有し、この圧電体
15の上下の主平面15a,15bの内、駆動部111
ら離れた上側の主平面15a上の中央部と外周部とにそ
れぞれ電極16a,16bが形成されている。そして、駆
動部11の両主平面12a,12b上の各電極13a,1
3bは入力電極となり、また、発電部141の上側の主平
面15a上の各電極16a,16bは出力電極となる。
【0026】上記の各電極13a,13b,16a,16b
は、たとえば、クロム−金を蒸着することにより形成さ
れる。さらに、駆動部111の圧電体12は厚み方向
に、発電部141の圧電体15は径方向にそれぞれ分極
されている。図1中の矢印は各分極軸の方向を表してい
る。
【0027】この構成の圧電トランス101は、駆動部
111に電気信号を入力して駆動部111を広がり振動モ
ードで振動させて機械振動に変換する。このとき駆動部
111に対して発電部141は一体に結合されているた
め、駆動部111の振動に伴って発電部141も径方向に
振動するが、発電部141は径方向に分極されているた
め、この機械的な振動が発電部141で再び電気信号に
変換されて昇厚が行なわれる。
【0028】ここで、図8に示したような従来のローゼ
ン型トランスでは、駆動部41で発生した振動が伝搬す
る方向に発電部42を設けた構成になっているが、図1
に示すこの実施形態1の圧電トランス101は、駆動部
111の上に同じ外径の発電部141が積層されているた
め、駆動部111が広がり振動モードで振動するときの
径方向の伸縮(振動)が発電部141に対して面として伝
搬される。また、このときの駆動部111の振動方向が
径方向なので、強度的に弱い分極の境界層(面)の方向と
は一致しない。
【0029】図8に示した従来のローゼン型圧電トラン
スが圧電体40の軸方向の中央部で破壊した理由は、λ
モードの時は、圧電体40の入出力部の中央部が応力最
大の点となるためである。
【0030】これに対して、この実施形態1の圧電トラ
ンス101は、駆動部111が径方向に振動すると、発電
部141はその中央部に応力が集中するが、ローゼン型
と比較すると応力が径方向に分散されて破壊することが
ない。
【0031】この実施形態1の圧電トランス101を製
作するには、具体的には、たとえば次の手順により行
う。
【0032】まず、駆動部111および発電部141とな
るべき2つの円板状の圧電体12,15を焼結後、研磨
を行ってφ16mm、厚さ0.5mmの外形寸法に形成す
る。
【0033】次に、一方の圧電体12の両主平面12
a,12b上に電極13a,13bをそれぞれ形成して駆動
部111とする。また、他方の圧電体15の一方の主平
面15a上の中央部と外周部にそれぞれ電極16a,16
bを形成して発電部141とする。その場合の各電極形成
は、クロム−金を蒸着することにより行う。
【0034】そして、駆動部111の圧電体12は厚み
方向に、発電部141の圧電体15は径方向にそれぞれ
分極した後、この駆動部111と発電部141とを接着剤
を用いて主平面12a,15b同士が重なるように積層す
る。
【0035】このようにして製作した圧電トランス10
1は、全体の外形がφ16mm、厚さは1mmとなる。そし
て、この圧電トランス101を円板の径方向広がり振動
で駆動したときの共振周波数は約145kHzである。
【0036】次に、この実施形態1の圧電トランス10
1の特性を調べるために、以下の実験を行った。その
際、比較のために従来のローゼン型圧電トランスも同体
積となるように長さ20mm、幅10mm、厚み1mmで製作
した。入力電極43、出力電極44、共通電極45はク
ロム−金を蒸着することにより作成した。ローゼン型ト
ランスは長軸方向の伸び振動のλモードで駆動し、共振
周波数は150kHzである。
【0037】ここで、破壊強度を調べるために、共振周
波数で駆動し、印可電力を徐々に増やしていき、圧電ト
ランスが破壊するまで振動速度を増大させる実験を行っ
た。
【0038】その結果、ローゼン型トランスは印可電力
が19Wになったとき、出力部の中央部で破壊した。一
方、この実施形態1の圧電トランス101は、50Wの
印加時にも破壊は見られず、耐電力が約2.5倍以上に
なっていることが確認できた。
【0039】次に、この実施形態1の圧電トランス10
1において、その出力電極16a,16b間に10kΩの
負荷抵抗をつけた時の効率および昇圧比の周波数特性を
図2に示す。図2で実線で示す曲線が効率を示し、破線
の曲線が昇圧比を示している。図2から分かるように、
共振周波数が145kHzの時、効率95%、昇圧比は2
1.2倍であった。
【0040】なお、この実施形態1の圧電トランス10
1では、駆動部111の圧電体12は厚み方向に、発電部
141の圧電体15は径方向に分極しているが、これと
は逆に、駆動部111の圧電体12を径方向に、発電部
141の圧電体15を厚み方向にそれぞれ分極した構成
としても同じ効果が得られる。また、この実施形態1で
は圧電トランス101を昇圧用として使用しているが、
降圧を目的として設計してもよい。
【0041】(実施形態2)図3は本発明の実施形態2に
係る圧電トランスの斜視図であり、図1に示した実施形
態1における圧電トランス101と対応する部分につい
ては、同一の符号を付す。
【0042】この実施形態2の圧電トランス102は、
昇圧用のもので、駆動部111と発電部142とを有し、
両者111,142が絶縁層18を介して上下に重ね合わ
された状態で一体的に接合されている。
【0043】ここで、駆動部111の構成は実施形態1
の場合と同じであって、円板状の圧電体12の両主平面
12a,12b上に入力電極となる電極13a,13bが形
成されている。
【0044】一方、発電部142は、圧電体15の中央
が円形に打ち抜かれてリング状になっており、この圧電
体15の内周面と外周面とにそれぞれ電極17a,17b
が形成されて、これが出力電極とされる。そして、この
実施形態2の場合も、駆動部111の圧電体12は厚み
方向に、発電部142の圧電体15は径方向にそれぞれ
分極されている。図3中の矢印は各分極軸の方向を表し
ている。
【0045】また、絶縁層18は、駆動部111と発電
部142との間に介在されることで入力電極13aと出力
電極17bとの間を電気的に確実に分離して放電が起こ
りにくくしている。この絶縁層18は、駆動部111
発電部142と同じ材質のセラミックで作られている
が、分極処理は行なわれていない。絶縁層18をこのよ
うなセラミックとすることにより、駆動部111や発電
部142の各圧電体12,15と同じ工程によって焼成
できるため、製造が容易となる。また、この絶縁層18
として駆動部111や発電部142の各圧電体12,15
と同じ材質のものを使用すれば、熱膨張性などの特性が
同じになるため、熱歪みの影響を受けないために有利で
ある。なお、絶縁層18としては、接着剤そのものを使
用することもできる。絶縁層18を接着剤とすれば、発
電部111と駆動部142との機械的な接合と電気的な分
離とが同時に達成できる利点がある。
【0046】この実施形態の圧電トランス102を製作
するには、具体的には、たとえば次の手順により行う。
【0047】まず、駆動部111および発電部142とな
るべき2つの円板状の圧電体12,15を焼結後、研磨
を行ってφ16mm、厚さ0.5mmの外形寸法に形成す
る。
【0048】次に、一方の圧電体12の両主平面12
a,12b上に電極13a,13bをそれぞれ形成して駆動
部111とする。また、他方の圧電体15については、
中心部にφ3mmの穴を打ち抜いてリング状の外形寸法と
した。そして、この圧電体15の内周面と外周面にそれ
ぞれ電極17a,17bを形成して発電部142とする。
その場合の各電極形成は、クロム−金を蒸着することに
より行う。
【0049】そして、駆動部111の圧電体12は厚み
方向に、発電部142の圧電体15は径方向にそれぞれ
分極する。また、絶縁層18として、上記の圧電体1
2,15と同じ材質のセラミックを用いてφ16mm、厚
さ0.2mmのものも作成した。
【0050】次に、駆動部111と発電部142との間に
絶縁層18が介在させた状態でこれらを積層した後、接
着剤を用いて一体的に接着した。
【0051】このようにして製作した圧電トランス10
2は、全体の外形がφ16mm、厚さは1mmであり、この
圧電トランス102を円板の径方向広がり振動で駆動し
たときの共振周波数は約145kHzである。
【0052】次に、この実施形態2の圧電トランス10
2の特性を調べるために、実施形態1の場合と同様の実
験を行った。
【0053】その結果、破壊強度は実施形態1の場合と
同様に50Wの印加時にも破壊は見られず、耐電力が約
2.5倍以上になっていることが確認できた。
【0054】次に、この実施形態2の圧電トランス10
2において、その出力電極17a,17b間に10kΩの
負荷抵抗をつけた時の効率および昇圧比の周波数特性を
図4に示す。図4で実線で示す曲線が効率を示し、破線
の曲線が昇圧比を示している。図4から分かるように、
共振周波数が145kHzの時、効率95%、昇圧比は1
9.7倍であった。
【0055】なお、この実施形態2において、駆動部1
1、発電部142および絶縁層18に使用する圧電体と
して、PZT系のセラミックを用いたが、圧電性を持つ
物質、例えばLiNO3等の圧電体単結晶でも同様の効果
が得られる。また、この実施形態2においては、駆動部
111は厚み方向に、発電部142は径方向にそれぞれ分
極しているが、これとは逆に、駆動部111を径方向
に、発電部142を厚み方向にそれぞれ分極した構成と
しても同じ効果が得られる。また、圧電トランス102
を昇圧用として使用しているが、降圧を目的として設計
してもよい。
【0056】(実施の形態3)図5は本発明の実施形態3
に係る圧電トランスの斜視図であり、図3に示した実施
形態2における圧電トランス102と対応する部分につ
いては、同一の符号を付す。
【0057】この実施形態3の圧電トランス103は、
昇圧用のもので、駆動部112と発電部142とを有し、
両者112,142が絶縁層18を介して上下に重ね合わ
されて一体的に接合されている。しかも、この実施形態
3では、駆動部112、絶縁層18、および発電部142
の中央がいずれも円形の同軸状に打ち抜いて上下に貫通
する貫通孔20が形成されている。
【0058】したがって、発電部142は、実施形態2
の場合と同様な構成となっており、リング状の圧電体1
5の内周面と外周面とにそれぞれ出力電極となる電極1
7a,17bが形成されている。
【0059】一方、駆動部112は、圧電体21と電極
19a,19bとが交互に積層された構造となっており、
さらに、一方の電極19aは一層おきに圧電体21の内
周面側で互いに接続され、また、他方の電極19bは一
層おきに圧電体21の外周面側で互いに接続されてい
る。そして、各電極19a,19bが入力電極とされる。
【0060】この実施形態3の場合も、図5および図6
に示すように、駆動部112の圧電体12は厚み方向
に、発電部142の圧電体15は径方向にそれぞれ分極
されている。特に、駆動部112については、電極19
a,19bを介して隣接する圧電体同士が互いに逆向きに
分極されている。図5および図6中の矢印は各分極軸の
方向を表している。
【0061】この実施形態の圧電トランス103を製作
するには、具体的には、たとえば次の手順により行う。
【0062】まず、グリーンシートをドクターブレード
法により作成する。次に、駆動部112となるべき部分
については、グリーンシートにスクリーン印刷法を用い
て銀・パラジウムペーストを印刷して電極を形成する。
そして、電極付きのグリーンシートを5つ積層する。そ
の上にさらに絶縁層18および発電部142とるべきグ
リーンシートを順次積層して圧着した。
【0063】圧着後、これらを同時に円形状に打ち抜
き、さらに中央部にφ3mの穴を設けた後に焼結した。
【0064】焼結後に研磨を行い、次に、駆動部112
の内周面に銀焼き付を施して積層された電極に接続して
一方の入力電極19aとし、同様に、外周面に銀焼き付
けを施して積層された電極に接続して他方の入力電極1
9bとした。
【0065】また、発電部142については、焼結して
得られる圧電体15の内周面と外周面とに銀焼き付けを
施してそれぞれ出力電極17a,17bを形成した。
【0066】各電極の形成後、駆動部112および発電
部142をそれぞれ厚み方向、径方向に分極した。
【0067】このようにして製作した圧電トランス10
3は、全体の外形がφ16mm、厚さは1.2mmとなる。そ
して、この圧電トランス103を円板の径方向広がり振
動で駆動したときの共振周波数は約145kHzである。
【0068】次に、この実施形態3の圧電トランス10
3の特性を調べるために、実施形態1の場合と同様の実
験を行った。
【0069】その結果、破壊強度は実施形態1の場合と
同様に50Wの印加時にも破壊は見られず、耐電力が約
2.5倍以上になっていることが確認できた。
【0070】次に、この実施形態3の圧電トランス10
3において、その出力電極17a,17b間に10kΩの
負荷抵抗をつけた時の効率および昇圧比の周波数特性を
図7に示す。図7で実線で示す曲線が効率を示し、破線
の曲線が昇圧比を示している。図7から分かるように、
共振周波数が135kHzの時、効率94%、昇圧比は9
1.2倍であった。このような大きな昇圧比が得られる
のは、駆動部112を5層構造としているので、入出力
部のインピーダンスの差が大きくなるためと考えられ
る。
【0071】なお、上述した各実施形態1〜3におい
て、駆動部111,112および発電部141,142の形
状は、実質的に円筒状やリング状のものであったが、本
発明は、これに限る物ではなく、例えば、外周面が多角
形でもよく、また、内周面も多角形であってもよい。そ
の場合、効果に定量的な差はあるものの、従来の圧電ト
ランスに比較して破壊強度に対する安全率を向上させる
ことができる。
【0072】
【発明の効果】本発明によれば、次の効果を奏する。
【0073】(1) 請求項1の発明では、破壊強度に対
する安全率を増加させることが可能となる。
【0074】(2) 請求項2の発明では、駆動部と発電
部を電気的に分離でき、駆動部と発電部とを異なる電位
で作動することができる。
【0075】(3) 請求項3の発明では、振動モードが
均一になり、効率のよい圧電トランスを提供できる。ま
た、切断による加工が容易となり、生産性が向上する。
【0076】(4) 請求項4の発明では、圧電定数が大
きく、安価な圧電トランスと提供することができる。
【0077】(5) 請求項5の発明では、圧電特性や強
度特性はよいが、焼結温度が高く、グリーンシートの積
層法が使えない圧電材料においても圧電トランスが製造
でき、電極材料などの制限が緩和される。
【0078】(6) 請求項6の発明では、駆動部または
発電部の積層が容易になり、一体に焼結できるため、製
造が容易になる。
【0079】(7) 請求項7の発明では、高い結合係数
を利用でき、昇圧比を向上できる。また、破壊強度に対
する安全率を増加させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1における圧電トランスの外
観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1における圧電トランスの効
率・昇圧比の周波数特性図である。
【図3】本発明の実施の形態2における圧電トランスの
外観を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態2における圧電トランスの効
率・昇圧比の周波数特性図である。
【図5】本発明の実施形態3における圧電トランスの外
観を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態3における圧電トランスの断
面図である。
【図7】本発明の実施形態3における圧電トランスの効
率・昇圧比の周波数特性図である。
【図8】従来型のローゼン型圧電トランスの外観を示す
斜視図である。
【符号の説明】
101,102,103…圧電トランス、111,112
駆動部、141,142…発電部、12,15,21…圧
電体、12a,12b,15a,15b…主表面、13a,
13b,16a,16b,17a,17b,19a,19b…
電極、18…絶縁層。
フロントページの続き (72)発明者 中塚 宏 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 十河 寛 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 長谷 裕之 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動部と発電部とが互いに主平面上で重
    ね合わされており、前記駆動部と発電部の内、一方側は
    厚み方向に分極されるとともに、その厚み方向で対向す
    る主平面上にそれぞれ電極が形成され、また、他方側は
    径方向に分極されるとともに、その中央部と外周部とに
    電極が形成されていることを特徴とする圧電トランス。
  2. 【請求項2】 前記駆動部と前記発電部は絶縁層を介し
    て重ね合わされていることを特徴とする請求項1に記載
    の圧電トランス。
  3. 【請求項3】 前記主平面の形状は、実質的に、円、ま
    たは多角形、もしくは円および多角形から円、または多
    角形を打ち抜いた図形のいずれかであることを特徴とす
    る請求項1または請求項2記載の圧電トランス。
  4. 【請求項4】 前記駆動部および発電部の内の少なくと
    も一方は、圧電セラミックでできていることを特徴とす
    る請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の圧電トラ
    ンス。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項4のいずれかに記
    載の圧電トランスを製造する方法であって、 前記駆動部と発電部の内、一方側を厚み方向に、他方側
    を径方向に分極する分極工程と、 前記分極工程後に前記駆動部と発電部とを互いに主平面
    で重ね合わせて積層する積層工程と、 を含むことを特徴とする圧電トランスの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項4のいずれかに記
    載の圧電トランスを製造する方法であって、 前記駆動部と発電部とをグリーンシートにより作成して
    積層する積層工程と、 前記積層工程の後に前記駆動部と発電部とを焼結する焼
    結工程と、 前記焼結工程後に駆動部と発電部の内、一方側を厚み方
    向に、他方側を径方向に分極する分極工程と、 を含むことを特徴とする圧電トランスの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし請求項4のいずれかに記
    載の圧電トランスにおいて、前記駆動部を広がり振動モ
    ードで駆動することを特徴とする圧電トランスの駆動方
    法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6614144B2 (en) * 2001-10-04 2003-09-02 Force International, Corp. Multilayer piezoelectric transformer
US6617757B2 (en) * 2001-11-30 2003-09-09 Face International Corp. Electro-luminescent backlighting circuit with multilayer piezoelectric transformer
JP2014199903A (ja) * 2013-03-11 2014-10-23 太平洋セメント株式会社 圧電素子および圧電アクチュエータ

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