JP2000235005A - 卵検査装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い検査精度で不良卵の判別が可能となる卵
の検査装置を提供することを目的とする。 【解決手段】 照明１が発する検査光Ｌによって卵１０
０の卵殻表面に投影される投影像をＣＣＤカメラ４によ
って撮影する。撮影した画像データを用いて画像処理装
置５による処理を行うことにより、卵殻表面の汚れのみ
の面積の取得し汚卵検査を行う。また、撮影画像から微
分処理により輪郭線を求めた後、それに対するチェーン
コードデータを取得し、チェーンコードデータに基づ
き、卵殻のひび割れを、それ以外のスジや斑点と正確に
識別し、ひび割れ卵の検査を行う。また、照明１を構成
する２種類のＬＥＤが発する赤色の検査光Ｌとオレンジ
色の検査光Ｌとによって異なる２種類の投影像を撮影
し、双方の撮影画像の輝度の差分の輝度を有する画像の
輝度成分のヒストグラムに基づき血卵検査を行う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、鶏卵の検査に用い
て好適な卵検査装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、鶏卵の出荷前には、洗浄終了後
に、出荷に適さない不良卵の検査が行われている。不良
卵としては、内部に血液が混入している血卵、卵殻の表
面に汚れが残っている汚卵、卵殻にひび割れが入ってい
るひび割れ卵である。また、かかる不良卵の検査は、多
数の鶏卵を専用のコンベアで搬送する検査ラインにおい
て、下方側から蛍光灯などの検査光を照射し、検査光が
照射された鶏卵を検査員がその上方から目視する目視検
査によって行われている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
検査方法においては、下方側から検査光を照射すること
により、前述した不良卵の判別はし易くなるが、検査員
の感覚や熟練度の違いによって不可避的に検査精度にバ
ラツキが生じる。このため高い検査精度を確保すること
が困難となっていた。特に、前述した不良卵のうちひび
割れ卵にあっては、出荷の可能であるスジ卵（卵殻に割
れはないが表面にスジが存在するもの）、点斑卵（卵殻
表面に斑点が存在するもの）との区別が難しく高い検査
精度を確保することが困難となっていた。

【０００４】この様なことから、検査基準を厳しくする
必要があり、その結果、本来はそのまま出荷可能なもの
であるにもかかわらず、例えばヒビ卵として加工用の卵
に用途変更されるものが増加する等の問題もあった。

【０００５】本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなさ
れたものであり、高い検査精度で不良卵の判別が可能と
なる卵の検査装置を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に請求項１の発明にあっては、裏面側から照射された検
査光によって卵殻表面に投影される投影像に基づき、卵
の良否を検査する卵検査装置において、前記投影像の各
画素の輝度を隣接する全周囲の他の画素の最大輝度に置
き換える処理を所定回数行った後、さらに各画素の輝度
を隣接する全周囲の他の画素の最小輝度に置き換える処
理を前記所定回数行い検査用画像を取得し、この検査用
画像と前記投影像との違いに基づき卵殻表面の汚れの大
きさを取得する画像処理手段を備えたものとした。

【０００７】かかる構成において、画像処理手段により
取得される検査用画像は、卵殻表面の汚れのみが消える
とともに、卵の中央部分における卵の立体形状に起因す
る陰のみが存在する画像となる。従って、検査用画像と
投影像との違いに基づき卵殻表面の汚れの大きさを面積
等として正確に知ることができる。

【０００８】また、請求項２の発明にあっては、裏面側
から照射された検査光によって卵殻表面に投影される投
影像に基づき、卵の良否を検査する卵検査装置におい
て、前記投影像における前記卵の画像領域内について輪
郭を認識し、この輪郭の全周の長さと、輪郭を追跡する
際の取得される複数の方向データに基づき卵殻のひび割
れを認識する画像処理手段を備えたものとした。

【０００９】かかる構成においては、輪郭の全周の長さ
と、輪郭の向きに関するデータを用いることによって、
卵殻に存在するひび割れと、それ以外のスジや斑点を正
確に認識することができる。

【００１０】また、請求項３の発明にあっては、裏面側
から照射された検査光によって卵殻表面に投影される投
影像に基づき、卵の良否を検査する卵検査装置におい
て、

【００１１】前記投影像の所定の波長を有する赤みを有
する光の輝度成分からなる画像の濃淡に基づき卵内部の
血液を認識する画像処理手段を備えたものとした。

【００１２】かかる構成においては、卵内部に血液ある
と、卵殻表面に照らし出される投影像の光量が、卵内部
に血液がない場合より減少することにより、赤みを有す
る光の輝度成分からなる画像の濃淡が変化する。

【００１３】また、請求項４の発明にあっては、前記画
像処理手段は、赤みを有する光の輝度成分の各輝度のヒ
ストグラムに基づき卵内部の血液を認識するものとし
た。かかる構成によれば、より一層正確に卵内部の血液
を認識できる。

【００１４】また、請求項５の発明にあっては、さら
に、前記検査光として赤みを有する光を発する光源を備
えたものとした。かかる構成によれば、投影像の赤みを
有する光の輝度成分の輝度幅を広げることができる。

【００１５】また、請求項６の発明にあっては、裏面側
から照射された検査光によって卵殻表面に投影される投
影像に基づき、卵の良否を検査する卵検査装置におい
て、前記投影像の赤色光の輝度成分と、前記投影像の前
記赤色光よりも波長が短い所定の波長の光の輝度成分と
の差の輝度成分における各輝度のヒストグラムに基づき
卵内部の血液を認識する画像処理手段を備えたものとし
た。

【００１６】かかる構成において、卵内部に血液ある場
合と、ない場合とにおいては、赤色光の輝度成分からな
る画像の濃淡、及び赤色光よりも波長が短い所定の波長
の光の輝度成分からなる画像の濃淡が共に変化し、かつ
波長の短い輝度成分からなる画像の方が、その濃淡変化
の度合が大きくなる。したがって、卵内部に血液ある場
合と、ない場合とでは、赤色光の輝度成分と、赤色光よ
りも波長が短い所定の波長の光の輝度成分との差の輝度
成分における各輝度のヒストグラムの変化が大きく、正
確に卵内部の血液を認識できる。

【００１７】また、請求項７の発明にあっては、さら
に、前記検査光として可視赤色光を発する第１の光源
と、前記検査光として前記可視赤色光よりも波長が短い
所定の波長の光を発する第２の光源とを備えたものとし
た。かかる構成において、血卵の場合は、赤色光の輝度
成分と、赤色光よりも波長が短い所定の波長の光の輝度
成分との差の輝度成分の輝度幅を広げることができる。

【００１８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図
にしたがって説明する。図１は、本発明にかかる卵検査
装置を示す鶏卵の検査ラインの概略構成図である。すな
わち、検査ラインには、多数の卵１００を所定方向（図
で左方）へ搬送するコンベア１０１の下方に位置して、
コンベア１０１に設けられた投光部１０１ａを介して個
々の卵１００に検査光Ｌを照射する照明１が配置されて
いる。

【００１９】この照明１は、図２に示すように、同一平
面上に交互に多数並べられた異なる発光色を有する２種
類のＬＥＤ、すなわち発光色が赤色（Ｒ）である第１の
ＬＥＤ２ａと、発光色がオレンジ色（Ｏ）である第２の
ＬＥＤ２ｂとによって構成されている。第１及び第２の
ＬＥＤ２ａ，ＬＥＤ２ｂは本発明の光源であって、第１
のＬＥＤ２ａには、例えば波長が６４０ｎｍ以上の可視
赤色光を発するものが用いられ、第２のＬＥＤ２ｂに
は、第１のＬＥＤ２ａより短い波長、例えば５９０ｎｍ
〜６２０ｎｍ程度の可視光を発するものが用いられる。
また、照明１は、図示しない前記コンベア１０１の制御
装置等に接続されているシステム制御装置３に接続され
ており、システム制御装置３の制御によって多数の第１
のＬＥＤ２ａによる赤色の検査光Ｌと、オレンジ色の検
査光Ｌとが適宜卵１００へ照射できるようになってい
る。なお、照明１には、前記ＬＥＤ２ａ，２ｂ以外に
も、例えば供給する電力の変化により前述したような２
種類の発光色を発することができる他の発光ディバイス
や、例えば前述した発光色を得るためのカラーフィルタ
ーを備えたランプ等を用いることが可能である。

【００２０】一方、コンベア１０１の上方には、前記検
査光Ｌによって卵１００の反対側（上部）の卵殻表面に
照らし出された投影像を撮影するＣＣＤカメラ４が配置
されている。ＣＣＤカメラ４は画像処理装置５に接続さ
れており、ＣＣＤカメラ４によって撮影された画像デー
タが画像処理装置５によって処理される。画像処理装置
５は、主として画像処理プロセッサ、及びその動作プロ
グラムが記憶されたＲＯＭ又はＲＡＭ等の記憶媒体と、
画像メモリ等を有し、動作プログラムの変更により種々
の画像処理に対応可能な装置であって、本実施の形態に
おいては、後述する各種の処理を行うことにより個々の
卵１００の良否を検査し検査結果データを前記システム
制御装置３に送る。以下、前記画像処理装置５における
卵の検査手順を検査内容毎に説明する。

【００２１】（汚卵検査）図３は、画像処理装置５によ
る汚卵検査の手順を示すフローチャートである。かかる
検査に際しては、まず、前記ＣＣＤカメラ４の撮影画
像、つまり前述した赤色の検査光Ｌ又はオレンジ色の検
査光Ｌのいずれの発光時に撮影された卵殻表面に投影さ
れる投影像を第１の画像として取得し記憶する（ステッ
プＳＡ１）。なお、ここで取得する第１の画像は、濃淡
画像である。図４（ａ）は、ここで取得する画像Ｇ１
（第１の画像）の一例を示したものであって、卵の中央
部分には、卵の立体形状に起因する陰Ａが、その近傍に
は卵殻表面に付着した汚れＢ１と、それよりも小さな汚
れＢ２が存在している。

【００２２】次に、画像処理装置５は、前記画像の卵部
分に対し、所謂ｍａｘフィルタを用いて、各画素の輝度
を、その画素と隣接する全周囲の他の画素の最大輝度に
置き換える処理を行うとともに（ステップＳＡ２）、こ
の処理を決められた所定回数（ｋ）だけ繰り返す（ステ
ップＳＡ３でＮＯ）。図４の（ｂ）及び（ｃ）は、かか
る間における画像の変化を示すものであって、ステップ
ＳＡ２の処理を繰り返すことによって、前記陰Ａ及び汚
れＢ１，Ｂ２の面積が次第に縮小し、やがて汚れＢ１，
Ｂ２のみが消えて陰Ａだけが残ることとなる。

【００２３】引き続き、画像処理装置５は、ステップＳ
Ａ２の処理とは逆に、所謂ｍｉｎフィルタを用いて、各
画素の輝度を、その画素と隣接する全周囲の他の画素の
最小輝度に置き換える処理を行うとともに（ステップＳ
Ａ４）、この処理を前記所定回数（ｋ）だけ繰り返す
（ステップＳＡ５でＮＯ）。すると、図４の（ｄ）及び
（ｅ）に示すように、その時点で残存していた前記陰Ａ
だけが徐々に大きくなり、やがて当初の大きさに復帰す
る。そして所定回数（ｋ）の前記処理が終了すると、画
像処理装置５は、その時点の画像を第２の画像Ｇ２とし
て取得する（ステップＳＡ６）。しかる後、前述した第
２の画像Ｇ２から第１の画像Ｇ１を差し引くことによ
り、図４の（ｆ）に示すように、汚れＢ１，Ｂ２のみが
存在する第３の画像Ｇ３を取得し、かつ第３の画像Ｇ３
を二値化した後（ステップＳＡ７）、汚れＢ１，Ｂ２の
面積が、予め決められている基準面積以上か否かを判別
する（ステップＳＡ８）。

【００２４】そして、汚れＢ１，Ｂ２の面積が基準面積
以上でなければ（ステップＳ８でＮＯ）、汚れ無しと判
定した後（ステップＳＡ９）、また、基準面積以上であ
れば（ステップＳ８でＹＥＳ）、汚卵であると判定した
後（ステップＳＡ１０）、それぞれの検査結果を前記シ
ステム制御装置３へ送り、検査処理を終了する。

【００２５】以上のように、かかる検査によれば、前述
したように当初の撮影画像Ｇ１に、陰Ａ及び汚れＢ１，
Ｂ２が混在していても、汚れＢ１，Ｂ２のみの面積の取
得が可能である。よって、汚卵の検査を高精度で行うこ
とができる。

【００２６】（ひび割れ卵検査）図５は、画像処理装置
５によるひび割れ卵検査の手順を示すフローチャートで
ある。なお、図６は、かかる検査で判別可能な卵の種類
を示したものであって、同図（ａ）は、割れが生じてい
ないが卵殻にスジＣが入っているスジ卵、同図（ｂ）
は、卵殻に薄墨色の斑点Ｄが多数存在する点斑卵、同図
（ｃ）及び（ｄ）は、卵殻に複数の方向に延びるひび割
れＥが入っている不良卵として排除すべきひび割れ卵で
ある。

【００２７】以下、卵殻に前記スジＣ等が１つだけ存在
する場合を例に取り図５に従って説明する。すなわち、
かかる検査に際しては、まず前記ＣＣＤカメラ４の撮影
画像のデータに微分処理を行い、卵部分における撮影画
像の輪郭線を強調し、所定の閾値で二値化する（ステッ
プＳＢ１）。但し、撮影画像については、前述した汚卵
検査の場合と同様に濃淡画像であり、赤色の検査光Ｌ又
はオレンジ色の検査光Ｌのいずれの発光時に撮影された
ものであっても構わない。図７（ａ）は、前記微分処理
を行う以前のスジ卵の画像、同図（ｂ）は微分処理後の
画像を示した図であって、処理後の画像においては卵殻
のスジＣ等の輪郭は白く浮き上がることとなる。

【００２８】引き続き、画像処理装置５は、ステップＳ
Ｂ１で得られた画像に基づきチェーンコードを生成する
（ステップＳＢ２）。このチェーンコードは、図８
（ａ）に示すように、対象となる輪郭線Ｆを構成する画
素を所定の方向、例えば図示した時計回り方向に追跡す
るとき、次の画素が存在する方向を逐次判別し、判別し
た方向を同図（ｂ）に示したような数値として表すこと
により得られる複数の方向データによって構成されるも
のである。また、かかるチェーンコードにおいては、そ
のデータ数が輪郭線Ｆの追跡長（チェーン長）を示すと
ともに、対象となる輪郭線Ｆが、図９（ａ）に示したよ
うなスジＣを示す場合には、同図（ｂ）に示すように輪
郭線Ｆの追跡長の増加に伴う方向の変化を示す方向変化
グラフを取ると、方向の変化が無い安定区間イが多く、
方向が細かく変化する不安定区間ロが少ないデータとな
る。また、対象となる輪郭線Ｆが、図１０（ａ）に示し
たような斑点Ｄを示す場合には、同図（ｂ）に示すよう
に、方向の変化が著しく、かつ安定区間の殆ど無いグラ
フが得られるデータとなる。さらに対象となる輪郭線Ｆ
が、図１１（ａ）に示したようなひび割れＥを示す場合
には、同図（ｂ）に示すように、安定区間イと不安定区
間ロとの双方を多数有するグラフが得られるデータとな
る。

【００２９】そして、画像処理装置５にあっては、チェ
ーンコードの生成した後、チェーンコードにおける前記
安定区間イと不安定区間ロの比率を求める（ステップＳ
Ｂ３）。さらにチェーンコードを構成する各方向データ
について、前記方向変化グラフの安定区間イに該当する
データのみの出現頻度を表す、図９〜図１１の各図の
（ｃ）に示したような方向ヒストグラムを構成するデー
タを生成する（ステップＳＢ４）。なお、ここまでが検
査の準備段階であり、前述した処理によって取得したデ
ータに基づき、次の処理を行う。

【００３０】まず、前述したチェーンコードの長さが基
準長よりも長いか否かを判別し（ステップＳＢ５）、基
準長よりも短いときには、ひび割れが無いと判定し（ス
テップＳＢ９）、その検査結果を前記システム制御装置
３へ送り、検査を終了する。一方、ステップＳＢ５の判
別結果がＹＥＳであって、チェーンコードの長さが基準
長よりも長い場合には、更に、前述した方向変化グラフ
において安定区間イの比率が、不安定区間ロの比率より
も多いか否かを判別する（ステップＳＢ６）。そして、
かかる判別の結果がＮＯであって、不安定区間ロの比率
の方が多い場合には、チェーンコードの取得された対象
が図１０（ａ）に示したような斑点Ｄであって、検査対
象の卵は点斑卵（図６（ｂ）参照）と考えられるため、
前記ステップＳＢ９へ進み、検査を終了する。

【００３１】また、ステップＳＢ６の判別結果がＹＥＳ
であって、安定区間イの比率の方が多い場合には、更
に、ステップＳＢ４で生成した方向ヒストグラムから、
多数方向、例えば３方向以上に所定数以上の頻度がある
か否かを判別する（ステップＳＢ７）。かかる判別の結
果がＮＯであって、所定数以上の頻度が多数方向になけ
れば、チェーンコードの取得された対象が図９（ａ）に
示したようなスジＣであって、検査対象の卵はスジ卵
（図６（ａ）参照）であると考えられるため、前記ステ
ップＳＢ９へ進み、検査を終了する。逆に、所定数以上
の頻度が多数方向にあった場合には、ひび割れ卵である
と判定し（ステップＳＢ８）、その検査結果を前記シス
テム制御装置３へ送り検査処理を終了する。

【００３２】以上のように、かかる検査によれば、前述
したチェーンコードに基づき、卵殻のひび割れの有無を
検査することにより、ひび割れと、それ以外のスジや斑
点を正確に認識することが可能である。よって、ひび割
れ卵の検査を高精度で行うことができる。

【００３３】（血卵検査）図１２は、画像処理装置５に
よる血卵検査の手順を示すフローチャートである。かか
る検査に際しては、まず前述した照明１から赤色の検査
光Ｌが照射されたとき、前記ＣＣＤカメラ４により撮影
された第１の撮影画像を取得し（ステップＳＣ１）、さ
らに、前述した照明１からオレンジ色の検査光Ｌが照射
されたとき、前記ＣＣＤカメラ４により撮影された第２
の撮影画像を取得する（ステップＳＣ２）。なお、ここ
で取得する第１及び第２の撮影画像は濃淡画像である。

【００３４】引き続き、前記第１の撮影画像から前記第
２の撮影画像の輝度を差し引いた輝度の検査画像を生成
し（ステップＳＣ３）、その検査画像における輝度成分
のヒストグラムを構成するデータを生成する（ステップ
ＳＣ４）。ここで、生成されたデータによるヒストグラ
ムにあっては、図１３（ｂ）に示すように、検査対象が
血卵であったときには、それが正常卵である場合（同図
（ａ））に比べて輝度成分の分布が明るい側へ偏ること
となる。これは、血卵の場合には、卵殻表面に照らし出
される投影像の輝度が低下するとともに、その度合が、
検査光が赤色であるときに比べオレンジ色であるときの
方が強いためである。

【００３５】次に、前記ヒストグラムにおいて、輝度の
高い明るい側からの累積度数が、卵部分の全面積の、予
め決められた所定の割合（本実施の形態では１０％〜２
０％のいずれかの割合）となる輝度（ｄ）を計算した後
（ステップＳＣ５）、それが予め決められた所定の基準
範囲α内であるか否かを判別する（ステップＳＣ６）。
そして、基準範囲α内でなければ（図１３（ｂ）のよう
な場合）、血卵と判定した後（ステップＳＣ７）、基準
範囲α内であれば（図１３（ａ）のような場合）、正常
卵と判定した後（ステップＳＣ７）、それぞれの検査結
果を前記システム制御装置３へ送り、検査処理を終了す
る。

【００３６】以上のように、かかる検査においては、２
色（波長）の検査光が照射されたときの２種類の撮影画
像間における差分の濃淡を有する検査画像を求め、その
検査画像の輝度成分のヒストグラムに基づき判断し、そ
れにより正常卵と血卵との判別を行うことにより、正確
に血卵を識別することが可能である。よって、血卵の検
査を高精度で行うことができる。また、例えば検査光と
して白色光等を照射した場合には、正常卵では、黄身の
部分は赤みがかった色、白身の部分は白色から黄色とし
て観測され、血卵では全体が赤黒い色になる。また、緑
色の光を使用すると、黄身の部分が正常卵でも輝度が低
くなる。これに対し、本実施の形態のように、赤みを有
する光を照射すると、正常卵では全体的に輝度の高い画
像が得られ、血卵では全体的に輝度の低い画像が得られ
る。したがって、撮影画像の黄身の部分におけるノイズ
の影響を受けることないという利点もある。

【００３７】（他の血卵検査）図１４は、画像処理装置
５による他の血卵検査の手順を示すフローチャートであ
る。かかる検査に際しては、まず前述した照明１から赤
色の検査光Ｌが照射されたとき、前記ＣＣＤカメラ４に
より撮影された撮影画像を取得する（ステップＳＤ
１）。なお、ここで取得する撮影画像も濃淡画像であ
る。引き続き、取得した画像における輝度成分のヒスト
グラムを構成するデータを生成する（ステップＳＤ
２）。ここで、生成されたデータによるヒストグラムに
あっては、図１５（ｂ）に示すように、検査対象が血卵
であったときには、それが正常卵である場合（同図
（ａ））に比べて輝度成分の分布が暗い側へ偏ることと
なる。これは、血卵の場合には、卵殻表面に照らし出さ
れる投影像の輝度が低下するためである。

【００３８】次に、前記ヒストグラムにおいて、輝度の
高い明るい側からの累積度数が、卵部分の全面積の、予
め決められた所定の割合（本実施の形態では８０％〜９
０％のいずれかの割合）となる輝度（ｄ）を計算した後
（ステップＳＤ３）、それが予め決められた所定の基準
範囲β内であるか否かを判別する（ステップＳＤ４）。
そして、基準範囲β内でなければ（図１５（ｂ）のよう
な場合）、血卵と判定した後（ステップＳＤ５）、基準
範囲β内であれば（図１５（ａ）のような場合）、正常
卵と判定した後（ステップＳＤ６）、それぞれの検査結
果を前記システム制御装置３へ送り、検査処理を終了す
る。

【００３９】以上のように、かかる検査によっては、卵
内の血液の存在が投影像の濃淡に反映されやすい赤色
（波長）の検査光を用いることにより、卵内部の血液を
正確に認識することが可能である。しかも、前記濃淡
を、撮影画像の輝度成分のヒストグラムに基づき判断
し、それにより正常卵と血卵との判別を行うことから、
より正確に血卵を識別することが可能である。よって、
血卵の検査を高精度で行うことができる。また、前述し
たように、撮影画像の黄身の部分におけるノイズの影響
を受けることないという利点もある。

【００４０】なお、以上説明した他の血卵検査では、照
明１から赤色の検査光Ｌが照射されたときの撮影画像を
用いる場合を説明したが、これに限らず照明１からオレ
ンジ色の検査光Ｌが照射されときの撮影画像を用いた
り、更には、赤みがかったその他の色の検査光Ｌが照射
されたときの撮影画像を用いることもできる。

【００４１】また、前述した血卵検査の手法で求めた輝
度の値（ｄ１）と、他の血卵検査の手法で求めた輝度の
値（ｄ２）との双方の値に基づく検査を行うこともでき
る。例えば、双方の値の比率（ｄ２／ｄ１）を計算する
と、計算結果は正常卵では大きな値となり、血卵では小
さな値となる。これにより正常卵と血卵との判別が可能
である。さらに、卵殻の厚みが異なると濃度値（輝度成
分）は変化するが、かかる手法によれば、卵殻の厚みの
影響を受けることなく検査を行うことができる。

【００４２】さらに、本実施の形態とは別に、例えば前
述した照明１として白色の検査光のみを発するものを用
い、卵殻表面の投影像から、前述した赤色及びオレンジ
色の双方の光の輝度成分、又はいずれか一方の光の輝度
成分を取り出して２種類又は１種類の濃淡画像を生成
し、前述した処理を行うことにより、血卵検査を行うこ
とも可能である。なお、そうした場合に比べると、本実
施の形態のように赤色及びオレンジ色の検査光Ｌを用い
る場合の方が、図１３及び図１５に示したヒストグラム
における明暗の幅（輝度幅）を広くすることができるた
め、より正確に血卵を識別することができる。

【００４３】また、本実施の形態においては、主として
鶏卵の検査を行う卵検査装置について説明したが、本発
明は鶏卵以外の他の卵に検査に用いることもできる。

【００４４】

【発明の効果】以上説明したように請求項１の卵検査装
置にあっては、画像処理手段により取得される検査用画
像と投影像との違いに基づき卵殻表面の汚れの大きさを
面積等として正確に知ることができる。よって、汚卵の
検査を高精度で行うことが可能となる。

【００４５】また、請求項２の卵検査装置にあっては、
画像処理手段により取得される輪郭の全周の長さと、輪
郭の向きに関するデータを用いることによって、卵殻に
存在するひび割れと、それ以外のスジや斑点を正確に認
識することができるようにした。よって、ひび割れ卵の
検査を高精度で行うことが可能となる。

【００４６】また、請求項３の卵検査装置にあっては、
卵内部に血液あると、赤みを有する光の輝度成分からな
る画像の濃淡が変化することによって、より正確に卵内
部の血液を認識できるようにした。よって、血卵の検査
を高精度で行うことが可能となる。

【００４７】また、請求項４の卵検査装置にあっては、
画像処理手段が、赤みを有する光の輝度成分の各輝度の
ヒストグラムに基づき卵内部の血液を認識するものと
し、より一層正確に卵内部の血液を認識できるようにし
た。よって、血卵の検査をより高精度で行うことが可能
となる。

【００４８】また、請求項５の卵検査装置にあっては、
さらに、検査光として赤みを有する光を発する光源を備
えたものとし、投影像の赤みを有する光の輝度成分の輝
度幅を広げることができるようにした。よって、血卵の
検査をより一層高精度で行うことが可能となる。

【００４９】また、請求項６の卵検査装置にあっては、
赤色光の輝度成分と、赤色光よりも波長が短い所定の波
長の光の輝度成分との差の輝度成分における各輝度のヒ
ストグラムによって、正確に卵内部の血液を認識できる
ようにした。よって、血卵の検査を高精度で行うことが
可能となる。

【００５０】また、請求項７の卵検査装置にあっては、
検査光として可視赤色光を発する第１の光源と、検査光
として可視赤色光よりも波長が短い所定の波長の光を発
する第２の光源とを備えたものとし、赤色光の輝度成分
と、赤色光よりも波長が短い所定の波長の光の輝度成分
との差の輝度成分の輝度幅を広げることができるように
した。よって、血卵の検査をより一層高精度で行うこと
が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施の形態を示す検査ラインの概略
構成図である。

【図２】検査ラインに配置された光源を示す平面図であ
る。

【図３】画像処理装置による汚卵検査の手順を示すフロ
ーチャートである。

【図４】汚卵検査過程で画像処理装置が生成する画像の
変化を示す模式図である。

【図５】画像処理装置によるひび割れ卵検査の手順を示
すフローチャートである。

【図６】（ａ）はスジ卵、（ｂ）は点斑卵、（ｃ）及び
（ｄ）はひび割れ卵を示す図である。

【図７】（ａ）は微分処理による輪郭強調を行う以前の
スジ卵の画像、（ｂ）は微分処理後の画像を示す図であ
る。

【図８】チェーンコードの生成方法を示す説明図であ
る。

【図９】（ａ）はチェーンコードの対象を示す図、
（ｂ）は輪郭線の追跡長の増加に伴う方向の変化を示す
方向変化グラフ、（ｃ）は方向ヒストグラムである。

【図１０】（ａ）はチェーンコードの他の対象を示す
図、（ｂ）は輪郭線の追跡長の増加に伴う方向の変化を
示す方向変化グラフ、（ｃ）は方向ヒストグラムであ
る。

【図１１】（ａ）はチェーンコードのその他の対象を示
す図、（ｂ）は輪郭線の追跡長の増加に伴う方向の変化
を示す方向変化グラフ、（ｃ）は方向ヒストグラムであ
る。

【図１２】画像処理装置による血卵検査の手順を示すフ
ローチャートである。

【図１３】検査画像における輝度成分のヒストグラムを
示す図であって、（ａ）は正常卵の場合のヒストグラ
ム、（ｂ）は血卵の場合のヒストグラムである。

【図１４】画像処理装置による他の血卵検査の手順を示
すフローチャートである。

【図１５】検査画像における輝度成分のヒストグラムを
示す図であって、（ａ）は正常卵の場合のヒストグラ
ム、（ｂ）は血卵の場合のヒストグラムである。

【符号の説明】

１ 照明 ２ａ 第１のＬＥＤ ２ｂ 第２のＬＥＤ ４ ＣＣＤカメラ ５ 画像処理装置 １００ 鶏卵 １０１ コンベア Ａ 陰 Ｂ１ 汚れ Ｂ２ 汚れ Ｃ スジ Ｄ 斑点 Ｅ ひび割れ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 2G051 AA90 AB01 AB02 AB20 BA08 BA20 CA03 CA04 DA01 DA06 EA08 EA11 EA14 EB01 EB02 EC01 EC02 ED07

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 裏面側から照射された検査光によって卵
   殻表面に投影される投影像に基づき、卵の良否を検査す
   る卵検査装置において、 前記投影像の各画素の輝度を隣接する全周囲の他の画素
   の最大輝度に置き換える処理を所定回数行った後、さら
   に各画素の輝度を隣接する全周囲の他の画素の最小輝度
   に置き換える処理を前記所定回数行い検査用画像を取得
   し、この検査用画像と前記投影像との違いに基づき卵殻
   表面の汚れの大きさを取得する画像処理手段を備えたこ
   とを特徴とする卵検査装置。
2. 【請求項２】 裏面側から照射された検査光によって卵
   殻表面に投影される投影像に基づき、卵の良否を検査す
   る卵検査装置において、 前記投影像における前記卵の画像領域内について輪郭を
   認識し、この輪郭の全周の長さと、輪郭を追跡する際の
   取得される複数の方向データに基づき卵殻のひび割れを
   認識する画像処理手段を備えたことを特徴とする卵検査
   装置。
3. 【請求項３】 裏面側から照射された検査光によって卵
   殻表面に投影される投影像に基づき、卵の良否を検査す
   る卵検査装置において、 前記投影像の所定の波長を有する赤みを有する光の輝度
   成分からなる画像の濃淡に基づき卵内部の血液を認識す
   る画像処理手段を備えたことを特徴とする卵検査装置。
4. 【請求項４】 前記画像処理手段は、赤みを有する光の
   輝度成分の各輝度のヒストグラムに基づき卵内部の血液
   を認識することを特徴とする請求項３記載の卵検査装
   置。
5. 【請求項５】 さらに、前記検査光として赤みを有する
   光を発する光源を備えたことを特徴とする請求項４又は
   ５記載の卵検査装置。
6. 【請求項６】 裏面側から照射された検査光によって卵
   殻表面に投影される投影像に基づき、卵の良否を検査す
   る卵検査装置において、 前記投影像の赤色光の輝度成分と、前記投影像の前記赤
   色光よりも波長が短い所定の波長の光の輝度成分との差
   の輝度成分における各輝度のヒストグラムに基づき卵内
   部の血液を認識する画像処理手段を備えたことを特徴と
   する卵検査装置。
7. 【請求項７】 さらに、前記検査光として可視赤色光を
   発する第１の光源と、前記検査光として前記可視赤色光
   よりも波長が短い所定の波長の光を発する第２の光源と
   を備えたことを特徴とする請求項６記載の卵検査装置。