JP2000233736A - アンチスキッド制御装置 - Google Patents

アンチスキッド制御装置

Info

Publication number
JP2000233736A
JP2000233736A JP3433099A JP3433099A JP2000233736A JP 2000233736 A JP2000233736 A JP 2000233736A JP 3433099 A JP3433099 A JP 3433099A JP 3433099 A JP3433099 A JP 3433099A JP 2000233736 A JP2000233736 A JP 2000233736A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wheel speed
pressure
road surface
decompression
wheel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP3433099A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3695197B2 (ja
Inventor
Shinji Matsumoto
真次 松本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP03433099A priority Critical patent/JP3695197B2/ja
Publication of JP2000233736A publication Critical patent/JP2000233736A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3695197B2 publication Critical patent/JP3695197B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Regulating Braking Force (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 砂利道等の粗い路面を走行する場合でも充分
な減速度を得て制動距離を確保する。 【解決手段】 算出した目標増減圧量ΔP0iと前回の増
減圧指令値ΔPi * とをもとに、ホイールシリンダ圧の
減圧を開始する減圧開始タイミングであるかを判定し
(ステップS21)、目標車輪速Vwi * と車輪速Vw
i とがVwi * <Vwi の状態で減圧開始タイミングが
生じる早期減圧が連続して生じた回数を検出し(ステッ
プS25、S27)、早期減圧が3回連続して発生した
ときには、この3回目以降、増減圧指令値ΔPi * とし
て算出した目標増減圧量ΔP0iに替えて零を設定してホ
イールシリンダ圧を保持し(ステップS34、S3
7)、減圧開始タイミングにおける車輪速Vwi がVw
i * ≧Vwi となったとき、算出した目標増減圧量ΔP
0iを増減圧指令値ΔPi * として設定してホイールシリ
ンダ圧の減圧を開始する(ステップS34、S36)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両の制動時の
車輪ロックを防止するアンチスキッド制御装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】この種のアンチスキッド制御装置として
は、例えば、特開平8−133062号公報に記載され
るように、目標車輪速と車輪速度との偏差と、目標車輪
加減速度と車輪加減速度との偏差との和に基づいて、制
動用シリンダ圧の目標増減圧量を算出し、この目標増減
圧量に基づいて制動用シリンダの流体圧、つまり制動圧
を増減させることによって、比例・微分制御により、制
動圧を制御するものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車両の走行
路面は種々様々であり、一般に悪路と呼ばれる凹凸やう
ねりの多い路面もある。このような悪路を走行した場合
には、車輪のバウンド・リバウンドに伴って車輪速が大
きく振幅し且つその周期が短くなるいわゆる脈動が発生
しやすい。また、このような状況下では、車輪速の微分
値である車輪加減速度も大きく振幅し且つその周期も短
くなりやすい。
【0004】このように車輪加減速度の振幅が変動し且
つ周期が短くなると、前述のアンチスキッド制御装置で
は、比例・微分制御における微分項が大きくなり、この
微分項が目標増減圧量を支配するようになるため、車輪
速が目標車輪速に達する前に減圧が開始され、これが連
続して発生することになって、常に制動圧が減圧気味と
なり、実質的に制動力が低下し、結果的に制動距離が長
じてしまうおそれがある。
【0005】これを回避するために、例えば、車輪加減
速度の振幅が所定値よりも大きくなり且つ短い周期で発
生したときには、悪路を走行していると判断し、例えば
制動力の低下ゲインを小さくするといった対策を行う等
の対処策が考えられている。しかしながら、例えば、砂
利道、舗装工事中の凸凹路等の比較的路面摩擦係数の大
きな粗い路面を走行していても、車輪加減速度の振幅や
その周期によっては、悪路と判断されるまでには至らな
い場合や悪路であることを検知できず、悪路と判断され
ない場合がある。そのため、前述したとおり、車輪速V
i が目標車輪速Vwi * に達する前に制動圧であるホ
イールシリンダ圧Pi の減圧が開始される状態が発生
し、制動圧が減圧気味となるという問題が生じてしまう
おそれがある。
【0006】そこで、この発明は上記従来の問題点に着
目してなされたものであり、砂利道等の粗い路面を走行
する場合でも充分な減速度を得ることの可能なアンチス
キッド制御装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1に係るアンチスキッド制御装置
は、マスタシリンダからのマスタシリンダ圧をもとに制
御対象車輪に配設された制動用シリンダの流体圧を制御
する制御弁と、前記制御対象車輪の車輪速度を検出する
車輪速検出手段と、所定の目標車輪速及び前記車輪速検
出手段の車輪速検出値とこれらの微分値とに基づいて前
記流体圧の目標増減圧量を算出する目標増減圧量算出手
段と、前記制動用シリンダの流体圧が前記目標増減圧量
だけ変化するように前記制御弁を制御する制御手段と、
前記目標車輪速に対する前記車輪速検出値の変化状況を
もとに走行路面の路面状況を検出する路面状況検出手段
と、当該路面状況検出手段で走行路面が粗い路面である
ことを検出したとき前記制動用シリンダの流体圧の減圧
開始タイミングを遅らせる減圧遅延手段と、を備えるこ
とを特徴としている。
【0008】また、請求項2に係るアンチスキッド制御
装置は、前記路面状況検出手段は、前記車輪速検出値が
前記目標車輪速以上の予め設定した早期減圧検出用しき
い値を上回る状態で前記流体圧の減圧が開始される早期
減圧が、連続して生じたことを検出したときに、前記路
面は粗い路面であると判定するようになっていることを
特徴としている。
【0009】また、請求項3に係るアンチスキッド制御
装置は、前記路面状況検出手段は、前記早期減圧の発生
間隔が所定の間隔を越えるときに、前記減圧遅延手段に
よる減圧開始タイミングの遅延を解除するようになって
いることを特徴としている。さらに、請求項4に係るア
ンチスキッド制御装置は、前記減圧遅延手段は、前記車
輪速検出値が前記目標車輪速以下の予め設定した減圧開
始用しきい値を下回ったときに、前記流体圧の減圧を開
始するようになっていることを特徴としている。
【0010】
【発明の効果】本発明の請求項1に係るアンチスキッド
制御装置は、路面状況検出手段で走行路面が粗い路面で
あることを検出したときには、減圧遅延手段により制動
用シリンダの流体圧の減圧開始タイミングを遅らせるよ
うにしたから、粗い路面を走行しているときに制動用シ
リンダの流体圧つまり制動圧が減圧気味となることを回
避することができ、制動距離の短縮を図ることができ
る。
【0011】また、請求項2に係るアンチスキッド制御
装置は、車輪速検出値が目標車輪速以上の早期減圧検出
用しきい値を上回る状態で制動用シリンダの流体圧の減
圧が開始される早期減圧が生じたことを連続して検出し
たときに、走行路面は粗い路面であると判定するように
したから、粗い路面であることを容易的確に検出するこ
とができる。
【0012】また、請求項3に係るアンチスキッド制御
装置は、早期減圧の発生間隔が所定の間隔を越えるとき
に、減圧遅延手段による減圧開始タイミングの遅延を解
除するようにしたから、路面状況の変化を的確に検出
し、適切な時期に減圧開始タイミングの遅延を解除する
ことができる。さらに、請求項4に係るアンチスキッド
制御装置は、車輪速検出値が目標車輪速以下の減圧開始
用しきい値を下回ったときに、制動用シリンダの流体圧
の減圧を開始するようにしたから、的確なタイミングで
減圧を開始することができ充分な制動力を得ることがで
きる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1は、本発明によるアンチスキ
ッド制御装置を適用した車両の概略構成図であり、各車
輪1FL〜1RRとブレーキ操作部11との間にアンチ
スキッド制御装置を配置している。ブレーキ操作部11
は、ブレーキペダル11aとペダル11aを踏み込む力
を増幅するブースタ11bと、このブースタ11bで増
幅された力を受けてブレーキ液を圧縮してブレーキ圧を
発生させるマスタシリンダ11cと、ブレーキ液を溜め
ておくリザーバタンク11dとを備えている。そして、
各車輪1FL〜1RRは、それぞれホイールシリンダ2
FL〜2RRと、ブレーキディスク3FL〜3RRとを
備えている。
【0014】前記ホイールシリンダ2FL〜2RRの液
圧は、従来のアンチスキッド制御装置と同様に、電磁弁
であるインレットバルブ12FL〜12RR及びアウト
レットバルブ14FL〜14RRによって制御される。
そして、減圧により、リザーバ16F及び16Rに溜ま
ったブレーキ液は、モータ18で駆動されるポンプ20
F及び20Rによってダンパ室22F及び22Rにくみ
上げられ、インレットバルブ12FL〜12RRの上流
に戻される。
【0015】また、電磁弁であるインレットバルブ24
F及び24Rを閉じてマスタシリンダ11cとホイール
シリンダ2FL〜2RRとの間を遮断すると共に、電磁
弁であるアウトレットバルブ26F及び26Rを開いて
リザーバタンク11dからブレーキ液をくみ上げること
により、非制動時にホイールシリンダ圧を制御できるよ
うになっている。前記インレットバルブ24F及び24
Rと並列にリリーフ弁28F及び28Rが設けられてい
る。
【0016】そして、前記各インレットバルブ12FL
〜12RR及び24F、24Rと、各アウトレットバル
ブ14FL〜14RR及び26F、26Rとは、コント
ローラ30により制御されるようになっている。また、
車両の適所には、各車輪の車輪速Vwi (i=FL〜R
R)を検出するための車輪速センサ32FL〜32RR
と、車両の前後方向及び横方向の加速度XG 及びYG
検出するための加速度センサ34と、車両に発生するヨ
ーレートφ′を検出するためのヨーレートセンサ36
と、マスタシリンダ圧PMCを検出するためのマスタシリ
ンダ圧センサ38とが、設けられている。
【0017】そして、コントローラ30は、前述の各セ
ンサからの検出信号を入力すると共に、エンジン制御を
行うエンジンコントローラ50からのエンジン駆動トル
クTe及び自動変速機を制御する変速機コントローラ5
2からのギア位置GRを入力し、これら信号をもとにア
ンチスキッド制御処理を行って前記各インレットバルブ
及びアウトレットバルブへの制御信号を出力するマイク
ロコンピュータと、このマイクロコンピュータから出力
される制御信号を前述したような電磁弁等からなるイン
レットバルブ及びアウトレットバルブのソレノイドへの
駆動信号に変換する駆動回路とを備えている。そして、
前記マイクロコンピュータは、A/D変換機能等を有す
る入力インタフェース回路や、D/A変換機能等を有す
る出力インタフェース回路や、マイクロプロセッサユニ
ットMPU等からなる演算処理装置や、ROM、RAM
等からなる記憶装置を備えている。
【0018】次に、前記コントローラ30内のマイクロ
コンピュータで実行されるアンチスキッド制御処理につ
いて、図2のフローチャートに基づいて説明する。この
アンチスキッド制御処理は、所定サンプリング時間毎に
タイマ割り込みとして実行され、まず、ステップS1
で、前記車輪速センサ32FL〜32RRからの車輪速
Vwi (i=FL〜RR)、加速度センサ34からの前
後加速度XG 及び横加速度YG 、ヨーレートセンサ36
からのヨーレートφ′、マスタシリンダ圧センサ38か
らのマスタシリンダ圧PMC、エンジンコントローラ50
からのエンジン駆動トルクTe及び変速機コントローラ
52からのギア位置GRを読み込む。
【0019】次いで、ステップS2に移行し、車輪加速
度Vwi ′(i=FL〜RR)を算出する。ここでは、
例えば次式(1)に基づき算出する。 Vwi ′=((Vwi1+Vwi0) − (Vwi4+Vwi3))/2・ΔT) ……(1) なお、式中の添字0〜4は、現在の制御周期の各周期前
を表し、例えば添字2は2周期前を表す。また、ΔTは
制御周期を表す。
【0020】次いで、ステップS3に移行し、セレクト
車輪速Vfsを算出する。例えば、各輪の車輪速Vw
i に、加速時、減速時等に応じてデータ中に含まれるノ
イズを除去するためにフィルタ処理を行って、より車体
速に近い速度Vwfi(i=FL〜RR)を各輪毎に算出
し、さらに、制動時、非制動時等の条件により各Vwfi
の中から最大のものを選択する等によって、最も車体速
に近いセレクト車輪速Vfsを算出する。
【0021】次いで、ステップS4に移行し、各車輪の
輪荷重Wi (i=FL〜RR)を算出する。例えば前後
加速度XG 及び横加速度YG をもとに、次式(2)にし
たがって算出する。 Wi =Wi0+kx×XG +kyi ×YG ……(2) なお、式中のWi0は、初期荷重(静的荷重)つまり、車
両停止時の重量である。kx及びkyi は、車両のホイ
ールベース、重心高、トレッド、ロール剛性配分によっ
て定められる定数である。
【0022】なお、この輪荷重Wi は、例えば前回まで
に算出した車体速の変化量、または、路面摩擦係数μの
推定値を用いて算出するようにしてもよく、また、車体
速と操舵角、又は車体速とヨーレートφ′、或いは車体
速と左右の車輪速差等から横加速度YG を推定するよう
にしてもよい。次いで、ステップS5に移行し、推定ホ
イールシリンダ圧Pi を算出する。具体的には、既にア
ンチスキッド制御によってホイールシリンダ圧の制御が
開始されている場合には、その制御量、すなわちホイー
ルシリンダ増減圧量は、後述のように、マイクロコンピ
ュータ内で把握されていると共に、ホイールシリンダ圧
に対する増減圧量(=開弁時間)の増減圧特性が予めわ
かっているので、例えばアンチスキッド制御が開始され
たときのマスタシリンダ圧を初期値として、前回までの
制御周期におけるホイールシリンダ増減圧量をもとに追
跡すればよい。
【0023】次いで、ステップS6に移行し、各車輪の
スリップ率Si を算出する。これは各車輪について、そ
の車輪速Vwi と車体速VX とをもとに、次式(3)に
したがって算出する。 Si =(Vwi −VX )/VX ……(3) 次いで、ステップS7に移行し、各車輪の路面摩擦係数
のピーク値にあるか否か、すなわち各車輪に制動力を加
えても、路面にこれを伝達できない状態にあるか否かを
判別する。ここでは、ステップS2で算出した車輪加速
度Vwi ′とスリップ率Si とをもとに判別する。つま
り、車輪の状態が、図3に示すように、スリップ率と車
輪加速度の絶対値との対応を表す特性図の中の所定の領
域(図の斜線の領域)に入っていれば、路面摩擦係数の
ピークにあると判断する。ここでは、判断のためのしき
い値をアンチスキッド制御の制御開始判断と同じ値に設
定する。また、一度アンチスキッド制御が作動した後
は、後述する例外的な制御が行われていない場合には、
車輪が上記領域から外れても、路面摩擦係数のピークに
あるとの判断を継続する。さらに、車輪がアンチスキッ
ド制御されている状態であっても、左右(又は前後)輪
の同期制御(いわゆるセレクトロー制御)や制御初期に
おける緩増圧制御(いわゆるヨーモーメント制御)等の
例外的な制御が行われている場合には、これらの制御に
よってスリップ率は充分大きな値とはならないため、車
輪は路面摩擦係数のピークにはないと判断する。
【0024】次いで、ステップS8に移行し、前記ステ
ップS7において、路面摩擦係数のピークにあると判断
された車輪について、路面摩擦係数μi を推定する。こ
こでは、例えば、ステップS2で算出した各車輪の車輪
加速度Vwi ′と、ステップS4で算出した各車輪の輪
荷重Wi と、ステップS5で推定した推定ホイールシリ
ンダ圧Pi とをもとに車輪の回転運動の方程式により算
出し、さらに駆動輪については、これらとエンジン駆動
トルクTe及びギヤ位置GRとを用いて、車輪の回転運
動の方程式により、次式(4)及び(5)にしたがって
路面摩擦係数μ i を算出する。
【0025】 非駆動輪: μi =(I×Vwi ′+K×Pi ×R)/(Wi ×R2 ) ……(4) 駆動輪: μi =(I×Vwi ′+K×Pi ×R−k×Te)/(Wi ×R2 ) ……(5) ただし、Iはタイヤの慣性質量、Kはブレーキ諸元(パ
ッドの摩擦係数、ホイールシリンダ面積、ホイールシリ
ンダ有効径)により決まる定数、Rはタイヤ有効径、k
はギヤ位置GRに応じたミッションギヤ比とディファレ
ンシャルギヤの最終ギヤ比に応じて決まる定数、であ
る。
【0026】次いで、ステップS9に移行し、各輪の路
面摩擦係数μi を用いて車体速の変化量VX ′を算出す
る。ここでは、路面摩擦係数のピークにあると判断され
た車輪の路面摩擦係数μの平均値と、後述する車体速変
化量の補正量ΔVX ′とから、次式(6)にしたがって
算出する。 VX ′=Σμi /m+ΔVX ′ ……(6) なお、式中のmは路面摩擦係数のピークにあると判断さ
れた車輪の数、車体速変化量の補正量ΔVX ′は、一定
値(例えば0.1gとする(gは重力加速度))であ
る。この補正量ΔVX ′は、車体速VX の推定誤差を検
出するようにし、実際の車体速よりも車体速VX が大き
いと判断されるときには、補正量ΔVX ′を大きくする
等の変数としてもよい。また、路面摩擦係数μの平均値
Σμi /mには、車両に生じ得る加速度として、例えば
最大値として1.3g、最小値として0.05g(gは
重力加速度)の制限を設けておく。また、路面摩擦係数
のピークにあると判断された車輪がない場合には、全て
の車輪がピークに達しておらず、アンチスキッド制御も
行われていない状態であるため、VX ′=1.3gとす
る。
【0027】なお、車体速の変化量VX ′は、各車輪の
路面摩擦係数μi の単なる平均値ではなく、各車輪の輪
荷重配分に応じた重みを乗じて算出してもよい。すなわ
ち、ステップS7で前輪が路面摩擦係数のピークにある
と判断されている場合には次式(7)により車体速の変
化量VX ′を算出してもよい。 VX ′=Σ(μi ×(Wi /W)) ……(7) なお、式中のWは車両の重量である。また、何れかの車
輪が路面摩擦係数のピークにあると判断されていない場
合には、例えば、ピークにあると判断されている左右反
対側の車輪のμi の値を用いるか、最大のμi の値を用
いる等して、前記(7)式にしたがってVX ′を算出す
る。
【0028】次いで、ステップS10に移行し、車両の
横方向速度Vy を算出する。ここでは、横方向加速度Y
G 、ヨーレートφ′及び車体速VX (ただし前制御周期
での値)を用い、次式(8)にしたがって積分計算を行
って算出する。 Vy (n)=Vy (n−1)+ΔVy ×ΔT ……(8) ΔVy =YG (n)−φ′(n)×VX (n−1) なお、式中のΔTは制御周期を表す。また、nは今回の
制御周期、n−1は前回の制御周期をそれぞれ表す。こ
こでは、各センサからの信号に基づき積分計算を行って
車両の横方向速度Vy を算出しているが、コントローラ
に、例えば操舵角とヨーレートとの関係等の車両モデル
を記憶させておき、車体速VX 及び操舵角δ等から車両
の横滑り角βを推定し、このβとVX との積を横方向速
度Vy とするようにしてもよい。
【0029】次いで、ステップS11に移行し、車体速
X を算出する。ここでは、アンチスキッド制御が行わ
れている場合つまり路面摩擦係数がピークとなっている
と判断される車輪がある場合には、前回の制御周期での
車体速VX (n−1)がセレクト車輪速Vfs以上である
とき(VX (n−1)≧Vfs)には、車両が減速中であ
ると判断し、次式(9)にしたがって車体速VX (n)
を算出し、前回の制御周期での車体速VX (n−1)が
セレクト車輪速Vfsより小さいとき(VX (n−1)<
fs)には、車両が加速中であると判断し、次式(1
0)にしたがって車体速VX を算出する。また、アンチ
スキッド制御が行われていない場合、つまり路面摩擦係
数がピークとなっていると判断される車輪がないときに
は、セレクト車輪速Vfsを車体速VX (n)とする。
【0030】 VX (n)=VX (n−1)−VX ′−Vh ……(9) VX (n)=VX (n−1)+5.0g ……(10) なお、式中のVX ′はステップS9で算出した車体速の
変化量、Vh は、ステップS10で算出した横方向速度
y とヨーレートφ′との積からなる旋回補正量であ
る。
【0031】次いで、ステップS12に移行し、目標ス
リップ率S* i を算出する。ここでは、乾燥した路面で
は、目標スリップ率S* i を所定値S* 0 (例えばS*
0 =0.15)とし、例えば図4に示すように、ステッ
プS8で算出した路面摩擦係数μi に応じて設定する。
なお、前後輪で異なる値をとるようにしてもよく、車両
の旋回状態により目標スリップ率S* i を変更するよう
にしてもよい。また、路面摩擦係数μi や旋回状態に係
わらず目標スリップ率S* i を一定値とするようにして
もよい。
【0032】次いでステップS13に移行し、ステップ
S11で算出した車体速VX とステップS12で算出し
た目標スリップ率S* i とをもとに次式(11)にした
がって目標車輪速Vwi * を算出する。 Vwi * =VX ×(1−S* i ) ……(11) 次いで、ステップS14に移行し、目標車輪速Vwi *
及び車輪速Vwi をもとに次式(12)にしたがって目
標増減圧量ΔP0iを算出する。
【0033】 ΔP0i=kP ×ε+kD ×(dε/dt) ……(12) ε=Vwi * −Vwi なお、式中、右辺第1項が比例制御項であり、右辺第2
項が微分制御項であり、kP は比例ゲイン、kD は微分
ゲインである。これら比例ゲインkP 及び微分ゲインk
D は、路面摩擦係数μや車体速等に応じて変更されるよ
うになっている。
【0034】次いで、ステップS15に移行し、図5に
示す減圧制限処理を実行する。この減圧制限処理では、
まず、ステップS20で、後述するABSフラグが
“1”であるか否かを判定する。そして、ABSフラグ
が“1”でなければ、そのまま図2のステップS16に
移行する。ABSフラグが“1”であるときには、ステ
ップS21に移行し、ホイールシリンダ圧を減圧させる
状態に移行する減圧開始時点であるかどうかを判定す
る。これは例えば、前回の制御周期で設定した増減圧指
令値ΔPi * (n−1)が零を含む正値であり、且つス
テップS14で算出した今回の制御周期における目標増
減圧量ΔP0i(n)が負値であるかにより判定する。そ
して、減圧開始でないとき、すなわち、継続して減圧を
行う場合、或いは増圧又は圧力保持を行う場合にはステ
ップS22に移行し、ステップS14で算出した目標増
減圧量ΔP0i(n)を増減圧指令値ΔPi * として設定
し、図2のステップS16に移行する。
【0035】一方、ステップS21で、ホイールシリン
ダ圧を減圧する状態に移行する減圧開始であると判断さ
れたときには、ステップS23に移行し、後述の早期カ
ウンタが“2”であるかどうかを判定する。そして、早
期カウンタが“2”でないときにはステップS24に移
行し、今回の制御周期における目標増減圧量ΔP
0i(n)を増減圧指令値ΔPi * として設定し、次いで
ステップS25に移行し、車輪速Vwi が目標車輪速V
i * を下回っているかどうか、つまり、Vwi * >V
i であるかどうかを判定する。そして、Vwi * >V
i であるときには、ステップS26に移行して、早期
カウンタを零にリセットした後、図2のステップS16
に移行する。一方、ステップS25でVwi * ≦Vwi
であるときには、ステップS27に移行し、早期カウン
タを“1”だけインクリメントした後、ステップS28
に移行する。そして、早期カウンタが“2”であるかど
うかを判定し、早期カウンタが“2”であるときにはス
テップS29に移行し、遅延解除タイマを起動した後、
図2のステップS16に移行する。前記ステップS28
で早期カウンタが“2”でないときにはそのままステッ
プS16に移行する。
【0036】前記遅延解除タイマは、車輪速Vwi が目
標車輪速Vwi * を上回っている状態で減圧が開始され
る状態が連続して発生したときの、その減圧開始の間隔
を検出するためのものである。また、前記早期カウンタ
は、車輪速Vwi が目標車輪速Vwi * 以上の状態で減
圧が開始された回数をカウントするためのカウンタであ
り、初期状態では零にリセットされている。
【0037】一方、前記ステップS23で、早期カウン
タが“2”であるときには、ステップS31に移行し、
前述の遅延解除タイマがタイムアップしているかどうか
を判定する。遅延解除タイマがタイムアップしていると
きには、ステップS32に移行し、ステップS14で算
出した目標増減圧量ΔP0i(n)を増減圧指令値ΔP i
* として設定し、次いで、ステップS33に移行して早
期カウンタを零にリセットした後、図2のステップS1
6に移行する。
【0038】前記ステップS31で、遅延解除タイマが
タイムアップしていないときには、ステップS34に移
行し、車輪速Vwi が目標車輪速Vwi * を下回ってい
るかどうか、つまり、Vwi * >Vwi であるかどうか
を判定する。そして、Vwi * >Vwi であるときには
ステップS35に移行し、ステップS14で算出した目
標増減圧量ΔP0i(n)を増減圧指令値ΔPi * として
設定し、次いで、ステップS36で早期カウンタを零に
リセットした後、図2のステップS16に移行する。
【0039】一方、前記ステップS34で、車輪速Vw
i が目標車輪速Vwi * を下回っていないとき、つま
り、Vwi * ≦Vwi であるときにはステップS37に
移行し、増減圧指令値ΔPi * =0とした後、図2のス
テップS16に移行する。この図2のステップS16で
は、増減圧指令値ΔPi * に応じたバルブ駆動時間Tp
i を算出する。ここでは、前記各電磁弁の上流圧PU
び下流圧PL と増減圧指令値ΔPi * とをもとに、次の
手順でバルブ駆動時間Tpi を算出する。
【0040】例えば、増圧する場合には、増圧弁(イン
レットバルブ)を一定時間ΔTp(例えば10msec
等)開弁を行った場合のブレーキ液の流量ΔQT は、イ
ンレットバルブの上流圧であるマスタシリンダ圧P
MCと、下流圧であるホイールシリンダ圧Pi とから次式
(13)にしたがって算出される。 ΔQT =k1 ×(PMC−Pi ) ……(13) なお、式中のk1 は、ブレーキ諸元、液圧特性によって
定まる定数である。
【0041】次に、現在のホイールシリンダ圧Pi に基
づいて、図6に示すブレーキ特性図にしたがって、現在
のホイールシリンダ液量QPiを算出する。そして、一定
時間ΔTpの開弁によるブレーキ液のΔ流量QT と、現
在のホイールシリンダ液量Q Piとの和から、増圧弁を一
定時間ΔTp開弁した後のホイールシリンダ液量QPi
+dT を推定する。さらに、この開弁後の推定ホイールシ
リンダ液量QPi+dT をもとに、図6に示すブレーキ特性
図から、一定時間ΔTp後のホイールシリンダ圧Pi+dT
を算出する。次いで、この一定時間ΔTp後のホイール
シリンダ圧Pi+dTから現在のホイールシリンダ圧Pi
減算して、一定時間ΔTpにおけるホイールシリンダ圧
変化量ΔPdTを推定し、この推定値をもとに、増減圧指
令値ΔPi * を実現するためのバルブ駆動時間Tpi
次式(14)にしたがって算出する。
【0042】 Tpi =(ΔTp×ΔPi * )/ΔPdT ……(14) なお、バルブ駆動時間Tpi が5msec以下の時は、
各切換弁の開閉が追従しないため、バルブ駆動時間Tp
i を“0”に補正する。このため、当該プログラムにお
いて所定サンプリング時間毎に算出されるバルブ駆動時
間Tpi が5msecを越えたときに切換弁が駆動され
液圧が変動する。
【0043】ここで、マスタシリンダ圧PMCの値とし
て、マスタシリンダ圧センサ38からの値を用いてもよ
いが、ブレーキ動作開始時間からアンチスキッド制御が
開始されるまでの時間を用いて簡易に推定する等により
求めてもよい。また、現在のホイールシリンダ圧P
i は、前回の制御周期までのバルブ駆動時間Tpi によ
り上記の手順の逆の演算を行って算出する。つまり、ま
ず、前回の制御周期におけるバルブ駆動時間Tpi (n
−1)と、一定時間ΔTpにおけるホイールシリンダ圧
変化量ΔPdTとに基づき、次式(15)にしたがって前
回の制御周期からの液圧変化量ΔPi を算出する。
【0044】 ΔPi =(Tpi (n−1)×ΔPdT)/ΔTp ……(15) そして、この液圧変化量ΔPi を前回の制御周期におけ
るホイールシリンダ圧Pi (n−1)に加算して、現在
のホイールシリンダ圧Pi (n)を算出する。以上の手
順は増圧を行う場合を示したものであるが、減圧時に
は、減圧弁(アウトレットバルブ)の上流圧をホイール
シリンダ圧Pi 、下流圧を大気圧(=0)として同様の
手順で算出すればよい。
【0045】なお、図2のフローチャートには示さない
が、アンチスキッド制御処理によってホイールシリンダ
圧が制御されていないときつまりABS非制御時に、前
記式(12)で算出される目標増減圧量ΔP0iが最初に
減圧つまり負値となると、ABSフラグを“1”に設定
し、アンチスキッド制御処理によるホイールシリンダ圧
の制御が開始されるABS制御開始とする。そして、A
BSフラグが“1”のときに、目標増減圧量ΔP0iが所
定時間(例えば、50msec)連続して増圧状態が続
くと、ABSフラグを“0”にリセットし、ABS制御
終了とする。
【0046】前記ABSフラグが“0”のときには、各
インレットバルブ12FL〜12RR及び24F、24
R及び各アウトレットバルブ14FL〜14RR及び2
6F、26Rへの制御電流は零として、マスタシリンダ
圧をそのままホイールシリンダ2FL〜2RRへ供給す
るようにし、ABSフラグが“1”のときには、前記式
(14)で算出されるバルブ駆動時間Tpi に基づいて
各バルブを駆動する。この間モータ18を駆動し、リザ
ーバ16F及び16Rに溜まったブレーキ液をインレッ
トバルブ12FL〜12RRの上流に戻すようにしてい
る。
【0047】次いで、ステップS17に移行し、算出し
た駆動時間Tpi にしたがって、各切換弁を制御するた
めのバルブ駆動信号を生成し、これを駆動回路を介して
出力する。そして、図示しないメインプログラムに復帰
する。ここで、インレットバルブ12FL〜12RR、
24F及び24R、及びアウトレットバルブ14FL〜
14RR、26F及び26Rが制御弁に対応し、車輪速
センサ32FL〜32RRが車輪速検出手段に対応し、
図2のステップS14の処理が目標増減圧量算出手段に
対応し、図2のステップS16及びS17の処理が制御
手段に対応し、図5のステップS25〜S29で早期カ
ウンタをカウントアップする処理及びステップS23で
早期カウンタがカウントアップしたかどうかを判定する
処理が路面状況検出手段に対応し、図5のステップS3
4及びS37で、早期カウンタが“2”であり且つ車輪
速Vwi が目標車輪速Vwi * を上回るときに、増減圧
指令値をΔPi * =0とする処理が減圧遅延手段に対応
している。
【0048】次に、上記実施の形態の動作を説明する。
今、車両が定速走行している状態から、運転者が車両を
停止、或いは減速させるべく、時点t1 でブレーキペダ
ル11aを踏み込むと、マスタシリンダ11cによって
生じたブレーキ液の圧力が各ホイールシリンダ2FL〜
2RRに伝達され、ホイールシリンダ圧の上昇と共にこ
の圧力がブレーキディスク3FL〜3RRに作用し、図
7に実線で示すように車輪速Vwi が減少する。また、
これと共に、図7に一点鎖線で示すように車体速VX
減少し、制動状態となる。
【0049】コントローラ30では、図2に示すアンチ
スキッド制御処理を所定の割り込みタイミングで実行
し、目標車輪速Vwi * と車輪速Vwi とをもとに、前
記式(12)にしたがって目標増減圧量ΔP0iを算出し
これをもとに増減圧指令値ΔP i * を設定し、これに応
じたバルブ駆動時間Tpi にしたがってインレットバル
ブ12i及びアウトレットバルブ14iを駆動し、ホイ
ールシリンダ圧を制御する。すなわち、車輪速Vwi
目標車輪速Vwi * を下回ろうとすると、インレットバ
ルブ12iを閉じると共に、アウトレットバルブ14i
を開いてホイールシリンダ圧を減少させて車輪速を上昇
させ、車輪速Vwi が目標車輪速Vwi *を上回ろうと
すると、車輪速Vwi を減少させるべく、インレットバ
ルブ12iを開き、アウトレットバルブ14iを閉じて
ホイールシリンダ圧を上昇させる。
【0050】このとき、コントーラ30では、ホイール
シリンダ圧を減圧する際の減圧開始タイミングにおけ
る、車輪速Vwi と目標車輪速Vwi * との関係を監視
している。そして、目標増減圧量ΔP0iを算出したとき
には(ステップS14)、時点t1 では、減圧状態では
ないため、ABSフラグは“0”であるから(ステップ
S20)、減圧制限は行われない。
【0051】そして、時点t2 で、目標増減圧量ΔP0i
を算出したときに、これが負の値となったときにはAB
S制御開始であると判断され、ABSフラグが“1”と
なり、ホイールシリンダ2FL〜2RRとマスタシリン
ダ11cとの間が遮断される。このとき、前記式(1
4)で算出されるホイールシリンダ圧増減のためのバル
ブ駆動時間Tpi は5msec以上にはならないため
“0”に補正され、減圧はされない。
【0052】そして、時点t3 でバルブ駆動時間Tpi
が5msec以上となると、減圧が開始される。このと
き、早期カウンタは零であるから、ステップS21から
S23を経てステップS24に移行し、目標増減圧量Δ
0iを増減圧指令値ΔPi *として設定する。このと
き、車輪速Vwi が目標車輪速Vwi * を下回っている
場合には、早期カウンタの更新は行わなず、目標増減圧
量ΔP0iにしたがって各バルブを制御し、ホイールシリ
ンダ圧を増圧させる。
【0053】これにより、車輪速Vwi が回復し、以後
目標増減圧量ΔP0iに基づく増減圧指令値ΔPi * にし
たがって減圧、保持、増圧が行われる。つまり、時点t
4 でホイールシリンダ圧を減圧するバルブ駆動減圧時間
Tpi が5msec以下となると、ホイールシリンダ圧
は保持され、時点t5 でホイールシリンダ圧を増圧する
バルブ駆動増圧時間Tpi が5msec以上となると、
ホイールシリンダ圧は増圧される。
【0054】そして、時点t6 で再び保持された後、時
点t7 で目標増減圧量ΔP0iを算出したときに、バルブ
駆動減圧時間Tpi が5msec以上の値となると、ス
テップS21からS23を経てステップS24に移行
し、目標増減圧量ΔP0iを増減圧指令値ΔPi * として
設定する。このとき、車輪速Vwi は目標車輪速Vwi
* を上回っているから、ステップS25からステップS
26に移行し、早期カウンタを“1”にカウントアップ
した後、上記と同様にして、目標増減圧量ΔP0iに基づ
く増減圧指令値ΔPi * にしたがって各バルブを制御す
る。
【0055】そして、時点t8 で目標増減圧量ΔP0i
算出したときに、再びバルブ駆動減圧時間Tpi が5m
sec以上の値となると、ステップS21からS23を
経てステップS24に移行し、目標増減圧量ΔP0iを増
減圧指令値ΔPi * として設定し、車輪速Vwi が目標
車輪速Vwi * を上回っているから、ステップS27
で、早期カウンタをカウントアップし、早期カウンタは
“2”となる。よって、ステップS28からステップS
29に移行して、遅延解除タイマを起動する。
【0056】そして、時点t9 で目標増減圧量ΔP0i
算出したときに、このバルブ駆動減圧時間Tpi が5m
sec以上となると、ステップS21からS23に移行
するが、このとき、早期カウンタは“2”であるから、
ステップS31に移行する。そして、遅延解除タイマが
タイムアップしていないものとするとステップS34に
移行し、このとき、車輪速Vwi が目標車輪速Vwi *
を上回っているから、ステップS37に移行して、増減
圧指令値ΔPi * として零を設定する。よってホイール
シリンダ圧は引き続き保持状態となる。
【0057】そして、車輪速Vwi が目標車輪速Vwi
* を上回っている間は、ステップS21からS23、S
31、S34を経てステップS37に移行し、増減圧指
令値ΔPi * として零が設定され、ホイールシリンダ圧
は保持状態となる。そして、時点t10で車輪速Vwi
目標車輪速Vwi * を下回ると、ステップS34からス
テップS35に移行し、目標増減圧量ΔP0iが増減圧指
令値ΔPi * として設定され、早期カウンタが零にリセ
ットされる。よって、この時点でホイールシリンダ圧の
減圧が開始される。
【0058】そして、時点t11で、目標増減圧量ΔP0i
に基づくバルブ駆動減圧時間Tpiが5msec以上と
なると、上記と同様に処理が行われて早期カウンタが
“1”に更新され、次に、時点t12で目標増減圧量ΔP
0iに基づくバルブ駆動減圧時間Tpi が5msec以上
となると早期カウンタが“2”に更新される。そして、
遅延解除タイマが起動される。
【0059】そして、次に時点t13で目標増減圧量ΔP
0iに基づくバルブ駆動減圧時間Tp i が5msec以上
となると、ステップS21からS23を経てステップS
31に移行し、このとき、遅延解除タイマがタイムアッ
プされていると、ステップS31からステップS32に
移行し、目標増減圧量ΔP0iを増減圧指令値ΔPi *
して設定し、早期カウンタを零にリセットする。よっ
て、この時点t13で目標増減圧量ΔP0iに基づいてホイ
ールシリンダ圧の制御が行われる。
【0060】したがって、例えば砂利道等の粗い路面を
走行した場合、車輪加速度Vw′の変動が大きくなり目
標増減圧量ΔP0iを算出した場合に、微分制御項が支配
的となり、時点t7 ,t8 ,t11,t12に示すように、
車輪速Vwi が目標車輪速Vwi * を上回った状態で減
圧が開始され、その結果制動力不足気味となり制動距離
が長くなるおそれがある。上記実施の形態では、時点t
7 及びt8 に示すように車輪速Vwi が目標車輪速Vw
i * を上回った状態での減圧開始が、2回連続して行わ
れると、次の減圧開始を、車輪速Vwi が目標車輪速V
* を下回るまで行わない、つまり、計算上は時点t9
で減圧を開始するものを、時点t10まで行わないように
したから、制動力不足気味となることを回避することが
でき、制動距離が長くなることを回避することができ
る。
【0061】また、時点t11、時点t12に示すように、
車輪速Vwi が目標車輪速Vwi *を上回った状態での
減圧開始が2回連続して行われたときには、2回目の減
圧開始のタイミングつまり時点t12で遅延解除タイマを
起動し、次の減圧開始タイミングつまり時点t13で、遅
延解除タイマがカウントアップしているときには、その
時点で減圧を開始するようにしている。よって、粗い路
面を走行した場合には、通常の平坦路等を走行する場合
に比較して、車輪速及び車輪加減速度の振幅の周期が短
くなるから、遅延解除タイマのタイムアップ時間を、通
常路面を走行しているとみなすことの可能な時間に設定
しておけば、粗い路面から通常路面に移行した場合等、
車両の制動状態に適した真のタイミングで減速開始が行
われる場合には、この時点で減圧を開始することがで
き、路面状況に応じて的確なタイミングで減圧を開始す
ることができる。
【0062】また、粗い路面から真の悪路に移行した場
合、減圧開始タイミングを遅らせて車輪速を充分減速さ
せた状態からその後減圧を開始したときには、悪路を走
行しているため車輪速の回復が早くなり、車輪速の変動
が大きくなりこれに伴い車輪加減速度の変動が大きくな
る。よって、例えば車輪加減速度がしきい値を越えたと
きに悪路と判断するようにしておけば、この時点で悪路
を走行していると判断することができ、粗い路面走行時
の制御に替えて、例えば悪路走行時の制御を実行するこ
とにより、粗い路面から悪路に移行した場合でも制動距
離を確保することができる。
【0063】なお、上記実施の形態においては、車輪速
Vwi が目標車輪速Vwi * を上回った状態で、3回連
続して減圧が開始されるときには、3回目の減圧開始タ
イミングを遅らせるようにした場合について説明した
が、連続回数は3回に限るものではなく、例えば2回連
続した場合に、2回目の減圧開始タイミングを遅らせる
ようにしてもよく、任意に設定することができる。
【0064】また、この連続回数を、例えば走行状態に
応じて変更するようにしてもよい。つまり、路面摩擦係
数μが高いほど、粗い路面での制動力の低下によるデメ
リットが大きくなり、すなわち、減圧開始タイミングを
遅らせることにより得られる効果が大きくなるから、例
えば路面摩擦係数μが高い場合には連続回数を2回、路
面摩擦係数μが低い場合には連続回数を3回として設定
するようにしてもよい。
【0065】また、上記実施の形態においては、計算上
の減圧開始タイミングに、車輪速Vwi が目標車輪速V
i * を下回っていないときに早期カウンタをカウント
アップするようにした場合について説明したがこれに限
るものではない。例えば、車輪速Vwi と目標車輪速V
i * との相対関係は、コントローラ30の処理能力或
いは車両諸元、タイヤ諸元等によって変わってくるか
ら、車輪速Vwi と目標車輪速Vwi * との差があるし
きい値以上のときにカウントアップするようにし、この
しきい値を、前記処理能力或いは車両諸元、タイヤ諸元
等に基づいて設定するようにしてもよい。
【0066】また、例えば、上述の方法に比較して演算
処理が複雑になるが、車輪速Vwiの振幅の低い方の極
値を検出し、この極値が、継続して目標車輪速Vwi *
を上回る回数をカウントするようにしてもよい。さら
に、上記実施の形態においては、車輪速Vwi が目標車
輪速Vwi * を下回っていない状態で減圧が開始される
回数をもとに、走行路面が粗い路面であるかどうかを検
出するようにした場合について説明したが、これに限ら
ず、例えば、車輪速Vwi が目標車輪速Vwi * を上回
った状態の継続時間が、平坦路等の通常路面を走行時に
おいて車輪速Vwi が目標車輪速Vwi * を上回る継続
時間に基づくしきい値を越えたときに、粗い路面を走行
しているものと判断するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1のコントローラにおけるアンチスキッド制
御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】スリップ率と車輪加速度との関係を表す特性図
である。
【図4】路面摩擦係数と目標スリップ率の関係を表す説
明図である。
【図5】図2のステップS15における減圧制限処理の
処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】ホイールシリンダ圧とホイールシリンダ液量と
の対応を表すブレーキ特性図である。
【図7】本発明の動作説明に供する説明図である。
【符号の説明】
1FL〜1RR 車輪 2FL〜2RR ホイールシリンダ 11a ブレーキペダル 11c マスタシリンダ 30 コントローラ 32FL〜32RR 車輪速センサ 34 加速度センサ 36 ヨーレートセンサ 38 マスタシリンダ圧センサ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マスタシリンダからのマスタシリンダ圧
    をもとに制御対象車輪に配設された制動用シリンダの流
    体圧を制御する制御弁と、 前記制御対象車輪の車輪速度を検出する車輪速検出手段
    と、 所定の目標車輪速及び前記車輪速検出手段の車輪速検出
    値とこれらの微分値とに基づいて前記流体圧の目標増減
    圧量を算出する目標増減圧量算出手段と、 前記制動用シリンダの流体圧が前記目標増減圧量だけ変
    化するように前記制御弁を制御する制御手段と、 前記目標車輪速に対する前記車輪速検出値の変化状況を
    もとに走行路面の路面状況を検出する路面状況検出手段
    と、 当該路面状況検出手段で走行路面が粗い路面であること
    を検出したとき前記制動用シリンダの流体圧の減圧開始
    タイミングを遅らせる減圧遅延手段と、を備えることを
    特徴とするアンチスキッド制御装置。
  2. 【請求項2】 前記路面状況検出手段は、前記車輪速検
    出値が前記目標車輪速以上の予め設定した早期減圧検出
    用しきい値を上回る状態で前記流体圧の減圧が開始され
    る早期減圧が、連続して生じたことを検出したときに、
    前記路面は粗い路面であると判定するようになっている
    ことを特徴とする請求項1記載のアンチスキッド制御装
    置。
  3. 【請求項3】 前記路面状況検出手段は、前記早期減圧
    の発生間隔が所定の間隔を越えるときに、前記減圧遅延
    手段による減圧開始タイミングの遅延を解除するように
    なっていることを特徴とする請求項2記載のアンチスキ
    ッド制御装置。
  4. 【請求項4】 前記減圧遅延手段は、前記車輪速検出値
    が前記目標車輪速以下の予め設定した減圧開始用しきい
    値を下回ったときに、前記流体圧の減圧を開始するよう
    になっていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか
    に記載のアンチスキッド制御装置。
JP03433099A 1999-02-12 1999-02-12 アンチスキッド制御装置 Expired - Fee Related JP3695197B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP03433099A JP3695197B2 (ja) 1999-02-12 1999-02-12 アンチスキッド制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP03433099A JP3695197B2 (ja) 1999-02-12 1999-02-12 アンチスキッド制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000233736A true JP2000233736A (ja) 2000-08-29
JP3695197B2 JP3695197B2 (ja) 2005-09-14

Family

ID=12411153

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP03433099A Expired - Fee Related JP3695197B2 (ja) 1999-02-12 1999-02-12 アンチスキッド制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3695197B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001108702A (ja) * 1999-10-13 2001-04-20 Toyota Motor Corp 悪路判定装置および悪路判定方法
JP2009229412A (ja) * 2008-03-25 2009-10-08 Toyota Motor Corp 重心高推定装置、及びこれを備えた車両挙動制御装置
JP2011527260A (ja) * 2008-07-09 2011-10-27 ルノー・エス・アー・エス 自動車の横加速度を評定するための装置および対応する方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001108702A (ja) * 1999-10-13 2001-04-20 Toyota Motor Corp 悪路判定装置および悪路判定方法
JP2009229412A (ja) * 2008-03-25 2009-10-08 Toyota Motor Corp 重心高推定装置、及びこれを備えた車両挙動制御装置
JP2011527260A (ja) * 2008-07-09 2011-10-27 ルノー・エス・アー・エス 自動車の横加速度を評定するための装置および対応する方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3695197B2 (ja) 2005-09-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1317363B1 (en) Rough road detection using suspension system information
US6023649A (en) Antiskid controller
JPH08324414A (ja) 制動状態検出装置及び車両制御装置
JPH026253A (ja) 四輪駆動車のアンチスキッド制御装置
JPH09207745A (ja) アンチスキッド制御装置
JPH01249554A (ja) 四輪駆動車のアンチスキッド制御装置
US5435635A (en) Motor vehicle brake pressure control apparatus wherein brake pressure is controlled based on overshoot drop of wheel speed upon lowering of brake pressure
JP2001050973A (ja) 車両挙動推定方法及び装置、並びに車両挙動制御方法及び装置
JPH0986377A (ja) 液圧制御装置
US5478143A (en) Antilock brake control method
JP2503245B2 (ja) アンチスキッド制御装置
JP2000233736A (ja) アンチスキッド制御装置
GB2353573A (en) Adjusting the braking action at the wheels of a motor vehicle
JPH07237539A (ja) アンチスキッド制御装置
JPH1148939A (ja) アンチスキッド制御装置
JP3486078B2 (ja) 車両のアンチロックブレーキ制御装置
US5651592A (en) Antiskid braking device
JPH0585340A (ja) アンチスキツド装置
JP2000233737A (ja) アンチスキッド制御装置
EP0554879B1 (en) Anti-skid brake system for wheeled vehicle and control method thereof
JP3585651B2 (ja) 車両のアンチロックブレーキ制御装置
JP3572647B2 (ja) 路面摩擦係数推定装置
JP3885492B2 (ja) アンチスキッド制御装置
JP3770301B2 (ja) 車輌の挙動制御装置
JP2653220B2 (ja) アンチスキッド制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Effective date: 20040802

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040824

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041008

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050607

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050620

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 4

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090708

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 5

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100708

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 6

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110708

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120708

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120708

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130708

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees