JP2000230127A - 非球形多孔性の架橋樹脂非水分散体、その製造方法及び艶消し塗料組成物 - Google Patents

非球形多孔性の架橋樹脂非水分散体、その製造方法及び艶消し塗料組成物

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JP2000230127A
JP2000230127A JP11034432A JP3443299A JP2000230127A JP 2000230127 A JP2000230127 A JP 2000230127A JP 11034432 A JP11034432 A JP 11034432A JP 3443299 A JP3443299 A JP 3443299A JP 2000230127 A JP2000230127 A JP 2000230127A
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栄治 上田
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博基 神内
Atsuyuki Shimada
淳之 島田
Hiroshi Miwa
宏 三輪
Keizo Ishii
敬三 石井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分散体の大きさが1μm以上のものであって
も媒体密度の差を小さくして沈降速度を小さくすること
ができ、沈降した後の再分散性が良好である非球形多孔
性の架橋樹脂非水分散体、及び、その製造方法、並び
に、耐水性、耐候性及び分散安定性に優れ、かつ、安定
した艶消し度を有する非球形多孔性の架橋樹脂非水分散
体を用いた艶消し塗料組成物を提供する。 【解決手段】 比表面積が5m2 /g以上であり、平均
の大きさが1〜100μmである非球形多孔性の架橋樹
脂A、疎水性重合単量体(b1)と、親水性重合単量体
(b2)とを重合して得られる両親媒性高分子分散剤
B、及び、非水溶剤Cからなる非球形多孔性の架橋樹脂
非水分散体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非球形多孔性の架
橋樹脂非水分散体、その製造方法及び艶消し塗料組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】建築物や窯業建材のトップコーティング
には、エチレン性不飽和単量体の共重合体であるアクリ
ル樹脂や多価アルコールと多塩基酸の重合体であるポリ
エステル樹脂をバインダー樹脂として、シリカ等の無機
系微粒子や樹脂ビーズ等の有機系微粒子を艶消し剤とし
て添加した艶消し塗料組成物が用いられてきた。
【0003】近年、下地の塗膜とトップコーティング塗
膜とを合わせ、より高い意匠性、より安定した光沢の外
観を有する塗膜を形成することができる塗料の開発が要
望されている。
【0004】特開平1−167378号公報には、水性
有機ゲル粒子を艶消し剤として含有した艶消し塗料組成
物が開示されている。また、特開平8−27399号公
報には、シリカ及び合成樹脂粒子を艶消し剤として用
い、配合量及び塗膜厚さを設定することにより、艶消し
効果の高い艶消し塗膜が開示されている。
【0005】しかしながら、シリカ等の無機系微粒子を
用いた場合、分散安定性が不良なうえ、耐水性が低下す
る問題があった。また、樹脂ビーズ等の有機系樹脂粒子
を用いた場合、真球状の樹脂粒子であると、分散安定性
が不良であった。
【0006】真球状の樹脂粒子による分散安定性の低下
は、媒体中での沈降速度が速いことによる。粒子の沈降
速度は、粒子が動場から受ける力とストークスの式から
導き出され、以下に示すその式から、粒径の2乗、及
び、粒子密度と媒体密度の差に比例するので、特に粒子
が1μm以上の真球粒子は塗料組成物中で沈降する可能
性が高い。
【0007】U=〔2r2 (ρ−ρ0 )g〕/9η (式中、Uは粒子沈降速度(m/s)であり、rは、粒
子半径(m)であり、ρは、粒子密度(kg/m3 )で
あり、ρ0 は、媒体密度(kg/m3 )であり、ηは、
媒体粘度(kg/(m・S))であり、gは、重力加速
度(9.8m/s 2 )である。
【0008】また、真球粒子は、媒体中沈降すると、六
方最密充填となりやすく、非常に固い塊(ハードケー
キ)となってしまう問題もあった。真球粒子が六方最密
充填すると、簡単な攪拌では再分散させにくく、取扱性
が不充分であった。
【0009】有機系樹脂粒子として非球形のものも提案
されているが、公知の非球形粒子では、真球状の樹脂粒
子と比較して分散安定性はかなり改善されるものの、安
定した光沢値を得ることが困難であり、光沢の膜厚依存
性が不充分であった。
【0010】そこで、樹脂粒子を乾燥することにより、
分散安定性、取扱性を向上させることが提案されてい
る。しかしながら、樹脂粒子を乾燥させると、製造コス
トが高くなるだけなく、粒子間の融着防止のために高ガ
ラス転移温度(Tg)が必要となり、設計に自由度がな
い等の問題がある。
【0011】ところで、近年、非水分散体(NAD)
は、通常の有機溶剤溶解型樹脂溶液と比較して、高固形
分化することが可能であり、優れた諸物性を発揮する材
料として多方面で利用されてきている。
【0012】しかしながら、従来の非水分散体の製造方
法では、重合時又は粒子内架橋時に粒子間の架橋が進行
して巨大粒子が生成し、系全体がゲル化する等の問題が
あり、反応の制御が極めて難しく、実際に使用可能な溶
剤も、モノマーの溶解性の低い非極性溶剤に限られてい
た。
【0013】特開平8−134109号公報には、非水
溶剤類に可溶な樹脂と、塩基性含窒素ビニル系単量体か
らなるビニル系単量体混合物とを、非水溶剤類中で重合
反応させる架橋粒子分散型非水分散型樹脂の製造方法が
開示されている。特開平10−152564号公報に
は、親水性基を有する架橋性樹脂の疎水性有機溶剤溶液
に転相乳化が生じない量の水を分散させた後、該架橋性
樹脂を架橋させる架橋樹脂樹脂非水分散体の製造方法が
開示されている。しかしながら、これらの技術で製造さ
れる非水分散体は、分散安定性や再分散性が不充分であ
った。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑
み、分散体の大きさが1μm以上のものであっても粒子
密度と媒体密度との差を小さくして沈降速度を小さくす
ることができ、沈降した後の再分散性が良好である非球
形多孔性の架橋樹脂非水分散体、及び、その製造方法、
並びに、耐水性、耐候性及び分散安定性に優れ、かつ、
安定した艶消し度を有する非球形多孔性の架橋樹脂非水
分散体を用いた艶消し塗料組成物を提供することを目的
とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、比表面積が5
2 /g以上であり、平均の大きさが1〜100μmで
ある非球形多孔性の架橋樹脂A、疎水性重合単量体(b
1)と、親水性重合単量体(b2)とを重合して得られ
る両親媒性高分子分散剤B、及び、非水溶剤Cからなる
非球形多孔性の架橋樹脂非水分散体である。
【0016】また、本発明は、疎水性重合単量体(b
1)と、親水性重合単量体(b2)とを非水溶剤C中で
重合して両親媒性高分子分散剤Bを得た後、上記両親媒
性高分子分散剤Bの存在下、上記非水溶剤C中で分子内
に2個以上のラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合
を有する単量体をNAD重合して、比表面積が5m2
g以上であり、平均の大きさが1〜100μmである非
球形多孔性の架橋樹脂Aを調製する非球形多孔性の架橋
樹脂非水分散体の製造方法である。
【0017】更に、本発明は、上記本発明の非球形多孔
性の架橋樹脂非水分散体、溶剤系バインダー樹脂D、硬
化剤E及び非水溶媒Fからなる艶消し塗料組成物であ
る。以下に本発明を詳述する。
【0018】上記架橋樹脂Aは、比表面積が5m2 /g
以上である。5m2 /g未満であると、沈降する速度が
速くなり、分散安定性が悪くなるので、上記範囲に限定
される。
【0019】上記架橋樹脂Aは、平均の大きさが1〜1
00μmである。本明細書中、架橋樹脂Aの平均の大き
さとは、粒度分布測定したときの平均粒径を意味する。
大きさが1μm未満であると、良好な艶消し性が得られ
ず、100μmを超えると、沈降速度が速くなりすぎて
分散安定性が悪くなるので、上記範囲に限定される。
【0020】本発明において、上記架橋樹脂Aは、分子
内に2個以上のラジカル重合可能なエチレン性不飽和結
合を有する単量体、及び、必要に応じて、エチレン性不
飽和単量体とを重合してなる。上記分子内に2個以上の
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する単量
体は、不飽和結合が2個以上あるので、架橋が強度とな
り、凝集体を容易に形成することができる。
【0021】上記分子内に2個以上のラジカル重合可能
なエチレン性不飽和結合を有する単量体としては特に限
定されず、例えば、多価アルコールの重合性不飽和アル
コールエステル、2個以上のビニル基で置換された芳香
族化合物等を挙げることができる。これらの具体例とし
ては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エ
チレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリ
コールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジ
メタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタク
リレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、
トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−
ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコー
ルジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリ
レート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、
1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエ
リスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールジ
メタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレー
ト、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタ
エリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラメタクリレート、グリセロールジアクリレー
ト、グリセロールジメタクリレート、グリセロールアク
ロキシジメタクリレート、1,1,1−トリスヒドロキ
シメチルエタンジアクリレート、1,1,1−トリスヒ
ドロキシメチルエタンジメタクリレート、1,1,1−
トリスヒドロキシメチルエタントリアクリレート、1,
1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリメタクリレ
ート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパンジ
アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプ
ロパンジメタクリレート等を挙げることができる。これ
らは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよ
い。
【0022】上記分子内に2個以上のラジカル重合可能
なエチレン性不飽和結合を有する単量体の配合量は、上
記架橋樹脂A中、1〜50重量%が好ましい。1重量%
未満であると、架橋反応が進行せず、得られる架橋樹脂
Aの大きさが不充分となり、50重量%を超えると、架
橋樹脂Aの大きさが大きくなりすぎるおそれがある。な
お、上記架橋樹脂Aの架橋度は、上記分子内に2個以上
のラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する単
量体の配合量によって調節することができる。
【0023】上記エチレン性不飽和単量体としては特に
限定されず、例えば、メチルアクリレート、メチルメタ
クリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレー
ト、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレー
ト、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアク
リレート、ラウリルメタクリレート、フェニルアクリレ
ート等を挙げることができる。これらは単独で使用して
もよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】本発明において、上記エチレン性不飽和単
量体と、その他の共重合可能な単量体を併用してもよ
い。上記その他の共重合可能な単量体としては特に限定
されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニ
ルケトン、t−ブチルスチレン、パラクロロスチレン、
ビニルナフタレン等を挙げることができる。これらは単
独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】上記架橋樹脂Aの含有量は、非球形多孔性
の架橋樹脂非水分散体中、固形分として10〜50重量
%が好ましい。10重量%未満であると、正味の架橋樹
脂Aが少なすぎて、塗料等の用途に用いる際に非球形多
孔性の架橋樹脂非水分散体を多量に必要とし、コスト的
に不利であり、50重量%を超えると、粒径が大きくな
り、分散安定性が悪くなる。
【0026】上記両親媒性高分子分散剤Bは、疎水性重
合単量体(b1)と親水性重合単量体(b2)とを重合
して得られるものである。
【0027】上記疎水性重合単量体体(b1)の疎水成
分としては、炭素鎖が6〜18のアルキル基、分子量1
00〜2000のシリコーン基等を挙げることができ
る。上記疎水性重合単量体(b1)としては特に限定さ
れず、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレ
ート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n
−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イ
ソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレー
ト、ラウリルメタクリレート、セチルメタクリレート、
フェニルアクリレート(シリコーンメタクリレート)等
を挙げることができる。これらは単独で使用してもよ
く、2種以上を併用してもよい。
【0028】上記親水性重合単量体(b2)の親水成分
としては、例えば、水酸基、エーテル基等のノニオン性
の官能基等を挙げることができる。上記親水性重合単量
体(b2)としては特に限定されず、例えば、2−ヒド
ロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロ
キシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリ
レート、ヒドロキシブチルメタクリレート、アリルアル
コール、メタアリルアルコール、エチレングリコールモ
ノ(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノアル
キルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ジエチレング
リコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコ
ールモノアルキルエーテルモノ(メタ)アクリレート、
トリエチレングリコールモノアルキルエーテルモノ(メ
タ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、分子量200〜1000のポリエチ
レングリコールモノ(メタ)アクリレート、分子量20
0〜1000のポリエチレングリコールモノアルキルエ
ーテルモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができ
る。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用し
てもよい。
【0029】上記疎水性重合単量体(b1)と上記親水
性重合単量体(b2)との配合比率は、疎水性重合単量
体(b1)/親水性重合単量体(b2)=80/20〜
40/60が好ましい。疎水性重合単量体(b1)の配
合比率が40重量%未満であっても、80重量%を超え
ても、両親媒性高分子分散剤Bの両親媒性が不充分とな
り、NAD重合しても安定な架橋樹脂分散体を得ること
ができない。
【0030】上記両親媒性高分子分散剤Bにおいては、
上記疎水性重合単量体(b1)及び上記親水性重合単量
体(b2)のほか、他の重合性単量体を用いてもよい。
上記他の重合性単量体としては特に限定されず、例え
ば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルケトン、t
−ブチルスチレン、パラクロロスチレン、ビニルナフタ
レン等を挙げることができる。これらは単独で使用して
もよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】上記疎水性重合単量体(b1)及び上記親
水性重合単量体(b2)の重合方法としては特に限定さ
れず、例えば、付加重合、縮合重合、開環重合等を挙げ
ることができる。上記重合方法は、使用する重合性単量
体の種類に応じて、適宜選択されるが、一般に付加重合
で行われることが好ましい。上記重合は、非水溶媒C中
で行うことが好ましい。
【0032】上記両親媒性高分子分散剤Bの含有量は、
非球形多孔性の架橋樹脂非水分散体中、固形分として1
〜15重量%が好ましい。1重量%未満であると、架橋
樹脂Aの分散性が不良となり、15重量%を超えると、
それ以上の分散剤としての効果が期待できないので、コ
スト的に不利である。
【0033】本発明で使用される非水溶媒Cとしては特
に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、シクロヘキサ
ン、n−ヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、脂肪族炭
化水素等を挙げることができる。これらは単独で使用し
てもよく、2種以上を併用してもよい。
【0034】本発明の非球形多孔性の架橋樹脂非水分散
体は、架橋樹脂Aが多孔性で3次元網目構造をなしてお
り、かつ、非球形であるので、粒子の大きさが1μm以
上であっても粒子密度が小さく、沈降速度が遅いため、
分散安定性が良好である。また、一旦分散液中で沈降し
ても、球形の樹脂のように最密充填することなく、強固
な固形物を形成することがない。このため、簡易な攪拌
で再分散させることが可能である。
【0035】また、上記架橋樹脂Aは、上記分子内に2
個以上のラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有
する単量体の共重合体であるので、塗料用等として汎用
の有機溶剤に溶解せず、ゲル体となり、汎用の有機溶剤
中では粒子として機能することができる。このため、本
発明の非球形多孔性の架橋樹脂非水分散体は、艶消し剤
の粒子、液晶スペーサーとして好適に用いることができ
る。
【0036】本発明の非球形多孔性の架橋樹脂非水分散
体の製造方法は、疎水性重合単量体(b1)と、親水性
重合単量体(b2)とを重合して両親媒性高分子分散剤
Bを得た後、上記両親媒性高分子分散剤Bの存在下、非
水溶剤C中で分子内に2個以上のラジカル重合可能なエ
チレン性不飽和結合を有する単量体をNAD(non−
aqueous dispersion)重合すること
を特徴とする。
【0037】本発明の製造方法においては、まず、両親
媒性高分子分散剤Bを調製する。上記疎水性重合単量体
(b1)及び上記親水性重合単量体(b2)は、付加重
合、縮合重合、開環重合等により重合される。好ましく
は、付加重合である。
【0038】上記重合は、極性溶媒中で行うのが好まし
い。重合条件としては特に限定されないが、60〜10
0℃、2〜6時間で重合するのが好ましい。
【0039】上記両親媒性高分子分散剤Bは、上記疎水
性重合単量体(b1)及び上記親水性重合単量体(b
2)の重合によって調製した後、以下に詳述するNAD
重合に供するため、炭化水素系溶媒に置換しておくこと
が望ましい。
【0040】本発明の製造方法において、上記NAD重
合は、上記両親媒性高分子分散剤Bの存在下、上記非水
溶剤C中で上記分子内に2個以上のラジカル重合可能な
エチレン性不飽和結合を有する単量体、及び、必要に応
じて、適宜エチレン性不飽和単量体を添加し、ラジカル
重合性開始剤を用いて行う。上記NAD重合により、比
表面積が5m2 /g以上である多孔性の架橋樹脂Aを形
成することができる。
【0041】上記ラジカル重合性開始剤としては特に限
定されず、例えば、V−601、V−70、V−65、
V−60、V−59、V−40、V−19(和光純薬工
業社製)等のアゾニトリル化合物を挙げることができ
る。
【0042】上記NAD重合の方法としては特に限定さ
れず、モノマー全量を一括で仕込んで重合してもよく、
上記両親媒性高分子分散剤Bが溶解された非水溶剤C中
に、上記分子内に2個以上のラジカル重合可能なエチレ
ン性不飽和結合を有する単量体とラジカル重合性開始剤
とを時間をかけて滴下することにより重合してもよい。
また、非水溶剤C中に、上記両親媒性高分子分散剤B、
上記分子内に2個以上のラジカル重合可能なエチレン性
不飽和結合を有する単量体及びラジカル重合性開始剤を
時間をかけて滴下してもよい。上記NAD重合の方法
は、必要に応じて、適宜選択することができる。上記N
AD重合の条件としては、80〜100℃、2〜4時間
で行うことが好ましい。
【0043】上記架橋樹脂Aの平均の大きさは、上記N
AD重合において、上記分子内に2個以上のラジカル重
合可能なエチレン性不飽和結合を有する単量体の添加量
に応じて調節することができる。すなわち、架橋成分で
ある上記分子内に2個以上のラジカル重合可能なエチレ
ン性不飽和結合を有する単量体の量が多ければ上記架橋
樹脂Aの平均の大きさが大きくなり、上記分子内に2個
以上のラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有す
る単量体の量が少なければ上記架橋樹脂Aの平均の大き
さが小さくなる。また、上記架橋樹脂Aの構成成分とし
て親水性基を有するモノマーを用いた場合には、上記親
水性基を有するモノマーの量が多ければ上記架橋樹脂A
の平均の大きさが小さくなる。更に、得られる非球形多
孔性の架橋樹脂非水分散体の不揮発分を調節することに
よっても上記架橋樹脂Aの平均の大きさを調節すること
ができる。上記非球形多孔性の架橋樹脂非水分散体の不
揮発分が多いと上記架橋樹脂Aの平均の大きさが大きく
なる。
【0044】本発明の製造方法は、簡便な方法で架橋樹
脂Aの比表面積を大きくすることができ、また、平均の
大きさも制御することができるので、本発明の非球形多
孔性の架橋樹脂非水分散体を効率よく製造することがで
きる。
【0045】本発明の艶消し塗料組成物は、上記本発明
の非球形多孔性の架橋樹脂非水分散体、溶剤系バインダ
ー樹脂D、硬化剤E及び非水溶媒Fからなる。
【0046】上記非球形多孔性の架橋樹脂非水分散体と
しては、上記本発明の製造方法により製造されたものを
用いるのが好ましい。
【0047】上記非球形多孔性の架橋樹脂非水分散体の
配合量は、塗料組成物中、固形分として1〜50重量%
が好ましい。1重量%未満であると、充分な艶消しの効
果が得られず、50重量%を超えると、良好な塗膜を形
成することができない。より好ましくは、5〜25重量
%である。
【0048】上記溶剤系バインダー樹脂Dとしては特に
限定されず、例えば、エチレン性不飽和単量体(d1)
の(共)重合体であるアクリル樹脂、多価アルコール
(d2)と多塩基酸(d3)との重合体であるポリエス
テル樹脂等を挙げることができる。
【0049】上記エチレン性不飽和単量体(d1)とし
ては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸
(塩)、無水マレイン酸(塩)、フマル酸(塩)、イタ
コン酸(塩)等のカルボン酸(塩)基含有単量体;スチ
レンスルホン酸(塩)、ビニルスルホン酸(塩)、2−
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸
(塩)、アリルスルホン酸(塩)等のスルホン酸(塩)
基含有単量体;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエ
チル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポ
リプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の
水酸基含有単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル
(メタ)アクリレート等のアミノ基含有単量体;(メ
タ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリ
ルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等
のアミド基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、
エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)
アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜20のアル
キル(メタ)アクリレート;酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニル等のビニルエステル類;スチレン、α−メチルス
チレン、ビニルトルエン等のスチレン類;エチレン、プ
ロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン系単
量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、フ
ッ化ビニリデン等のハロゲン原子含有単量体;グリシジ
ル(メタ)アクリレート、(メタ)アリールグリシジル
エーテル等のエポキシ基含有単量体;ビニルエトキシシ
ラン、トリメチルシロキシエチル(メタ)アクリレート
等のシリコン系単量体;ジビニルベンゼン、エチレング
リコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジ
メタクリレート等の多官能単量体;炭素数1〜4のアル
キルビニルエーテル、酢酸アリール、(メタ)アクリロ
ニトリル等のその他の単量体等を挙げることができる。
また、アデカスタブT−37、アデカスタブLA−82
(いずれも旭電化社製)等の重合性紫外線吸収剤及び重
合性光安定剤;その他の共重合可能な官能基末端を有す
る高分子モノマー等を使用してもよい。これらは単独で
使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0050】上記多価アルコール(d2)としては特に
限定されず、例えば、1,3−プロパンジオール、1,
3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5
−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチ
レングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリ
コール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチ
ロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、2,2,
4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペンタエ
リスリトール、ジペンタエリスリトール、ジメチロール
ヘプタン、ジメチロールプロピオン酸、ヘキサントリオ
ール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサ
ン、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ヒドロ
キシピパリルヒドロキシピバレート等の多価アルコール
類;ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピ
レングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシテトラ
メチレングリコール、ポリオキシプロピレンポリオキシ
テトラメチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオ
キシプロピレンポリオキシテトラメチレングリコール等
のポリエーテルグリコール類等を挙げることができる。
【0051】上記多塩基酸(d3)としては特に限定さ
れず、例えば、(無水)こはく酸、アジピン酸、(無
水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、(無水)トリメ
リット酸、(無水)ピロメリット酸、ヘキサヒドロ(無
水)フタル酸、(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレ
フタル酸等の2官能以上の酸類;支那桐油(脂肪酸)、
亜麻仁油(脂肪酸)、脱水ひまし油(脂肪酸)、トール
油(脂肪酸)、綿実油(脂肪酸)、大豆油(脂肪酸)、
オリーブ油(脂肪酸)、サフラワー油(脂肪酸)、ひま
し油(脂肪酸)、米糠油(脂肪酸)等の(半)乾性油;
オクチル酸、ラウリル酸、ステアリル酸等の飽和脂肪酸
類;オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エレオス
テアリン酸、リシノール酸等の不飽和脂肪酸;水添椰子
油脂肪酸、椰子油脂肪酸、パーム油脂肪酸等の不乾性油
(脂肪酸)類等を挙げることができる。
【0052】上記溶剤系バインダー樹脂Dの配合量は、
塗料組成物中、固形分として10〜99重量%が好まし
い。10重量%未満であると、良好な塗膜を形成するこ
とができず、99重量%を超えると、艶消しの効果が得
られない。より好ましくは、70〜95重量%である。
【0053】上記硬化剤Eとしては特に限定されない
が、イソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネー
ト化合物、アミノ樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。
【0054】上記イソシアネート化合物としては特に限
定されず、例えば、トルエン−2,4−ジイソシアネー
ト、トルエン−2,6−ジイソシアネート、ジフェニル
メタン−2,4′−ジイソシアネート、ジフェニルメタ
ン−4,4′−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−
1,6−ジイソシアネート、m−キシリレンジイソシア
ネート、p−キシリレンジイソシアネート、テトラメチ
レンジイソシアネート、1−イソシアネート−3,3,
5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシクロヘキ
サン(イソホロンジイソシアネート(IPDI))、テ
トラメチルキシリレンジイソシアネート、プロピレン−
1,2−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチレン
ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、
ブチレン−2,3−ジイソシアネート、デカン−1,1
2−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイ
ソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネ
ート、パーヒドロ−2,4−ジフェニルメタンジイソシ
アネート、パーヒドロ−4,4−ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、フェニレン−1,3−ジイソシアネー
ト、フェニレン−1,4−ジイソシアネート、3,2′
−ジイソシアネート−4−メチルジフェニルメタン、
3,4′−ジイソシアネート−4−メチルジフェニルメ
タン、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート等の脂肪
族、脂環式及び芳香族ジイソシアネート類;トリフェニ
ルメタン−4,4′−トリイソシアネート等の脂肪族、
脂環式及び芳香族ポリイソシアネート類等を挙げること
ができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を
併用してもよい。
【0055】上記ブロックイソシアネート化合物は、上
記イソシアネート化合物のイソシアネート基をブロック
剤と呼ばれる適当な化合物で保護して不活性としたもの
であり、加熱によりイソシアネート基が再生する化合物
である。上記ブロック剤としては特に限定されず、例え
ば、フェノール、クレゾール、芳香族第二アミン、第三
アルコール、ラクタム、オキシム等を挙げることができ
る。
【0056】上記アミノ樹脂としては特に限定されず、
例えば、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミ
ン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラ
ミン、ヘキサメチロールメラミン、ジメチロールベンゾ
グアナミン、トリメチロールベンゾグアナミン、テトラ
メチロールベンゾグアナミン;これらのアルキルエーテ
ル化物、尿素−ホルムアルデヒド縮合物、尿素−メラミ
ン共縮合物等を挙げることができる。
【0057】上記アミノ樹脂としては市販されているも
のもあり、例えば、サイメル303、サイメル235、
サイメル254、サイメル325、サイメル1128、
サイメル1156(いずれもアメリカンサイアナミド社
製);マイコート102、マイコート105、マイコー
ト506(いずれもアメリカンサイアナミド社製);ユ
ーバン20N、ユーバン20SB、ユーバン128(い
ずれも三井東圧化学社製);スミマールM−50W、ス
ミマールM−30W(いずれも住友化学工業社製)等を
挙げることができる。
【0058】上記エポキシ樹脂としては特に限定され
ず、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、こ
れらのハロゲン置換体とエピクロルヒドリン又はβ−メ
チルエピハロヒドリンとを縮合して得られる縮合体等を
挙げることができる。上記縮合体としては市販されてい
るものもあり、例えば、エピコート828、エピコート
1004、エピコート1007、エピコート1010
(いずれも油化シェルエポキシ社製);エポトートYD
−011、エポトートYD−014、エポトートYD−
017、エポトートYDF2004(いずれも東都化成
社製)等を挙げることができる。
【0059】上記硬化剤Eの配合量は、塗料組成物中、
固形分として1〜30重量%が好ましい。1重量%未満
であると、塗膜の硬化が不充分となり、30重量%を超
えても、それ以上の効果が得られない。より好ましくは
5〜20重量%である。
【0060】上記非水溶媒Fとしては特に限定されず、
例えば、ミネラルスピリット等の脂肪族系炭化水素;ト
ルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、酢酸メチル;酢
酸ブチル等のエステル系;メチルイソブチルケトン、シ
クロヘキサンノン等のケトン系;エチレングリコールモ
ノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエ
ーテル等のエーテルアルコール系;エチレングリコール
モノエチルエーテルアセテート等のエーテルエステル
系;1,1,1−トリクロロエタン等の塩素系;ジメチ
ルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の含窒素系等
を挙げることができる。
【0061】本発明の艶消し塗料組成物は、一般的な艶
消し塗料組成物の製造方法により製造することができ、
例えば、上記非球形多孔性の架橋樹脂非水分散体、上記
溶剤系バインダー樹脂D、上記硬化剤E及び上記非水溶
媒Fを一括で仕込んで混合し、充分に上記非球形多孔性
の架橋樹脂非水分散体を分散させること等により製造す
ることができる。
【0062】本発明の艶消し塗料組成物は、艶消しが必
要な用途において使用することができ、例えば、金属基
材、スレート板、窯業基材等に適用することができる。
【0063】本発明の艶消し塗料組成物の塗装方法とし
ては特に限定されず、例えば、スプレー塗装、刷毛塗
り、ロールコーター等を挙げることができる。
【0064】本発明の艶消し塗料組成物は、艶消しの効
果を充分に発揮させるために、乾燥塗膜が20〜60μ
mとなるように塗装されるのが好ましい。
【0065】本発明の艶消し塗料組成物は、艶消し剤と
して上述した非球形多孔性の架橋樹脂非水分散体を含有
しているので、膜厚による光沢の変化が小さく、安定し
た艶消し度が得られるため、緻密な意匠性を求める場合
にも好適である。また、耐水性、耐候性も優れているの
で、下塗用、中塗用、上塗り用のいずれであっても適用
することができる。特に、建築物の外装や窯業材料のト
ップコーティングとして好適である。更に、本発明の艶
消し塗料組成物は、分散安定性が優れているので、沈降
しても簡易的な攪拌で均一になるので、長期の貯蔵安定
性も良好である。
【0066】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0067】製造例1 両親媒性高分子分散剤の製造 攪拌加熱装置、温度計、窒素導入管、冷却管を備えた反
応容器に、アイソパーG(エクソン化学社製)50重量
部、イソプロピルアルコール20重量部を入れ、攪拌下
に窒素気流下70℃に昇温した。この温度を保ちながら
RMA−150M(水溶性モノマー、日本乳化剤社製)
33重量部、ラウリルメタクリレート57重量部、メチ
ルメタクリレート10重量部、イソプロピルアルコール
25重量部及び重合開始剤としてV−601(和光純薬
工業社製)1重量部からなる混合物を一定速度で2時間
かけて逐次添加した。添加終了後、同温度で1時間保持
し、重合開始剤0.2重量部及びイソプロピルアルコー
ル5重量部を添加し、同温度で2時間保持して重合体の
溶液を得た。得られた重合体溶液にアイソパーG(エク
ソン化学社製)50重量部を添加し、減圧でイソプロピ
ルアルコールを留去した。得られた重合体溶液の固形分
濃度は50重量%、数平均分子量は7711であった。
【0068】実施例1 攪拌加熱装置、温度計、窒素導入管、冷却管を備えた反
応容器に、Aソルベント(日本石油社製)150重量部
を入れ、攪拌下に窒素気流下で90℃に昇温した。この
温度を保ちながら製造例1で得られた両親媒性高分子分
散剤40重量部、Aソルベント107.3重量部、メチ
ルメタクリレート60重量部、2−ヒドロキシエチルメ
タクリレート20重量部、エチレングリコールジメタク
リレート20重量部、重合開始剤V−601(和光純薬
工業社製)1重量部からなる混合物を一定速度で2時間
かけて逐次添加した。添加終了後、同温度で1時間保持
した後、V−601(和光純薬工業社製)0.2重量部
及びAソルベント10重量部を添加し、同温度で2時間
保持して、架橋樹脂分散体のAソルベント溶液を得た。
不揮発分は、30%であった。
【0069】実施例2 攪拌加熱装置、温度計、窒素導入管、冷却管を備えた反
応容器に、Aソルベント(日本石油社製)150重量部
を入れ、攪拌下に窒素気流下で90℃に昇温した。この
温度を保ちながら製造例1で得られた両親媒性高分子分
散剤40重量部、Aソルベント107.3重量部、メチ
ルメタクリレート50重量部、2−ヒドロキシエチルメ
タクリレート30重量部、エチレングリコールジメタク
リレート20重量部、重合開始剤V601(和光純薬工
業社製)1重量部からなる混合物を一定速度で2時間か
けて逐次添加した。添加終了後、同温度で1時間保持
し、V−601(和光純薬工業社製)0.2重量部及び
Aソルベント10重量部を添加し、同温度で2時間保持
して架橋樹脂分散体のAソルベント溶液を得た。不揮発
分は、30%であった。
【0070】比較例1 攪拌加熱装置、温度計、窒素導入管、冷却管を備えた反
応容器に、脱イオン水140重量部を入れ、攪拌下に窒
素気流下で80℃に昇温した。この温度を保ちながらメ
チルメタクリレート10重量部を添加し、10分後に脱
イオン水10重量部に溶解したペルオキソ二硫酸アンモ
ニウム0.5重量部を添加した。30分後、メチルメタ
クリレート20重量部、n−ブチルアクリレート30重
量部、スチレン30重量部、エチレングリコールジメタ
クリレート10重量部を混合したモノマー溶液と脱イオ
ン水250重量部に溶解したペルオキソ二硫酸アンモニ
ウム0.5重量部を一定速度で2時間かけて逐次添加し
た。添加終了後、同温度で2時間保持して分散体水溶液
を得た。これを凍結乾燥機で乾燥し、分散体の粉末を得
た。この分散体粉末30重量部をAソルベント70重量
部に分散して分散体のAソルベント溶液を得た。不揮発
分は、30%であった。
【0071】比較例2 エチレングリコールジメタクリレート10重量部、スチ
レン45重量部、シクロヘキシルメタクリレート45重
量部を混合した溶液に、ラウロイルパーオキサイド4重
量部を溶解し、PVA217EE(クラレ社製)2重量
部を溶解した脱イオン水溶液70重量部に攪拌しながら
添加し、ディスパー(5000rpm)で懸濁液を製造
した。これを、加熱攪拌装置、冷却器、温度制御装置及
び窒素導入管を備えた反応容器に入れ、脱イオン水15
0重量部を加えて攪拌下70℃で4時間、80℃で2時
間重合した。得られた分散液を濾過し、脱イオン水70
重量部を加えて攪拌し、この分散液を再び濾過した。こ
の操作を4回繰り返した。最後に濾過したものを凍結乾
燥機で乾燥させ、分散体の粉末を得た。この分散体粉末
30重量部をAソルベント70重量部に分散して分散体
のAソルベント溶液を得た。不揮発分は、30%であっ
た。
【0072】比較例3 懸濁液をディスパー(1000rpm)で製造したこと
以外は、比較例2と同様にして、分散体のAソルベント
溶液を得た。不揮発分は、30%であった。
【0073】実施例1〜2、比較例1〜3で得られた各
分散体のAソルベント溶液の分散体平均粒径、分散体比
表面積、静置における沈降度、再分散性を評価した。ま
た、各分散体の形状を光学顕微鏡及び電子顕微鏡で確認
した。評価方法を以下に示した。
【0074】平均粒径の測定 得られた分散体を、レーザ回折式粒度分布測定装置SA
LD−2000(島津製作所社製)にて平均の粒径を測
定した。結果を表1に示した。比表面積の測定 得られた分散体を真空乾燥機(1torr以下、50
℃、10時間)で溶媒分を除去し、分散体の粉末を得
た。高精度ガス吸着装置BELSORP28(日本ベル
社製)にて分散体粉末の比表面積を測定した。結果を表
1に示した。
【0075】沈降度の測定 分散体のAソルベント溶液を試験管に高さ10cmまで
入れ、最初の5分間で平均沈降スピードを測定した。な
お、分散体のAソルベント溶液のNVは、すべて5%に
調整した。結果を表1に示した。再分散性の評価 分散体を1日以上放置し、沈降度の再分散性を以下の評
価基準に従って評価した。結果を表1に示した。 ○:ガラス棒が沈降物に容易に刺さり、かつ、ガラス棒
の簡易的な攪拌で均一となる △:ガラス棒が沈降物に刺さり、かつ、ガラス帽の強制
的な攪拌で均一となる ×:ガラス帽を沈降物に刺すのが困難で、ガラス方の強
制的な攪拌だけでは均一にするのが困難である
【0076】
【表1】
【0077】実施例3〜4、比較例3〜6 表2に示した配合処方により、それぞれ艶消し塗料組成
物を調製した。得られた塗布液は、前処理をしたスレー
ト板(シーラーとしてアクリルウレタン塗料を塗布し、
乾燥させたもの)に、エアースプレーを用いて20〜6
0μm(ドライ膜厚)に塗布し、100℃×12分間熱
風乾燥後、20℃×1日間放置した。
【0078】
【表2】
【0079】表2中、*1は、アクリル樹脂(シクロヘ
キシルメタクリレート/メチルメタクリレート/2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート/n−ブチルアクリレー
ト=60/20/15/5、固形分濃度45%)であ
り、*2は、実施例1の分散体(粒径20μm)であ
り、*3は、実施例2の分散体(粒径3.8μm)であ
り、*4は、有機系球形架橋微粒子(タフチックビーズ
AR−650S、アクリルビーズ、真球20μm、東洋
紡社製)であり、*5は、比較例3の分散体(粒径20
μm)であり、*6は、有機非球形微粒子(ダイアミ
ド、ナイロンビーズ、20μm、ダイセルヒュルス社
製)であり、*7は、シリカ(E−1009、日本シリ
カ社製)であり、*8は、トリレンジイソシアネート
(固形分濃度30%)であり、*9は、トルエン/酢酸
エチル/酢酸ブチル/メチルイソブチルケトン=35/
25/20/20である。なお、*2〜*6は、固形分
濃度30%の分散体に、*7は、固形分濃度15%の分
散体に調整したものを使用した。)
【0080】得られたスレート塗板は、以下に示す評価
を行った。また、塗布液は、試験管に入れ、沈降速度の
測定を行った。膜厚依存性試験 塗装膜厚を20,40,60μm(ドライ膜厚)と変化
させたときの光沢値(60度グロス)の変化を20μm
の膜厚の光沢値と比較した。結果を表3に示した。 ○:2倍以上変化しない △:2〜3倍の変化 ×:3倍以上の変化
【0081】耐水性試験 60℃の温水に10日間浸漬した後、20℃×1日間乾
燥させた後、色相の変化を測定した。結果を表3に示し
た。 ○:ΔE<0.5 △:0.5≦ΔE<1.0 ×:1.0≦ΔE
【0082】耐候性試験 ダイプラメタルウェザー試験器に1000時間(光源か
らの距離4mm)供した後の色相の変化を測定した。試
験条件は、紫外線照射時(4時間):温度63℃、湿度
40%→結露時(4時間):温度30℃、湿度98%の
サイクルで行い、照射条件下結露条件へ移行する前に1
0秒間のシャワー放水を行った。結果を表3に示した。 ○:ΔE<0.5 △:0.5≦ΔE<1.0 ×:1.0≦ΔE
【0083】沈降性試験及び分散安定性試験 試験管に塗布物を高さ10cmまで入れて放置し、最初
の5分間で平均沈降スピードを測定した。単位はcm/
分で示した。結果を表3に示した。また、そのまま10
日間放置し、沈降後の再分散性を以下の評価基準に従っ
て評価した。結果を表3に示した。 ○:ガラス棒が沈降物に容易に刺さり、かつ、ガラス棒
の簡易的な攪拌で均一となる △:ガラス棒が沈降物に刺さり、かつ、ガラス棒の強制
的な攪拌で均一となる ×:ガラス棒を沈降物に刺すのが困難で、ガラス棒の強
制的な攪拌では均一にするのが困難である
【0084】
【表3】
【0085】
【発明の効果】本発明の非球形多孔性の架橋樹脂非水分
散体は、上述の構成からなり、含有される架橋樹脂Aが
多孔性であり、かつ、非球形であるので、粒子の大きさ
が1μm以上であっても粒子密度が小さく、結果的に沈
降速度が遅くなるため、分散安定性が良好である。ま
た、一度分散液中で沈降しても、球形の樹脂のように最
密充填することなく、強固な固形物を形成することがな
いので、簡易な攪拌で再分散させることが可能である。
【0086】また、架橋樹脂Aは、上記分子内に2個以
上のラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する
単量体の共重合体であるので、塗料用等として汎用の有
機溶剤に溶解せず、ゲル状となり、汎用の有機溶剤中で
は粒子として機能することができる。このため、本発明
の非球形多孔性の架橋樹脂非水分散体は、艶消し剤の粒
子、液晶スペーサーとして好適に用いることができる。
【0087】本発明の非球形多孔性の架橋樹脂非水分散
体の製造方法は、上述のとおりであり、比表面積が大き
く、大きさを制御した架橋樹脂Aが得られるので、非球
形多孔性の架橋樹脂非水分散体の製造方法として好適で
ある。
【0088】本発明の艶消し塗料組成物は、艶消し剤と
して、比表面積が大きく多孔性の非球形の架橋樹脂Aを
溶剤系塗料中に添加しているので、耐候性、耐水性、膜
厚依存性、分散安定性のすべてに優れた塗膜を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた架橋樹脂分散体の光学顕微
鏡写真である。写真中の7mmは10μmに相当する。
【図2】実施例1で得られた架橋樹脂分散体の電子顕微
鏡写真である。写真中の4cmは2μmに相当する。
【図3】比較例3で得られた樹脂分散体の光学顕微鏡写
真である。写真中の7mmは10μmに相当する。
【図4】比較例3で得られた樹脂分散体の電子顕微鏡写
真である。写真中の4cmは2μmに相当する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島田 淳之 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 (72)発明者 三輪 宏 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 (72)発明者 石井 敬三 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 Fターム(参考) 4J002 BC071 BC072 BC111 BC112 BG041 BG051 BG071 BG072 GH01 HA08 4J011 AA08 LA07 LB09 4J038 CA021 CB021 CB091 CC021 CC071 CC091 CD021 CD081 CD091 CE021 CF012 CF021 CG031 CG061 CG071 CG141 CG142 CG161 CG171 CH031 CH032 CH042 CH071 CH121 CH171 CH201 CL001 DA132 DB002 DB221 DD04 DG262 DG302 KA03 KA06 KA09 MA04 NA01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 比表面積が5m2 /g以上であり、平均
    の大きさが1〜100μmである非球形多孔性の架橋樹
    脂A、疎水性重合単量体(b1)と、親水性重合単量体
    (b2)とを重合して得られる両親媒性高分子分散剤
    B、及び、非水溶剤Cからなることを特徴とする非球形
    多孔性の架橋樹脂非水分散体。
  2. 【請求項2】 両親媒性高分子分散剤Bは、親水成分が
    ノニオン性の親水性重合単量体(b2)からなり、か
    つ、非水溶剤Cに溶解可能である高分子重合体である請
    求項1記載の非球形多孔性の架橋樹脂非水分散体。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の非球形多孔性の架
    橋樹脂非水分散体の製造方法であって、疎水性重合単量
    体(b1)と、親水性重合単量体(b2)とを重合して
    両親媒性高分子分散剤Bを得た後、前記両親媒性高分子
    分散剤Bの存在下、非水溶剤C中で分子内に2個以上の
    ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する単量
    体をNAD重合することを特徴とする非球形多孔性の架
    橋樹脂非水分散体の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載の非球形多孔性の架
    橋樹脂非水分散体、溶剤系バインダー樹脂D、硬化剤E
    及び非水溶媒Fからなることを特徴とする艶消し塗料組
    成物。
  5. 【請求項5】 非球形多孔性の架橋樹脂非水分散体は、
    請求項3記載の非球形多孔性の架橋樹脂非水分散体の製
    造方法により得られるものである請求項4記載の艶消し
    塗料組成物。
  6. 【請求項6】 溶剤系バインダー樹脂Dは、エチレン性
    不飽和単量体の共重合体又は多価アルコールと多塩基酸
    との共縮合体である請求項4又は5記載の艶消し塗料組
    成物。
  7. 【請求項7】 硬化剤Eは、ポリイソシアネート化合
    物、ブロックポリイソシアネート化合物、アミノ樹脂及
    びエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1
    種である請求項4、5又は6記載の艶消し塗料組成物。
JP03443299A 1999-02-12 1999-02-12 非球形多孔性の架橋樹脂非水分散体、その製造方法及び艶消し塗料組成物 Expired - Fee Related JP4098430B2 (ja)

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