JP2000229854A - 虚血性神経細胞死治療・予防用脳室内投与剤、血管性痴呆症治療・予防用脳室内投与剤、並びに脳内手術時投与剤 - Google Patents

虚血性神経細胞死治療・予防用脳室内投与剤、血管性痴呆症治療・予防用脳室内投与剤、並びに脳内手術時投与剤

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JP2000229854A
JP2000229854A JP11035844A JP3584499A JP2000229854A JP 2000229854 A JP2000229854 A JP 2000229854A JP 11035844 A JP11035844 A JP 11035844A JP 3584499 A JP3584499 A JP 3584499A JP 2000229854 A JP2000229854 A JP 2000229854A
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intracerebral
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prophylaxis
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Takami Tsunoda
隆巳 角田
Ayumi Nozawa
歩 野沢
Tomonori Unno
知紀 海野
Koro Ushitani
公郎 牛谷
Kiyoshi Kataoka
喜由 片岡
Naohito Yanase
尚人 柳瀬
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Ito En Ltd
Original Assignee
Ito En Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 脳虚血に伴う神経細胞死の予防及び治療、特
に遅発性神経細胞死の伴う疾病の予防剤及び治療剤を提
供する。 【解決手段】 (L又はD)テアニンを純水又は生理食
塩水に50μM〜800μM濃度で溶解した虚血性神経
細胞死治療・予防用脳室内投与剤を、脳室内に直接投与
すると効果的に脳虚血に伴う脳神経細胞死を抑制でき
る。これより、脳梗塞や脳出血などの脳卒中や血管性痴
呆症(老人性痴呆症)など脳虚血症状を伴う疾病、事故
による脳内出血などの治療手術や予防手術の際に脳室内
に直接投与すればこれらの治療・予防を図ることができ
る。また、その他の脳出血を伴う手術の際に脳室内に直
接投与すれば、脳手術の危険を効果的に低下させること
もできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内頸動脈、中大脳動
脈、前大脳動脈、椎骨脳底動脈などが血栓、塞栓、血流
等の影響で脳虚血を起こし、これに伴って生じる虚血性
神経細胞死の予防及び治療、特に遅発性神経細胞死を原
因とする血管性痴呆症(老人性痴呆症)の予防及び治療
に有効な脳室内投与剤、並びに脳内手術時投与剤に関す
る。
【0002】
【発明の属する技術分野と発明が解決しようとする課
題】グルタミン酸は、通常は脳神経細胞において興奮性
神経伝達物質としてグルタミン酸受容体に作用し記憶や
学習に関与するが、その反面、過剰に存在した場合には
神経細胞の過剰な興奮をもたらし神経細胞に対する毒性
を発揮することが知られている。例えば、脳卒中に代表
される脳虚血時には、障害を受けた神経細胞から多量の
グルタミン酸が放出され、そのグルタミン酸の毒性によ
って周囲の神経細胞が連鎖的に死んでしまうことが確認
されている。また、一過性の脳虚血が発生すると、一週
間くらい後に脳神経細胞死(遅発性神経細胞死)が起こ
り、これが血管性痴呆症(老人性痴呆症)の原因となる
ことも確認されている。
【0003】以前本発明者らは、培養神経細胞にテアニ
ンを投与した試験結果に基づいてテアニンにグルタミン
酸の毒性を抑制する作用とグルタミン酸受容体を遮蔽す
る作用とがあることを見出し、この知見に基づいて、特
開平9−286727号において「テアニンを有効成分
としてなるグルタミン酸拮抗剤及びグルタミン酸受容体
遮蔽作用を特徴とする神経細胞死予防剤」を開示してい
る。
【0004】本発明者らは、その後もテアニンの神経細
胞死抑制作用について鋭意研究を進めた結果、今回新た
な知見を得、かかる知見に基づいて本発明をなしたもの
である。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明者ら
は、テアニンの神経細胞死抑制作用について鋭意研究を
進める過程で投与方法の違いによる神経細胞死保護作用
を比較したところ、脳室内投与の場合に他の投与方法に
は見られない顕著な効果を見出すことができ、かかる知
見に基づき本発明を想到するに至ったものである。
【0006】本発明の一つは、テアニンを有効成分とす
る「虚血性神経細胞死治療及び予防用脳室内投与剤」で
ある。かかる虚血性神経細胞死治療及び予防用脳室内投
与剤によれば、内頸動脈、中大脳動脈、前大脳動脈、椎
骨脳底動脈などが血栓、塞栓、血流等の影響で一次的又
は継続的に既に虚血状態にある場合は勿論、今後虚血状
態となることが予想される状態において脳室内に直接投
与することにより脳虚血に伴う脳神経細胞死を効果的に
抑制することができる。したがって、例えば脳梗塞や脳
出血などの脳卒中や「血管性痴呆症(老人性痴呆症)」
などの脳虚血症状を伴う疾病、事故による脳内出血など
の治療手術や予防手術の際に脳室内に直接投与すること
により、かかる疾病の治療又は予防を図ることができる
ばかりか、更にはその他の脳出血を伴う手術の際に「脳
内手術時投与剤」として脳室内に直接投与すれば、脳手
術の危険を効果的に低下させることもできる。
【0007】ここで、本発明におけるテアニンとは、L
−グルタミン酸−γ−エチルアミド(L−テアニン)、
L−グルタミン酸−γ−メチルアミド、D−グルタミン
酸−γ−エチルアミド(D−テアニン)等のL又はD−
グルタミン酸−γ−アルキルアミド、或いはこれらの混
合物をいう。なお、テアニンは現在食品添加物として認
可され、日常的に摂取されている物質であるから副作用
が少ないことが期待できる。
【0008】このテアニンは、既に公知となっている各
種方法によって入手することが可能である。すなわち、
植物又は微生物などの培養法により生合成することも、
茶葉中から抽出することも、或いは化学合成することも
できる。例えば、工業的に入手するには、L−グルタミ
ン酸を加熱して得られるL−ピロリドンカルボン酸を銅
塩とした後、無水エチルアミンと反応させて、最後に脱
銅して得ることもできる。
【0009】本発明の虚血性神経細胞死治療・予防用脳
室内投与剤、血管性痴呆症治療・予防用脳室内投与剤及
び脳内手術時投与剤は、例えば、テアニンをそのまま精
製水又は生理食塩水などに溶解して脳室内に投与するこ
とができるほか、このようなテアニン水溶液にカルジオ
クローム、シチコリン、塩酸インデロキサジン、イプジ
ラスト、アデノシン三リン酸二ナトリウム、γ−アミノ
酪酸、酒石酸イフュンプロジル、アミノベータヒドロキ
シ酪酸、チトクロームCなどのいずれか、或いはこれら
の二種類以上を添加し、周知の方法で脳内投与剤として
調製して投与するようにすることもできる。
【0010】また、本発明の虚血性神経細胞死治療・予
防用脳室内投与剤、血管性痴呆症治療・予防用脳室内投
与剤及び脳内手術時投与剤としては、少なくともテアニ
ン濃度50μM〜800μM、特にテアニン濃度50μ
M〜500μMの低濃度域で顕著な所定効果を得ること
ができる。
【0011】
【実施例】(実験1)本実験は、in vivo 実験として、
虚血性遅発性神経細胞死に対するテアニンの抑制作用を
スナネズミを試験体として実験を行なった。具体的に
は、テアニンの投与方法によりスナネズミをグループ分
けし、各群について虚血後の残存神経細胞数を測定し比
較した。
【0012】(テアニン脳室内投与群)1%ハロメタン
維持麻酔下、スナネズミの側脳室内に5〜500μMの
テアニン1μlを投与し、投与後脳温および直腸温を3
7〜37.5℃に維持し、30分経過した時点で3分間
の両側総頸動脈結紮による一過性前脳虚血を負荷した。
なお、テアニンの脳室内投与の詳細は、プレグマより
0.3mm後方、2mm右外側、深さ2.5mmの側室
内に先端を加工したガラス電極を留置し、500μMの
テアニン1μMをゆっくりと脳室内投与することにより
行なった。
【0013】(テアニン静注投与群)1%ハロメタン維
持麻酔下、スナネズミの右大腿静脈よりテアニン(20
mgを生食1mlに溶解)を50mg/kgをゆっくり
と静注し、投与後脳温および直腸温を37〜37.5℃
に維持し、30分経過した時点で3分間の両側総頸動脈
結紮による一過性前脳虚血を負荷した。
【0014】(3分虚血群)1%ハロメタン維持麻酔
下、脳温および直腸温を37〜37.5℃に維持し、3
0分経過した時点で3分間の両側総頸動脈結紮による一
過性前脳虚血を負荷した。
【0015】上述の各群について、虚血負荷7日後にペ
ントバルビタール(25mg/kg、in vivo )にて麻
酔後、10%ホルマリンにて動物の経心的灌流固定を行
なった。そして脳を摘出し、パラフィン包理の後、ビブ
ラトームにて厚さ4μmの海馬スライス標本を作製し、
クリスタルバイオレットにて染色し、CA1領域中央部
及び外側部の100×500μmのグリッド内に残存す
る正常神経細胞数を計測し、テアニンの薬効を検討し
た。
【0016】(結果)各群の残存神経細胞数を図1に示
した。なお、この図1には、上記3群の結果に追加し
て、偽手術群として一過性前脳虚血を負荷しない場合の
残存神経細胞数を参考として示してある。
【0017】この結果、テアニン脳室内投与群に顕著な
テアニン濃度依存性が認められたばかりか、テアニン静
注群と比較するとテアニン脳室内投与群の残存神経細胞
数は顕著に高い数値を示した。さらに、テアニン脳室内
投与群には、比例関係とも観察できる強い濃度依存性も
認められた。これより、少なくともテアニン濃度50μ
M〜500μMといった低濃度域においては、脳室内直
接投与した場合に極めて優れた虚血性遅発性神経細胞死
保護効果があることが判明した。
【0018】
【効果】本発明の脳室内投与剤によれば、例えば内頸動
脈、中大脳動脈、前大脳動脈、椎骨脳底動脈などが血
栓、塞栓、血流等の影響で脳虚血を起こし、この脳虚血
に伴って生じる遅発性神経細胞死の抑制及びその拡大を
極めて有効に停止させることができ、脳梗塞や脳出血な
どの脳卒中や血管性痴呆症(老人性痴呆症)などの脳虚
血症状に伴う疾病、或いは事故等による脳損傷の治療及
び予防、特に手術による治療及び予防に有効である。
【0019】また、脳出血を伴う手術の際に投与するこ
とにより、脳手術により脳虚血状態が生じても神経細胞
死の抑制を図ることができ、脳手術の危険を効果的に低
下させることができるから「脳内手術時投与剤」として
も有効である。なお、テアニンは、現在食品添加物とし
て認可され、かつ日常的に摂取されているものであるか
ら、安全性に問題がないことも明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】テアニンを各種方法にてスナネズミに投与し、
その後一過性前脳虚血を負荷して7日経過後の残存神経
細胞数を比較したグラフであって、縦軸は残存神経細胞
数を、横軸は投与方法(群)と投与量を示している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 海野 知紀 静岡県榛原郡相良町女神21 株式会社伊藤 園中央研究所内 (72)発明者 牛谷 公郎 静岡県榛原郡相良町女神21 株式会社伊藤 園中央研究所内 (72)発明者 片岡 喜由 愛媛県松山市畑寺1丁目4−19 (72)発明者 柳瀬 尚人 愛媛県松山市北梅本町甲800−8 Fターム(参考) 4C206 GA18 MA01 NA14 ZA01 ZA15 ZA36 ZB21 ZC52 4H006 AA01 NB12

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テアニンを有効成分として含有する虚血
    性神経細胞死治療用脳室内投与剤。
  2. 【請求項2】 テアニンを有効成分として含有する虚血
    性神経細胞死予防用脳室内投与剤。
  3. 【請求項3】 テアニンを有効成分として含有する血管
    性痴呆症治療用脳室内投与剤。
  4. 【請求項4】 テアニンを有効成分として含有する血管
    性痴呆症予防用脳室内投与剤。
  5. 【請求項5】 テアニンを有効成分として含有する脳内
    手術時投与剤。
JP11035844A 1999-02-15 1999-02-15 虚血性神経細胞死治療・予防用脳室内投与剤、血管性痴呆症治療・予防用脳室内投与剤、並びに脳内手術時投与剤 Pending JP2000229854A (ja)

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