JP2000227426A - ラテックスのカルボニル基の定量方法 - Google Patents

ラテックスのカルボニル基の定量方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ラテックスのカルボニル基を定量できる簡便
な方法を提供する。 【解決手段】 ラテックスに、カルボニル基と反応しう
る化合物(A)をカルボニル基に対して過剰に添加して
反応させ、次いで化合物(A)と反応しうる化合物
(B)を未反応の化合物(A)に対して過剰に添加して
反応せしめて化合物(C)を生成せしめ、化合物(C)
を定量する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カルボニル基を含
有するラテックスのカルボニル基の新規な定量方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】化合物中のカルボニル基量を定量する方
法としては、ヒドロキシルアミンで直接定量する方法、
カールフィッシャー法、ジニトロフェニルヒドラジンに
よる比色定量法、銀化合物による定量法、メチルベンゾ
チアゾロン−ヒドラゾン定量法、クロモトローブ酸によ
る方法、紫外線吸収による定量法、赤外線吸収による定
量法が挙げられる。近年、コーティング分野などにおい
て有機溶剤系から水系への転換素材としてラテックスが
利用される傾向にある。その際、塗膜の耐水性向上など
のためにカルボニル基が利用されることがある。
【0003】しかし、ラテックス中には、カルボニル基
以外にカルボン酸などの他の官能基が共存することが多
く、カルボニル基のみを精度良く定量することは従来困
難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、カル
ボニル基を有するラテックスについて、ラテックス中の
カルボニル基の分布が定量できる簡便な技術を提供する
ことにある。特にラテックス粒子にカルボニル基以外の
基例えばカルボン酸基などが存在する場合、もしくはラ
テックスに各種の不純物などが混在している場合などで
あってもラテックスのカルボニル基を精度良く定量でき
る定量方法を提供することを課題とする。
【0005】さらには、ラテックス中でカルボニル基が
分布を有している場合、すなわち、水相部、ラテックス
粒子表面部、ラテックス粒子内部などでカルボニル基量
が異なる場合に、各部分におけるカルボニル基の分布を
精度良くかつ簡便に把握できる方法を提供することを課
題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明者らは上記課題を解
決すべく鋭意検討した結果、ラテックスのカルボニル基
を直接定量するのではなく、カルボニル基に他の化合物
を反応せしめ、定量しやすい物質に変換することによ
り、従来、不純物が混在する場合に定量が難しかったラ
テックスのカルボニル基を、精度良く定量することがで
きることを見いだし、本発明に到達した。
【0007】即ち本発明の第1は、カルボニル基を含有
するラテックスに、該ラテックス中のカルボニル基と反
応しうる化合物(A)を該カルボニル基に対して過剰当
量添加して該カルボニル基と反応させ、次いで、該化合
物(A)と反応しうる化合物(B)を未反応の該化合物
(A)に対して過剰当量添加して該未反応の化合物
(A)と反応せしめて化合物(C)を生成せしめたの
ち、該化合物(C)を定量する、前記カルボニル基を有
するラテックスのカルボニル基の定量方法である。
【0008】発明の第2は、化合物(A)が水溶性第1
級アミン化合物の酸性塩であり、化合物(B)がケトン
化合物またはアルデヒド化合物であり、化合物(C)が
該酸性塩由来の酸である発明の第1に記載の定量方法で
ある。発明の第3は、水溶性第1級アミン化合物の酸性
塩を添加してカルボニル基と反応せしめたのち、ラテッ
クスのpHを2〜10に調整し、および水溶性第1級ア
ミン化合物の酸性塩由来の酸の定量を、ラテックスのp
Hをケトン化合物若しくはアルデヒド化合物の添加前の
pHとするのに要する塩基の量として測定する発明の第
2記載の定量方法である。
【0009】発明の第4は、化合物(A)が水溶性第1
級アミン化合物であり、化合物(B)がケトン化合物ま
たはアルデヒド化合物であり、化合物(C)がオキシム
化合物である発明の第1に記載の定量方法である。発明
の第5は、カルボニル基を有するラテックスに対し、下
記の工程〜の少なくとも一種を行って、ラテックス
各部分のカルボニル基量を計算する、カルボニル基を有
するラテックスのカルボニル基分布の定量方法である。
【0010】 ラテックスに対し、発明の第1ないし
4に記載のいずれかの方法でカルボニル基量Aを定量す
る。 ラテックスを溶解せしめたあと、発明の第1ないし
4に記載のいずれかの方法で全カルボニル基量Bを定量
する。 ラテックスに対して過剰の乳化剤を添加混合し、次
に固液分離し、発明の第1ないし4に記載のいずれかの
方法で、水相部分のカルボニル基量Cを定量する。
【0011】 ラテックスに対して過剰の乳化剤を添
加混合し、次に固液分離し、発明の第1ないし4に記載
のいずれかの方法で、固相部分のカルボニル基量Dを定
量する。 ラテックスに対して過剰の乳化剤を添加混合し、次
に固液分離したあと、固相部分を溶解せしめ、発明の第
1ないし4に記載のいずれかの方法で、カルボニル基量
Eを定量する。
【0012】 ラテックスをそのまま固液分離し、発
明の第1ないし4に記載のいずれかの方法で、水相部分
のカルボニル基量Fもしくは固相部分のカルボニル基量
Gを定量する。 以下、本発明について詳細に説明する。本発明の定量方
法では、まず、カルボニル基を有するラテックスに、該
ラテックス中のカルボニル基と反応しうる化合物(A)
を該カルボニル基に対して過剰当量添加して、カルボニ
ル基の全量と反応させる。
【0013】カルボニル基を有するラテックスとして
は、分子中に少なくとも1個のケト基および/又はアル
ド基を含有するラテックスであれば良い。ラテックスと
しては、スチレンブタジエンラテックス、NBRラテッ
クス、塩化ビニリデン系ラテックス、ウレタンラテック
ス、酢酸ビニル、酢酸ビニル−アクリル、酢酸ビニル−
VeoVaラテックス等の酢酸ビニル系ラテックス、ス
チレン−アクリル系ラテックス、オールアクリル系ラテ
ックス、シリコーン変性アクリル系ラテックス、フッソ
−アクリルラテックス等のアクリル系ラテックスが挙げ
られる。これらの粒子径は、例えば0.01μ〜100
μであり、さらには0.05μ〜10μである。
【0014】カルボニル基を有するラテックスのカルボ
ニル基は、分子中に少なくとも1個のアルド基またはケ
ト基を有する単量体を共重合することによってラテック
スに導入されるか、カルボニル基を有する高分子化合物
をラテックスの重合中またはラテックスへ直接添加する
ことによってラテックスと複合化され、カルボニル基を
有するラテックスが得られる。
【0015】分子中に少なくとも1個のアルド基または
ケト基を有する単量体を具体的に示せば、アクロレイ
ン、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリル
アミド、ホルミルスチロール、ビニルメチルケトン、ビ
ニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトン、アクリル
オキシアルキルプロパナール類、メタクリルオキシアル
キルプロパナール類、ジアセトンアクリレート、ジアセ
トンメタクリレート、アセトニルアクリレート、2−ヒ
ドロキシプロピルアクリレートアセチルアセテート、ブ
タンジオールアクリレートアセチルアセテート、アセト
ンジカルボン酸、ジヒドロキシアセトン、モノヒドロキ
シアセトン、及びジヒドロキシベンズアルデヒド等が挙
げられ、これらの一種または二種以上を用いることがで
きる。
【0016】カルボニル基を有する高分子化合物として
は、少なくとも2個のアルド基またはケト基を有するも
のであれば良く、従来公知のポリウレタン系、ポリエス
テル系、ポリ(メタ)アクリレート系、ポリビニルアセ
テート系、ポリブタジエン系、ポリ塩化ビニル系、塩素
化ポリプロピレン系、ポリエチレン系、ポリスチレン
系、ポリスチレン−(メタ)アクリレート系共重合体、
ロジン系誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体の
アルコール付加物、セルロース系樹脂などのポリカルボ
ニル化合物が挙げられ、これらの一種または二種以上を
用いることができる。
【0017】本発明においてカルボニル基を有するラテ
ックスが該ラテックス中に、不純物として硫酸根および
/又はカルボン酸根と共存していてもカルボニル基分布
定量が可能であり、具体的には硫酸根が硫酸イオン化合
物、スルホン酸基を持つ化合物、スホネート基を持つ化
合物が挙げられおよびその塩も含まれ、カルボン酸根
が、炭酸イオン化合物、カルボン酸基を持つ化合物が挙
げられおよびその塩も含まれる。
【0018】カルボニル基と反応しうる化合物(A)
は、溶媒に溶解し、カルボニル基と反応性を有するもの
である。具体的には、第1級アミン化合物類、第1級ア
ミン化合物類の酸性塩、シアン化物類、亜硫酸水素塩、
ヒドラジン化合物類、アルコール類、ハロゲン化合物
類、イリド化合物類、銀化合物類が例示される。具体的
には、第1級のアミン化合物によるオキシム化合物の生
成量を定量する方法、第1級アミン化合物の酸性塩を反
応させる方法、シアン化物の付加反応によるニトリル化
合物の生成量またはシアン化物の残量を定量する方法、
亜硫酸水素塩による亜硫酸水素塩付加物の生成量または
亜硫酸水素塩の残量を定量する方法、ヒドラジン化合物
によるヒドラゾン化合物の生成量またはヒドラジン化合
物の残量を定量する方法、アルコールの付加によるアセ
タール化合物の生成量またはアルコールの残量を定量す
る方法、ハロゲン化合物によるα−ハロゲン化物の生成
量またはハロゲン化物の残量を定量する方法、イリド化
合物を用いたwittig反応による化合物の生成量ま
たはイリド化合物の残量を定量する方法、銀化合物等に
よる銀の生成量または銀化合物等の残量を定量する方法
が挙げられるが、分析精度、簡便さの点において、第1
級アミン化合物もしくはその酸性塩を反応させる方法が
優れている。特に簡便さに優れているのは酸性塩を反応
させる方法である。
【0019】第1級アミン化合物類としては、メチルア
ミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ヒドロキシ
ルアミン、エタノールアミン、ジメチルヒドラジン等が
挙げられ、好ましくはヒドロキシルアミンである。第1
級アミン化合物類の酸性塩としては、上記に記載の第1
級アミン化合物類の塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩、硝酸塩、
乳酸塩、ヒドロキシ酢酸塩が挙げられるが、好ましく
は、ヒドロキシルアミン塩酸塩である。
【0020】シアン化物類としては、シアン化ナトリウ
ムシアン化カリウムが挙げられ、亜硫酸水素塩として
は、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウムが挙げ
られ、ヒドラジン化合物類としては、ヒドラジン、フェ
ニルヒドラジン、セミカルバジド、フェニルセミカルバ
ジドが挙げられ、アルコール類としては、メタノール、
エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコー
ルが挙げられ、ハロゲン化合物としては、塩素、臭素、
ヨウ素が挙げられ、イリド化合物類としては、メチレン
トリフェニルホスホランが挙げられ、また、銀化合物類
としては、Tollens試薬が挙げられる。
【0021】本発明において、カルボニル基を有するラ
テックスに対する化合物(A)の添加量は、ラテックス
のカルボニル基量より過剰であればよいが、ラテックス
のカルボニル基1当量に対して1.05当量以上が好ま
しく、1.5当量以上であることがさらに好ましく、3
当量以上であることがさらに好ましい。カルボニル基を
定量するためには、上記化合物(A)とカルボニル基と
の反応による生成物の量もしくは化合物(A)の未反応
量を定量しても良い。しかし、測定精度を高くするため
には、さらに化合物(B)を添加して第2段目の反応を
行うのがよい。
【0022】第2段目の反応としては、カルボニル基と
反応しないで残っている化合物(A)に対して、化合物
(B)を過剰当量添加して、残っている化合物(A)の
全量を化合物(B)と反応せしめて化合物(C)を生成
せしめる。化合物(B)は、ラテックスの溶媒に溶解
し、化合物(A)と反応するものであればよく特に制限
されないが、生成する化合物(C)が簡便に精度良く測
定できる化合物になるよう選択する。
【0023】具体的には、化合物(A)として第1級ア
ミン化合物もしくはその酸性塩を用いた場合には、化合
物(B)として、ケトン化合物、アルデヒド化合物、エ
ポキシ基含有化合物、カルボン酸ハロゲン化合物、スル
ホン酸ハロゲン化合物、酸無水物、亜硝酸塩等が挙げら
れる。これらの中では、化合物(B)として、ケトン化
合物もしくはアルデヒド化合物を用いることが簡便で好
ましい。
【0024】化合物(A)として第1級アミン化合物を
用い、化合物(B)として、ケトン化合物もしくはアル
デヒド化合物を用いた場合は、生成する化合物(C)は
ケトオキシム化合物またはアルドオキシム化合物であ
り、これを定量すればよい。化合物(A)として第1級
アミン化合物の酸性塩を用い、化合物(B)として、ケ
トン化合物もしくはアルデヒド化合物を用いた場合は、
化合物(C)は遊離する酸であり、これを定量すればよ
い。特に優れているのは酸性塩を用いる方法である。
【0025】その他、化合物(A)として第1級アミン
化合物もしくは第1級アミン化合物の酸性塩を用いる場
合に、化合物(B)としてエポキシ基含有化合物を用い
てその反応生成物を定量する方法、カルボン酸ハロゲン
化物またはスルホン酸ハロゲン化物との反応によるN−
置換アミドまたはN−置換スルホンアミドを定量する方
法、酸無水物との反応によるN−置換アミドを定量する
方法、亜硝酸塩との反応によりジアゾニウム塩にした
後、そのまま定量するかさらに、ハロゲン基、水酸基に
よるジアゾニウム基の置換反応物、または酸によるジア
ゾニウム基とH基との置換反応物を定量する方法も挙げ
られる。
【0026】化合物(B)として用いることができるケ
トン化合物としては、低分子量のケトン化合物であれば
特に制限無く、アセトン、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトンが挙げられ、またアルデヒド化合物と
しては、低分子量のアルデヒド化合物であれは特に制限
無く用いることができ、ホルムアルデヒド、アセトアル
デヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒドが挙げら
れる。ただし、水溶性であることが好ましく、具体的に
はアセトンが挙げられる。
【0027】化合物(B)の添加量は、未反応の化合物
(A)に対して過剰量であればよいが、添加した化合物
(A)1当量に対して、1.01当量以上とすることが
安全であり望ましい。また1.2当量以上であることが
さらに好ましい。化合物(C)の測定方法としては、特
に制限されないが、測定精度や簡便さを考慮するとガス
クロマトグラフィーもしくは高速液体クロマトグラフィ
ーを使用することが望ましい。
【0028】なお、化合物(C)としてオキシム化合物
を定量する場合は、カルボニル基を有するラテックスと
化合物(A)として添加した第1級アミン化合物との反
応物と、第1級アミン化合物と化合物(B)として添加
したケトン化合物もしくはアルデヒド化合物との反応物
が混在することになる。多くの場合、ラテックスと化合
物(C)は分子量や疎水度が異なるため容易に分離でき
るが、区別することが困難な場合は、あらかじめ両者を
何らかの手段を用いて分離しておく必要がある。
【0029】化合物(A)として第1級アミン化合物の
酸性塩を用い、化合物(B)として、ケトン化合物もし
くはアルデヒド化合物を用いた場合は、化合物(C)と
して定量すべき酸を精度良く定量するために、カルボニ
ル基を有するラテックスに、該ラテックス中のカルボニ
ル基に対し過剰量の第1級アミン化合物の塩を添加し反
応させた後、ラテックスのpHを2〜10の範囲内に調
整することが反応速度を速める目的から好ましい。さら
に系のpHを2〜8の範囲内に調整することは好まし
く、3〜6に調整することはさらに好ましい。pHの調
整には強塩基を使用することが好ましく、具体的には、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用することが好
ましい。
【0030】この場合、化合物(C)としての酸の定量
は、系のpHを上記のように2〜10の範囲内に調整し
たあとに、未反応の水溶性第1級アミン化合物の塩に対
し過剰量のケトン化合物もしくはアルデヒド化合物を添
加し、続いて系のpHを該ケトン化合物および/または
アルデヒド化合物の添加前の値にするのに要する塩基の
量を定量するのがよい。また使用する塩基としては、強
塩基を使用することが好ましく、具体的には、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウムを使用することが好ましい。
【0031】また、ラテックスに、過剰量の第1級アミ
ン化合物の塩を添加し反応させるには、5℃〜100℃
で30分以上加熱処理することが望ましく、特に反応時
の分散安定性を確保する目的から、10℃〜80℃で1
時間以上加熱処理することが好ましい。また20℃〜5
0℃の範囲で2時間以上加熱処理することがさらに好ま
しい。
【0032】本発明において、ラテックスに化合物
(A)として第1級アミン化合物を添加する際、界面活
性剤を併せて添加することが好ましい。界面活性剤とし
ては、ノニオン系界面活性剤を使用することが好まし
く、さらに界面活性剤を添加すると共に液のpHを3〜
11に調整することが好ましい。さらに好ましくは、ラ
テックスに化合物(A)として第1級アミン化合物の塩
を添加する際に、ノニオン系界面活性剤を添加し、さら
に液のpHを4〜10に調整することである。これらの
操作により水性媒体中での正確な定量が可能となる。ノ
ニオン系界面活性剤の添加量としては、好ましくはラテ
ックス100重量部(水を含んだ量である。)に対し
0.1〜300重量部、さらに好ましくはラテックスに
対し0.5〜50重量部である。
【0033】本発明の方法を用いてラテックスのカルボ
ニル基を求めるには、定量した化合物(C)若しくは未
反応の化合物(A)の量から、ラテックスのカルボニル
基量を計算で求めればよい。次に、ラテックスのカルボ
ニル基分布を定量する方法、すなわち発明の第5につい
て説明する。
【0034】ラテックスは、固相であるラテックス粒子
部分と、水溶性ポリマーとなっている水相部分に分ける
ことができ、いずれにもカルボニル基が存在しうる。カ
ルボニル基がどの程度固相部分および水相部分に存在す
るのかは、ラテックスの性能に関係する重要な項目であ
る。水相部分は、例えば水中に溶解している部分と、ラ
テック表面に吸着している部分とに分けることができ
る。またラテックス粒子は例えばラテックス粒子の表面
部分と内部部分に分けることもでき、カルボニル基がど
のようにそれぞれの部分に分布しているかも、ラテック
ス性能に関係する重要な項目である。
【0035】発明の第5では、まずカルボニル基を有す
るラテックスに対し、目的に応じて、下記の工程〜
の少なくとも一種を行う。 ラテックスに対し、発明の第1ないし4に記載のい
ずれかの方法でカルボニル基量Aを定量する。 ラテックスを溶解せしめたあと、発明の第1ないし
4に記載のいずれかの方法で全カルボニル基量Bを定量
する。
【0036】 ラテックスに対して過剰の乳化剤を添
加混合し、次に固液分離し、発明の第1ないし4に記載
のいずれかの方法で、水相部分のカルボニル基量Cを定
量する。 ラテックスに対して過剰の乳化剤を添加混合し、次
に固液分離し、発明の第1ないし4に記載のいずれかの
方法で、固相部分のカルボニル基量Dを定量する。
【0037】 ラテックスに対して過剰の乳化剤を添
加混合し、次に固液分離したあと、固相部分を溶解せし
め、発明の第1ないし4に記載のいずれかの方法で、カ
ルボニル基量Eを定量する。 ラテックスをそのまま固液分離し、発明の第1ない
し4に記載のいずれかの方法で、水相部分のカルボニル
基量Fもしくは固相部分のカルボニル基量Gを定量す
る。
【0038】上記の〜のいずれの工程でも、発明の
第1〜4に記載のいずれかの定量方法を用いてラテック
スの各部分のカルボニル基量を定量する。の工程で
は、ラテックス粒子は粒子が分散している状態のままで
定量を行うため、粒子内部に埋もれているカルボニル基
は定量結果に寄与しないと考えられる。すなわち水相部
分と粒子表面部分に存在するカルボニル基量を定量して
いると考えられる。このようにして定量されたカルボニ
ル基量をAとする。
【0039】の工程では、ラテックス粒子を何らかの
手段によって溶解せしめてから定量を行うため、粒子内
部のカルボニル基も定量結果に寄与すると考えられる。
すなわち水相部分、粒子表面部分、粒子内部部分のすべ
ての部分のカルボニル基量が定量されると考えられる。
このようにして定量されたカルボニル基量をBとする。
なお、ラテックス粒子を溶解せしめる溶媒としては、例
えば、テトラヒドロキシフラン、N,N−ジメチルホル
ムアミド、ジメチルスルホオキシド、N,N−ジメチル
アセトアミドが挙げられる。
【0040】の工程では、まずラテックスに対して過
剰の乳化剤を添加混合する事により、粒子表面に吸着し
た成分を水性媒体中に溶解させ、しかるのちラテックス
を限外濾過、遠心分離等により固液分離し、粒子部分と
水相部分を分離してから、水相部分のカルボニル基量を
定量する。このカルボニル基量をCとする。の工程で
は、の工程と同様にラテックスを固液分離した後、粒
子部分を溶解せしめることなく、ラテックス粒子が分散
しているままでカルボニル基量を定量する。具体的に
は、固相を分離した後、乳化剤等を添加し、超音波振動
により再分散させてから、定量を行うことが好ましい。
このようにすることにより粒子表面部分に固定している
カルボニル基量が定量されると考えられる。このカルボ
ニル基量をDとする。
【0041】の工程では、の工程と同様にラテック
スを固液分離した後、粒子部分をの工程と同様にして
溶解せしめ、しかるのち、溶解した粒子部分のカルボニ
ル基量を測定する。このようにすることにより粒子の表
面部分と内部部分を併せた粒子全体に固定しているカル
ボニル基量が定量されると考えられる。このカルボニル
基量をEとする。
【0042】の工程では、水相部分の一部がラテック
ス粒子表面に吸着したままの状態でのカルボニル基量を
定量していると考えられる。からの工程は、これら
の少なくとも一種を行って目的とする部分のカルボニル
基量を測定すればよい。また、これらの工程の二種以上
を行うことにより、より明確にラテックスのカルボニル
基分布の全体像を把握することができるため好ましい。
【0043】からの定量工程の定量結果に基づい
て、各部分のカルボニル基量を計算するが、具体的に
は、例えば下記(1)〜(4)の式を適宜用いて必要な
部分のカルボニル基量を計算すれば良い。 (1)水相部分のカルボニル基量=CまたはA−Dまた
はB−E (2)ラテックス粒子表面部分のカルボニル基量=Dま
たはA−CまたはE+A−B (3)ラテックス粒子内部のカルボニル基量=E−Dま
たはB−AまたはB−C−D (4)ラテックス粒子表面に吸着しているカルボニル基
量=C−FまたはG−D 例えば、水相部分のカルボニル基量を知るためには、C
を定量するか、AとDを定量してその差を求めるか、も
しくはBとEを定量してその差を求めるかの方法が挙げ
られる。また、水相部分と粒子表面部分のカルボニル基
量を両方求めるためには、CとDを定量するか、AとD
を定量するか、AとCを定量するかのいずれかを採用す
ることで、できるだけ少ない工程でカルボニル基分布を
知ることができる。また、どの部分のカルボニル基量を
知りたいかにより、もっとも目的にかなった定量方法を
組み合わせて選択すればよい。
【0044】
【発明の実施の形態】実施例中の部は重量部を意味す
る。実施例中に用いられる各種物性の測定方法は、下記
の通りである。 メチルエチルケトキシムの定量 ガスクロマトグラフィーを用い内標法により求めた。
【0045】使用機器:島津 14B 限外濾過は、アドバンテック(株)ウルトラフィル
ターユニットを使用した。 自動滴定装置による酸の定量 三菱化学製 GT−05を使用した。
【0046】
【参考例1】カルボニル基を有するラテックス(1)の
調整。 還流冷却器、滴下槽、温度計および撹拌装置を有する反
応器に、イオン交換水514重量部、界面活性剤(商品
名:アデカリアソープSE−1025N、旭電化工業
(株)製)の25%水溶液7.2重量部を投入し、反応
容器中の温度を80℃に上げてから、過硫酸アンモニウ
ムの2%水溶液13.5重量部を投入し5分間攪拌し
た。次にメタクリル酸メチル57.2重量部、アクリル
酸ブチル108.4重量部、ダイアセトンアクリルアミ
ド5.4重量部、メタクリル酸9重量部、イオン交換水
120.2重量部、アデカリアソープSE−1025N
25%水溶液を5.76重量部、ポリオキシエチレンノ
ニルフェニルエーテル(商品名:エマルゲン950、花
王(株)製)の25%水溶液10.8重量部、過硫酸ア
ンモニウム2%水溶液9重量部の混合液を反応容器中へ
滴下槽より1時間かけて流入させた。流入中は反応容器
中の温度を80℃に保った。流入終了後、反応容器中の
温度を80℃にして0.75時間保った。次にメタクリ
ル酸メチル258.5重量部、アクリル酸ブチル43
0.9重量部、ダイアセトンアクリルアミド21.6重
量部、メタクリル酸9.0重量部、イオン交換水384
重量部、アデカリアソープSE−1025N25%水溶
液を23.0重量部、過硫酸アンモニウム2%水溶液3
6.0重量部の混合液を反応容器中へ滴下槽より2.5
時間かけて流入させた。流入終了後、反応容器中の温度
を80℃にして1.5時間保った。続いてその後室温ま
で冷却し、25%アンモニア水溶液を添加してpHを8
に調整してから100メッシュの金網で濾過し、固形分
44.6%、平均粒径1020Åのカルボニル基を有す
るラテックス(1)を得た。
【0047】
【参考例2】カルボニル基を有するラテックス(2)の
調整。 還流冷却器、滴下槽、温度計および撹拌装置を有する反
応器に、イオン交換水514.6重量部、ダイアセトン
アクリルアミド27.0重量部、界面活性剤(商品名:
アデカリアソープSE−1025N、旭電化工業(株)
製)の25%水溶液7.2重量部を投入し、反応容器中
の温度を80℃に上げた。次にメタクリル酸メチル5
7.2重量部、アクリル酸ブチル108.4重量部、メ
タクリル酸9重量部、イオン交換水120.2重量部、
アデカリアソープSE−1025N25%水溶液を5.
76重量部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ル(商品名:エマルゲン950、花王(株)製)の25
%水溶液10.8重量部、過硫酸アンモニウム2%水溶
液22.5重量部の混合液を反応容器中へ滴下槽より1
時間かけて流入させた。流入中は反応容器中の温度を8
0℃に保った。流入終了後、反応容器中の温度を80℃
にして0.75時間保った。次にメタクリル酸メチル2
58.5重量部、アクリル酸ブチル430.9重量部、
メタクリル酸9.0重量部、イオン交換水384.5重
量部、アデカリアソープSE−1025N25%水溶液
を23.0重量部、過硫酸アンモニウム2%水溶液3
6.0重量部の混合液を反応容器中へ滴下槽より2.5
時間かけて流入させた。流入終了後、反応容器中の温度
を80℃にして1.5時間保った。続いてその後室温ま
で冷却し、25%アンモニア水溶液を添加してpHを8
に調整してから100メッシュの金網で濾過し、固形分
44.6%、平均粒径1150Åのカルボニル基を有す
るラテックス(2)を得た。
【0048】
【実施例1】<水相部分のカルボニル基量Fの定量>参
考例1で得られたカルボニル基を有するラテックス
(1)を2.00g、水3.00gを添加混合し、約1
時間攪拌した。続いて分画分子量50000のフィルタ
ーにて限外濾過を行い、得られた濾液の内、1.20g
を他容器に取り、2%塩酸ヒドロキシルアンモニウム水
溶液0.50を添加し、30℃の温浴にて約8時間攪拌
反応させた。この反応液に水20gを添加し充分攪拌し
た後、反応液のpHを測定したところ、pHは5.81
であった。続いてこの反応液へ、0.1規定水酸化ナト
リウム水溶液を使用してpHを4.00に調整した後、
メチルエチルケトン1.00gを添加後、25℃にて充
分攪拌し、pHを測定したところpHは3.96であっ
た。続いて攪拌下にてこの反応液へ、0.02規定水酸
化カリウム水溶液を滴下し、pH4.00になる量を測
定した。この測定量から、カルボニル基Fの量として、
水性エマルジョン固形分1gに対し0.0117mmo
lであり、水性エマルジョン中の全カルボニル量の6.
7%が存在した。 <水相部分のカルボニル基量Cの定量(その1)>参考
例1で得られたカルボニル基をするラテックス(1)を
2.00g、水3.00gおよび界面活性剤(商品名ニ
ューコール506花王(株)製)25%水溶液0.35
g添加し約1時間攪拌した。続いて分画分子量5000
0のフィルターにて限外濾過を行い、得られた濾液の
内、1.20gを他容器に取り、2%塩酸ヒドロキシル
アンモニウム水溶液0.50gを添加し、30℃の温浴
にて約8時間攪拌反応させた。この反応液に水20gを
添加し充分攪拌した後、反応液のpHを測定したとこ
ろ、pHは5.62であった。続いてこの反応液へ、
0.1規定水酸化ナトリウム水溶液を使用してpHを
4.00に調整した後、メチルエチルケトン1.00g
を添加後、25℃にて充分攪拌し、pHを測定したとこ
ろpHは3.85であった。続いて攪拌下にてこの反応
液へ、0.02規定水酸化カリウム水溶液を滴下し、p
H4.00になる量を測定した。この測定量から、カル
ボニル基量Cは、ラテックス固形分1gに対し0.01
52mmolであり、ラテックス中の全カルボニル量の
8.7%が存在した。この定量結果を表1に示す。また
このCの値より前記のFの値を差し引くことによって、
ラテックス粒子表面に吸着しているカルボニル基量(C
−F)を0.0035mmolとして算出できた。 <水相部分のカルボニル基量Cの定量(その2)>参考
例1で得られたカルボニル基を有するラテックス(1)
を2.00g、水3.00gおよび界面活性剤(商品名
ニューコール506花王(株)製)25%水溶液0.3
5g添加し約1時間攪拌した。続いて遠心分離器により
26000rpmで2時間遠心分離を行い上澄み相1.
20gを他容器に取り、上記水相部分のカルボニル基量
Cの定量(その1)と同様の方法でカルボニル量を測定
したところ、上記(その1)の定量の値と一致した。 <ラテックス表面部分のカルボニル基量Dの定量>参考
例1で得られたカルボニル基を有するラテックス(1)
2.00gへ水5.00gおよび界面活性剤(商品名ニ
ューコール506花王(株)製)25%水溶液0.30
gを加え約10分攪拌した後、1.96%塩酸ヒドロキ
シルアンモニウム水溶液1.80gを添加し、30℃の
温浴にて約8時間攪拌し反応液を得た。この反応液のp
Hを測定したところ3.23であった。さらにこの反応
液の内、2.50gを他容器に取り、水20gを添加
し、0.1規定水酸化ナトリウム水溶液にてpHを4.
00に調整する。引き続き、メチルエチルケトン1.0
0gを添加し25℃で攪拌し、pHを測定したところ
1.68であった。続いて攪拌下にてこの反応液へ、
0.02規定の水酸化カリウム水溶液を滴下し、pH
4.00になる量を測定した。この測定量から、カルボ
ニル基量Aの値として、カルボニル量は水性エマルジョ
ン固形分1gに対し0.1054mmolであり、ラテ
ックス中の全カルボニル量の60.6%が存在した。こ
のAの値と、前記Cの値の関係式:D=A−CからDを
算出できる。この定量結果を表1に示す。 <ラテックス粒子内部に存在しているカルボニル基量B
−Aの定量>参考例1で得られたカルボニル基を有する
ラテックス(1)2.00gへにテトラヒドロキシフラ
ン10.0gを加え充分に攪拌し、溶解またはほぼ溶解
状態にした後、1.96%の塩酸ヒドロキシルアンモニ
ウム水溶液を1.80g添加し、30℃の温浴にて約8
時間攪拌し反応液を得た。この反応液のpHを測定した
ところpHは3.44であった。この反応液の一部であ
る3.80gを他容器に取り、水2gを加え、0.1規
定水酸化ナトリウム水溶液にてpHを4.00に調整す
る。続いてメチルエチルケトン1.00gを添加し25
℃で攪拌し、pHを測定したところpH1.68であっ
た。続いて攪拌下にてこの反応液へ、0.02規定の水
酸化カリウム水溶液を滴下し、pH4.00になる量を
測定した。この測定量から、全カルボニル量Bはラテッ
クス固形分1gに対し0.1740mmolであり、本
発明の定量方法にて、ジアセトンアクリルアミドに由来
する全カルボニル量0.1748mmolに対し99.
5%のカルボニル量を検出することができた。この全カ
ルボニル基量Bから上記Aの値を差し引き、ラテックス
粒子内部に存在しているカルボニル基量を算出できる。
この定量結果を表1に示す。
【0049】
【実施例2】<水性媒体中のカルボニル基量Fの定量>
参考例2で得られたカルボニル基を有するラテックス
(2)を2.00g、水3g添加し、約1時間攪拌し
た。続いて分画分子量50000のフィルターにて限外
濾過を行い、得られた濾液の内、1.20gを他容器に
取り、2%塩酸ヒドロキシルアンモニウム水溶液0.5
0gを添加し、30℃の温浴にて約8時間攪拌反応させ
た。この反応液に水20gを添加し充分攪拌した後、反
応液のpHを測定したところ、pHは5.70であっ
た。続いてこの反応液へ、0.1規定水酸化ナトリウム
水溶液を使用してpHを4.00に調整した後、メチル
エチルケトン1.00重量部を添加後、25℃にて充分
攪拌し、pHを測定したところpHは3.89であっ
た。続いて攪拌下にてこの反応液へ、0.02規定水酸
化カリウム水溶液を滴下し、pH4.00になる量を測
定した。この測定量から、カルボニル基Fの量として、
水性エマルジョン固形分1gに対し0.0245mmo
lであり、ラテックス中の全カルボニル量の14.2%
が存在した。 <水相部分のカルボニル基量Cの定量(その1)>参考
例2で得られたカルボニル基を有するラテックス(2)
へ水3.00gおよび界面活性剤(商品名ニューコール
506花王(株)製)25%水溶液0.35g添加し約
1時間攪拌した。続いて分画分子量50000のフィル
ターにて限外濾過を行い、得られた濾液の内、1.20
gを他容器に取り、2%塩酸ヒドロキシルアンモニウム
水溶液0.61gを添加し、30℃の温浴にて約8時間
攪拌反応させた。この反応液に水20gを添加し充分攪
拌した後、反応液のpHを測定したところ、pHは5.
44であった。続いてこの反応液へ、0.1規定水酸化
ナトリウム水溶液を使用してpHを4.00に調整した
後、メチルエチルケトン1.00gを添加後、25℃に
て充分攪拌し、pHを測定したところpHは1.85で
あった。続いて攪拌下にてこの反応液へ、0.02規定
水酸化カリウム水溶液を滴下し、pH4.00になる量
を測定した。この測定量から、カルボニル基量Cは、ラ
テックス固形分1gに対し0.0323mmolであ
り、ラテックス中の全カルボニル量の18.7%が存在
した。この定量結果を表1に示す。またこのCの値より
前記のFの値を差し引くことによって、ラテックス粒子
表面に吸着しているカルボニル基量(C−F)を0.0
078mmolとして算出できた。 <ラテックス表面部分のカルボニル基量Dの定量>参考
例2で得られたカルボニル基を有するラテックス(2)
2.00gへ水5gおよび界面活性剤(商品名ニューコ
ール506花王(株)製)25%水溶液0.30重量部
を加え約10分攪拌した後、1.96%塩酸ヒドロキシ
ルアンモニウム水溶液1.80gを添加し、30℃の温
浴にて約8時間攪拌し反応液を得た。この反応液のpH
を測定したところ3.11であった。さらにこの反応液
の内、2.50gを他容器に取り、水2gを添加し、
0.1規定水酸化ナトリウム水溶液にてpHを4.00
に調整する。引き続き、メチルエチルケトン0.50g
を添加し25℃で攪拌し、pHを測定したところ1.8
9であった。続いて攪拌下にてこの反応液へ、0.02
規定の水酸化カリウム水溶液を滴下し、pH4.00に
なる量を測定した。この測定量から、カルボニル基量A
の値として、カルボニル量はラテックス固形分1gに対
し0.0822mmolであり、ラテックスの全カルボ
ニル量の47.5%が存在した。このAの値と、前記C
の値の関係式:D=A−CからDを算出できる。この定
量結果を表1に示す。 <ラテックス粒子内部のカルボニル基量B−Aの定量>
参考例2で得られたカルボニル基を有するラテックス
(1)2.00gへテトラヒドロキシフラン10gを加
え充分に攪拌し、溶解またはほぼ溶解状態にした後、
1.96%の塩酸ヒドロキシルアンモニウム水溶液を
1.80g添加し、30℃の温浴にて約8時間攪拌し反
応液を得た。この反応液のpHを測定したところpHは
3.54であった。この反応液の一部3.80重量部を
他容器に取り、水20gを加え、0.1規定水酸化ナト
リウム水溶液にてpHを4.00に調整する。続いてメ
チルエチルケトン1.00gを添加し25℃で攪拌し、
pHを測定したところpH1.65であった。続いて攪
拌下にてこの反応液へ、0.02規定の水酸化カリウム
水溶液を滴下し、pH4.00になる量を測定した。こ
の測定量から、全カルボニル量Bはラテックス固形分1
gに対し0.1730mmolであり、本発明の定量方
法にて、ジアセトンアクリルアミドに由来する全カルボ
ニル量0.1748mmolに対し99.0%のカルボ
ニル量を検出することができた。この全カルボニル基量
Bから上記Aの値を差し引き、ラテックス粒子内部に存
在しているカルボニル基量を算出できた。この定量結果
を表1に示す。
【0050】
【比較例1】参考例1で得られたカルボニル基を有する
ラテックス(1)2.00gに水5.00g、界面活性
剤(商品名ニューコール506花王(株)製)25%溶
液0.30gを加え約10分間充分に攪拌した後に、
1.96%の塩酸ヒドロキシルアンモニウム1.80g
添加し、30℃の温浴にて約8時間攪拌した。続いてこ
の水溶液6.06gを別容器に取り、水を24gを添加
し、攪拌しながら0.02規定の水酸化カリウム水溶液
にて自動滴定装置にて生成した塩酸の量を直接滴定した
ところ明確な変曲点が得られず、カルボニル基量Aを定
量することができなかった。
【0051】
【比較例2】参考例2で得られたカルボニル基を有する
ラテックス(2)2.00gに水5g、界面活性剤(商
品名ニューコール506花王(株)製)25%溶液0.
30gを加え約10分間充分に攪拌した後に,2.01
%の塩酸ヒドロキシルアンモニウム1.78g添加し、
30℃の温浴にて約8時間攪拌した。続いてこの水溶液
6.05gを別容器に取り、水を24gを添加し、攪拌
しながら0.02規定の水酸化カリウム水溶液にて自動
滴定装置にて生成した塩酸の量を直接滴定したところ明
確な変曲点が得られず、カルボニル基量Aを定量するこ
とができなかった。
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】本法により、水性媒体中においてカルボ
ニル基を有するラテックスについて、カルボン酸や不純
物が存在しても精度良くかつ簡便にラテックス中のカル
ボニル基を測定できる。またラテックス中のカルボニル
基の分布を知ることもできる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボニル基を含有するラテックスに、
    該ラテックス中のカルボニル基と反応しうる化合物
    (A)を該カルボニル基に対して過剰当量添加して該カ
    ルボニル基と反応させ、次いで、該化合物(A)と反応
    しうる化合物(B)を未反応の該化合物(A)に対して
    過剰当量添加して該未反応の化合物(A)と反応せしめ
    て化合物(C)を生成せしめたのち、該化合物(C)を
    定量する、前記カルボニル基を有するラテックスのカル
    ボニル基の定量方法。
  2. 【請求項2】 化合物(A)が水溶性第1級アミン化合
    物の酸性塩であり、化合物(B)がケトン化合物または
    アルデヒド化合物であり、化合物(C)が該酸性塩由来
    の酸である請求項1に記載の定量方法。
  3. 【請求項3】 水溶性第1級アミン化合物の酸性塩を添
    加してカルボニル基と反応せしめたのち、ラテックスの
    pHを2〜10に調整し、および水溶性第1級アミン化
    合物の酸性塩由来の酸の定量を、ラテックスのpHをケ
    トン化合物若しくはアルデヒド化合物の添加前のpHと
    するのに要する塩基の量として測定する請求項2記載の
    定量方法。
  4. 【請求項4】 化合物(A)が水溶性第1級アミン化合
    物であり、化合物(B)がケトン化合物またはアルデヒ
    ド化合物であり、化合物(C)がオキシム化合物である
    請求項1に記載の定量方法。
  5. 【請求項5】 カルボニル基を有するラテックスに対
    し、下記の工程〜の少なくとも一種を行って、ラテ
    ックス各部分のカルボニル基量を計算する、カルボニル
    基を有するラテックスのカルボニル基分布の定量方法。 ラテックスに対し、請求項1ないし4に記載のいず
    れかの方法でカルボニル基量Aを定量する。 ラテックスを溶解せしめたあと、請求項1ないし4
    に記載のいずれかの方法で全カルボニル基量Bを定量す
    る。 ラテックスに対して過剰の乳化剤を添加混合し、次
    に固液分離し、請求項1ないし4に記載のいずれかの方
    法で、水相部分のカルボニル基量Cを定量する。 ラテックスに対して過剰の乳化剤を添加混合し、次
    に固液分離し、請求項1ないし4に記載のいずれかの方
    法で、固相部分のカルボニル基量Dを定量する。 ラテックスに対して過剰の乳化剤を添加混合し、次
    に固液分離したあと、固相部分を溶解せしめ、請求項1
    ないし4に記載のいずれかの方法で、カルボニル基量E
    を定量する。 ラテックスをそのまま固液分離し、請求項1ないし
    4に記載のいずれかの方法で、水相部分のカルボニル基
    量Fもしくは固相部分のカルボニル基量Gを定量する。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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