JP2000225861A - 動力出力装置およびその制御方法 - Google Patents

動力出力装置およびその制御方法

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JP2000225861A
JP2000225861A JP11027658A JP2765899A JP2000225861A JP 2000225861 A JP2000225861 A JP 2000225861A JP 11027658 A JP11027658 A JP 11027658A JP 2765899 A JP2765899 A JP 2765899A JP 2000225861 A JP2000225861 A JP 2000225861A
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Shigeru Matsuhashi
繁 松橋
Nobuyoshi Takagi
伸芳 高木
Akihiko Kanamori
彰彦 金森
Eiji Yamada
英治 山田
Satoshi Koide
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Shigetaka Nagamatsu
茂隆 永松
Kenichiro Fukumaru
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    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/60Other road transportation technologies with climate change mitigation effect
    • Y02T10/62Hybrid vehicles

Abstract

(57)【要約】 【課題】 オーバードライブ結合からアンダードライブ
結合へ切り換える場合に、その切換時間を短縮する。 【解決手段】 制御ユニット90はオーバードライブ結
合からアンダードライブ結合への切換指令を出し(S2
02)、これにより直ちに、切換装置80のアクチュエ
ータ86を始動する(S204)。制御ユニット90は
アクチュエータ86を制御してアシストモータ40のロ
ータ軸43をエンジン50のクランクシャフト56から
切り離す(S206)。制御ユニット90はアシストモ
ータ40を制御して、アシストモータ40の回転を加速
させ、アシストモータ40のロータ軸43の回転数を上
昇させ、ロータ軸43の回転数を駆動軸であるアウタロ
ータ軸35の回転数に合わせ込むように、回転数の同期
化を図る(S208)。制御ユニット90はロータ軸4
3の回転数がアウタロータ軸35の回転数に一致した
ら、アクチュエータ86を制御して、ロータ軸43をア
ウタロータ軸35に結合させる(S212)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動力源としてエン
ジンと電動機とを備える動力出力装置およびその制御方
法に関し、詳しくは、上記電動機を上記エンジンの出力
軸と駆動軸とに切り換えて結合可能な結合手段を有する
動力出力装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、エンジンと電動機とを動力源とす
る動力出力装置を搭載したハイブリッド車両が提案され
ている(例えば特開平9−47094に記載の技術
等)。ハイブリッド車両の一種としていわゆるパラレル
ハイブリッド車両がある。パラレルハイブリッド車両で
は、搭載した動力出力装置によって、エンジンから出力
された動力は、一部が動力調整装置により駆動軸に伝達
され、残余の動力が電力として回生される。この電力は
バッテリに蓄電されたり、エンジン以外の動力源として
の電動機を駆動するのに用いられる。このような動力出
力装置は、上述の動力の伝達過程において、動力調整装
置および電動機を制御することによって、エンジンから
出力された動力を任意の回転数およびトルクで駆動軸に
出力することができる。駆動軸から出力すべき要求出力
に関わらずエンジンは運転効率の高い動作点を選択して
運転することができるため、ハイブリッド車両はエンジ
ンのみを駆動源とする従来の車両に比べて省資源性およ
び排気浄化性に優れている。
【0003】上記の動力出力装置おける電動機の回転軸
の結合先は、駆動軸とエンジンの出力軸の2通りが可能
である。これらの結合について、電動機の回転軸を駆動
軸に結合した構成では、エンジンの回転数よりも駆動軸
の回転数が低いアンダードライブ動作時(アンダードラ
イブ走行時)に運転効率が高くなる特性がある。電動機
の回転軸をエンジンの出力軸に結合した構成は、逆に、
エンジンの回転数よりも駆動軸の回転数が高いオーバー
ドライブ動作時(オーバードライブ走行時)に運転効率
が高くなる特性がある。
【0004】そこで、従来では、電動機の回転軸の結合
状態を、駆動軸側とエンジンの出力軸側とで切り換え可
能に構成した動力出力装置を搭載するハイブリッド車両
が提案されている(例えば、特開平10−75501記
載のハイブリッド車両)。かかる動力出力装置では、電
動機の回転軸と駆動軸またはエンジンの出力軸との結合
/切り離しを、クラッチを備えた切換装置や、シンクロ
ナイズドギヤを備えた切換装置を用いて行なっていた。
ここで、シンクロナイズドギヤとは、軸方向に直列に配
置された2つ以上のギヤと、これらのギヤと選択的に噛
合可能な可動ギヤとから構成される機構をいう。
【0005】それでは、このような動力出力装置におけ
る結合状態の切換装置について簡単に説明する。なお、
ここでは、動力調整装置として、対ロータ電動機である
クラッチモータ30を用い、切換装置として、シンクロ
ナイズドギヤを備えた装置を用いる場合を例にとって説
明する。
【0006】図12は電動機の回転軸の結合状態を切り
換え可能に構成した一般的な動力出力装置の要部を示す
構成図である。
【0007】図12に示すように、エンジン50の出力
軸であるクランクシャフト56と、車輪26を駆動する
ための動力を出力する伝達軸22との間には、ハイブリ
ッドユニット20が配設されている。ハイブリッドユニ
ット20内には、対ロータ電動機であるクラッチモータ
30と、電動機であるアシストモータ40と、そのアシ
ストモータ40のロータ軸43の結合先を選択的に切り
換える切換装置80と、が設けられている。
【0008】これらのうち、クラッチモータ30は、イ
ンナロータ32とアウタロータ34とを備えており、通
常の電動機におけるロータに相当するインナロータ32
のみならず、アウタロータ34も自由に回転することが
できる。クラッチモータ30のインナロータ32には、
インナロータ軸33が結合されており、アウタロータ3
4には、駆動軸であるアウタロータ軸35が結合されて
いる。インナロータ軸33は、図示しないダンパを介し
てクランクシャフト56に結合されている。アウタロー
タ軸35は、出力用ギヤ21,チェーン23を介して伝
達軸22に結合されている。この伝達軸22は、更に減
速機24およびディファレンシャルギヤ25を介して、
駆動輪26R,26Lを備えた車軸26に結合されてい
る。
【0009】アシストモータ40はロータ42とステー
タ44とを備えている。このうち、ステータ44はケー
スに固定され、ロータ42は中空のロータ軸43に結合
されている。中空のロータ軸43の軸中心は、クランク
シャフト56に結合されたインナロータ軸33が貫通し
ている。
【0010】切換装置80はシンクロナイズドギヤであ
って、クラッチモータ30のアウタロータ軸35に結合
された第1ギヤ81と、インナロータ軸33に結合され
た第2ギヤ82と、何れの軸にも結合されていない第3
ギヤ83と、可動部材87と、で構成されている。可動
部材87の片側には、第1ないし第3ギヤ81〜83に
噛合し得る可動ギヤ84が設けられおり、他の片側はス
プライン85を介してアシストモータ40のロータ軸4
3に摺動自在に結合されている。したがって、可動ギヤ
84は、ロータ軸43と回転を共にしながら、ロータ軸
43に対してその軸方向に移動することができる。切換
装置80には、可動部材87を駆動して、可動ギヤ84
の位置を切り換えるアクチュエータ86が設けられてい
る。アクチュエータ86は、モータあるいはソレノイド
などにより実現可能であり、図示していない制御ユニッ
トにより制御される。
【0011】可動ギヤ84が、図12中の位置aにある
ときは、第1ギヤ81と可動ギヤ84とが噛合し、アシ
ストモータ40のロータ軸43は、駆動軸であるクラッ
チモータ30のアウタロータ軸35に結合されることに
なる。この結果、エンジン50から出力された動力は、
クラッチモータ30を経て、駆動軸であるアウタロータ
軸35に出力されるが、このアウタロータ軸35に対し
て、アシストモータ40が動力をやり取りすることが可
能となる。この構成を模式的に示したのが図13であ
る。切換装置80が、可動ギヤ84を位置aに切り換え
たときは、図13の構成と等価である。以下、この結合
状態をアンダードライブ結合と呼ぶ。
【0012】他方、切換装置80が可動ギヤ84を、図
12中の位置cに切り換えたときは、第2ギヤ82と可
動ギヤ84とが噛合し、アシストモータ40のロータ軸
43はクラッチモータ30のインナロータ軸33に結合
され、延いてはエンジン50の出力軸であるクランクシ
ャフト56に結合されることになる。この結果、エンジ
ン50からクラッチモータ30を経て駆動軸であるアウ
タロータ軸35に出力される動力の出力系統に対して、
アシストモータ40はインナロータ軸33やクランクシ
ャフト56との間で動力のやり取りを行なうことが可能
となる。この構成を模式的に示したのが図14である。
切換装置80が可動ギヤ84を位置cに切り換えたとき
は、図14の構成と等価である。以下、この結合状態を
オーバードライブ結合と呼ぶ。
【0013】切換装置80は、可動ギヤ84を、第3ギ
ヤ83と噛合する位置bに切り換えることも可能であ
る。この位置では、可動ギヤ84は、第1ギヤ81およ
び第2ギヤ82のいずれとも噛合してない中立状態にな
る。このときエンジン50から出力された動力は、クラ
ッチモータ30を経てそのまま駆動軸であるアウタロー
タ軸35に出力される。
【0014】制御ユニット(図示せず)は、ハイブリッ
ド車両の走行状態に応じて、切換装置80を制御して、
アシストモータ40のロータ軸43の結合状態を切り換
える。基本的には、エンジン50の回転数が駆動軸であ
るアウタロータ軸35の回転数よりも大きくなった場合
には、切換装置80を制御して、アンダードライブ結合
(アシストモータ40のロータ軸43を駆動軸であるア
ウタロータ軸35に結合)にする。逆に、エンジン50
の回転数が駆動軸であるアウタロータ軸35の回転数よ
りも小さくなった場合には、オーバードライブ結合(ア
シストモータ40のロータ軸43をエンジン50の出力
軸であるクランクシャフト56に結合)にする。こうす
ることによってアンダードライブ動作、オーバードライ
ブ動作の双方において、効率の高い運転を実現してい
る。
【0015】さて、このような電動機の回転軸の結合状
態を切り換え可能な動力出力装置においては、電動機の
回転軸の結合状態を、オーバードライブ結合からアンダ
ードライブ結合に切り換える場合、従来では、次のよう
な手順で行なっていた。
【0016】図15は従来の動力出力装置におけるオー
バードライブ結合からアンダードライブ結合へ切り換え
る際の各構成要素の動作状態の時間的推移を示すタイミ
ングチャートである。
【0017】このようなオーバードライブ結合からアン
ダードライブ結合へ切り換えは、例えば、ハイブリッド
車両を定常走行させている場合に、運転者がアクセルペ
ダルを踏み込んで、駆動軸であるアウタロータ軸35か
らの出力トルクを増加して、車両を加速させる場合など
に生じる。
【0018】図15において、aは制御ユニットが出す
切換指令、b,cは制御ユニットの制御モード、d,
e,fは切換装置80の動作状態、gはエンジン出力、
hはエンジン50、駆動軸であるアウタロータ軸35,
アシストモータ(AM)40の回転数、i,j,kはク
ラッチモータ(CM)30の動作状態、l,m,nはア
シストモータ(AM)40の動作状態をそれぞれ示す。
なお、切換装置80の切換許容差速範囲は約300r.p.
m以下であるとする。切換装置80において、可動ギヤ
84にはアシストモータ40のロータ軸43が、第2ギ
ヤ82にはエンジン50のクランクシャフト56及びク
ラッチモータ30のインナロータ軸33が、第1ギヤ8
1にはクラッチモータ30のアウタロータ軸35が、そ
れぞれにつながっているため、何れも、イナーシャが大
きくなっている。従って、可動ギヤ84を第2ギヤ82
または第1ギヤ81に結合させる場合、可動ギヤ84と
第2ギヤ82または第1ギヤ81との差速があまりに大
きいと、両者の間で大きな磨耗が生じてしまう。そのた
め、切換装置80には、上記したような切換許容差速範
囲が設定されている。
【0019】それでは、図15を用いて、切り換え手順
を順次説明する。運転者がアクセルペダルを踏み込む
(キックダウン)と、制御ユニットは、その踏込量か
ら、駆動軸であるアウタロータ軸35から出力すべき要
求出力を算出し、その要求出力が所定の条件を満たして
いる場合に切換指令を発する(aの手順)。
【0020】次に、制御ユニットは、図示せざる燃料噴
射制御ユニットを介してエンジン50の出力をアップす
る(gの手順)。続いて、制御ユニットは、駆動軸で
あるアウタロータ軸35とエンジン50の出力軸である
クランクシャフト56との差速が切換許容差速範囲であ
る約300r.p.m以下になったかどうかを判定し、差速
が約300r.p.m以下になったら(hの手順)、切換
装置80のアクチュエータ86を始動し(dの手順
)、オーバードライブ(OD)結合状態から中立状態
へ移行させるために、可動ギヤ84を第2ギヤ82から
切り離す。そのとき同時に、制御ユニットは、アシスト
モータ40を発電状態から(n参照)、発電(回生)も
駆動(力行)も行なわれないニュートラル状態に移行さ
せ、可動ギヤ84の第2ギヤ82からの切り離しがスム
ーズに行なわれるようにする(mの手順)。
【0021】次に、制御ユニットは、アクチュエータ8
6を制御して、可動ギヤ84を第3ギヤ83に結合さ
せ、中立状態に移行させる(eの手順)。また、この
間、制御ユニットは、アシストモータ40を駆動状態に
して(l参照)、アシストモータ40を一定のトルクで
回転数を徐々に上昇させる(h参照)。そして、制御ユ
ニットは、アクチュエータ86を制御して、可動ギヤ8
4を第3ギヤ83から切り離し(eの手順)、第1ギ
ヤ81へ結合して、中立状態からアンダードライブ(U
D)結合状態に移行させる(fの手順)。そして、制
御ユニットは、アシストモータ40のトルクアップを図
るとともに(l参照)、エンジン50の回転数が駆動軸
であるアウタロータ軸35の回転数に一致したら(hの
手順)、クラッチモータ30を駆動状態から発電状態
へと移行させる(iおよびk参照)。
【0022】以上のようにして、従来においては、オー
バードライブ結合からアンダードライブ結合への切り換
えを行なっていた。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来において
は、オーバードライブ結合からアンダードライブ結合へ
の切り換える際に、制御ユニットにおいて、算出した要
求出力が所定の条件を満たし後、駆動軸であるアウタロ
ータ軸35とエンジン50の出力軸であるクランクシャ
フト56との差速が、切換装置80の切換許容差速範囲
内になるのを確認してから、切換装置80のアクチュエ
ータ86を始動していたので、その分、切換時間が長く
なるという問題があった。また、そのため、運転者がア
クセルペダルを踏み込んでから、その踏込量に見合った
トルクが駆動軸であるアウタロータ軸35から実際に出
力されるまでに、1秒以上もの長い時間がかかってしま
い、運転者にとってレスポンスの悪いものとなってい
た。
【0024】従って、本発明の目的は、上記した従来技
術の問題点を解決し、オーバードライブ結合からアンダ
ードライブ結合へ切り換える場合に、その切換時間を短
縮することが可能な動力出力装置およびその制御方法を
提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
記した目的の少なくとも一部を達成するために、本発明
の動力出力装置は、出力軸を有するエンジンと、動力を
出力するための駆動軸と、前記出力軸及び駆動軸に結合
され電力のやりとりによって前記エンジンから出力され
た動力を増減して前記駆動軸に伝達可能な動力調整装置
と、回転軸を有する電動機と、該電動機の回転軸を前記
駆動軸または前記出力軸に選択的に結合させることが可
能な結合手段と、を備えた動力出力装置であって、前記
結合手段によって前記電動機の回転軸が前記出力軸に結
合されている場合に、外部から要求された要求出力に基
づいて、前記電動機の回転軸を前記出力軸に代えて前記
駆動軸に結合させるべきか否かを判定する判定手段と、
該判定手段が前記電動機の回転軸を前記駆動軸に結合さ
せるべきであると判定した場合に、前記結合手段を制御
して、前記電動機の回転軸を前記出力軸から切り離すべ
く、前記結合手段の駆動を開始させる切り離し制御手段
と、前記電動機の回転軸が前記出力軸から切り離された
場合に、前記電動機の回転軸の回転数を上昇させて、前
記駆動軸の回転数に合わせ込む同期化手段と、前記電動
機の回転軸の回転数が前記駆動軸の回転数とほぼ等しく
なった場合に、前記結合手段を制御して、前記電動機の
回転軸を前記駆動軸に結合させる結合制御手段と、をさ
らに備えることを要旨とする。
【0026】従って、本発明の動力出力装置によれば、
判定手段が電動機の回転軸を駆動軸に結合させるべきで
あると判定した場合に、エンジンの出力軸と駆動軸の差
速が切換許容差速範囲内になるのを確認することなく、
直ちに、結合手段の駆動を開始させるため、従来に比較
して、電動機の回転軸の結合状態を切り換える際の切換
時間を短縮することができる。また、電動機の回転軸が
出力軸から切り離された場合に、電動機の回転軸の回転
数を上昇させて、駆動軸の回転数に合わせ込むよう、積
極的に回転数の同期化を図り、できる限り早く、電動機
の回転軸を駆動軸に結合させるようにしているため、さ
らに上記切換時間を短縮することができる。
【0027】また、本発明の動力出力装置において、前
記判定手段が前記電動機の回転軸を前記駆動軸に結合さ
せるべきであると判定した場合に、前記エンジンを制御
して、該エンジンから出力される動力を上昇させる動力
上昇手段をさらに備えるようにしても良い。
【0028】このように、電動機の回転軸の結合先を出
力軸から駆動軸に切り換える際に、エンジンから出力さ
れる動力を上昇させ、そのエンジンから得られたトルク
を動力調整装置を介してそのまま駆動軸に伝達させるこ
とにより、駆動軸においてトルク抜けが生じるのを防ぐ
ことができる。
【0029】また、本発明の動力出力装置において、ト
ルクと回転数との関係で表される前記動力出力装置の動
作領域を、所定の境界によって分割して、前記電動機の
回転軸を前記出力軸に結合させて動作させるべき第1の
領域と前記電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させて動
作させるべき第2の領域とを設定する領域設定手段をさ
らに備えると共に、前記決定手段は、前記要求動力から
前記駆動軸の目標動作点を設定する目標動作点設定手段
と、設定した前記駆動軸の目標動作点が前記境界を越え
て前記第2の領域にある場合に、前記電動機の回転軸を
前記出力軸に代えて前記駆動軸に結合させるべきである
と決定する切換決定手段と、を備えることが好ましい。
【0030】このように、要求出力から駆動軸の目標動
作点を設定し、その設定した目標動作点が境界を越えて
第2の領域にある場合に、電動機の回転軸を駆動軸に結
合させるべきと決定することによって、要求出力に基づ
いて電動機の回転軸を的確に切り換えることができる。
【0031】本発明における動力調整装置としては種々
の装置を適用可能である。例えば、前記動力調整装置
は、前記出力軸に結合された第1のロータと、前記駆動
軸に結合された第2のロータとを有する対ロータ電動機
を備えるものとすることができる。
【0032】かかる対ロータ電動機によれば、第1のロ
ータと第2のロータとの電磁的な結合により一方のロー
タから他方のロータに動力を伝達することが可能であ
る。また、両者間の相対的な滑りによって動力の一部を
電力として回生することも可能である。上述の対ロータ
電動機は、これらの2つの作用によって動力調整装置と
して機能することができる。
【0033】また、前記動力調整装置は、ロータ軸を有
する発電機と、3つの回転軸を有し、該回転軸が前記出
力軸、駆動軸、およびロータ軸にそれぞれ結合されたプ
ラネタリギヤとを備えるものとすることもできる。
【0034】かかる構成によれば、プラネタリギヤの一
般的な動作に基づいて、出力軸の回転による動力を駆動
軸とロータ軸に分配して伝達することができる。従っ
て、出力軸に入力された動力の一部を駆動軸に伝達する
とともに、ロータ軸に分配された動力を発電機によって
電力として回生することができる。上述の装置は、これ
らの2つの作用によって動力調整装置として機能するこ
とができる。
【0035】本発明は、以下に示す動力出力装置の制御
方法として構成することもできる。本発明の動力出力装
置の制御方法は、出力軸を有するエンジンと、動力を出
力するための駆動軸と、前記出力軸及び駆動軸に結合さ
れ電力のやりとりによって前記エンジンから出力された
動力を増減して前記駆動軸に伝達可能な動力調整装置
と、回転軸を有する電動機と、該電動機の回転軸を前記
駆動軸または前記出力軸に選択的に結合させることが可
能な結合手段と、を備えた動力出力装置の制御方法であ
って、(a)前記結合手段によって前記電動機の回転軸
が前記出力軸に結合されている場合に、外部から要求さ
れた要求出力に基づいて、前記電動機の回転軸を前記出
力軸に代えて前記駆動軸に結合させるべきか否かを判定
する工程と、(b)前記電動機の回転軸を前記駆動軸に
結合させるべきであると判定した場合に、前記結合手段
を制御して、前記電動機の回転軸を前記出力軸から切り
離すべく、前記結合手段の駆動を開始させる工程と、
(c)前記電動機の回転軸が前記出力軸から切り離され
た場合に、前記電動機の回転軸の回転数を上昇させて、
前記駆動軸の回転数に合わせ込む工程と、(d)前記電
動機の回転軸の回転数が前記駆動軸の回転数とほぼ等し
くなった場合に、前記結合手段を制御して、前記電動機
の回転軸を前記駆動軸に結合させる工程と、を備えるこ
とを要旨とする。
【0036】従って、かかる制御方法によれば、上記し
た本発明の動力出力装置と同様に、電動機の回転軸の結
合状態を切り換える際の切換時間を短縮することができ
る。
【0037】また、本発明の動力出力装置の制御方法に
おいて、(e)前記工程(a)にて前記電動機の回転軸
を前記駆動軸に結合させるべきであると判定した場合
に、前記エンジンを制御して、該エンジンから出力され
る動力を上昇させる工程をさらに備えるようにしても良
い。
【0038】従って、かかる制御方法によれば、上記し
た本発明の動力出力装置と同様に、駆動軸においてトル
ク抜けが生じるのを防ぐことができる。
【0039】以上で説明した本発明は、直接には、動力
出力装置およびその制御方法に適用されている。その
他、そのような動力出力装置を搭載した種々の装置、例
えば、ハイブリッド車両として本発明を構成することも
可能である。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施
例に基づいて説明する。 (1)実施例の構成:はじめに、実施例の構成について
図1を用いて説明する。図1は本発明の一実施例として
の動力出力装置を搭載したハイブリッド車両の概略構成
を示す構成図である。なお、前述の図12に示した構成
要素と同一のものには、同一の符号を付してある。
【0041】本実施例の動力出力装置10は、動力系統
であるエンジン50およびハイブリッドユニット20
と、制御系統である燃料噴射制御ユニット(以下、EF
IECUと言う)と、制御ユニット90と、を主として
備えている。
【0042】これらのうち、動力系統であるエンジン5
0は、通常のガソリンエンジンであり、出力軸であるク
ランクシャフト56を回転させる。
【0043】エンジン50の運転は、制御系統であるE
FIECU70により制御されている。EFIECU7
0は内部にCPU、ROM、RAM等を有するワンチッ
プ・マイクロコンピュータであり、CPUがROMに記
録されたプログラムに従い、主に、エンジン50の燃料
噴射量、吸排気バルブの進角制御、その他の制御を実行
する。これらの制御を可能とするために、EFIECU
70には、燃料噴射弁51,スロットルバルブ53の開
度を制御するスロットルバルブモータ54,あるいは吸
排気バルブ(図示せず)の開閉タイミングを制御するV
VT57などが設けられている。また、EFIECU7
0には、これらの制御を行なうために必要なセンサであ
って、エンジン50の運転状態を示す種々のセンサが接
続されている。その一つとしてクランクシャフト56の
回転数を検出する回転数センサ52がある。その他のセ
ンサおよびスイッチなどの図示は省略した。
【0044】エンジン50のクランクシャフト56と、
車輪26を駆動するための動力を出力する伝達軸22と
の間には、図12の場合と同様に、ハイブリッドユニッ
ト20が配設されている。ハイブリッドユニット20内
には、主として、対ロータ電動機であるクラッチモータ
30と、電動機であるアシストモータ40と、そのアシ
ストモータ40のロータ軸43の結合先を選択的に切り
換える切換装置80と、が設けられている。
【0045】これらのうち、クラッチモータ30は、基
本的には永久磁石を用いた同期電動機として構成されて
いるが、磁界を発生させる三相コイルが巻回された部材
が、ケースに固定されたいわゆるステータではなく、回
転可能なロータとして構成されている点で通常の電動機
と異なる。即ち、クラッチモータ30では、図12で述
べたとおり、通常の電動機におけるロータに相当するイ
ンナロータ32のみならず、三相コイル36が巻回され
たアウタロータ34も、自由に回転することができる。
このように構成された電動機を前述したように対ロータ
電動機と呼ぶ。このような対ロータ電動機では、三相コ
イル36が設けられたアウタロータ34も回転するか
ら、回転するコイル36に対して電力を供給するための
機構が必要になる。本実施例では、この機構としてスリ
ップリング38を設けて、三相コイル36への電力を供
給しているが、スリップリング38に代えて、差動トラ
ンスなど、他の構成を用いることも可能である。クラッ
チモータ30では、インナロータ32に備えられた永久
磁石による磁界とアウタロータ34に備えられた三相コ
イル36によって形成される磁界との相互作用により、
両者は相対的に回転する。なお、かかる作用は、可逆的
なものなので、クラッチモータ30を発電機として動作
させ、両ロータの回転数差に応じた電力を、クラッチモ
ータ30から回生することもできる。
【0046】また、図12の場合と同様に、クラッチモ
ータ30のインナロータ32には、インナロータ軸33
が結合されており、アウタロータ34には、駆動軸であ
るアウタロータ軸35が結合されている。インナロータ
軸33は、図示しないダンパを介してクランクシャフト
56に結合されている。アウタロータ軸35は、出力用
ギヤ21,チェーン23を介して伝達軸22に結合され
ている。この伝達軸22は、更に減速機24およびディ
ファレンシャルギヤ25を介して、駆動輪26R,26
Lを備えた車軸26に結合されている。
【0047】クラッチモータ30はインナロータ32と
アウタロータ34の双方が回転可能であるため、インナ
ロータ軸33およびアウタロータ軸35の一方から入力
された動力を他方に伝達することができる。クラッチモ
ータ30自体では、トルクは作用・反作用の関係にある
ため変えられないが、クラッチモータ30を電動機とし
て力行運転すれば他方の軸の回転数は高くなり、結果的
に他方の軸から出力する動力(=回転数×トルク)は高
くなる。クラッチモータ30を発電機として回生運転す
れば他方の軸の回転数は低くなり、回転数差に対応した
電力(=回転数差×トルク)が取り出される。即ち、ク
ラッチモータ30を用いることで、動力の一部を電力の
形で取り出しつつ残余の動力を伝達することができる。
また、力行運転も回生運転も行なわなければ、動力が伝
達されない状態となる。この状態は機械的なクラッチを
解放にした状態に相当することから、この対ロータ電動
機を、クラッチモータと呼ぶのである。
【0048】一方、ハイブリッドユニット20内に設け
らているアシストモータ40も、クラッチモータ30と
同様に、永久磁石を用いた同期電動機として構成されて
おり、本実施例では、ロータ42側に永久磁石が、ステ
ータ44側に三相コイル46が、それぞれ設けられてい
る。図12の場合と同様に、アシストモータ40のステ
ータ44はケースに固定され、ロータ42は中空のロー
タ軸43に結合されている。中空のロータ軸43の軸中
心は、クランクシャフト56に結合されたインナロータ
軸33が貫通している。
【0049】上述したクラッチモータ30およびアシス
トモータ40を駆動するために、バッテリ94に接続さ
れた第1の駆動回路91および第2の駆動回路92が設
けられている。第1の駆動回路91は、内部にスイッチ
ング素子としてのトランジスタを複数備えたトランジス
タインバータであり、制御ユニット90と電気的に接続
されている。制御ユニット90が第1の駆動回路91の
トランジスタのオン・オフの時間をPWM制御すると、
バッテリ94とクラッチモータ30のアウタロータ34
に巻回された三相コイル36との間には、両者に接続さ
れた第1の駆動回路91およびスリップリング38を介
して、三相交流が流れる。この三相交流によりアウタロ
ータ34には回転磁界が形成され、クラッチモータ30
の回転は制御される。この結果、バッテリ94の電力を
用いてクラッチモータ30を力行する動作や、あるいは
クラッチモータ30から回生する電力をバッテリ94に
蓄える動作などを行なうことができる。
【0050】他方、アシストモータ40は、第2の駆動
回路92を介してバッテリ94に接続されている。第2
の駆動回路92もトランジスタインバータにより構成さ
れており、制御ユニット90に接続されて、その制御を
受けて動作する。制御ユニット90の制御信号により駆
動回路92のトランジスタをスイッチングすると、ステ
ータ44に巻回された三相コイル46に三相交流が流れ
て回転磁界を生じ、アシストモータ40は回転する。ア
シストモータ40も、回生動作を行なうことができるこ
とは勿論である。
【0051】また、ハイブリッドユニット20内に設け
られている切換装置80は、シンクロナイズドギヤであ
って、アシストモータ40のロータ軸43を、クラッチ
モータ30のアウタロータ軸35およびインナロータ軸
33のうち、何れか一方の軸に結合させるか、あるいは
何れの軸にも結合させない状態にするかを切り換えるも
のである。なお、この切換装置80の構成およびその動
作については、図12の場合と同様であるので、説明は
省略する。
【0052】制御ユニット90は、ハイブリッド車両の
走行状態に応じて、後述するように、切換装置80を制
御して、アシストモータ40のロータ軸43の結合先を
切り換える。これにより、アシストモータ40のロータ
軸43が、駆動軸であるクラッチモータ30のアウタロ
ータ軸35に結合された場合は、図13に示したような
アンダードライブ結合となり、アシストモータ40のロ
ータ軸43がクラッチモータ30のインナロータ軸33
に、延いてはエンジン50の出力軸であるクランクシャ
フト56に結合された場合は、図14に示したようなオ
ーバードライブ結合になる。
【0053】なお、本実施例において用いられる切換装
置80は、複数のクラッチにより構成することも可能で
ある。つまり、第1ないし第3ギヤ81〜83と可動ギ
ヤ84との組み合わせに代えて、アウタロータ軸35と
ロータ軸43の結合および解放を行う第1のクラッチを
設け、またインナロータ軸33とロータ軸43の結合お
よび解放を行う第2のクラッチを設けるものとしてもよ
い。この場合、スプライン85を設ける必要はない。
【0054】本実施例において、ハイブリッド車両の運
転状態は制御ユニット90により制御されている。制御
ユニット90もEFIECU70と同様、内部にCP
U、ROM、RAM等を有するワンチップ・マイクロコ
ンピュータであり、CPUがROMに記録されたプログ
ラムに従い、後述する種々の制御処理を行うよう構成さ
れている。これらの制御を可能とするために、制御ユニ
ット90には、各種のセンサおよびスイッチが電気的に
接続されている。制御ユニット90に接続されているセ
ンサおよびスイッチとしては、アクセルペダル65の踏
み込み量を検出するためのアクセルペダルポジションセ
ンサ65aや、シフトレバー66のポジションを検出す
るためのシフトポジションセンサ66aの他、図示して
はいないアウタロータ軸35の回転数を検出する回転数
センサや、アシストモータ40のロータ軸43の回転数
を検出する回転数センサなどがある。
【0055】制御ユニット90は、EFIECU70と
も通信回線により接続されており、EFIECU70と
の間で種々の情報を、通信によってやりとりしている。
制御ユニット90からエンジン50の制御に必要な情報
をEFIECU70に出力することにより、エンジン5
0を間接的に制御することができる。逆にエンジン50
の回転数などの情報をEFIECU70から入力するこ
ともできる。
【0056】図1に示す動力出力装置10は、エンジン
150から出力された動力を電力のやりとりによって増
減して伝達する動力調整装置として、クラッチモータ3
0を適用しており、動力の分配をそのクラッチモータ3
0のインナロータ32とアウタロータ34との滑りによ
り実現する。エンジン50からの動力の一部は、クラッ
チモータ30を介して駆動軸であるアウタロータ軸35
に機械的な形態で直接出力され、一部は、二つのロータ
32,34の滑り回転によりクラッチモータ30から電
力の形態で取り出される。電気的に取り出されたエネル
ギは、バッテリ94に蓄積することもできるし、もう一
つのモータであるアシストモータ40に出力し、駆動軸
であるアウタロータ軸35のトルクアップに用いること
もできる。即ち、この動力出力装置10は、動力を出力
するエンジン50、滑り回転により動力をやり取りする
クラッチモータ30、力行・回生可能なアシストモータ
40の三者により、駆動軸であるアウタロータ軸35に
出力する動力を自由に制御することができるのである。
【0057】(2)一般的動作:次に、本実施例の動力
出力装置の一般的動作として、エンジン50から出力さ
れた動力を要求された回転数およびトルクに変換して駆
動軸であるアウタロータ軸35に出力する動作について
説明する。本実施例の動力出力装置10では、エンジン
50の回転数Neとアウタロータ軸35の回転数Ndと
の大小関係、およびアシストモータ40のロータ軸43
の結合状態に応じて、上記変換の経路が異なる。
【0058】最初にアンダードライブ結合(図13)に
おいて、駆動軸であるアウタロータ軸35の回転数Nd
がエンジン50の回転数Neよりも小さい場合について
説明する。かかる場合のトルクの変換の様子を図2に示
す。図2は、横軸に回転数N、縦軸にトルクTを採り、
エンジン50の動作点Peとアウタロータ軸35の動作
点Pdを示した図である。図2中の曲線Pは動力、つま
り回転数とトルクの積が一定の曲線である。回転数N
e、トルクTeでエンジン50から出力された動力Pe
を、Neよりも低い回転数Nd、Teよりも高いトルク
Tdの動力Pdに変換してアウタロータ軸35から出力
する場合を考える。
【0059】図2に示した変換を行う場合、アウタロー
タ軸35の回転数Ndはエンジン50の回転数Neより
も小さい。クラッチモータ40はアウタロータが回転数
Ndで回転し、インナロータがそれよりも高い回転数N
eで回転するから、クラッチモータ30は、相対的に逆
転することになり、クラッチモータ30の回転数Ncは
負の値となる。クラッチモータ30のトルクTcは作用
・反作用の原理からエンジン50の出力トルクTeと等
しく、正の値である。つまり、クラッチモータ30はエ
ンジン50から出力された動力の一部を駆動軸であるア
ウタロータ軸35に伝達しつつ、残りを電力として回生
する状態で運転される。このとき、回生される電力はク
ラッチモータ130の回転数NcとトルクTcの積に等
しく、図2中のハッチングを施した領域GU1の面積に
等しい。
【0060】一方、アウタロータ軸35のトルクTdは
エンジン50のトルクTeよりも大きい。従って、アシ
ストモータ40は正のトルク、正の回転数で運転され
る。つまり、アシストモータ40は電力の供給を受け力
行される。このとき供給される電力はアシストモータ4
0の回転数とトルクの積に等しく、図2中のハッチング
を施した領域AU1の面積に等しい。両モータでの運転
効率を100%と仮定すれば、クラッチモータ30で回
生される電力とアシストモータ40に供給される電力と
は等しくなる。つまり、クラッチモータ30で領域GU
1に相当する分のエネルギを電力の形で取り出し、領域
AU1に相当する分のエネルギとして供給することによ
りエンジン50の動作点Peで表される動力を、動作点
Pdの状態に変換する。実際には運転効率が100%に
なることはないため、バッテリ94からの電力の持ち出
しを伴ったり、損失に相当する動力をエンジン50から
余分に出力したりして、上記変換を実現する。かかる変
換では、上流側に位置するクラッチモータ30で回生さ
れた電力が下流側に位置するアシストモータ40に供給
される。
【0061】次に、アンダードライブ結合において、駆
動軸であるアウタロータ軸35の回転数Ndがエンジン
50の回転数Neよりも高い場合について説明する。か
かる場合のトルクの変換の様子を図3に示した。図3に
示した変換を行う場合、アウタロータ軸35の回転数N
dはエンジン50の回転数Neよりも大きい。従って、
クラッチモータ30は、正の回転数Nc、正のトルクT
cで回転する。つまり、クラッチモータ30は電力の供
給を受けて力行される。このとき、供給される電力はク
ラッチモータ30の回転数とトルクの積に等しく、図3
中のハッチングを施した領域「GU2+GU3」の面積
に等しい。一方、アウタロータ軸35のトルクTdはエ
ンジン50のトルクTeよりも小さい。従って、アシス
トモータ40は負のトルク、正の回転数で運転される。
つまり、アシストモータ40は回生運転される。このと
き回生される電力はアシストモータ40の回転数とトル
クの積に等しく、図3中のハッチングを施した領域「A
U2+GU3」の面積に等しい。両モータでの運転効率
を100%と仮定すれば、アシストモータ40で回生さ
れる電力とクラッチモータ30に供給される電力とが等
しくなる。かかる変換では、下流側に位置するアシスト
モータ40で回生された電力が上流側に位置するクラッ
チモータ30に供給され、そのクラッチモータ30に供
給された電力が、再び機械的な動力として下流側に位置
するアシストモータ40に供給されるため、動力の循環
が生じる。動力の循環が生じると、エンジン50から出
力された動力のうち、有効に駆動軸であるアウタロータ
軸35に伝達される動力が低減するため、動力出力装置
10の運転効率は低下する。
【0062】アンダードライブ結合において、上述の変
換を実現するための、アシストモータ40およびクラッ
チモータ30の動作点は、それぞれ以下の通りとなる。
【0063】 クラッチモータ30の回転数Nc=Nd−Ne; トルクTc=Te; アシストモータ40の回転数Na=Nd; トルクTa=Td−Te;・・・(1)
【0064】次に、オーバードライブ結合の場合(図1
4)において、駆動軸であるアウタロータ軸35の回転
数Ndがエンジン50の回転数Neよりも小さい場合に
ついて説明する。かかる場合のトルクの変換の様子を図
4に示した。図4に示した変換を行う場合、アウタロー
タ軸35の回転数Ndはエンジン50の回転数Neより
も小さい。従って、クラッチモータ30は、負の回転数
Nc、正のトルクTcで回転する。つまり、クラッチモ
ータ30は回生運転される。このとき、回生される電力
はクラッチモータ30の回転数とトルクの積に等しく、
図4中のハッチングを施した領域「GO1+GO2」の
面積に等しい。一方、アウタロータ軸35のトルクTd
はエンジン50のトルクTeよりも大きい。従って、ア
シストモータ40は正のトルク、正の回転数で運転され
る。このとき、供給される電力はクラッチモータ30の
回転数とトルクの積に等しく、図4中のハッチングを施
した領域「GU2+GU3」の面積に等しい。一方、ア
ウタロータ軸35のトルクTdはエンジン50のトルク
Teよりも小さい。従って、アシストモータ40は負の
トルク、正の回転数で運転される。つまり、アシストモ
ータ40は電力の供給を受けて力行される。このとき、
供給される電力はアシストモータ40の回転数とトルク
の積に等しく、図4中のハッチングを施した領域「AU
1+GU2」の面積に等しい。両モータでの運転効率を
100%と仮定すれば、クラッチモータ30で回生され
る電力とアシストモータ40に供給される電力とが等し
くなる。かかる変換では、下流側に位置するクラッチモ
ータ30で回生された電力が上流側に位置するアシスト
モータ40に供給されるため、この場合も動力の循環が
生じ、動力出力装置10の運転効率は低下する。
【0065】次に、オーバードライブ結合の場合におい
て、駆動軸であるアウタロータ軸35の回転数Ndがエ
ンジン50の回転数Neよりも高い場合について説明す
る。かかる場合におけるトルクの変換の様子を図5に示
す。図5に示した変換を行う場合、アウタロータ軸35
の回転数Ndはエンジン50の回転数Neよりも大き
い。従って、クラッチモータ30は、正の回転数Nc、
正のトルクTcで回転する。つまり、クラッチモータ3
0は電力の供給を受けて力行される。このとき、供給さ
れる電力はクラッチモータ30の回転数とトルクの積に
等しく、図5中のハッチングを施した領域「GO3」の
面積に等しい。一方、アウタロータ軸35のトルクTd
はエンジン50のトルクTeよりも小さい。従って、ア
シストモータ40は負のトルク、正の回転数で運転され
る。つまり、アシストモータ40は回生運転される。こ
のとき回生される電力はアシストモータ40の回転数と
トルクの積に等しく、図5中のハッチングを施した領域
「AO2」の面積に等しい。両モータでの運転効率を1
00%と仮定すれば、アシストモータ40で回生される
電力とクラッチモータ30に供給される電力とが等しく
なる。かかる変換では、上流側に位置するアシストモー
タ40で回生された電力が下流側に位置するクラッチモ
ータ30に供給される。
【0066】オーバードライブ結合において、上述の変
換を実現するための、アシストモータ40およびクラッ
チモータ30の運転ポイントは、次の通りとなる。
【0067】 クラッチモータ30の回転数Nc=Nd−Ne; トルクTc=Td; アシストモータ40の回転数Na=Ne; トルクTa=Td−Te; ・・・(2)
【0068】以上で説明した通り、本実施例の動力出力
装置10は、アシストモータ40のロータ軸43の結合
状態、およびアウタロータ軸35の回転数Ndとエンジ
ン50の回転数Neとの大小関係に応じて、エンジン5
0から出力された動力を要求された回転数およびトルク
からなる動力に変換して、駆動軸であるアウタロータ軸
35から出力することができる。
【0069】しかし、アウタロータ軸35の回転数Nd
がエンジン50の回転数Neよりも大きいオーバードラ
イブ動作時に、アンダードライブ結合で動作させると、
動力の循環が生じ、車両の運転効率が低下する。また、
アウタロータ軸35の回転数Ndがエンジン50の回転
数Neよりも小さいアンダードライブ動作時に、オーバ
ードライブ結合で動作させると、同様に、動力の循環が
生じ、車両の運転効率が低下する。そこで、本実施例で
は、運転効率を向上させるために、基本的に、アウタロ
ータ軸35の回転数Ndがエンジン50の回転数Neよ
りも大きいオーバードライブ動作時には、オーバードラ
イブ結合となるように、アウタロータ軸35の回転数N
dがエンジン50の回転数Neよりも小さいアンダード
ライブ動作時には、アンダードライブ結合となるよう
に、アシストモータ40のロータ軸43の結合状態を制
御する。
【0070】図6は図1の動力出力装置の動作領域と基
本的にオーバードライブ結合とする領域とアンダードラ
イブ結合とする領域とを示す説明図である。図6におい
て、縦軸はトルクであり、横軸は回転数である。
【0071】また、曲線LIMは、本実施例の動力出力
装置10の最大出力線である。従って、トルク軸である
縦軸と回転数軸である横軸とこの曲線LIMとで囲まれ
る領域が、駆動軸であるアウタロータ軸35の動作点の
採り得る範囲、即ち、動力出力装置10の動作領域であ
る。なお、動作点はトルクと回転数の組み合わせとして
表現される。
【0072】曲線L1はエンジン50の目標動作点を決
定する際に用いる動作線である。この動作線L1は、エ
ンジン50の効率が最高となる動作線であり、この動作
線L1に従ってエンジン50の目標動作点を決定する
と、エンジン50の燃費は最適となる。なお、実際に
は、この動作線は、制御ユニット90内のROMにマッ
プとして記憶されている。
【0073】また、一般に、エンジン50の動作線は、
エンジン50の回転数Neと駆動軸であるアウタロータ
軸35の回転数Ndが等しくなる境界となる。従って、
本実施例では、基本的に、動作線L1よりもトルクが低
い側の領域では、アシストモータ40のロータ軸43の
結合状態をオーバードライブ結合にして動作させ、動作
線L1よりもトルクが高い側の領域では、アンダードラ
イブ結合にして動作させるようにしている。なお、以
下、動作線L1よりもトルクが低い側の領域をオーバー
ドライブ領域と呼び、動作線L1よりもトルクが高い側
の領域をアンダードライブ領域と呼ぶ。
【0074】曲線DOは、駆動軸であるアウタロータ軸
35の動作点の軌跡である。この曲線DOは、例えば、
車両を定常走行させている場合に、運転者がアクセルを
踏み込み、駆動軸であるアウタロータ軸35からの出力
トルクを増加して、車両を加速させる場合の軌跡であ
る。
【0075】その他、曲線DDは、走行抵抗0%を表す
曲線であり、曲線P1,P2は、それぞれ、動力が或る
一定値となる曲線である。
【0076】ここで、オーバードライブ結合時およびア
ンダードライブ結合時における、エンジン50、アシス
トモータ40、クラッチモータ30に対する一般的な制
御動作について簡単に説明する。
【0077】図1に示す制御ユニット90は、まず、駆
動軸であるアウタロータ軸35から出力すべき要求出
力、充放電電力および補機駆動エネルギをそれぞれ算出
し、それらを加算して、エンジン50に対する要求動力
を設定する。ここで、駆動軸であるアウタロータ軸35
から出力すべき要求出力は、運転者から要求された、ア
ウタロータ軸35から出力すべき動力に相当し、アウタ
ロータ軸35の目標回転数と目標トルクの積で表され
る。この要求出力は、後述するように、アクセルペダル
ポジションセンサ65aにより検出されたアクセルペダ
ル65の踏込量に基づいて設定される。また、充放電電
力とは、バッテリ94の充放電に要するエネルギであ
り、バッテリ94を充電する必要がある場合には正の
値、放電する必要がある場合には負の値を採る。補機駆
動エネルギとは、エアコンなどの補機(図示せず)を駆
動するために必要となる電力である。
【0078】次に、制御ユニット90は、こうして設定
された要求動力に基づいて、エンジン50の目標動作点
を設定する。この目標動作点は、前述したエンジン50
の動作線に対応したマップに従って、エンジン50の運
転効率を優先して設定される。
【0079】次に、制御ユニット90は、クラッチモー
タ30およびアシストモータ40の目標動作点を設定す
る。これらの目標動作点(即ち、目標回転数と目標トル
クの組み合わせ)は、オーバードライブ結合時か、アン
ダードライブ結合時かに応じて、先に示した式(1),
(2)に従い設定される。
【0080】以上のようにして設定された目標トルクお
よび目標回転数に基づいて、制御ユニット90は、クラ
ッチモータ30、アシストモータ40、エンジン50の
動作を制御する。モータの運転制御処理は、同期モータ
の制御として周知の処理を適用することができる。本実
施例では、いわゆる比例積分制御による制御を実行して
いる。つまり、各モータの現在のトルクを検出し、目標
トルクとの偏差および目標回転数に基づいて、各相に印
加する電圧指令値を設定する。印加される電圧値は上記
偏差の比例項、積分項、累積項によって設定される。そ
れぞれの項にかかる比例係数は実験などにより適切な値
が設定される。こうして設定された電圧は、駆動回路9
1,92を構成するトランジスタインバータのスイッチ
ングのデューティに置換され、いわゆるPWM制御によ
り各モータに印加される。
【0081】制御ユニット90は、駆動回路91,92
のスイッチングを制御することによって、上述の通り、
クラッチモータ30およびアシストモータ40の動作を
直接制御する。これに対し、エンジン50の動作制御
は、実際には、EFIECU70が実施する処理であ
る。従って、制御ユニット90は、EFIECU70に
対してエンジン50の目標動作点の情報を出力すること
で、間接的にエンジン50の動作を制御する。
【0082】以上の処理を周期的に実行することによ
り、本実施例の動力出力装置10は、エンジン50から
出力された動力を所望の回転数およびトルクに変換し
て、駆動軸であるアウタロータ軸35から出力すること
ができる。
【0083】(3)オーバードライブ結合からアンダー
ドライブ結合への切換時の制御:次に、アシストモータ
40のロータ軸43の結合状態をオーバードライブ結合
からアンダードライブ結合に切り換える際の動作につい
て、説明する。
【0084】図7は図1の動力出力装置10におけるオ
ーバードライブ結合からアンダードライブ結合への切換
時の制御の処理手順を示すフローチャートである。な
お、この処理ルーチンは、制御ユニット90のCPU
が、ROM内に記憶されている処理プログラムに従って
動作することによって実行される。
【0085】ここでは、駆動軸であるアウタロータ軸3
5の動作点が図6の曲線DOに沿って移動する際に、オ
ーバードライブ結合からアンダードライブ結合に切り換
わる場合を例として説明する。例えば、車両が走行抵抗
0%で定常走行していて、アウタロータ軸35の動作点
が、今、曲線DO上の点d1にあるものとする。従っ
て、アウタロータ軸35の動作点はオーバードライブ領
域にあるため、アシストモータ40のロータ軸43の結
合状態はオーバードライブ結合となっている。また、エ
ンジン50の動作点は、動作線L1上の点e1にあるも
のとする。
【0086】従って、アシストモータ40のロータ軸4
3の結合状態はオーバードライブ結合となっているた
め、制御ユニット90は、エンジン50、アシストモー
タ40、クラッチモータ30に対し、前述したようなオ
ーバードライブ結合時の制御処理を行なうことになる
(ステップS102)。
【0087】続いて、制御ユニット90は、アクセルペ
ダルポジションセンサ65aにより検出されたアクセル
ペダル65の踏込量に基づいて、駆動軸であるアウタロ
ータ軸35から出力すべき要求出力を求め、その要求出
力からさらにアウタロータ軸35の目標動作点を決定す
る(ステップS104)。
【0088】次に、制御ユニット90は、決定したアウ
タロータ軸35の目標動作点がアンダードライブ領域に
あるか否かを判定する(ステップS106)。従って、
運転者が未だアクセルペダル65を踏み込んでおらず、
アウタロータ軸35の目標動作点がまだオーバードライ
ブ領域にある場合には、再びステップS102に戻っ
て、制御ユニット90は、上記したのと同様の処理を繰
り返す。しかし、運転者がアクセルペダル65を踏み込
んで、アウタロータ軸35の目標動作点がエンジン50
の動作線L2を越えアンダードライブ領域にある場合に
は、制御ユニット90は、ステップS108以降の処理
を実行する。
【0089】例えば、ステップS104で決定したアウ
タロータ軸35の目標動作点が点e3であるすると、点
e3はアンダードライブ領域にあるので、処理はステッ
プS108に進み、制御ユニット90は、図8に示すよ
うなオーバードライブ結合からアンダードライブ結合へ
の切換処理ルーチンを開始する(ステップS108)。
【0090】図8は図7におけるオーバードライブ結合
からアンダードライブ結合への切換処理ルーチンを示す
フローチャート、図9は図1の動力出力装置10におけ
るエンジン50、アシストモータ40及び駆動軸である
アウタロータ軸35の回転数の時間変化を示すタイミン
グチャートである。図9において、縦軸は回転数であ
り、横軸は時間である。また、曲線ERがエンジン50
の回転数の、曲線ARがアシストモータ40の回転数
の、曲線DRが駆動軸であるアウタロータ軸35の回転
数の、それぞれ時間変化を示している。なお、図9で
は、タイミングt0において、運転者がアクセルペダル
65を踏み込んだものとし、このタイミングt0を横軸
に示す時間の原点としている。従って、図9における点
e1,d1はそれぞれ図6に示した点e1,d1と対応
している。
【0091】図8に示す切換処理ルーチンが開始される
と、制御ユニット90は、図9に示すタイミングt1
で、オーバードライブ結合からアンダードライブ結合へ
の切換指令を出し(ステップS202)、これにより、
制御ユニット90は、直ちに、切換装置80のアクチュ
エータ86を始動する(ステップS204)。そして、
制御ユニット90は、アクチュエータ86を制御して、
タイミングt2で、アシストモータ40のロータ軸43
をエンジン50のクランクシャフト56から切り離す
(ステップS206)。具体的には、切換装置80にお
いて、アクチュエータ86を駆動して、図1中の位置c
にある可動ギヤ84を位置bに向かって移動させ、可動
ギヤ84の第2ギヤ82との噛合を外すことによって行
なわれる。
【0092】これによって、エンジン50のクランクシ
ャフト56と同じ回転数で回転していたアシストモータ
40のロータ軸43は、クランクシャフト56との結合
から解放され、独自に自由に回転することが可能とな
る。
【0093】そこで、次に、制御ユニット90は、駆動
回路92を介して、アシストモータ40を制御して、ア
シストモータ40の回転を加速させ、アシストモータ4
0のロータ軸43の回転数を上昇させる。そして、アシ
ストモータ40のロータ軸43の回転数を駆動軸である
アウタロータ軸35の回転数に合わせ込むように、回転
数の同期化を図る(ステップS208)。これによっ
て、図9の曲線ARで示すように、アシストモータ40
のロータ軸43の回転数は、エンジン50のクランクシ
ャフト56の回転数から離れて、駆動軸であるアウタロ
ータ軸35の回転数に向かって上昇する。
【0094】回転数の同期化は、例えば、次のようにし
て行なう。制御ユニット90は、まず、アシストモータ
40の目標動作点(即ち、目標トルクと目標回転数の組
み合わせ)を設定するに当たり、図示せざる回転数セン
サからアシストモータ40のロータ軸43の回転数とア
ウタロータ軸35の回転数をそれぞれ検出し、その検出
したロータ軸43の回転数がアウタロータ軸35の回転
数に近づくように、アシストモータ40の目標トルクと
目標回転数を設定する。そして、制御ユニット90は、
その設定したアシストモータ40の目標動作点に基づい
て、アシストモータ40の動作を制御する。
【0095】次に、制御ユニット90は、アシストモー
タ40のロータ軸43の回転数が駆動軸であるアウタロ
ータ軸35の回転数に一致したかどうかを判定し(ステ
ップS210)、一致していなければ、一致するまで、
回転数の同期化処理を継続する。
【0096】その後、ロータ軸43の回転数がアウタロ
ータ軸35の回転数に一致した場合には、制御ユニット
90は、アクチュエータ86を制御して、タイミングt
3で、アシストモータ40のロータ軸43を駆動軸であ
るアウタロータ軸35に結合させる(ステップS21
2)。具体的には、切換装置80において、アクチュエ
ータ86を駆動して、図1中の位置bにある可動ギヤ8
4を位置aに向かって移動させ、可動ギヤ84を第1ギ
ヤ81に噛合させることによって行なわれる。このと
き、ロータ軸43の回転数はアウタロータ軸35の回転
数に一致しているので、切換装置80において、可動ギ
ヤ84と第1ギヤ81との差速はほぼゼロであり、当然
に切換許容差速範囲内にあり、従って、両者の間で大き
な磨耗を生じる恐れはない。こうして、アシストモータ
40のロータ軸43をアウタロータ軸35に結合させる
ことにより、結合状態はアンダードライブ結合となる。
図9において、この結合の行なわれた点d2は、図6に
おける曲線DO上の点d2に対応する。
【0097】その後、制御ユニット90は、アクチュエ
ータ86を介して、確実にアンダー結合状態になってい
るかを確認した上で(ステップS214)、駆動軸であ
るアウタロータ軸35から、ステップS104で決定し
た目標トルクが出力されるように、アシストモータ40
の目標トルクを算出し(ステップS216)、駆動回路
92を介してアシストモータ40を制御して、アシスト
モータ40から、算出した目標トルクを出力させる(ス
テップS218)。具体的には、アンダードライブ結合
の場合、アシストモータ40のトルクTaは、前述の式
(1)に示すように、駆動軸であるアウタロータ軸35
のトルクTdとエンジン50のトルクTaとの差である
ため(Ta=Td−Te)、アウタロータ軸35の目標
トルクからエンジン50のトルク分を差し引いたもの
を、アシストモータ40の目標トルクとして設定するよ
うにすれば良い。
【0098】以上のようにして、制御ユニット90によ
る切換装置80及びアシストモータ40に対する制御処
理は行なわれる。
【0099】ここで、アシストモータ40に対する制御
シーケンスについて、さらに詳しく説明する。図10は
オーバードライブ結合からアンダードライブ結合への切
換時のアシストモータ40に対する制御シーケンスを示
すタイミングチャートである。図10において、縦軸は
アシストモータ40に対する制御内容を示し、横軸は時
間を示している。なお、横軸に示す時間は、図9に示し
たそれと完全に対応しており、タイミングt0〜t3は
図9で述べたものと同じである。
【0100】まず、運転者がアクセルペダル65を踏み
込み、制御ユニット90が切換指令を出すまでは、制御
ユニット90は、アシストモータ40に対しオーバード
ライブ結合時の制御を行なっている(制御内容1)。こ
れにより、アシストモータ40は、前述したとおり、発
電状態(回生状態)となって、負のトルクを出力してい
る。そこで、制御ユニット90は、切換指令を出した後
に、アシストモータ40に対し、まず、出力しているト
ルクをゼロにするように制御する(制御内容2)。
【0101】しかしながら、アシストモータ40からの
トルクをゼロにしても、アシストモータ40自体、引き
ずりトルクを持っているため、制御ユニット90は、ア
シストモータ40に対して、次に、この引きずりトルク
をキャンセルするように、引きずりトルクと逆向きのト
ルクをわずかに発生させる(制御内容3)。これによ
り、アシストモータ40のロータ軸43はエンジン50
のクランクシャフト56に対し何らトルクを受けも加え
もしていないので、切換装置80において、可動ギヤ8
4の第2ギヤ82との噛合を外す際に、スムーズに外す
ことができる。
【0102】こうして、アシストモータ40のロータ軸
43がエンジン50のクランクシャフト56から切り離
されると、制御ユニット90は、アシストモータ40に
対して、前述したように、加速及び同期化を行なうよう
に制御する(制御内容4)。その後、アシストモータ4
0のロータ軸43の回転数が駆動軸であるアウタロータ
軸35の回転数に近づいて来たら、制御ユニット90
は、アシストモータ40を制御して、アシストモータ4
0から出力されるトルクを再びゼロにする(制御内容
5)。このようにアシストモータ40のロータ軸43に
生じるトルクをゼロにすることにより、その後、アシス
トモータ40のロータ軸43の回転数がアウタロータ軸
35の回転数と一致し、切換装置80において可動ギヤ
84を第1ギヤ81に噛合する際に、両者の間に無理な
力が加わって破損が生じたりすることがないようにする
ことができる。
【0103】こうして、アシストモータ40のロータ軸
43が駆動軸であるアウタロータ軸35に結合される
と、制御ユニット90は、アシストモータ40に対し、
アンダードライブ結合時の制御を行なう(制御内容
6)。
【0104】以上のように、アシストモータ40を制御
することによって、オーバードライブ結合からアンダー
ドライブ結合への切換を支障なく、スムーズに行なうこ
とができる。
【0105】さて、一方、以上のような切換装置80及
びアシストモータ40に対する制御処理に並行して、制
御ユニット90は、エンジン50及びクラッチモータ3
0に対しても、次のような制御処理を行なう。
【0106】即ち、制御ユニット90は、まず、エンジ
ン50を制御して、エンジン50から出力される動力を
上昇させる(ステップS220)。具体的には、エンジ
ン50に対する要求動力を増加させて、その増加した要
求動力に基づいてエンジン50の目標動作点を設定する
ようにする。こうして、エンジン50からの動力を上昇
させることにより、エンジン50は吹き上がり、エンジ
ン50の回転数は図9に示すように上昇する。そして、
ついには、エンジン50の回転数は、交点edで駆動軸
であるアウタロータ軸35の回転数を上回り、実質的に
アンダードライブ動作状態となる。なお、図9における
交点edは、図6における交点edと対応している。
【0107】次に、制御ユニット90は、クラッチモー
タ30の目標トルクを算出し(ステップS222)、駆
動回路91を介してクラッチモータ30を制御して、ク
ラッチモータ30から、算出した目標トルクを出力させ
る(ステップS224)。この場合、クラッチモータ3
0の目標トルクTc*は、次の式(3)に従って算出す
る。
【0108】 Tc*=Te+{(Ne−Neini)・(Te*−Tcini)/(Ndin i−Neini)}; ・・・(3)
【0109】但し、Teはエンジン50の現在のトル
ク、Neはエンジン50の現在の回転数、Neiniは
切換指令発生時のエンジン50のトルク、Te*はエン
ジン50の目標トルク、Tciniは切換指令発生時の
クラッチモータ30のトルクである。
【0110】このように、式(3)に従ってクラッチモ
ータ30の目標トルクTc*を算出することにより、ク
ラッチモータ30から出力されるトルクTcはエンジン
50から出力されるトルクTeに次第に近づき、最終的
に、そのトルクTeと等しくなる(ステップS22
6)。
【0111】こうして、制御ユニット90により並行し
て行なわれる切換装置80およびアシストモータ40に
対する制御処理と、エンジン50およびクラッチモータ
30に対する制御処理がそれぞれ終了したら、図7に示
す処理ルーチンに戻る。そして、アシストモータ40の
ロータ軸43の結合状態はアンダードライブ結合となっ
ているため、制御ユニット90は、エンジン50、アシ
ストモータ40、クラッチモータ30に対し、前述した
ようなアンダードライブ結合時の制御処理を行なうこと
になる(ステップS110)。
【0112】アシストモータ40のロータ軸43の結合
状態をオーバードライブ結合からアンダードライブ結合
に切り換える際には、以上説明したようにして、制御処
理が行なわれる。
【0113】従って、本実施例によれば、制御ユニット
90は、運転者がアクセルペダル65を踏み込んで、駆
動軸であるアウタロータ軸35の目標動作点がエンジン
50の動作線L2を越えアンダードライブ領域にある
と、オーバードライブ結合からアンダードライブ結合へ
の切換指令を出し、直ちに、切換装置80のアクチュエ
ータ86を始動して、アシストモータ40のロータ軸4
3をエンジン50のクランクシャフト56から切り離す
ので、従来に比較して切換時間を短縮することができ
る。つまり、従来においては、制御ユニット90は、駆
動軸であるアウタロータ軸35とエンジン50の出力軸
であるクランクシャフト56との差速が切換許容差速範
囲内になったことを確認してから、切換装置80のアク
チュエータ86を始動していたが、本実施例では、その
ような確認をすることなく直ちに、アクチュエータ86
を始動するので、その分、切換時間が短くなる。
【0114】また、本実施例によれば、制御ユニット9
0は、アシストモータ40のロータ軸43をエンジン5
0のクランクシャフト56から切り離すと、アシストモ
ータ40の回転を加速させ、ロータ軸43の回転数を駆
動軸であるアウタロータ軸35の回転数に合わせ込むよ
うに、回転数の同期化を図るため、従来に比べて、さら
に切換時間を短くすることができる。つまり、従来にお
いては、制御ユニットは、アシストモータ40のロータ
軸43をエンジン50のクランクシャフト56から切り
離した後、アシストモータ40を駆動状態にして、アシ
ストモータ40を一定のトルクで回転数を徐々に上昇さ
せていたのに対し、本実施例では、アシストモータ40
の回転を積極的に加速させて、ロータ軸43の回転数を
図9に示すように急速に上昇させ、駆動軸であるアウタ
ロータ軸35の回転数との同期化を図っているので、ロ
ータ軸43の回転数を早期にアウタロータ軸35の回転
数に一致させることができ、ロータ軸43とアウタロー
タ軸35との結合を早めることができる。このため、本
実施例では、図9に矢印ATとして示すように、切換装
置80のアクチュエータ86の駆動時間は、約0.25
秒とすることができる。また、従来では、ロータ軸43
とアウタロータ軸35との結合は、図6において、交点
edで完了していたが、本実施例では、それよりも早い
点d2で完了することになる。また、本実施例では、ア
シストモータ40のロータ軸43を駆動軸であるアウタ
ロータ軸35に結合させる時点で、ロータ軸43の回転
数とアウタロータ軸35の回転数はほぼ一致しているた
め、切換装置80において、可動ギヤ84と第1ギヤ8
1との差速はほぼゼロとなって、切換許容差速範囲内に
あり、従って、両者の間で大きな磨耗を生じる恐れはな
い。
【0115】また、以上のように切換時間を短縮したこ
とによって、本実施例によれば、運転者がアクセルペダ
ルを踏み込んでから、その踏込量に見合ったトルクが駆
動軸であるアウタロータ軸35から実際に出力されるま
でに、かかる時間を約0.6秒程度とすることができる
ため、運転者にとってレスポンスの良いものとすること
ができる。
【0116】さらにまた、本実施例では、オーバードラ
イブ結合からアンダードライブ結合に切り換える際に、
エンジン50から出力される動力を上昇させると共に、
このエンジン50の出力するトルクをクラッチモータ3
0で受けて、駆動軸であるアウタロータ軸35にトルク
伝達させているので、駆動軸でのトルク抜けを防止する
ことができる。
【0117】さて、図1に示した動力出力装置10で
は、エンジン50から出力された動力を電力のやりとり
によって増減して伝達する動力調整装置として、クラッ
チモータ30を適用していた。しかし、本発明はこれに
限定されるものではなく、動力調整装置として、クラッ
チモータ30の代わりに、図11に示すように、プラネ
タリギヤ200と電動発電機210を適用するようにし
ても良い。
【0118】図11は図1の動力出力装置の変形例を示
す構成図である。この変形例の構成は、動力調整装置と
してプラネタリギヤ200と電動発電機210を用いた
以外は、図1に示した動力出力装置の構成と基本的に同
じである。なお、図11においては、切換装置80に代
えて、切換装置80と基本構成が同じな切換装置180
を用いている。また、図1では図示しなかったが、図1
1ではダンパ58が図示されている。
【0119】さて、プラネタリギヤ200は、中心で回
転するサンギヤ201、サンギヤ201の外周を自転し
ながら公転するプラネタリピニオンギヤを備えるプラネ
タリキャリア203と、更にその外周で回転するリング
ギヤ202とから構成されている。サンギヤ201、プ
ラネタリキャリア203,およびリングギヤ202はそ
れぞれ別々の回転軸を有している。サンギヤ201の回
転軸であるサンギヤ軸204は中空になっており、電動
発電機210のロータ212に結合されている。プラネ
タリキャリア203の回転軸であるプラネタリキャリア
軸206はダンパ58を介してエンジン50のクランク
シャフト56と結合されている。リングギヤ202の回
転軸であるリングギヤ軸205は、駆動軸であって、出
力用ギヤ21,チェーン23を介して伝達軸22に結合
されている。この伝達軸22は、更に減速機24および
ディファレンシャルギヤ25を介して、駆動輪26R,
26Lを備えた車軸26に結合されている。
【0120】プラネタリギヤ200は、サンギヤ軸20
4,プラネタリキャリア軸206およびリングギヤ軸2
05の3軸の回転数およびトルクに以下の関係が成立す
ることが機構学上よく知られている。即ち、上記3つの
回転軸のうち2つの回転軸の動力状態が決定されると、
以下の関係式に基づいて残余の一つの回転軸の動力状態
が決定される。
【0121】 Ns=(1+ρ)/ρ×Nc−Nr/ρ; Nc=ρ/(1+ρ)×Ns+Nr/(1+ρ); Nr=(1+ρ)Nc−ρNs; Ts=Tc×ρ/(1+ρ)=ρTr; Tr=Tc/(1+ρ); ρ=サンギヤ201の歯数/リングギヤ202の歯数; ・・・(4)
【0122】ここで、Nsはサンギヤ軸204の回転
数;Tsはサンギヤ軸204のトルク;Ncはプラネタ
リキャリア軸206の回転数(即ちNe);Tcはプラ
ネタリキャリア軸206のトルク(即ちTe);Nrは
リングギヤ軸205の回転数(即ちNd);Trはリン
グギヤ軸205のトルク(即ちTd);である。
【0123】電動発電機210は、アシストモータ40
と同様の構成をしている。つまり、電動発電機210は
ステータ214にコイルが巻回され、ロータ212に永
久磁石が貼付された三相同期モータとして構成されてい
る。ステータ214はケースに固定されている。ステー
タ214に巻回されたコイルに三相交流を流すと回転磁
界が生じ、ロータ212に貼付された永久磁石との相互
作用によってロータ212が回転する。電動発電機21
0は、ロータ212が外力によって回転されると、その
動力を電力として回生する発電機としての機能も奏す
る。なお、電動発電機210のステータ214に巻回さ
れたコイルは、図1のクラッチモータ30と同様に、駆
動回路91と電気的に接続されている。制御ユニット9
0が駆動回路91のトラジスタをオン・オフすることに
より電動発電機210の運転を制御することができる。
【0124】この変形例では、プラネタリギヤ200と
電動発電機210の組み合わせにより、図1に示したク
ラッチモータ30と同等の機能を奏することができる。
クラッチモータ30のインナロータ軸33に相当するの
がプラネタリキャリア軸206であり、駆動軸であった
アウタロータ軸35に相当するのがリングギヤ軸205
である。この変形例では、これらの組み合わせにより、
以下に示す通り、動力調整装置としての機能を奏する。
【0125】エンジン50からプラネタリキャリア軸2
06に動力が入力されると、上式(4)に従い、リング
ギヤ202およひサンギヤ201が回転する。リングギ
ヤ202およびサンギヤ201のいずれか一方の回転を
止めることも可能である。リングギヤ202が回転する
ことにより、エンジン50から出力された動力の一部を
駆動軸であるリングギヤ軸205に機械的な形で伝達す
ることができる。また、サンギヤ201が回転すること
により、エンジン50から出力された動力の一部を電動
発電機210により電力として回生することができる。
一方、電動発電機210を力行すれば、電動発電機21
0から出力されたトルクは、サンギヤ201、プラネタ
リキャリア203およびリングギヤ202を介して駆動
軸であるリングギヤ軸205に機械的に伝達することが
できる。従って、電動発電機210を力行することによ
り、エンジン50から出力されたトルクを増大して駆動
軸であるリングギヤ軸205に出力することも可能であ
る。このように、この変形例では、プラネタリギヤ20
0と電動発電機210の組み合わせにより、図1に示し
たクラッチモータ30と同様の機能を奏することができ
るのである。
【0126】この変形例においても、アシストモータ4
0のロータ軸43をプラネタリギヤ200のリングギヤ
軸205に結合させるか、プラネタリキャリア軸206
に結合させるかを、第1ギヤ111,第2ギヤ112,
第3ギヤ113を備えた切換装置180により切り換え
ている。切換装置180には、図1に示した切換装置8
0と同様、切り換え用のアクチュエータが設けられてお
り、制御ユニット90に接続されているが、図示は省略
した。
【0127】この変形例でも、これらギヤの噛合状態に
応じて種々の構成を採ることができる。例えば、第1ギ
ヤ111と第3ギヤ113とを噛合すると、アシストモ
ータ40のロータ軸43は、駆動軸であるプラネタリギ
ヤ200のリングギヤ軸205と結合する。従って、エ
ンジン50から出力された動力は、プラネタリギヤ20
0、アシストモータ40を経て駆動軸であるリングギヤ
軸205に伝達される。これは、図1の構成におけるア
ンダードライブ結合(図13)に相当する結合状態であ
る。
【0128】他方、切換装置180を制御して、第2ギ
ヤ112と第3ギヤ113とを噛合すると、アシストモ
ータ40のロータ軸43はプラネタリギヤ200のプラ
ネタリキャリア軸206と結合する。従って、エンジン
50から出力された動力は、アシストモータ40、プラ
ネタリギヤ200を経て駆動軸リングギヤ軸205に伝
達される。これは、図1の構成におけるオーバードライ
ブ結合(図14)に相当する結合状態である。
【0129】従って、以上のような構成において、図7
及び図8に示したオーバードライブ結合からアンダード
ライブ結合への切換時の制御処理をそのまま実行するこ
とによって、この変形例においても、図1に示した実施
例と同様の効果を奏することは可能である。但し、図9
において、クラッチモータの代わりに、電動発電機21
0の動作制御を行なう必要がある。
【0130】また、本発明は4輪駆動車に適用すること
もできる。実施例(図1)または変形例(図11)の構
成による動力系統を車両の前輪に適用し、後輪の車軸に
別途駆動用の電動機を設けることによって4輪駆動可能
なハイブリッド車両を構成することができる。かかる車
両でも、駆動軸の回転数とエンジン50の回転数の大小
関係に応じて、結合状態を切り替えることにより効率の
高い運転を行うことができる。従って、かかる切り替え
の制御に本発明を適用するものとすれば、先に実施例で
説明した種々の効果を得ることができる。
【0131】以上、本発明の実施の形態について説明し
たが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内におい
て、更に種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
例えば、上述した実施例においては、エンジン50とし
てガソリンにより運転されるガソリンエンジンを用いて
いたが、その他にも、ディーゼルエンジン等のレシプロ
エンジンの他、タービンエンジンや、ジェットエンジ
ン、ロータリエンジンなど各種内燃或いは外燃機関を用
いることができる。
【0132】また、モータとしては、PM形(永久磁石
形;Permanent Magnet type)同期電動機を用いたが、
回生動作及び力行動作を行なわせるのであれば、その他
にも、VR形(可変リラクタンス形;Variable Relucta
nce type)同期電動機や、バーニアモータや、直流電動
機や、誘導電動機や、超電導モータなどを用いることが
できる。また、力行動作のみ行なわせるのであれば、直
流モータやステップモータなどを用いることもできる。
【0133】クラッチモータ30における、インナロー
タ,アウタロータと外部の回転軸との関係は、逆にする
ことも可能である。また、アウタロータとインナロータ
の代わりに、互いに対向する円盤状のロータを用いるよ
うにしても良い。
【0134】第1及び第2の駆動回路91,92として
は、トランジスタインバータを用いていたが、その他に
も、IGBT(絶縁ゲートバイポーラモードトランジス
タ;Insulated Gate Bipolar mode Transistor)インバ
ータや、サイリスタインバータや、電圧PWM(パルス
幅変調;Pulse Width Modulation)インバータや、方形
波インバータ(電圧形インバータ,電流形インバータ)
や、共振インバータなどが用いることができる。
【0135】二次電池であるバッテリ94としてはPb
バッテリ,NiMHバッテリ,Liバッテリなどを用い
ることができるが、バッテリ94に代えてキャパシタを
用いることもできる。また、本実施例では、種々の制御
処理をCPUがソフトウェアを実行することにより実現
しているが、かかる制御処理をハード的に実現すること
もできる。
【0136】以上の実施例では、動力出力装置をハイブ
リッド車両に搭載する場合について説明したが、本発明
はこれに限定されるものではなく、2つの出力軸を有す
るものであれば、船舶,航空機などの交通手段や、工作
機械などの各種産業機械などに搭載することも可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての動力出力装置を搭載
したハイブリッド車両の概略構成を示す構成図である。
【図2】アンダードライブ結合状態において、エンジン
から出力された動力を回転数が低い側に変換する場合の
様子を示す説明図である。
【図3】アンダードライブ結合状態において、エンジン
から出力された動力を回転数が高い側に変換する場合の
様子を示す説明図である。
【図4】オーバードライブ結合状態において、エンジン
から出力された動力を回転数が低い側に変換する場合の
様子を示す説明図である。
【図5】オーバードライブ結合状態において、エンジン
から出力された動力を回転数が高い側に変換する場合の
様子を示す説明図である。
【図6】図1の動力出力装置の動作領域と基本的にオー
バードライブ結合とする領域とアンダードライブ結合と
する領域とを示す説明図である。
【図7】図1の動力出力装置10におけるオーバードラ
イブ結合からアンダードライブ結合への切換時の制御の
処理手順を示すフローチャートである。
【図8】図7におけるオーバードライブ結合からアンダ
ードライブ結合への切換処理ルーチンを示すフローチャ
ートである。
【図9】図1の動力出力装置10におけるエンジン5
0、アシストモータ40及び駆動軸であるアウタロータ
軸35の回転数の時間変化を示すタイミングチャートで
ある。
【図10】オーバードライブ結合からアンダードライブ
結合への切換時のアシストモータ40に対する制御シー
ケンスを示すタイミングチャートである。
【図11】図1の動力出力装置の変形例を示す構成図で
ある。
【図12】電動機の回転軸の結合状態を切り換え可能に
構成した一般的な動力出力装置の要部を示す構成図であ
る。
【図13】図1または図12における動力出力装置にお
いて、アンダードライブ結合時の動力系統の概略構成を
示す説明図である。
【図14】図1または図12における動力出力装置にお
いて、オーバードライブ結合時の動力系統の概略構成を
示す説明図である。
【図15】従来の動力出力装置におけるオーバードライ
ブ結合からアンダードライブ結合へ切り換える際の各構
成要素の動作状態の時間的推移を示すタイミングチャー
トである。
【符号の説明】
10…動力出力装置 20…ハイブリッドユニット 21…出力用ギヤ 22…伝達軸 23…チェーン 24…減速機 25…ディファレンシャルギヤ 26…車軸 26R,26L…駆動輪 30…クラッチモータ 32…インナロータ 33…インナロータ軸 34…アウタロータ 35…アウタロータ軸 36…三相コイル 38…スリップリング 40…アシストモータ 42…ロータ 43…ロータ軸 44…ステータ 46…三相コイル 50…エンジン 51…燃料噴射弁 52…回転数センサ 53…スロットルバルブ 54…スロットルバルブモータ 56…クランクシャフト 57…VVT 58…ダンパ 65…アクセルペダル 65a…アクセルペダルポジションセンサ 66…シフトレバー 66a…シフトポジションセンサ 70…EFIECU 80…切換装置 81…第1ギヤ 82…第2ギヤ 83…第3ギヤ 84…可動ギヤ 85…スプライン 86…アクチュエータ 87…可動部材 90…制御ユニット 91…第1の駆動回路 92…第2の駆動回路 94…バッテリ 111…第1ギヤ 112…第2ギヤ 113…第3ギヤ 180…切換装置 200…プラネタリギヤ 201…サンギヤ 202…リングギヤ 203…プラネタリキャリア 204…サンギヤ軸 205…リングギヤ軸 206…プラネタリキャリア軸 210…電動発電機 212…ロータ 214…ステータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16H 61/02 (72)発明者 高木 伸芳 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 金森 彰彦 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 山田 英治 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 小出 訓 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 永松 茂隆 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 福丸 健一郎 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3D039 AA01 AA03 AB27 AC21 AC23 AD11 3G093 AA03 AA04 AA07 AA16 AB00 AB01 BA15 DA01 DA06 DB01 DB11 EA01 EB00 EB02 EC02 FA10 FA11 FA12 FB01 3J052 AA04 DB10 EA04 FA01 FB32 FB33 GA18 GB03 GC01 GC13 GD11 HA01 KA07 KA09 LA01 5H115 PG04 PI16 PI29 PO17 PU10 PU22 PU24 PU25 PV10 PV23 QN03 RB08 RB22 RE03 RE05 SE04 SE06 TB01 TE02 TO21 TO30

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 出力軸を有するエンジンと、動力を出力
    するための駆動軸と、前記出力軸及び駆動軸に結合され
    電力のやりとりによって前記エンジンから出力された動
    力を増減して前記駆動軸に伝達可能な動力調整装置と、
    回転軸を有する電動機と、該電動機の回転軸を前記駆動
    軸または前記出力軸に選択的に結合させることが可能な
    結合手段と、を備えた動力出力装置であって、 前記結合手段によって前記電動機の回転軸が前記出力軸
    に結合されている場合に、外部から要求された要求出力
    に基づいて、前記電動機の回転軸を前記出力軸に代えて
    前記駆動軸に結合させるべきか否かを判定する判定手段
    と、 該判定手段が前記電動機の回転軸を前記駆動軸に結合さ
    せるべきであると判定した場合に、前記結合手段を制御
    して、前記電動機の回転軸を前記出力軸から切り離すべ
    く、前記結合手段の駆動を開始させる切り離し制御手段
    と、 前記電動機の回転軸が前記出力軸から切り離された場合
    に、前記電動機の回転軸の回転数を上昇させて、前記駆
    動軸の回転数に合わせ込む同期化手段と、 前記電動機の回転軸の回転数が前記駆動軸の回転数とほ
    ぼ等しくなった場合に、前記結合手段を制御して、前記
    電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させる結合制御手段
    と、 をさらに備える動力出力装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の動力出力装置におい
    て、 前記判定手段が前記電動機の回転軸を前記駆動軸に結合
    させるべきであると判定した場合に、前記エンジンを制
    御して、該エンジンから出力される動力を上昇させる動
    力上昇手段をさらに備える動力出力装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の動力出
    力装置において、 トルクと回転数との関係で表される前記動力出力装置の
    動作領域を、所定の境界によって分割して、前記電動機
    の回転軸を前記出力軸に結合させて動作させるべき第1
    の領域と前記電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させて
    動作させるべき第2の領域とを設定する領域設定手段を
    さらに備えると共に、 前記判定手段は、 前記要求動力から前記駆動軸の目標動作点を設定する目
    標動作点設定手段と、 設定した前記駆動軸の目標動作点が前記境界を越えて前
    記第2の領域にある場合に、前記電動機の回転軸を前記
    出力軸に代えて前記駆動軸に結合させるべきであると決
    定する切換決定手段と、 を備える動力出力装置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のうちの任意の
    一つに記載の動力出力装置において、 前記動力調整装置は、前記出力軸に結合された第1のロ
    ータと、前記駆動軸に結合された第2のロータとを有す
    る対ロータ電動機を備えることを特徴とする動力出力装
    置。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項3のうちの任意の
    一つに記載の動力出力装置において、 前記動力調整装置は、 ロータ軸を有する発電機と、 3つの回転軸を有し、各回転軸が前記出力軸、駆動軸、
    及びロータ軸にそれぞれ結合されたプラネタリギヤと、 を備えることを特徴とする動力出力装置。
  6. 【請求項6】 出力軸を有するエンジンと、動力を出力
    するための駆動軸と、前記出力軸及び駆動軸に結合され
    電力のやりとりによって前記エンジンから出力された動
    力を増減して前記駆動軸に伝達可能な動力調整装置と、
    回転軸を有する電動機と、該電動機の回転軸を前記駆動
    軸または前記出力軸に選択的に結合させることが可能な
    結合手段と、を備えた動力出力装置の制御方法であっ
    て、 (a)前記結合手段によって前記電動機の回転軸が前記
    出力軸に結合されている場合に、外部から要求された要
    求出力に基づいて、前記電動機の回転軸を前記出力軸に
    代えて前記駆動軸に結合させるべきか否かを判定する工
    程と、 (b)前記電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させるべ
    きであると判定した場合に、前記結合手段を制御して、
    前記電動機の回転軸を前記出力軸から切り離すべく、前
    記結合手段の駆動を開始させる工程と、 (c)前記電動機の回転軸が前記出力軸から切り離され
    た場合に、前記電動機の回転軸の回転数を上昇させて、
    前記駆動軸の回転数に合わせ込む工程と、 (d)前記電動機の回転軸の回転数が前記駆動軸の回転
    数とほぼ等しくなった場合に、前記結合手段を制御し
    て、前記電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させる工程
    と、 を備える動力出力装置の制御方法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の制御方法において、 (e)前記工程(a)にて前記電動機の回転軸を前記駆
    動軸に結合させるべきであると判定した場合に、前記エ
    ンジンを制御して、該エンジンから出力される動力を上
    昇させる工程をさらに備える動力出力装置の制御方法。
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