JP2000225504A - ガイドブッシュ - Google Patents

ガイドブッシュ

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JP2000225504A JP2000002901A JP2000002901A JP2000225504A JP 2000225504 A JP2000225504 A JP 2000225504A JP 2000002901 A JP2000002901 A JP 2000002901A JP 2000002901 A JP2000002901 A JP 2000002901A JP 2000225504 A JP2000225504 A JP 2000225504A
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宮  行男
Osamu Sugiyama
杉山  修
Takashi Toida
孝志 戸井田
Toshiichi Sekine
敏一 関根
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間の使用や重切削においても、焼き付き
により切削不能になることなく、被加工物のバリによる
ガイドブッシュ内周面のキズの発生も防止する。 【解決手段】 自動旋盤に装着され、被加工物(51)
を切削工具の近くで回転及び軸方向に摺動可能に保持す
るガイドブッシュ(11)において、被加工物(51)
と摺接する内周面(11b)及びその開口端面(11h)
の内周面近傍部分(11h)に、直接又は密着性を高
める中間層を介して、水素化アモルファス・カーボンに
よる硬質カーボン膜(15)を形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動旋盤に装着
され、丸棒状の被加工物を切削工具(刃物)の近くで回
転及び軸方向に摺動可能に保持するガイドブッシュとに
関する。
【0002】
【従来の技術】自動旋盤の自動旋盤コラムに設けられ、
丸棒状の被加工物を切削工具の近くで回転可能に保持す
るガイドブッシュには、回転型と固定型とがある。回転
型のものは常に被加工物と共に回転しながらその被加工
物を軸方向に摺動可能に保持し、固定型のものは回転せ
ずに被加工物を回転及び軸方向に摺動可能に保持する。
【0003】いずれの型のガイドブッシュも、外周テー
パ面と、それに弾力を持たせるための摺り割り、コラム
に取り付けるためのネジ部と、被加工物を保持する内周
面とを備えており、その内周面は常に被加工物と摺接す
るため摩耗しやすく、特に固定型の場合はその摩耗が激
しい。
【0004】そのため、この被加工物の回転や摺動によ
り被加工物と摺接するガイドブッシュの内周面に、超硬
合金やセラミックスをロー付けなどによって固着して設
けるものが、たとえば特開平4−141303号公報に
見られるように提案されている。このように、耐摩耗性
や耐熱性に優れた超硬合金やセラミックスをガイドブッ
シュの内周面に設けることにより、ある程度のその摩耗
を抑制する効果が認められる。
【0005】しかしながら、このように超硬合金やセラ
ミックスを内周面に設けても、自動旋盤で切削量が大き
く加工速度が大きな重切削に対しては、超硬合金やセラ
ミックスも摩擦係数が大きく熱伝導率が低いため、被加
工物にキズが発生したり、ガイドブッシュと被加工物と
の直径方向の隙間寸法が減少して焼き付きが発生したり
するという問題があり、切削量及び加工速度を上げるこ
とができなかった。
【0006】固定型のガイドブッシュの方が、被加工物
をその軸心のブレがなく保持できるので、真円度が高く
精度のよい加工ができ、しかも騒音が少なく、自動旋盤
の構造も複雑にならずコンパクトにできるなどの利点が
ある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ガイド
ブッシュの内周面の摩耗は、回転型の場合よりはるかに
大きくなるため、一層切削量及び加工速度を上げること
が困難であるという問題があった。
【0008】また、自動旋盤においては、被加工物の一
旦加工した領域を再びガイドブッシュ内に引き込んで把
持し、再度切削加工することがしばしばある。このよう
な場合、被加工物の切削加工された部分にはそのエッジ
部にバリと称される小突起が発生していることが多いた
め、ガイドブッシュ内に引き込まれる際にそのバリによ
って、ガイドブッシュの開口端面内周面近傍や内周面に
キズが発生するという問題がある。このバリの発生は、
被加工物が靭性の高い難切削料材からなる場合に顕著で
あり、その場合に上述の問題も大きくなる。
【0009】この発明はこのような問題を解決して、ガ
イドブッシュの被加工物と接触する内周面の耐摩耗性を
飛躍的に高め、被加工物へのキズの発生や焼き付きを発
生することなく、自動旋盤に加る切削量及び加工速度を
上げることができるようにし、さらに、加工物の切削加
工した部分をガイドブッシュ内に引き戻して再度切削加
工するような場合にも、被加工物のバリによってガイド
ブッシュの内周面やその開口端面の内周面近傍部にキズ
が発生することがないようにして、同一のガイドブッシ
ュを長期に亘って使用できるようにすることを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の目的
を達成するため、上述のようなガイドブッシュの被加工
物と摺接する内周面及びその内周面が開口する端面の内
周面近傍部分に硬質カーボン膜を形成したガイドブッシ
ュを提供する。
【0011】この硬質カーボン膜とは、水素化アモルフ
ァス・カーボン膜であり、ダイアモンドによく似た性質
をもつため、ダイアモンドライクカーボン(DLC)と
も云われるものである。この、硬質カーボン(DLC)
膜は、硬度が高く(ビッカース硬度で3000Hv以
上)、耐摩耗性に優れ、摩擦係数が小さく(超硬合金の
1/8位)、耐蝕性にも優れている。
【0012】そのため、被加工物と摺接する内周面及び
その内周面が開口する端面の内周面近傍部分にこの硬質
カーボン膜を設けたこの発明によるガイドブッシュは、
従来の超硬合金やセラミックスを内周面に設けたものに
比べて、耐摩耗性が飛躍的に向上する。したがって、こ
れを自動旋盤の固定型のガイドブッシュとして使用すれ
ば、切削量が大きく加工速度が大きな重切削を行なって
も、被加工物にキズを発生させたり、焼き付きを生じた
りすることがなく、長期間に亘って精度の高い加工を行
なうことが可能になる。
【0013】上記ガイドブッシュの内周面およびその開
口端の近傍部分に硬質カーボン膜との密着性を高める中
間層を介して硬質カーボン膜を形成すると、硬質カーボ
ン膜をより強固に剥離し難く形成することができる。そ
の中間層を、例えば、チタン又はクロムからなる下層
と、シリコンカーバイトからなる上層との2層膜で形成
すると、下層がガイドブッシュの内周面(基材の合金工
具鋼)との密着性を保ち、上層が硬質カーボン膜と強く
結合するため、密着性のよい強固な硬質カーボン膜を設
けることができる。
【0014】それによって、このガイドブッシュを装着
した自動旋盤で、切削量が大きく加工速度が大きな重切
削を行っても、硬質カーボン膜が剥離する恐れがなくな
る。あるいは、ガイドブッシュの内周面付近の基材に、
少なくともタングステン,炭素およびコバルトを含む超
硬部材を設けるか、または浸炭層を形成し、その超硬部
材または浸炭層の内周面およびその内周面が開口する端
面の内周面近傍部分に硬質カーボン膜を設けてもよく、
その場合も、上記と同様な中間層を介して硬質カーボン
膜を設けるとさらに密着性を高めることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照してこの発明の
実施の形態を説明する。 〔この発明のガイドブッシュを用いる自動旋盤の説明〕
先ず、この発明によるガイドブッシュを用いる自動旋盤
の構造について簡単に説明する。
【0016】図29は、数値制御自動旋盤の主軸近傍の
みを示す断面図である。この自動旋盤は、ガイドブッシ
ュ11を固定して、その内周面11bで被加工物51
(仮想線で示す)を回転自在に保持する状態で使用する
固定型のガイドブッシュ装置37を設けたものである。
【0017】主軸台17は、この数値制御自動旋盤の図
示しないベッド上を、図で左右方向に摺動可能となって
いる。この主軸台17には、軸受21によって回転可能
な状態で支持された主軸19を設けている。そして主軸
19の先端部には、コレットチャック13を取り付けて
いる。
【0018】このコレットチャック13は、チャックス
リーブ41の中心孔内に配置する。そしてコレットチャ
ック13の先端の外周テーパ面13aと、チャックスリ
ーブ41の内周テーパ面41aとが互いに面接触してい
る。さらに中間スリーブ29内のコレットチャック13
の後端部に、帯状のバネ材をコイル状にしたスプリング
25を設けている。そして、このスプリング25の働き
によって、中間スリーブ29内からコレットチャック1
3を押し出すことができる。
【0019】コレットチャック13の先端位置は、主軸
19の先端にネジ固定するキャップナット27に接触し
て位置を規制している。このため、コレットチャック1
3がスプリング25のバネ力によって、中間スリーブ2
9から飛び出すことを防止している。中間スリーブ29
の後端部には、この中間スリーブ29を介してチャック
開閉機構31を設ける。そしてチャック開閉爪33を開
閉することによって、コレットチャック13は開閉し、
被加工物51を把持したり解放したりする。
【0020】すなわち、チャック開閉機構31のチャッ
ク開閉爪33の先端部が相互に開くように移動すると、
チャック開閉爪33の中間スリーブ29と接触している
部分が、図29で左方向に移動して中間スリーブ29を
左方向に押す。この中間スリーブ29の左方向への移動
により、中間スリーブ29の左端に接触しているチャッ
クスリーブ41が左方向に移動する。
【0021】そして、コレットチャック13は、主軸1
9の先端にネジ止めしているキャップナット27によっ
て、主軸19から飛び出すのを防止されている。このた
め、このチャックスリーブ41の左方向への移動によっ
て、コレットチャック13の摺り割りが形成されている
部分の外周テーパ面13aと、チャックスリーブ41の
内周テーパ面41aとが強く押されて、互いにテーパ面
に沿って移動することになる。
【0022】その結果、コレットチャック13の内周面
の直径が小さくなり、被加工物51を把持することがで
きる。コレットチャック13の内周面の直径を大きくし
て被加工物51を解放するときは、チャック開閉爪33
の先端部が相互に閉じるように移動することにより、チ
ャックスリーブ41を左方向に押す力を除く。するとス
プリング25の復元力によって中間スリーブ29とチャ
ックスリーブ41とが、図で右方向に移動する。
【0023】このため、コレットチャック13の外周テ
ーパ面13aと、チャックスリーブ41の内周テーパ面
41aとの押圧力が除かれることになる。それによっ
て、コレットチャック13は自己のもつ弾性力で内周面
の直径が大きくなり、被加工物51を解放することがで
きる。さらに、主軸台17の前方にはコラム35が設け
られており、そこに、ガイドブッシュ装置37をその中
心軸線を主軸中心線と一致させるようにして配置してい
る。
【0024】このガイドブッシュ装置37は、ガイドブ
ッシュ11を固定して、このガイドブッシュ11の内周
面11bで被加工物51を回転可能な状態で保持する固
定型のガイドブッシュ装置37である。コラム35に固
定したホルダ39の中心孔に、ブッシュスリーブ23を
嵌入し、そのブッシュスリーブ23の先端部には内周テ
ーパ面23aを設けている。
【0025】そして、このブッシュスリーブ23の中心
孔に、先端部に外周テーパ面11a及び摺り割り11c
を形成したガイドブッシュ11を嵌入させて配置してい
る。ガイドブッシュ装置37の後端部に、ガイドブッシ
ュ11のネジ部に螺着して設けた調整ナット43を回転
することによって、ガイドブッシュ11の内径と被加工
物51の外形との隙間寸法を調整することができる。
【0026】すなわち、調整ナット43を右回転させる
と、ブッシュスリーブ23に対してガイドブッシュ11
が図で右方向に移動し、コレットチャック13の場合と
同様に、ブッシュスリーブ23の内周テーパ面23aと
ガイドブッシュ11の外周テーパ面11aとが相互に押
圧されて、ガイドブッシュ11の先端部の内径が小さく
なるためである。
【0027】ガイドブッシュ装置37のさらに前方に
は、切削工具(刃物)45を設けている。そして、被加
工物51を主軸19のコレットチャック13で把持する
と共に、ガイドブッシュ装置37で支持し、しかもこの
ガイドブッシュ装置37を貫通して加工領域に突き出し
た被加工物51を、切削工具45の前進後退と主軸台1
7の移動との合成運動によって所定の切削加工を行な
う。
【0028】次に、被加工物を把持するガイドブッシュ
を回転する状態で使用する回転型のガイドブッシュ装置
について、図30によって説明する。この図30におい
て、図29と対応する部分には同一の符号を付してい
る。
【0029】この回転型のガイドブッシュ装置として
は、コレットチャック13とガイドブッシュ11とが同
期して回転するガイドブッシュ装置と、同期しないで回
転するガイドブッシュ装置とがある。この図に示すガイ
ドブッシュ装置37は、コレットチャック13とガイド
ブッシュ11とが同期して回転するものである。
【0030】この回転型のガイドブッシュ装置37は、
主軸19のキャップナット27から突き出した回転駆動
棒47によって、ガイドブッシュ装置37を駆動する。
この回転駆動棒47に代えて、歯車やベルトプーリによ
ってガイドブッシュ装置37を駆動するものもある。
【0031】この回転型のガイドブッシュ装置37は、
コラム35に固定するホルダ39の中心孔に、軸受21
を介して回転可能な状態にブッシュスリーブ23を嵌入
させて配置している。さらに、このブッシュスリーブ2
3の中心孔にガイドブッシュ11を嵌入させて配置して
いる。
【0032】ブッシュスリーブ23とガイドブッシュ1
1とは、図29によって説明したものと同様な構成であ
る。そしてガイドブッシュ装置37の後端部に、ガイド
ブッシュ11のネジ部に螺着して設けた調整ナット43
を回転することによって、ガイドブッシュ11の内径を
小さくして、ガイドブッシュ11の内径と被加工物51
の外形との隙間寸法を調整することができる。ガイドブ
ッシュ装置37が回転型である以外の構成は、図29に
よって説明した自動旋盤の構成と同じであるのでそれら
の説明は省略する。
【0033】〔この発明によるガイドブッシュの説明〕
つぎに、この発明によるガイドブッシュの構成を種々の
実施形態で説明する。図1はこの発明によるガイドブッ
シュの一例を示す縦断面図であり、図2はその外観を示
す斜視図である。
【0034】これらの図に示すように、ガイドブッシュ
11は、先端部が開いた自由な状態を示している。この
ガイドブッシュ11は、軸方向に中心開口11jを有す
る略円筒状に形成され、長手方向の一端部に外周テーパ
面11aを形成し、他端部にネジ部11fを有する。
【0035】さらに、このガイドブッシュ11の中心に
は開口径が異なる貫通した開口を設けている。そして外
周テーパ面11aを設けた側の内周に、被加工物51を
保持する内周面11bを形成している。そして、この内
周面11b以外の領域には、内周面11bの内径より大
きな内径をもつ段差部11gを形成している。
【0036】そして、このガイドブッシュ11の中心開
口11jは、外周テーパ面11aを設けた一端部の内側
に、被加工物を保持する内周面11bを形成し、この内
周面11b以外の領域には、内周面11bの内径より大
きな内径をもつ段差部11gを形成している。また、こ
のガイドブッシュ11は、外周テーパ面11aからバネ
部11dにまで、外周テーパ面11aを円周方向に3等
分するように摺り割り11cを、120°間隔で3箇所
に設けている。
【0037】そして、前述したブッシュスリーブの内周
テーパ面にこのガイドブッシュ11の外周テーパ面11
aを押圧することにより、バネ部11dが撓み、内周面
11bと図1に仮想線で示す被加工物51との隙間寸法
を調整することができる。さらに、このガイドブッシュ
11には、バネ部11dとネジ部11fとの間に嵌合部
11eを設けている。そして、この嵌合部11eを図2
9及び図30に示したブッシュスリーブ23の中心孔に
嵌合させることによって、ガイドブッシュ11を主軸の
中心線上で、しかも主軸中心線に平行に配置することが
できる。
【0038】このガイドブッシュ11の材料としては、
合金工具鋼(SKS)を用い、外形形状と内形形状とを
形成した後、焼き入れ処理と焼き戻し処理とを行なう。
このガイドブッシュ11は、外周テーパ面11aが閉じ
た状態で、内周面11bと被加工物51との間に半径方
向で5μm〜10μmの隙間を設けている。それによ
り、被加工物51が出入りして内周面11bと摺接する
ため、その摩耗が問題となる。
【0039】さらに、図29に示したような固定型のガ
イドブッシュ装置に使用する場合は、固定されたガイド
ブッシュ11に保持された被加工物51が高速で回転し
て加工されるため、内周面11bと被加工物51との間
で高速摺動し、しかも切削負荷による内周面11bへの
過大な被加工物51の押圧力によって、焼き付きを発生
させる問題がある。
【0040】また、前述したように、被加工物の一旦加
工した領域をガイドブッシュ内に引き込んで、再度切削
加工する場合に、被加工物に残るバリによってガイドブ
ッシュの内周面か開口端縁にキズが発生するという問題
もある。そのため、このガイドブッシュ11の内周面1
1bに、前述した硬質カーボン(DLC)膜15を設け
ている。その硬質カーボン膜15の膜厚は1μmから5
μmとする。
【0041】さらに、このガイドブッシュ11の内周面
11bが開口する端面11hの内周面近傍部分11h
にも環状に硬質カーボン膜を形成する。図1の例では、
ガイドブッシュ11の基材(合金工具鋼)上に直接ある
いは後述する中間層を介して硬質カーボン膜15を形成
している。
【0042】図3に示す例では、ガイドブッシュ11の
内周面11bに、少なくともタングステン(W),炭素
(C),およびコバルト(Co)を含む、肉厚が2mm
から5mmの超硬部材12を、ロー付け手段により固定
しており、その超硬部材12の内周面およびその内周面
が開口する端面12aに硬質カーボン膜15を形成して
いる。
【0043】さらに、図4に示す例では、ガイドブッシ
ュ11の内周面11bとその内周面が開口する端面11
hの内周面近傍部分11hに浸炭層11kを設け、そ
の浸炭層11k上に硬質カーボン膜15を形成してい
る。この硬質カーボン膜は、ダイアモンドとよく似た性
質をもつ。すなわち機械的強度が高く、摩擦係数が小さ
く潤滑性があり、さらに良好な電気的絶縁性や高い熱伝
導率をもち、腐食性にも優れているという特徴点を備え
ている。
【0044】そのため、内周面11b及び端面11hの
内周面近傍部分11hに硬質カーボン膜15を設けた
このガイドブッシュ11は、耐摩耗性が飛躍的に向上
し、長期間の使用や重切削加工においても、被加工物5
1と接触する内周面11bの摩耗を抑えることができ
る。また被加工物51およびガイドブッシッュ11の内
周面やその開口端縁部へのキズの発生を抑えることも可
能になり、ガイドブッシュ11と被加工物51との焼き
付きの発生を大幅に抑制することもできる。
【0045】それ故、この発明によるガイドブッシュ1
1は、長期間の使用に対する信頼性を格段に向上させる
ことができ、固定型のガイドブッシュ装置にも充分使用
できる。ここで、このガイドブッシュ11の内周面11
b及び端面11hの内周面近傍部分11hの硬質カー
ボン膜15を設けた部分の各種の構成例を、図5から図
13を参照して説明する。
【0046】図5から図7は、いずれも図1のA部の拡
大図に相当し、図5は、ガイドブッシュ11の内周面1
1b及び端面11hの内周面近傍部分11hの基材
(合金工具鋼)上に、直接硬質カーボン膜1μmから5
〜μmの膜厚で形成したものである。
【0047】図6は、ガイドブッシュ11の内周面11
bと端面11hの内周面近傍部分11hの基材上に、
硬質カーボン膜15との密着性を高めるための中間層1
6を介し、硬質カーボン膜15を1μmから5μmの膜
厚で形成したものである。この中間層16は、周期律表
第IVb族の元素のシリコン(Si)やゲルマニウム
(Ge)、あるいはシリコンやゲルマニウムの化合物を
適用する。また、シリコンカーバイト(SiC)やチタ
ンカーバイト(TiC)のような炭素を含む化合物でも
よい。
【0048】図7は、その中間層16をチタン(Ti)
またはクロム(Cr)からなる下層16aと、シリコン
カーバイト(SiC)からなる上層16bとの2層膜で
形成したものである。このようにすると、下層16aの
チタンまたはクロムはガイドブッシュ11の基材との密
着性を保つ役割を果たし、上層16bのシリコンカーバ
イト(SiC)は硬質カーボン膜と共有結合して、この
硬質カーボン膜と強く結合する役割を果たす。
【0049】これは、チタン(Ti)及びクロム(C
r)がガイドブッシュ11を構成する合金工具鋼と高い
密着力を有するためであり、またシリコンカーバイト
(SiC)を構成するシリコンと炭素とは、共に周期律
表第IVb族の元素あり、かつ硬質カーボン膜も炭素で
構成されており、いずれもダイヤモンド構造を有するこ
とから、両被膜は高い密着力で結合するからである。
【0050】図8から図10は図3のA部の拡大図に相
当し、いずれもガイドブッシュ11の内周面11bの基
材上に、肉厚が2mm〜5mmの超硬部材12をロー付
け等によって固着し、その内周面12bとその開口側の
端面12a上に硬質カーボン膜15を形成している。こ
のようにすれば、ガイドブッシュ11の耐久性が一層向
上する。
【0051】図9に示した例では、超硬部材12の内周
面12b及び端面12aに、さらに密着性を高める中間
層16を介して硬質カーボン膜15を形成している。こ
の中間層16は、例えば炭化タングステン(WC)で形
成される。
【0052】図10に示した例では、その中間層16を
チタン(Ti)またはクロム(Cr)からなる下層16
aと、シリコンカーバイト(SiC)からなる上層16
bとの2層膜で形成したものである。あるいは、この中
間層16の下層16aを炭化タングステンで形成し、上
層16bをシリコンカーバイトで形成するようにしても
よい。
【0053】これらの例において、硬質カーボン膜15
の下層に設ける超硬部材12として、少なくともタング
ステン,炭素,およびコバルトを含む超硬部材を用い
る。例えば、タングステン(W)が85%〜90%、炭
素(C)が5%〜7%、バインダーとしてコバルト(C
o)が3%〜10%の組成のものを用いる。
【0054】また、タンタグステンカーバイト(WC)
などの超硬合金や、シリコンカーバイト(SiC)など
のセラミックスの焼結体を使用することもできる。セラ
ミックスの焼結に際しては、通常クロム(Cr),ニッ
ケル(Ni),コバルト(Co)などをバインダとして
添加するが、その添加が少ない場合には、図8に示した
ように、中間層16を介さずに硬質カーボン膜15を直
接その硬質部材12上に形成することもできる。
【0055】しかし、上述したように超硬合金上に硬質
カーボン膜15を直接形成すると、その超硬合金の形成
に用いられるバインダー等(特に、コバルト(Co))
から悪影響を受け、硬質カーボン膜15が剥離すること
がある。そのため、図9または図10に示すように、超
硬部材12と硬質カーボン膜15との間に密着性を高め
る中間層16を形成するとよい。
【0056】その中間層16介して硬質カーボン膜15
を形成することにより、超硬部材12のバインダーと直
接的な接触がなくなり、悪影響を受けることがなくなる
ので、硬質カーボン膜15が剥離することを防止でき
る。
【0057】図11から図13は、図4のA部の拡大図
に相当し、ガイドブッシュ11の内周面11bに超硬部
材12を設ける代わりに、内周面11b付近の基材に浸
炭層11kを形成し、その浸炭層11kを形成した内周
面11b及び端面11hの内周面近傍部分11hに硬
質カーボン膜15を形成した例を示している。
【0058】浸炭とは、鋼材の表面硬化法のひとつで、
表層は硬化させ、深部は強靭な性質のままに保つ公知の
処理である。ここでは、例えばメタン(CH)やエチ
レン(C)などの炭素を含む浸炭性ガスと窒素
(N)のキャリアガスとの混合ガス雰囲気中で、次の
ような条件で浸炭処理を行なう。
【0059】(浸炭条件) 温 度 1100℃ 時 間 30分 浸炭深さ 0.5mm
【0060】このようにして、ガイドブッシュ11の内
周面11bの表層に浸炭層11kを形成した場合は、図
11に示すように、その表面に直接硬質カーボン膜15
を形成することができるが、図12または図13に示す
ように、その表面にさらに密着性を高める中間層16を
形成し、その中間層16を介して硬質カーボン膜15を
形成するようにするとなおよい。
【0061】この中間層16としては、上述したように
周期律表第IVb族のシリコン(Si)やゲルマニウム
(Ge)、あるいはシリコンやゲルマニウムの化合物を
用いることができる。また、図13に示すようにこの中
間層16を、チタン(Ti)又はクロム(Cr)からな
る下層16aと、シリコンカーバイト(SiC)からな
る上層16bとの2層膜に形成してもよい。
【0062】このようにすると、中間層16の下層16
aのチタンまたはクロムはガイドブッシュ11の基材と
の密着性を保つ役割を果たし、上層16bのシリコンカ
ーバイトは硬質カーボン膜15と共有結合して、この硬
質カーボン膜15と強く結合する役割を果たし、硬質カ
ーボン膜の剥離を防止できる。
【0063】〔中間層の形成方法の説明:図14〕次
に、ガイドブッシュ11の内周面11bおよび端面11
hの内周面近傍部分11hに、上述した中間層16を
形成する方法について説明する。中間層の形成方法とし
ては、スパッタリング法やイオンプレーティング法、あ
るいは化学気相成長(CVD)法や溶射法を用いること
ができる。
【0064】その一例としてスパッタリング法による中
間層の形成方法を、図14によって説明する。ガス導入
口93と排気口95を備えた真空槽91の一壁面91a
の内側にターゲットカバー96を設け、そこに中間層の
材料であるターゲット90を配置する。そして、このタ
ーゲット90と端面11hが対向するようにガイドブッ
シュ11を配置する。このときガイドブッシュ11の中
心開口11jの軸線がターゲット90の表面に対して垂
直になるように配置する。
【0065】また、このガイドブッシュ11の端面11
hの内周面近傍部分11hを除く外周面を覆うよう
に、アルミニウム箔等のカバー部材94を巻き付ける。
そして、このガイドブッシュ11は直流電源92に接続
し、ターゲット90はターゲット電源97に接続する。
【0066】このようにセットした後、図示しない排気
手段によって真空槽91内を真空度が3×10-torr
(0.004Pa)以下になるように、排気口95から
真空排気する。その後、ガス導入口93からスパッタガ
スとしてアルゴン(Ar)ガスを導入して、真空槽91
内の真空度が3×10-torr(0.4Pa)になるよ
うに調整する。そして、ガイドブッシュ11には直流電
源92からマイナス600Vの直流負電圧を印加し、タ
ーゲット90にはターゲット電源97からマイナス50
Vの直流電圧を印加する。
【0067】すると、真空槽91内にプラズマが発生
し、そのプラズマ中のイオンによってターゲット90の
表面をスパッタする。それによって、このターゲット9
0の表面から叩き出された中間層の材料が、ガイドブッ
シュ11のカバー部材94に覆われていない部分に付着
して、内周面11bおよび端面11hの内周面近傍部分
11h上にのみ前述した中間層16を形成することが
できる。
【0068】あるいは、内周面11bに超硬部材12を
設けたガイドブッシュの場合には、図9および図10に
示したように、超硬部材12の内周面12bと端面12
a上に中間層16を形成することができる。この中間層
16の形成膜厚は0.5μm程度とする。ただし、2層
の場合は、上層と下層共に0.5μm程度とする。
【0069】1層の中間層を形成する場合には、ターゲ
ット90としてシリコンカーバイト(SiC)またはタ
ングステンカーバイト(WC)を用いる。2層の中間層
を形成する場合には、はじめにターゲット90としてチ
タン(Ti)またはクロム(Cr)を用いてスパッタリ
ングを行なって、中間層の下層を形成し、その後にター
ゲット90としてシリコンカーバイト(SiC)を用い
てスパッタリングを行なって、中間層の上層を形成す
る。
【0070】〔硬質カーボン膜の形成方法の説明〕つぎ
に、ガイドブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法を、
図15から図28を参照して説明する。ここでまず、硬
質カーボン膜を形成する前のガイドブッシュ11の作成
方法について簡単に説明する。
【0071】合金工具鋼(SKS)を用いて切削加工を
行なって、外周テーパ面11aとバネ部11dと嵌合部
11eとネジ部11fと、中心開口11jによる内周面
11bとそれより内径が大きい段差部11gとを形成す
る。そして、放電加工を行なって、このガイドブッシュ
11の外周テーパ面11a側に120゜間隔で摺り割り
11cを形成する。さらに研磨加工を行なって、内周面
11bと外周テーパ面11aと嵌合部11eとの研磨を
行ない、硬質カーボン膜を形成する前のガイドブッシュ
11を得る。
【0072】なお、必要に応じてこのガイドブッシュ1
1の内周面11bに前述した超硬部材12を固着した
り、浸炭層11kを形成する。また、前述の方法によっ
て、このガイドブッシュ11の内周面および端面の内周
面近傍部分11hに、あるいは超硬部材12の内周面
12bおよび端面12aに、あらかじめ中間層16を形
成しておく。
【0073】(第1の方法:図15,図16)図15
は、ガイドブッシュに硬質カーボン膜を形成する第1の
方法を実施する装置の断面図である。
【0074】図15において、61はガス導入口63と
排気口65とを有する真空槽で、その中の中央上部に、
アノード79とフィラメント81が配設されている。こ
の真空槽61内の中央下部に、前述したガイドブッシュ
11を絶縁支持具80に下部を固定して垂直に配置す
る。
【0075】そして、このガイドブッシュ11の中心開
口11j内には、真空槽61を介して接地電位に接続さ
れる細いロッド状の補助電極71を挿入するように配設
する。このとき補助電極71がガイドブッシュ11の中
心開口11jの中央部(略軸線上)に位置するようにす
る。なお、この補助電極71はステンレス等の金属材料
作られる。
【0076】さらに、ガイドブッシュ11の内周面11
bの径より2mm程度大きい径の開口部53aを有する
リング状のダミー部材53を、ガイドブッシュの11の
内周面11bが開口する端面11h上にその中心を中心
開口11jの中心と一致させるようにに配置し、端面1
1hの内周面近傍部分11hを環状に露出させる。こ
のダミー部材53の外観を図16に示す。このダミー部
材53も、補助電極71と同様にステンレス(SUS)
によって形成する。このダミー部材53の外径寸法は、
ガイドブッシュ11の端面11の大きさと略同じ大きさ
とする。
【0077】なお、補助電極71は、その先端がダミー
部材53の上端面から突出しないように、1mmから2
mm程内側に位置するように配置されるようにするのが
望ましい。また、このガイドブッシュ11の外周面をア
ルミニウム箔等のカバー部材84で覆うことにより、外
周面に硬質カーボン膜が形成されないようにすることが
できる。
【0078】そして、真空槽61内を真空度が3×10
-torr(0.004Pa)になるように、排気口65
から真空排気する。その後、ガス導入口63から炭素を
含むガスとしてベンゼン(C)を真空槽61内に
導入して、真空槽61内の圧力を5×10-torr
(0.6666Pa)になるように制御する。
【0079】その後、このガイドブッシュ11に直流電
源73からマイナス3kVの直流電圧を印加し、アノー
ド79にはアノード電源75からプラス50Vの直流電
圧を印加し、さらにフィラメント81にはフィラメント
電源77から30Aの電流が流れるように10V程度の
交流電圧を印加する。それによって、真空槽61内のガ
イドブッシュ11の周囲領域にプラズマが発生し、プラ
ズマCVDプロセスによって、ガイドブッシュ11の露
出している内周面11bと端面11hの内周面近傍部分
11hにのみ硬質カーボン膜が形成される。
【0080】この図15に示す硬質カーボン膜の形成方
法において、ガイドブッシュ11の中心開口11j内に
挿入するように補助電極71を設けたことにより、ガイ
ドブッシュ11の外周部だけでなく内周部にもプラズマ
を形成することができる。また、これによって異常放電
であるホロー放電が発生することがなくなり、硬質カー
ボン膜15の密着性が向上する。
【0081】さらに、ガイドブッシュ11の内周面の長
手方向で電位特性が均一になるので、内周面11bに形
成する硬質カーボン膜の膜厚分布が均一になる。しか
も、成膜速度が速くなるため、開口端面側から開口奥側
まで均一な膜厚の硬質カーボン膜を、短時間の処理で形
成することができる。
【0082】この補助電極71の径は、ガイドブッシュ
11の開口径より小さければよいが、好ましくは硬質カ
ーボン膜を形成する内周面11bに対して5mm程度の
隙間、すなわちプラズマ形成領域を設けるようにするの
が望ましい。この補助電極71の径とガイドブッシュ1
1の開口径との比を1/10以下にするのが望ましく、
補助電極71を細くする場合は線状にすることもでき
る。そして、この補助電極71はステンレスで形成する
と説明したが、タングステン(W)やタンタル(Ta)
のような高融点の金属材料で作成してもよい。また、こ
の補助電極71の断面形状は円形とする。
【0083】また、この実施例で使用するダミー部材5
3は次のような作用をなす。すなわち、このようなガイ
ドブッシュ11への硬質カーボン膜の形成方法において
は、ガイドブッシュ11の内面と外周部とにプラズマが
発生する。そして、ガイドブッシュ11の端面は電荷が
集中しやすく、内面に比べて開口端面領域は電位が高い
状態、いわゆるエッジ効果が発生する。ここでガイドブ
ッシュ11の端面近傍のプラズマ強度は他の領域より大
きく、しかも不安定でもある。
【0084】さらに、ガイドブッシュ11の端部領域
は、内面のプラズマと外周部のプラズマとの双方のプラ
ズマの影響を受けることになる。そして、このような状
態で硬質カーボン膜を形成すると、ガイドブッシュ11
の端面11hから数mm奥側の領域と他の領域とでは、
硬質カーボン膜の密着性が若干異なり、さらに膜質も若
干異なる。
【0085】そこで、図15に示すようにガイドブッシ
ュ11の内周面11bが開口する端面11h上にダミー
部材53を配置して硬質カーボン膜を形成すれば、この
膜質や密着性が異なる領域はガイドブッシュ11の内面
に形成されず、ダミー部材53の開口部53aの内面に
形成されることになる。
【0086】また、ガイドブッシュ11の内周面11b
の開口径寸法が10mm程度以下と小さくなると、補助
電極71とガイドブッシュの内周面11bとの間に形成
されるプラズマが時間の経過とともに不安定になって硬
質カーボン膜の形成ができなくなる問題がある。
【0087】このプラズマの不安定を、ガイドブッシュ
11の内周面11bの開口径より大きな開口径をもつダ
ミー部材53の開口部53aにプラズマを誘発すること
によって防止することができる。これは、ガイドブッシ
ュの内周面11bの開口径より大きなダミー部材53の
開口部53a内では、常に安定してプラズマを発生させ
ることができるためである。
【0088】このダミー部材53の開口部53aで発生
したプラズマにより、ガイドブッシュ11の端面のダミ
ー部材53の開口部53a内に露出している環状の内周
面近傍部分11hに、安定した硬質カーボン膜を形成
することができる。さらに、このダミー部材53の開口
部53aで発生したプラズマをガイドブッシュ11の中
心開口11j内に導き入れて、その内周面11b上にも
安定した硬質カーボン膜を形成することができる。
【0089】この結果、従来問題となっていた、被加工
物の一旦加工した領域をガイドブッシュ内に引き込ん
で、被加工物を把持する切削工程で、切削工具によって
加工したときに発生する被加工物のエッジ部のバリによ
って、ガイドブッシュ11の内周面にキズが発生すると
いう問題を大幅に抑制することができる。
【0090】(第2の方法:図17)つぎに、ガイドブ
ッシュに硬質カーボン膜を形成するための上述の方法と
は異なる第2の方法を、図17によって説明する。図1
7はその第2の方法を実施する装置の断面図である。こ
の図17において、図15と対応する部分には同一の符
号を付してあり、それらの説明は省略する。この第2の
方法に使用する装置の真空槽61は、その内部にアノー
ド及びフィラメントを設けていない。
【0091】この装置を使用する硬質カーボン膜形成方
法において、図15に示した装置を使用する第1の方法
と相違する点は、真空槽61内に接地された補助電極7
1を挿入して配置し、端面上にダミー部材53を配置し
たガイドブッシュ11に、マッチング回路67を介して
13.56MHzの発振周波数を有する高周波電源69
から高周波電力を印加するようにした点と、炭素を含む
ガスとして、メタン(CH)ガスを真空槽61内4に
導入し、真空度が0.1torr(13.3322Pa)に
なるように調整するようにした点だけである。
【0092】このようにしても、ガイドブッシュ11の
外周面側だけでなく内周面側にもプラズマが発生し、プ
ラズマCVDプロセスによって、ガイドブッシュ11の
内周面11bおよびその端面の内周面近傍部分11h
に硬質カーボン膜が形成される。特に、補助電極71と
対向する内周面11bに、全長に亘って略均一な膜厚の
硬質カーボン膜15を短時間で形成することができる。
【0093】(第3の方法:図18)つぎに、ガイドブ
ッシュに硬質カーボン膜を形成するための上述の方法と
はまた異なる第3の方法を、図18によって説明する。
図18はその第3の方法を実施する装置の断面図であ
る。この図18においても、図15と対応する部分には
同一の符号を付し、それらの説明は省略する。この第3
の方法に使用する装置も、真空槽61内にアノード及び
フィラメントは設けていない。
【0094】この装置を使用する硬質カーボン膜形成方
法において、図15に示した装置を使用する第1の方法
と相違する点は、真空槽61内に接地された補助電極7
1を挿入して配置し、端面上にダミー部材53を配置し
たたガイドブッシュ11に、直流電源73′からマイナ
ス600Vの直流電圧だけを印加するようにした点と、
炭素を含むガスとして、メタン(CH)ガスを真空槽
61内に導入し、真空度が0.1torr(13.3322
Pa)になるように調整するようにした点だけである。
【0095】このようにしても、ガイドブッシュ11の
外周面側だけでなく内周面側にもプラズマが発生し、プ
ラズマCVDプロセスによって、ガイドブッシュ11の
内周面11bおよびその端面の内周面近傍部分11h
に硬質カーボン膜が形成される。特に、補助電極71と
対向する内周面11bに、全長に亘って略均一な膜厚の
硬質カーボン膜15を短時間で形成することができる。
【0096】これらの各硬質カーボン膜形成方法は、図
1乃至図13によって説明した、ガイドブッシュ11へ
の種々の層構成による硬質カーボン膜15の形成に同様
に適用することができる。さらに、上述の各実施形態に
よるガイドブッシュへの硬質カーボン膜形成方法では、
炭素を含むガスとしてメタンガスやベンゼンガスを用い
ると説明したが、メタン以外にエチレンなどの炭素を含
むガスや、あるいはヘキサンなどの炭素を含む液体の蒸
発蒸気も使用することができる。
【0097】(第4から第6の方法:図19,図20,
図21)次に、ガイドブッシュに硬質カーボン膜を形成
する第4から第6の方法を、図19乃至図21を参照し
て説明する。
【0098】図19乃至図21は、それぞれ第4乃至第
6の方法を実施するための装置を示す図であるが、それ
ぞれ前述の図15,図17,及び図18に示した装置と
同じ装置を使用してガイドブッシュ11に硬質カーボン
膜を形成する例を示している。したがって、それらの各
図と同じ部分には同一符号を付し、それらの説明は省略
する。
【0099】図19の装置による第4の方法、図20の
装置による第5の方法、図21の装置による第6の方法
において、前述の第1,第2,および第3の方法と異な
る点は、補助電極71をガイドブッシュ11の中心開口
11jに嵌入させたガイシ85によって、ガイドブッシ
ュ11に対しても真空層61に対しても絶縁して支持
し、その補助電極71に補助電極電源83から直流正電
圧(例えばプラス20V)を印加するようにした点であ
る。
【0100】この補助電極71に印加する直流正電圧
と、ガイドブッシュ11の開口内面に形成される硬質カ
ーボン膜厚との関係を、図22の線図に示す。この図に
おいては、補助電極71に印加する直流正電圧をゼロV
から30Vまで変化させ、さらにガイドブッシュ11の
開口内面と補助電極71との間の隙間寸法が3mmと5
mmのときの硬質カーボン膜の膜厚を示す。なお、曲線
aは上記隙間が3mmのときの特性を、曲線bは上記隙
間が5mmのときの特性をそれぞれ示す。
【0101】この曲線a,bに示されるように、補助電
極71に印加する直流正電圧を増加させると、硬質カー
ボン膜の膜形成速度は向上する。また、ガイドブッシュ
11の開口内面と補助電極71との間の隙間寸法が大き
いほど、硬質カーボン膜の膜形成速度は向上する。
【0102】そして、ガイドブッシュ11の開口内面と
補助電極71との間の隙間寸法が3mmのとき(曲線
a)は、補助電極71に印加する電位がゼロVの接地電
圧では、ガイドブッシュ11の中心開口11jの内面に
プラズマが発生せず、硬質カーボン膜は形成できない。
しかし、この場合でも補助電極71に印加する直流正電
圧を高くしていくと、ガイドブッシュ11の中心開口1
1j内の補助電極71の周囲にプラズマが発生し、硬質
カーボン膜を形成することができる。
【0103】したがって、中心開口11jの径が小さい
ガイドブッシュの内周面にも、補助電極71に直流正電
圧を印加して使用するこの実施形態によれば、硬質カー
ボン膜の被膜形成が可能になる。このような作用は、図
19乃至図21に示すいずれの方法によって、ガイドブ
ッシュ11に硬質カーボン膜を形成する場合でも同様で
ある。
【0104】(ダミー部材の異なる例:図23〜図2
8)ここで、ダミー部材53の開口部53aの形状が異
なる種々の例を図23乃至図28によって説明する。図
23に示すダミー部材53は、図15から図21に示し
た実施形態で使用したものに相当し、開口部53aの径
が軸方向の全長に亘って均一に形成されている。
【0105】図24に示すダミー部材53は、その開口
部53aを大径部aと小径部bとで構成する。そして、
小径部bの開口径は、ガイドブッシュ11の内周面11
bの開口径より2mm程度大きくし、大径部aの開口径
は、小径部bの開口径よりもさらに2mm程度大きくす
る。
【0106】図25に示すダミー部材53は、その開口
部53aを大径部aと小径部bと、この大径部aと小径
部bとのあいだのテーパ部cとによって構成している。
そして、小径部bの開口径は、ガイドブッシュ11の内
周面11bの開口径より2mm程度大きくし、大径部a
の開口径は、小径部bの開口径より2mm程度大きくす
るように、テーパ部cの開口径を徐々に変化させてい
る。
【0107】図26に示すダミー部材53は、その開口
部53aを小径部bとテーパ部cで構成している。そし
て、小径部bの開口径は、ガイドブッシュ11の内周面
11bの開口径より2mm程度大きくし、テーパ部cの
最大径は小径部bの開口径より2mmから5mm程度大
きくなるように構成する。
【0108】図27に示すダミー部材53は、その開口
部53aをテーパ部cだけで構成している。そして、こ
のテーパ部の最小開口径は、ガイドブッシュ11の内周
面11bの開口寸法より2mm程度大きくなるように
し、最大開口径は最小開口径より2mmから5mm程度
大きくなるように構成する。
【0109】図28に示すダミー部材53は、その開口
部53aを大径部aと中径部dと小径部bとで構成して
いる。そして小径部bの開口径は、ガイドブッシュ11
の内周面11bの開口径より2mm程度大きくし、大径
部aの開口径は、小径部bの開口径より2mmから5m
m程度大きくする。また、中径部dは大径部aと小径部
bとの間の開口径とする。すなわち、このダミー部材5
3は開口部53aの断面形状が階段状になる。
【0110】この図24乃至図28に示したダミー部材
53は、その開口部53aが図23に示したダミー部材
53とは異なり、テーパ部cを有していたり、階段状の
断面形状を有しているため、図23に示したダミー部材
53に較べると、ガイドブッシュ11の中心開口11j
内の補助電極71の周囲領域にプラズマを導き入れるの
をスムーズに行なうことができる。したがって、ガイド
ブッシュ11の中心開口11j内の補助電極71の周囲
領域に一層安定してプラズマを発生させることが可能に
なり、硬質カーボン膜を一層安定して形成することがで
きる。
【0111】(補足説明)前述した各硬質カーボン膜形
成方法は、図1乃至図13によって説明した、ガイドブ
ッシュ11への種々の層構成による硬質カーボン膜15
の形成に同様に適用することができる。また、これらの
各被膜形成方法においては、ガイドブッシュ11の外周
部をカバー部材84で覆うことにより、ガイドブッシュ
11の外周面には硬質カーボン膜が形成されないように
した。また、端面11hの内周面近傍部分11h以外
の領域は、ダミー部材53に覆われるため硬質カーボン
膜が形成されない。
【0112】それによって、ガイドブッシュ11の外形
寸法を高精度に保つことができ、また摺り割り11cを
形成した外周テーパ面11aの部分の靭性が低下する恐
れも防止できるという利点がある。しかし、カバー部材
84を使用せずに、ガイドブッシュ11の外周面にも硬
質カーボン膜を形成するようにしても、さほどの問題は
生じない。
【0113】また、上述の各実施形態によるガイドブッ
シュへの硬質カーボン膜形成方法では、炭素を含むガス
としてメタン(CH)あるいはベンゼン(C
を用いる例で説明したが、エチレン(C)やヘキ
サン(C14)などを使用することもできる。
【0114】さらに、これらの炭素を含むガスを、アル
ゴン(Ar)などの電離電圧の低い不活性ガスで希釈し
て使用することもできる。その場合、ガイドブッシュの
円筒内のプラズマが更に安定する効果がある。あるいは
また、硬質カーボン膜の生成時に少量(1%以下)の添
加物を加えることにより、潤滑性や硬度を高めることが
できる。
【0115】例えば、フッ素(F)又はボロン(B)を
添加すると潤滑性が増し、クロム(Cr),モリブデン
(Mo)又はタングステン(W)を添加すると硬度が増
す。また、真空槽内にガイドブッシュを配置した後、硬
質カーボン膜を形成する前に、アルゴン(Ar)や窒素
(N)などのプラズマを発生させてガイドブッシュの
円筒内面をボンバードし、その後メタンやベンゼンなど
の炭素を含むガスによるプラズマを発生させて、硬質カ
ーボン膜を形成するとよい。
【0116】このように、不活性ガスによるボンバード
の前処理を行なうことにより、ガイドブッシュの円筒内
壁の温度が上昇して活性状態となる。同時に円筒内壁の
表面の不純物がたたき出され、表面がクリーニングされ
る。これらの効果により、ガイドブッシュの内周面に形
成される硬質カーボン膜の密着性が一層向上する。さら
に、炭素を含むガスであるメタンガスやベンゼンガスや
エチレンガスにアルゴン(Ar)ガスや窒素(N)ガ
スやヘリウム(He)ガスや水素(H)ガスを添加し
てもよい。
【0117】このように炭素を含むガスにアルゴンガス
や窒素ガスを添加すると、膜形成速度を制御することが
できる。このため硬質カーボン膜を緻密化することがで
き、さらに窒素やアルゴンにて硬質カーボン膜表面をス
パッタし、密着性や膜質が悪い硬質カーボン膜を除去す
ることができ、膜質が向上する。さらに炭素を含むガス
に水素を添加すると、炭素のダングリングボンドを水素
で埋めることができ、硬質カーボン膜の膜質を向上させ
る効果がある。
【0118】そして、以上説明した本発明の硬質カーボ
ン膜の形成方法における実施形態の説明においては、ガ
イドブッシュ11の端面の内周面近傍部分11hに、
内周面と端面部との境界領域から1mm程度延長して硬
質カーボン膜を設ける実施形態で説明したが、これに限
定されずに1mm以上の大きさに硬質カーボン膜を形成
してもよい。
【0119】また、ダミー部材53の開口部53aの最
小径を、ガイドブッシュ11の内周面11bの開口径よ
り2mm程度大きくする例で説明した。しかし、ダミー
部材53の開口部53aの径は、ガイドブッシュ11の
内周面11bの開口径より3mmから6mm大きくなる
ようにしてもよい。このときも、ダミー部材53の開口
部53aは、上述した実施形態と同様作用をなし、同様
な効果が得られる。
【0120】さらに、以上の実施形態の説明では、プラ
ズマ放電の不安定の対策としてダミー部材53に内周面
11bの開口径より大きな開口部53aを設けるように
説明した。しかしながら、補助電極71とガイドブッシ
ュ11の内周面11bとの間に形成されるプラズマの放
電を安定させる目的で、10mm以上の内周面11bの
開口径を有するガイドブッシュ11に本発明を適用して
もよい。
【0121】
【発明の効果】以上説明してきたように、被加工物と摺
接する内周面と被加工物を挿入する側の端面の内周面近
傍に硬質カーボン膜を設けたこの発明によるガイドブッ
シュを自動旋盤の回転型あるいは固定型のガイドブッシ
ュ装置に使用することにより、被加工物のバリによるガ
イドブッシュ内周面のキズの発生を防止でき、且つ被加
工物に対して切り込み量の大きな切削加工をキズの発生
や焼き付きを生ずることなく正常に行なうことができ、
加工効率を大幅に高められる。
【0122】また、その耐久性の大幅な向上により、連
続加工可能な時間が長くなり、自動旋盤の稼動効率も飛
躍的に向上する。また、固定型のガイドブッシュ装置に
使用することにより、加工精度(特に真円度)の高い切
削加工を効率よく行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるガイドブッシュの一例を示す縦
断面図である。
【図2】同じくその外観を示す斜視図である。
【図3】この発明によるガイドブッシュの他の例を示す
縦断面図である。
【図4】この発明によるガイドブッシュのさらに他の例
を示す縦断面図である。
【図5】図1において円Aで囲んで示す部分に相当する
拡大断面図である。
【図6】同じくその1層の中間層を設けた例を示す拡大
断面図である。
【図7】同じくその2層の中間層を設けた例を示す拡大
断面図である。
【図8】図3において円Aで囲んで示す部分に相当する
拡大断面図である。
【図9】同じくその1層の中間層を設けた例を示す拡大
断面図である。
【図10】同じくその2層の中間層を設けた例を示す拡
大断面図である。
【図11】図4において円Aで囲んで示す部分に相当す
る拡大断面図である。
【図12】同じくその1層の中間層を設けた例を示す拡
大断面図である。
【図13】同じくその2層の中間層を設けた例を示す拡
大断面図である。
【図14】ガイドブッシュに中間層を形成する方法の一
例を説明するための装置の断面図である。
【図15】ガイドブッシュに硬質カーボン膜を形成する
第1の方法を実施する装置の概略断面図である。
【図16】図15に示すダミー部材の斜視図である。
【図17】ガイドブッシュに硬質カーボン膜を形成する
第2の方法を実施する装置の概略断面図である。
【図18】同じく第3の方法を実施する装置の概略断面
図である。
【図19】同じく第4の方法を実施する装置の概略断面
図である。
【図20】同じく第5の方法を実施する装置の概略断面
図である。
【図21】同じく第6の方法を実施する装置の概略断面
図である。
【図22】補助電極に印加する直流正電圧と形成される
硬質カーボン膜の膜厚との関係を示す線図である。
【図23】補助電極を挿入したガイドブッシュの端面上
にダミー部材を配置した状態を示す要部の拡大縦断面図
である。
【図24】図23に示すダミー部材とは内周面の形状が
異なるダミー部材を配置した図23と同様な断面図であ
る。
【図25】同じく内周面の形状がさらに異なるダミー部
材を配置した図23と同様な断面図である。
【図26】同じく内周面の形状がさらに異なるダミー部
材を配置した図23と同様な断面図である。
【図27】同じく内周面の形状がさらに異なるダミー部
材を配置した図23と同様な断面図である。
【図28】同じく内周面の形状がさらに異なるダミー部
材を配置した図23と同様な断面図である。
【図29】この発明によるガイドブッシュを用いる固定
型のガイドブッシュ装置を設けた自動旋盤の主軸近傍の
みを示す断面図である。
【図30】この発明によるガイドブッシュを用いる回転
型のガイドブッシュ装置を設けた自動旋盤の主軸近傍の
みを示す断面図である。
【符号の説明】
11:ガイドブッシュ 11a:外周テーパ面 11b:被加工物と摺接する内周面 11c:摺り割り 11e:嵌合部 11f:ネジ部 11g:段差部 11h:端面 11h:端面の内周面近傍部分 11j:中心開口 11k:浸炭層 12:超硬部材 13:コレットチャック 15:硬質カーボン(DLC)膜 16:中間層 16a:中間層の下層 16b:中間層の上層 17:主軸台 19:主軸 23:ブッシュスリーブ 29:中間スリーブ 31:チャック開閉機構 33:チャック開閉爪 35:コラム 37:ガイドブッシュ装置 41:チャックスリーブ 45:切削工具(刃物) 47:回転駆動棒 51:被加工物(ワーク) 53:ダミー部材 53a:ダミー部材の開口部 61:真空槽 63:ガス導入口 65:排気口 67:マッチング回路 69:高周波電源 71:補助電極 73,73′:直流電源 75:アノード電源 77:フィラメント電源 79:アノード 80:絶縁支持具 81:フィラメント 83:補助電極電源 84:カバー部材 85:ガイシ 90:ターゲット(中間層の材料) 91:真空槽 92:直流電源 93:ガス導入口 94:カバー部材 95:排気口 96:ターゲットカバー 97:ターゲット電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉山 修 埼玉県所沢市大字下富字武野840番地 シ チズン時計株式会社技術研究所内 (72)発明者 戸井田 孝志 埼玉県所沢市大字下富字武野840番地 シ チズン時計株式会社所沢事業所内 (72)発明者 関根 敏一 東京都田無市本町6丁目1番12号 シチズ ン時計株式会社田無製造所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸方向に中心開口を有する略円筒状に形
    成され、一端部に外周テーパ面と被加工物と摺接する内
    周面と摺り割りとを有し、自動旋盤に装着されたとき、
    前記中心開口に挿入された被加工物を切削工具の近くで
    回転及び軸方向に摺動可能に保持するガイドブッシュで
    あって、 前記中心開口によって形成される内周面と該内周面が開
    口する端面の該内周面の近傍部分に、水素化アモルファ
    ス・カーボンによる硬質カーボン膜を形成したことを特
    徴とするガイドブッシュ。
  2. 【請求項2】 軸方向に中心開口を有する略円筒状に形
    成され、一端部に外周テーパ面と被加工物と摺接する内
    周面と摺り割りとを有し、自動旋盤に装着されたとき、
    前記中心開口に挿入された被加工物を切削工具の近くで
    回転及び軸方向に摺動可能に保持するガイドブッシュで
    あって、 前記中心開口によって形成される内周面に、少なくとも
    タングステン,炭素,及びコバルトを含む超硬部材を設
    け、該超硬部材の内周面と該内周面が開口する該超硬部
    材の端面とに、水素化アモルファス・カーボンによる硬
    質カーボン膜を形成したことを特徴とするガイドブッシ
    ュ。
  3. 【請求項3】 軸方向に中心開口を有する略円筒状に形
    成され、一端部に外周テーパ面と被加工物と摺接する内
    周面と摺り割りとを有し、自動旋盤に装着されたとき、
    前記中心開口に挿入された被加工物を切削工具の近くで
    回転及び軸方向に摺動可能に保持するガイドブッシュで
    あって、 前記中心開口によって形成される内周面と該内周面が開
    口する端面の該内周面の近傍部分に浸炭層を設け、該浸
    炭層上に水素化アモルファス・カーボンによる硬質カー
    ボン膜を形成したことを特徴とするガイドブッシュ。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のガイドブッシュにおい
    て、 前記内周面と該内周面が開口する端面の該内周面の近傍
    部分に、前記硬質カーボン膜との密着性を高める中間層
    を介して該硬質カーボン膜が形成されているガイドブッ
    シュ。
  5. 【請求項5】 請求項2記載のガイドブッシュにおい
    て、 前記超硬部材上に前記硬質カーボン膜との密着性を高め
    る中間層を介して該記硬質カーボン膜が形成されている
    ガイドブッシュ。
  6. 【請求項6】 請求項3記載のガイドブッシュにおい
    て、 前記浸炭層上に前記硬質カーボン膜との密着性を高める
    中間層を介して該記硬質カーボン膜が形成されているガ
    イドブッシュ。
  7. 【請求項7】 前記中間層が、チタン又はクロムからな
    る下層とシリコンカーバイトからなる上層とからなる2
    層膜で形成されている請求項4乃至6のいずれか一項に
    記載のガイドブッシュ。
  8. 【請求項8】 前記中間層が、炭化タングステン膜で形
    成されている請求項5記載のガイドブッシュ。
  9. 【請求項9】 前記中間層が、炭化タングステンからな
    る下層とシリコンカーバイトからなる上層との2層膜で
    形成されている請求項5記載のガイドブッシュ。
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