JP3043669B2 - ガイドブッシュおよびその内周面に硬質カーボン膜を形成する方法 - Google Patents
ガイドブッシュおよびその内周面に硬質カーボン膜を形成する方法Info
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動旋盤に装着
され、丸棒状の被加工物を切削工具(刃物)の近くで回
転及び軸方向に摺動可能に保持するガイドブッシュと、
そのガイドブッシュの被加工物と摺接する内周面に硬質
カーボン膜を形成する方法に関する。
され、丸棒状の被加工物を切削工具(刃物)の近くで回
転及び軸方向に摺動可能に保持するガイドブッシュと、
そのガイドブッシュの被加工物と摺接する内周面に硬質
カーボン膜を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動旋盤の自動旋盤コラムに設けられ、
丸棒状の被加工物を切削工具の近くで回転可能に保持す
るガイドブッシュには、回転型と固定型とがある。回転
型のものは常に被加工物と共に回転しながらその被加工
物を軸方向に摺動可能に保持し、固定型のものは回転せ
ずに被加工物を回転及び軸方向に摺動可能に保持する。
丸棒状の被加工物を切削工具の近くで回転可能に保持す
るガイドブッシュには、回転型と固定型とがある。回転
型のものは常に被加工物と共に回転しながらその被加工
物を軸方向に摺動可能に保持し、固定型のものは回転せ
ずに被加工物を回転及び軸方向に摺動可能に保持する。
【0003】いずれの型のガイドブッシュも、外周テー
パ面と、それに弾力を持たせるための摺り割り、コラム
に取り付けるためのネジ部と、被加工物を保持する内周
面とを備えており、その内周面は常に被加工物と摺接す
るため摩耗しやすく、特に固定型の場合はその摩耗が激
しい。
パ面と、それに弾力を持たせるための摺り割り、コラム
に取り付けるためのネジ部と、被加工物を保持する内周
面とを備えており、その内周面は常に被加工物と摺接す
るため摩耗しやすく、特に固定型の場合はその摩耗が激
しい。
【0004】そのため、この被加工物の回転や摺動によ
り被加工物と摺接するガイドブッシュの内周面に、超硬
合金やセラミックスをロー付けなどによって固着して設
けるものが、たとえば特開平4−141303号公報に
見られるように提案されている。このように、耐摩耗性
や耐熱性に優れた超硬合金やセラミックスをガイドブッ
シュの内周面に設けることにより、ある程度のその摩耗
を抑制する効果が認められる。
り被加工物と摺接するガイドブッシュの内周面に、超硬
合金やセラミックスをロー付けなどによって固着して設
けるものが、たとえば特開平4−141303号公報に
見られるように提案されている。このように、耐摩耗性
や耐熱性に優れた超硬合金やセラミックスをガイドブッ
シュの内周面に設けることにより、ある程度のその摩耗
を抑制する効果が認められる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに超硬合金やセラミックスを内周面に設けても、自動
旋盤で切削量が大きく加工速度が大きな重切削に対して
は、超硬合金やセラミックスも摩擦係数が大きく熱伝導
率が低いため、被加工物にキズが発生したり、ガイドブ
ッシュと被加工物との直径方向の隙間寸法が減少して焼
き付きが発生したりするという問題があり、切削量及び
加工速度を上げることができなかった。
うに超硬合金やセラミックスを内周面に設けても、自動
旋盤で切削量が大きく加工速度が大きな重切削に対して
は、超硬合金やセラミックスも摩擦係数が大きく熱伝導
率が低いため、被加工物にキズが発生したり、ガイドブ
ッシュと被加工物との直径方向の隙間寸法が減少して焼
き付きが発生したりするという問題があり、切削量及び
加工速度を上げることができなかった。
【0006】固定型のガイドブッシュの方が、被加工物
をその軸心のブレがなく保持できるので、真円度が高く
精度のよい加工ができ、しかも騒音が少なく、自動旋盤
の構造も複雑にならずコンパクトにできるなどの利点が
ある。しかしながら、ガイドブッシュの内周面の摩耗
は、回転型の場合よりはるかに大きくなるため、一層切
削量及び加工速度を上げることが困難であるという問題
があった。
をその軸心のブレがなく保持できるので、真円度が高く
精度のよい加工ができ、しかも騒音が少なく、自動旋盤
の構造も複雑にならずコンパクトにできるなどの利点が
ある。しかしながら、ガイドブッシュの内周面の摩耗
は、回転型の場合よりはるかに大きくなるため、一層切
削量及び加工速度を上げることが困難であるという問題
があった。
【0007】したがって、この発明はこのような問題を
解決して、ガイドブッシュの被加工物と接触する内周面
の耐摩耗性を飛躍的に高め、被加工物へのキズの発生や
焼き付きを発生することなく、自動旋盤による切削量及
び加工速度を上げることができるようにすることを目的
とする。また、そのようなガイドブッシュを効率よく製
造できるようにすることも目的とする。
解決して、ガイドブッシュの被加工物と接触する内周面
の耐摩耗性を飛躍的に高め、被加工物へのキズの発生や
焼き付きを発生することなく、自動旋盤による切削量及
び加工速度を上げることができるようにすることを目的
とする。また、そのようなガイドブッシュを効率よく製
造できるようにすることも目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】そのため、この発明によ
るガイドブッシュは、軸方向に中心開口を有する略円筒
状に形成され、一端部に外周テーパ面と被加工物と摺接
する内周面と摺り割りとを有し、自動旋盤に装着された
とき、上記中心開口に挿入された被加工物を切削工具の
近くで回転及び軸方向に摺動可能に保持するガイドブッ
シュであって、上記被加工物と摺接する内周面に、硬質
カーボン膜を、その膜厚が該内周面の開口端近傍では内
部よりも厚くなるように形成したものである。
るガイドブッシュは、軸方向に中心開口を有する略円筒
状に形成され、一端部に外周テーパ面と被加工物と摺接
する内周面と摺り割りとを有し、自動旋盤に装着された
とき、上記中心開口に挿入された被加工物を切削工具の
近くで回転及び軸方向に摺動可能に保持するガイドブッ
シュであって、上記被加工物と摺接する内周面に、硬質
カーボン膜を、その膜厚が該内周面の開口端近傍では内
部よりも厚くなるように形成したものである。
【0009】この硬質カーボン膜は、水素化アモルファ
ス・カーボンからなり、ダイアモンドによく似た性質を
もつため、ダイアモンドライクカーボン(DLC)とも
云われるものである。この、硬質カーボン膜(DLC)
は、硬度が高く(ビッカース硬度で3000Hv以
上)、耐摩耗性に優れ、摩擦係数が小さく(超硬合金の
1/8位)、耐蝕性にも優れている。
ス・カーボンからなり、ダイアモンドによく似た性質を
もつため、ダイアモンドライクカーボン(DLC)とも
云われるものである。この、硬質カーボン膜(DLC)
は、硬度が高く(ビッカース硬度で3000Hv以
上)、耐摩耗性に優れ、摩擦係数が小さく(超硬合金の
1/8位)、耐蝕性にも優れている。
【0010】そのため、被加工物と摺接する内周面にこ
の硬質カーボン膜を設けたこの発明によるガイドブッシ
ュは、従来の超硬合金やセラミックスを内周面に設けた
ものに比べて、耐摩耗性が飛躍的に向上する。したがっ
て、これを自動旋盤の固定型のガイドブッシュとして使
用して、切削量が大きく加工速度が大きな重切削を行な
っても、被加工物にキズを発生させたり、焼き付きを生
じたりすることがなく、長期間に亘って精度の高い加工
を行なうことが可能になる。
の硬質カーボン膜を設けたこの発明によるガイドブッシ
ュは、従来の超硬合金やセラミックスを内周面に設けた
ものに比べて、耐摩耗性が飛躍的に向上する。したがっ
て、これを自動旋盤の固定型のガイドブッシュとして使
用して、切削量が大きく加工速度が大きな重切削を行な
っても、被加工物にキズを発生させたり、焼き付きを生
じたりすることがなく、長期間に亘って精度の高い加工
を行なうことが可能になる。
【0011】しかも、ガイドブッシュの内周面の被加工
物との摺接度が高く特に摩耗が激しい開口端近傍部の膜
厚が内部(開口端から奥に入った部分)よりも厚くなる
ように硬質カーボン膜を形成したので、その耐摩耗性を
一層高めることができる。なお、上記ガイドブッシュの
内周面に、密着性を高める中間層を介して、あるいは前
述した超硬合金やセラミクスなどの硬質部材と中間層と
を介して硬質カーボン膜を設けると、さらに耐久性を高
めるこができる。
物との摺接度が高く特に摩耗が激しい開口端近傍部の膜
厚が内部(開口端から奥に入った部分)よりも厚くなる
ように硬質カーボン膜を形成したので、その耐摩耗性を
一層高めることができる。なお、上記ガイドブッシュの
内周面に、密着性を高める中間層を介して、あるいは前
述した超硬合金やセラミクスなどの硬質部材と中間層と
を介して硬質カーボン膜を設けると、さらに耐久性を高
めるこができる。
【0012】また、この発明によるガイドブッシュの内
周面に硬質カーボン膜を形成する方法は、次の手順によ
る。硬質カーボン膜を形成する前のガイドブッシュを、
ガス導入口及び排気口を備えた真空槽内に配置し、その
ガイドブッシュの内周面を形成する中心開口内に、先端
部が他の部分より細い段付きロッド状の補助電極を、そ
の先端部がこのガイドブッシュの被加工物と摺接する内
周面の開口端近傍に位置するように挿入して、該補助電
極を接地電位に保つ。
周面に硬質カーボン膜を形成する方法は、次の手順によ
る。硬質カーボン膜を形成する前のガイドブッシュを、
ガス導入口及び排気口を備えた真空槽内に配置し、その
ガイドブッシュの内周面を形成する中心開口内に、先端
部が他の部分より細い段付きロッド状の補助電極を、そ
の先端部がこのガイドブッシュの被加工物と摺接する内
周面の開口端近傍に位置するように挿入して、該補助電
極を接地電位に保つ。
【0013】そして、この真空槽内を排気した後、ガス
導入口から炭素を含むガスを該真空槽内に導入し、この
真空槽内にプラズマを発生させて、プラズマCVD法に
より上記ガイドブッシュの内周面に水素化アモルファス
・カーボンによる硬質カーボン膜を形成する。このよう
にして、ガイドブッシュの被加工物と摺接する内周面
に、硬質カーボン膜を、その膜厚が該内周面の開口端近
傍では内部よりも厚くなるように、強固に形成すること
ができる。
導入口から炭素を含むガスを該真空槽内に導入し、この
真空槽内にプラズマを発生させて、プラズマCVD法に
より上記ガイドブッシュの内周面に水素化アモルファス
・カーボンによる硬質カーボン膜を形成する。このよう
にして、ガイドブッシュの被加工物と摺接する内周面
に、硬質カーボン膜を、その膜厚が該内周面の開口端近
傍では内部よりも厚くなるように、強固に形成すること
ができる。
【0014】補助電極は、先端部に先細りのテーパ部を
形成したロッド状の補助電極を、そのテーパ部の先端が
ガイドブッシュの上記内周面の開口端近くに位置するよ
うに中心開口内に挿入して使用してもよい。これらの補
助電極を接地電位に保つ変わりに、これらの補助電極に
直流正電圧を印加してもよい。
形成したロッド状の補助電極を、そのテーパ部の先端が
ガイドブッシュの上記内周面の開口端近くに位置するよ
うに中心開口内に挿入して使用してもよい。これらの補
助電極を接地電位に保つ変わりに、これらの補助電極に
直流正電圧を印加してもよい。
【0015】また、真空槽内にプラズマを発生させるに
は、真空槽内にアノード及びフィラメントを設け、ガイ
ドブッシュに直流電圧を加すると共に、アノードに直流
電圧を印加し、フィラメントに交流電圧を印加してプラ
ズマを発生させる方法がある。あるいは、真空槽内にア
ノード及びフィラメントを設けず、ガイドブッシュに高
周波電力を印加するか、または直流電圧を印加してプラ
ズマを発生させることもできる。
は、真空槽内にアノード及びフィラメントを設け、ガイ
ドブッシュに直流電圧を加すると共に、アノードに直流
電圧を印加し、フィラメントに交流電圧を印加してプラ
ズマを発生させる方法がある。あるいは、真空槽内にア
ノード及びフィラメントを設けず、ガイドブッシュに高
周波電力を印加するか、または直流電圧を印加してプラ
ズマを発生させることもできる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面に基づいて詳細に説明する。 〔この発明のガイドブッシュを用いる自動旋盤の説明〕
先ず、この発明によるガイドブッシュを用いる自動旋盤
の構造について簡単に説明する。
面に基づいて詳細に説明する。 〔この発明のガイドブッシュを用いる自動旋盤の説明〕
先ず、この発明によるガイドブッシュを用いる自動旋盤
の構造について簡単に説明する。
【0017】図22は、数値制御自動旋盤の主軸近傍の
みを示す断面図である。この自動旋盤は、ガイドブッシ
ュ11を固定して、その内周面11bで被加工物51
(仮想線で示す)を回転自在に保持する状態で使用する
固定型のガイドブッシュ装置37を設けたものである。
主軸台17は、この数値制御自動旋盤の図示しないベッ
ド上を、図で左右方向に摺動可能となっている。
みを示す断面図である。この自動旋盤は、ガイドブッシ
ュ11を固定して、その内周面11bで被加工物51
(仮想線で示す)を回転自在に保持する状態で使用する
固定型のガイドブッシュ装置37を設けたものである。
主軸台17は、この数値制御自動旋盤の図示しないベッ
ド上を、図で左右方向に摺動可能となっている。
【0018】この主軸台17には、軸受21によって回
転可能な状態で支持された主軸19を設けている。そし
て主軸19の先端部には、コレットチャック13を取り
付けている。このコレットチャック13は、チャックス
リーブ41の中心孔内に配置する。そしてコレットチャ
ック13の先端の外周テーパ面13aと、チャックスリ
ーブ41の内周テーパ面41aとが互いに面接触してい
る。
転可能な状態で支持された主軸19を設けている。そし
て主軸19の先端部には、コレットチャック13を取り
付けている。このコレットチャック13は、チャックス
リーブ41の中心孔内に配置する。そしてコレットチャ
ック13の先端の外周テーパ面13aと、チャックスリ
ーブ41の内周テーパ面41aとが互いに面接触してい
る。
【0019】さらに中間スリーブ29内のコレットチャ
ック13の後端部に、帯状のバネ材をコイル状にしたス
プリング25を設けている。そして、このスプリング2
5の働きによって、中間スリーブ29内からコレットチ
ャック13を押し出すことができる。
ック13の後端部に、帯状のバネ材をコイル状にしたス
プリング25を設けている。そして、このスプリング2
5の働きによって、中間スリーブ29内からコレットチ
ャック13を押し出すことができる。
【0020】コレットチャック13の先端位置は、主軸
19の先端にネジ固定するキャップナット27に接触し
て位置を規制している。このため、コレットチャック1
3がスプリング25のバネ力によって、中間スリーブ2
9から飛び出すことを防止している。中間スリーブ29
の後端部には、この中間スリーブ29を介してチャック
開閉機構31を設ける。そしてチャック開閉爪33を開
閉することによって、コレットチャック13は開閉し、
被加工物51を把持したり解放したりする。
19の先端にネジ固定するキャップナット27に接触し
て位置を規制している。このため、コレットチャック1
3がスプリング25のバネ力によって、中間スリーブ2
9から飛び出すことを防止している。中間スリーブ29
の後端部には、この中間スリーブ29を介してチャック
開閉機構31を設ける。そしてチャック開閉爪33を開
閉することによって、コレットチャック13は開閉し、
被加工物51を把持したり解放したりする。
【0021】すなわち、チャック開閉機構31のチャッ
ク開閉爪33の先端部が相互に開くように移動すると、
チャック開閉爪33の中間スリーブ29と接触している
部分が、図22で左方向に移動して中間スリーブ29を
左方向に押す。この中間スリーブ29の左方向への移動
により、中間スリーブ29の左端に接触しているチャッ
クスリーブ41が左方向に移動する。
ク開閉爪33の先端部が相互に開くように移動すると、
チャック開閉爪33の中間スリーブ29と接触している
部分が、図22で左方向に移動して中間スリーブ29を
左方向に押す。この中間スリーブ29の左方向への移動
により、中間スリーブ29の左端に接触しているチャッ
クスリーブ41が左方向に移動する。
【0022】そして、コレットチャック13は、主軸1
9の先端にネジ止めしているキャップナット27によっ
て、主軸19から飛び出すのを防止されている。このた
め、このチャックスリーブ41の左方向への移動によっ
て、コレットチャック13の摺り割りが形成されている
部分の外周テーパ面13aと、チャックスリーブ41の
内周テーパ面41aとが強く押されて、互いにテーパ面
に沿って移動することになる。
9の先端にネジ止めしているキャップナット27によっ
て、主軸19から飛び出すのを防止されている。このた
め、このチャックスリーブ41の左方向への移動によっ
て、コレットチャック13の摺り割りが形成されている
部分の外周テーパ面13aと、チャックスリーブ41の
内周テーパ面41aとが強く押されて、互いにテーパ面
に沿って移動することになる。
【0023】その結果、コレットチャック13の内周面
の直径が小さくなり、被加工物51を把持することがで
きる。コレットチャック13の内周面の直径を大きくし
て被加工物51を解放するときは、チャック開閉爪33
の先端部が相互に閉じるように移動することにより、チ
ャックスリーブ41を左方向に押す力を除く。
の直径が小さくなり、被加工物51を把持することがで
きる。コレットチャック13の内周面の直径を大きくし
て被加工物51を解放するときは、チャック開閉爪33
の先端部が相互に閉じるように移動することにより、チ
ャックスリーブ41を左方向に押す力を除く。
【0024】するとスプリング25の復元力によって中
間スリーブ29とチャックスリーブ41とが、図で右方
向に移動する。このため、コレットチャック13の外周
テーパ面13aと、チャックスリーブ41の内周テーパ
面41aとの押圧力が除かれることになる。それによっ
て、コレットチャック13は自己のもつ弾性力で内周面
の直径が大きくなり、被加工物51を解放することがで
きる。
間スリーブ29とチャックスリーブ41とが、図で右方
向に移動する。このため、コレットチャック13の外周
テーパ面13aと、チャックスリーブ41の内周テーパ
面41aとの押圧力が除かれることになる。それによっ
て、コレットチャック13は自己のもつ弾性力で内周面
の直径が大きくなり、被加工物51を解放することがで
きる。
【0025】さらに、主軸台17の前方にはコラム35
が設けられており、そこに、ガイドブッシュ装置37を
その中心軸線を主軸中心線と一致させるようにして配置
している。このガイドブッシュ装置37は、ガイドブッ
シュ11を固定して、このガイドブッシュ11の内周面
11bで被加工物51を回転可能な状態で保持する固定
型のガイドブッシュ装置37である。
が設けられており、そこに、ガイドブッシュ装置37を
その中心軸線を主軸中心線と一致させるようにして配置
している。このガイドブッシュ装置37は、ガイドブッ
シュ11を固定して、このガイドブッシュ11の内周面
11bで被加工物51を回転可能な状態で保持する固定
型のガイドブッシュ装置37である。
【0026】コラム35に固定したホルダ39の中心孔
に、ブッシュスリーブ23を嵌入し、そのブッシュスリ
ーブ23の先端部には内周テーパ面23aを設けてい
る。そして、このブッシュスリーブ23の中心孔に、先
端部に外周テーパ面11a及び摺り割り11cを形成し
たガイドブッシュ11を嵌入させて配置している。ガイ
ドブッシュ装置37の後端部に、ガイドブッシュ11の
ネジ部に螺着して設けた調整ナット43を回転すること
によって、ガイドブッシュ11の内径と被加工物51の
外形との隙間寸法を調整することができる。
に、ブッシュスリーブ23を嵌入し、そのブッシュスリ
ーブ23の先端部には内周テーパ面23aを設けてい
る。そして、このブッシュスリーブ23の中心孔に、先
端部に外周テーパ面11a及び摺り割り11cを形成し
たガイドブッシュ11を嵌入させて配置している。ガイ
ドブッシュ装置37の後端部に、ガイドブッシュ11の
ネジ部に螺着して設けた調整ナット43を回転すること
によって、ガイドブッシュ11の内径と被加工物51の
外形との隙間寸法を調整することができる。
【0027】すなわち、調整ナット43を右回転させる
と、ブッシュスリーブ23に対してガイドブッシュ11
が図で右方向に移動し、コレットチャック13の場合と
同様に、ブッシュスリーブ23の内周テーパ面23aと
ガイドブッシュ11の外周テーパ面11aとが相互に押
圧されて、ガイドブッシュ11の先端部の内径が小さく
なるためである。
と、ブッシュスリーブ23に対してガイドブッシュ11
が図で右方向に移動し、コレットチャック13の場合と
同様に、ブッシュスリーブ23の内周テーパ面23aと
ガイドブッシュ11の外周テーパ面11aとが相互に押
圧されて、ガイドブッシュ11の先端部の内径が小さく
なるためである。
【0028】ガイドブッシュ装置37のさらに前方に
は、切削工具(刃物)45を設けている。 そして、被加
工物51を主軸19のコレットチャック13で把持する
と共に、ガイドブッシュ装置37で支持し、しかもこの
ガイドブッシュ装置37を貫通して加工領域に突き出し
た被加工物51を、切削工具45の前進後退と主軸台1
7の移動との合成運動によって所定の切削加工を行な
う。
は、切削工具(刃物)45を設けている。 そして、被加
工物51を主軸19のコレットチャック13で把持する
と共に、ガイドブッシュ装置37で支持し、しかもこの
ガイドブッシュ装置37を貫通して加工領域に突き出し
た被加工物51を、切削工具45の前進後退と主軸台1
7の移動との合成運動によって所定の切削加工を行な
う。
【0029】つぎに、被加工物を把持するガイドブッシ
ュを回転する状態で使用する回転型のガイドブッシュ装
置について、図23によって説明する。この図23にお
いて、図22と対応する部分には同一の符号を付してい
る。この回転型のガイドブッシュ装置としては、コレッ
トチャック13とガイドブッシュ11とが同期して回転
するガイドブッシュ装置と、同期しないで回転するガイ
ドブッシュ装置とがある。この図に示すガイドブッシュ
装置37は、コレットチャック13とガイドブッシュ1
1とが同期して回転するものである。
ュを回転する状態で使用する回転型のガイドブッシュ装
置について、図23によって説明する。この図23にお
いて、図22と対応する部分には同一の符号を付してい
る。この回転型のガイドブッシュ装置としては、コレッ
トチャック13とガイドブッシュ11とが同期して回転
するガイドブッシュ装置と、同期しないで回転するガイ
ドブッシュ装置とがある。この図に示すガイドブッシュ
装置37は、コレットチャック13とガイドブッシュ1
1とが同期して回転するものである。
【0030】この回転型のガイドブッシュ装置37は、
主軸19のキャップナット27から突き出した回転駆動
棒47によって、ガイドブッシュ装置37を駆動する。
この回転駆動棒47に代えて、歯車やベルトプーリによ
ってガイドブッシュ装置37を駆動するものもある。
主軸19のキャップナット27から突き出した回転駆動
棒47によって、ガイドブッシュ装置37を駆動する。
この回転駆動棒47に代えて、歯車やベルトプーリによ
ってガイドブッシュ装置37を駆動するものもある。
【0031】この回転型のガイドブッシュ装置37は、
コラム35に固定するホルダ39の中心孔に、軸受21
を介して回転可能な状態にブッシュスリーブ23を嵌入
させて配置している。さらに、このブッシュスリーブ2
3の中心孔にガイドブッシュ11を嵌入させて配置して
いる。
コラム35に固定するホルダ39の中心孔に、軸受21
を介して回転可能な状態にブッシュスリーブ23を嵌入
させて配置している。さらに、このブッシュスリーブ2
3の中心孔にガイドブッシュ11を嵌入させて配置して
いる。
【0032】ブッシュスリーブ23とガイドブッシュ1
1とは、図22によって説明したものと同様な構成であ
る。そしてガイドブッシュ装置37の後端部に、ガイド
ブッシュ11のネジ部に螺着して設けた調整ナット43
を回転することによって、ガイドブッシュ11の内径を
小さくして、ガイドブッシュ11の内径と被加工物51
の外形との隙間寸法を調整することができる。ガイドブ
ッシュ装置37が回転型である以外の構成は、図22に
よって説明した自動旋盤の構成と同じであるのでそれら
の説明は省略する。
1とは、図22によって説明したものと同様な構成であ
る。そしてガイドブッシュ装置37の後端部に、ガイド
ブッシュ11のネジ部に螺着して設けた調整ナット43
を回転することによって、ガイドブッシュ11の内径を
小さくして、ガイドブッシュ11の内径と被加工物51
の外形との隙間寸法を調整することができる。ガイドブ
ッシュ装置37が回転型である以外の構成は、図22に
よって説明した自動旋盤の構成と同じであるのでそれら
の説明は省略する。
【0033】〔この発明によるガイドブッシュの説明〕
つぎに、この発明によるガイドブッシュの構成を、種々
の実施形態について説明する。図1はこの発明によるガ
イドブッシュの一例を示す縦断面図であり、図2はその
外観を示す斜視図である。
つぎに、この発明によるガイドブッシュの構成を、種々
の実施形態について説明する。図1はこの発明によるガ
イドブッシュの一例を示す縦断面図であり、図2はその
外観を示す斜視図である。
【0034】これらの図に示すガイドブッシュ11は、
先端部が開いた自由な状態を示している。このガイドブ
ッシュ11は、軸方向に中心開口11jを有する略円筒
状に形成され、長手方向の一端部に外周テーパ面11a
を形成し、他端部にネジ部11fを有する。
先端部が開いた自由な状態を示している。このガイドブ
ッシュ11は、軸方向に中心開口11jを有する略円筒
状に形成され、長手方向の一端部に外周テーパ面11a
を形成し、他端部にネジ部11fを有する。
【0035】そして、このガイドブッシュ11の中心開
口11jは、外周テーパ面11aを設けた一端部の内側
に、被加工物51を保持する内周面11bを形成し、こ
の内周面11b以外の領域には、内周面11bの内径よ
り大きな内径をもつ段差部11gを形成している。ま
た、このガイドブッシュ11は、外周テーパ面11aか
らバネ部11dにまで、外周テーパ面11aを円周方向
に3等分するように摺り割り11cを、120°間隔で
3箇所に設けている。
口11jは、外周テーパ面11aを設けた一端部の内側
に、被加工物51を保持する内周面11bを形成し、こ
の内周面11b以外の領域には、内周面11bの内径よ
り大きな内径をもつ段差部11gを形成している。ま
た、このガイドブッシュ11は、外周テーパ面11aか
らバネ部11dにまで、外周テーパ面11aを円周方向
に3等分するように摺り割り11cを、120°間隔で
3箇所に設けている。
【0036】そして、前述したブッシュスリーブの内周
テーパ面にこのガイドブッシュ11の外周テーパ面11
aを押圧することによって、バネ部11dが撓み、内周
面11bと図1に仮想線で示す被加工物51との隙間寸
法を調整することができる。さらに、このガイドブッシ
ュ11には、バネ部11dとネジ部11fとの間に嵌合
部11eを設けている。そして、この嵌合部11eを第
22図及び第23図に示したブッシュスリーブ23の中
心孔に嵌合させることによって、ガイドブッシュ11を
主軸の中心線上で、しかも主軸中心線に平行に配置する
ことができる。
テーパ面にこのガイドブッシュ11の外周テーパ面11
aを押圧することによって、バネ部11dが撓み、内周
面11bと図1に仮想線で示す被加工物51との隙間寸
法を調整することができる。さらに、このガイドブッシ
ュ11には、バネ部11dとネジ部11fとの間に嵌合
部11eを設けている。そして、この嵌合部11eを第
22図及び第23図に示したブッシュスリーブ23の中
心孔に嵌合させることによって、ガイドブッシュ11を
主軸の中心線上で、しかも主軸中心線に平行に配置する
ことができる。
【0037】このガイドブッシュ11の材料としては、
合金工具鋼(SKS鋼)を用い、外形形状と内形形状と
を形成した後、焼き入れ処理と焼き戻し処理とを行な
う。さらに、好ましくはこのガイドブッシュ11の内周
面11bに、第3図に示すように肉厚が2mmから5m
mの寸法を有する超硬部材12をロウ付け手段により固
定するとよい。この超硬部材12としては、タングステ
ン(W)が85%〜90%、炭素(C)が5%〜7%、
バインダーとしてコバルト(Co)が3%から10%の
組成のものを用いる。
合金工具鋼(SKS鋼)を用い、外形形状と内形形状と
を形成した後、焼き入れ処理と焼き戻し処理とを行な
う。さらに、好ましくはこのガイドブッシュ11の内周
面11bに、第3図に示すように肉厚が2mmから5m
mの寸法を有する超硬部材12をロウ付け手段により固
定するとよい。この超硬部材12としては、タングステ
ン(W)が85%〜90%、炭素(C)が5%〜7%、
バインダーとしてコバルト(Co)が3%から10%の
組成のものを用いる。
【0038】しかし、このガイドブッシュ11は、外周
テーパ面11aが閉じた状態で、内周面11bと被加工
物51との間に半径方向で5μm〜10μmの隙間を設
けている。それにより、被加工物51が出入りして内周
面11bと摺接するため、その摩耗が問題となる。
テーパ面11aが閉じた状態で、内周面11bと被加工
物51との間に半径方向で5μm〜10μmの隙間を設
けている。それにより、被加工物51が出入りして内周
面11bと摺接するため、その摩耗が問題となる。
【0039】さらに、図22に示したような固定型のガ
イドブッシュ装置に使用する場合は、固定されたガイド
ブッシュ11に保持されて被加工物51が高速で回転し
て加工されるため、内周面11bと被加工物51との間
で高速摺動し、しかも切削負荷による内周面11bへの
過大な被加工物51の押圧力によって、焼き付きを発生
させる問題がある。
イドブッシュ装置に使用する場合は、固定されたガイド
ブッシュ11に保持されて被加工物51が高速で回転し
て加工されるため、内周面11bと被加工物51との間
で高速摺動し、しかも切削負荷による内周面11bへの
過大な被加工物51の押圧力によって、焼き付きを発生
させる問題がある。
【0040】そのため、このガイドブッシュ11の内周
面11bに、前述した硬質カーボン膜(DLC)15を
形成している。しかも、この硬質カーボン膜15は、内
周面11bの全域にわって均一膜厚に設けるのではな
く、その内周面の端面11h側の開口端11kの近傍部
分15aの膜厚を内部(段差部11g側の部分)15b
より厚く形成している。
面11bに、前述した硬質カーボン膜(DLC)15を
形成している。しかも、この硬質カーボン膜15は、内
周面11bの全域にわって均一膜厚に設けるのではな
く、その内周面の端面11h側の開口端11kの近傍部
分15aの膜厚を内部(段差部11g側の部分)15b
より厚く形成している。
【0041】図1の例では、ガイドブッシュ11の基材
(合金工具鋼)上に後述する中間層を介して硬質カーボ
ン膜15を形成し、図3の例では、超硬部材12上に直
接あるいは後述する中間層を介して硬質カーボン膜15
を形成する。この硬質カーボン膜はダイアモンドとよく
似た性質をもつ。すなわち機械的強度が高く、摩擦係数
が小さく潤滑性があり、さらに良好な電気的絶縁性や高
い熱伝導率をもち、腐食性にも優れているという特徴点
を備えている。
(合金工具鋼)上に後述する中間層を介して硬質カーボ
ン膜15を形成し、図3の例では、超硬部材12上に直
接あるいは後述する中間層を介して硬質カーボン膜15
を形成する。この硬質カーボン膜はダイアモンドとよく
似た性質をもつ。すなわち機械的強度が高く、摩擦係数
が小さく潤滑性があり、さらに良好な電気的絶縁性や高
い熱伝導率をもち、腐食性にも優れているという特徴点
を備えている。
【0042】そのため、内周面11bに硬質カーボン膜
15を設けたこのガイドブッシュ11は、耐摩耗性が飛
躍的に向上し、長期間の使用や重切削加工においても、
被加工物51と接触する内周面11bの摩耗を抑えるこ
とができる。また、被加工物51へのキズの発生を抑え
ることも可能になり、ガイドブッシュ11と被加工物5
1との焼き付きの発生を抑制することもできる。
15を設けたこのガイドブッシュ11は、耐摩耗性が飛
躍的に向上し、長期間の使用や重切削加工においても、
被加工物51と接触する内周面11bの摩耗を抑えるこ
とができる。また、被加工物51へのキズの発生を抑え
ることも可能になり、ガイドブッシュ11と被加工物5
1との焼き付きの発生を抑制することもできる。
【0043】さらに、前述のように、ガイドブッシュ1
1の内周面11bの硬質カーボン膜に軸方向で膜厚差を
設け、開口端11kの近傍部分15aの硬質カーボン膜
15を厚く形成することにより、以下のの理由によって
ガイドブッシュの長期信頼性が一層向上する。
1の内周面11bの硬質カーボン膜に軸方向で膜厚差を
設け、開口端11kの近傍部分15aの硬質カーボン膜
15を厚く形成することにより、以下のの理由によって
ガイドブッシュの長期信頼性が一層向上する。
【0044】すなわち、ガイドブッシュ11が被加工物
51を把持するときには、その機構上、内周面11bの
全域で均一に被加工物51を把持しているわけでなく、
端面11h側の内周面11bの微小領域で被加工物51
を把持し、段差部11g側の領域では被加工物51と内
周面11bとの間に微小な隙間がある。そのため、この
ガイドブッシュ11で被加工物51を把持しながら被加
工物を摺動させるときには、内周面11bの開口端11
kの近傍部の方が内部(段差部11g側の部分)より摩
耗しやすい。
51を把持するときには、その機構上、内周面11bの
全域で均一に被加工物51を把持しているわけでなく、
端面11h側の内周面11bの微小領域で被加工物51
を把持し、段差部11g側の領域では被加工物51と内
周面11bとの間に微小な隙間がある。そのため、この
ガイドブッシュ11で被加工物51を把持しながら被加
工物を摺動させるときには、内周面11bの開口端11
kの近傍部の方が内部(段差部11g側の部分)より摩
耗しやすい。
【0045】そこで、この発明によるガイドブッシュに
おいては、その内周面11bに設ける硬質カーボン膜1
5の膜厚を、開口端11kの近傍部分15aでは内部1
5bより厚くしている。したがって、このガイドブッシ
ュ11によれば、内周面11bの硬質カーボン膜15が
厚く形成された部分で被加工物51を把持するので、ガ
イドブッシュの耐摩耗性が著しく向上する。
おいては、その内周面11bに設ける硬質カーボン膜1
5の膜厚を、開口端11kの近傍部分15aでは内部1
5bより厚くしている。したがって、このガイドブッシ
ュ11によれば、内周面11bの硬質カーボン膜15が
厚く形成された部分で被加工物51を把持するので、ガ
イドブッシュの耐摩耗性が著しく向上する。
【0046】その結果、被加工物51の摺動に起因する
摩耗の発生を大幅に抑制することができ、ガイドブッシ
ュの長期信頼性を飛躍的に向上させることができ、固定
型のガイドブッシュ装置にも充分使用できる。ここで、
このガイドブッシュ11の内周面11bの硬質カーボン
膜15を形成した部分の各種の構成例を、図1及び図3
に円Aで囲んだ部分に相当する拡大断面図である図4乃
至図6と、その図5の一部を拡大して中間層の構成例を
示す図7を参照して説明する。
摩耗の発生を大幅に抑制することができ、ガイドブッシ
ュの長期信頼性を飛躍的に向上させることができ、固定
型のガイドブッシュ装置にも充分使用できる。ここで、
このガイドブッシュ11の内周面11bの硬質カーボン
膜15を形成した部分の各種の構成例を、図1及び図3
に円Aで囲んだ部分に相当する拡大断面図である図4乃
至図6と、その図5の一部を拡大して中間層の構成例を
示す図7を参照して説明する。
【0047】図4は図1のA部の拡大図に相当し、ガイ
ドブッシュ11の内周面11bの基材上に、密着性を高
めるための中間層16を介して、硬質カーボン膜を形成
している。その膜厚を開口端の近傍部分15aでは、内
部15b(膜厚1μmから5μm)より30%から50
%厚くする。なお、ガイドブッシュ11の基材の材質に
よっては、中間層16を介さずに直接その表面に硬質カ
ーボン膜15を形成することも可能である。
ドブッシュ11の内周面11bの基材上に、密着性を高
めるための中間層16を介して、硬質カーボン膜を形成
している。その膜厚を開口端の近傍部分15aでは、内
部15b(膜厚1μmから5μm)より30%から50
%厚くする。なお、ガイドブッシュ11の基材の材質に
よっては、中間層16を介さずに直接その表面に硬質カ
ーボン膜15を形成することも可能である。
【0048】図5及び図6は図3のA部の拡大図に相当
し、いずれもガイドブッシュ11の内周面11bの基材
上に、肉厚が2mm〜5mmの超硬部材12をロー付け
等によって固着し、その内周面に硬質カーボン膜15を
形成している。このようにすれば、ガイドブッシュ11
の耐久性が一層向上する。図5に示した例では、超硬部
材12の内周面にさらに密着性を高める中間層16を介
して、硬質カーボン膜15を形成している。
し、いずれもガイドブッシュ11の内周面11bの基材
上に、肉厚が2mm〜5mmの超硬部材12をロー付け
等によって固着し、その内周面に硬質カーボン膜15を
形成している。このようにすれば、ガイドブッシュ11
の耐久性が一層向上する。図5に示した例では、超硬部
材12の内周面にさらに密着性を高める中間層16を介
して、硬質カーボン膜15を形成している。
【0049】これらの例において、硬質カーボン膜15
の下層に設ける超硬部材12として、タングステンカー
バイト(WC)などの超硬合金や、シリコンカーバイト
(SiC)などのセラミクスの焼結体を使用することも
できる。セラミックスの焼結に際しては、通常Cr,N
i,Coなどをバインダとして添加するが、その添加が
少ない場合には、中間層16を介さずに硬質カーボン膜
15を直接その超硬部材12上に形成することもでき
る。
の下層に設ける超硬部材12として、タングステンカー
バイト(WC)などの超硬合金や、シリコンカーバイト
(SiC)などのセラミクスの焼結体を使用することも
できる。セラミックスの焼結に際しては、通常Cr,N
i,Coなどをバインダとして添加するが、その添加が
少ない場合には、中間層16を介さずに硬質カーボン膜
15を直接その超硬部材12上に形成することもでき
る。
【0050】ここで、この超硬部材12として用いるシ
リコンカーバイト(SiC)の形成方法の一例を説明す
る。原子パーセントでシリコン(Si)と炭素(C)と
が1対1のシリコンカーバイト粉末を、リング状の金型
に入れ、0.5から3トンの圧力を加えて加圧成型す
る。次いで、窒素やアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲
気中で焼成処理を行う。
リコンカーバイト(SiC)の形成方法の一例を説明す
る。原子パーセントでシリコン(Si)と炭素(C)と
が1対1のシリコンカーバイト粉末を、リング状の金型
に入れ、0.5から3トンの圧力を加えて加圧成型す
る。次いで、窒素やアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲
気中で焼成処理を行う。
【0051】その後、シリコンカーバイトの融点近くの
温度1400℃から1700℃で加熱し、この加熱と同
時に加圧処理を行い、シリコンカーバイト中のピンホー
ルをなくす。この加熱加圧処理によってシリコンカーバ
イトは緻密化がすすみ、超硬部材12としてその密度と
硬度が向上し、ビッカース硬度で2000から3000
になる。
温度1400℃から1700℃で加熱し、この加熱と同
時に加圧処理を行い、シリコンカーバイト中のピンホー
ルをなくす。この加熱加圧処理によってシリコンカーバ
イトは緻密化がすすみ、超硬部材12としてその密度と
硬度が向上し、ビッカース硬度で2000から3000
になる。
【0052】その後、このリング状の超硬部材12にチ
タン(Ti)を主成分とするメタライズ層を形成する。
そしてガイドブッシュ11の内周面11bにその超硬部
材12を配置して加熱処理を行い、メタライズ層を溶融
させてガイドブッシュ11の基材と接合させる。そし
て、その超硬部材12の内周を研磨加工した後、そのガ
イドブッシュ11に摺り割り11cを形成する加工を行
なう。
タン(Ti)を主成分とするメタライズ層を形成する。
そしてガイドブッシュ11の内周面11bにその超硬部
材12を配置して加熱処理を行い、メタライズ層を溶融
させてガイドブッシュ11の基材と接合させる。そし
て、その超硬部材12の内周を研磨加工した後、そのガ
イドブッシュ11に摺り割り11cを形成する加工を行
なう。
【0053】中間層16としては、周期律表第IVb族
のシリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)、あるいは
シリコンやゲルマニウムの化合物でもよい。あるいはシ
リコンカーバイト(SiC)やチタンカーバイト(Ti
C)のような炭素を含む化合物でもよい。また、この中
間層16として、チタン(Ti)やタフングステン
(W)やモリブデン(Mo)あるいはタンタル(Ta)
とシリコン(Si)との化合物も適用できる。
のシリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)、あるいは
シリコンやゲルマニウムの化合物でもよい。あるいはシ
リコンカーバイト(SiC)やチタンカーバイト(Ti
C)のような炭素を含む化合物でもよい。また、この中
間層16として、チタン(Ti)やタフングステン
(W)やモリブデン(Mo)あるいはタンタル(Ta)
とシリコン(Si)との化合物も適用できる。
【0054】さらに、この中間層16を、図7に示すよ
うに、チタン(Ti)又はクロム(Cr)による下層1
6aと、シリコン(Si)又はゲルマニウム(Ge)に
よる上層16bとの2層膜に形成してもよい。このよう
にすると、中間層16の下層16aのチタンやクロムは
ガイドブッシュ11の基材との密着性を保つ役割を果た
し、上層16bのシリコンやゲルマニウムは硬質カーボ
ン膜15と共有結合して、この硬質カーボン膜15と強
く結合する役割を果たす。
うに、チタン(Ti)又はクロム(Cr)による下層1
6aと、シリコン(Si)又はゲルマニウム(Ge)に
よる上層16bとの2層膜に形成してもよい。このよう
にすると、中間層16の下層16aのチタンやクロムは
ガイドブッシュ11の基材との密着性を保つ役割を果た
し、上層16bのシリコンやゲルマニウムは硬質カーボ
ン膜15と共有結合して、この硬質カーボン膜15と強
く結合する役割を果たす。
【0055】さらにまた、この中間層16としては、チ
タン化合物又はクロム化合物の下層とシリコン化合物又
はゲルマニウム化合物の上層との2層膜で形成してもよ
い。あるいは、チタン又はクロムの下層とシリコン化合
物又はゲルマニウム化合物の上層との2層膜で形成して
もよい。さらに、チタン化合物又はクロム化合物の下層
とシリコン又はゲルマニウムの上層との2層膜としても
よい。これらの中間層16の形成膜厚は0.5μm程度
とする。ただし、2層の場合は上層と下層共に0.5μ
m程度とする。
タン化合物又はクロム化合物の下層とシリコン化合物又
はゲルマニウム化合物の上層との2層膜で形成してもよ
い。あるいは、チタン又はクロムの下層とシリコン化合
物又はゲルマニウム化合物の上層との2層膜で形成して
もよい。さらに、チタン化合物又はクロム化合物の下層
とシリコン又はゲルマニウムの上層との2層膜としても
よい。これらの中間層16の形成膜厚は0.5μm程度
とする。ただし、2層の場合は上層と下層共に0.5μ
m程度とする。
【0056】そして、この中間層16の形成方法として
は、スパッタリング法やイオンプレーティング法、ある
いは化学気相成長(CVD)法や溶射法を適用すればよ
い。なお、前述した硬質部材12としてシリコンカーバ
イト(SiC)を用いる場合には、この中間層16の形
成を省略することができる。なぜなら、シリコンカーバ
イトは周期律表の第IVb族のシリコンと炭素との化合
物であり、その表面に形成される硬質カーボン膜15と
共有結合して、高い密着性が得られるからである。
は、スパッタリング法やイオンプレーティング法、ある
いは化学気相成長(CVD)法や溶射法を適用すればよ
い。なお、前述した硬質部材12としてシリコンカーバ
イト(SiC)を用いる場合には、この中間層16の形
成を省略することができる。なぜなら、シリコンカーバ
イトは周期律表の第IVb族のシリコンと炭素との化合
物であり、その表面に形成される硬質カーボン膜15と
共有結合して、高い密着性が得られるからである。
【0057】〔ガイドブッシュの内周面に硬質カーボン
膜を形成する方法の説明〕つぎに、この発明によるガイ
ドブッシュの内周面に硬質カーボン膜を形成する方法の
実施形態を説明する。図3に示したガイドブッシュ11
の内周面11bに硬質カーボン膜(DLC)15を形成
する方法を説明する。
膜を形成する方法の説明〕つぎに、この発明によるガイ
ドブッシュの内周面に硬質カーボン膜を形成する方法の
実施形態を説明する。図3に示したガイドブッシュ11
の内周面11bに硬質カーボン膜(DLC)15を形成
する方法を説明する。
【0058】図3に示したガイドブッシュ11は、合金
工具鋼を用いて切削加工を行なって、外周テーパ面11
aとバネ部11dと嵌合部11eとネジ部11fと、中
心開口11jによる内周面11bとそれより内径が大き
い段差部11gとを形成する。その後、円筒形状の超硬
部材12をこのガイドブッシュ11の内周面11bに、
ロウ付けにより接合して固着する。
工具鋼を用いて切削加工を行なって、外周テーパ面11
aとバネ部11dと嵌合部11eとネジ部11fと、中
心開口11jによる内周面11bとそれより内径が大き
い段差部11gとを形成する。その後、円筒形状の超硬
部材12をこのガイドブッシュ11の内周面11bに、
ロウ付けにより接合して固着する。
【0059】そして、放電加工を行なって、このガイド
ブッシュ11の外周テーパ面11a側に120゜間隔で
摺り割り11cを形成する。さらに研磨加工を行なっ
て、内周面11bと外周テーパ面11aと嵌合部11e
との研磨を行ない、硬質カーボン膜を形成する前のガイ
ドブッシュ11を得る。その後、このガイドブッシュ1
1に硬質カーボン膜15を形成する。硬質カーボン膜1
5を形成する第1の装置は、図8に示すように構成され
ている。
ブッシュ11の外周テーパ面11a側に120゜間隔で
摺り割り11cを形成する。さらに研磨加工を行なっ
て、内周面11bと外周テーパ面11aと嵌合部11e
との研磨を行ない、硬質カーボン膜を形成する前のガイ
ドブッシュ11を得る。その後、このガイドブッシュ1
1に硬質カーボン膜15を形成する。硬質カーボン膜1
5を形成する第1の装置は、図8に示すように構成され
ている。
【0060】61は、ガス導入口63と排気口65とを
有する真空槽で、その中の中央上部に、アノード79と
フィラメント81が配設されている。この真空槽61内
の中央下部に、前述したガイドブッシュ11を絶縁支持
具80に下部を固定して垂直に配置する。
有する真空槽で、その中の中央上部に、アノード79と
フィラメント81が配設されている。この真空槽61内
の中央下部に、前述したガイドブッシュ11を絶縁支持
具80に下部を固定して垂直に配置する。
【0061】そして、このガイドブッシュ11の中心開
口11j内には、接地された導電性の真空槽61の内面
に支持される細いロッド状の補助電極71を挿入するよ
うに配設する。このとき補助電極71がガイドブッシュ
11の中心開口11jの中央部(略軸線上)に位置する
ようにする。この補助電極は、真空槽61を介して接地
電位に保たれる。なお、この補助電極71はステンレス
等の金属材料によって、先端部71aが他の部分71b
より細い(径が小さい)段付きロッド状に形成されてい
る。
口11j内には、接地された導電性の真空槽61の内面
に支持される細いロッド状の補助電極71を挿入するよ
うに配設する。このとき補助電極71がガイドブッシュ
11の中心開口11jの中央部(略軸線上)に位置する
ようにする。この補助電極は、真空槽61を介して接地
電位に保たれる。なお、この補助電極71はステンレス
等の金属材料によって、先端部71aが他の部分71b
より細い(径が小さい)段付きロッド状に形成されてい
る。
【0062】そして、この補助電極71は、その先端部
71aがガイドブッシュ11の内周面11bの開口端近
傍に位置するように挿入される。このとき、先端がガイ
ドブッシュ11の端面11hから突出しないように、1
mm程度内側に配置されるようにするのが望ましい。そ
して、真空槽61内を真空度が3×10-5torrになるよ
うに、排気口65から真空排気する。
71aがガイドブッシュ11の内周面11bの開口端近
傍に位置するように挿入される。このとき、先端がガイ
ドブッシュ11の端面11hから突出しないように、1
mm程度内側に配置されるようにするのが望ましい。そ
して、真空槽61内を真空度が3×10-5torrになるよ
うに、排気口65から真空排気する。
【0063】そしてさらに、ガス導入口63から炭素を
含むガスとしてベンゼンを真空槽61内に導入して、真
空槽61内の圧力を5×10-3torrになるように制御す
る。その後、このガイドブッシュ11に直流電源73か
ら負の直流電圧を印加し、アノード79にはアノード電
源75から正の直流電圧を印加し、さらにフィラメント
81にはフィラメント電源77から交流電圧を印加す
る。
含むガスとしてベンゼンを真空槽61内に導入して、真
空槽61内の圧力を5×10-3torrになるように制御す
る。その後、このガイドブッシュ11に直流電源73か
ら負の直流電圧を印加し、アノード79にはアノード電
源75から正の直流電圧を印加し、さらにフィラメント
81にはフィラメント電源77から交流電圧を印加す
る。
【0064】このとき、直流電源73からガイドブッシ
ュ11に印加する直流電圧はマイナス3kV、アノード
電源75からアノード79に印加する直流電圧はプラス
50V程度とする。また、フィラメント電源77からフ
ィラメント81に印加する交流電圧は、30Aの電流が
流れるように10V程度の交流電圧を印加する。
ュ11に印加する直流電圧はマイナス3kV、アノード
電源75からアノード79に印加する直流電圧はプラス
50V程度とする。また、フィラメント電源77からフ
ィラメント81に印加する交流電圧は、30Aの電流が
流れるように10V程度の交流電圧を印加する。
【0065】このようにして、真空槽61内に配置した
ガイドブッシュ11の周囲領域にプラズマを発生させ
て、プラズマCVD法によりガイドブッシュ11の表面
に硬質カーボン膜を形成する。このとき、ガイドブッシ
ュ11の内周面11bに形成する硬質カーボン膜15の
膜厚は、段差部11g側の内部15bは1μmから5μ
mの厚さに形成し、端面11h側の開口端の近傍部分1
5aは、内部15bより30%から50%程度厚く形成
する。
ガイドブッシュ11の周囲領域にプラズマを発生させ
て、プラズマCVD法によりガイドブッシュ11の表面
に硬質カーボン膜を形成する。このとき、ガイドブッシ
ュ11の内周面11bに形成する硬質カーボン膜15の
膜厚は、段差部11g側の内部15bは1μmから5μ
mの厚さに形成し、端面11h側の開口端の近傍部分1
5aは、内部15bより30%から50%程度厚く形成
する。
【0066】この実施例によるガイドブッシュの内周面
に硬質カーボン膜を形成する方法では、ガイドブッシュ
11の中心開口11jの中央部に補助電極71を配置し
て、それを接地電位に保持し、その補助電極の径寸法を
軸方向で変化させる。すなわち、ガイドブッシュ11の
内周面11bに厚く硬質カーボン膜15を形成したい領
域では、補助電極71と内周面11bとの隙間寸法を大
きくするように、補助電極71の先端部71aの径を他
の部分71bより小さくしている。
に硬質カーボン膜を形成する方法では、ガイドブッシュ
11の中心開口11jの中央部に補助電極71を配置し
て、それを接地電位に保持し、その補助電極の径寸法を
軸方向で変化させる。すなわち、ガイドブッシュ11の
内周面11bに厚く硬質カーボン膜15を形成したい領
域では、補助電極71と内周面11bとの隙間寸法を大
きくするように、補助電極71の先端部71aの径を他
の部分71bより小さくしている。
【0067】このように、補助電極71をガイドブッシ
ュ11の中心開口11j内に挿入することにより、ガイ
ドブッシュ11の外周部だけでなく、内周部にもプラズ
マを形成することができる。そして、中心開口11j内
において同電位同士が対向することが無くなる。それに
よって、異常放電であるホロー放電が発生することがな
くなり、硬質カーボン膜15の密着性が向上する。
ュ11の中心開口11j内に挿入することにより、ガイ
ドブッシュ11の外周部だけでなく、内周部にもプラズ
マを形成することができる。そして、中心開口11j内
において同電位同士が対向することが無くなる。それに
よって、異常放電であるホロー放電が発生することがな
くなり、硬質カーボン膜15の密着性が向上する。
【0068】その際、この実施例のようにガイドブッシ
ュ11の内周面11bと補助電極71との間の隙間寸法
が軸方向において均一でないと、ガイドブッシュ11の
内周面11bと補助電極71との間に発生するプラズマ
密度も均一でなくなる。すなわち、ガイドブッシュ11
の内周面11bと補助電極71との間のプラズマ密度
は、隙間寸法が大きい領域の方が、隙間寸法が小さい領
域より高くなる。
ュ11の内周面11bと補助電極71との間の隙間寸法
が軸方向において均一でないと、ガイドブッシュ11の
内周面11bと補助電極71との間に発生するプラズマ
密度も均一でなくなる。すなわち、ガイドブッシュ11
の内周面11bと補助電極71との間のプラズマ密度
は、隙間寸法が大きい領域の方が、隙間寸法が小さい領
域より高くなる。
【0069】そして、プラズマ密度が高い領域では、プ
ラズマ密度が低い領域より硬質カーボン膜の形成速度が
速ため、ガイドブッシュ11の内周面11bの補助電極
71の細い先端部71aと対向する開口端の近傍部分の
膜厚を、太径のその他の部分71bと対向する内部より
厚くすることができる。補助電極71はステンレスで形
成すると説明したが、タングステン(W)やタンタル
(Ta)のような高融点の金属材料で作成してもよい。
また、この補助電極71の断面形状は円形とする。
ラズマ密度が低い領域より硬質カーボン膜の形成速度が
速ため、ガイドブッシュ11の内周面11bの補助電極
71の細い先端部71aと対向する開口端の近傍部分の
膜厚を、太径のその他の部分71bと対向する内部より
厚くすることができる。補助電極71はステンレスで形
成すると説明したが、タングステン(W)やタンタル
(Ta)のような高融点の金属材料で作成してもよい。
また、この補助電極71の断面形状は円形とする。
【0070】つぎに、上述の方法とは異なる実施形態に
よるガイドブッシュの内周面に硬質カーボン膜を形成す
る方法を、図9によって説明する。図9において、図8
と対応する部分には同一の符号を付し、それらの説明は
省略する。この実施形態に使用する第2の装置の真空槽
61は、その内部にアノード及びフィラメントを設けて
いない。
よるガイドブッシュの内周面に硬質カーボン膜を形成す
る方法を、図9によって説明する。図9において、図8
と対応する部分には同一の符号を付し、それらの説明は
省略する。この実施形態に使用する第2の装置の真空槽
61は、その内部にアノード及びフィラメントを設けて
いない。
【0071】この装置を使用する硬質カーボン膜形成方
法において、図8に示した装置を使用する硬質カーボン
膜形成方法と相違する点は、真空槽61内に接地された
段付きロッド状の補助電極71を挿入して配置したガイ
ドブッシュ11に、マッチング回路67を介して13.
56MHzの発振周波数を有する高周波電源69から4
00Wの高周波電力を印加するようにした点と、炭素を
含むガスとして、メタン(CH4)ガスを真空槽61内4
に導入し、真空度が0.1 Torrになるように調整するよ
うにした点だけである。
法において、図8に示した装置を使用する硬質カーボン
膜形成方法と相違する点は、真空槽61内に接地された
段付きロッド状の補助電極71を挿入して配置したガイ
ドブッシュ11に、マッチング回路67を介して13.
56MHzの発振周波数を有する高周波電源69から4
00Wの高周波電力を印加するようにした点と、炭素を
含むガスとして、メタン(CH4)ガスを真空槽61内4
に導入し、真空度が0.1 Torrになるように調整するよ
うにした点だけである。
【0072】このようにしても、前述の実施形態の場合
と同様にプラズマCVD法により、ガイドブッシュ11
の内周面11bに硬質カーボン膜をその内部には1μm
から5μmの厚さで形成し、開口端近傍部分にはそれよ
り30%から50%厚く形成することができる。
と同様にプラズマCVD法により、ガイドブッシュ11
の内周面11bに硬質カーボン膜をその内部には1μm
から5μmの厚さで形成し、開口端近傍部分にはそれよ
り30%から50%厚く形成することができる。
【0073】つぎに、上述の方法とはまた異なる実施形
態によるガイドブッシュの内周面への硬質カーボン膜形
成成方法を、図10によって説明する。図10において
も、図8と対応する部分には同一の符号を付し、それら
の説明は省略する。この実施形態で使用する第3の装置
も、真空槽61内にアノード及びフィラメントは設けて
いない。
態によるガイドブッシュの内周面への硬質カーボン膜形
成成方法を、図10によって説明する。図10において
も、図8と対応する部分には同一の符号を付し、それら
の説明は省略する。この実施形態で使用する第3の装置
も、真空槽61内にアノード及びフィラメントは設けて
いない。
【0074】この装置を使用する硬質カーボン膜形成方
法において、図8図に示した装置を使用する硬質カーボ
ン膜形成方法と相違する点は、真空槽61内に接地され
た段付きロッド状の補助電極71を挿入して配置したガ
イドブッシュ11に、直流電源73′からマイナス60
0Vの直流電圧だけを印加するようにした点と、炭素を
含むガスとして、メタン(CH4)ガスを真空槽61内4
に導入し、真空度が0.1 Torrになるように調整するよ
うにした点だけである。
法において、図8図に示した装置を使用する硬質カーボ
ン膜形成方法と相違する点は、真空槽61内に接地され
た段付きロッド状の補助電極71を挿入して配置したガ
イドブッシュ11に、直流電源73′からマイナス60
0Vの直流電圧だけを印加するようにした点と、炭素を
含むガスとして、メタン(CH4)ガスを真空槽61内4
に導入し、真空度が0.1 Torrになるように調整するよ
うにした点だけである。
【0075】このようにしても、前述の各実施形態の場
合と同様にプラズマCVD法により、ガイドブッシュ1
1の内周面11bに硬質カーボン膜を形成することがで
きる。上述した各硬質カーボン膜の形成方法では、ガイ
ドブッシュ11の外周面と内周面の両方に硬質カーボン
膜が形成されるが、内周面にのみ硬質カーボン膜を形成
するようにすることもできる。
合と同様にプラズマCVD法により、ガイドブッシュ1
1の内周面11bに硬質カーボン膜を形成することがで
きる。上述した各硬質カーボン膜の形成方法では、ガイ
ドブッシュ11の外周面と内周面の両方に硬質カーボン
膜が形成されるが、内周面にのみ硬質カーボン膜を形成
するようにすることもできる。
【0076】その場合は、図11に示すように、ガイド
ブッシュ11の外周部に被覆部材82を配置すればよい
が、簡易的にはこの被覆部材82としてアルミニウム箔
をガイドブッシュ11の外周部に巻き付けるようにして
もよい。
ブッシュ11の外周部に被覆部材82を配置すればよい
が、簡易的にはこの被覆部材82としてアルミニウム箔
をガイドブッシュ11の外周部に巻き付けるようにして
もよい。
【0077】図11は、図8に示した第1の装置を使用
した例で、ガイドブッシュ11の外周部に被覆部材82
を配置した例を示しているが、図9又は図10に示した
第2,あるいは第3の装置を使用する場合でも、同様に
ガイドブッシュの外周面にアルミ箔等の被覆部材82を
配置して、内周面にのみ厚さが変化する硬質カーボン膜
を強固に形成することができる。
した例で、ガイドブッシュ11の外周部に被覆部材82
を配置した例を示しているが、図9又は図10に示した
第2,あるいは第3の装置を使用する場合でも、同様に
ガイドブッシュの外周面にアルミ箔等の被覆部材82を
配置して、内周面にのみ厚さが変化する硬質カーボン膜
を強固に形成することができる。
【0078】また、これらの硬質カーボン膜形成方法
は、図4乃至図7によって説明したガイドブッシュ11
の内周面11bへの種々の層構成による硬質カーボン膜
15の形成に、同様に適用することができる。さらに、
上述の各実施形態によるガイドブッシュへの内周面への
硬質カーボン膜形成方法では、炭素を含むガスとしてメ
タンガスやベンゼンガスを用いると説明したが、メタン
以外にエチレンなどの炭素を含むガスや、あるいはヘキ
サンなどの炭素を含む液体の蒸発蒸気も使用することが
できる。
は、図4乃至図7によって説明したガイドブッシュ11
の内周面11bへの種々の層構成による硬質カーボン膜
15の形成に、同様に適用することができる。さらに、
上述の各実施形態によるガイドブッシュへの内周面への
硬質カーボン膜形成方法では、炭素を含むガスとしてメ
タンガスやベンゼンガスを用いると説明したが、メタン
以外にエチレンなどの炭素を含むガスや、あるいはヘキ
サンなどの炭素を含む液体の蒸発蒸気も使用することが
できる。
【0079】これらの実施形態によるガイドブッシュへ
の硬質カーボン膜形成方法では、ガイドブッシュの開口
内に、硬質カーボン膜を形成すべき内周面11bに、接
地電位の補助電極を配置して硬質カーボン膜を形成して
いるので、同電位の電極同士が対向している内周面間
に、接地電位の補助電極を設けることとなり、同電位同
士が対向することがなくなり、異常放電であるホロー放
電が発生しない。そのため、密着の良好な硬質カーボン
膜をガイドブッシュ11の内周面11bに形成すること
ができる。
の硬質カーボン膜形成方法では、ガイドブッシュの開口
内に、硬質カーボン膜を形成すべき内周面11bに、接
地電位の補助電極を配置して硬質カーボン膜を形成して
いるので、同電位の電極同士が対向している内周面間
に、接地電位の補助電極を設けることとなり、同電位同
士が対向することがなくなり、異常放電であるホロー放
電が発生しない。そのため、密着の良好な硬質カーボン
膜をガイドブッシュ11の内周面11bに形成すること
ができる。
【0080】次に、この発明によるガイドブッシュへの
内周面への硬質カーボン膜形成方法の他の実施形態を、
図12乃至図15を参照して説明する。図12,図1
4,及び図15は、それぞれ前述の図8,図9,及び図
10に示した第1,第2,及び第3の装置と同じ装置を
使用してガイドブッシュ11に硬質カーボン膜を形成す
る例を示している。したがって、これらの各図と同じ部
分には同一符号を付してあり、それらの説明は省略す
る。
内周面への硬質カーボン膜形成方法の他の実施形態を、
図12乃至図15を参照して説明する。図12,図1
4,及び図15は、それぞれ前述の図8,図9,及び図
10に示した第1,第2,及び第3の装置と同じ装置を
使用してガイドブッシュ11に硬質カーボン膜を形成す
る例を示している。したがって、これらの各図と同じ部
分には同一符号を付してあり、それらの説明は省略す
る。
【0081】ここで、前述の方法と異なる点は、ガイド
ブッシュ11の内周面11bの径と略同じ内径をもつ図
13に示すようなリング状のダミー部材53を使用する
点だけである。このダミー部材53も、補助電極71と
同様にステンレスによって形成する。このダミー部材5
3の外径寸法は、ガイドブッシュ11の開口端面の大き
さと略同じ大きさとする。
ブッシュ11の内周面11bの径と略同じ内径をもつ図
13に示すようなリング状のダミー部材53を使用する
点だけである。このダミー部材53も、補助電極71と
同様にステンレスによって形成する。このダミー部材5
3の外径寸法は、ガイドブッシュ11の開口端面の大き
さと略同じ大きさとする。
【0082】そして、図12に示すように、ガス導入口
63と排気口65とを有する真空槽61内に、硬質カー
ボン膜を形成するガイドブッシュ11を配置する。この
ときガイドブッシュ11の外周テーパ面側の端面11h
上にダミー部材53を載置する。このとき、ガイドブッ
シュ11の内周面とダミー部材の内周面とが一致するよ
うにする。このガイドブッシュ11の内周面11bに
は、前述のように予め硬質部材を固着したり、中間層を
形成しておく。
63と排気口65とを有する真空槽61内に、硬質カー
ボン膜を形成するガイドブッシュ11を配置する。この
ときガイドブッシュ11の外周テーパ面側の端面11h
上にダミー部材53を載置する。このとき、ガイドブッ
シュ11の内周面とダミー部材の内周面とが一致するよ
うにする。このガイドブッシュ11の内周面11bに
は、前述のように予め硬質部材を固着したり、中間層を
形成しておく。
【0083】そして、前述の場合と同様にこのガイドブ
ッシュ11の中心開口11j内の中心に、接地電位にな
された段付きロッド状の補助電極71を挿入するように
設ける。このとき、補助電極71の先端がダミー部材5
3の上端面から突出せず、幾分内側に位置するようにす
るのがよい。
ッシュ11の中心開口11j内の中心に、接地電位にな
された段付きロッド状の補助電極71を挿入するように
設ける。このとき、補助電極71の先端がダミー部材5
3の上端面から突出せず、幾分内側に位置するようにす
るのがよい。
【0084】その他については図8によって説明した方
法と同様であるが、念のため説明すると、真空槽61内
を真空度が3×10-5torrになるように、排気口65か
ら真空排気する。その後、ガス導入口63から炭素を含
むガスとしてベンゼン(C6H6)を真空槽61内に導入
して、真空槽61内の圧力を5×10-3torrになるよう
に制御する。
法と同様であるが、念のため説明すると、真空槽61内
を真空度が3×10-5torrになるように、排気口65か
ら真空排気する。その後、ガス導入口63から炭素を含
むガスとしてベンゼン(C6H6)を真空槽61内に導入
して、真空槽61内の圧力を5×10-3torrになるよう
に制御する。
【0085】そして、ガイドブッシュ11に直流電源7
3からマイナス3kVの直流電圧を印加し、アノード7
9にはアノード電源75からプラス50Vの直流電圧を
印加し、さらにフィラメント81にはフィラメント電源
77から30Aの電流が流れるように10Vの交流電圧
を印加する。それによって、真空槽61内のガイドブッ
シュ11の周囲領域にプラズマを発生させて、ガイドブ
ッシュ11の第1図に示した内周面11bを含む表面に
硬質カーボン膜を形成する。
3からマイナス3kVの直流電圧を印加し、アノード7
9にはアノード電源75からプラス50Vの直流電圧を
印加し、さらにフィラメント81にはフィラメント電源
77から30Aの電流が流れるように10Vの交流電圧
を印加する。それによって、真空槽61内のガイドブッ
シュ11の周囲領域にプラズマを発生させて、ガイドブ
ッシュ11の第1図に示した内周面11bを含む表面に
硬質カーボン膜を形成する。
【0086】その際の補助電極71の作用は前述の場合
と同様であるが、ダミー部材53は次のような作用をな
す。すなわち、このようなガイドブッシュ11への硬質
カーボン膜の形成方法においては、ガイドブッシュ11
の内面と外周部とにプラズマが発生する。そして、ガイ
ドブッシュ11の端面11hは電荷が集中しやすく、内
面に比べて端面領域は電位が高い状態、いわゆるエッジ
効果が発生する。ここでガイドブッシュ11の端面11
hの近傍のプラズマ強度は他の領域より大きく、しかも
不安定でもある。
と同様であるが、ダミー部材53は次のような作用をな
す。すなわち、このようなガイドブッシュ11への硬質
カーボン膜の形成方法においては、ガイドブッシュ11
の内面と外周部とにプラズマが発生する。そして、ガイ
ドブッシュ11の端面11hは電荷が集中しやすく、内
面に比べて端面領域は電位が高い状態、いわゆるエッジ
効果が発生する。ここでガイドブッシュ11の端面11
hの近傍のプラズマ強度は他の領域より大きく、しかも
不安定でもある。
【0087】さらに、ガイドブッシュ11の端部領域
は、内面のプラズマと外周部のプラズマとの双方のプラ
ズマの影響を受けることになる。そして、このような状
態で硬質カーボン膜を形成すると、ガイドブッシュ11
の端面11hから数mm奥側の領域と他の領域とでは、
硬質カーボン膜の密着性が若干異なり、さらに膜質も若
干異なる。
は、内面のプラズマと外周部のプラズマとの双方のプラ
ズマの影響を受けることになる。そして、このような状
態で硬質カーボン膜を形成すると、ガイドブッシュ11
の端面11hから数mm奥側の領域と他の領域とでは、
硬質カーボン膜の密着性が若干異なり、さらに膜質も若
干異なる。
【0088】そこで、図12に示すように、ガイドブッ
シュ11の端面11hにダミー部材53を配置して硬質
カーボン膜を形成すれば、この膜質や密着性が異なる領
域はガイドブッシュ11の内面に形成されず、ダミー部
材53の開口内面に形成されることになる。
シュ11の端面11hにダミー部材53を配置して硬質
カーボン膜を形成すれば、この膜質や密着性が異なる領
域はガイドブッシュ11の内面に形成されず、ダミー部
材53の開口内面に形成されることになる。
【0089】実験によれば、図8に示した方法でガイド
ブッシュ11に硬質カーボン膜を形成した場合には、ガ
イドブッシュ11の端面11hから4mm程度奥側に、
幅寸法が1mmから2mmの膜質や密着性が若干異なる
領域が形成された。しかし、図12に示すように、ガイ
ドブッシュ11の開口寸法とほぼ同じ開口寸法をもち、
長さ寸法が10mmのダミー部材53をガイドブッシュ
11の端面11hに載置して、前述の硬質カーボン膜の
形成条件で被膜形成を行なった結果、膜質や密着性が異
なる領域はダミー部材53に形成され、ガイドブッシュ
11の内面の膜質や密着性が向上した。
ブッシュ11に硬質カーボン膜を形成した場合には、ガ
イドブッシュ11の端面11hから4mm程度奥側に、
幅寸法が1mmから2mmの膜質や密着性が若干異なる
領域が形成された。しかし、図12に示すように、ガイ
ドブッシュ11の開口寸法とほぼ同じ開口寸法をもち、
長さ寸法が10mmのダミー部材53をガイドブッシュ
11の端面11hに載置して、前述の硬質カーボン膜の
形成条件で被膜形成を行なった結果、膜質や密着性が異
なる領域はダミー部材53に形成され、ガイドブッシュ
11の内面の膜質や密着性が向上した。
【0090】図14図に示す硬質カーボン膜形成方法
は、図9に示した硬質カーボン膜形成方法と同様に、ガ
イドブッシュ11に、マッチング回路67を介して1
3.56MHzの発振周波数を有する高周波電源69か
ら400Wの高周波電力を印加することによって、真空
槽61内にプラズマを発生させる点と、炭素を含むガス
としてメタン(CH4)ガスを真空槽61内4に導入し、
真空度が0.1 Torrになるように調整するようにした点
が、上述の方法と異なるだけである。
は、図9に示した硬質カーボン膜形成方法と同様に、ガ
イドブッシュ11に、マッチング回路67を介して1
3.56MHzの発振周波数を有する高周波電源69か
ら400Wの高周波電力を印加することによって、真空
槽61内にプラズマを発生させる点と、炭素を含むガス
としてメタン(CH4)ガスを真空槽61内4に導入し、
真空度が0.1 Torrになるように調整するようにした点
が、上述の方法と異なるだけである。
【0091】また、図15に示す硬質カーボン膜形成方
法も、ガイドブッシュ11に、直流電源73′からマイ
ナス600Vの直流電圧を印加することによって、真空
槽61内にプラズマを発生させる点が上述の方法と異な
るだけである。これらの場合も補助電極71およびダミ
ー部材53を使用することによって、ガイドブッシュ1
1の内周面11bに所要の膜厚で膜質及び密着性が均一
な硬質カーボン膜を能率よく形成することができる。
法も、ガイドブッシュ11に、直流電源73′からマイ
ナス600Vの直流電圧を印加することによって、真空
槽61内にプラズマを発生させる点が上述の方法と異な
るだけである。これらの場合も補助電極71およびダミ
ー部材53を使用することによって、ガイドブッシュ1
1の内周面11bに所要の膜厚で膜質及び密着性が均一
な硬質カーボン膜を能率よく形成することができる。
【0092】さらに、図11に示した例のように、ガイ
ドブッシュ11の外周に被覆部材82を配置することに
よって、内周面にのみ硬質カーボン膜を形成することも
できる。なお、これらの硬質カーボン膜の形成方法にお
いては、補助電極71の先端をダミー部材53の開口端
面より1mm程度内側になるように配置している。この
ため補助電極71の先端がダミー部材53の開口端面か
ら露出している場合に発生する補助電極71の先端の異
常放電を抑制することができ、膜質が良好な硬質カーボ
ン膜15をガイドブッシュ11の内周面11bに形成す
ることができる。
ドブッシュ11の外周に被覆部材82を配置することに
よって、内周面にのみ硬質カーボン膜を形成することも
できる。なお、これらの硬質カーボン膜の形成方法にお
いては、補助電極71の先端をダミー部材53の開口端
面より1mm程度内側になるように配置している。この
ため補助電極71の先端がダミー部材53の開口端面か
ら露出している場合に発生する補助電極71の先端の異
常放電を抑制することができ、膜質が良好な硬質カーボ
ン膜15をガイドブッシュ11の内周面11bに形成す
ることができる。
【0093】次に、この発明によるガイドブッシュの内
周面に硬質カーボン膜を形成する方法のさらに他の実施
形態を、図16乃至図20を参照して説明する。図16
乃至図18はこの実施形態を示す図であるが、それぞれ
前述の図12,図14,及び図15と対応する図であ
り、それらの各図と同じ部分には同一符号を付し、それ
らの説明は省略する。
周面に硬質カーボン膜を形成する方法のさらに他の実施
形態を、図16乃至図20を参照して説明する。図16
乃至図18はこの実施形態を示す図であるが、それぞれ
前述の図12,図14,及び図15と対応する図であ
り、それらの各図と同じ部分には同一符号を付し、それ
らの説明は省略する。
【0094】ここで、前述の方法と異なる点は、補助電
極71をガイドブッシュ11の中心開口11jに嵌入さ
せたガイシ85によって、ガイドブッシュ11に対して
も真空層61に対しても絶縁して支持し、その補助電極
71に補助電極電源83から直流正電圧(例えばプラス
20V)を印加するようにした点である。この補助電極
71に印加する直流正電圧と、ガイドブッシュ11の開
口内面に形成される硬質カーボン膜厚との関係を、図1
9の線図に示す。
極71をガイドブッシュ11の中心開口11jに嵌入さ
せたガイシ85によって、ガイドブッシュ11に対して
も真空層61に対しても絶縁して支持し、その補助電極
71に補助電極電源83から直流正電圧(例えばプラス
20V)を印加するようにした点である。この補助電極
71に印加する直流正電圧と、ガイドブッシュ11の開
口内面に形成される硬質カーボン膜厚との関係を、図1
9の線図に示す。
【0095】この図においては、補助電極71に印加す
る直流正電圧をゼロVから30Vまで変化させ、さらに
ガイドブッシュ11の開口内面と補助電極71との間の
隙間寸法が3mmと5mmのときの硬質カーボン膜の膜
厚を示す。なお、曲線aは上記隙間が3mmのときの特
性を、曲線bは上記隙間が5mmのときの特性をそれぞ
れ示す。
る直流正電圧をゼロVから30Vまで変化させ、さらに
ガイドブッシュ11の開口内面と補助電極71との間の
隙間寸法が3mmと5mmのときの硬質カーボン膜の膜
厚を示す。なお、曲線aは上記隙間が3mmのときの特
性を、曲線bは上記隙間が5mmのときの特性をそれぞ
れ示す。
【0096】この曲線a,bに示されるように、補助電
極71に印加する直流正電圧を増加させると、硬質カー
ボン膜の膜形成速度は向上する。また、ガイドブッシュ
11の開口内面と補助電極71との間の隙間寸法が大き
いほど、硬質カーボン膜の膜形成速度は向上する。従っ
て、ガイドブッシュ11の内周面11bにおいて、補助
電極71の細くなった先端部71aと対向する領域に
は、硬質カーボン膜が厚く形成される異になる。
極71に印加する直流正電圧を増加させると、硬質カー
ボン膜の膜形成速度は向上する。また、ガイドブッシュ
11の開口内面と補助電極71との間の隙間寸法が大き
いほど、硬質カーボン膜の膜形成速度は向上する。従っ
て、ガイドブッシュ11の内周面11bにおいて、補助
電極71の細くなった先端部71aと対向する領域に
は、硬質カーボン膜が厚く形成される異になる。
【0097】そして、ガイドブッシュ11の開口内面と
補助電極71との間の隙間寸法が3mmのとき(曲線
a)は、補助電極71に印加する電位がゼロVの接地電
圧では、ガイドブッシュ11の中心開口11jの内面に
プラズマが発生せず、硬質カーボン膜は形成できない。
しかし、この場合でも補助電極71に印加する直流正電
圧を高くしていくと、ガイドブッシュ11の中心開口1
1j内の補助電極71の周囲にプラズマが発生し、硬質
カーボン膜を形成することができる。
補助電極71との間の隙間寸法が3mmのとき(曲線
a)は、補助電極71に印加する電位がゼロVの接地電
圧では、ガイドブッシュ11の中心開口11jの内面に
プラズマが発生せず、硬質カーボン膜は形成できない。
しかし、この場合でも補助電極71に印加する直流正電
圧を高くしていくと、ガイドブッシュ11の中心開口1
1j内の補助電極71の周囲にプラズマが発生し、硬質
カーボン膜を形成することができる。
【0098】したがって、中心開口11jの径が小さい
ガイドブッシュの内周面にも、補助電極71に直流正電
圧を印加して使用するこの実施形態によれば、硬質カー
ボン膜の被膜形成が可能になる。このような作用は、図
16乃至図18に示すいずれの方法によって、ガイドブ
ッシュ11に硬質カーボン膜を形成する場合でも同様で
ある。
ガイドブッシュの内周面にも、補助電極71に直流正電
圧を印加して使用するこの実施形態によれば、硬質カー
ボン膜の被膜形成が可能になる。このような作用は、図
16乃至図18に示すいずれの方法によって、ガイドブ
ッシュ11に硬質カーボン膜を形成する場合でも同様で
ある。
【0099】また、図8乃至図10によって説明したよ
うに、ダミー部材53を使用せずに硬質カーボン膜を形
成する場合でも、補助電極71に直流高電圧を印加する
ことにより、上述の作用が得られる。これらの方法を実
施する場合に、補助電極71をガイドブッシュ11内に
絶縁して支持するための具体的な構造例を図20に示
す。
うに、ダミー部材53を使用せずに硬質カーボン膜を形
成する場合でも、補助電極71に直流高電圧を印加する
ことにより、上述の作用が得られる。これらの方法を実
施する場合に、補助電極71をガイドブッシュ11内に
絶縁して支持するための具体的な構造例を図20に示
す。
【0100】図20において、セラミックスからなる絶
縁材料であるガイシ85をガイドブッシュ11の段差部
11gに挿入する。このガイシ85には、内径が異なる
第1の孔85aと第2の孔85bとがその中心部に形成
されている。そして、このガイシ85の第1の孔85a
に補助電極71を挿通させ、第2の孔85bにその補助
電極71に結合した太径の接続電極87を嵌入して保持
させる。この補助電極71は、ステンレス鋼等の金属材
料によって、先端部71aが他の部分71bよりも細い
段付きロッド状に形成されている。
縁材料であるガイシ85をガイドブッシュ11の段差部
11gに挿入する。このガイシ85には、内径が異なる
第1の孔85aと第2の孔85bとがその中心部に形成
されている。そして、このガイシ85の第1の孔85a
に補助電極71を挿通させ、第2の孔85bにその補助
電極71に結合した太径の接続電極87を嵌入して保持
させる。この補助電極71は、ステンレス鋼等の金属材
料によって、先端部71aが他の部分71bよりも細い
段付きロッド状に形成されている。
【0101】なお、補助電極71の太径の部分71bの
外形寸法とガイシ85の第1の孔85aとの間に0.0
1mmから0.03mmの隙間を設けるように構成す
る。さらに、ガイドブッシュ11の段差部11gとガイ
シ85の外径寸法との間にも0.01mmから0.03m
mの隙間を設け、ガイシ85がある隙間寸法をもって段
差部11gに挿入されるように構成する。
外形寸法とガイシ85の第1の孔85aとの間に0.0
1mmから0.03mmの隙間を設けるように構成す
る。さらに、ガイドブッシュ11の段差部11gとガイ
シ85の外径寸法との間にも0.01mmから0.03m
mの隙間を設け、ガイシ85がある隙間寸法をもって段
差部11gに挿入されるように構成する。
【0102】また、ガイドブッシュ11の内周面11b
の近傍に円筒状の内挿治具57を配置する。この内挿治
具57には、ガイドブッシュ11の内周面11bの径と
略同じ内径を有する。この内挿治具57をガイシ85と
ガイドブッシュ11の内周面11bとの間に装着し、さ
らにガイドブッシュ11の開口端面にダミー部材53を
装着すると、ガイドブッシュ11の硬質カーボン膜15
を形成する内周面11bの近傍には段差がなくなる。
の近傍に円筒状の内挿治具57を配置する。この内挿治
具57には、ガイドブッシュ11の内周面11bの径と
略同じ内径を有する。この内挿治具57をガイシ85と
ガイドブッシュ11の内周面11bとの間に装着し、さ
らにガイドブッシュ11の開口端面にダミー部材53を
装着すると、ガイドブッシュ11の硬質カーボン膜15
を形成する内周面11bの近傍には段差がなくなる。
【0103】すなわち、硬質カーボン膜15を形成する
内周面11bの近傍と補助電極71との間の隙間寸法
は、補助電極71の径によって決まり、細径の先端部7
1aとの間の間隔寸法は大きくなる。このように、ガイ
ドブッシュ11の段差部11gにガイシ85を介して補
助電極71を配置すると、ガイドブッシュ11の中心開
口11jの中心に正確に補助電極71を配置することが
できる。
内周面11bの近傍と補助電極71との間の隙間寸法
は、補助電極71の径によって決まり、細径の先端部7
1aとの間の間隔寸法は大きくなる。このように、ガイ
ドブッシュ11の段差部11gにガイシ85を介して補
助電極71を配置すると、ガイドブッシュ11の中心開
口11jの中心に正確に補助電極71を配置することが
できる。
【0104】補助電極71がガイドブッシュ11の開口
中心からずれて配置された場合は、補助電極71と開口
内壁との間に発生するプラズマはそのバランスがくず
れ、硬質カーボン膜15の膜厚や膜質のばらつきを生じ
る。そこで、このようにガイドブッシュ11の段差部1
1gの内径寸法に合うようにガイシ85を挿入し、さら
にガイシ85の第1の孔85aで補助電極71を位置制
御すると、ガイドブッシュ11の開口中心に正確に補助
電極71を配置することができ、硬質カーボン膜15の
膜厚や膜質のばらつきが発生しない。
中心からずれて配置された場合は、補助電極71と開口
内壁との間に発生するプラズマはそのバランスがくず
れ、硬質カーボン膜15の膜厚や膜質のばらつきを生じ
る。そこで、このようにガイドブッシュ11の段差部1
1gの内径寸法に合うようにガイシ85を挿入し、さら
にガイシ85の第1の孔85aで補助電極71を位置制
御すると、ガイドブッシュ11の開口中心に正確に補助
電極71を配置することができ、硬質カーボン膜15の
膜厚や膜質のばらつきが発生しない。
【0105】この補助電極71に接続電極87を介して
直流正電圧を印加して使用すれば、前述の図16乃至図
18によって説明した硬質カーボン膜形成方法を実施で
きる。その場合は、補助電極71が電子を集めるので、
ガイドブッシュ11の中心開口11j内のプラズマ密度
が高くなり、プラズマCVD法による硬質カーボン膜の
形成速度が速くなる。
直流正電圧を印加して使用すれば、前述の図16乃至図
18によって説明した硬質カーボン膜形成方法を実施で
きる。その場合は、補助電極71が電子を集めるので、
ガイドブッシュ11の中心開口11j内のプラズマ密度
が高くなり、プラズマCVD法による硬質カーボン膜の
形成速度が速くなる。
【0106】また、この補助電極71を接続電極87を
介して接地電位に接続して使用すれば、前述した図8乃
至図15によって説明した硬質カーボン膜形成方法を実
施することもできる。あるいは、この補助電極に、ガイ
ドブッシュ11に印加するよりも小さな(1/10ぐら
い)負電圧を印加するようにしてもよい。それによっ
て、ガイドブッシュ11内の電子の運動をより激しくす
ることができるので、プラズマ密度が上がり、硬質カー
ボン膜の形成速度が速くなる。
介して接地電位に接続して使用すれば、前述した図8乃
至図15によって説明した硬質カーボン膜形成方法を実
施することもできる。あるいは、この補助電極に、ガイ
ドブッシュ11に印加するよりも小さな(1/10ぐら
い)負電圧を印加するようにしてもよい。それによっ
て、ガイドブッシュ11内の電子の運動をより激しくす
ることができるので、プラズマ密度が上がり、硬質カー
ボン膜の形成速度が速くなる。
【0107】さらに、この補助電極71を絶縁状態のま
まの浮遊電位にしておくこともできる。そうすると、プ
ラズマとの相互作用により、補助電極に負の電位が発生
する。従って、上述の小さい負電圧を印加した場合と同
様な効果が得られる。
まの浮遊電位にしておくこともできる。そうすると、プ
ラズマとの相互作用により、補助電極に負の電位が発生
する。従って、上述の小さい負電圧を印加した場合と同
様な効果が得られる。
【0108】ここで、この発明によりガイドブッシュの
内周面に硬質カーボン膜を形成する際に使用する補助電
極の他の形状例を図21に示す。この補助電極71′
は、先端部に先細りのテーパ部71cを形成したロッド
状をなし、前述の補助電極71と同様にステンレス鋼等
の金属材料によって形成されている。なお、テーパ部7
1の最大径と最小径の差は1mm程度とする。
内周面に硬質カーボン膜を形成する際に使用する補助電
極の他の形状例を図21に示す。この補助電極71′
は、先端部に先細りのテーパ部71cを形成したロッド
状をなし、前述の補助電極71と同様にステンレス鋼等
の金属材料によって形成されている。なお、テーパ部7
1の最大径と最小径の差は1mm程度とする。
【0109】前述した各実施形態において、補助電極7
1に代えてこの図21に示す補助電極71′を用いて硬
質カーボン膜を形成しても、前述した各実施形態の場合
と同様な効果が得られる。すなわち、ガイドブッシュ1
1の内周面11bに硬質カーボン膜を均一な膜質で強固
に形成することができ、且つその硬質カーボン膜の膜厚
を開口端の近傍部分では内部よりも厚くすることができ
る。そして、この補助電極71′を使用した場合には、
その膜厚が無段階に徐々に変化する。
1に代えてこの図21に示す補助電極71′を用いて硬
質カーボン膜を形成しても、前述した各実施形態の場合
と同様な効果が得られる。すなわち、ガイドブッシュ1
1の内周面11bに硬質カーボン膜を均一な膜質で強固
に形成することができ、且つその硬質カーボン膜の膜厚
を開口端の近傍部分では内部よりも厚くすることができ
る。そして、この補助電極71′を使用した場合には、
その膜厚が無段階に徐々に変化する。
【0110】なお、これらの硬質カーボン膜形成方法の
各実施形態は、ガイドブッシュ11の内周面11bに硬
質部材12を設けて、その表面に硬質カーボン膜15を
形成する場合の例で説明した。しかし、これらの硬質カ
ーボン膜形成方法は、ガイドブッシュ11の内周面11
bに硬質部材12を設けずに、直接あるいは前述した各
種の中間層16を介して硬質カーボン膜15を形成する
場合、あるいは硬質部材12上にさらに中間層16を介
して硬質カーボン膜15を形成する場合にも同様に適用
することができる。
各実施形態は、ガイドブッシュ11の内周面11bに硬
質部材12を設けて、その表面に硬質カーボン膜15を
形成する場合の例で説明した。しかし、これらの硬質カ
ーボン膜形成方法は、ガイドブッシュ11の内周面11
bに硬質部材12を設けずに、直接あるいは前述した各
種の中間層16を介して硬質カーボン膜15を形成する
場合、あるいは硬質部材12上にさらに中間層16を介
して硬質カーボン膜15を形成する場合にも同様に適用
することができる。
【0111】また、上述したこの発明によるガイドブッ
シュの内周面への硬質カーボン膜形成方法の各実施形態
では、炭素を含むガスとしてメタン(CH4)あるいは
ベンゼン(C6H6)を用いる例で説明したが、エチレン
(C2H4)やヘキサン(C6H14)などを使用すること
もできる。
シュの内周面への硬質カーボン膜形成方法の各実施形態
では、炭素を含むガスとしてメタン(CH4)あるいは
ベンゼン(C6H6)を用いる例で説明したが、エチレン
(C2H4)やヘキサン(C6H14)などを使用すること
もできる。
【0112】さらに、これらの炭素を含むガスを、アル
ゴン(Ar)などの電離電圧の低い不活性ガスで希釈し
て使用することもできる。その場合っ、ガイドブッシュ
の円筒内のプラズマが更に安定する効果がある。あるい
はまた、硬質カーボン膜の生成時に少量(1%以下)の
添加物を加えることにより、潤滑性や硬度を高めること
ができる。
ゴン(Ar)などの電離電圧の低い不活性ガスで希釈し
て使用することもできる。その場合っ、ガイドブッシュ
の円筒内のプラズマが更に安定する効果がある。あるい
はまた、硬質カーボン膜の生成時に少量(1%以下)の
添加物を加えることにより、潤滑性や硬度を高めること
ができる。
【0113】例えば、フッ素(F)又はボロン(B)を
添加すると潤滑性が増し、クロム(Cr),モリブデン
(Mo)又はタングステン(W)を添加すると硬度が増す。
また、真空槽内にガイドブッシュを配置した後、硬質カ
ーボン膜を形成する前に、アルゴン(Ar)や窒素(N
2)などのプラズマを発生させてガイドブッシュの円筒
内面をボンバードし、その後メタンやベンゼンなどの炭
素を含むガスによるプラズマを発生させて、硬質カーボ
ン膜を形成するとよい。
添加すると潤滑性が増し、クロム(Cr),モリブデン
(Mo)又はタングステン(W)を添加すると硬度が増す。
また、真空槽内にガイドブッシュを配置した後、硬質カ
ーボン膜を形成する前に、アルゴン(Ar)や窒素(N
2)などのプラズマを発生させてガイドブッシュの円筒
内面をボンバードし、その後メタンやベンゼンなどの炭
素を含むガスによるプラズマを発生させて、硬質カーボ
ン膜を形成するとよい。
【0114】このように、不活性ガスによるボンバード
の前処理を行なうことにより、ガイドブッシュの円筒内
壁の温度が上昇して活性状態となる。同時に円筒内壁の
表面の不純物がたたき出され、表面がクリーニングされ
る。これらの効果により、プラズマVCD法によってガ
イドブッシュの内周面に形成される硬質カーボン膜の密
着性が一層向上する。
の前処理を行なうことにより、ガイドブッシュの円筒内
壁の温度が上昇して活性状態となる。同時に円筒内壁の
表面の不純物がたたき出され、表面がクリーニングされ
る。これらの効果により、プラズマVCD法によってガ
イドブッシュの内周面に形成される硬質カーボン膜の密
着性が一層向上する。
【0115】
【発明の効果】以上説明してきたように、この発明によ
るガイドブッシュを自動旋盤の回転型あるいは固定型の
ガイドブッシュ装置に使用することにより、被加工物に
対して切り込み量の大きな切削加工をキズの発生や焼き
付きを生ずることなく正常に行なうことができ、加工効
率を大幅に高められる。また、その耐久性の大幅な向上
により、連続加工可能な時間が長くなり、自動旋盤の稼
動効率も飛躍的に向上する。また、固定型のガイドブッ
シュ装置に使用することにより、加工精度(特に真円
度)の高い切削加工を効率よく行なうことができる。
るガイドブッシュを自動旋盤の回転型あるいは固定型の
ガイドブッシュ装置に使用することにより、被加工物に
対して切り込み量の大きな切削加工をキズの発生や焼き
付きを生ずることなく正常に行なうことができ、加工効
率を大幅に高められる。また、その耐久性の大幅な向上
により、連続加工可能な時間が長くなり、自動旋盤の稼
動効率も飛躍的に向上する。また、固定型のガイドブッ
シュ装置に使用することにより、加工精度(特に真円
度)の高い切削加工を効率よく行なうことができる。
【0116】また、この発明によるガイドブッシュの内
周面に硬質カーボン膜を形成する方法によれば、ガイド
ブッシュの被加工物と摺接する内周面にダイアモンドと
よく似た性質をもつ硬質カーボン膜(DLC)を、短時
間で密着性よく、開口端近傍部分には内部よりも厚い膜
厚で形成することができる。したがって、上述のように
自動旋盤のガイドブッシュ装置に有用な耐久性の高いガ
イドブッシュを生産性よく製造することができる。
周面に硬質カーボン膜を形成する方法によれば、ガイド
ブッシュの被加工物と摺接する内周面にダイアモンドと
よく似た性質をもつ硬質カーボン膜(DLC)を、短時
間で密着性よく、開口端近傍部分には内部よりも厚い膜
厚で形成することができる。したがって、上述のように
自動旋盤のガイドブッシュ装置に有用な耐久性の高いガ
イドブッシュを生産性よく製造することができる。
【図1】この発明によるガイドブッシュの一例を示す縦
断面図である。
断面図である。
【図2】同じくその外観を示す斜視図である。
【図3】この発明によるガイドブッシュの他の例を示す
縦断面図である。
縦断面図である。
【図4】図1に円Aで囲んで示す部分に相当する拡大断
面図である。
面図である。
【図5】図3に円Aで囲んで示す部分に相当する拡大断
面図である。
面図である。
【図6】図3に円Aで囲んで示す部分に相当する他の例
の拡大断面図である。
の拡大断面図である。
【図7】図5の一部をさらに拡大して中間層の構成例を
示す図である。
示す図である。
【図8】この発明によるガイドブッシュの内周面への硬
質カーボン膜形成方法を実施する第1の装置の概略断面
図である。
質カーボン膜形成方法を実施する第1の装置の概略断面
図である。
【図9】この発明によるガイドブッシュの内周面への硬
質カーボン膜形成方法を実施する第2の装置の概略断面
図である。
質カーボン膜形成方法を実施する第2の装置の概略断面
図である。
【図10】この発明によるガイドブッシュの内周面への
硬質カーボン膜形成方法を実施する第3の装置の概略断
面図である。
硬質カーボン膜形成方法を実施する第3の装置の概略断
面図である。
【図11】図8の実施形態に被覆部材を追加した場合の
図8と同様な断面図である。
図8と同様な断面図である。
【図12】この発明による硬質カーボン膜形成方法の他
の実施形態を示す図8と同様な概略断面図である。
の実施形態を示す図8と同様な概略断面図である。
【図13】図12の実施形態で使用するダミー部材の斜
視図である。
視図である。
【図14】この発明による硬質カーボン膜の形成方法の
他の実施形態を示す第9図と同様な概略断面図である。
他の実施形態を示す第9図と同様な概略断面図である。
【図15】この発明による硬質カーボン膜の形成方法の
他の実施形態を示す図10と同様な概略断面図である。
他の実施形態を示す図10と同様な概略断面図である。
【図16】この発明による硬質カーボン膜形成方法のさ
らに他の実施形態を示す図12と同様な概略断面図であ
る。
らに他の実施形態を示す図12と同様な概略断面図であ
る。
【図17】この発明による硬質カーボン膜形成方法の他
の実施形態を示す図14と同様な概略断面図である。
の実施形態を示す図14と同様な概略断面図である。
【図18】この発明による硬質カーボン膜形成方法の他
の実施形態を示す図15と同様な概略断面図である。
の実施形態を示す図15と同様な概略断面図である。
【図19】補助電極に印加する直流正電圧と形成される
硬質カーボン膜の膜厚との関係を示す線図である。
硬質カーボン膜の膜厚との関係を示す線図である。
【図20】補助電極の形状とその支持構造の具体例を示
す断面図である。
す断面図である。
【図21】他の形状の補助電極をガイドブッシュの中心
開口内に挿入した状態を示す断面図である。
開口内に挿入した状態を示す断面図である。
【図22】この発明によるガイドブッシュを用いる固定
型のガイドブッシュ装置を設けた自動旋盤の主軸近傍の
みを示す断面図である。
型のガイドブッシュ装置を設けた自動旋盤の主軸近傍の
みを示す断面図である。
【図23】この発明によるガイドブッシュを用いる回転
型のガイドブッシュ装置を設けた自動旋盤の主軸近傍の
みを示す断面図である。
型のガイドブッシュ装置を設けた自動旋盤の主軸近傍の
みを示す断面図である。
11:ガイドブッシュ 11a:外周テーパ面 11b:内周面 11c:すり割 11d:バネ部 11e:嵌合部 11f:ネジ部 11g:段差部 11h:端面 11j:中心開口 53:ダミー部材 61:真空槽 63:ガス導入孔 65:排気孔 67:マッチング回路 69:高周波電源 71:補助電極 73,73′:直流電源 75:アノード電源 77:フィラメント電源 79:アノード 80:絶縁支持具 81:フィラメント
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 戸井田 孝志 埼玉県所沢市大字下富字武野840番地 シチズン時計株式会社所沢事業所内 (72)発明者 関根 敏一 東京都田無市本町6丁目1番12号 シチ ズン時計株式会社田無製造所内 (56)参考文献 特開 平7−88709(JP,A) 特開 昭62−182278(JP,A) 特開 平8−225944(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23B 13/12 C23C 16/00 - 16/56 INSPEC(DIALOG)
Claims (11)
- 【請求項1】 軸方向に中心開口を有する略円筒状に形
成され、一端部に外周テーパ面と被加工物と摺接する内
周面と摺り割りとを有し、自動旋盤に装着されたとき、
前記中心開口に挿入された被加工物を切削工具の近くで
回転及び軸方向に摺動可能に保持するガイドブッシュで
あって、 前記被加工物と摺接する内周面に水素化アモルファス・
カーボンによる硬質カーボン膜が形成され、その硬質カ
ーボン膜の膜厚が該内周面の開口端近傍では内部よりも
厚くなっていることを特徴とするガイドブッシュ。 - 【請求項2】 前記硬質カーボン膜が、前記内周面に密
着性を高める中間層を介して形成されている請求項1記
載のガイドブッシュ。 - 【請求項3】 前記硬質カーボン膜が、前記内周面に超
硬部材を介して形成されている請求項1記載のガイドブ
ッシュ。 - 【請求項4】 前記硬質カーボン膜が、前記内周面に超
硬部材と該超硬部材上に形成された密着性を高める中間
層とを介して形成されている請求項1記載のガイドブッ
シュ。 - 【請求項5】 軸方向に中心開口を有する略円筒状に形
成され、一端部に外周テーパ面と被加工物と摺接する内
周面と摺り割りとを有し、自動旋盤に装着されたとき、
前記中心開口に挿入された被加工物を切削工具の近くで
回転及び軸方向に摺動可能に保持するガイドブッシュの
内周面に硬質カーボン膜を形成する方法であって、 前記ガイドブッシュを、ガス導入口及び排気口を備えた
真空槽内に配置し、 そのガイドブッシュの前記内周面を形成する中心開口内
に、先端部が他の部分より細い段付きロッド状の補助電
極を、その先端部が該ガイドブッシュの前記内周面の開
口端の近傍に位置するように挿入して、該補助電極を接
地電位に保ち、 前記真空槽内を排気した後、前記ガス導入口から炭素を
含むガスを該真空槽内に導入し、 前記真空槽内にプラズマを発生させて、プラズマCVD
法により前記ガイドブッシュの前記内周面に水素化アモ
ルファス・カーボンによる硬質カーボン膜を形成するこ
とを特徴とするガイドブッシュの内周面に硬質カーボン
膜を形成する方法。 - 【請求項6】 軸方向に中心開口を有する略円筒状に形
成され、一端部に外周テーパ面と被加工物と摺接する内
周面と摺り割りとを有し、自動旋盤に装着されたとき、
前記中心開口に挿入された被加工物を切削工具の近くで
回転及び軸方向に摺動可能に保持するガイドブッシュの
内周面に硬質カーボン膜を形成する方法であって、 前記ガイドブッシュを、ガス導入口及び排気口を備えた
真空槽内に配置し、 そのガイドブッシュの前記内周面を形成する中心開口内
に、先端部が他の部分より細い段付きロッド状の補助電
極を、その先端部が該ガイドブッシュの前記内周面の開
口端の近傍に位置するように挿入して、該補助電極に直
流正電圧を印加し、 前記真空槽内を排気した後、前記ガス導入口から炭素を
含むガスを該真空槽内に導入し、 前記真空槽内にプラズマを発生させて、プラズマCVD
法により前記ガイドブッシュの前記内周面に水素化アモ
ルファス・カーボンによる硬質カーボン膜を形成するこ
とを特徴とするガイドブッシュの内周面に硬質カーボン
膜を形成する方法。 - 【請求項7】 軸方向に中心開口を有する略円筒状に形
成され、一端部に外周テーパ面と被加工物と摺接する内
周面と摺り割りとを有し、自動旋盤に装着されたとき、
前記中心開口に挿入された被加工物を切削工具の近くで
回転及び軸方向に摺動可能に保持するガイドブッシュの
内周面に硬質カーボン膜を形成する方法であって、 前記ガイドブッシュを、ガス導入口及び排気口を備えた
真空槽内に配置し、 そのガイドブッシュの前記内周面を形成する中心開口内
に、先端部に先細りのテーパ部を形成したロッド状の補
助電極を、そのテーパ部の先端が該ガイドブッシュの前
記内周面の開口端近くに位置するように挿入して、該補
助電極を接地電位に保ち、 前記真空槽内を排気した後、前記ガス導入口から炭素を
含むガスを該真空槽内に導入し、 前記真空槽内にプラズマを発生させて、プラズマCVD
法により前記ガイドブッシュの前記内周面に水素化アモ
ルファス・カーボンによる硬質カーボン膜を形成するこ
とを特徴とするガイドブッシュの内周面に硬質カーボン
膜を形成する方法。 - 【請求項8】 軸方向に中心開口を有する略円筒状に形
成され、一端部に外周テーパ面と被加工物と摺接する内
周面と摺り割りとを有し、自動旋盤に装着されたとき、
前記中心開口に挿入された被加工物を切削工具の近くで
回転及び軸方向に摺動可能に保持するガイドブッシュの
内周面に硬質カーボン膜を形成する方法であって、 前記ガイドブッシュを、ガス導入口及び排気口を備えた
真空槽内に配置し、 そのガイドブッシュの前記内周面を形成する中心開口内
に、先端部に先細りのテーパ部を形成したロッド状の補
助電極を、そのテーパ部の先端が該ガイドブッシュの前
記内周面の開口端近くに位置するように挿入して、該補
助電極に直流正電圧を印加し、 前記真空槽内を排気した後、前記ガス導入口から炭素を
含むガスを該真空槽内に導入し、 前記真空槽内にプラズマを発生させて、プラズマCVD
法により前記ガイドブッシュの前記内周面に水素化アモ
ルファス・カーボンによる硬質カーボン膜を形成するこ
とを特徴とするガイドブッシュの内周面に硬質カーボン
膜を形成する方法。 - 【請求項9】 請求項5乃至8のいずれか一項に記載の
ガイドブッシュの内周面に硬質カーボン膜を形成する方
法において、 前記真空槽として、内部にアノードとフィラメントを備
えたものを使用し、 前記ガイドブッシュに直流電圧を印加するとともに、前
記アノードに直流電圧を、前記フィラメントに交流電圧
をそれぞれ印加して、前記真空槽内にプラズマを発生さ
せるようにしたガイドブッシュの内周面に硬質カーボン
膜を形成する方法。 - 【請求項10】 請求項5乃至8のいずれか一項に記載
のガイドブッシュの内周面に硬質カーボン膜を形成する
方法において、 前記ガイドブッシュに高周波電力を印加して、前記真空
槽内にプラズマを発生させるようにしたガイドブッシュ
の内周面に硬質カーボン膜を形成する方法。 - 【請求項11】 請求項5乃至8のいずれか一項に記載
のガイドブッシュの内周面に硬質カーボン膜を形成する
方法において、 前記ガイドブッシュに直流電圧を印加して、前記真空槽
内にプラズマを発生させるようにしたガイドブッシュの
内周面に硬質カーボン膜を形成する方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9222379A JP3043669B2 (ja) | 1996-08-19 | 1997-08-19 | ガイドブッシュおよびその内周面に硬質カーボン膜を形成する方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21735396 | 1996-08-19 | ||
JP8-217353 | 1996-08-19 | ||
JP9222379A JP3043669B2 (ja) | 1996-08-19 | 1997-08-19 | ガイドブッシュおよびその内周面に硬質カーボン膜を形成する方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10121248A JPH10121248A (ja) | 1998-05-12 |
JP3043669B2 true JP3043669B2 (ja) | 2000-05-22 |
Family
ID=26521974
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9222379A Expired - Fee Related JP3043669B2 (ja) | 1996-08-19 | 1997-08-19 | ガイドブッシュおよびその内周面に硬質カーボン膜を形成する方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3043669B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6070507B2 (ja) * | 2013-10-23 | 2017-02-01 | 株式会社デンソー | 硬質膜被覆刃具の製造方法 |
-
1997
- 1997-08-19 JP JP9222379A patent/JP3043669B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10121248A (ja) | 1998-05-12 |
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