JP2000024803A - ガイドブッシュおよびそのガイドブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法 - Google Patents

ガイドブッシュおよびそのガイドブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法

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JP2000024803A
JP2000024803A JP10188412A JP18841298A JP2000024803A JP 2000024803 A JP2000024803 A JP 2000024803A JP 10188412 A JP10188412 A JP 10188412A JP 18841298 A JP18841298 A JP 18841298A JP 2000024803 A JP2000024803 A JP 2000024803A
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杉山  修
Ryuta Koike
▲龍▼太 小池
Takashi Toida
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガイドブッシュ内周面に密着性よく硬質カー
ボン膜を形成するためのガイドブッシュの構造と、この
ガイドブッシュの開口内面に密着性よくしかも均一な膜
厚で硬質カーボン膜を形成することが可能な硬質カーボ
ン膜の形成方法とを提供する。 【解決手段】 外周テーパ面と摺り割りとネジ部とを備
えるガイドブッシュ11の内周面に超硬部材12を設
け、この超硬部材12上面のコバルトをエッチング除去
し凹凸を形成し、その上に表面15aが凹凸の硬質カー
ボン膜15を設けるガイドブッシュおよびそのガイドブ
ッシュへの硬質カーボン膜の形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動旋盤に設けて被
加工物を回転可能に支持する回転型や固定型のガイドブ
ッシュの構造と、このガイドブッシュへの硬質カーボン
膜を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動旋盤の自動旋盤コラムに設けて被加
工物を回転可能に支持するガイドブッシュの内周面は、
つねに被加工物と接触して、ともに回転したり、あるい
はその内周面で被加工物が回転したり、さらに軸方向に
摺動する。
【0003】この回転や摺動によって被加工物が接触す
るガイドブッシュの内周面に超硬部材やセラミックスを
設けるものが、たとえば特開平4−141303号公報
にて提案されている。耐摩耗性や耐熱性に優れる超硬部
材やセラミックスを内周面に設ける、この公報に記載の
ガイドブッシュにおいては、ある程度の摩耗を抑制する
効果は認められる。
【0004】しかしながらこの公報に記載のガイドブッ
シュにおいては、自動旋盤で切削量が大きく加工速度が
大きな重切削にたいして、超硬材料やセラミックスは大
きな摩擦係数や低い熱伝導率に起因して、被加工物にキ
ズが発生したり、ガイドブッシュと被加工物との直径方
向の隙間寸法が減少して焼き付きが発生する。
【0005】そこでガイドブッシュ内周面に設ける超硬
部材上面に硬質カーボン膜を被覆して、内周面の摩耗を
抑制することが提案されている。この硬質カーボン膜は
黒色状の被膜で、ダイヤモンドによく似た性質をもつ。
すなわち硬質カーボン膜は、高い機械的硬度や低い摩擦
係数や良好な電気的絶縁性や高い熱伝導率や高い耐腐食
性という優れた特性をもつ。
【0006】そのため装飾品や医療機器や磁気ヘッドや
工具になどに硬質カーボン膜を被覆することが提案され
実用化されている。そしてこの硬質カーボン膜は水素化
アモルファス・カーボン膜であり、前述のようにダイヤ
モンドとよく似た性質をもつため、ダイヤモンド・ライ
ク・カーボン膜(DLC)と呼ばれたり、あるいはi−
カーボン膜ともよばれている。
【0007】〔従来技術のガイドブッシュへの硬質カー
ボン膜の形成方法:図12〕プラスマ化学気相成長法を
用いた従来技術におけるガイドブッシュへの硬質カーボ
ン膜の形成方法を、図12を用いて説明する。図12は
従来技術における硬質カーボン膜の形成方法を示す断面
図である。
【0008】図12に示すように、ガス導入口63と排
気口65を有する真空槽61内に、硬質カーボン膜を形
成するガイドブッシュ11を配置する。このガイドブッ
シュ11は合金工具鋼(SKS)を用いて、外形形状と
内形形状とを形成後、焼き入れ処理と焼きもどし処理を
行っている。そして、このガイドブッシュ11内周面に
は超硬部材を設けている。
【0009】そしてこのガイドブッシュ11には、直流
電源73から直流電圧を印加する。さらにガイドブッシ
ュ11に対向するように配置するアノード79にはアノ
ード電源75から直流電圧を印加し、さらにフィラメン
ト81にはフィラメント電源77から交流電圧を印加す
る。
【0010】そして、排気口65から真空槽61内を図
示しない排気手段によって真空排気した後、ガス導入口
63から炭素を含むガスを真空槽61内に導入して、真
空槽61内にプラズマを発生させて、ガイドブッシュ1
1に硬質カーボン膜を形成している。
【0011】この図12に示す装置を用いる硬質カーボ
ン膜の形成方法においては、ガイドブッシュ11に印加
する直流電圧により発生するプラズマと、交流電圧を印
加するフィラメント81と直流電圧を印加するアノード
79とによって発生するプラズマとが発生する。
【0012】そして硬質カーボン膜を形成するときの真
空槽61内の圧力により、ガイドブッシュ11周囲のプ
ラズマか、フィラメント81とアノード79近傍のプラ
ズマかが主になって、硬質カーボン膜を形成している。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】図12を用いて説明し
た硬質カーボン膜の形成方法においては、真空槽61内
の圧力が3×10-3torr以上のときは、ガイドブッ
シュ11の周囲領域に発生するプラズマが主になって、
炭素を含むガスを分解して硬質カーボン膜を形成してい
る。
【0014】このときガイドブッシュ11の外周部には
硬質カーボン膜を均一性よく形成することができるが、
ガイドブッシュ11の開口内面に形成する硬質カーボン
膜は密着性が悪く、さらに硬度などの膜質が劣る。
【0015】これは、ガイドブッシュ11には同じ電位
が印加されており、開口内面は同電位の電極どうしが対
向している空間となり、その開口内面でのプラズマはホ
ロー放電と呼ばれる異常放電を発生する。
【0016】このホロー放電によって形成される硬質カ
ーボン膜は、ポリマーライクな密着性の悪い被膜であ
り、ガイドブッシュ11の開口内面から剥離しやすく、
その硬度も低い。
【0017】これにたいして真空槽61内部の圧力が3
×10-3torrより低いときは、ガイドブッシュ11
周囲のプラズマより、硬質カーボン膜の形成はフィラメ
ント81とアノード79近傍に発生するプラズマがおも
に寄与する。
【0018】このときガイドブッシュ11の外周部には
硬質カーボン膜を均一性よく形成することができるが、
ガイドブッシュ11の開口内面に形成する硬質カーボン
膜はガイドブッシュ11の長手方向で膜厚を均一に形成
することができない。
【0019】ここで、フィラメント81とアノード79
近傍に発生するプラズマでイオン化された炭素イオン
は、ガイドブッシュ11に印加する直流負電位に引っ張
られて堆積し、ガイドブッシュ11に硬質カーボン膜の
被膜形成を行っている。
【0020】前述の真空槽61内の圧力が3×10-3
orrより高いときは、硬質カーボン膜が化学気相成長
的に形成されるのにたいして、圧力が3×10-3tor
rより低いときは、硬質カーボン膜が物理気相成長的に
形成される。
【0021】このためにフィラメント81とアノード7
9近傍に発生するプラズマがおもに寄与する硬質カーボ
ン膜形成のときは、真空蒸着法などの物理気相成長法と
同様に、ガイドブッシュ11の開口内面には開口端面か
ら開口奥側に向かうにしたがって、硬質カーボン膜の膜
厚が薄くなる。この結果、ガイドブッシュ11の開口内
面に形成する硬質カーボン膜は、ガイドブッシュ11の
長手方向でその膜厚を均一に形成することができない。
【0022】さらに、内周面に形成した硬質カーボン膜
の耐久性を向上させて、ガイドブッシュの長期使用にた
いする信頼性を向上させることも要求されている。
【0023】〔発明の目的〕本発明の目的は、上記課題
を解決して、内周面に形成した硬質カーボン膜の耐久性
を向上させ、ガイドブッシュの長期使用にたいする信頼
性を向上させることが可能なガイドブッシュの構造と、
このガイドブッシュの開口内面に密着性よくしかも均一
な膜厚で硬質カーボン膜を形成することが可能な硬質カ
ーボン膜の形成方法とを提供することである。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明のガイドブッシュの構造とこのガイドブッシュ
への被膜の形成方法においては、下記記載の手段を採用
する。
【0025】本発明のガイドブッシュにおいては、軸方
向に貫通した中心開口を有しほぼ円筒状の形状をもち、
その長手方向の一端部に外周テーパ面とそれに弾力をも
たせるための摺り割りを形成し、他端部に自動旋盤のコ
ラムに取り付けるためのネジ部を有し、外周テーパ面を
形成した部分の内周に被加工物を保持するための内周面
を形成しており、自動旋盤に取り付けられることにより
中心開口に挿入された被加工物を、その被加工物を保持
する内周面によって切削工具の近くにて回転および軸方
向に摺動可能に保持し、被加工物と接触する内周面に硬
質カーボン膜を形成したガイドブッシュであって、その
硬質カーボン膜の表面は、凹凸であることを特徴とす
る。
【0026】本発明のガイドブッシュにおいては、軸方
向に貫通した中心開口を有しほぼ円筒状の形状をもち、
その長手方向の一端部に外周テーパ面とそれに弾力をも
たせるための摺り割りを形成し、他端部に自動旋盤のコ
ラムに取り付けるためのネジ部を有し、外周テーパ面を
形成した部分の内周に被加工物を保持するための内周面
を形成しており、自動旋盤に取り付けられることにより
中心開口に挿入された被加工物を、その被加工物を保持
する内周面によって切削工具の近くにて回転および軸方
向に摺動可能に保持し、その内周面に超硬部材を設け、
その超硬部材上に硬質カーボン膜を形成したガイドブッ
シュであって、その硬質カーボン膜の表面は、凹凸であ
ることを特徴とする。
【0027】本発明のガイドブッシュにおいては、軸方
向に貫通した中心開口を有しほぼ円筒状の形状をもち、
その長手方向の一端部に外周テーパ面とそれに弾力をも
たせるための摺り割りを形成し、他端部に自動旋盤のコ
ラムに取り付けるためのネジ部を有し、外周テーパ面を
形成した部分の内周に被加工物を保持するための内周面
を形成しており、自動旋盤に取り付けられることにより
中心開口に挿入された被加工物を、その被加工物を保持
する内周面によって切削工具の近くにて回転および軸方
向に摺動可能に保持し、その内周面に超硬部材を設け、
その超硬部材上に硬質カーボン膜を形成したガイドブッ
シュであって、その硬質カーボン膜が接する超硬部材の
表面は、凹凸であり、その超硬部材の表面の凹凸に倣う
ように硬質カーボン膜の表面は凹凸であることを特徴と
する。
【0028】本発明のガイドブッシュにおいては、軸方
向に貫通した中心開口を有しほぼ円筒状の形状をもち、
その長手方向の一端部に外周テーパ面とそれに弾力をも
たせるための摺り割りを形成し、他端部に自動旋盤のコ
ラムに取り付けるためのネジ部を有し、外周テーパ面を
形成した部分の内周に被加工物を保持するための内周面
を形成しており、自動旋盤に取り付けられることにより
中心開口に挿入された被加工物を、その被加工物を保持
する内周面によって切削工具の近くにて回転および軸方
向に摺動可能に保持し、その内周面にすくなくともコバ
ルトを含む超硬部材を設け、その超硬部材上に硬質カー
ボン膜を形成したガイドブッシュであって、その硬質カ
ーボン膜が接する超硬部材の表面は、コバルトが除去さ
れて凹凸であり、その超硬部材の表面の凹凸に倣うよう
に硬質カーボン膜の表面は凹凸であることを特徴とす
る。
【0029】本発明のガイドブッシュへの硬質カーボン
膜の形成方法は、軸方向に貫通した中心開口を有しほぼ
円筒状の形状をもち、その長手方向の一端部に外周テー
パ面とそれに弾力をもたせるための摺り割りを形成し、
他端部に自動旋盤のコラムに取り付けるためのネジ部を
有し、外周テーパ面を形成した部分の内周に被加工物を
保持するための内周面を形成しており、自動旋盤に取り
付けられることにより中心開口に挿入された被加工物
を、その被加工物を保持する内周面によって切削工具の
近くにて回転および軸方向に摺動可能に保持し、その内
周面にコバルトを含む超硬部材を設けるガイドブッシュ
への硬質カーボン膜の形成方法であって、その超硬部材
の表面をエッチングすることにより凹凸を形成する工程
と、ガイドブッシュの開口内面に接地電位と接続する補
助電極を挿入するようにガイドブッシュを真空槽内に配
置し、真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素を含
むガスを真空槽内に導入し、ガイドブッシュに直流電圧
を印加しアノードに直流電圧を印加しフィラメントに交
流電圧を印加してプラズマを発生させてガイドブッシュ
に硬質カーボン膜を形成する工程とを有することを特徴
とする。
【0030】本発明のガイドブッシュへの硬質カーボン
膜の形成方法は、軸方向に貫通した中心開口を有しほぼ
円筒状の形状をもち、その長手方向の一端部に外周テー
パ面とそれに弾力をもたせるための摺り割りを形成し、
他端部に自動旋盤のコラムに取り付けるためのネジ部を
有し、外周テーパ面を形成した部分の内周に被加工物を
保持するための内周面を形成しており、自動旋盤に取り
付けられることにより中心開口に挿入された被加工物
を、その被加工物を保持する内周面によって切削工具の
近くにて回転および軸方向に摺動可能に保持し、その内
周面にすくなくともコバルトを含む超硬部材を設けるガ
イドブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法であって、
その超硬部材の表面のコバルトをエッチングすることに
より凹凸を形成する工程と、ガイドブッシュの開口内面
に接地電位と接続する補助電極を挿入するようにガイド
ブッシュを真空槽内に配置し、真空槽内を排気した後、
ガス導入口から炭素を含むガスを真空槽内に導入し、ガ
イドブッシュに直流電圧を印加しアノードに直流電圧を
印加しフィラメントに交流電圧を印加してプラズマを発
生させてガイドブッシュに硬質カーボン膜を形成する工
程とを有することを特徴とする。
【0031】本発明のガイドブッシュへの硬質カーボン
膜の形成方法は、軸方向に貫通した中心開口を有しほぼ
円筒状形状をもち、その長手方向の一端部に外周テーパ
面とそれに弾力をもたせるための摺り割りを形成し、他
端部に自動旋盤のコラムに取り付けるためのネジ部を有
し、外周テーパ面を形成した部分の内周に被加工物を保
持するための内周面を形成しており、自動旋盤に取り付
けられることにより中心開口に挿入された被加工物を、
その被加工物を保持する内周面によって切削工具の近く
にて回転および軸方向に摺動可能に保持し、その内周面
に超硬部材を設けるガイドブッシュへの硬質カーボン膜
の形成方法であって、その超硬部材の表面をエッチング
することにより凹凸を形成する工程と、ガイドブッシュ
の開口内面に接地電位と接続する補助電極を挿入するよ
うにガイドブッシュを真空槽内に配置し、真空槽内を排
気した後、ガス導入口から炭素を含むガスを真空槽内に
導入し、ガイドブッシュに高周波電圧を印加し、プラズ
マを発生させてガイドブッシュに硬質カーボン膜を形成
する工程とを有することを特徴とする。
【0032】本発明のガイドブッシュへの硬質カーボン
膜の形成方法は、軸方向に貫通した中心開口を有しほぼ
円筒状形状をもち、その長手方向の一端部に外周テーパ
面とそれに弾力をもたせるための摺り割りを形成し、他
端部に自動旋盤のコラムに取り付けるためのネジ部を有
し、外周テーパ面を形成した部分の内周に被加工物を保
持するための内周面を形成しており、自動旋盤に取り付
けられることにより中心開口に挿入された被加工物を、
その被加工物を保持する内周面によって切削工具の近く
にて回転および軸方向に摺動可能に保持し、その内周面
にすくなくともコバルトを含む超硬部材を設けるガイド
ブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法であって、その
超硬部材の表面のコバルトをエッチングすることにより
凹凸を形成する工程と、ガイドブッシュの開口内面に接
地電位と接続する補助電極を挿入するようにガイドブッ
シュを真空槽内に配置し、真空槽内を排気した後、ガス
導入口から炭素を含むガスを真空槽内に導入し、ガイド
ブッシュに高周波電圧を印加し、プラズマを発生させて
ガイドブッシュに硬質カーボン膜を形成することを特徴
とする。
【0033】本発明のガイドブッシュへの硬質カーボン
膜の形成方法は、軸方向に貫通した中心開口を有しほぼ
円筒状形状をもち、その長手方向の一端部に外周テーパ
面とそれに弾力をもたせるための摺り割りを形成し、他
端部に自動旋盤のコラムに取り付けるためのネジ部を有
し、外周テーパ面を形成した部分の内周に被加工物を保
持するための内周面を形成しており、自動旋盤に取り付
けられることにより中心開口に挿入された被加工物を、
その被加工物を保持する内周面によって切削工具の近く
にて回転および軸方向に摺動可能に保持し、その内周面
に超硬部材を設けるガイドブッシュへの硬質カーボン膜
の形成方法であって、その超硬部材の表面をエッチング
することにより凹凸を形成する工程と、ガイドブッシュ
の開口内面に接地電位と接続する補助電極を挿入するよ
うにガイドブッシュを真空槽内に配置し、真空槽内を排
気した後、ガス導入口から炭素を含むガスを真空槽内に
導入し、ガイドブッシュに直流電圧を印加し、プラズマ
を発生させてガイドブッシュに硬質カーボン膜を形成す
る工程とを有することを特徴とする。
【0034】本発明のガイドブッシュへの硬質カーボン
膜の形成方法は、軸方向に貫通した中心開口を有しほぼ
円筒状形状をもち、その長手方向の一端部に外周テーパ
面とそれに弾力をもたせるための摺り割りを形成し、他
端部に自動旋盤のコラムに取り付けるためのネジ部を有
し、外周テーパ面を形成した部分の内周に被加工物を保
持するための内周面を形成しており、自動旋盤に取り付
けられることにより中心開口に挿入された被加工物を、
その被加工物を保持する内周面によって切削工具の近く
にて回転および軸方向に摺動可能に保持し、その内周面
にすくなくともコバルトを含む超硬部材を設けるガイド
ブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法であって、その
超硬部材の表面のコバルトをエッチングすることにより
凹凸を形成する工程と、ガイドブッシュの開口内面に接
地電位と接続する補助電極を挿入するようにガイドブッ
シュを真空槽内に配置し、真空槽内を排気した後、ガス
導入口から炭素を含むガスを真空槽内に導入し、ガイド
ブッシュに直流電圧を印加し、プラズマを発生させてガ
イドブッシュに硬質カーボン膜を形成する工程とを有す
ることを特徴とする。
【0035】本発明のガイドブッシュへの硬質カーボン
膜の形成方法は、軸方向に貫通した中心開口を有しほぼ
円筒状形状をもち、その長手方向の一端部に外周テーパ
面とそれに弾力をもたせるための摺り割りを形成し、他
端部に自動旋盤のコラムに取り付けるためのネジ部を有
し、外周テーパ面を形成した部分の内周に被加工物を保
持するための内周面を形成しており、自動旋盤に取り付
けられることにより中心開口に挿入された被加工物を、
その被加工物を保持する内周面によって切削工具の近く
にて回転および軸方向に摺動可能に保持し、その内周面
に超硬部材を設けるガイドブッシュへの硬質カーボン膜
の形成方法であって、その超硬部材の表面をエッチング
することにより凹凸を形成する工程と、ガイドブッシュ
の開口内面に直流正電圧と接続する補助電極を挿入する
ようにガイドブッシュを真空槽内に配置し、真空槽内を
排気した後、ガス導入口から炭素を含むガスを真空槽内
に導入し、ガイドブッシュに直流電圧を印加しアノード
に直流電圧を印加しフィラメントに交流電圧を印加して
プラズマを発生させてガイドブッシュに硬質カーボン膜
を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0036】本発明のガイドブッシュへの硬質カーボン
膜の形成方法は、軸方向に貫通した中心開口を有しほぼ
円筒状形状をもち、その長手方向の一端部に外周テーパ
面とそれに弾力をもたせるための摺り割りを形成し、他
端部に自動旋盤のコラムに取り付けるためのネジ部を有
し、外周テーパ面を形成した部分の内周に被加工物を保
持するための内周面を形成しており、自動旋盤に取り付
けられることにより中心開口に挿入された被加工物を、
その被加工物を保持する内周面によって切削工具の近く
にて回転および軸方向に摺動可能に保持し、その内周面
にすくなくともコバルトを含む超硬部材を設けるガイド
ブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法であって、その
超硬部材の表面のコバルトをエッチングすることにより
凹凸を形成する工程と、ガイドブッシュの開口内面に直
流正電圧と接続する補助電極を挿入するようにガイドブ
ッシュを真空槽内に配置し、真空槽内を排気した後、ガ
ス導入口から炭素を含むガスを真空槽内に導入し、ガイ
ドブッシュに直流電圧を印加しアノードに直流電圧を印
加しフィラメントに交流電圧を印加してプラズマを発生
させてガイドブッシュに硬質カーボン膜を形成すること
を特徴とする。
【0037】本発明のガイドブッシュへの硬質カーボン
膜の形成方法は、軸方向に貫通した中心開口を有しほぼ
円筒状形状をもち、その長手方向の一端部に外周テーパ
面とそれに弾力をもたせるための摺り割りを形成し、他
端部に自動旋盤のコラムに取り付けるためのネジ部を有
し、外周テーパ面を形成した部分の内周に被加工物を保
持するための内周面を形成しており、自動旋盤に取り付
けられることにより中心開口に挿入された被加工物を、
その被加工物を保持する内周面によって切削工具の近く
にて回転および軸方向に摺動可能に保持し、その内周面
に超硬部材を設けるガイドブッシュへの硬質カーボン膜
の形成方法であって、その超硬部材の表面をエッチング
することにより凹凸を形成する工程と、ガイドブッシュ
の開口内面に直流正電圧と接続する補助電極を挿入する
ようにガイドブッシュを真空槽内に配置し、真空槽内を
排気した後、ガス導入口から炭素を含むガスを真空槽内
に導入し、ガイドブッシュに高周波電圧を印加し、プラ
ズマを発生させてガイドブッシュに硬質カーボン膜を形
成する工程とを有することを特徴とする。
【0038】本発明のガイドブッシュへの硬質カーボン
膜の形成方法は、軸方向に貫通した中心開口を有しほぼ
円筒状形状をもち、その長手方向の一端部に外周テーパ
面とそれに弾力をもたせるための摺り割りを形成し、他
端部に自動旋盤のコラムに取り付けるためのネジ部を有
し、外周テーパ面を形成した部分の内周に被加工物を保
持するための内周面を形成しており、自動旋盤に取り付
けられることにより中心開口に挿入された被加工物を、
その被加工物を保持する内周面によって切削工具の近く
にて回転および軸方向に摺動可能に保持し、その内周面
にすくなくともコバルトを含む超硬部材を設けるガイド
ブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法であって、その
超硬部材の表面のコバルトをエッチングすることにより
凹凸を形成する工程と、ガイドブッシュの開口内面に直
流正電圧と接続する補助電極を挿入するようにガイドブ
ッシュを真空槽内に配置し、真空槽内を排気した後、ガ
ス導入口から炭素を含むガスを真空槽内に導入し、ガイ
ドブッシュに高周波電圧を印加し、プラズマを発生させ
てガイドブッシュに硬質カーボン膜を形成する工程とを
有することを特徴とする。
【0039】本発明のガイドブッシュへの硬質カーボン
膜の形成方法は、軸方向に貫通した中心開口を有しほぼ
円筒状形状をもち、その長手方向の一端部に外周テーパ
面とそれに弾力をもたせるための摺り割りを形成し、他
端部に自動旋盤のコラムに取り付けるためのネジ部を有
し、外周テーパ面を形成した部分の内周に被加工物を保
持するための内周面を形成しており、自動旋盤に取り付
けられることにより中心開口に挿入された被加工物を、
その被加工物を保持する内周面によって切削工具の近く
にて回転および軸方向に摺動可能に保持し、その内周面
に超硬部材を設けるガイドブッシュへの硬質カーボン膜
の形成方法であって、その超硬部材の表面をエッチング
することにより凹凸を形成する工程と、ガイドブッシュ
の開口内面に直流正電圧と接続する補助電極を挿入する
ようにガイドブッシュを真空槽内に配置し、真空槽内を
排気した後、ガス導入口から炭素を含むガスを真空槽内
に導入し、ガイドブッシュに直流電圧を印加し、プラズ
マを発生させてガイドブッシュに硬質カーボン膜を形成
する工程とを有することを特徴とする。
【0040】本発明のガイドブッシュへの硬質カーボン
膜の形成方法は、軸方向に貫通した中心開口を有しほぼ
円筒状形状をもち、その長手方向の一端部に外周テーパ
面とそれに弾力をもたせるための摺り割りを形成し、他
端部に自動旋盤のコラムに取り付けるためのネジ部を有
し、外周テーパ面を形成した部分の内周に被加工物を保
持するための内周面を形成しており、自動旋盤に取り付
けられることにより中心開口に挿入された被加工物を、
その被加工物を保持する内周面によって切削工具の近く
にて回転および軸方向に摺動可能に保持し、その内周面
にすくなくともコバルトを含む超硬部材を設けるガイド
ブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法であって、その
超硬部材の表面のコバルトをエッチングすることにより
凹凸を形成する工程と、ガイドブッシュの開口内面に直
流正電圧と接続する補助電極を挿入するようにガイドブ
ッシュを真空槽内に配置し、真空槽内を排気した後、ガ
ス導入口から炭素を含むガスを真空槽内に導入し、ガイ
ドブッシュに直流電圧を印加し、プラズマを発生させて
ガイドブッシュに硬質カーボン膜を形成する工程とを有
することを特徴とする。
【0041】〔作用〕自動旋盤のガイドブッシュ装置に
設けて被加工物を回転可能に支持する本発明のガイドブ
ッシュは、その内周面に硬質カーボン膜を設けるとき、
被加工物と接触する硬質カーボン膜の表面を凹凸とする
構成を採用する。あるいは、本発明のガイドブッシュ
は、その内周面に超硬部材を設け、その超硬部材上面に
硬質カーボン膜を設けるとき、被加工物と接触する硬質
カーボン膜の表面を凹凸とする構成を採用する。このた
めに、ガイドブッシュ内周面と被加工物とのあいだに供
給する油を表面凹凸を有する硬質カーボン膜の凹部に保
持することが可能となる。したがって、被加工物がガイ
ドブッシュ内周面の摩擦係数を低減し、なめらかに回転
および軸方向に摺動でき、さらに被加工物へのキズの発
生を抑え、そのうえガイドブッシュと被加工物との焼き
付きの発生を防止できる。
【0042】さらに、この被加工物と接触する硬質カー
ボン膜表面を凹凸面とすると、従来技術の凹凸面を形成
しない硬質カーボン膜と比較して、この硬質カーボン膜
と被加工物との接触面積は、少なくすることができる。
したがって、硬質カーボン膜の具備する優れた特性であ
る、低い摩擦係数をなおいっそう助長することが可能と
なる。
【0043】この結果、ガイドブッシュの内周面で回転
し軸方向に摺動する被加工物と、硬質カーボン膜との接
触抵抗が低減し、硬質カーボン膜の摩耗を抑制すること
ができる。したがって、本発明のガイドブッシュでは、
内周面に形成した硬質カーボン膜の耐久性を向上させる
ことができ、ガイドブッシュの長期使用にたいする信頼
性を大幅に向上させることが可能となる。
【0044】さらに本発明のガイドブッシュでは、タン
グステン(W)と炭素(C)とコバルト(Co)とのか
らなる超硬部材の硬質カーボン膜と接触する表面のコバ
ルト(Co)を除去する構成を採用している。そして、
このコバルト(Co)を除去した超硬部材上面に硬質カ
ーボン膜を設ける。
【0045】従来の技術において、超硬部材にたいする
硬質カーボン膜の密着性が悪い原因は、超硬部材を焼結
処理によって形成するとき、バインダーとして機能する
コバルトが原因であると、発明者らは実験によってその
知見を得た。このコバルトと硬質カーボン膜との密着性
が悪い原因はよくわからないが、その原因のひとつとし
て考えられるのは、コバルトが酸化して、その表面に密
着性が劣る酸化膜が形成されて、硬質カーボン膜がガイ
ドブッシュ内周面から剥離していると推察している。
【0046】このように、本発明におけるガイドブッシ
ュは、硬質カーボン膜と接触する超硬部材表面の、密着
性に悪影響を及ぼすコバルトを除去している。このため
本発明の硬質カーボン膜は、超硬部材に密着性よく形成
することが可能となり、剥離するという問題点は発生し
ない。したがって、ガイドブッシュの使用寿命を従来よ
り大幅に延ばすことができ、長期使用にたいする信頼性
を向上させることが可能となる。
【0047】さらに、硬質カーボン膜と接触する超硬部
材表面のコバルトを除去する前と、除去したのちとの表
面状態を、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した。
【0048】超硬部材表面のコバルトを除去する前の面
は、この超硬部材の内周面の研磨加工を行った加工痕が
観察された。これにたいして超硬部材表面のコバルトを
除去したのちの面は、その加工痕が観察されなかった。
【0049】またさらに、肉眼で超硬部材表面を観察し
ても、その差は歴然としていた。すなわち、超硬部材表
面のコバルトを除去する前の面は、研磨面で鏡面状態で
あったのにたいして、超硬部材表面のコバルトを除去し
たのちの面は、鏡面ではなく梨地状態であった。
【0050】これは、硬質カーボン膜と接触する超硬部
材表面のコバルトを除去すると、このコバルトはバイン
ダーとして機能していたので、このバインダーと焼結処
理によって結合していたタングステンや炭素も剥落し、
前述のように、加工痕が観察されず、また梨地状態とな
っている。
【0051】このように、硬質カーボン膜と接触する超
硬部材表面の加工痕が消滅し観察されないことと、梨地
状態となっていることから、さらに一層硬質カーボン膜
の密着性が向上する。とくに加工痕については、その加
工痕箇所に形成される硬質カーボン膜は、その箇所に伸
長や圧縮などの膜ストレスが発生しており、この膜スト
レスにより、硬質カーボン膜の密着性不良が発生してい
たと考えており、この加工痕が消滅したことによって、
膜ストレスに起因する密着性が劣化するという現象は発
生しない。この結果、本発明のガイドブッシュにおいて
は、硬質カーボン膜が剥離するという現象は発生せず、
したがって、ガイドブッシュの使用寿命を従来より大幅
に延ばすことができ、長期使用にたいする信頼性が向上
する。
【0052】この硬質カーボン膜は、黒色状の被膜であ
り、ダイヤモンドによく似た性質をもつ。すなわち硬質
カーボン膜は、高い機械的硬度や低い摩擦係数や良好な
電気的絶縁性や高い熱伝導率や高い耐腐食性という優れ
た特性をもつ。このため本発明のガイドブッシュは、切
削量が大きく加工速度が大きな重切削加工において、被
加工物と接触する内周面の摩耗を抑えることができ、被
加工物へのキズの発生を抑えることが可能となり、さら
にガイドブッシュと被加工物との焼き付きの発生を抑制
することができる。
【0053】さらに本発明のガイドブッシュは、その内
周面に硬度の高い超硬部材を介して硬質カーボン膜を設
けている。このように硬質カーボン膜の下層に硬度の高
い超硬部材を設けると、局所的な硬質カーボン膜の剥離
や摩耗を抑制することができ、ガイドブッシュの長期使
用に対する信頼性を向上させることができる。
【0054】本発明のガイドブッシュへの硬質カーボン
膜の形成方法においては、ガイドブッシュの開口内面の
開口の中央部に、接地電位に接続する補助電極を配置し
て硬質カーボン膜を形成する。そしてガイドブッシュに
は、負の直流電圧あるいは高周波電圧を印加する。
【0055】その結果、同電位の電極どうしが対向して
いるガイドブッシュ開口内面に、接地電位に接続する補
助電極を設けることとなり、同電位どうしが対向するこ
とがなくなる。このような電位状態は、プラスマ化学気
相成長法にとって最も望ましい状態であり、ホロー放電
は発生しない。そのため、密着性の良好な硬質カーボン
膜をガイドブッシュに形成することができる。
【0056】そのうえ本発明の硬質カーボン膜の形成方
法においては、前述のようにガイドブッシュの開口内面
に補助電極を配置しており、ガイドブッシュの長手方向
の開口内面で、電位特性が均一になる。この結果、ガイ
ドブッシュの開口内面に形成する硬質カーボン膜の膜厚
分布の発生がなく、開口端面と開口奥側とで均一な膜厚
を形成することができるという効果ももつ。
【0057】さらに本発明の硬質カーボン膜の形成方法
においては、ガイドブッシュの開口内面の中央部に設け
る補助電極に、補助電極電源からの直流の正電圧を印加
して硬質カーボン膜を形成している。このため、直流正
電圧を印加する補助電極の周囲領域に電子を集める効果
を生じ、この補助電極の周囲領域は電子密度が高くな
る。
【0058】このように電子密度が高くなると、必然的
に炭素を含むガス分子と電子との衝突確率が増え、ガス
分子のイオン化が促進されて、その補助電極の周囲領域
のプラズマ密度が高くなる。このため補助電極に直流の
正電圧を印加して硬質カーボン膜を形成する本発明の硬
質カーボン膜の形成方法においては、硬質カーボン膜の
膜形成速度は、補助電極に直流の正電圧を印加しないと
きと比らべて高くなる。
【0059】さらにガイドブッシュの開口大きさが小さ
くなり、開口内面と補助電極との隙間寸法が小さくなる
と、補助電極に直流の正電圧を印加しないで硬質カーボ
ン膜を形成すると、開口内面にはプラズマは発生せず、
被膜形成できない。これにたいして本発明の硬質カーボ
ン膜の形成方法においては、開口内面に配置する補助電
極に補助電極電源から直流正電圧を印加して電子を強制
的に補助電極の周囲領域の開口内面に集めているので、
補助電極の周囲にプラズマを発生させることができる。
【0060】したがって、直流の正電圧を印加しない補
助電極を用いる硬質カーボン膜の形成方法では、被膜形
成できない開口大きさが小さい試料にも、直流の正電圧
を印加する補助電極を用いる本発明の硬質カーボン膜の
形成方法を適用すれば被膜形成が可能となる。
【0061】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明を実施
するための最良の実施の形態におけるガイドブッシュの
構造と、このガイドブッシュへの硬質カーボン膜の形成
方法とを説明する。
【0062】〔自動旋盤の構造説明:図6〕本発明の実
施形態におけるガイドブッシュの構造と、このガイドブ
ッシュへの硬質カーボン膜の形成方法を説明する前に、
このガイドブッシュを適用する数値制御自動旋盤の主軸
近傍を示す図6を用いて、ガイドブッシュを適用するガ
イドブッシュ装置の構成を説明する。図6はガイドブッ
シュ装置として、ガイドブッシュを固定してこのガイド
ブッシュの内周面で被加工物が回転する状態で使用する
固定型のガイドブッシュ装置を示す断面図である。
【0063】主軸台17は図示しない数値制御自動旋盤
のベッド(図示せず)上を、図6の左右方向に摺動可能
となっている。この主軸台17には、軸受21によって
回転可能な状態で支持された主軸19を設けている。そ
してこの主軸19の先端部には、コレットチャック13
を取り付けている。
【0064】このコレットチャック13は、チャックス
リーブ41の中心穴内に配置する。そしてコレットチャ
ック13の先端の外周テーパ面13aと、チャックスリ
ーブ41の内周テーパ面41aとが互いに面接触してい
る。
【0065】さらに中間スリーブ29内のコレットチャ
ック13の後端部にスプリング25を設ける。そして、
このスプリング25の弾性力の働きによって、中間スリ
ーブ29内からコレットチャック13を押し出すことが
できる。
【0066】コレットチャック13の先端位置は、主軸
19の先端にネジ固定するキャップナット27に接触し
て、その位置を規制している。このキャップナット27
を設けることによって、コレットチャック13がスプリ
ング25のバネ力によって、中間スリーブ29から飛び
出すことを防止している。
【0067】中間スリーブ29の後端部には、この中間
スリーブ29を介してチャック開閉機構31を設ける。
そして、チャック開閉爪33を開閉動作することによっ
て、コレットチャック13は開閉し、被加工物51を把
持したり解放したりすることができる。
【0068】すなわち、チャック開閉機構31のチャッ
ク開閉爪33の先端部が相互に開くように移動すると、
チャック開閉爪33の中間スリーブ29の接触している
部分が、図5の左方向に移動して中間スリーブ29を左
方向に押す。この中間スリーブ29の左方向への移動に
より、中間スリーブ29の左端に接触しているチャック
スリーブ41が左方向に移動する。
【0069】そしてコレットチャック13は、前述のよ
うに主軸19の先端にネジ止めしているキャップナット
27により、主軸19から前方に飛び出すことを防止し
ている。このため、このチャックスリーブ41の左方向
への移動によって、コレットチャック13の外周テーパ
13aと、チャックスリーブ41の内周テーパ41aと
が強く押されてテーパ面に沿って移動することになる。
この結果、コレットチャック13の内周面の直径寸法が
小さくなって、被加工物51を把持することができる。
【0070】コレットチャック13の内周面の直径寸法
を大きくして被加工物51を解放するときは、チャック
開閉爪33の先端部が相互に閉じるように移動すること
によって、チャックスリーブ41を左方向に押す力を除
く。するとスプリング25の復元力によって中間スリー
ブ29とチャックスリーブ41とが、図6の右方向に移
動する。
【0071】このため、コレットチャック13の外周テ
ーパ面13aと、チャックスリーブ41の内周テーパ面
41aとの押圧力が除かれることになる。この結果、コ
レットチャック13は自己のもつ弾性力で内周面の直径
が大きくなり、被加工物51を解放することができる。
【0072】さらに主軸台17の前方には、コラム35
の主軸中心線上に配置する固定型のガイドブッシュ装置
37を設ける。図6に示すガイドブッシュ装置37は、
前述のようにガイドブッシュ11を固定してこのガイド
ブッシュ11の内周面11bで被加工物51を回転する
状態で使用する固定型のガイドブッシュ装置37であっ
て、コラム35に固定したホルダ39の中心穴には、ブ
ッシュスリーブ23を配置している。このブッシュスリ
ーブ23の先端部には内周テーパ面23aを設ける。
【0073】そしてこのブッシュスリーブ23の中心穴
には、先端に外周テーパ面11aを形成したガイドブッ
シュ11を配置している。
【0074】ガイドブッシュ装置37の後端部に設ける
調整ナット43を回転することによって、ガイドブッシ
ュ11の内径と被加工物51の外形との隙間寸法を調整
することができる。これは調整ナット43を回転させる
と、ブッシュスリーブ23の内周テーパ面23aとガイ
ドブッシュ11の外周テーパ面11aは、コレットチャ
ック13と同様に内周テーパ面23aと外周テーパ面1
1aとが相互に押圧されてガイドブッシュ11の内径が
小さくなるためである。
【0075】ガイドブッシュ装置37のさらに前方に
は、切削工具45を設ける。そして、被加工物51を主
軸19のコレットチャック13で把持し、ガイドブッシ
ュ装置37で支持し、しかもこのガイドブッシュ装置3
7を貫通して加工領域に突き出した被加工物51を、切
削工具45の前進後退と主軸台17の移動との合成運動
によって所定の形状に切削加工を行う。
【0076】〔回転型のガイドブッシュ装置の構成説
明:図7〕つぎに被加工物を把持するガイドブッシュを
回転する状態で使用する回転型のガイドブッシュ装置の
構成を、図7を用いて説明する。図7は回転型のガイド
ブッシュ装置の構成を示す断面図である。なお図7にお
いて、図6の構成と同一箇所には同一符号を付けてあ
る。
【0077】この回転型のガイドブッシュ装置として
は、コレットチャック13とガイドブッシュ11とが同
期して回転するガイドブッシュ装置と、同期しないで回
転するガイドブッシュ装置とがある。図7に示すガイド
ブッシュ装置37は、コレットチャック13とガイドブ
ッシュ11とが同期して回転する回転型のガイドブッシ
ュ装置37を示す。
【0078】回転型のガイドブッシュ装置37は、主軸
19のキャップナット27から突き出した回転駆動棒4
7によって、ガイドブッシュ装置37を駆動する。この
回転駆動棒47により駆動する他にも、歯車やベルトプ
ーリによってガイドブッシュ装置37を駆動するものも
ある。
【0079】この回転型のガイドブッシュ装置37は、
コラム35に固定するホルダ39の中心穴に、軸受21
を介して回転可能な状態にブッシュスリーブ23を配置
している。さらに、このブッシュスリーブ23の中心穴
にガイドブッシュ11を配置している。
【0080】ブッシュスリーブ23とガイドブッシュ1
1とは、図5を用いて説明した構成と同じ構造である。
そしてガイドブッシュ装置37の後端部に設ける調整ナ
ット43を回転することによって、ガイドブッシュ11
の内径寸法を小さくして、ガイドブッシュ11の内径と
被加工物51の外形との隙間寸法を調整することができ
る。
【0081】図7を用いて説明したガイドブッシュ装置
は、ガイドブッシュ装置37が回転型である以外の構成
は、図6を用いて説明した構成と同じであるので、構成
とその動作の説明は省略する。
【0082】〔ガイドブッシュの構造説明:図2〕つぎ
に本発明の実施形態における硬質カーボン膜を形成する
ガイドブッシュの構造を、図2を用いて説明する。以上
の説明から明らかなように、固定型のガイドブッシュと
回転型のガイドブッシュとは、ほぼ同じ構造をもち、同
じように動作する。
【0083】図2は本発明の実施形態におけるガイドブ
ッシュを示す断面図であり、この図2に示すガイドブッ
シュは開いた自由な状態を示す。図2に示すように、ガ
イドブッシュ11は長手方向の一端の外周部に外周テー
パ面11aをもち、他端の外周部にネジ部11fをも
つ。
【0084】さらにガイドブッシュ11の中心には開口
径が異なる貫通した開口を設ける。そして外周テーパ面
11aを設ける側の内周に、被加工物51を保持する内
周面11bをもつ。そしてこの内周面11b以外の領域
には、内周面11bの内径寸法より大きな内径寸法をも
つ段差部11gとなっている。
【0085】さらにガイドブッシュ11には外周テーパ
面11aからバネ部11dにまで、摺り割り11cを設
ける。この摺り割り11cは、角度120゜間隔で3箇
所に設けている。
【0086】そしてブッシュスリーブの内周テーパ面に
ガイドブッシュ11の外周テーパ面11aを押圧するこ
とによって、バネ部11dが撓み、内周面11bと被加
工物51との隙間寸法を調整することができる。
【0087】さらにガイドブッシュ11には、バネ部1
1dとネジ部11fとの間に嵌合部11eを設ける。そ
してこの嵌合部11eによって、ガイドブッシュ11
は、主軸の中心線上でしかも主軸中心線に平行に配置す
ることができる。
【0088】このガイドブッシュ11材料としては合金
工具鋼(SKS)を用いる。そして外形形状と内形形状
とを形成後、焼き入れと焼きもどし処理とを行なってい
る。さらにガイドブッシュ11の内周面11bには、肉
厚が2mmから5mmの寸法を有する超硬部材をロウ付
け手段により固着して、超硬部材12とする。この超硬
部材は、日本工業規格(JIS)のG種2号が多く使用
されている。このG種2号の超硬部材12の化学成分
は、タングステン(W)が87%から90%と、炭素
(C)が5%から7%と、バインダーとしてコバルト
(Co)が5%から7%の組成である。
【0089】そしてガイドブッシュ11は、このガイド
ブッシュ11が開いた状態では、内周面11bと被加工
物51との半径方向では5μmから10μmの隙間を設
けている。このため被加工物51が出入りすることによ
る、ガイドブッシュ11の内周面11bの摩耗が問題と
なる。さらにまた、ガイドブッシュ11は、前述のよう
に、内周面11bと被加工物51との間で高速摺動し、
しかも切削負荷による内周面11bへの過大な被加工物
51の押圧力によって焼き付きを発生させる問題点があ
る。
【0090】〔ガイドブッシュの構造説明:図1〕そこ
で本発明のガイドブッシュ11は、図1に示すような構
造を採用する。図1は本発明の実施形態におけるガイド
ブッシュの内周面を拡大して示す断面図である。なおこ
の図1においては、硬質カーボン膜15と超硬部材12
との厚さの比率は1000倍以上相違しており、この図
面では超硬部材12の厚さは硬質カーボン膜15に比ら
べて薄く図示している。
【0091】図1に示すように、ガイドブッシュ11の
内周面11b(図2参照)の被加工物51と接触する面
には、本発明の特徴点である硬質カーボン膜15を設け
る。そこで本発明のガイドブッシュは、その内周面11
bに硬質カーボン膜15を設けるとき、被加工物51と
接触する硬質カーボン膜15の表面15aを凹凸とする
構成を採用する。
【0092】このように被加工物51と接触する硬質カ
ーボン膜15の表面15aを凹凸面とすると、従来技術
の凹凸面を形成しない硬質カーボン膜と比較して、この
硬質カーボン膜15の表面15aと被加工物51との接
触面積は、減少させることができる。したがって、硬質
カーボン膜15の具備する優れた特性である、低い摩擦
係数をなおいっそう助長することが、本発明のガイドブ
ッシュでは可能となる。
【0093】この結果、ガイドブッシュ11の内周面1
1bで回転し軸方向に摺動する被加工物51と、硬質カ
ーボン膜15との接触抵抗が低減し、硬質カーボン膜1
5の摩耗を抑制することができる。したがって、本発明
のガイドブッシュ11では、内周面11bに形成した硬
質カーボン膜15の耐久性を向上させることができ、ガ
イドブッシュの長期使用にたいする信頼性を大幅に向上
させることが可能となる。
【0094】さらに本発明のガイドブッシュでは、超硬
部材12表面の硬質カーボン膜15と接触する面は、こ
の超硬部材12の構成材料のうち、バインダーとして機
能するコバルト(Co)を選択的に除去して、超硬部材
12の表面を凹凸面としている。そしてこの超硬部材1
2表面の凹凸に倣うように、硬質カーボン膜15の表面
15aを凹凸にしている。すなわち、このコバルト(C
o)を除去した超硬部材12上面に硬質カーボン膜15
を設ける。
【0095】従来の技術において、超硬部材12にたい
する硬質カーボン膜15の密着性が悪い原因は、超硬部
材12を焼結処理によって形成するとき、バインダーと
して機能するコバルトが原因であるとの知見を発明者ら
は実験によって得た。このコバルトと硬質カーボン膜1
5との密着性が悪い原因は、よくわからないが、その原
因のひとつとして、コバルトが酸化されて、その表面に
密着性に劣る酸化膜が形成されるためであると、発明者
らは推察している。
【0096】このように、本発明におけるガイドブッシ
ュ11は、硬質カーボン膜15と接触する超硬部材12
表面の、密着性に悪影響を及ぼすコバルトを除去してい
る。このため本発明の硬質カーボン膜15は、超硬部材
12に密着性よく形成することが可能となり、剥離する
という問題点は発生しない。したがって、ガイドブッシ
ュの使用寿命を従来より大幅に延ばすことができ、長期
使用にたいする信頼性を向上させることが可能となる。
【0097】さらに、硬質カーボン膜15と接触する超
硬部材12表面のコバルトを除去する前と、除去したの
ちとの表面状態を、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観
察した。
【0098】超硬部材12表面のコバルトを除去する前
の面は、この超硬部材12の内周面の研磨加工を行った
加工痕が観察された。これにたいして超硬部材12表面
のコバルトを除去したのちの面は、その加工痕が観察さ
れなかった。
【0099】また、肉眼で超硬部材12表面を観察して
も、その差は歴然としていた。すなわち、超硬部材12
表面のコバルトを除去する前の面は、研磨面で鏡面状態
であったのにたいして、超硬部材12表面のコバルトを
除去したのちの面は、鏡面ではなく梨地状態であった。
【0100】これは、硬質カーボン膜15と接触する超
硬部材12表面のコバルトを除去すると、このコバルト
はバインダーとして機能していたので、このバインダー
と焼結処理によって結合していたタングステンや炭素も
剥落し、前述のように、加工痕が観察されず、また梨地
状態となっている。
【0101】このように、硬質カーボン膜15と接触す
る超硬部材12表面の加工痕が消滅し観察されないこと
と、梨地状態となっていることから、さらにいっそう硬
質カーボン膜15の密着性が向上する。とくに、加工痕
については、その加工痕箇所に形成される硬質カーボン
膜15は、その箇所に伸長や圧縮などの膜ストレスが発
生しており、この膜ストレスにより、硬質カーボン膜1
5の密着性不良が発生していたと考えており、この加工
痕が消滅したことによって、膜ストレスに起因する密着
性が劣化するという現象は発生しない。この結果、本発
明のガイドブッシュ11においては、硬質カーボン膜1
5が剥離するという現象は発生せず、したがって、ガイ
ドブッシュ11の使用寿命を従来より大幅に延ばすこと
ができ、長期使用にたいする信頼性が向上する。
【0102】この硬質カーボン膜15は、黒色状の被膜
であり、ダイヤモンドによく似た性質をもつ。すなわち
硬質カーボン膜15は、高い機械的硬度や低い摩擦係数
や良好な電気的絶縁性や高い熱伝導率や高い耐腐食性と
いう優れた特性をもつ。このため本発明のガイドブッシ
ュ11は、切削量が大きく加工速度が大きな重切削加工
において、被加工物と接触する内周面の摩耗を抑えるこ
とができ、被加工物へのキズの発生を抑えることが可能
となり、さらにガイドブッシュ11と被加工物との焼き
付きの発生を抑制することができる。
【0103】さらに本発明のガイドブッシュ11は、そ
の内周面11bに硬度の高い超硬部材112を介して硬
質カーボン膜15を設けている。このように硬質カーボ
ン膜15の下層に硬度の高い超硬部材12を設けると、
局所的な硬質カーボン膜15の剥離や摩耗を抑制するこ
とができ、ガイドブッシュ11の長期使用に対する信頼
性を向上させることができる。
【0104】ガイドブッシュ11の内周面11bに設け
る硬質カーボン膜15の膜厚としては、1μmから10
μmとする。そして後述するように、本発明において
は、硬質カーボン膜15はプラズマ化学的気相成長法に
よって形成するために、前述の硬質カーボン膜15の膜
厚範囲を適用すれば、この硬質カーボン膜15の凹凸に
忠実に倣うように形成され、その表面15aに凹凸を形
成できる。
【0105】〔硬質カーボン膜の第1の形成方法:図3
および図2〕つぎにこのガイドブッシュへの硬質カーボ
ン膜との被膜形成方法における実施形態を説明する。
【0106】まずはじめに、ガイドブッシュ11の内周
面11bに形成した超硬部材12の表面領域から、バイ
ンダーとして機能するコバルトを除去して、超硬部材1
2の表面に凹凸を形成する。このコバルトの除去は、ウ
ェットエッチング処理によって行なうことが好ましい。
【0107】コバルトを選択的に除去するウェットエッ
チング液としては、水酸化ナトリウム(NaOH)と過
酸化水素水(H2 O2 )との混合溶液を使用する。この
混合溶液においては、超硬部材12の他の構成材料であ
るタングステンや炭素、およびガイドブッシュ11の構
成材料である合金工具項(SKS)は若干エッチングさ
れるが、コバルトを選択的にエッチングすることができ
る。このように、ガイドブッシュ11は若干エッチング
されるが、機能的には問題はない。
【0108】この水酸化ナトリウム(NaOH)と過酸
化水素水(H2 O2 )との混合溶液によるコバルトのエ
ッチング処理は、液温は室温で行ない、エッチング時間
は3時間から5時間、そのエッチング液中に浸漬する。
【0109】つぎにこの超硬部材12表面のコバルトを
除去したガイドブッシュ11への硬質カーボン膜のプラ
ズマ化学的気相成長法による形成方法を、図3を用いて
説明する。図3は本発明の実施形態におけるガイドブッ
シュへの硬質カーボン膜の形成方法を示す断面図であ
る。以下、硬質カーボン膜を形成するための装置を示す
図3と、ガイドブッシュを示す図2とを交互に参照して
説明する。
【0110】図3に示すように、ガス導入口63と排気
口65とを有する真空槽61内に、超硬部材12表面に
硬質カーボン膜を形成するガイドブッシュ11を配置す
る。このときガイドブッシュ11の開口端面の外周テー
パ面11a側には、ダミー部材53を配置する。
【0111】このダミー部材53は円柱状の形状を有
し、その中心にガイドブッシュ11の内周面11bの開
口寸法とほぼおなじ内径寸法の開口を設ける。このダミ
ー部材53の外径寸法は、ガイドブッシュ11の端面の
大きさと同じ大きさとする。つまりダミー部材53はリ
ング状の形状を有する。
【0112】そしてこのガイドブッシュ11の開口内面
には、接地電位に接続する補助電極71を挿入するよう
に設ける。このとき補助電極71はガイドブッシュ11
の開口中央部になるように配置する。
【0113】そして真空槽61内を真空度が3×10-5
torr以下になるように、図示しない排気手段によっ
て排気口65から真空排気する。その後、ガス導入口6
3から炭素を含むガスとしてベンゼン(C6 H6 )を真
空槽61内に導入して、真空槽61内の圧力を5×10
-3torrになるように制御する。
【0114】その後、ガイドブッシュ11には直流電源
73から直流電圧を印加し、さらにアノード79にはア
ノード電源75から直流電圧を印加し、さらにフィラメ
ント81にはフィラメント電源77から交流電圧を印加
する。
【0115】このとき直流電源73からガイドブッシュ
11に印加する直流電圧はマイナス3kVを印加し、さ
らにアノード電源75からアノード79に印加する直流
電圧はプラス50Vを印加する。さらにフィラメント電
源77からフィラメント81に印加する電圧は30Aの
電流が流れるように10Vの交流電圧を印加する。する
と真空槽61内のガイドブッシュ11の周囲領域にプラ
ズマが発生して、ガイドブッシュ11の内周面11bに
硬質カーボン膜15を形成することができる。硬質カー
ボン膜15は、超硬部材12表面の凹凸に倣うように形
成され、その表面11aは凹凸となる。
【0116】この図3に示すガイドブッシュへの硬質カ
ーボン膜の形成方法においては、ガイドブッシュ11の
開口内面に挿入するように設ける補助電極71により、
ガイドブッシュ11の外周部だけでなく、ガイドブッシ
ュ11の開口内面にもプラズマを形成することができ
る。
【0117】このガイドブッシュ11の開口内面に挿入
するように配置する補助電極71により、開口内面領域
においては同電位どうしが対向することがなくなる。こ
のため異常放電であるホロー放電の発生はなく、ガイド
ブッシュ11の開口内面に形成する硬質カーボン膜の密
着性が向上する。さらにガイドブッシュ11の長手方向
の開口内面で、電位特性が均一になり、開口内面に形成
する硬質カーボン膜の膜厚分布の発生がなく、開口端面
と開口奥側とで均一な膜厚を形成することができる。
【0118】この補助電極71は、ガイドブッシュ11
の開口大きさより小さければよく、好ましくは4mm程
度の隙間であるプラズマ形成領域を設けるようにする。
そしてこの補助電極71は、ステンレスのような金属材
料で形成すればよい。さらに、この補助電極71の断面
形状は円形とし、ガイドブッシュ11に補助電極71を
挿入したとき、ダミー部材53の開口端面と揃えるよう
な長さとするか、あるいはダミー部材53端面から補助
電極71を突出するような長さとするか、あるいはダミ
ー部材53端面より突出せず端面から1mm〜2mm奥
側になるような長さとなるように構成する。
【0119】さらに前述のようにガイドブッシュ11の
開口端面にはダミー部材53を配置している。そして前
述のように、このダミー部材53の中心部の開口大きさ
と、ガイドブッシュ11の開口大きさとはほぼ同じ大き
さとしている。このダミー部材53は以下に記載する役
割を果たす。すなわち、図3に示す硬質カーボン膜の形
成方法においては、ガイドブッシュ11の内面とガイド
ブッシュ11の外周部とにプラズマが発生する。
【0120】そしてガイドブッシュ11の端面は電荷が
集中しやすく、ガイドブッシュ11の内面に比らべてガ
イドブッシュ11の端面領域は電荷が高い状態、いわゆ
るエッジ効果が発生する。ここでガイドブッシュ11端
面近傍のプラズマ強度は他の領域より大きく、しかも不
安定でもある。さらにガイドブッシュ11の端部領域
は、ガイドブッシュ11内面のプラズマとガイドブッシ
ュ11外周部のプラズマとの双方のプラズマの影響を受
けることになる。
【0121】そしてこのような状態で硬質カーボン膜を
形成すると、ガイドブッシュ11の開口端面から数mm
奥側の領域と他の領域とでは、硬質カーボン膜の密着性
が若干劣り、さらに膜質も若干異なる。
【0122】そこでガイドブッシュ11の開口端面にダ
ミー部材53を配置して硬質カーボン膜を形成すれば、
この膜質や密着性が異なる領域はガイドブッシュ11内
面に形成されず、ダミー部材53の開口内面に形成され
ることになる。
【0123】図3に示すような装置を用いて硬質カーボ
ン膜を形成したときは、実験によればガイドブッシュ1
1の開口端面から4mm程度奥側に、幅寸法が1mmか
ら2mmの膜質や密着性が異なる領域が形成された。そ
こでガイドブッシュ11の開口寸法とほぼ同じ開口寸法
をもち、長さ寸法が10mmのダミー部材53をガイド
ブッシュ11の開口端面に配置して、前述の硬質カーボ
ン膜の形成条件で被膜形成を行った。この結果、膜質や
密着性が異なる領域はダミー部材53に形成され、ガイ
ドブッシュ11の内面には膜質や密着性が異なる領域は
まったく形成されなかった。
【0124】〔硬質カーボン膜の第2の形成方法:図4
および図2〕つぎにこのガイドブッシュの内周面へのプ
ラズマ化学的気相成長法による硬質カーボン膜における
別の実施形態を説明する。
【0125】まずはじめに、ガイドブッシュ11の内周
面11bに形成した超硬部材12の表面領域から、バイ
ンダーとして機能するコバルトを除去し、この超硬部材
12の表面に凹凸面を形成する。このコバルトの除去
は、ウェットエッチング処理によって行なうことが好ま
しい。
【0126】コバルトを選択的に除去するウェットエッ
チング液としては、水酸化ナトリウム(NaOH)と過
酸化水素水(H2 O2 )との混合溶液を使用する。この
混合溶液においては、超硬部材12の他の構成材料であ
るタングステンや炭素、およびガイドブッシュ11の構
成材料である合金工具項(SKS)はいっさいエッチン
グされず、コバルトだけを選択的にエッチングすること
ができる。
【0127】この水酸化ナトリウム(NaOH)と過酸
化水素水(H2 O2 )との混合溶液によるコバルトのエ
ッチング処理は、液温は室温で行ない、エッチング時間
は3時間から5時間、そのエッチング液中に浸漬する。
【0128】つぎにこの超硬部材12表面のコバルトを
除去したガイドブッシュ11への硬質カーボン膜の形成
方法を、図4を用いて説明する。図4は本発明の実施形
態におけるガイドブッシュへの硬質カーボン膜の形成方
法を示す断面図である。以下、硬質カーボン膜を形成す
るための装置を示す図4と、ガイドブッシュを示す図2
とを交互に参照して説明する。
【0129】図4に示すように、ガス導入口63と排気
口65とを有する真空槽61内に、超硬部材12表面に
硬質カーボン膜を形成するガイドブッシュ11を配置す
る。このときガイドブッシュ11の開口端面の外周テー
パ面11a側には、ダミー部材53を配置する。このダ
ミー部材53は円柱状の形状を有し、その中心にガイド
ブッシュ11の内周面11bの開口寸法とほぼおなじ内
径の開口を設ける。このダミー部材53の外径寸法は、
ガイドブッシュ11の端面の大きさと同じ大きさとす
る。すなわちダミー部材53はリング状の外形形状を有
する。
【0130】そして真空槽61の内無を図4に図示しな
い排気手段によって、真空度が3×10-5torr以下
になるように、排気口65から真空排気した後、ガス導
入口63から炭素を含むガスとして、メタンガス(CH
4 )を真空槽61内に導入して、真空度を0.1tor
rになるように調整する。
【0131】そしてこのガイドブッシュ11には、マッ
チング回路67を介して、発振周波数が13.56MH
zを有する高周波電源69から高周波電圧を印加する。
さらにガイドブッシュ11の開口内面でしかも開口中央
部には、接地電位に接続する補助電極71を挿入するよ
うに配置して、この補助電極71の周囲領域にプラズマ
を発生させて、ガイドブッシュ11の内周面11bに硬
質カーボン膜15を形成する。
【0132】この結果、ガイドブッシュ11の内周面1
1bに、超硬部材12表面の凹凸に倣うように硬質カー
ボン膜15を形成することができ、その表面15aに凹
凸を形成することができる。
【0133】このように本発明の実施形態の硬質カーボ
ン膜の形成方法においては、ガイドブッシュ11の開口
内面に補助電極71を設けている。このため、開口内面
領域においては同電位どうしが対向することがなく、異
常放電であるホロー放電は発生しない。このため開口内
面にも密着性よく、均一な硬質カーボン膜を形成するこ
とができる。
【0134】このようにガイドブッシュ11の開口内面
に補助電極71を設けているのでガイドブッシュ11の
長手方向の開口内面で、電位特性が均一になる。この結
果、ガイドブッシュ11の開口内面に形成する硬質カー
ボン膜の膜厚分布の発生がなく、開口端面と開口奥側と
で均一な膜厚にて硬質カーボン膜を形成することができ
る。
【0135】この補助電極71は、ガイドブッシュ11
の開口大きさより小さければよく、好ましくは4mm程
度の隙間、すなわちプラズマ形成領域を設けるようにす
る。そしてこの補助電極71は、ステンレスのような金
属材料で形成すればよい。
【0136】さらにこの補助電極71の断面形状は円形
とする。そしてガイドブッシュ11に補助電極71を挿
入したとき、ダミー部材53の開口端面と揃えるような
長さとするか、あるいはダミー部材53端面から補助電
極71を突出するような長さとするか、あるいはダミー
部材53端面より突出せず端面から1mm〜2mm奥側
になるような長さとなるように構成する。
【0137】さらに前述のようにガイドブッシュ11の
開口端面にはダミー部材53を配置している。そしてこ
のダミー部材53の中心部の開口大きさと、ガイドブッ
シュ11の開口大きさとはほぼ同じ大きさとする。
【0138】このダミー部材53は以下に記載する役割
を果たす。すなわち図4に示す硬質カーボン膜の形成方
法においては、ガイドブッシュ11の内面とガイドブッ
シュ11の外周部とにプラズマが発生する。そしてガイ
ドブッシュ11の端面は電荷が集中しやすく、ガイドブ
ッシュ11の内面に比らべてガイドブッシュ11の端面
領域は電荷が高い状態、いわゆるエッジ効果が発生す
る。ここでガイドブッシュ11端面近傍のプラズマ強度
は他の領域より大きく、しかも不安定でもある。
【0139】さらにガイドブッシュ11の端部領域は、
ガイドブッシュ11内面のプラズマとガイドブッシュ1
1外周部のプラズマとの双方のプラズマの影響を受ける
ことになる。そしてこのような状態で硬質カーボン膜を
形成すると、ガイドブッシュ11の開口端面から数mm
奥側の領域と他の領域とでは、硬質カーボン膜の密着性
が若干劣り、さらに膜質も若干異なる。
【0140】そこでガイドブッシュ11の開口端面にダ
ミー部材53を配置して硬質カーボン膜を形成すれば、
この膜質や密着性が異なる領域はガイドブッシュ11内
面に形成されず、ダミー部材53の開口内面に形成され
ることになる。
【0141】図4に示すような装置を用いて硬質カーボ
ン膜を形成したときは、実験によればガイドブッシュ1
1の開口端面から7mm程度奥側に、幅寸法が1mmか
ら2mmの膜質や密着性が異なる領域が形成された。そ
こでガイドブッシュ11の開口寸法とほぼ同じ開口寸法
をもち、長さ寸法が15mmのダミー部材53をガイド
ブッシュ11の開口端面に配置して、前述の硬質カーボ
ン膜の形成条件で被膜形成を行った。
【0142】この結果、膜質や密着性が異なる領域はダ
ミー部材53に形成され、ガイドブッシュ11の内面に
は膜質や密着性が異なる領域はまったく形成されなかっ
た。
【0143】〔硬質カーボン膜の第3の形成方法:図5
および図2〕つぎにこのガイドブッシュの内周面へのプ
ラズマ化学的気相成長法による硬質カーボン膜における
別の実施形態を説明する。
【0144】まずはじめに、ガイドブッシュ11の内周
面11bに形成した超硬部材12の表面領域から、バイ
ンダーとして機能するコバルトを除去して、超硬部材1
2の表面に凹凸を形成する。このコバルトの除去は、ウ
ェットエッチング処理によって行なうことが好ましい。
【0145】コバルトを選択的に除去するウェットエッ
チング液としては、水酸化ナトリウム(NaOH)と過
酸化水素水(H2 O2 )との混合溶液を使用する。この
混合溶液においては、超硬部材12の他の構成材料であ
るタングステンや炭素、およびガイドブッシュ11の構
成材料である合金工具項(SKS)はいっさいエッチン
グされず、コバルトだけを選択的にエッチングすること
ができる。
【0146】この水酸化ナトリウム(NaOH)と過酸
化水素水(H2 O2 )との混合溶液によるコバルトのエ
ッチング処理は、液温は室温で行ない、エッチング時間
は3時間から5時間、そのエッチング液中に浸漬する。
【0147】つぎにこの超硬部材12表面のコバルトを
除去したガイドブッシュ11への硬質カーボン膜の形成
方法を、図5を用いて説明する。図5は本発明の実施形
態におけるガイドブッシュへの硬質カーボン膜の形成方
法を示す断面図である。以下、硬質カーボン膜を形成す
るための装置を示す図5と、ガイドブッシュを示す図2
とを交互に参照して説明する。
【0148】図5に示すように、ガス導入口63と排気
口65とを有する真空槽61内に、硬質カーボン膜を形
成するガイドブッシュ11を配置する。このときガイド
ブッシュ11の開口端面にはダミー部材53を配置す
る。このダミー部材53は円柱状の形状を有し、その中
心にガイドブッシュ11の内周面11bの開口寸法とほ
ぼおなじ内径寸法の開口を設ける。このダミー部材53
の外径寸法は、ガイドブッシュ11の端面部の大きさと
同じ大きさとする。
【0149】そして排気口65から真空槽61内を、真
空度が3×10-5torr以下になるように、図示しな
い排気手段によって真空排気する。その後、ガス導入口
63から炭素を含むガスとしてメタンガス(CH4 )を
真空槽61内に導入し、真空度を0.1torrになる
ように調整する。
【0150】そしてこのガイドブッシュ11には、直流
電源73からマイナス600Vの直流電圧を印加する。
さらにガイドブッシュ11の開口内面でしかも開口中央
部には、接地電位に接続する補助電極71を挿入するよ
うに配置して、プラズマを発生させ、硬質カーボン膜1
5をガイドブッシュ11の内周面11bに形成する。
【0151】この結果、ガイドブッシュ11の内周面1
1bに、超硬部材12表面の凹凸に倣うように硬質カー
ボン膜15を形成することができ、その表面15aに凹
凸を形成することができる。
【0152】本発明の硬質カーボン膜の形成方法におい
ては、ガイドブッシュ11の開口内面に補助電極71を
配置している。このため、異常放電であるホロー放電は
発生せず、ガイドブッシュ11の開口内面にも密着性よ
く、均一な硬質カーボン膜を形成することができる。
【0153】このように本発明の実施形態の硬質カーボ
ン膜の形成方法においては、ガイドブッシュ11の開口
内面に補助電極71を設けているのでガイドブッシュ1
1の長手方向の開口内面で、電位特性が均一になる。こ
の結果、ガイドブッシュ11の開口内面に形成する硬質
カーボン膜の膜厚分布の発生がなく、開口端面と開口奥
側とで均一な膜厚を形成することができる。
【0154】この補助電極71は、ガイドブッシュ11
の開口大きさより小さければよく、好ましくは4mm程
度の隙間、すなわちプラズマ形成領域を設けるようにす
る。そしてこの補助電極71は、ステンレスのような金
属材料で形成すればよい。さらにこの補助電極71の断
面形状は円形とする。そしてガイドブッシュ11に補助
電極71を挿入したとき、ダミー部材53の開口端面と
揃えるような長さとするか、あるいはダミー部材53端
面から補助電極71を突出するような長さとするか、あ
るいはダミー部材53端面より突出せず端面から1mm
〜2mm奥側になるような長さとなるように構成する。
【0155】さらに前述のようにガイドブッシュ11の
開口端面にはダミー部材53を配置している。そしてこ
のダミー部材53の中心部の開口大きさと、ガイドブッ
シュ11の開口大きさとはほぼ同じ大きさとする。
【0156】このダミー部材53は以下に記載する役割
を果たす。すなわち図5に示す硬質カーボン膜の形成方
法においては、ガイドブッシュ11の内面とガイドブッ
シュ11の外周部とにプラズマが発生する。
【0157】そしてガイドブッシュ11の端面は電荷が
集中しやすく、ガイドブッシュ11の内面に比らべてガ
イドブッシュ11の端面領域は電荷が高い状態、いわゆ
るエッジ効果が発生する。ここでガイドブッシュ11端
面近傍のプラズマ強度は他の領域より大きく、しかも不
安定でもある。さらにガイドブッシュ11の端部領域
は、ガイドブッシュ11内面のプラズマとガイドブッシ
ュ11外周部のプラズマとの双方のプラズマの影響を受
けることになる。
【0158】そしてこのような状態で硬質カーボン膜を
形成すると、ガイドブッシュ11の開口端面から数mm
奥側の領域と他の領域とでは、硬質カーボン膜の密着性
が若干劣り、さらに膜質も若干異なる。
【0159】そこでガイドブッシュ11の開口端面にダ
ミー部材53を配置して硬質カーボン膜を形成すれば、
この膜質や密着性が異なる領域はガイドブッシュ11内
面に形成されず、ダミー部材53の開口内面に形成され
ることになる。
【0160】図5に示すような装置を用いて硬質カーボ
ン膜を形成したときは、実験によればガイドブッシュ1
1の開口端面から7mm程度奥側に、幅寸法が1mmか
ら2mmの膜質や密着性が異なる領域が形成された。
【0161】そこでガイドブッシュ11の開口寸法とほ
ぼ同じ開口寸法をもち、長さ寸法が15mmのダミー部
材53をガイドブッシュ11の開口端面に配置して、前
述の硬質カーボン膜の形成条件で被膜形成を行った。こ
の結果、膜質や密着性が異なる領域はダミー部材53に
形成され、ガイドブッシュ11の内面には膜質や密着性
が異なる領域はまったく形成されなかった。
【0162】〔硬質カーボン膜の第4の形成方法:図8
および図2〕つぎにこのガイドブッシュの内周面へのプ
ラズマ化学的気相成長法による硬質カーボン膜における
別の実施形態を説明する。
【0163】まずはじめに、ガイドブッシュ11の内周
面11bに形成した超硬部材12の表面領域から、バイ
ンダーとして機能するコバルトを除去して、超硬部材1
2の表面に凹凸を形成する。このコバルトの除去は、ウ
ェットエッチング処理によって行なうことが好ましい。
【0164】コバルトを選択的に除去するウェットエッ
チング液としては、水酸化ナトリウム(NaOH)と過
酸化水素水(H2 O2 )との混合溶液を使用する。この
混合溶液においては、超硬部材12の他の構成材料であ
るタングステンや炭素、およびガイドブッシュ11の構
成材料である合金工具項(SKS)はいっさいエッチン
グされず、コバルトだけを選択的にエッチングすること
ができる。
【0165】この水酸化ナトリウム(NaOH)と過酸
化水素水(H2 O2 )との混合溶液によるコバルトのエ
ッチング処理は、液温は室温で行ない、エッチング時間
は3時間から5時間、そのエッチング液中に浸漬する。
【0166】つぎにこの超硬部材12表面のコバルトを
除去したガイドブッシュ11への硬質カーボン膜の形成
方法を、図8を用いて説明する。図8は本発明の実施形
態におけるガイドブッシュへの硬質カーボン膜の形成方
法を示す断面図である。以下、硬質カーボン膜を形成す
るための装置を示す図8と、ガイドブッシュを示す図2
とを交互に参照して説明する。
【0167】図8に示すように、ガス導入口63と排気
口65を有する真空槽61内に、硬質カーボン膜を形成
するガイドブッシュ11を配置する。このときガイドブ
ッシュ11の開口端面の外周テーパ面11a側にはダミ
ー部材53を配置する。このダミー部材53は円柱形状
を有し、その中心にはガイドブッシュ11の内周面11
bの開口寸法とほぼ同じ内径の開口を設ける。さらにこ
のダミー部材53の外形寸法は、ガイドブッシュ11の
端面の大きさと同じ寸法とする。
【0168】そしてこのガイドブッシュ11の開口内面
には、補助電極電源83からの直流正電位に接続する補
助電極71を挿入するように設ける。このとき補助電極
71がガイドブッシュ11の開口中央部になるように配
置する。
【0169】そして真空槽61内部を真空度が3×10
-5torr以下になるように排気口65から、図示しな
い排気手段によって真空排気する。その後、ガス導入口
63から炭素を含むガスとしてベンゼンを真空槽61内
に導入して、真空槽61内の圧力を5×10-3torr
になるように制御する。
【0170】そしてガイドブッシュ11には直流電源7
3から直流電圧を印加し、さらにアノード79にはアノ
ード電源75から直流電圧を印加し、フィラメント81
にはフィラメント電源77から交流電圧を印加する。さ
らに補助電極71には補助電極電源83から直流の正電
圧を印加する。
【0171】このとき、補助電極71には補助電極電源
83から直流のプラス20Vを印加する。さらに直流電
源73からガイドブッシュ11に印加する直流電圧はマ
イナス3kVを印加し、さらにアノード電源75からア
ノード79に印加する直流電圧はプラス10Vを印加す
る。さらにまたフィラメント電源77からフィラメント
81に印加する電圧は30Aの電流が流れるように10
Vの交流電圧を印加する。
【0172】真空槽61内のガイドブッシュ11の開口
内面の補助電極71の周囲領域にプラズマを発生させ
て、ガイドブッシュ11の内周面11bに硬質部材12
を介して硬質カーボン膜15を形成している。この結
果、ガイドブッシュ11の内周面11bに、超硬部材1
2表面の凹凸に倣うように硬質カーボン膜15を形成す
ることができ、その表面15aに凹凸を形成することが
できる。ガイドブッシュ11の内周面11bに形成する
硬質カーボン膜15は、膜厚1μmから5μmで被膜形
成する。
【0173】このときの補助電極電源83を用いて補助
電極71に印加する直流正電圧と、ガイドブッシュ開口
内面に形成する硬質カーボン膜厚との関係を、図11の
グラフに示す。
【0174】図11のグラフでは、補助電極71に印加
する直流の正電圧をゼロVから30Vまで変化させ、さ
らにガイドブッシュ11の開口内面と補助電極71との
間の隙間寸法が3mmと5mmのときの硬質カーボン膜
の膜厚を示す。なお曲線88がガイドブッシュ11の開
口内面と補助電極71との間の隙間が3mmのときの特
性を示し、曲線91がガイドブッシュ11の開口内面と
補助電極71との間の隙間が5mmのときの特性を示
す。
【0175】図11の曲線88、91に示すように、補
助電極電源83から補助電極71に印加する直流正電圧
を増加させると、硬質カーボン膜の膜形成速度は向上す
る。さらにまたガイドブッシュ11の開口内面と補助電
極71との間の隙間寸法が大きいほど、硬質カーボン膜
の膜形成速度は向上している。
【0176】そして曲線88、すなわちガイドブッシュ
11の開口内面と補助電極71との間の隙間寸法が3m
mのときは、補助電極71に印加する電位がゼロVの接
地電圧では、ガイドブッシュ23開口内面にプラズマが
発生せず、硬質カーボン膜は形成できない。
【0177】しかしガイドブッシュ11の開口内面と補
助電極71との間の隙間が3mmのときでも、補助電極
71に印加する補助電極電源83からの直流正電圧を高
くしていくと、補助電極71周囲の開口内面にプラズマ
が発生し、硬質カーボン膜を形成することができる。
【0178】この図8に示す硬質カーボン膜の被膜形成
方法では、ガイドブッシュ11の開口内面に挿入するよ
うに配置し、しかも直流の正電圧を印加する補助電極7
1によって、ガイドブッシュ11の外周部だけでなく、
ガイドブッシュ11開口内面にもプラズマを形成するこ
とができる。このガイドブッシュ11の開口内面に挿入
するように配置し、直流正電圧に接続する補助電極71
により、その開口内面においては同電位どうしが対向す
ることがなくなる。したがって異常放電であるホロー放
電の発生はなく、硬質カーボン膜の密着性が向上する。
【0179】さらに開口内に配置する補助電極71によ
ってガイドブッシュ11の長手方向の開口内面で、その
電位特性が均一になり、開口内面に形成する硬質カーボ
ン膜の膜厚分布の発生がなく、開口端面と開口奥側とで
均一な膜厚を形成することができる。
【0180】さらにまた本発明の硬質カーボン膜の形成
方法の実施形態においては、ガイドブッシュ11の開口
内面の中央部に設ける補助電極71に、補助電極電源8
3からの直流の正電圧を印加して硬質カーボン膜を形成
している。このため直流正電圧を印加する補助電極71
の周囲領域に電子を集める効果が生じ、この補助電極7
1の周囲領域は電子密度が高くなる。
【0181】このように電子密度が高くなると、必然的
に炭素を含むガス分子と電子との衝突確率が増え、ガス
分子のイオン化が促進されて、ガイドブッシュ11の開
口内面領域のプラズマ強度が高くなる。このため補助電
極71に直流の正電圧を印加する本発明の硬質カーボン
膜の形成方法においては、硬質カーボン膜の膜形成速度
は、補助電極71に直流の正電圧を印加しないときと比
らべて高くなる。
【0182】さらにガイドブッシュ11の開口寸法が小
さくなり、開口内面と補助電極71との隙間寸法が小さ
くなると、補助電極71に直流の正電圧を印加しないで
硬質カーボン膜を形成すると、開口内面にはプラズマが
発生せず、被膜形成ができない。
【0183】これにたいして本発明の硬質カーボン膜の
被膜形成方法においては、ガイドブッシュ11開口内面
に配置する補助電極71に補助電極電源83からの直流
正電圧を印加しているので、電子を強制的に補助電極7
1の周囲領域の開口内面に集めて、補助電極71周囲に
プラズマを発生させることができる。したがって、直流
の正電圧を印加しない補助電極を用いた硬質カーボン膜
の形成では被膜形成ができない開口大きさが小さいガイ
ドブッシュ11にも、補助電極電源83からの直流正電
圧を印加した補助電極71を用いる本発明の硬質カーボ
ン膜の形成方法を適用すれば被膜形成が可能となる。
【0184】さらにこのガイドブッシュ11開口内に補
助電極71を挿入したとき、補助電極71の先端部がダ
ミー部材53の開口端面より内側になるように配置し
て、補助電極71の先端部が開口端面から露出しないよ
うに構成する。本発明の実施形態では、補助電極71先
端部はダミー部材53の開口端面より1mm内側になる
ように、補助電極71先端部の長さを設定している。
【0185】このように本発明の硬質カーボン膜の形成
方法においては、補助電極71の先端部をダミー部材5
3の開口端面より内側になるように配置している。この
ため補助電極71の先端部がダミー部材53の開口端面
から露出している場合に発生する補助電極71先端部の
異常放電を抑制することができ、膜質が良好な硬質カー
ボン膜15をガイドブッシュ11に形成することができ
る。
【0186】〔硬質カーボン膜の第5の形成方法:図9
および図2〕つぎにこのガイドブッシュの内周面へのプ
ラズマ化学的気相成長法による硬質カーボン膜における
別の実施形態を説明する。
【0187】まずはじめに、ガイドブッシュ11の内周
面11bに形成した超硬部材12の表面領域から、バイ
ンダーとして機能するコバルトを除去して、超硬部材1
2の表面に凹凸を形成する。このコバルトの除去は、ウ
ェットエッチング処理によって行なうことが好ましい。
【0188】コバルトを選択的に除去するウェットエッ
チング液としては、水酸化ナトリウム(NaOH)と過
酸化水素水(H2 O2 )との混合溶液を使用する。この
混合溶液においては、超硬部材12の他の構成材料であ
るタングステンや炭素、およびガイドブッシュ11の構
成材料である合金工具項(SKS)はいっさいエッチン
グされず、コバルトだけを選択的にエッチングすること
ができる。
【0189】この水酸化ナトリウム(NaOH)と過酸
化水素水(H2 O2 )との混合溶液によるコバルトのエ
ッチング処理は、液温は室温で行ない、エッチング時間
は3時間から5時間、そのエッチング液中に浸漬する。
【0190】つぎにこの超硬部材12表面のコバルトを
除去したガイドブッシュ11への硬質カーボン膜の形成
方法を、図9を用いて説明する。図9は本発明の実施形
態におけるガイドブッシュへの硬質カーボン膜の形成方
法を示す断面図である。以下、硬質カーボン膜を形成す
るための装置を示す図9と、ガイドブッシュを示す図2
とを交互に参照して説明する。
【0191】図9に示すように、ガス導入口63と排気
口65を有する真空槽61内に、硬質カーボン膜を形成
するガイドブッシュ11を配置する。このときガイドブ
ッシュ11の開口端面の外周テーパ面11a側には、ダ
ミー部材53を配置する。このダミー部材53は円柱状
の形状を有し、その中心にはガイドブッシュ11の内周
面11bの開口寸法とほぼ同じ内径の開口を設ける。さ
らにこのダミー部材53の外形寸法は、ガイドブッシュ
11の端面の大きさと同じ寸法とする。
【0192】そして排気口65から真空槽61内を図示
しない排気手段によって、真空度が3×10-5torr
以下になるように真空排気後、ガス導入口63から炭素
を含むガスとしてメタンガスを真空槽61内に導入し、
真空度を0.1torrになるように調整する。そして
ガイドブッシュ11に、マッチング回路67を介して1
3.56MHzの発振周波数を有する高周波電源69か
ら400Wの高周波電圧を印加する。
【0193】さらにガイドブッシュ11の開口内面で、
しかも開口中央部には、補助電極電源83から印加する
直流正電圧を接続する補助電極71を挿入するように配
置して、プラズマを発生させて、ガイドブッシュ11の
内周面11bに硬質部材12を介して硬質カーボン膜1
5を形成している。この結果、ガイドブッシュ11の内
周面11bに、超硬部材12表面の凹凸に倣うように硬
質カーボン膜15を形成することができ、その表面15
aに凹凸を形成することができる。ガイドブッシュ11
の内周面11bに形成する硬質カーボン膜15は、膜厚
1μmから5μmで被膜形成する。
【0194】このときの補助電極電源83を用いて補助
電極71に印加する直流正電圧と、ガイドブッシュ11
開口内面に形成する硬質カーボン膜15の膜厚との関係
を、図11のグラフに示す。
【0195】図11のグラフでは、補助電極電源83を
用いて補助電極71に印加する直流の正電圧をゼロVか
ら30Vまで変化させ、さらにガイドブッシュ11の開
口内面と補助電極71との間の隙間寸法が3mmと5m
mのときの硬質カーボン膜の膜厚を示す。なお曲線88
がガイドブッシュ11の開口内面と補助電極71との間
の隙間が3mmのときの特性を示し、曲線91がガイド
ブッシュ11の開口内面と補助電極71との間の隙間が
5mmのときの特性を示す。
【0196】図11の曲線88、91に示すように、補
助電極71に補助電極電源83から印加する直流正電圧
を増加させると、硬質カーボン膜の膜形成速度は向上す
る。さらにまたガイドブッシュ11の開口内面と補助電
極71との間の隙間寸法が大きいほど、硬質カーボン膜
の膜形成速度は向上している。
【0197】そして曲線88、すなわちガイドブッシュ
11の開口内面と補助電極71との間の隙間寸法が3m
mのときは、補助電極71に印加する電圧がゼロVの接
地電位では、ガイドブッシュ23の開口内面にプラズマ
が発生せず、硬質カーボン膜は形成できない。しかしな
がらガイドブッシュ11の開口内面と補助電極71との
間の隙間寸法が3mmのときでも、補助電極電源83を
用いて補助電極71に印加する直流正電圧を高くしてい
くと、補助電極71周囲の開口内面にプラズマが発生
し、硬質カーボン膜を形成することができる。
【0198】この図9に示す硬質カーボン膜の被膜形成
方法においては、ガイドブッシュ11の開口内面に挿入
するように配置し、補助電極電源83から直流正電圧を
印加する補助電極71によって、ガイドブッシュ11の
外周部だけでなく、ガイドブッシュ11開口内面にもプ
ラズマを形成することができる。
【0199】このガイドブッシュ11の開口内面に挿入
するように配置し、直流正電圧に接続する補助電極71
により、開口内面においては同電位どうしが対向するこ
とがなくなる。このため異常放電であるホロー放電の発
生はなく、硬質カーボン膜の密着性が向上する。
【0200】さらに開口内に配置する補助電極71によ
ってガイドブッシュ11の長手方向の開口内面で、電位
特性が均一になり、開口内面に形成する硬質カーボン膜
の膜厚分布の発生がなく、開口端面と開口奥側とで均一
な膜厚を形成することができる。
【0201】さらにまた本発明の硬質カーボン膜の形成
方法の実施形態においては、ガイドブッシュ11の開口
内面の中央部に設ける補助電極71に、補助電極電源8
3からの直流の正電圧を印加して硬質カーボン膜を形成
している。このため直流正電圧を印加する補助電極71
の周囲領域に電子を集める効果が生じ、この補助電極7
1の周囲領域は電子密度が高くなる。
【0202】このように電子密度が高くなると、必然的
に炭素を含むガス分子と電子との衝突確率が増え、ガス
分子のイオン化が促進されて、ガイドブッシュ11の開
口内面領域のプラズマ強度が高くなる。このため補助電
極71に直流の正電圧を印加する本発明の硬質カーボン
膜の形成方法においては、硬質カーボン膜の膜形成速度
は、補助電極71に直流の正電圧を印加しないときと比
らべて高くなる。
【0203】さらにガイドブッシュ11の開口寸法が小
さくなり、開口内面と補助電極71との隙間が小さくな
ると、補助電極71に直流の正電圧を印加しないで硬質
カーボン膜を形成すると、開口内面にはプラズマが発生
せず、被膜形成ができない。これにたいして図9に示す
本発明の硬質カーボン膜の形成方法においては、ガイド
ブッシュ11開口内面に配置する補助電極71に直流正
電圧を印加し、電子を強制的に補助電極71の周囲領域
の開口内面に集めているので、補助電極71周囲にプラ
ズマを発生させることができる。
【0204】したがって直流の正電圧を印加しない補助
電極を用いた硬質カーボン膜の形成では被膜形成ができ
ない開口大きさが小さいガイドブッシュ11にも、補助
電極電源83からの直流正電圧を印加した補助電極71
を用いる本発明の硬質カーボン膜の形成方法を適用すれ
ば被膜形成が可能となる。
【0205】さらにこのガイドブッシュ11開口内に補
助電極71を挿入したとき、補助電極71の先端部がダ
ミー部材53の開口端面より内側になるように配置し
て、補助電極71の先端部が開口端面から露出しないよ
うに構成する。本発明の実施形態では、補助電極71先
端部はダミー部材53の開口端面より1mm内側になる
ように、補助電極71先端部の長さを設定している。
【0206】このように本発明の硬質カーボン膜の形成
方法においては、補助電極71の先端部をダミー部材5
3の開口端面より内側になるように配置している。この
ため補助電極71の先端部がダミー部材53の開口端面
から露出している場合に発生する補助電極71先端部の
異常放電を抑制することができ、膜質が良好な硬質カー
ボン膜15をガイドブッシュ11に形成することができ
る。
【0207】〔硬質カーボン膜の第6の形成方法:図1
0および図2〕つぎにこのガイドブッシュの内周面への
プラズマ化学的気相成長法による硬質カーボン膜におけ
る別の実施形態を説明する。
【0208】まずはじめに、ガイドブッシュ11の内周
面11bに形成した超硬部材12の表面領域から、バイ
ンダーとして機能するコバルトを除去して、超硬部材1
2の表面に凹凸を形成する。このコバルトの除去は、ウ
ェットエッチング処理によって行なうことが好ましい。
【0209】コバルトを選択的に除去するウェットエッ
チング液としては、水酸化ナトリウム(NaOH)と過
酸化水素水(H2 O2 )との混合溶液を使用する。この
混合溶液においては、超硬部材12の他の構成材料であ
るタングステンや炭素、およびガイドブッシュ11の構
成材料である合金工具項(SKS)はいっさいエッチン
グされず、コバルトだけを選択的にエッチングすること
ができる。
【0210】この水酸化ナトリウム(NaOH)と過酸
化水素水(H2 O2 )との混合溶液によるコバルトのエ
ッチング処理は、液温は室温で行ない、エッチング時間
は3時間から5時間、そのエッチング液中に浸漬する。
【0211】つぎにこの超硬部材12表面のコバルトを
除去したガイドブッシュ11への硬質カーボン膜の形成
方法を、図10を用いて説明する。図10は本発明の実
施形態におけるガイドブッシュへの硬質カーボン膜の形
成方法を示す断面図である。以下、硬質カーボン膜を形
成するための装置を示す図10と、ガイドブッシュを示
す図2とを交互に参照して説明する。
【0212】図10に示すように、ガス導入口63と排
気口65を有する真空槽61内に、硬質カーボン膜を形
成するガイドブッシュ11を配置する。このときガイド
ブッシュ11の開口端面の外周テーパ面11a側には、
ダミー部材53を配置する。このダミー部材53は円柱
状の形状を有し、その中心にはガイドブッシュ11の内
周面11bの開口寸法とほぼ同じ内径の開口を設ける。
さらにこのダミー部材53の外形寸法は、ガイドブッシ
ュ11の端面の大きさと同じ寸法とする。
【0213】そして排気口65から真空槽61内を図示
しない排気手段によって、真空度が3×10-5torr
以下になるように真空排気後、ガス導入口63から炭素
を含むガスとしてメタンガスを真空槽61内に導入し、
真空度を0.1torrになるように調整する。その
後、このガイドブッシュ11には、直流電源73からマ
イナス600Vの直流電圧を印加する。
【0214】さらにガイドブッシュ11の開口内面で、
しかも開口中央部には補助電極電源83から印加する直
流正電圧に接続する補助電極71を挿入するように配置
し、補助電極71の周囲領域にプラズマを発生させて、
ガイドブッシュ11の内周面11bに硬質部材12を介
して硬質カーボン膜15を形成している。この結果、ガ
イドブッシュ11の内周面11bに、超硬部材12表面
の凹凸に倣うように硬質カーボン膜15を形成すること
ができ、その表面15aに凹凸を形成することができ
る。ガイドブッシュ11の内周面11bに形成する硬質
カーボン膜15は、膜厚1μmから5μmで被膜形成す
る。
【0215】このときの補助電極電源83を用いて補助
電極71に印加する直流正電圧と、ガイドブッシュ11
の開口内面に形成する硬質カーボン膜の膜厚との関係
を、図11のグラフに示す。
【0216】図11のグラフでは、補助電極電源83を
用いて補助電極71に印加する直流の正電圧をゼロVか
ら30Vまで変化させ、さらにガイドブッシュ11の開
口内面と補助電極71との間の隙間寸法が3mmと5m
mのときの硬質カーボン膜の膜厚を示す。なお曲線88
がガイドブッシュ11の開口内面と補助電極71との間
の隙間が3mmのときの特性を示し、曲線91がガイド
ブッシュ11の開口内面と補助電極71との間の隙間が
5mmのときの特性を示す。
【0217】図11の曲線88、91に示すように、補
助電極電源83から補助電極71に印加する直流正電圧
を増加させると、硬質カーボン膜の膜形成速度は向上す
る。さらにまたガイドブッシュ11の開口内面と補助電
極71との間の隙間寸法が大きいほど、硬質カーボン膜
の膜形成速度は向上している。
【0218】そして曲線88、すなわちガイドブッシュ
11の開口内面と補助電極71との間の隙間寸法が3m
mのときは、補助電極71に印加する電圧がゼロVの接
地電位では、ガイドブッシュ11開口内面にプラズマが
発生せず、硬質カーボン膜は形成できない。しかしガイ
ドブッシュ11の開口内面と補助電極71との間の隙間
が3mmのときでも、補助電極71に印加する補助電極
電源83からの直流正電圧を高くしていくと、補助電極
71周囲の開口内面にプラズマが発生し、硬質カーボン
膜を形成することができる。
【0219】この図10に示す硬質カーボン膜の被膜形
成方法においては、ガイドブッシュ11の開口内面に挿
入するように設け、補助電極電源83から直流正電圧を
印加する補助電極71により、ガイドブッシュ11の外
周部だけでなく、ガイドブッシュ11開口内面にもプラ
ズマを形成することができる。
【0220】このガイドブッシュ11の開口内面に挿入
するように配置し、直流正電圧に接続する補助電極71
によって、開口内面領域においては同電位どうしが対向
することがなくなる。このため異常放電であるホロー放
電の発生はなく、硬質カーボン膜の密着性が向上する。
【0221】さらに開口内に配置する補助電極71によ
ってガイドブッシュ11の長手方向の開口内面にて、電
位特性が均一になり、開口内面に形成する硬質カーボン
膜の膜厚分布の発生がなく、開口端面と開口奥側とで均
一な膜厚を形成することができる。
【0222】さらにまた本発明の硬質カーボン膜の形成
方法の実施形態においては、ガイドブッシュ11の開口
内面の中央部に設ける補助電極71に、補助電極電源8
3からの直流の正電圧を印加して硬質カーボン膜を形成
している。このため直流正電圧を印加する補助電極71
の周囲領域に電子を集める効果が生じ、この補助電極7
1の周囲領域は電子密度が高くなる。
【0223】このように電子密度が高くなると、必然的
に炭素を含むガス分子と電子との衝突確率が増え、ガス
分子のイオン化が促進されて、ガイドブッシュ11の開
口内面領域のプラズマ強度が高くなる。このため補助電
極71に直流の正電圧を印加する本発明の硬質カーボン
膜の形成方法においては、硬質カーボン膜の膜形成速度
は、補助電極71に直流の正電圧を印加しないときと比
らべて高くなる。
【0224】さらにガイドブッシュ11の開口寸法が小
さくなり、開口内面と補助電極71との隙間寸法が小さ
くなると、補助電極71に直流の正電圧を印加しないで
硬質カーボン膜を形成すると、開口内面にはプラズマが
発生せず、被膜形成することができない。
【0225】これにたいして本発明の硬質カーボン膜の
被膜形成方法においては、ガイドブッシュ11の開口内
面に配置する補助電極71に補助電極電源83を用いて
直流正電圧を印加し、電子を強制的に補助電極71の周
囲領域の開口内面に集めているので、補助電極71周囲
にプラズマを発生させることができる。
【0226】したがって、直流の正電圧を印加しない補
助電極を用いた硬質カーボン膜の形成では被膜形成がで
きない開口大きさが小さいガイドブッシュ11にも、補
助電極電源83からの直流正電圧を印加する補助電極7
1を用いる本発明の硬質カーボン膜の形成方法を適用す
れば被膜形成が可能となる。
【0227】さらにこのガイドブッシュ11開口内に補
助電極71を挿入したとき、補助電極71の先端部がダ
ミー部材53の開口端面より内側になるように配置し
て、補助電極71の先端部が開口端面から露出しないよ
うに構成する。本発明の実施形態では、補助電極71先
端部はダミー部材53の開口端面より1mm内側になる
ように、補助電極71先端部の長さを設定している。
【0228】このように本発明の硬質カーボン膜の形成
方法においては、補助電極71の先端部をダミー部材5
3の開口端面より内側になるように配置している。この
ため補助電極71の先端部がダミー部材53の開口端面
から露出している場合に発生する補助電極71先端部の
異常放電を抑制することができ、膜質が良好な硬質カー
ボン膜15をガイドブッシュ11に形成することができ
る。
【0229】以上説明した本発明の実施の形態では、超
硬部材12を介してガイドブッシュ11の内周面11b
に硬質カーボン膜15を形成する例で説明した。しかし
ながら、用途によっては、この超硬部材12は形成して
いないガイドブッシュ11もあり、このようなガイドブ
ッシュ11の内周面11bに直接硬質カーボン膜15を
被膜形成してもよい。
【0230】さらに以上説明した本発明の実施の形態で
は、超硬部材12を介してガイドブッシュ11の内周面
11bに硬質カーボン膜15を形成する例で説明した。
しかしながら、この超硬部材12のかわりに、表面硬化
法にひとつである、浸炭層をガイドブッシュ11の内周
面11に形成してもよい。
【0231】さらに図3から図5および図8から図11
を用いて説明した本発明の硬質カーボン膜の形成方法に
おける実施形態の説明においては、炭素を含むガスとし
てメタンガスやベンゼンガスを用いる実施形態で説明し
たが、メタン以外にエチレンなどの炭素を含むガスや、
あるいはヘキサンなどの炭素を含む液体の蒸発蒸気も使
用することができる。
【0232】さらに図3、図4、図5、図8、図9およ
び図10を用いて説明した実施形態の被膜形成方法にお
いては、ガイドブッシュ11の外周部と開口内面とに硬
質カーボン膜との被膜を形成する実施形態で説明した
が、開口内面のみに硬質カーボン膜を形成することがで
きる。そのときは、ガイドブッシュ11の外周部にこの
ガイドブッシュ11外周部を覆うような被覆部材を配置
する方法や、簡易的にはアルミニウム箔をガイドブッシ
ュ11の外周部に巻き付けるように形成してもよい。
【0233】さらに図3から図5および図8から図10
を用いて説明した実施形態における硬質カーボン膜の形
成方法においては、ガイドブッシュ11の開口端面にダ
ミー部材53を配置して被膜形成する実施の形態で説明
した。しかしながら開口端面近傍領域の硬質カーボン膜
膜質が、そのほかの領域とそれほど差がなければ、この
ダミー部材53をガイドブッシュ11の開口端面に配置
することなく、被膜形成することもできる。
【0234】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、自動旋盤
のガイドブッシュ装置に設け被加工物を回転可能に支持
する本発明のガイドブッシュは、その内周面に硬質カー
ボン膜を設けるとき、被加工物と接触する硬質カーボン
膜の表面を凹凸とする構成を採用する。あるいは、本発
明のガイドブッシュは、その内周面に超硬部材を設け、
その超硬部材上面に硬質カーボン膜を設けるとき、被加
工物と接触する硬質カーボン膜の表面を凹凸とする構成
を採用する。このために、ガイドブッシュ内周面と被加
工物とのあいだに供給する油を表面凹凸を有する硬質カ
ーボン膜の凹部に保持することが可能となる。したがっ
て、被加工物がガイドブッシュ内周面の摩擦係数を低減
し、なめらかに回転および軸方向に摺動でき、さらに被
加工物へのキズの発生を抑え、そのうえガイドブッシュ
と被加工物との焼き付きの発生を防止できる。
【0235】さらに、被加工物と接触する硬質カーボン
膜表面を凹凸面とすると、従来技術の凹凸面を形成しな
い硬質カーボン膜と比較して、この硬質カーボン膜と被
加工物との接触面積は、少なくすることができる。した
がって、硬質カーボン膜の具備する優れた特性である、
低い摩擦係数をなおいっそう助長することが可能とな
る。
【0236】この結果、ガイドブッシュの内周面で回転
し軸方向に摺動する被加工物と、硬質カーボン膜との接
触抵抗が低減し、硬質カーボン膜の摩耗を抑制すること
ができる。したがって、本発明のガイドブッシュでは、
内周面に形成した硬質カーボン膜の耐久性を向上させる
ことができ、ガイドブッシュの長期使用にたいする信頼
性を大幅に向上させることが可能となる。
【0237】さらに本発明のガイドブッシュでは、タン
グステン(W)と炭素(C)とコバルト(Co)とのか
らなる超硬部材の硬質カーボン膜と接触する表面のコバ
ルト(Co)を除去する構成を採用している。そして、
このコバルト(Co)を除去した超硬部材上面に硬質カ
ーボン膜を設ける。
【0238】従来の技術において、超硬部材にたいする
硬質カーボン膜の密着性が悪い原因は、超硬部材を焼結
処理によって形成するとき、バインダーとして機能する
コバルトが原因であると、発明者らは実験によってその
知見を得た。このコバルトと硬質カーボン膜との密着性
が悪い原因はよくわからないが、その原因のひとつとし
て考えられるのは、コバルトが酸化して、その表面に密
着性が劣る酸化膜が形成されて、硬質カーボン膜がガイ
ドブッシュ内周面から剥離していると推察している。
【0239】このように、本発明におけるガイドブッシ
ュは、硬質カーボン膜と接触する超硬部材表面の、密着
性に悪影響を及ぼすコバルトを除去している。このため
本発明の硬質カーボン膜は、超硬部材に密着性よく形成
することが可能となり、剥離するという問題点は発生し
ない。したがって、ガイドブッシュの使用寿命を従来よ
り大幅に延ばすことができ、長期使用にたいする信頼性
を向上させることが可能となる。
【0240】さらに、硬質カーボン膜と接触する超硬部
材表面のコバルトを除去する前と、除去したのちとの表
面状態を、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した。
【0241】超硬部材表面のコバルトを除去する前の面
は、この超硬部材の内周面の研磨加工を行った加工痕が
観察された。これにたいして超硬部材表面のコバルトを
除去したのちの面は、その加工痕が観察されなかった。
【0242】またさらに、肉眼で超硬部材表面を観察し
ても、その差は歴然としていた。すなわち、超硬部材表
面のコバルトを除去する前の面は、研磨面で鏡面状態で
あったのにたいして、超硬部材表面のコバルトを除去し
たのちの面は、鏡面ではなく梨地状態であった。
【0243】これは、硬質カーボン膜と接触する超硬部
材表面のコバルトを除去すると、このコバルトはバイン
ダーとして機能していたので、このバインダーと焼結処
理によって結合していたタングステンや炭素も剥落し、
前述のように、加工痕が観察されず、また梨地状態とな
っている。
【0244】このように、硬質カーボン膜と接触する超
硬部材表面の加工痕が消滅し観察されないことと、梨地
状態となっていることから、さらに一層硬質カーボン膜
の密着性が向上する。とくに加工痕については、その加
工痕箇所に形成される硬質カーボン膜は、その箇所に伸
長や圧縮などの膜ストレスが発生しており、この膜スト
レスにより、硬質カーボン膜の密着性不良が発生してい
たと考えており、この加工痕が消滅したことによって、
膜ストレスに起因する密着性が劣化するという現象は発
生しない。この結果、本発明のガイドブッシュにおいて
は、硬質カーボン膜が剥離するという現象は発生せず、
したがって、ガイドブッシュの使用寿命を従来より大幅
に延ばすことができ、長期使用にたいする信頼性が向上
する。
【0245】この硬質カーボン膜は、黒色状の被膜であ
り、ダイヤモンドによく似た性質をもつ。すなわち硬質
カーボン膜は、高い機械的硬度や低い摩擦係数や良好な
電気的絶縁性や高い熱伝導率や高い耐腐食性という優れ
た特性をもつ。このため本発明のガイドブッシュは、切
削量が大きく加工速度が大きな重切削加工において、被
加工物と接触する内周面の摩耗を抑えることができ、被
加工物へのキズの発生を抑えることが可能となり、さら
にガイドブッシュと被加工物との焼き付きの発生を抑制
することができる。
【0246】さらに本発明のガイドブッシュは、その内
周面に硬度の高い超硬部材を介して硬質カーボン膜を設
けている。このように硬質カーボン膜の下層に硬度の高
い超硬部材を設けると、局所的な硬質カーボン膜の剥離
や摩耗を抑制することができ、ガイドブッシュの長期使
用に対する信頼性を向上させることができる。
【0247】本発明のガイドブッシュへの硬質カーボン
膜の形成方法においては、ガイドブッシュの開口内面の
開口の中央部に、接地電位に接続する補助電極を配置し
て硬質カーボン膜を形成する。そしてガイドブッシュに
は、負の直流電圧あるいは高周波電圧を印加する。
【0248】その結果、同電位の電極どうしが対向して
いるガイドブッシュ開口内面に、接地電位に接続する補
助電極を設けることとなり、同電位どうしが対向するこ
とがなくなる。このような電位状態は、プラスマ化学気
相成長法にとって最も望ましい状態であり、ホロー放電
は発生しない。そのため、密着性の良好な硬質カーボン
膜をガイドブッシュに形成することができる。
【0249】そのうえ本発明の硬質カーボン膜の形成方
法においては、前述のようにガイドブッシュの開口内面
に補助電極を配置しており、ガイドブッシュの長手方向
の開口内面で、電位特性が均一になる。この結果、ガイ
ドブッシュの開口内面に形成する硬質カーボン膜の膜厚
分布の発生がなく、開口端面と開口奥側とで均一な膜厚
を形成することができるという効果ももつ。
【0250】さらに本発明の硬質カーボン膜の形成方法
においては、ガイドブッシュの開口内面の中央部に設け
る補助電極に、補助電極電源からの直流の正電圧を印加
して硬質カーボン膜を形成している。このため、直流正
電圧を印加する補助電極の周囲領域に電子を集める効果
を生じ、この補助電極の周囲領域は電子密度が高くな
る。
【0251】このように電子密度が高くなると、必然的
に炭素を含むガス分子と電子との衝突確率が増え、ガス
分子のイオン化が促進されて、その補助電極の周囲領域
のプラズマ密度が高くなる。このため補助電極に直流の
正電圧を印加して硬質カーボン膜を形成する本発明の硬
質カーボン膜の形成方法においては、硬質カーボン膜の
膜形成速度は、補助電極に直流の正電圧を印加しないと
きと比らべて高くなる。
【0252】さらにガイドブッシュの開口大きさが小さ
くなり、開口内面と補助電極との隙間寸法が小さくなる
と、補助電極に直流の正電圧を印加しないで硬質カーボ
ン膜を形成すると、開口内面にはプラズマは発生せず、
被膜形成できない。これにたいして本発明の硬質カーボ
ン膜の形成方法においては、開口内面に配置する補助電
極に補助電極電源から直流正電圧を印加して電子を強制
的に補助電極の周囲領域の開口内面に集めているので、
補助電極の周囲にプラズマを発生させることができる。
【0253】したがって、直流の正電圧を印加しない補
助電極を用いる硬質カーボン膜の形成方法では、被膜形
成できない開口大きさが小さい試料にも、直流の正電圧
を印加する補助電極を用いる本発明の硬質カーボン膜の
形成方法を適用すれば被膜形成が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態におけるガイドブッシュの内
周面を拡大して示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態におけるガイドブッシュを示
す断面図である。
【図3】本発明の実施形態におけるガイドブッシュへの
硬質カーボン膜の被膜形成方法を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態におけるガイドブッシュへの
硬質カーボン膜の被膜形成方法を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態におけるガイドブッシュへの
硬質カーボン膜の被膜形成方法を示す断面図である。
【図6】本発明の実施形態におけるガイドブッシュへの
硬質カーボン膜の形成方法により硬質カーボン膜を形成
するガイドブッシュを使用する旋盤の主軸近傍を示す断
面図である。
【図7】本発明の実施形態におけるガイドブッシュへの
硬質カーボン膜の形成方法により硬質カーボン膜を形成
するガイドブッシュを使用する旋盤の主軸近傍を示す断
面図である。
【図8】本発明の実施形態におけるガイドブッシュへの
硬質カーボン膜の被膜形成方法を示す断面図である。
【図9】本発明の実施形態におけるガイドブッシュへの
硬質カーボン膜の被膜形成方法を示す断面図である。
【図10】本発明の実施形態におけるガイドブッシュへ
の硬質カーボン膜の被膜形成方法を示す断面図である。
【図11】本発明の実施形態におけるガイドブッシュへ
の硬質カーボン膜の形成方法における補助電極電圧と膜
厚との関係を示すグラフである。
【図12】従来技術におけるガイドブッシュへの硬質カ
ーボン膜の形成方法を示す断面図である。
【符号の説明】
11 ガイドブッシュ 11b 内周面 12 超硬部材 15 硬質カーボン膜 53 ダミー部材 61 真空槽 63 ガス導入口 69 高周波電源 71 補助電極 73 直流電源 79 アノード 81 フィラメント
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 戸井田 孝志 埼玉県所沢市大字下富字武野840番地 シ チズン時計株式会社所沢事業所内 Fターム(参考) 3C045 FE18 4K030 BA28 FA01 KA19 KA28 LA23

Claims (34)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸方向に貫通した中心開口を有しほぼ円
    筒状の形状をもち、その長手方向の一端部に外周テーパ
    面とそれに弾力をもたせるための摺り割りを形成し、他
    端部に自動旋盤のコラムに取り付けるためのネジ部を有
    し、外周テーパ面を形成した部分の内周に被加工物を保
    持するための内周面を形成しており、自動旋盤に取り付
    けられることにより中心開口に挿入された被加工物を、
    その被加工物を保持する内周面によって切削工具の近く
    にて回転および軸方向に摺動可能に保持し、被加工物と
    接触する内周面に硬質カーボン膜を形成したガイドブッ
    シュであって、 その硬質カーボン膜の表面は、凹凸であることを特徴と
    するガイドブッシュ。
  2. 【請求項2】 軸方向に貫通した中心開口を有しほぼ円
    筒状の形状をもち、その長手方向の一端部に外周テーパ
    面とそれに弾力をもたせるための摺り割りを形成し、他
    端部に自動旋盤のコラムに取り付けるためのネジ部を有
    し、外周テーパ面を形成した部分の内周に被加工物を保
    持するための内周面を形成しており、自動旋盤に取り付
    けられることにより中心開口に挿入された被加工物を、
    その被加工物を保持する内周面によって切削工具の近く
    にて回転および軸方向に摺動可能に保持し、その内周面
    に超硬部材を設け、その超硬部材上に硬質カーボン膜を
    形成したガイドブッシュであって、 その硬質カーボン膜の表面は、凹凸であることを特徴と
    するガイドブッシュ。
  3. 【請求項3】 軸方向に貫通した中心開口を有しほぼ円
    筒状の形状をもち、その長手方向の一端部に外周テーパ
    面とそれに弾力をもたせるための摺り割りを形成し、他
    端部に自動旋盤のコラムに取り付けるためのネジ部を有
    し、外周テーパ面を形成した部分の内周に被加工物を保
    持するための内周面を形成しており、自動旋盤に取り付
    けられることにより中心開口に挿入された被加工物を、
    その被加工物を保持する内周面によって切削工具の近く
    にて回転および軸方向に摺動可能に保持し、その内周面
    に超硬部材を設け、その超硬部材上に硬質カーボン膜を
    形成したガイドブッシュであって、 その硬質カーボン膜が接する超硬部材の表面は、凹凸で
    あり、 その超硬部材の表面の凹凸に倣うように硬質カーボン膜
    の表面は凹凸であることを特徴とするガイドブッシュ。
  4. 【請求項4】 軸方向に貫通した中心開口を有しほぼ円
    筒状の形状をもち、その長手方向の一端部に外周テーパ
    面とそれに弾力をもたせるための摺り割りを形成し、他
    端部に自動旋盤のコラムに取り付けるためのネジ部を有
    し、外周テーパ面を形成した部分の内周に被加工物を保
    持するための内周面を形成しており、自動旋盤に取り付
    けられることにより中心開口に挿入された被加工物を、
    その被加工物を保持する内周面によって切削工具の近く
    にて回転および軸方向に摺動可能に保持し、その内周面
    にすくなくともコバルトを含む超硬部材を設け、その超
    硬部材上に硬質カーボン膜を形成したガイドブッシュで
    あって、 その硬質カーボン膜が接する超硬部材の表面は、コバル
    トが除去されて凹凸であり、 その超硬部材の表面の凹凸に倣うように硬質カーボン膜
    の表面は凹凸であることを特徴とするガイドブッシュ。
  5. 【請求項5】 軸方向に貫通した中心開口を有しほぼ円
    筒状の形状をもち、その長手方向の一端部に外周テーパ
    面とそれに弾力をもたせるための摺り割りを形成し、他
    端部に自動旋盤のコラムに取り付けるためのネジ部を有
    し、外周テーパ面を形成した部分の内周に被加工物を保
    持するための内周面を形成しており、自動旋盤に取り付
    けられることにより中心開口に挿入された被加工物を、
    その被加工物を保持する内周面によって切削工具の近く
    にて回転および軸方向に摺動可能に保持し、その内周面
    にコバルトを含む超硬部材を設けるガイドブッシュへの
    硬質カーボン膜の形成方法であって、 その超硬部材の表面をエッチングすることにより凹凸を
    形成する工程と、 ガイドブッシュの開口内面に接地電位と接続する補助電
    極を挿入するようにガイドブッシュを真空槽内に配置
    し、真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素を含む
    ガスを真空槽内に導入し、ガイドブッシュに直流電圧を
    印加しアノードに直流電圧を印加しフィラメントに交流
    電圧を印加してプラズマを発生させてガイドブッシュに
    硬質カーボン膜を形成する工程とを有することを特徴と
    するガイドブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法。
  6. 【請求項6】 軸方向に貫通した中心開口を有しほぼ円
    筒状の形状をもち、その長手方向の一端部に外周テーパ
    面とそれに弾力をもたせるための摺り割りを形成し、他
    端部に自動旋盤のコラムに取り付けるためのネジ部を有
    し、外周テーパ面を形成した部分の内周に被加工物を保
    持するための内周面を形成しており、自動旋盤に取り付
    けられることにより中心開口に挿入された被加工物を、
    その被加工物を保持する内周面によって切削工具の近く
    にて回転および軸方向に摺動可能に保持し、その内周面
    にすくなくともコバルトを含む超硬部材を設けるガイド
    ブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法であって、 その超硬部材の表面のコバルトをエッチングすることに
    より凹凸を形成する工程と、 ガイドブッシュの開口内面に接地電位と接続する補助電
    極を挿入するようにガイドブッシュを真空槽内に配置
    し、真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素を含む
    ガスを真空槽内に導入し、ガイドブッシュに直流電圧を
    印加しアノードに直流電圧を印加しフィラメントに交流
    電圧を印加してプラズマを発生させてガイドブッシュに
    硬質カーボン膜を形成する工程とを有することを特徴と
    するガイドブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載のコバルトをエッチング
    することにより凹凸を形成する工程は、 ウェットエッチングによって行なうことを特徴とするガ
    イドブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載のウェットエッチング
    は、 水酸化ナトリウムと過酸化水素水との混合溶液によって
    行なうことを特徴とするガイドブッシュへの硬質カーボ
    ン膜の形成方法。
  9. 【請求項9】 請求項5または請求項6に記載の炭素を
    含むガスは、 ベンゼンを用いることを特徴とするガイドブッシュへの
    硬質カーボン膜の形成方法。
  10. 【請求項10】 軸方向に貫通した中心開口を有しほぼ
    円筒状形状をもち、その長手方向の一端部に外周テーパ
    面とそれに弾力をもたせるための摺り割りを形成し、他
    端部に自動旋盤のコラムに取り付けるためのネジ部を有
    し、外周テーパ面を形成した部分の内周に被加工物を保
    持するための内周面を形成しており、自動旋盤に取り付
    けられることにより中心開口に挿入された被加工物を、
    その被加工物を保持する内周面によって切削工具の近く
    にて回転および軸方向に摺動可能に保持し、その内周面
    に超硬部材を設けるガイドブッシュへの硬質カーボン膜
    の形成方法であって、 その超硬部材の表面をエッチングすることにより凹凸を
    形成する工程と、 ガイドブッシュの開口内面に接地電位と接続する補助電
    極を挿入するようにガイドブッシュを真空槽内に配置
    し、真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素を含む
    ガスを真空槽内に導入し、ガイドブッシュに高周波電圧
    を印加し、プラズマを発生させてガイドブッシュに硬質
    カーボン膜を形成する工程とを有することを特徴とする
    ガイドブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法。
  11. 【請求項11】 軸方向に貫通した中心開口を有しほぼ
    円筒状形状をもち、その長手方向の一端部に外周テーパ
    面とそれに弾力をもたせるための摺り割りを形成し、他
    端部に自動旋盤のコラムに取り付けるためのネジ部を有
    し、外周テーパ面を形成した部分の内周に被加工物を保
    持するための内周面を形成しており、自動旋盤に取り付
    けられることにより中心開口に挿入された被加工物を、
    その被加工物を保持する内周面によって切削工具の近く
    にて回転および軸方向に摺動可能に保持し、その内周面
    にすくなくともコバルトを含む超硬部材を設けるガイド
    ブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法であって、 その超硬部材の表面のコバルトをエッチングすることに
    より凹凸を形成する工程と、 ガイドブッシュの開口内面に接地電位と接続する補助電
    極を挿入するようにガイドブッシュを真空槽内に配置
    し、真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素を含む
    ガスを真空槽内に導入し、ガイドブッシュに高周波電圧
    を印加し、プラズマを発生させてガイドブッシュに硬質
    カーボン膜を形成することを特徴とするガイドブッシュ
    への硬質カーボン膜の形成方法。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載のコバルトをエッチ
    ングにより除去する工程は、 ウェットエッチングによって行なうことを特徴とするガ
    イドブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載のウェットエッチン
    グは、 水酸化ナトリウムと過酸化水素水との混合溶液によって
    行なうことを特徴とするガイドブッシュへの硬質カーボ
    ン膜の形成方法。
  14. 【請求項14】 請求項10または請求項11に記載の
    炭素を含むガスは、 メタンを用いることを特徴とするガイドブッシュへの硬
    質カーボン膜の形成方法。
  15. 【請求項15】 軸方向に貫通した中心開口を有しほぼ
    円筒状形状をもち、その長手方向の一端部に外周テーパ
    面とそれに弾力をもたせるための摺り割りを形成し、他
    端部に自動旋盤のコラムに取り付けるためのネジ部を有
    し、外周テーパ面を形成した部分の内周に被加工物を保
    持するための内周面を形成しており、自動旋盤に取り付
    けられることにより中心開口に挿入された被加工物を、
    その被加工物を保持する内周面によって切削工具の近く
    にて回転および軸方向に摺動可能に保持し、その内周面
    に超硬部材を設けるガイドブッシュへの硬質カーボン膜
    の形成方法であって、 その超硬部材の表面をエッチングすることにより凹凸を
    形成する工程と、 ガイドブッシュの開口内面に接地電位と接続する補助電
    極を挿入するようにガイドブッシュを真空槽内に配置
    し、真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素を含む
    ガスを真空槽内に導入し、ガイドブッシュに直流電圧を
    印加し、プラズマを発生させてガイドブッシュに硬質カ
    ーボン膜を形成する工程とを有することを特徴とするガ
    イドブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法。
  16. 【請求項16】 軸方向に貫通した中心開口を有しほぼ
    円筒状形状をもち、その長手方向の一端部に外周テーパ
    面とそれに弾力をもたせるための摺り割りを形成し、他
    端部に自動旋盤のコラムに取り付けるためのネジ部を有
    し、外周テーパ面を形成した部分の内周に被加工物を保
    持するための内周面を形成しており、自動旋盤に取り付
    けられることにより中心開口に挿入された被加工物を、
    その被加工物を保持する内周面によって切削工具の近く
    にて回転および軸方向に摺動可能に保持し、その内周面
    にすくなくともコバルトを含む超硬部材を設けるガイド
    ブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法であって、 その超硬部材の表面のコバルトをエッチングすることに
    より凹凸を形成する工程と、 ガイドブッシュの開口内面に接地電位と接続する補助電
    極を挿入するようにガイドブッシュを真空槽内に配置
    し、真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素を含む
    ガスを真空槽内に導入し、ガイドブッシュに直流電圧を
    印加し、プラズマを発生させてガイドブッシュに硬質カ
    ーボン膜を形成する工程とを有することを特徴とするガ
    イドブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法。
  17. 【請求項17】 請求項16に記載のコバルトをエッチ
    ングにより除去する工程は、 ウェットエッチングによって行なうことを特徴とするガ
    イドブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法。
  18. 【請求項18】 請求項17に記載のウェットエッチン
    グは、 水酸化ナトリウムと過酸化水素水との混合溶液によって
    行なうことを特徴とするガイドブッシュへの硬質カーボ
    ン膜の形成方法。
  19. 【請求項19】 請求項15または請求項16に記載の
    炭素を含むガスは、メタンを用いることを特徴とするガ
    イドブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法。
  20. 【請求項20】 軸方向に貫通した中心開口を有しほぼ
    円筒状形状をもち、その長手方向の一端部に外周テーパ
    面とそれに弾力をもたせるための摺り割りを形成し、他
    端部に自動旋盤のコラムに取り付けるためのネジ部を有
    し、外周テーパ面を形成した部分の内周に被加工物を保
    持するための内周面を形成しており、自動旋盤に取り付
    けられることにより中心開口に挿入された被加工物を、
    その被加工物を保持する内周面によって切削工具の近く
    にて回転および軸方向に摺動可能に保持し、その内周面
    に超硬部材を設けるガイドブッシュへの硬質カーボン膜
    の形成方法であって、 その超硬部材の表面をエッチングすることにより凹凸を
    形成する工程と、 ガイドブッシュの開口内面に直流正電圧と接続する補助
    電極を挿入するようにガイドブッシュを真空槽内に配置
    し、真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素を含む
    ガスを真空槽内に導入し、ガイドブッシュに直流電圧を
    印加しアノードに直流電圧を印加しフィラメントに交流
    電圧を印加してプラズマを発生させてガイドブッシュに
    硬質カーボン膜を形成する工程とを有することを特徴と
    するガイドブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法。
  21. 【請求項21】 軸方向に貫通した中心開口を有しほぼ
    円筒状形状をもち、その長手方向の一端部に外周テーパ
    面とそれに弾力をもたせるための摺り割りを形成し、他
    端部に自動旋盤のコラムに取り付けるためのネジ部を有
    し、外周テーパ面を形成した部分の内周に被加工物を保
    持するための内周面を形成しており、自動旋盤に取り付
    けられることにより中心開口に挿入された被加工物を、
    その被加工物を保持する内周面によって切削工具の近く
    にて回転および軸方向に摺動可能に保持し、その内周面
    にすくなくともコバルトを含む超硬部材を設けるガイド
    ブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法であって、 その超硬部材の表面のコバルトをエッチングすることに
    より凹凸を形成する工程と、 ガイドブッシュの開口内面に直流正電圧と接続する補助
    電極を挿入するようにガイドブッシュを真空槽内に配置
    し、真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素を含む
    ガスを真空槽内に導入し、ガイドブッシュに直流電圧を
    印加しアノードに直流電圧を印加しフィラメントに交流
    電圧を印加してプラズマを発生させてガイドブッシュに
    硬質カーボン膜を形成することを特徴とするガイドブッ
    シュへの硬質カーボン膜の形成方法。
  22. 【請求項22】 請求項21に記載のコバルトをエッチ
    ングにより除去する工程は、 ウェットエッチングによって行なうことを特徴とするガ
    イドブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法。
  23. 【請求項23】 請求項22に記載のウェットエッチン
    グは、 水酸化ナトリウムと過酸化水素水との混合溶液によって
    行なうことを特徴とするガイドブッシュへの硬質カーボ
    ン膜の形成方法。
  24. 【請求項24】 請求項20または請求項21に記載の
    炭素を含むガスは、ベンゼンを用いることを特徴とする
    ガイドブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法。
  25. 【請求項25】 軸方向に貫通した中心開口を有しほぼ
    円筒状形状をもち、その長手方向の一端部に外周テーパ
    面とそれに弾力をもたせるための摺り割りを形成し、他
    端部に自動旋盤のコラムに取り付けるためのネジ部を有
    し、外周テーパ面を形成した部分の内周に被加工物を保
    持するための内周面を形成しており、自動旋盤に取り付
    けられることにより中心開口に挿入された被加工物を、
    その被加工物を保持する内周面によって切削工具の近く
    にて回転および軸方向に摺動可能に保持し、その内周面
    に超硬部材を設けるガイドブッシュへの硬質カーボン膜
    の形成方法であって、 その超硬部材の表面をエッチングすることにより凹凸を
    形成する工程と、 ガイドブッシュの開口内面に直流正電圧と接続する補助
    電極を挿入するようにガイドブッシュを真空槽内に配置
    し、真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素を含む
    ガスを真空槽内に導入し、ガイドブッシュに高周波電圧
    を印加し、プラズマを発生させてガイドブッシュに硬質
    カーボン膜を形成する工程とを有することを特徴とする
    ガイドブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法。
  26. 【請求項26】 軸方向に貫通した中心開口を有しほぼ
    円筒状形状をもち、その長手方向の一端部に外周テーパ
    面とそれに弾力をもたせるための摺り割りを形成し、他
    端部に自動旋盤のコラムに取り付けるためのネジ部を有
    し、外周テーパ面を形成した部分の内周に被加工物を保
    持するための内周面を形成しており、自動旋盤に取り付
    けられることにより中心開口に挿入された被加工物を、
    その被加工物を保持する内周面によって切削工具の近く
    にて回転および軸方向に摺動可能に保持し、その内周面
    にすくなくともコバルトを含む超硬部材を設けるガイド
    ブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法であって、 その超硬部材の表面のコバルトをエッチングすることに
    より凹凸を形成する工程と、 ガイドブッシュの開口内面に直流正電圧と接続する補助
    電極を挿入するようにガイドブッシュを真空槽内に配置
    し、真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素を含む
    ガスを真空槽内に導入し、ガイドブッシュに高周波電圧
    を印加し、プラズマを発生させてガイドブッシュに硬質
    カーボン膜を形成する工程とを有することを特徴とする
    ガイドブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法。
  27. 【請求項27】 請求項26に記載のコバルトをエッチ
    ングにより除去する工程は、 ウェットエッチングによって行なうことを特徴とするガ
    イドブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法。
  28. 【請求項28】 請求項27に記載のウェットエッチン
    グは、 水酸化ナトリウムと過酸化水素水との混合溶液によって
    行なうことを特徴とするガイドブッシュへの硬質カーボ
    ン膜の形成方法。
  29. 【請求項29】 請求項25または請求項26に記載の
    炭素を含むガスは、メタンを用いることを特徴とするガ
    イドブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法。
  30. 【請求項30】 軸方向に貫通した中心開口を有しほぼ
    円筒状形状をもち、その長手方向の一端部に外周テーパ
    面とそれに弾力をもたせるための摺り割りを形成し、他
    端部に自動旋盤のコラムに取り付けるためのネジ部を有
    し、外周テーパ面を形成した部分の内周に被加工物を保
    持するための内周面を形成しており、自動旋盤に取り付
    けられることにより中心開口に挿入された被加工物を、
    その被加工物を保持する内周面によって切削工具の近く
    にて回転および軸方向に摺動可能に保持し、その内周面
    に超硬部材を設けるガイドブッシュへの硬質カーボン膜
    の形成方法であって、 その超硬部材の表面をエッチングすることにより凹凸を
    形成する工程と、 ガイドブッシュの開口内面に直流正電圧と接続する補助
    電極を挿入するようにガイドブッシュを真空槽内に配置
    し、真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素を含む
    ガスを真空槽内に導入し、ガイドブッシュに直流電圧を
    印加し、プラズマを発生させてガイドブッシュに硬質カ
    ーボン膜を形成する工程とを有することを特徴とするガ
    イドブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法。
  31. 【請求項31】 軸方向に貫通した中心開口を有しほぼ
    円筒状形状をもち、その長手方向の一端部に外周テーパ
    面とそれに弾力をもたせるための摺り割りを形成し、他
    端部に自動旋盤のコラムに取り付けるためのネジ部を有
    し、外周テーパ面を形成した部分の内周に被加工物を保
    持するための内周面を形成しており、自動旋盤に取り付
    けられることにより中心開口に挿入された被加工物を、
    その被加工物を保持する内周面によって切削工具の近く
    にて回転および軸方向に摺動可能に保持し、その内周面
    にすくなくともコバルトを含む超硬部材を設けるガイド
    ブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法であって、 その超硬部材の表面のコバルトをエッチングすることに
    より凹凸を形成する工程と、 ガイドブッシュの開口内面に直流正電圧と接続する補助
    電極を挿入するようにガイドブッシュを真空槽内に配置
    し、真空槽内を排気した後、ガス導入口から炭素を含む
    ガスを真空槽内に導入し、ガイドブッシュに直流電圧を
    印加し、プラズマを発生させてガイドブッシュに硬質カ
    ーボン膜を形成する工程とを有することを特徴とするガ
    イドブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法。
  32. 【請求項32】 請求項31に記載のコバルトをエッチ
    ングにより除去する工程は、 ウェットエッチングによって行なうことを特徴とするガ
    イドブッシュへの硬質カーボン膜の形成方法。
  33. 【請求項33】 請求項32に記載のウェットエッチン
    グは、 水酸化ナトリウムと過酸化水素水との混合溶液によって
    行なうことを特徴とするガイドブッシュへの硬質カーボ
    ン膜の形成方法。
  34. 【請求項34】 請求項30または請求項31に記載の
    炭素を含むガスは、 メタンを用いることを特徴とするガイドブッシュへの硬
    質カーボン膜の形成方法。
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