JP2000221159A - 空燃比検出装置 - Google Patents

空燃比検出装置

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JP2000221159A
JP2000221159A JP11021953A JP2195399A JP2000221159A JP 2000221159 A JP2000221159 A JP 2000221159A JP 11021953 A JP11021953 A JP 11021953A JP 2195399 A JP2195399 A JP 2195399A JP 2000221159 A JP2000221159 A JP 2000221159A
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JP
Japan
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heater
fuel ratio
air
sensor
voltage
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JP11021953A
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English (en)
Inventor
Keiichiro Aoki
圭一郎 青木
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 交流特性から素子インピーダンスを検出しそ
れをフィードバックしてヒータ制御を行うことで空燃比
センサを活性状態に維持する空燃比検出装置において、
空燃比センサの出力電流が計測不可能な値となるような
ときに素子インピーダンスが誤検出されて素子温度が過
度に上昇するという事態を防止する。 【解決手段】 空燃比センサの出力電流値Iを検出し、
出力電流値Iが駆動回路の制限による上限値(リーン側
限界値)IUL以上又は下限値(リッチ側限界値)ILL
下になっていないかどうかを判定する。センサ出力がリ
ッチ側にもリーン側にもはりついていないときには、素
子インピーダンスZを求め、素子インピーダンスに基づ
いてヒータへの供給電力を決定するフィードバック制御
を行う。一方、センサ出力が上限値IUL又は下限値ILL
へはりついた状態になっているときには、オープンルー
プ制御によりヒータへの供給電力を決定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、限界電流式空燃比
センサを用いた空燃比検出装置に関し、より詳細には、
かかるセンサ内に設けられるヒータの制御に関する。
【0002】
【従来の技術】車載用内燃機関において燃料消費率の低
減と有害ガス排出量の低減とを両立させるためには、機
関が燃焼させる混合気の空燃比(A/F)を広範囲に制
御する必要がある。このような空燃比制御を可能とする
ために、ジルコニア固体電解質等の酸素イオン導電素子
(センサ素子)に大気側電極、排気側電極及び排気側拡
散抵抗体を設けてセンサ本体とし、そのセンサ本体への
電圧印加に伴い排気中の酸素濃度又は未燃ガス濃度に応
じた限界電流が生ずるのを利用した空燃比センサ(全域
空燃比センサ、リニア空燃比センサ等と呼ばれる)が実
用化され、かかる空燃比センサの出力に基づくフィード
バック制御が行われている。
【0003】全域空燃比センサの出力に基づく空燃比フ
ィードバック制御を行う上で、酸素イオン導電素子を活
性状態に維持することが不可欠である。そのためにヒー
タを用いて素子を加熱し素子温度を一定の値に保つ制御
が行われている。その際、素子温度を検出する必要があ
るが、素子抵抗が素子温度と相関関係を有することか
ら、素子抵抗を検出して素子温度を推定することにより
温度センサの必要性を排除することも提案されている。
【0004】例えば、特開平9−292364号公報
は、空燃比検出用の入力直流電圧に交流電圧パルスを重
畳せしめ、その電圧変化とそれに伴う電流変化とから素
子インピーダンスを算出し、算出された素子インピーダ
ンスに基づいてヒータに供給する電力をフィードバック
制御する技術を開示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
9−292364号公報に開示される技術では、センサ
を駆動し出力電流を計測する回路における計測可能な電
流値の範囲について十分な考慮がなされていない。すな
わち、センサによって出力されるべき電流がダイナミッ
クレンジを超えてしまうおそれがある。その場合には、
電流変化(出力交流電流パルスの振幅)が実際よりも小
さく計測されるため、素子インピーダンスは実際よりも
大きな値として算出される。そうすると、素子温度は実
際よりも低く推定されるので、ヒータに過度の電力が供
給されてしまい、素子温度が上昇しすぎる結果となる。
【0006】本発明は、上述の問題点に鑑みなされたも
ので、その目的は、交流特性から素子インピーダンスを
検出しそれをフィードバックしてヒータ制御を行うこと
で空燃比センサを活性状態に維持する空燃比検出装置に
おいて、空燃比センサの出力電流が計測不可能な値とな
るようなときに素子インピーダンスが実際よりも大きな
値として誤検出されることにより素子温度が過度に上昇
するという事態を防止することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明によれば、電圧の印加に伴い排気中の酸素濃
度又は未燃ガス濃度に応じた限界電流を発生させるセン
サ本体、及び、前記センサ本体中の酸素イオン導電素子
を加熱し活性化せしめるためのヒータ、を有する空燃比
センサと、前記センサ本体を駆動し出力電流を計測する
センサ本体駆動回路と、前記ヒータを駆動するヒータ駆
動回路と、前記センサ本体駆動回路を介して、空燃比検
出用の直流成分に交流成分が重畳した電圧を前記センサ
本体に印加し、出力電流の交流成分を測定することによ
り、前記酸素イオン導電素子の素子インピーダンスを検
出する素子インピーダンス検出手段と、前記素子インピ
ーダンス検出手段によって検出される素子インピーダン
スに基づいて、前記ヒータ駆動回路を介して前記ヒータ
に供給される電力をフィードバック制御するフィードバ
ック制御手段と、前記素子インピーダンス検出手段によ
る素子インピーダンスの検出時において、前記センサ本
体によって出力されるべき電流が前記センサ本体駆動回
路による計測が不可能な値となる場合に、前記フィード
バック制御手段の動作を抑止し、前記ヒータ駆動回路を
介して前記ヒータに供給される電力を所定値に設定する
オープンループ制御手段と、を具備する空燃比検出装置
が提供される。
【0008】また、本発明によれば、好ましくは、前記
オープンループ制御手段は、前記センサ本体によって出
力されるべき電流がリーン側限界値を超える場合に、前
記酸素イオン導電素子の素子温度が過度に上昇すること
なく、かつ、前記酸素イオン導電素子が活性状態に維持
されるように、ヒータ供給電力を設定する。
【0009】また、本発明によれば、好ましくは、前記
オープンループ制御手段は、前記センサ本体によって出
力されるべき電流がリッチ側限界値を超える場合に、前
記酸素イオン導電素子の素子温度が低下せしめられるよ
うにヒータ供給電力を設定する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の実施形態について説明する。
【0011】まず、空燃比センサの原理について説明す
る。図1は、空燃比と排気中の酸素(O2 )濃度との関
係及び空燃比と排気中の一酸化炭素(CO)濃度との関
係を示す特性図である。この図に示されるように、理論
空燃比よりもリーン側の空燃比領域にあってはO2 濃度
が空燃比に対してほぼリニアに変化する一方、理論空燃
比よりもリッチ側の空燃比領域にあっては未燃ガスであ
るCO濃度が空燃比に対してほぼリニアに変化する。空
燃比センサは、後述するように、この関係を利用するも
のである。なお、未燃ガスは、COのみからなるのでは
なく、HC、H 2 等も含んでいる。
【0012】図2は、空燃比センサの一構成例を示す断
面図である。空燃比センサ10は、内燃機関の排気管9
0の内部に向けて突設された状態で使用される。空燃比
センサ10は、大別して、カバー11、センサ本体13
及びヒータ18から構成される。カバー11は断面カッ
プ状の形状を有し、その周壁にはカバー内外を連通する
多数の小孔12が形成されている。
【0013】センサ本体13において、試験管状に形成
された酸素イオン導電性固体電解質層14の外表面には
排気側電極層16が固着される一方、その内表面には大
気側電極層17が固着されている。また、排気側電極層
16の外側には、プラズマ溶射法等により拡散抵抗層1
5が形成されている。固体電解質層14は、例えば、本
実施形態においては、ZrO2 (ジルコニア素子)にC
aO等を安定剤として固溶させた酸素イオン伝導性酸化
物焼結体からなる(以下、固体電解質層14をセンサ素
子とも称する)。拡散抵抗層15は、アルミナ等の耐熱
性無機物質からなる。排気側電極層16及び大気側電極
層17は、共に、白金等の触媒活性の高い貴金属からな
り、その表面には多孔質の化学メッキ等が施されてい
る。
【0014】ヒータ18は、大気側電極層17内に収容
されており、その発熱エネルギによってセンサ本体13
を加熱し、ジルコニア素子14を活性化せしめる。ヒー
タ18は、ジルコニア素子14を活性化するのに十分な
発熱容量を有している。
【0015】ジルコニア素子14は、高温活性状態で素
子両端に酸素濃度差が生じると、濃度の高い側から低い
側へと酸素イオン(O2-)を通す特性(酸素電池特性)
を有する。また、ジルコニア素子14は、その両端に電
位差が与えられると、陰極から陽極に向けて、電位差に
応じた酸素イオン(O2-)の移動を引き起こそうとする
特性(酸素ポンプ特性)を有する。
【0016】図2に示されるように、センサ本体13に
は、大気側電極層17を正極性、排気側電極層16を負
極性とする一定のバイアス電圧が印加されている。排気
空燃比がリーンのときには、酸素ポンプ特性により、排
気側電極層16から大気側電極層17へと酸素イオン
(O2-)の移動が起こる。その結果、バイアス電圧源の
正極から、大気側電極層17、固体電解質層14及び排
気側電極層16を介して、バイアス電圧源の負極へと電
流が流れる。このとき流れる電流の大きさは、バイアス
電圧を一定値以上にすれば、排気中から拡散抵抗層15
を通って排気側電極層16へと拡散によって流入する酸
素量に対応する。従って、この限界電流の大きさを検出
すれば、酸素濃度を知ることができ、ひいては図1にて
説明したようにリーン領域における空燃比を知ることが
できる。
【0017】一方、排気空燃比がリッチのときには酸素
電池特性が働き、この酸素電池特性は大気側電極層17
から排気側電極層16へと酸素イオン(O2-)の移動を
引き起こそうとする。すなわち、酸素電池特性はバイア
ス電圧と逆向きに作用する。空燃比センサでは、酸素電
池特性による起電力がバイアス電圧に打ち勝つように構
成されているため、大気側電極層17から、バイアス電
圧源を通って、排気側電極層16へと電流が流れる。こ
のとき流れる電流の大きさは、固体電解質層14中を大
気側電極層17から排気側電極層16へと移送される酸
素イオン(O2-)の量によって決まる。その酸素イオン
は、排気中から拡散抵抗層15を通って排気側電極層1
6へと拡散によって流入する一酸化炭素などの未燃ガス
と排気側電極層16において反応(燃焼)するものであ
るため、酸素イオン移動量は未燃ガスの濃度に対応す
る。従って、この限界電流の大きさを検出すれば、未燃
ガス濃度を知ることができ、ひいては図1にて説明した
ようにリッチ領域における空燃比を知ることができる。
【0018】また、排気空燃比が理論空燃比のときに
は、排気側電極層16へ流入する酸素及び未燃ガスの量
が化学当量比となっているため、排気側電極層16の触
媒作用によって両者は完全に燃焼する。したがって、排
気側電極層16では酸素がなくなるため、酸素電池特性
及び酸素ポンプ特性により移送されるべき酸素イオンが
生じない。その結果、排気空燃比が理論空燃比のときに
は、回路を流れる電流は生じない。
【0019】かくして、空燃比センサの電圧−電流(V
−I)特性は、図3に示されるように、センサが晒され
る排気の空燃比(A/F)に応じた限界電流を示す。図
3においては、V軸に平行な直線部分が限界電流を表し
ている。そして、リーン領域とリッチ領域とでは限界電
流の流れる向きが逆になっており、リーン領域にあって
は空燃比が大きくなるほど、リッチ領域にあっては空燃
比が小さくなるほど、限界電流の絶対値が大きくなる。
そして、図3の特性図によれば、印加電圧を0.3V程
度に設定すると、広範囲にわたる空燃比を検出すること
ができる。なお、V軸に平行な直線部分の電圧より小さ
い電圧となる領域は、抵抗支配域となっている。
【0020】次いで、図4を用いて、空燃比検出装置の
ハードウェア構成の一例について説明する。この空燃比
検出装置は、大別して、空燃比センサ10、センサ本体
駆動回路20、ヒータ駆動回路30及び中央処理装置
(CPU)40から構成される。空燃比センサ10は、
図2で説明したように、センサ本体13及びヒータ18
を備えるものである。また、ヒータ駆動回路30は、デ
ューティ比信号を受け、そのデューティ比に応じてバッ
テリ32の電圧をヒータ18へオン/オフ的に印加する
回路である。また、CPU40は、内燃機関の電子制御
装置(ECU)の中枢として燃料噴射制御、点火時期制
御等を行うものであり、A/D変換器(ADC)、D/
A変換器(DAC)及びメモリを内蔵している。
【0021】センサ本体駆動回路20は、大別して、ロ
ウパスフィルタ(LPF)21、第1の電圧フォロワ(v
oltage follower)回路22、基準電圧発生回路25及び
第2の電圧フォロワ回路26から構成される。LPF2
1は、CPU40から出力されるアナログ信号電圧の高
周波成分を除去するものである。第1の電圧フォロワ回
路22は、演算増幅器、抵抗器、ダイオード、トランジ
スタ等を備え、センサ本体13の大気側電極層17の電
位を、LPF21の出力の電位と同一の電位に維持す
る。なお、その電位は、空燃比検出時においては3.3
Vである。
【0022】また、基準電圧発生回路25は、一定電圧
CCを分圧して基準電圧3.0Vを発生させる。第2の
電圧フォロワ回路26は、第1の電圧フォロワ回路22
と同様の回路構成を有し、センサ本体13の排気側電極
層16の電位を基準電圧3.0Vに維持する。従って、
空燃比検出時には、センサ本体13の両電極層間に0.
3Vの電圧Vが印加されることとなり、図3の特性図に
て説明したように、限界電流を測定して広範囲にわたる
空燃比を検出することができる。第1の電圧フォロワ回
路22内の抵抗器23が電流検出回路として機能する。
抵抗器23のセンサ側端子の電位V0 と他方の端子の電
位V1 とは、CPU40に供給されるようになってい
る。CPU40は、抵抗器23の両端のアナログ電位V
0 及びV1をA/D変換し、両端の電位差“V1
0 ”を算出し、その電位差と抵抗器23の抵抗値とに
基づいて、第1の電圧フォロワ回路22からセンサ本体
13の大気側電極層17へと流れる方向を正とする電流
Iを算出する。
【0023】先述の図3に関する説明から理解されるよ
うに、算出される電流値と空燃比とは、図5に示される
如き関係を有している。そこで、CPU40は、検出さ
れた電流値に基づいて排気の空燃比を検出することがで
き、ひいては空燃比フィードバック制御を実現すること
ができる。
【0024】さて、空燃比を検出するためには、センサ
素子(ジルコニア素子)14を活性状態に維持する必要
がある。その活性状態は、素子温度を一定値、例えば7
00°Cに保つことによって維持される。ところで、素
子温度と素子抵抗とは、図6に示されるような一定の相
関関係を有しているため、素子温度を700°Cに保つ
ためには、素子抵抗が30Ωを示すようにすればよい。
そのため、素子抵抗を検出し、その検出される抵抗値に
基づき、ヒータ駆動回路30をフィードバック制御する
ことにより、素子活性状態を維持する制御が行われる。
【0025】図7はセンサ本体13の構造を示す図であ
り、(A)は断面図、(B)は固体電解質14の部分拡
大図である。また、図8は、センサ本体13の等価回路
を示す図である。図8において、R1は、ジルコニアか
らなる固体電解質のバルク抵抗であり、図7のグレイン
(grain) 部に対応する。R2は、固体電解質の粒界抵抗
であり、図7のグレイン境界(grain boundary)部に対応
する。R3は、白金からなる電極の界面抵抗である。C
2は、固体電解質の粒界の容量成分である。C3は、電
極界面の容量成分である。Z(W)は、交流による分極
が起こるときに周期的に界面濃度が変化するために生じ
るインピーダンス分(ワールブルインピーダンス)であ
る。
【0026】図8からわかるように、センサ本体13
に、抵抗支配域(図3参照)にある電圧を印加して出力
電流を測定した場合、“R1+R2+R3”が検出可能
となる。しかし、R3は電極の劣化等により大きく変化
するため、素子抵抗“R1+R2”のみを抽出すること
はできない。しかも、図3に示されるように、抵抗支配
域は空燃比に応じて変化するため、センサ本体の直流特
性により素子抵抗を検出することは極めて困難である。
そこで、交流特性を利用した素子抵抗検出法が提案され
ている。
【0027】図9は、空燃比検出用の直流電圧(0.3
V)に交流電圧を重畳した場合に、その入力交流電圧の
周波数fの変化に応じてセンサ本体のインピーダンスZ
が描く軌跡を示す図であり、横軸はインピーダンスZの
実部R、縦軸は虚部Xを示す。この軌跡は、空燃比に依
存しない。センサ本体のインピーダンスZは、Z=R+
jXで表される。図9に示されるように、インピーダン
スZは、周波数fが1kHz付近に近づくにつれて素子
抵抗“R1+R2”に収束する。
【0028】図10は、入力交流電圧の周波数fとイン
ピーダンスZの絶対値|Z|との関係を示す図である。
図10から、周波数1kHz〜10MHzでは|Z|が
ほぼ“R1+R2”であり、10MHzより高周波側で
は|Z|は減少していき、R1に収束することが判る。
このことから、素子抵抗“R1+R2”を検出するため
には、1kHz〜10MHz付近の交流電圧を印加し
て、出力交流電流を測定し、インピーダンスを求めるこ
とが望ましい。
【0029】ところで、図4のセンサ本体駆動回路20
においては、検出可能な出力電流値がその回路構成から
以下のように制限されることとなる。すなわち、図4に
おいて、電流Iが上限値IULすなわちリーン側限界値と
なるときには、 VCE(ON)+(R11+R13)*IUL+V0 =VCC が成立する。ここで、VCE(ON)は、トランジスタQ11
オン時におけるコレクタ・エミッタ間電圧である。そし
て、このときのV1 をV1MAXとおくと、 V1MAX=V0 +R13*IUL>V0 となる。
【0030】同様に、図4において、電流Iが下限値I
LL(<0)すなわちリッチ側限界値となるときには、 VEC(ON)+(R12+R13)*(−ILL)=V0 が成立する。ここで、VEC(ON)は、トランジスタQ12
オン時におけるエミッタ・コレクタ間電圧である。そし
て、このときのV1 をV1MINとおくと、 V1MIN=V0 +R13*ILL<V0 となる。
【0031】CPU40は、素子インピーダンスを測定
するため、LPF21への入力電圧を変化させるが、そ
の際にはセンサ出力電流Iが駆動回路20において検出
可能な範囲に入るように、換言すれば、本来、示される
べきV1 の値が駆動回路20による制限を受けることが
ないようにしている。すなわち、交流電圧パルスを印加
する前の電位V1 が3.1V以下のときには、図11に
示されるようにして素子インピーダンスを測定する。図
11(A)、(B)及び(C)は、LPF21への入力
電圧VC 、LPF21からの出力電圧すなわち空燃比セ
ンサ10の大気側電極層17の電位V0 、及び抵抗器2
3の一方の端子の電位V1 、の各波形を示す図である。
横軸は時間を表し、縦軸は電圧を表す。
【0032】前述のように、排気側電極層16は基準電
圧3.0Vに維持され、大気側電極層17は通常図11
(B)に示されるように3.3Vに維持されているた
め、空燃比センサ本体の両電極間には通常直流電圧0.
3Vが印加されていることとなる。この入力直流電圧に
対する出力直流電流が空燃比を表している。なお、V0
は、図11(B)に示されるように、主として特定の周
波数成分(例えば5kHz)からなる、なまされた波形
の交流電圧パルスが直流電圧3.3Vに重畳したものと
なる。
【0033】この交流電圧パルスに対応して、V1 も変
化する。そして、パルス印加前にV 1 が3.1V以下の
ときには、VC すなわちV0 を正側に変化させているた
め、V1 も正側に変化するが、5Vを超えない。そし
て、V0 の変化量すなわちセンサ印加電圧Vの変化量Δ
Vと抵抗器23を流れる電流Iの変化量ΔIとから算出
されるΔV/ΔIが、素子インピーダンス(絶対値)Z
を与える。そのZに基づいて図6の特性曲線を参照する
ことにより、素子温度が検出される。なお、続いて印加
電圧を負側にも変化させているのは、容量成分に蓄積さ
れる電荷の放電を迅速化させるためである。
【0034】一方、交流電圧パルスを印加する前に電位
1 が3.1V以上のときには、図12に示されるよう
にして素子インピーダンスを測定する。図12(A)、
(B)及び(C)は、図11と同様に、VC 、V0 及び
1 の各波形を示している。すなわち、パルス印加前に
1 が3.1V以上のときには、VC すなわちV0 を負
側に変化させているため、V1 も負側に変化するが、0
Vを下回らない。
【0035】しかし、空燃比センサに異常がある場合、
内燃機関に故障がある場合、燃料カット等により空燃比
が非常に偏った状態になっている場合等においては、セ
ンサ出力電流Iがセンサ本体駆動回路20による上限値
(リーン側限界値)IUL又は下限値(リッチ側限界値)
LL(<0)に固定されたままの状態(いわゆるはりつ
き状態)に陥るおそれがある。
【0036】そのようなはりつき状態として例えばリー
ン側限界値にはりついた状態にあるときには、図13
(A)及び(B)に示されるようにVC 及びV0 を変化
させても、図13(C)に示されるようにV1 は、本来
変化すべき範囲で変化することができない。なお、図1
3(C)における点線は、駆動回路による制限がないと
した場合にV1 が示す波形を表している。図13(C)
に示されるようにV1 の変化が制限されると、センサ出
力電流変化量ΔIは本来の値よりも小さく算出され、そ
の結果、素子インピーダンスZは本来の値よりも大きな
値として算出される。そうすると、素子温度は実際より
も低く推定されるので、ヒータに過度の電力が供給さ
れ、素子温度が上昇しすぎるという不具合が生ずる。そ
こで、本発明は、このような素子インピーダンス誤検出
を防止する。
【0037】図14は、CPU40によって実行される
素子インピーダンス検出ルーチンの処理手順を示すフロ
ーチャートである。本ルーチンは、所定時間周期で実行
される。まず、ステップ102では、空燃比センサの出
力電流値Iを求める。次いで、ステップ104及び10
6では、出力電流値Iが上限値(リーン側限界値)I UL
以上又は下限値(リッチ側限界値)ILL以下になってい
ないかどうかを検出する。
【0038】I≦ILLのとき、すなわちセンサ出力がリ
ッチ側にはりついているときには、ステップ108にお
いて、リッチ側はりつきフラグFRSを1(オン)にする
とともに、リーン側はりつきフラグFLSを0(オフ)に
して、本ルーチンを終了する。一方、IUL≦Iのとき、
すなわちセンサ出力がリーン側にはりついているときに
は、ステップ112において、リーン側はりつきフラグ
LSを1(オン)にするとともに、リッチ側はりつきフ
ラグFRSを0(オフ)にして、本ルーチンを終了する。
【0039】また、ILL<I<IULのとき、すなわちセ
ンサ出力がリッチ側にもリーン側にもはりついていない
ときには、ステップ110に進み、リッチ側はりつきフ
ラグFRS及びリーン側はりつきフラグFLSをともに0に
して、ステップ114に進む。ステップ114では、図
11及び図12を用いて説明したように、交流電圧パル
スを入力直流電圧に重畳せしめ、出力交流電流パルスを
測定することにより、素子インピーダンスZを検出し、
本ルーチンを終了する。
【0040】図15は、CPU40によって実行される
ヒータ制御ルーチンの処理手順を示すフローチャートで
ある。本ルーチンは、所定時間周期で実行される。ステ
ップ202及び204では、リーン側はりつきフラグF
LS及びリッチ側はりつきフラグFRSの値について判定す
る。FLS=FRS=0のとき、センサ出力がリッチ側にも
リーン側にもはりついていないときには、ステップ20
8に進み、素子インピーダンスZに基づいて、バッテリ
32の電圧をヒータ18へオン/オフ的に印加する際の
デューティ比RDUTYを決定するフィードバック制御が行
われる。その詳細については、後述する。一方、センサ
出力がはりつき状態になっているときには、以下のよう
にオープンループ制御が行われる。
【0041】すなわち、FRS=1のとき、センサ出力が
リッチ側にはりついているため素子インピーダンスZを
検出しなかったときには、ステップ210においてデュ
ーティ比RDUTYを所定値R0 に設定する。空燃比がリッ
チになるのは高負荷状態であり、素子温度が上昇してい
ると推定されるため、素子温度が低下せしめられるよう
に、R0 は例えば0に設定される。
【0042】一方、FLS=1のとき、センサ出力がリー
ン側にはりついているため素子インピーダンスZを検出
しなかったときには、ステップ206においてデューテ
ィ比RDUTYを所定値R1 に設定する。このR1 は、素子
温度が過度に上昇することなく、かつ、素子活性状態が
維持されるようにヒータに電力を供給すべく予め実験的
に設定された値であり、例えば、燃料カット時における
ヒータ供給電力として適合せしめられる値に一致する。
【0043】図16は、前述のヒータ制御ルーチン(図
15)のステップ208を具体的に実現すべくCPU4
0によって実行される素子インピーダンスフィードバッ
クヒータ制御ルーチンのフローチャートである。まず、
ステップ302では、検出された素子インピーダンスZ
と目標素子インピーダンスZTGT との偏差ZERR を算出
する。次いで、ステップ304では、PID動作におけ
る比例項ΔRP を、 ΔRP ←KP *ZERR なる演算により求める。KP は、比例項のゲインであ
る。
【0044】次いで、ステップ306では、 ZERRSUM←ZERRSUM+ZERR なる演算により、偏差の積分値ZERRSUMを更新する。さ
らに、 ΔRI ←KI *ZERRSUM なる演算により、PID動作における積分項ΔRI を算
出する。KI は、積分項のゲインである。
【0045】次いで、ステップ308では、 ΔRD ←KD *(ZERR −ZERRO) なる演算により、PID動作における微分項ΔRD を算
出する。ここで、KD は微分項のゲインであり、ZERRO
は前回の本ルーチン走行時に算出された偏差である。
【0046】次いで、ステップ310では、 RDUTY←RDUTY+ΔRP +ΔRI +ΔRD なる演算により、PID動作によるデューティ比RDUTY
を決定する。次いで、ステップ312では、算出された
DUTYが所定の範囲内に制限されるようにガード処理を
実行する。最後のステップ314では、次回の本ルーチ
ンの実行に備え、今回算出されたZERR をZERROとして
記憶する。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
交流特性から素子インピーダンスを検出しそれをフィー
ドバックしてヒータ制御を行うことで空燃比センサを活
性状態に維持する空燃比検出装置において、空燃比セン
サの出力電流が計測不可能な値となるような場合にあっ
ても、素子温度が過度に上昇する事態が回避され、素子
温度が適切な値に維持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】空燃比と排気成分濃度との関係を示す特性図で
ある。
【図2】空燃比センサの一構成例を示す断面図である。
【図3】空燃比センサの電圧−電流特性の一例を示す特
性図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る空燃比検出装置のハ
ードウェア構成を示す電気回路図である。
【図5】空燃比と空燃比センサ出力電流との関係を示す
特性図である。
【図6】素子温度と素子抵抗との関係を示す特性図であ
る。
【図7】センサ本体の構造を示す図であって、(A)は
断面図、(B)は固体電解質の部分拡大図である。
【図8】センサ本体の等価回路を示す図である。
【図9】空燃比検出用の直流電圧に重畳する入力交流電
圧の周波数を変化させたときにセンサ本体のインピーダ
ンスが描く軌跡を示す図である。
【図10】入力交流電圧の周波数と素子インピーダンス
との関係を示す図である。
【図11】センサ出力が3.1V以下のときの、LPF
への入力電圧、LPFからの出力電圧すなわち空燃比セ
ンサの大気側電極層の電圧、及び電流検出抵抗器の反セ
ンサ側端子の電圧の各波形を示す図である。
【図12】センサ出力が3.1V以上のときの、LPF
への入力電圧、LPFからの出力電圧すなわち空燃比セ
ンサの大気側電極層の電圧、及び電流検出抵抗器の反セ
ンサ側端子の電圧の各波形を示す図である。
【図13】センサ出力がリーン側はりつき状態にあると
きの、LPFへの入力電圧、LPFからの出力電圧すな
わち空燃比センサの大気側電極層の電圧、及び電流検出
抵抗器の反センサ側端子の電圧の各波形を示す図であ
る。
【図14】CPUによって実行される素子インピーダン
ス検出ルーチンの処理手順を示すフローチャートであ
る。
【図15】CPUによって実行されるヒータ制御ルーチ
ンの処理手順を示すフローチャートである。
【図16】CPUによって実行される素子インピーダン
スフィードバックヒータ制御ルーチンの処理手順を示す
フローチャートである。
【符号の説明】
10…空燃比センサ(A/Fセンサ) 11…カバー 12…小孔 13…センサ本体 14…酸素イオン導電性固体電解質層(センサ素子) 15…拡散抵抗層 16…排気側電極層 17…大気側電極層 18…ヒータ 20…センサ本体駆動回路 21…ローパスフィルタ(LPF) 22…第1の電圧フォロワ回路 23…電流検出回路 25…基準電圧発生回路 26…第2の電圧フォロワ回路 30…ヒータ駆動回路 32…バッテリ 40…CPU 90…内燃機関の排気管

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電圧の印加に伴い排気中の酸素濃度又は
    未燃ガス濃度に応じた限界電流を発生させるセンサ本
    体、及び、前記センサ本体中の酸素イオン導電素子を加
    熱し活性化せしめるためのヒータ、を有する空燃比セン
    サと、 前記センサ本体を駆動し出力電流を計測するセンサ本体
    駆動回路と、 前記ヒータを駆動するヒータ駆動回路と、 前記センサ本体駆動回路を介して、空燃比検出用の直流
    成分に交流成分が重畳した電圧を前記センサ本体に印加
    し、出力電流の交流成分を測定することにより、前記酸
    素イオン導電素子の素子インピーダンスを検出する素子
    インピーダンス検出手段と、 前記素子インピーダンス検出手段によって検出される素
    子インピーダンスに基づいて、前記ヒータ駆動回路を介
    して前記ヒータに供給される電力をフィードバック制御
    するフィードバック制御手段と、 前記素子インピーダンス検出手段による素子インピーダ
    ンスの検出時において、前記センサ本体によって出力さ
    れるべき電流が前記センサ本体駆動回路による計測が不
    可能な値となる場合に、前記フィードバック制御手段の
    動作を抑止し、前記ヒータ駆動回路を介して前記ヒータ
    に供給される電力を所定値に設定するオープンループ制
    御手段と、 を具備する空燃比検出装置。
  2. 【請求項2】 前記オープンループ制御手段は、前記セ
    ンサ本体によって出力されるべき電流がリーン側限界値
    を超える場合に、前記酸素イオン導電素子の素子温度が
    過度に上昇することなく、かつ、前記酸素イオン導電素
    子が活性状態に維持されるように、ヒータ供給電力を設
    定する、請求項1に記載の空燃比検出装置。
  3. 【請求項3】 前記オープンループ制御手段は、前記セ
    ンサ本体によって出力されるべき電流がリッチ側限界値
    を超える場合に、前記酸素イオン導電素子の素子温度が
    低下せしめられるようにヒータ供給電力を設定する、請
    求項1に記載の空燃比検出装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE10234199B4 (de) * 2001-07-27 2014-03-20 Denso Corporation Energiezufuhrsteuerungssystem für eine in einem Gassensor verwendete Heizung

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