JP2000218764A - 胴装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 構成や保守管理等が容易で印刷品質の低下を
防止することができる胴装置を提供する。 【解決手段】 回転可能に支持された胴本体１と、胴本
体１の軸心方向と直交する方向に沿って移動できるよう
にベアラ３、スライダブロック４，６，７、リンクロッ
ド５ａ，５ｂを介して胴本体１に設けられて枚葉紙を案
内するシェル２と、シェル２を胴本体１から離反する方
向へ付勢する圧縮コイルばね８と、ベアラ３に形成され
たロック穴３ｅまたはロック穴３ｆの位置でシェル２を
位置決め支持するロックロッド９，１０、支持ロッド１
１、連結プレート１２、圧縮コイルばね１３とを備えて
なる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、枚葉紙輪転印刷機
の渡胴などに適用される胴装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】枚葉紙輪転印刷機などにおいては、印刷
する枚葉紙の厚さに応じて、圧胴と渡胴との間隔を調整
する必要がある。このため、例えば、特開平８−３３６
９５０号公報では、図９，１０に示すように、径方向に
略長方形の断面形状をなす胴本体１１１の長辺側に、フ
レキシブルな材料からなる拡縮可能な中空状の半円柱型
の周壁セグメント１１２を設け、胴本体１１１に形成さ
れた通路１１１ａを介して上記周壁セグメント１１２内
への空気の送給や当該周壁セグメント１１２内の空気の
排出を可能にし、普通紙を印刷する場合には上記セグメ
ント１１２内へ空気を送給して当該セグメント１１２を
拡大させ（図９参照）、板紙などのような厚紙を印刷す
る場合には上記セグメント１１２内から空気を排出して
当該セグメント１１２を収縮させることにより（図１０
参照）、渡胴１１０と圧胴１２０との間隔を調整するよ
うにしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
８−３３６９５０号公報に開示されたものでは、以下の
ような問題があった。 （１）周壁セグメント１１２の拡縮を行う空気送給装置
および空気吸引装置を設けなければならないため、印刷
機周辺が繁雑になってしまう。 （２）胴本体１１１に空気の流通する通路１１１ａを形
成するため、胴本体１１１の剛性が低下してしまい、印
刷品質に悪影響を与える虞がある。 （３）周壁セグメント１１２がゴムなどのような膨縮可
能な材料からなる場合には、周壁セグメント１１２が劣
化しやすく、保守管理等を頻繁に行わなければならな
い。 （４）周壁セグメント１１２が折り畳み可能な構造であ
る場合には、折り目部分で印刷面にキズや擦れを付けて
しまい、印刷品質に悪影響を与える虞がある。

【０００４】このようなことから、本発明は、構成や保
守管理等が容易で印刷品質の低下を防止することができ
る胴装置を提供することを目的とした。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前述した課題を解決する
ための、本発明による胴装置は、回転可能に支持された
胴本体と、前記胴本体の軸心方向と略直交する方向に沿
って移動できるように当該胴本体に設けられ、シート状
物を案内するシート状物案内部材と、前記シート状物案
内部材を所定の複数の位置で位置決め支持する位置決め
支持手段とを備えてなることを特徴とする。

【０００６】上述した胴装置において、前記シート状物
案内部材の位置決め支持を解除する位置決め解除手段
と、前記シート状物案内部材を前記胴本体から離反する
方向へ付勢する案内部材付勢手段とを設けたことを特徴
とする。

【０００７】上述した胴装置において、前記シート状物
案内部材を前記胴本体へ接近させる方向へ押圧すること
により前記位置決め支持手段の当該シート状物案内部材
の位置決め支持が解除できることを特徴とする。

【０００８】上述した胴装置において、前記シート状物
案内部材が、前記胴本体の軸心方向と略直交する方向の
両側にそれぞれ配設されて、シート状物を案内する案内
面を外周に有する半円柱型のシェルであり、前記位置決
め支持手段が、前記シェルの軸心方向の端面から出没で
きるように当該シェルにそれぞれ設けられたロックロッ
ドと、前記胴本体の両軸端側にそれぞれ設けられ、前記
ロックロッドの先端を着脱可能に嵌合されるロック穴が
所定の複数の位置に形成されたベアラと、前記ロックロ
ッドを前記シェルの軸心方向の端面から突出させる方向
へ付勢するロックロッド付勢手段とを備えてなり、前記
位置決め解除手段が、前記ロックロッドに連結されて、
当該ロックロッドの先端を前記シェルの軸端側から内側
に移動させる支持ロッドを備えてなり、前記案内部材付
勢手段が、前記胴本体と前記シェルとの間に設けられて
いることを特徴とする。

【０００９】上述した胴装置において、前記ロックロッ
ドの先端側が、前記胴本体側ほど薄い厚さとなるテーパ
状に形成されていることを特徴とする。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明による胴装置を枚葉紙輪転
印刷機の渡胴に適用した場合の実施の形態を図１〜７を
用いて説明する。なお、図１は、その要部の概略構成を
表す分解斜視図、図２は、案内部材付勢手段の概略構造
図、図３は、位置決め支持手段の要部の概略構造図、図
４は、普通紙を印刷する場合の要部の概略構造図、図５
は、図４のＶ−Ｖ線断面矢視図、図６は、図４のVI−VI
線断面矢視図、図７は、厚紙を印刷する場合の要部の概
略構造図である。

【００１１】図１，２に示すように、径方向の断面形状
が略楕円形をなす胴本体１の両長辺側、すなわち、胴本
体１の軸心方向と略直交する方向の両側には、シート状
物である普通紙や厚紙などを案内する案内面を外周に有
する半円柱型のシート状物案内部材であるシェル２がそ
れぞれ配設されている。図１，４〜７に示すように、シ
ェル２の長手方向両端側には、スライダブロック４がそ
れぞれ固着されている。これらスライダブロック４に
は、対をなすリンクロッド５ａ，５ｂの一端が回動可能
にそれぞれ連結されている。胴本体１を挟んで対面する
スライダブロック４のリンクロッド５ａの他端同士は、
スライダブロック６に回動可能にそれぞれ連結されてい
る。胴本体１を挟んで対面するスライダブロック４のリ
ンクロッド５ｂの他端同士は、スライダブロック７に回
動可能にそれぞれ連結されている。

【００１２】前記胴本体１の軸端には、円板状をなすベ
アラ３がそれぞれ取り付けられている。ベアラ３には、
スライド溝３ａ〜３ｄが当該ベアラ３の軸心を中心にし
て十字状に配列されるように形成されている。ベアラ３
のスライド溝３ａには、スライダブロック４の一方が摺
動可能に嵌合している。ベアラ３のスライド溝３ｂに
は、スライダブロック４の他方が摺動可能に嵌合してい
る。ベアラ３のスライド溝３ｃには、スライダブロック
６が摺動可能に嵌合している。ベアラ３のスライド溝３
ｄには、スライダブロック７が摺動可能に嵌合してい
る。

【００１３】つまり、シェル２は、スライダブロック
４，６，７、リンクロッド５ａ，５ｂ、ベアラ３を介し
て胴本体１に連結されることにより、胴本体１と一体的
に回転できると共に、スライダブロック４，６，７がベ
アラ３のスライド溝３ａ〜３ｄに沿ってスライド移動す
ることにより、胴本体１に対して接近離反できるように
支持されているのである。このようなベアラ３、スライ
ダブロック４，６，７、リンクロッド５ａ，５ｂなどに
より、本実施の形態では案内部材ガイド手段を構成して
いる。

【００１４】図２に示すように、胴本体１とシェル２と
の間には、案内部材付勢手段である圧縮コイルばね８が
介在しており、当該圧縮コイルばね８は、胴本体１とシ
ェル２とを離反させるように付勢している。

【００１５】図１，３〜７に示すように、前記シェル２
の内部の一方の軸端側には、当該シェル２の一方の軸端
面からの先端の出没を可能とするように当該シェル２の
長手方向に沿ってスライド移動できる一対のロックロッ
ド９がそれぞれ設けられている。また、シェル２の内部
の他方の軸端側には、当該シェル２の他方の軸端面から
の先端の出没を可能とするように当該シェル２の長手方
向に沿ってスライド移動できる一対のロックロッド１０
がそれぞれ設けられている。

【００１６】前記シェル２の長手方向中程には、当該シ
ェル２の径方向に沿って当該シェル２を回転自在に貫通
する支持ロッド１１が設けられている。支持ロッド１１
には、その一端側にハンドル１１ａが設けられると共
に、一対の連結プレート１２の長手方向中程が当該支持
ロッド１１の径方向に沿って長手方向を向けるようにし
て取り付けられている。連結プレート１２には、上記支
持ロッド１１を挟んで対をなすスライド溝１２ａ，１２
ｂが当該連結プレート１２の長手方向に沿って形成され
ている。連結プレート１２のスライド溝１２ａには、前
記ロックロッド９の基端側に設けられたスライドピン９
ａが摺動移動可能に嵌合している。連結プレート１２の
スライド溝１２ｂには、前記ロックロッド１０の基端側
に設けられたスライドピン１０ａが摺動移動可能に嵌合
している。

【００１７】つまり、例えば、図３（ｂ）において、支
持ロッド１１のハンドル１１ａが反時計回りに回転する
と、連結プレート１２がスライドピン９ａ，１０ａを介
してロックロッド９，１０を押し出し、当該ロックロッ
ド９，１０の先端をシェル２の軸端面から突出させるよ
うにロックロッド９，１０がスライド移動する一方、支
持ロッド１１のハンドル１１ａが時計回りに回転する
と、連結プレート１２がスライドピン９ａ，１０ａを介
してロックロッド９，１０を引張り、当該ロックロッド
９，１０の先端をシェル２の軸端面側から内側に移動さ
せるようにロックロッド９，１０がスライド移動するよ
うになっているのである。

【００１８】図３（ｂ）に示すように、ロックロッド９
とロックロッド１０との間は、ロックロッド付勢手段で
ある圧縮コイルばね１３で連結されており、当該圧縮コ
イルばね１３は、ロックロッド９とロックロッド１０と
を離反させるように付勢している。つまり、ロックロッ
ド９，１０は、その先端がシェル２の軸端面から突出す
る方向へ圧縮コイルばね１３により付勢されているので
ある。

【００１９】図１，４〜７に示すように、前記ベアラ３
には、前記ロックロッド９，１０の先端を着脱可能に嵌
合されるロック穴３ｅ，３ｆが前記シェル２の移動方向
（接近離反方向）に沿って対をなす所定の位置にそれぞ
れ形成されている。また、前記ロックロッド９，１０の
先端側は、前記胴本体１側ほど薄い厚さとなるテーパ状
に形成されている。

【００２０】なお、本実施の形態では、ベアラ３、ロッ
クロッド９，１０、圧縮コイルばね１３などにより位置
決め支持手段を構成し、支持ロッド１１、連結プレート
１２などにより位置決め解除手段を構成している。

【００２１】このようにして構成された胴装置の作用を
次に説明する。例えば、ロックロッド９，１０の先端が
ベアラ３のロック穴３ｆに差し込まれている状態、すな
わち、シェル２が互いに接近している状態（厚紙印刷状
態）において、普通紙を印刷する場合には、支持ロッド
１１のハンドル１１ａを操作して、ロックロッド９，１
０の先端をベアラ３のロック穴３ｆから引き抜くと、シ
ェル２の位置決め固定支持が解除され、シェル２がスラ
イダブロック４，６，７およびリンクロッド５ａ，５ｂ
などで案内されながら前記圧縮コイルばね８の付勢力に
より胴本体１から離反する方向へ移動し、ロックロッド
９，１０の先端がベアラ３のロック穴３ｅの位置にまで
到達することにより、前記圧縮コイルばね１３の付勢力
により当該ロックロッド９，１０の先端が上記ロック穴
３ｅに嵌入するように当該ロックロッド９，１０がスラ
イド移動し、当該ロックロッド９，１０を介してシェル
２がベアラ３に対して位置決め固定支持され、普通紙の
印刷が可能となる。

【００２２】一方、上述したような普通紙を印刷する状
態から板紙などのような厚紙を印刷する場合には、前記
圧縮コイルばね８，１３の付勢力に抗してシェル２を互
いに接近させる方向へ押圧すると、ロックロッド９，１
０の先端が前述したようなテーパ状になっているため、
上記押圧力によりロックロッド９，１０の先端がベアラ
３のロック穴３ｅから外れるように当該ロック穴３ｅに
対して滑動し、普通紙印刷状態でのシェル２の位置決め
固定支持が解除され、引き続いてシェル２を押圧するこ
とによりシェル２がスライダブロック４，６，７および
リンクロッド５ａ，５ｂなどで案内されながら胴本体１
に接近する方向へ移動し、ロックロッド９，１０の先端
がベアラ３のロック穴３ｆの位置にまで到達することに
より、前記圧縮コイルばね１３の付勢力により当該ロッ
クロッド９，１０の先端が上記ロック穴３ｆに嵌入する
ように当該ロックロッド９，１０がスライド移動し、当
該ロックロッド９，１０を介してシェル２がベアラ３に
対して位置決め固定支持され、厚紙の印刷が可能とな
る。

【００２３】このため、上述した胴装置では、次のよう
な効果を得ることができる。 （１）普通紙印刷時と厚紙印刷時との切り換えを簡単な
装置構成で行うことができるので、印刷機周辺に余計な
機器類を配設する必要がない。 （２）胴本体１に流路などの中空部を形成する必要がな
いので、胴本体１の剛性低下を引き起こすことがなく、
印刷品質の低下を招くようなことがない。 （３）シェル２が一定形状の金属材料からなるので、シ
ェル２が劣化したり、折り目を有したりすることがな
く、保守管理等が容易であると共に、印刷品質の低下を
招くようなことがない。

【００２４】したがって、このような胴装置によれば、
構成や保守管理等が容易で印刷品質の低下を防止するこ
とができる。

【００２５】なお、本実施の形態では、案内部材付勢手
段として圧縮コイルばね８を適用したが、例えば、図８
に示すように、案内部材付勢手段としてガススプリング
１４を適用することも可能である。

【００２６】また、胴本体１の形状は、シェル２の移動
等に不都合を生じなければ、特に限定されない。

【００２７】

【発明の効果】本発明による胴装置を枚葉紙輪転印刷機
の渡胴に適用すれば、以下のような効果を得ることがで
きる。 （１）普通紙印刷時と厚紙印刷時との切り換えを簡単な
装置構成で行うことができるので、印刷機周辺に余計な
機器類を配設する必要がない。 （２）胴本体に流路などの中空部を形成する必要がない
ので、胴本体の剛性低下を引き起こすことがなく、印刷
品質の低下を招くようなことがない。 （３）シート状物案内部材が一定形状の剛性体であるの
で、劣化や折り目を生じたりすることがなく、保守管理
等が容易であると共に、印刷品質の低下を招くようなこ
とがない。よって、印刷品質の低下を防止しながら構成
や保守管理等の容易化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による胴装置の実施の形態の要部の概略
構成を表す分解斜視図である。

【図２】案内部材付勢手段の概略構造図である。

【図３】位置決め支持手段の要部の概略構造図である。

【図４】普通紙を印刷する場合の要部の概略構造図であ
る。

【図５】図４のＶ−Ｖ線断面矢視図である。

【図６】図４のVI−VI線断面矢視図である。

【図７】厚紙を印刷する場合の要部の概略構造図であ
る。

【図８】本発明による胴装置の他の実施の形態の案内部
材付勢手段の概略構造図である。

【図９】従来の胴装置の普通紙を印刷する場合の概略構
成図である。

【図１０】従来の胴装置の厚紙を印刷する場合の概略構
成図である。

【符号の説明】

１ 胴本体 ２ シェル ３ ベアラ ３ａ〜３ｄ スライド溝 ３ｅ，３ｆ ロック穴 ４ スライダブロック ５ａ，５ｂ リンクロッド ６，７ スライダブロック ８ 圧縮コイルばね ９，１０ ロックロッド ９ａ，１０ａ スライドピン １１ 支持ロッド １１ａ ハンドル １２ 連結プレート １２ａ，１２ｂ スライド溝 １３ 圧縮コイルばね １４ ガススプリング

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転可能に支持された胴本体と、 前記胴本体の軸心方向と略直交する方向に沿って移動で
   きるように当該胴本体に設けられ、シート状物を案内す
   るシート状物案内部材と、 前記シート状物案内部材を所定の複数の位置で位置決め
   支持する位置決め支持手段とを備えてなることを特徴と
   する胴装置。
2. 【請求項２】 前記シート状物案内部材の位置決め支持
   を解除する位置決め解除手段と、 前記シート状物案内部材を前記胴本体から離反する方向
   へ付勢する案内部材付勢手段とを設けたことを特徴とす
   る請求項１に記載の胴装置。
3. 【請求項３】 前記シート状物案内部材を前記胴本体へ
   接近させる方向へ押圧することにより前記位置決め支持
   手段の当該シート状物案内部材の位置決め支持が解除で
   きることを特徴とする請求項１に記載の胴装置。
4. 【請求項４】 前記シート状物案内部材が、前記胴本体
   の軸心方向と略直交する方向の両側にそれぞれ配設され
   て、シート状物を案内する案内面を外周に有する半円柱
   型のシェルであり、 前記位置決め支持手段が、前記シェルの軸心方向の端面
   から出没できるように当該シェルにそれぞれ設けられた
   ロックロッドと、前記胴本体の両軸端側にそれぞれ設け
   られ、前記ロックロッドの先端を着脱可能に嵌合される
   ロック穴が所定の複数の位置に形成されたベアラと、前
   記ロックロッドを前記シェルの軸心方向の端面から突出
   させる方向へ付勢するロックロッド付勢手段とを備えて
   なり、 前記位置決め解除手段が、前記ロックロッドに連結され
   て、当該ロックロッドの先端を前記シェルの軸端側から
   内側に移動させる支持ロッドを備えてなり、 前記案内部材付勢手段が、前記胴本体と前記シェルとの
   間に設けられていることを特徴とする請求項２に記載の
   胴装置。
5. 【請求項５】 前記ロックロッドの先端側が、前記胴本
   体側ほど薄い厚さとなるテーパ状に形成されていること
   を特徴とする請求項４に記載の胴装置。