JP2000215889A - 非水電解質二次電池用正極活物質およびその製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池用正極活物質およびその製造方法

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JP2000215889A
JP2000215889A JP11012807A JP1280799A JP2000215889A JP 2000215889 A JP2000215889 A JP 2000215889A JP 11012807 A JP11012807 A JP 11012807A JP 1280799 A JP1280799 A JP 1280799A JP 2000215889 A JP2000215889 A JP 2000215889A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 初期容量および充放電サイクル特性ともに優
れた非水電解質二次電池用正極活物質およびその製造方
法を提供する。 【解決手段】 一般式LiMn2O4で表される組成を
有するリチウム複合マンガン酸化合物であり、リチウム
複合マンガン酸化物粒子が高密度な中心部と中心部より
も低密度な表面層により構成されることで、初期容量お
よび充放電サイクル特性が共に優れた非水電解質二次電
池用正極活物質を得ることができる。また、このリチウ
ム複合マンガン酸化物は、高密度なマンガン化合物の表
面に化学合成法により合成されたマンガン化合物を被覆
した構造のマンガン化合物と、リチウム化合物とを混合
し、加熱し合成することにより得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非水電解質二次電
池における正極活物質およびその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、民生用電子機器のポータブル化、
コードレス化が急速に進んでおり、これらの駆動用電源
を担う小型・軽量で、高エネルギー密度を有する二次電
池への要望も高まっている。このような観点から、非水
系二次電池、特にリチウム二次電池は、とりわけ高電圧
・高エネルギー密度を有する電池としてその期待は大き
く、開発が急がれている。
【0003】これらリチウム含有複合酸化物の中で、資
源が豊富でかつ安価であるという理由からマンガンを使
用したLiMn24が近年注目されている。LiMn2
4は4V付近と2.8V付近の2段の放電電位を持っ
ており、4V付近のプラトーな放電領域を使用し、4.
5〜3.0Vの電圧範囲で充放電を繰り返すことで高電
位、高エネルギー密度を達成することができる。このリ
チウム複合マンガン酸化物の主な製造方法としては、マ
ンガン化合物とリチウム化合物を所定のモル比となるよ
うに混合した後、熱処理し合成する方法が一般的であ
る。例えば、水酸化リチウムと酸化マンガンを混合した
混合物を粉砕した後、焼成することにより両者の反応を
短時間で、均一に進行させる方法(特開平6−7682
4号公報)、500℃以下の温度で第1の熱処理をおこ
なった後に、500℃以上850℃以下の温度で第2の
熱処理をおこなうことでより組成が均一なスピネル構造
を得る方法(特開平8−217452号公報)、200
℃以上500℃未満で熱処理をした後、500℃以上8
50℃以下で再度熱処理をおこなうことで高容量なリチ
ウムマンガン酸化物を得る方法(特開平9−86933
号公報)などがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これらリチウム複合マ
ンガン酸化物を合成する出発物質として、リチウム化合
物とマンガン化合物が用いられるが、この出発物質とし
て用いられるマンガン化合物は、多くの場合、酸性浴中
に溶解しているマンガン塩を電気分解により電極表面上
に析出させて得た二酸化マンガン、いわゆる電解二酸化
マンガンである。この電解二酸化マンガンの特徴として
は電解析出により造られるため、密度が高く緻密なもの
である。また、ブロック状のものを所定の粒度に粉砕す
るため形状はごつごつした塊状になる。このため、電解
二酸化マンガンを出発物質として合成したリチウム複合
マンガン酸化物も、同様の密度が高く緻密な性状とな
り、これを正極活物質として用いた電池は、密度が高い
ため初期容量は高いが、緻密であるため保液性が低く、
また充放電に伴う膨張収縮に弱いという理由から、充放
電サイクル特性の悪い電池となる課題を有していた。
【0005】本発明はこれらの課題を解決するものであ
り、初期容量が高く、かつ充放電サイクル特性も良好な
非水電解質二次電池用正極活物質およびその製造方法を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の非水電解質二次電池用正極活物質は、リチウ
ム複合マンガン酸化物粒子が高密度な中心部と中心部よ
り低密度な表面層により構成されるものであり、粒子の
内側は緻密で高密度であるため初期容量が高く、粒子の
外側は低密度で保液性が良く、充放電に伴う膨張収縮に
強い非水電解質二次電池用正極活物質となる。
【0007】また、本発明の非水電解質二次電池用正極
活物質の製造方法は、中心部の高密度なマンガン化合物
の表面に化学合成法により合成されたマンガン化合物を
被覆したマンガン化合物と、リチウム化合物とを混合、
加熱し合成を行うものであり、リチウム複合マンガン酸
化物の出発物質であるマンガン化合物の粒子として、中
心部に高密度なマンガン化合物を、表面層に化学合成法
により合成されたマンガン化合物を用いることにより、
粒子の内側は緻密で高密度であるため初期容量が高く、
粒子の外側は低密度で保液性が良く、充放電に伴う膨張
収縮に強い非水電解質二次電池用正極活物質を得るもの
である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は、リチウム複合マンガン
酸化物粒子が、高密度な中心部と中心部よりも低密度な
表面層により構成されることを特徴とした非水電解質二
次電池用正極活物質である。
【0009】また、本発明は、高密度なマンガン化合物
の表面に、化学合成法により合成されたマンガン化合物
を被覆した構造のマンガン化合物と、リチウム化合物と
を混合し、加熱し合成を行う非水電解質二次電池用正極
活物質の製造方法である。
【0010】さらに、高密度なマンガン化合物として、
電解法により合成された電解二酸化マンガンを用いるも
のである。
【0011】電解二酸化マンガンは、酸性浴中に溶解し
ているマンガン塩を電気分解により電極表面上に析出さ
せることにより合成される。この電解二酸化マンガンの
特徴としては、電解析出により造られるため、密度が高
く緻密なものとなる。また、ブロック状のものを所定の
粒度に粉砕するため、二次粒子の形状はごつごつした塊
状になる。このため、電解二酸化マンガンを出発物質と
して合成したリチウム複合マンガン酸化物も同様の性状
となり、これを正極活物質として用いた電池は、密度が
高いため体積当たりの初期容量は高いが、緻密であるた
め保液性が低く、また、充放電に伴う膨張収縮に弱いと
いう理由から、充放電サイクル特性の悪い電池となる。
【0012】この電解析出によりマンガン化合物を生成
する方法に対し、化学合成によりマンガン化合物を生成
する方法がある。この化学合成によるマンガン化合物の
合成方法は、硫酸マンガン、硝酸マンガン、酢酸マンガ
ンをはじめとするマンガンの酸性水溶液中に、炭酸アン
モニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭
酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカ
リ水溶液を添加し、沈殿物としてマンガン化合物を得る
ものである。この時、反応条件を調節することにより生
成するマンガン化合物の物性、例えば粒径、比表面積、
密度、結晶性などを制御することができる。例えば、反
応槽のpH、反応時間などを調節することにより粒径が
制御でき、pHを低くし、反応時間を長くするほど粒径
は大きくなる。
【0013】化学合成によるマンガン化合物の典型的な
合成法を以下に述べる。まず、硫酸マンガンの水溶液に
炭酸アンモニウムの水溶液を添加し、炭酸マンガンを沈
殿物として得る。この炭酸マンガンに酸化などの処理を
行うことにより、様々なマンガン化合物を合成すること
ができる。例えば、炭酸マンガンを300℃以上で加熱
することによりMnO2に、さらに高温で加熱すること
によりMn23,Mn34を生成することができる。
【0014】これらの化学合成法による化合物は液相で
目的とする粒度に合成されるため、粉砕の必要がなく、
二次粒子は球状に近い形状を有し、密度が低く多孔質な
ものとなる。このため、化学合成法により合成されたマ
ンガン化合物を出発物質として合成したリチウム複合マ
ンガン酸化物も同様の性状となり、これを正極活物質と
して用いた電池は、密度が低く多孔質であるため保液性
が高く、また、充放電に伴う膨張収縮に強いという理由
から、充放電サイクル特性は良好であるが、密度が低い
ため体積当たりの初期容量が悪い電池となる。
【0015】この問題に対し、本発明では正極活物質で
あるリチウム複合マンガン酸化物粒子が、高密度な中心
部と中心部よりも低密度な表面層により構成されるもの
であり、出発物質として高密度な中心部と中心部よりも
低密度な表面層からなるマンガン化合物を用いて合成す
ることにより、同様の性状のリチウム複合マンガン酸化
物を得るものである。
【0016】高密度な中心部と中心部よりも低密度な表
面層からなるマンガン化合物は以下のように合成するこ
とができる。硫酸マンガン、硝酸マンガン、酢酸マンガ
ンをはじめとするマンガンの酸性水溶液中に、電解二酸
化マンガンのように高密度なマンガン化合物を懸濁させ
る。この懸濁液中に、炭酸アンモニウム、炭酸水素アン
モニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸
化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液を添加すること
により、電解二酸化マンガンの表面を化学合成によるマ
ンガン化合物で被覆することができる。
【0017】これを原材料として、リチウム化合物と混
合、加熱し合成したリチウム複合マンガン酸化物を正極
活物質として用いた電池は、中心部は密度が高く緻密で
あるため、体積当たりの初期容量が高くなり、また、表
面層は中心部より低密度であるため保液性が高く、充放
電に伴う膨張収縮に強いため、充放電サイクル特性が良
好になる。
【0018】中心部の高密度なマンガン化合物としては
電解二酸化マンガンが好ましく、これは密度が高く緻密
であり、二次粒子の形状はごつごつした塊状をしてい
る。
【0019】また、化学合成法により合成されるマンガ
ン化合物としては、化学合成二酸化マンガンをはじめと
して、三二酸化マンガン(Mn23)、四三酸化マンガ
ン(Mn34)、炭酸マンガン(MnCO3)、オキシ
水酸化マンガン(MnOOH)などがあり、これらは前
記のように球状に近い二次粒子の形状を有し、密度が低
く多孔質なものである。
【0020】また、高密度なマンガン化合物と化学合成
法により合成されたマンガン化合物の割合が、マンガン
の原子モル比で30:70〜95:5とするのが好まし
い。これは電解法により得られたマンガン化合物の割合
を30%以上とすることで、活物質の密度が高くなり、
電池の初期容量を大きなものとすることができる。ま
た、化学合成法により合成されたマンガン化合物の割合
を5%以上とすることで活物質の保液性が高く、充放電
による膨張収縮に強くなり、充放電サイクル特性を向上
することができるためである。さらに、高密度なマンガ
ン化合物と化学合成法により合成されたマンガン化合物
の割合がマンガンの原子モル比で70:30から95:
5の場合、初期容量と充放電サイクル特性ともにより良
好な値を示す。
【0021】このような高密度な中心部と中心部よりも
低密度な表面層により構成される二酸化マンガンは、高
密度な中心部の密度に対し表面層の密度が0.75〜
0.9であるのが電池特性の面から好ましく、例えば、
中心部がタップ密度で約2.0g/ccの二酸化マンガ
ンを用いた時、表面層の二酸化マンガンのタップ密度は
1.3〜1.8g/ccであるのが好ましい。
【0022】(実施の形態1)化学合成二酸化マンガン
を表面層として被覆した電解二酸化マンガンの製造方法
について説明する。マンガン塩水溶液として、マンガン
量が60g/L相当の硫酸マンガン水溶液を入れ、40
℃に制御した10Lの反応槽に電解二酸化マンガンを混
濁させる。この反応槽内を十分に撹拌しながら、炭酸ア
ンモニウム水溶液を注入し、電解二酸化マンガン表面に
炭酸マンガンを析出させる。電解二酸化マンガンに対す
る炭酸マンガンの比率は反応時間により制御できる。反
応終了後、炭酸マンガンを表面層として被覆した電解二
酸化マンガンを水中で水洗、濾過を行う。さらに空気中
300℃で加熱を行うことにより表面層の炭酸マンガン
を二酸化マンガンに変化させる。
【0023】このように作製した化学合成二酸化マンガ
ンを表面層として被覆した二酸化マンガンと炭酸リチウ
ムを混合し、電気炉中に静置し、空気雰囲気下で2時間
で850℃まで昇温した後、850℃で10時間保持す
ることによりリチウム複合マンガン酸化物(LiMn2
4)を得る。
【0024】
【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を参照
しながら説明する。
【0025】(実施例1)本実施例のリチウム複合マン
ガン酸化物の合成法について説明する。
【0026】中心部の電解二酸化マンガン(MnO2
の表面に化学合成二酸化マンガン(MnO2)を被覆し
たマンガン化合物は下記の方法により得た。
【0027】マンガン塩水溶液として、マンガン量が6
0g/L相当の硫酸マンガン水溶液を入れ、40℃に制
御した10Lの反応槽にタップ密度約2.0g/ccの
電解二酸化マンガンを混濁させる。この反応槽内を十分
に撹拌しながら、炭酸アンモニウム水溶液を注入し、電
解二酸化マンガン表面に化学合成二酸化マンガンのタッ
プ密度が約1.5g/ccとなるよう調整し、炭酸マン
ガンを析出させた。電解二酸化マンガンに対する炭酸マ
ンガンの比率は反応時間により制御した。反応終了後、
炭酸マンガンを表面層として被覆した電解二酸化マンガ
ンを水中で水洗、濾過を行う。さらに空気中300℃で
加熱を行うことにより表面層の炭酸マンガンを二酸化マ
ンガンに変化させた。
【0028】このようにして得られた中心部の電解二酸
化マンガンの表面に化学合成二酸化マンガンを被覆した
マンガン化合物と炭酸リチウム(Li2CO3)をMnと
Liとの原子モル比が1:0.5になるように混合し
た。この混合物をアルミナ製容器に入れ電気炉中に静置
し、送風10l/minの空気雰囲気下で、2時間で8
50℃まで昇温した後、850℃で10時間保持するこ
とによりLiMn24を合成した。この時電解二酸化マ
ンガンと化学合成二酸化マンガンの比率はマンガンの原
子モル比で表1に示した割合とした。得られたLiMn
24を粉砕、分級して電池用活物質A〜Fとした。
【0029】
【表1】
【0030】次に、得られた電池用活物質A〜Fを用い
て電池評価を行った。図1は本実施例に用いた円筒型リ
チウム二次電池の縦断面図である。図1において正極板
5および負極板6がセパレータ7を介して複数回渦巻状
に巻回し構成された極板群4が耐有機電解液性のステン
レス鋼板を加工した電池ケース1内に収納されている。
正極板5からは正極アルミリード5aが引き出されて封
口板2に接続され、負極板6からは負極ニッケルリード
6aが引き出されて電池ケース1の底部に接続されてい
る。極板群4の上下部にそれぞれ絶縁リング8が設けら
れており、電池ケース1の開口部は、安全弁を設けた封
口板2および絶縁パッキング3により封口されている。
負極板6は炭素材料(本実施例においてはピッチ系球状
黒鉛を用いた)にスチレン−ブタジエンゴムの水性ディ
スパージョンを重量比で100:3.5の割合で混合
し、これをカルボキシメチルセルロースの水溶液に懸濁
させてペースト状にしたものを銅箔の両面に塗着し、乾
燥後、圧延し所定の大きさに切り出し負極板を作製し
た。なお、スチレン−ブタジエンゴムの水性ディスパー
ジョンの混合比率はその固形分で計算している。正極板
5は、合成した正極活物質A〜FのLiMn24にアセ
チレンブラックおよびポリ四フッ化エチレンの水性ディ
スパージョンを重量比で100:2.5:7.5の割合
で混合し、これをカルボキシメチルセルロースの水溶液
に懸濁させてペースト状にした。次いでこのペーストを
アルミ箔の両面に塗着し、乾燥後、圧延し所定の大きさ
に切り出して正極板を作製した。なお、ポリ四フッ化エ
チレンの水性ディスパージョンの混合比率はその固形分
で計算している。
【0031】上記方法により作製した正、負極板にそれ
ぞれリードを取付け、ポリエチレン製のセパレータを介
して渦巻き状に巻回し、電池ケースに収納した。電解液
にはエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート
を体積比で1:3で混合した溶媒に6フッ化リン酸リチ
ウム(LiPF6)を1.5mol/l溶解したものを
用いた。この電解液を上記の電池ケースに減圧注液後封
口し、電池A〜Fとした。
【0032】これら電池A〜Fを用いて下記の条件で試
験を行った。まず、20℃で電池電圧4.2Vまで12
0mAの定電流で充電した後1時間休止を行い、その後
120mAの定電流で電池電圧3.0Vまで放電する。
この方法で充放電を3回繰り返し、3回目の放電容量を
初期容量とした。さらに、20℃で充放電電流を120
mAとし、充電終止電圧4.2V、放電終止電圧3.0
Vの条件で定電流充放電サイクル試験を行った。初期容
量に対する300サイクル時点での放電容量を%で表し
たものを容量維持率として算出した。この結果を表2に
示す。
【0033】
【表2】
【0034】表2より、初期容量は電解二酸化マンガン
の比率が高くなるほど大きくなっている。これは電解二
酸化マンガンの密度が高いため、電解二酸化マンガンの
比率が多くなるほど体積当たりの充填量が多くなるから
である。電解二酸化マンガンが95%の時の放電容量が
最大値となっているが、これは電解二酸化マンガンの空
孔に化学合成二酸化マンガンが充填され、より重質化さ
れているためであると考えられる。
【0035】一方、容量維持率は電解二酸化マンガンの
比率が少なくなるほど良好である。これは緻密な電解二
酸化マンガンの表面に緻密ではない化学合成二酸化マン
ガンの層が形成されることにより、充放電による膨張収
縮に強くなり充放電サイクルが良くなると考えられる。
以上のことから、電解二酸化マンガンと化学合成二酸化
マンガンの割合が、30:70から95:5の時が初期
容量、サイクル容量維持率とも良好であるといえる。
【0036】(実施例2)本実施例のリチウム複合マン
ガン酸化物の合成法について説明する。
【0037】中心部である電解二酸化マンガン(MnO
2)の表面に四三酸化マンガン(Mn34)を被覆した
マンガン化合物と炭酸リチウム(Li2CO3)をMnと
Liとの原子モル比が1:0.5になるように混合し
た。この混合物をアルミナ製容器に入れ電気炉中に静置
し、送風10l/minの空気雰囲気下、2時間で85
0℃まで昇温した後、850℃で10時間保持すること
によりLiMn24を合成した。この時電解二酸化マン
ガンと四三酸化マンガンの比率はマンガンの原子モル比
で表3に示した割合とした。得られたLiMn24を粉
砕、分級して電池用活物質G〜Kとした。
【0038】
【表3】
【0039】上記、電池用活物質G〜Kを用いて電池評
価を行った。電池の構成は実施例1と同様にした。
【0040】これら電池G〜Kを用いて実施例1と同様
の条件で、初期容量および容量維持率を測定した。この
結果を表4に示す。
【0041】
【表4】
【0042】表4より、初期容量は電解二酸化マンガン
の比率が高くなるほど大きくなっている。これは電解二
酸化マンガンの密度が高いため、電解二酸化マンガンの
比率が多くなるほど体積当たりの充填量が多くなるから
である。電解二酸化マンガンが95%の時最大値となっ
ているのは電解二酸化マンガンの空孔に四三酸化マンガ
ンが充填され重質化されているためであると考えられ
る。容量維持率は電解二酸化マンガンの比率が少なくな
るほど良好である。これは緻密な電解二酸化マンガンの
表面に緻密ではない四三酸化マンガンの層が形成される
ことにより、充放電による膨張収縮に強くなり充放電サ
イクルが良くなると考えられる。以上のことから、電解
二酸化マンガンと四三酸化マンガンの割合が、30:7
0から95:5の時が初期容量、サイクル容量維持率と
も良好であると考えられる。
【0043】(実施例3)本実施例のリチウム複合マン
ガン酸化物の合成法について説明する。
【0044】中心部である電解二酸化マンガン(MnO
2)の表面に三二酸化マンガン(Mn23)を被覆した
マンガン化合物と炭酸リチウム(Li2CO3)をMnと
Liとの原子モル比が1:0.5になるように混合し
た。この混合物をアルミナ製容器に入れ電気炉中に静置
し、送風10l/minの空気雰囲気下、2時間で85
0℃まで昇温した後、850℃で10時間保持すること
によりLiMn24を合成した。この時電解二酸化マン
ガンと三二酸化マンガンの比率はマンガンの原子モル比
で表5に示した割合とした。得られたLiMn24を粉
砕、分級して電池用活物質L〜Pとした。
【0045】
【表5】
【0046】上記、電池用活物質L〜Pを用いて電池評
価を行った。電池の構成は実施例1と同様にした。
【0047】これら電池L〜Pを用いて実施例1と同様
の条件で、初期容量および容量維持率を測定した。この
結果を表6に示す。
【0048】
【表6】
【0049】表6より、初期容量は電解二酸化マンガン
の比率が高くなるほど大きくなっている。これは電解二
酸化マンガンの密度が高いため、電解二酸化マンガンの
比率が多くなるほど体積当たりの充填量が多くなるから
である。電解二酸化マンガンが95%の時最大値となっ
ているのは電解二酸化マンガンの空孔に三二酸化マンガ
ンが充填され重質化されているためであると考えられ
る。容量維持率は電解二酸化マンガンの比率が少なくな
るほど良好である。これは緻密な電解二酸化マンガンの
表面に緻密ではない三二酸化マンガンの層が形成される
ことにより、充放電による膨張収縮に強くなり充放電サ
イクルが良くなると考えられる。以上のことから、電解
二酸化マンガンと三二酸化マンガンの割合が、30:7
0から95:5の時が初期容量、サイクル容量維持率と
も良好であると考えられる。
【0050】(実施例4)本実施例のリチウム複合マン
ガン酸化物の合成法について説明する。
【0051】中心部である電解二酸化マンガン(MnO
2)の表面に化学合成の炭酸マンガン(MnCO3)を被
覆したマンガン化合物と炭酸リチウム(Li2CO3)を
MnとLiとの原子モル比が1:0.5になるように混
合した。この混合物をアルミナ製容器に入れ電気炉中に
静置し、送風10l/minの空気雰囲気下、2時間で
850℃まで昇温した後、850℃で10時間保持する
ことによりLiMn2O4を合成した。この時電解二酸
化マンガンと炭酸マンガンの比率はマンガンの原子モル
比で表7に示した割合とした。得られたLiMn24
粉砕、分級して電池用活物質Q〜Uとした。
【0052】
【表7】
【0053】上記、電池用活物質Q〜Uを用いて電池評
価を行った。電池の構成は実施例1と同様にした。
【0054】これら電池Q〜Uを用いて実施例1と同様
の条件で、初期容量および容量維持率を測定した。この
結果を表8に示す。
【0055】
【表8】
【0056】表8より、初期容量は電解二酸化マンガン
の比率が高くなるほど大きくなっている。これは電解二
酸化マンガンの密度が高いため、電解二酸化マンガンの
比率が多くなるほど体積当たりの充填量が多くなるから
である。電解二酸化マンガンが95%の時最大値となっ
ているのは電解二酸化マンガンの空孔に炭酸マンガンが
充填され重質化されているためであると考えられる。容
量維持率は電解二酸化マンガンの比率が少なくなるほど
良好である。これは緻密な電解二酸化マンガンの表面に
緻密ではない炭酸マンガンの層が形成されることによ
り、充放電による膨張収縮に強くなり充放電サイクルが
良くなると考えられる。以上のことから、電解二酸化マ
ンガンと炭酸マンガンの割合が、30:70から95:
5の時が初期容量、サイクル容量維持率とも良好である
と考えられる。
【0057】(実施例5)本実施例のリチウム複合マン
ガン酸化物の合成法について説明する。
【0058】中心部である電解二酸化マンガン(MnO
2)の表面にオキシ水酸化マンガン(MnOOH)を被
覆したマンガン化合物と炭酸リチウム(Li2CO3)を
MnとLiとの原子モル比が1:0.5になるように混
合した。この混合物をアルミナ製容器に入れ電気炉中に
静置し、送風10l/minの空気雰囲気下、2時間で
850℃まで昇温した後、850℃で10時間保持する
ことによりLiMn2O4を合成した。この時電解二酸
化マンガンと三二酸化マンガンの比率はマンガンの原子
モル比で表9に示した割合とした。得られたLiMn2
4を粉砕、分級して電池用活物質V〜Zとした。
【0059】
【表9】
【0060】上記、電池用活物質V〜Zを用いて電池評
価を行った。電池の構成は実施例1と同様にした。
【0061】これら電池V〜Zを用いて実施例1と同様
の条件で、初期容量および容量維持率を測定した。この
結果を表10に示す。
【0062】
【表10】
【0063】表10より、初期容量は電解二酸化マンガ
ンの比率が高くなるほど大きくなっている。これは電解
二酸化マンガンの密度が高いため、電解二酸化マンガン
の比率が多くなるほど体積当たりの充填量が多くなるか
らである。電解二酸化マンガンが95%の時最大値とな
っているのは電解二酸化マンガンの空孔にオキシ水酸化
マンガンが充填され重質化されているためであると考え
られる。容量維持率は電解二酸化マンガンの比率が少な
くなるほど良好である。これは緻密な電解二酸化マンガ
ンの表面に緻密ではないオキシ水酸化マンガンの層が形
成されることにより、充放電による膨張収縮に強くなり
充放電サイクルが良くなると考えられる。以上のことか
ら、電解二酸化マンガンとオキシ水酸化マンガンの割合
が、30:70から95:5の時が初期容量、サイクル
容量維持率とも良好であると考えられる。
【0064】なお、本実施例ではリチウム化合物として
炭酸リチウムを用いたが、水酸化リチウム、硝酸リチウ
ム、酸化リチウムなどの他のリチウム化合物を用いても
同様の効果が得られる。
【0065】また、負極としてリチウムの吸蔵放出が可
能な種々の炭素質材、リチウム合金、インターカレーシ
ョンが可能な無機物系負極を用いた電池においても同様
の効果が見られる。さらに、電解質として本実施例で用
いたエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート
の混合溶媒に六フッ化リン酸リチウムを溶解したもの以
外の組合せの溶媒にリチウム塩を溶解した電解液、ポリ
マ電解質を用いた電池においても効果が見られる。
【0066】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、高密度な
中心部と中心部よりも低密度な表面層からなる粒子を形
成することにより、初期容量、充放電サイクル特性とも
に優れたリチウム二次電池用正極活物質を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の円筒型リチウム二次電池の縦断面図
【符号の説明】
1 電池ケース 2 封口板 3 絶縁パッキング 4 極板群 5 正極板 5a 正極リード 6 負極板 6a 負極リード 7 セパレータ 8 絶縁リング
フロントページの続き (72)発明者 伊藤 邦夫 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 永山 雅敏 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 新田 芳明 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4G048 AA04 AB02 AB05 AC06 AD03 AE05 5H003 AA02 AA04 BA01 BB05 BC01 BC05 BD03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式LiMn24で表される組成を有
    するリチウム複合マンガン酸化物であり、前記リチウム
    複合マンガン酸化物粒子が高密度な中心部と中心部より
    も低密度な表面層により構成されることを特徴とする非
    水電解質二次電池用正極活物質。
  2. 【請求項2】 一般式LiMn24で表される組成を有
    するリチウム複合マンガン酸化物からなる非水電解質二
    次電池用正極活物質の製造方法であり、高密度なマンガ
    ン化合物の表面に化学合成法により合成されたマンガン
    化合物を被覆した構造のマンガン化合物と、リチウム化
    合物とを混合し、加熱し合成することを特徴とする非水
    電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  3. 【請求項3】 高密度なマンガン化合物が電解二酸化マ
    ンガンである請求項2記載の非水電解質二次電池用正極
    活物質の製造方法。
  4. 【請求項4】 化学合成法により合成されたマンガン化
    合物が化学合成二酸化マンガン、四三酸化マンガン、三
    二酸化マンガン、炭酸マンガンあるいはオキシ水酸化マ
    ンガンからなる群のうち少なくとも一つである請求項2
    記載の非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  5. 【請求項5】 高密度なマンガン化合物と化学合成法に
    より合成されたマンガン化合物の割合がマンガンの原子
    モル比で30:70から95:5である請求項2から4
    のいずれかに記載の非水電解質二次電池用正極活物質の
    製造方法。
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