JP2000212789A - 電鋳方法、電鋳装置および光記録媒体製造用スタンパの製造方法 - Google Patents

電鋳方法、電鋳装置および光記録媒体製造用スタンパの製造方法

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JP2000212789A
JP2000212789A JP11009050A JP905099A JP2000212789A JP 2000212789 A JP2000212789 A JP 2000212789A JP 11009050 A JP11009050 A JP 11009050A JP 905099 A JP905099 A JP 905099A JP 2000212789 A JP2000212789 A JP 2000212789A
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electroforming
cathode
film
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stamper
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Morikazu Kikuchi
司和 菊地
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Nippon Columbia Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】短い電鋳時間で効率よく膜厚の均一な電鋳膜を
得る。 【解決手段】電鋳液40の液面18に対する陰極20の
高さを変化35させつつ、互いに対向するように配置さ
れた陽極21と陰極20との間に電圧を印加することに
より、陰極20の表面に電鋳物を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電鋳方法および電
鋳装置に係り、特に、光記録媒体製造用スタンパの製造
に適する電鋳方法および電鋳装置と、該方法を用いたス
タンパの製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】現在、音楽情報、映像情報およびコンピ
ュータプログラム等を記録した媒体としてCD(Compac
t Disc)が普及し、大きな市場を形成している。また、
近年になってCDの7倍以上の記録密度を有するDVD
(Digital Versatile Disc)が発売され、高音質の音楽
パッケージ、高画質の映像パッケージおよび大容量のコ
ンピュータ用データパッケージとして普及しつつある。
【0003】これらの光ディスクは、例えば、樹脂基板
(レプリカ基板)と、金属からなる反射層と、反射層を
覆う保護層とがこの順に積層された構造となっている。
樹脂基板の反射層側の表面には、微細な窪み(ピット)
が設けられており、反射層はこのピットに倣う形状にな
っている。このような構成の光ディスクでは、基板側か
ら入射して反射層表面で反射する光(再生光)の反射率
が、このピットの有無に応じて異なるという原理により
情報が記録/再生される。
【0004】このような基板表面にピットを有する光デ
ィスクを製造する場合、一般に、レプリカ基板は、スタ
ンパと呼ばれるピット形成用金型を用いて熱可塑性樹脂
(ポリカーボネート等)を射出成形することによって大
量生産される。また、ピットを備えない基板表面にピッ
トを備える記録層を設け、その表面に反射層および保護
層を設ける場合、基板表面に光硬化樹脂膜を形成し、こ
の光硬化樹脂をスタンパで押圧することにより成形しつ
つ、基板側から光を照射して硬化させることにより、ピ
ットを備える記録層を形成するという手法が採られるこ
とがある。
【0005】これらの場合に用いられるスタンパは、例
えば、所定のパターンに形成された感光性樹脂の表面に
金属を電鋳することにより製造される。具体的には、表
面を研磨し、表面処理剤で処理したガラス原盤に、感光
性樹脂前駆体組成物をスピンコート法で均一に塗布し、
プリベークし、レーザカッティングマシンで所望のパタ
ーンに露光させ、現像する。これにより、所望のパター
ンのピット、グループ等を備える感光性樹脂層が形成さ
れる。次に、得られた感光性樹脂層表面を、スパッタリ
ング法によりニッケル、クロム等の導体層で被覆し、さ
らに電鋳法により導体層が任意の厚さになるまで導体を
析出させる。最後に、所望の厚さになった導体層をガラ
ス原盤から剥離させ、得られた導体板の表面に残った感
光性樹脂を溶剤により除去して洗浄した後、導体板の裏
面を研磨・洗浄して厚さを均一にし、さらに所定の内・
外径になるように外周部を加工することにより、スタン
パが得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような電鋳による
スタンパの作製には、電気力線が集中する陰極外周部の
板厚が、中心部よりも厚くなるという特徴がある。この
ため、対向する陰極と陽極との間に遮蔽板として絶縁性
の補助部材を設ける方法(特開昭59−177388号
公報、特開昭60−17089号公報、特開昭61−2
79699号公報)や、陰極のホルダに疑似陰極を設け
る方法(特開平5−25676号公報)など、外周部へ
の電気力線の集中を抑え、電鋳膜の膜厚分布を均一化す
るための方法が、いくつか提案されている。しかし、こ
れら遮蔽板、疑似陰極等を設けることにより電気力線の
集中を抑えるこれらの方法は、電鋳効率が悪い。
【0007】そこで、本発明は、短い電鋳時間で効率よ
く膜厚の均一な電鋳膜を得ることのできる電鋳方法およ
び電鋳装置と、該方法を用いた光ディスク製造用スタン
パの製造方法とを提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】電鋳により陰極表面に電
鋳膜を形成すると、その電鋳膜の厚さは、電鋳液中での
陰極の位置に応じて変化する。図1(a)に示すよう
に、円盤状の陰極20を電鋳液40中に完全に浸漬して
電鋳した場合、形成される電鋳膜39は、陰極20の外
周部で厚くなり、中央部で薄くなる。陰極20を電鋳液
40中に完全に浸漬したまま、めっき面の中心を回転軸
として回転させても、同様に外周部が厚い電鋳膜39が
得られる(図1(b))。
【0009】また、図1(c)に示すように、陰極20
の一部が電鋳液中に浸漬しない状態で電鋳を行うと、形
成される電鋳膜39は、陰極20の電鋳液中40に浸漬
した領域(すなわち、電極20の外周と電鋳液40の液
面18とに囲まれた液面18より下側の領域)に形成さ
れ、当該領域の外周部で厚くなる。このように陰極20
の一部を浸漬した状態でめっき面の中心を回転軸として
陰極20を回転させつつ電鋳を行うと、図1(d)に示
すように、同心円状の2つのピークを有する不均一な膜
厚分布となる。
【0010】さらに、図1(e)に示すように、陰極2
0のめっき面の中心が電鋳液40の液面18に位置する
ようにして、陰極20の半分を電鋳液40中に浸漬させ
た状態で電鋳を行うと、形成される電鋳膜39は、やは
り陰極20の電鋳液40中に浸漬した領域(すなわち、
電極20のめっき面下半分)の外周部で厚くなる。この
ように陰極20を半分浸漬した状態でめっき面の中心を
回転軸として陰極20を回転させつつ電鋳を行うと、図
1(f)に示すように、外周部と中心部が厚い電鋳膜3
9が得られる。
【0011】本発明では、このような電気力線が外周部
へ集中する電鋳の特性を生かし、電鋳時間を短縮しつ
つ、効率よく厚さの均一な電鋳膜を得る方法が提供され
る。すなわち、本発明では、互いに対向するように配置
された陽極と陰極との間に、電鋳液中で電圧を印加する
ことにより、陰極の表面に電鋳物を形成する電鋳方法で
あって、電鋳液の液面に対する陰極の高さを変化させる
電鋳方法が提供される。電鋳液の液面に対する陰極の高
さを変化させると、陰極の電鋳液への浸漬の度合い、す
なわち、陰極の電鋳面の面積に対する電鋳液中に没して
いる電鋳面の面積の割合が変化する。なお、陰極の高さ
の変化は、所定の時間をかけて徐々に行われることが望
ましく、電鋳膜の成長に応じて行われるようにしてもよ
い。
【0012】また、本発明では、被電鋳物を保持し、該
被電鋳物に電圧を印加するための陰極機構と、陰極機構
の少なくとも高さを変位させる陰極移動機構とを備える
電鋳装置が提供される。なお、本発明の電鋳装置は、陰
極移動機構の動作を制御する制御装置を備え、当該制御
装置は、陰極機構の高さの推移に関する情報の入力を受
け付けて、該入力された情報にしたがって、陰極機構の
高さを経時的に変位させる手段を備えることが望まし
い。このようにすれば、形成される電鋳膜の膜厚を正確
に制御できる。
【0013】なお、本発明は円形のめっき面を備える陰
極を用いて電極を行う場合に、適している。特に、厚さ
が均一で平坦な電鋳膜を得ることができるため、光ディ
スクなどの光記憶媒体を製造するためのスタンパの製造
に用いれば、短い電鋳時間で効率よくスタンパを作製す
ることができ、好ましい。そこで、本発明では、上述の
本発明の電鋳方法を用いたスタンパの製造方法が提供さ
れる。
【0014】すなわち、本発明では、基板表面に所定の
パターンの記録層を形成する記録工程と、記録層を覆う
ように、前記基板表面に導電性の薄膜を形成する下地形
成工程と、導電性薄膜を陰極として、本発明の電鋳処理
により該導電性薄膜表面に導体からなる導体膜を形成す
る電鋳工程と、導体膜を前記基板から剥離させてスタン
パとする後処理工程とを備える光記録媒体製造用スタン
パの製造方法が提供される。
【0015】なお、スタンパは、射出成形における樹脂
の充填速度を上げるために、厚さ分布に勾配を付けるこ
とが望ましい場合がある。このような場合にも、本発明
によれば、陰極の移動速度を適宜制御することにより、
所望の厚さ勾配にすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について図
面を用いて説明する。なお、以下の実施例では、ガラス
マスタ(ガラス原盤表面に記録層と導電性薄膜とがこの
順で積層されたもの)を電鋳対象として、光ディスク製
造用スタンパを作製するが、本発明の電鋳方法および電
鋳装置の対象は、これに限定されるものではない。
【0017】<実施例> (1)電鋳装置 本実施例で用いた電鋳装置10は、図2に示すように、
直流電源16と、電鋳槽30と、陰極機構41と、電鋳
液供給機構42と、陰極移動機構37と、制御装置11
とを備える。
【0018】電鋳槽30は、一方の壁面38が傾斜面に
なっており、内部は仕切り壁29により、傾斜壁面38
側の電鋳チャンバ43とオーバーフロー受け28との2
つに仕切られている。
【0019】電鋳チャンバ43には、傾斜壁面38に倣
うようにチタン製の金網でできた籠(チタンケース)2
2が配置されており、その内部には、ニッケルイオンの
供給源としてニッケル製のペレット23が充填されてい
る。チタンケース22は直流電源16の陽極側に電通可
能に接続されており、電鋳に際して陽極21として機能
する。
【0020】オーバーフロー受け28は、電鋳チャンバ
43から溢れた電鋳液40を受けるための受液槽であ
る。オーバーフロー受け28の底部には電鋳液排出口2
7があけられており、排液管33を介して電鋳液供給機
構42の電鋳液調整槽25に連通可能に接続されてい
る。
【0021】電鋳液供給機構42は、電鋳液を保持する
ための電鋳液調整槽25と、ポンプ24と、フィルタ1
9とを備える。電鋳液調整槽25は、ポンプ24および
フィルタ19と導液管34とを介して電鋳チャンバ43
に連通可能に接続されており、導液管34は電鋳チャン
バ43内に開口部(電鋳液導入口)26を備える。ポン
プ24は制御装置11に接続されており、電鋳液の流量
が制御装置11により制御できるようになっている。ま
た、電鋳液調整槽25は、ヒータ(図示せず)を備える
恒温槽となっており、このヒータによる液温の制御も、
制御装置11により行われる。
【0022】本実施例の電鋳装置10では、ポンプ24
を駆動させると、電鋳液調整槽に保持された電鋳液40
は、ポンプ24によって圧送されて、フィルタ19およ
び導液管34を介して電鋳チャンバ43に導入され、仕
切り壁29から溢れてオーバーフロー受け28に流れ込
み、排液管33を介して電鋳液調整槽25に戻るように
なっている。なお、このとき、電鋳液40の液面18
は、仕切り壁29の上端とほぼ同じ高さになる。
【0023】陰極機構41は、円盤状の陰極板44と、
その裏面中央に取り付けられたシャフト15と、陰極板
44の外周部に設けられた、電鋳対象であるガラスマス
タ(ニッケルマザー)17を保持するための陰極ホルダ
31と、シャフト15の軸中心を回転中心としてシャフ
ト15を回転させる回転装置14とを備える。
【0024】陰極板44、シャフト15、および、陰極
ホルダ31は、導体からなり、シャフト15は直流電源
16の陰極側に電通可能に接続されている。なお、ガラ
スマスタ17は、陰極ホルダ31により陰極板44に取
り外し可能に保持される。ガラスマスタ17の表面に
は、スパッタリングにより導体(本実施例ではニッケ
ル)の薄膜(導電膜)が形成されており、陰極ホルダ3
1を介して陰極板44に電通可能に接続され、電鋳に際
して陰極20となる。なお、ガラスマスタ17表面に
は、導電膜と、その下層の、導電膜に所望の凹凸を付与
するための感光性樹脂膜とが設けられているが、図2で
は図示を省略した。
【0025】陰極板44は、陽極21に対して平行に対
向するように配置されており、回転装置14を駆動させ
ると、シャフト15を介して、陰極板44および陰極ホ
ルダ31によりそれに取り付けられたガラスマスタ17
が、陽極21との平行を維持したまま、ガラスマスタの
中心17aを回転中心として、回転するようになってい
る。回転装置14は制御装置11に接続されており、回
転速度が制御装置11により制御できるようになってい
る。なお、本実施例では、電極間距離d、すなわち、陽
極21であるチタンケース22の陰極側側面と陰極20
であるガラスマスタ17の表面との距離を、4.0cm
とした。
【0026】陰極移動機構37は、陰極機構41の回転
装置14を支持する支持部13と、該支持部13から一
方に出た軸32と、ステップモーターによりこの軸32
を長手方向36に移動させる駆動機構12とを備える。
駆動機構12は制御装置11に接続されており、移動方
向および移動速度が制御装置11により制御できるよう
になっている。軸32は陽極21であるチタンケース2
2の陰極側側面と平行になっているため、駆動機構12
により軸32を移動させると、支持部13が、その支持
する陰極機構41ごと、陽極21に対して平行に(すな
わち、電極間距離dを一定に維持したまま)移動するこ
とになる。これにより、陰極20であるガラスマスタ1
7の電鋳液40への浸漬度を調整することができる。
【0027】制御装置11は、中央演算処理装置(CP
U)111と、主記憶装置112と、入力装置113
と、表示装置114と、外部記憶装置115とを備える
情報処理装置である。制御装置11は、信号線(図示せ
ず)を介して、陰極移動機構37の駆動装置12、陰極
機構41の回転装置14、および、電鋳液供給機構42
のポンプ24に接続されており、これらの装置12,1
4,24との間で制御信号を授受することにより、これ
らの装置の駆動を制御する。なお、本実施例の制御装置
11はこれら3つの装置12,14,24の駆動を制御
するが、本発明はこれに限られず、これらのうちのいず
れかを別の手段によって制御したり、手動で起動/制御
するようにしてもよい。
【0028】(2)制御手段 本実施例の制御装置11は、装置12,14,24の駆
動を制御する制御手段を備える。この制御手段は、外部
記憶装置115の記憶媒体にあらかじめ保持され、主記
憶装置112に読み込まれたプログラムをCPU111
が実行することにより実現される。しかし、本発明の制
御手段はこのような汎用プロセッサとソフトウエアとに
よるものに限られるものではなく、各制御処理を行うた
めのハードワイヤードロジックを含むハードウエアや、
これと汎用プロセッサの組み合わせなどによって実現さ
れてもよい。プログラムを保持する記憶媒体としては、
フロッピーディスク、光ディスク、光磁気ディスクなど
が適宜使用でき、外部記憶装置115によって読み取り
可能なものであれば、特に制限されない。
【0029】制御手段は、図7に示すように、まず、入
力装置113を介して、電鋳液の液温および流量と、電
流値と、処理時間と、ガラスマスタ17の浸漬度の推移
情報(タイムチャート)と、陰極の回転数との入力を受
け付ける(ステップ701)。次に、制御手段は、電鋳
液調整槽25のヒータを制御して、調整槽25内部の電
鋳液の温度を、ステップ701において入力された温度
(本実施例では60℃)まで上げ、保持する(ステップ
702)。電鋳液が所定の温度になると、制御手段は、
ポンプ24を起動させて、ステップ701において入力
された流量になるように制御する(ステップ703)。
【0030】続いて、制御手段は、調整装置12を制御
して陰極機構41を所定の初期位置に配置させて(ステ
ップ704)、回転装置14を起動させて入力された回
転数(本実施例では60rpm)でガラスマスタ17を
回転させた後(ステップ705)、直流電源16により
入力された強さの電流(本実施例では50A)を流す
(ステップ706)。
【0031】次に、制御手段は、ステップ701におい
て入力された処理時間が経過するまで(ステップ70
8)、入力された浸漬度推移情報にしたがって、調整装
置12を駆動させ、陰極機構41を移動させ、移動後の
浸漬度を算出して表示装置114の表示画面に表示する
(ステップ707)。所定の処理時間が経過すると、制
御手段は、電圧の印加を停止し(ステップ708)、ヒ
ータとポンプ24を停止させて、処理を終了する(ステ
ップ710)。
【0032】なお、本実施例における浸漬度推移情報の
入力(ステップ701)は、図4に示すようなグラフを
表示装置114に表示し、推移曲線400の入力を受け
付けることにより行うが、例えば、電鋳時間ごとの浸漬
度の数値の入力を受け付けるなど、他の方法により行っ
てもよい。また、本実施例における浸漬度の推移実績の
表示(ステップ707)も、図4に示すようなグラフに
より行われるが、電鋳時間ごとに浸漬度の数値を表示す
るなど、他の方法により行ってもよい。
【0033】本実施例では、所定の組成になるようにあ
らかじめ調整された電鋳液を用いるが、電鋳液を構成す
る各成分を電鋳液調整槽に供給する供給機構を設け、こ
れを制御装置11が制御することにより、電鋳液の調整
も制御装置11によって自動的に行われるようにしても
よい。
【0034】(3)ガラスマスタ ガラスマスタ17は、つぎのようにして作製した。ま
ず、透明なガラス原盤(直径200mm、厚さ6mの円
盤状)の表面を研磨・洗浄し、接着性を向上させるため
さらに表面処理剤をスピンコート法により塗布した。表
面処理剤(プライマー)としては、Tran−sil製
ANCHOR−KOTEを用いた。
【0035】次に、所定のパターンの感光性樹脂層を形
成した。すなわち、上述のように処理したガラス原盤の
表面に、感光性樹脂前駆体組成物(クラリアントジャパ
ン製AZ−P1350)を塗布し、乾燥炉により90℃
で30分間プリベークを行ないった後、レーザカッティ
ングマシンにより所望のパターンに露光させて情報を記
録した。次に、現像液(クラリアントジャパン製AZ3
00MIFデベロッパ)により22℃で60秒間現像を
行ない、最後に、充分に純水で洗って乾燥させた。これ
により所望の情報が記録された樹脂パターンである感光
性樹脂層(すなわち記録層)が形成された。
【0036】次に、スパッタ装置を用い、得られた感光
性樹脂層を覆うように導電材料(本実施例ではニッケ
ル)からなる導電膜(本実施例では膜厚60nm)を形
成した。これにより、所望のパターンの凹凸を備えた導
電膜(すなわち導電性薄膜)を最表面に有するガラスマ
スタ17が得られた。
【0037】(4)電鋳液 直流電源16により陽極21と陰極20との間に直流電
圧を印加すると、陽極21のニッケルペレット23が溶
解して陰極20のガラスマスタ17の導電膜表面に電鋳
膜が形成される。
【0038】本実施例では、つぎの表1に示す組成の電
鋳液を、電鋳液調整槽25において温度60℃、pH
4.0に調整し、電鋳液調整槽25、電鋳チャンバ4
3、オーバーフロー受け28の間を循環させて、ガラス
マスタ17の電鋳に供した。
【0039】
【表1】
【0040】(5)電鋳処理 本実施例では、上述のようにして作製したガラスマスタ
17を、陰極ホルダ31により陰極板44に取り付けた
後、制御装置11を起動させて、処理条件を入力した
(ステップ701)。この入力を受け付けた制御装置1
1による、入力された条件にしたがった電鋳処理が終了
した段階で、所望の厚さのニッケル膜が形成されたガラ
スマスタ17を陰極ホルダ31からはずし、ニッケル膜
をガラス原盤から剥離させて、ニッケル板を得た。得ら
れたニッケル板表面に残った樹脂を溶剤により除去・洗
浄した後、内・外径を加工して、所定の凹凸を備えるス
タンパを得た。得られたスタンパは、光ディスクのポリ
カーボネート(PC)基板を成形するための射出成形用
金型として用いられる。
【0041】なお、本実施例では、陰極20の回転速度
は60rpmとし、直流電流値は電鋳開始から終了まで
50Aに保持した。また、本実施例では、上述のステッ
プ701において、図4に示すような浸漬度の推移を示
すプロフィール情報(浸漬度推移情報)を入力し、電鋳
処理を行った。制御装置11は、ステップ707におい
て、この入力された浸漬度推移情報にしたがって、調整
装置12を制御し、ガラスマスタ17の浸漬度を変化さ
せる。
【0042】すなわち、電鋳処理の開始時は、図3
(a)に示すように、ガラスマスタ17の電鋳する面の
中心17aが電鋳液40の液面18に位置するように
(浸漬度:50%)、ガラスマスタ17を配置した(ス
テップ704)。この時、支持部13は、図2において
13aとして示した位置にあった。
【0043】この状態で20分間保持した後(図4では
ひし形の印◇により図示)、制御装置は、調整装置12
を制御し、支持部13を斜め下(図2において矢印35
で図示した方向)に移動させて、20分かけて徐々に浸
漬度を100%(つまり、完全に電鋳液中に没した状
態)にし、浸漬度100%の状態で5分間維持した。
【0044】なお、図4において三角の印△により図示
した移動途中の状態におけるガラスマスタ17を、図3
(b)に示す。また、浸漬度が100%になった状態
(図4では丸印○により図示)におけるガラスマスタ1
7を、図3(c)に示す。この時、支持部13は、図2
において13bとして示した位置にあった。
【0045】(6)結果 本実施例において得られたスタンパの厚さを、図5に示
す。なお、図5における◇印は電鋳時間20分後、△印
は電鋳時間31分後、○印は電鋳終了後の膜厚分布をそ
れぞれ示している。電鋳時間20分後(浸漬度50%)
の膜厚は、中心部の膜厚が177μm、中周部の膜厚が
147μm、外周部の膜厚が157μmであった。電鋳
時間31分後(浸漬度75%)の膜厚は、中心から半径
20mmの範囲の膜厚が250μm、半径60mmの膜
厚が227μm、外周部の膜厚が240μmであった。
電鋳終了後の膜厚は、中心から半径60mmの範囲で3
13μmの厚さを得ることができた。中心部と外周部と
の膜厚差は17μmであった。
【0046】図5からもわかるように、本実施例では、
電鋳時間の経過および浸漬度の増加とともに電鋳膜の厚
さが均一になり、最終的に、電鋳工程後に裏面を研磨し
て板厚を均一にする必要のほとんどないスタンパが得ら
れた。
【0047】また、本実施例では、陰極20であるガラ
スマスタ17が電鋳液中に完全に浸漬している時間は5
分間であり、従来に比べてかなり短い。投入電流や電鋳
液の組成といった処理条件が同じであれば、陰極の表面
積が小さいほど電流密度が高くなるため、電鋳効率が高
い。したがって、本実施例によれば、高い電鋳効率が実
現され、結果として電鋳時間を短縮することができる。
【0048】なお、本実施例では、陰極20を下へ(す
なわち、一部が浸漬された状態から完全に電鋳液中に没
した状態へ)移動させたが、移動方向はこれに限定され
るものではない。例えば、本実施例とは逆に、陰極20
を上へ(すなわち、完全に浸漬された状態から、一部が
電鋳液面上に露出した状態へ)移動させるようにしても
よい。
【0049】<比較例>陰極20を電鋳液中に完全に浸
漬し、浸漬度を変化させることなく電鋳して、スタンパ
を作製した。なお、その他の電鋳条件は、実施例と同様
にした。すなわち、電鋳液には実施例と同じ組成のもの
を使用し、電鋳液温度も実施例と同様にした。また、陰
極の回転速度は60rpmとし、直流電流値は電鋳開始
から終了まで50Aに保持して、電鋳時間は45分とし
た。
【0050】本比較例により得られたニッケル膜の厚さ
を図6に示す。なお、比較のため、実施例により得られ
たニッケル膜の膜厚も、図6に併せて示した。この図か
らも明らかなように、上述の実施例によれば、厚く、広
範囲にわたって膜厚が均一で裏面が平滑なスタンパを、
比較例に比べて明らかに早く作製することができた。
【0051】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、ガラスマスタを取り付けた陰極の浸漬状態を調整す
ることにより、ガラスマスタ上での電気力線の分布を制
御することができ、外周部だけに電気力線が集中するこ
とを回避できる。したがって、本発明によれば、短い電
鋳時間で効率よく膜厚の均一な電鋳膜を得ることがで
き、本発明をスタンパの製造に適用することで、均一な
厚みのスタンパを短時間に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 陰極の浸漬状態と生成する電鋳膜の膜厚との
関係を示す説明図である。
【図2】 実施例における電鋳装置の構成を示す部分断
面図である。
【図3】 実施例における陰極の浸漬状態の遷移を示す
説明図である。
【図4】 実施例における電鋳時間と浸漬度との関係を
示すグラフである。
【図5】 実施例により得られたニッケル膜の厚さ分布
を示すグラフである。
【図6】 スタンパの板厚分布を示すグラフである。
【図7】 実施例における制御手段の処理を示す流れ図
である。
【符号の説明】
10…電鋳装置、11…制御装置、12…駆動装置、1
3,13a,13b…支持部、14…回転装置、15…
シャフト、16…直流電源、17…ガラスマスタ、17
a…ガラスマスタの回転中心、18…電鋳液の液面、1
9…フィルタ、20…陰極、21…陽極、22…チタン
ケース、23…ニッケルペレット、24…ポンプ、25
…電鋳液調整槽、26…電鋳液導入口、27…電鋳液排
出口、28…オーバーフロー受け、29…仕切り壁、3
0…電鋳槽、31…陰極ホルダ、32…支持部の軸、3
3…排液管、34…導液管、35…陰極機構の移動方
向、36…支持部の可動方向、37…陰極移動機構、3
8…電鋳槽の陰極側壁面、39…電鋳膜、40…電鋳
液、41…陰極機構、42…電鋳液供給機構、43…電
鋳チャンバ、111…中央演算処理装置(CPU)、1
12…主記憶装置、113…入力装置、114…表示装
置、115…外部記憶装置、400…浸漬率推移曲線、
d…電極間距離。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】互いに対向するように配置された陽極と陰
    極との間に、電鋳液中で電圧を印加することにより、前
    記陰極の表面に電鋳膜を形成する電鋳方法において、 前記電鋳液の液面に対する前記陰極の高さを変化させる
    ことを特徴とする電鋳方法。
  2. 【請求項2】前記陰極の高さの変化は、所定の時間をか
    けて徐々に行われることを特徴とする請求項1記載の電
    鋳方法。
  3. 【請求項3】前記陰極の高さの変化は、電鋳膜の成長に
    応じて行われることを特徴とする請求項1記載の電鋳方
    法。
  4. 【請求項4】被電鋳物を保持し、該被電鋳物に電圧を印
    加するための陰極機構と、 前記陰極機構の少なくとも高さを変位させる陰極移動機
    構とを備えることを特徴とする電鋳装置。
  5. 【請求項5】前記陰極移動機構の動作を制御する制御装
    置をさらに備え、 前記制御装置は、 前記陰極機構の高さの推移に関する情報の入力を受け付
    けて、該入力された情報にしたがって、前記陰極機構の
    高さを経時的に変位させる手段を備えることを特徴とす
    る請求項4記載の電鋳装置。
  6. 【請求項6】基板表面に所定のパターンの記録層を形成
    する記録工程と、 前記記録層を覆うように、前記基板表面に導電性薄膜を
    形成する下地形成工程と、 前記導電性薄膜を陰極として、電鋳処理により該導電性
    薄膜表面に導体からなる導体膜を形成する電鋳工程と、 前記導体膜を前記基板から剥離させてスタンパとする後
    処理工程とを備え、 前記電鋳処理は、請求項1記載の電鋳方法により行われ
    ることを特徴とする光記録媒体製造用スタンパの製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101186263B1 (ko) 2010-10-29 2012-09-27 안옥란 양극산화 처리 장치

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