JP2000212712A - P含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板ならびに高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

P含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板ならびに高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

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JP2000212712A
JP2000212712A JP11010279A JP1027999A JP2000212712A JP 2000212712 A JP2000212712 A JP 2000212712A JP 11010279 A JP11010279 A JP 11010279A JP 1027999 A JP1027999 A JP 1027999A JP 2000212712 A JP2000212712 A JP 2000212712A
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勝 鷺山
Hisato Noro
寿人 野呂
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 めっき皮膜の均一性ならびに密着性に優れた
溶融亜鉛めっき鋼板、およびさらに合金化ムラが生じ
ず、耐パウダリング性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼
板を安定して製造することができる製造方法を提供す
る。 【解決手段】 重量%で、P0.02%以上またはさらにMn0.2
%以上を含む高強度鋼板を非酸化性雰囲気で加熱焼鈍
し、その後、Alを含む溶融亜鉛浴に浸漬してめっきを行
う高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造過程、あるいはさら
にめっき層の合金化熱処理を行う高強度合金化溶融亜鉛
めっき鋼板の製造過程において、焼鈍前の鋼板表面に、
Ni,Co,SnおよびCu系の金属化合物から選ばれた1種ま
たは2種以上を金属量に換算して1〜200mg/m2の範囲で
付着させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高強度鋼板を下地
鋼板とする溶融亜鉛めっき鋼板ならびに合金化溶融亜鉛
めっき鋼板の製造方法に関し、めっき皮膜の均一性と密
着性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板およびめっき皮膜の均
一性と耐パウダリング性に優れた合金化溶融亜鉛めっき
鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】車体寿命延長の観点から、合金化溶融亜
鉛めっき鋼板が車体用素材として使用され始めて久し
い。合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、電気めっき法に比べ
厚めっき化が容易な溶融亜鉛めっき法により製造される
ため、耐食性に優れ製造コストが低いこと、また、めっ
き層が鉄亜鉛合金となっているため、塗料密着性、スポ
ット溶接性に優れることなどの材料的優位性がある。
【0003】近年、地球温暖化防止の観点から自動車の
燃費向上が叫ばれ、車体軽量化と安全性確保の観点から
素材の高強度・薄物化が強く求められている。一般的に
鋼板の強度上昇にはSi,Mn,P等の固溶強化元素の添加
が行われている。
【0004】この固溶強化元素としてPを含有する鋼板
をめっき原板として使用する場合には、Pにより合金化
速度が著しく低下するという問題を有している。これ
は、焼鈍時に鋼板表面にPが濃化し、鋼板がめっき浴に
浸漬された時に、めっき浴中に添加されているAlと反応
し、Fe-Zn合金化反応を抑制するFe-Al合金を厚く生成さ
せ、Fe-Zn反応を強固に抑制するためである。このよう
なPの濃化は、主に鋼の結晶粒界で起こりやすいため、
粒界の合金化速度が著しく遅くなり、スジ状の合金化ム
ラを生じ、表面外観のみならず化成処理性・塗装性など
にも悪影響を及ぼす。また、Fe-Al合金反応は浴組成に
敏感であるため、めっき浴中において局部的なAl濃度差
が生じると、P含有鋼の場合には、部分的な合金化ムラ
を生じ線状マークを発生させることがある。
【0005】従来、合金化を促進する方法としては、特
開昭60-110859号公報に0.05〜20g/m 2のNi、ならびにNi
系合金の被覆層を溶融亜鉛めっきに先立ち施す手法が、
また特開平5-148603号公報に0.1%以上の硫黄化合物溶液
を、特開平8-188861号公報に酸化物の標準生成自由エネ
ルギーが特定の範囲である無機化合物を0.001〜5g/m2
範囲で、溶融亜鉛めっきに先立ち塗布する手法が提案さ
れている。
【0006】しかしながら、特開昭60-110859号公報の
ようなプレめっきを施す方法には、溶融亜鉛めっきの前
処理設備としては設備が大規模になる上、鋼板をめっき
浴に浸漬する前の加熱焼鈍過程で表面に被覆した金属が
鋼板中に拡散する現象が生じるため、十分な効果を得る
ためには付着量を多くする必要があり、製造コストが高
くなるといった問題がある。
【0007】一方、特開平5-148603号公報の硫黄化合物
を塗布する手法では、還元焼鈍などの加熱処理時に鋼板
表面に付着した硫黄が硫黄含有ガスとなって鋼板から離
脱する現象が生じるため、十分な効果を得るためには加
熱処理前のS付着量を多くする必要がある。また、付着
量を増加させると、ロールピックアップの問題や、焼鈍
炉内で硫黄化合物が炉材と反応しやすく炉の寿命を極端
に下げるという問題が生じ、単なる硫黄化合物の塗布は
工業的には困難である。
【0008】また、特開平8-188861号公報に記述されて
いるような、鋼板表面に塗布した無機化合物が焼鈍中に
分解気化せず、溶融亜鉛浴中のZnもしくはAlにより還元
され、溶融亜鉛浴中に拡散させる手法では、本発明者ら
の検討によれば、焼鈍中のPの表面濃化は抑えられるも
のの、鋼板表面に残存した金属化合物が溶融亜鉛との濡
れ性の阻害を招く恐れがある。たとえ不めっきに至らな
かった場合においても、無機化合物が拡散することによ
り溶融亜鉛浴が汚染されるという問題点を有している。
【0009】この他、平滑な合金化を目的として、特開
平3-134147号公報にNi,Co,Fe,Cuのプレめっき層を2
〜70mg/m2の範囲で施した後、酸化処理により鋼板表面
にFe酸化物層を形成させ、通常のCGLラインで溶融亜鉛
めっきを施す手法が提案されている。しかし、この手法
ではプレめっき→酸化処理→鋼板還元→溶融亜鉛めっき
という複雑なライン構成となる上、無酸化炉を有する溶
融亜鉛めっきラインでは、形成されるFe系酸化物が不均
一であることにより効果がなく、上記手法を適用するこ
とができない。また、特開平1-139747号公報には、Fe,
Ni,Co化合物のうち1種以上とSb化合物を添加した有機
あるいは無機酸に鋼板を浸漬させた後、通常のCGLライ
ンで溶融亜鉛めっきを行い、鉄亜鉛合金化反応の抑制層
であるFe-Al相の均一な生成を促進することにより、T
i,Ti-Nb添加鋼のような非常に速い合金化を抑制し、合
金化の不均一反応を抑制する手法が提案されている。こ
の手法では、プレめっきのような新たな設備を必要とし
ないので、コストの増大を抑えることができるものの、
P添加鋼における合金化反応の遅延の原因である厚いFe-
Al相の生成をさらに促進するため、合金化反応の促進の
ためには逆効果である。
【0010】本発明者らは、上記課題を解決する手段を
種々検討した結果、鋼板表面に特定の金属化合物溶液を
塗布し通常のCGLラインで溶融亜鉛めっきを行うことに
より、不めっきの防止と合金化速度の促進に効果がある
ことを見出した。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情
に鑑みてなされたものであって、めっき皮膜の均一性な
らびに密着性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板、およびさら
に合金化ムラが生じず、耐パウダリング性に優れた合金
化溶融亜鉛めっき鋼板を安定して製造することができる
製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、第1発明は、重量%で、P0.02%以上またはさらにMn
0.2%以上を含む高強度鋼板を非酸化性雰囲気で加熱焼鈍
し、その後、Alを含む溶融亜鉛浴に浸漬してめっきを行
う、高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造過程において、焼
鈍前の鋼板表面に、Ni,Co,SnおよびCu系の金属化合物
から選ばれた1種または2種以上を金属量に換算して1
〜200mg/m2の範囲で付着させることを特徴とする高強度
溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供する。
【0013】第2発明は、第1発明において、前記金属
化合物が、有機化合物塩を含むことを特徴とする強度溶
融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供する。
【0014】第3発明は、第1発明において、前記金属
化合物が、硝酸塩を含むことを特徴とする高強度溶融亜
鉛めっき鋼板の製造方法を提供する。
【0015】第4発明は、第1発明において、前記金属
化合物が、塩化物を含むことを特徴とする高強度溶融亜
鉛めっき鋼板の製造方法を提供する。
【0016】第5発明は、第1〜第4発明において、金
属化合物を付着させた鋼板を加熱焼鈍し、金属化合物が
鋼板全面を被覆することなく地鉄が露出した状態で、Al
を含む溶融亜鉛浴に浸漬してめっきを行うことを特徴と
する高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供する。
【0017】第6発明は、第1〜第5発明において、非
酸化性雰囲気での加熱焼鈍が、直火還元加熱方式で加熱
した後、水素雰囲気中で均熱処理を行う処理であること
を特徴とする高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提
供する。
【0018】第7発明は、第1〜第6発明の製造方法に
よって溶融亜鉛めっきした後、さらにめっき層の合金化
熱処理を行うことを特徴とする高強度合金化溶融亜鉛め
っき鋼板の製造方法を提供する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0020】まず、本発明においては、鋼板表面に、N
i,Co,Sn及びCu系の金属化合物から選ばれた1種また
は2種以上の金属化合物を金属量に換算して1〜200mg/m
2の範囲で付着させた後、非酸化性雰囲気で加熱焼鈍す
ると、加熱焼鈍過程において金属化合物の分解および/
または鋼板との反応により、鋼板表面への金属の固溶が
生じる。その後、少なくとも0.05〜0.30%のAlを含む溶
融亜鉛浴に浸漬してめっきを行うと、Fe-Zn結晶(ζ
相)が微細かつ均一に生成し、皮膜の均一性と密着性に
優れた溶融亜鉛めっき鋼板が得られる。
【0021】このような効果がもたらされる原因として
は、未だ明確ではないが、鋼板表面への金属の固溶によ
り、何も処理を行わない鋼板表面と比較して、Feの表面
濃度低下が生じ、Fe-Zn結晶(ζ相)生成の抑制層であ
るFe-Al相の生成の抑制効果をもたらすことが考えら
れ、従来Fe-Al相の生成を促進すると言われるP含有鋼板
では、Fe-Al相の生成量が減少すると考えられる。この
ように、本発明のような処理を施すことにより、P含有
高強度鋼板におけるFe-Al相の生成を抑制する効果があ
るため、Fe-Zn結晶(ζ相)が微細かつ均一に生成し、
皮膜の均一性と密着性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板が得
られる。前述した金属化合物は、加熱焼鈍中に大部分の
反応が完了するため、溶融亜鉛浴に浸漬する直前の鋼板
表面はフェライト結晶であり、溶融亜鉛との濡れ性を阻
害せず、良好なめっき性が得られる。
【0022】鋼板表面に付着させる金属化合物は、鋼板
の加熱焼鈍中に容易に酸化されない金属種の化合物であ
ることが必要である。このため、金属化合物の金属種と
しては、Feよりも酸化能力の弱いNi,Co,Sn,Cuである
ことが必要である。また、前記金属の硝酸塩および塩化
物を塗布した場合には、加熱焼鈍過程で有害な窒素酸化
物ガスや塩素ガスを発生する可能性があり、排ガス清浄
設備を設置する必要があるため製造コストの増大を招く
ことが考えられる。この観点から、加熱焼鈍中において
も有害なガス発生がないCおよびHのみを含んだ有機物塩
を用いることがより好ましい。
【0023】その後、必要に応じ合金化処理が施される
が、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する際にも本発明
は効果的である。P含有高強度鋼板では、前述したよう
なFe-Al相の生成促進に加え、鋼板の結晶粒界にPの偏析
が生じるため、鋼板の結晶粒界で優先的に生じる溶融亜
鉛と鋼板の直接反応、いわゆる「アウトバースト反応」
が抑制される。しかしながら、本発明の手法を適用する
ことにより、前述のようにFe-Al相の生成が抑制される
うえに、アウトバースト反応を阻害するPの粒界偏析が
抑制され、清浄な結晶粒界となる。このため、亜鉛めっ
き−鋼板界面全体でアウトバースト反応が生じ、均一な
めっき皮膜を形成することができ、その結果、耐パウダ
リング性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する
ことができる。また、比較的合金化の進行が速いことで
知られているIF鋼などと同程度の合金化速度が得られる
ため、鋼種による合金化処理条件の調整が不要となり、
生産性の向上の観点からも効果的である。
【0024】上記のように、鋼板表面に金属化合物を付
着させた後の加熱焼鈍時には、直火還元加熱方式で加熱
した後、水素を含有する雰囲気中で均熱処理を行うとさ
らに効果的である。すなわち、直火還元加熱方式では鋼
板を急速加熱することができるため、鋼板表面に付着し
た無機金属化合物の分解および反応が急速に進行し、こ
れ以後の工程でのロールとの接触による塗布物の脱離・
飛散を防止することができるためである。
【0025】本発明において、鋼板表面に付着させる金
属化合物を、金属量に換算して1〜200mg/m2としたの
は、1mg/m2未満では効果が不十分であり、200mg/m2を超
えると、加熱焼鈍中に鋼板との反応が完了しにくく、付
着化合物が鋼板表面に残存することにより、溶融亜鉛と
の濡れ性の阻害を招くだけでなく、ロールに残存物が転
写し鋼板表面のキズの原因となるためである。なお、均
一なめっき皮膜の制御の容易性、ならびに生産性の観点
から10〜100mg/m2の範囲にあることがより好ましい。
【0026】本発明において、P含有量が0.02%またはさ
らにMn含有量が0.2%以上と規定したのは、本発明で対象
とする高強度レベルの鋼板を得るために最低限必要な量
だからである。なお、本発明で対象とする鋼板は、上記
のP含有量またはさらにMn含有量を満足していればよ
く、その他の成分は特に制限されず、Feおよび不可避的
不純物の他に、C,S,Mg,Cr,Ni,Cu,Ta,Alなどの1
種または2種以上を含有してもよい。また、IF鋼ベース
の鋼板を製造するため、Nb,Tiを添加してもよく、この
際、耐二次加工性脆化を防ぐ目的で、数ppmのBを添加し
てもよい。
【0027】鋼板表面に金属化合物を付着させるには、
金属化合物を水または有機溶剤に溶解し、鋼板表面に塗
布、噴霧、スプレー、浸漬といった方法を適用すること
ができる。また、化合物の鋼板への付着性を高める目的
で界面活性剤を添加してもよい。さらに、化合物の鋼板
への付着性を高める目的では、溶液中に有機樹脂を溶解
させ、バインダーとして用いてもよい。この他にも、電
気めっき法、蒸着法などを用いてもよいが、本発明は、
鋼板表面に金属皮膜を形成することが目的ではなく、加
熱過程で鋼板表面に金属が固溶することが重要である。
この点から考えると、処理効率および処理コストの面か
ら、上記のような溶液を利用する手法が最も好ましい。
【0028】本発明のめっき鋼板の溶融亜鉛めっきある
いは合金化溶融亜鉛めっき層中には、耐食性向上などを
目的として、主元素であるZn,Fe,Alの他に、As,Bi,
Cd,Ce,Co,Cr,In,La,Li,Mg,Mn,Ni,O,P,Pb,
S,Sb,Sn,Ti,Zr等のうち1種または2種以上を含有さ
せてもよく、これらを含有していても本発明の効果は損
なわれない。
【0029】合金化処理過程においては、ガス加熱方
式、誘導加熱方式、直接通電加熱方式などの方法を採用
することができ、合金化加熱方式の相違によって本発明
の効果に変わりはない。しかしながら、鋼板表面を優先
的に加熱することにより鋼板の急速加熱が可能で、鋼板
の表層における鉄と溶融亜鉛との反応を強制的に生じさ
せることのできる誘導加熱方式を用いるのが、生産性な
らびに製造上の安定性の面から見て最も効果的である。
【0030】本発明に供する下地鋼板は、熱延鋼板、冷
延鋼板のいずれでもよく、自動車、建材、電気、家電な
ど、亜鉛めっき鋼板を使用する全ての用途に適用するこ
とができる。
【0031】
【実施例】表1に示す6種類の冷延鋼板を供試材とし、
硝酸ニッケル(Ni(NO3)2)、塩化ニッケル(NiCl2)、
ぎ酸ニッケル((HCOO)2Ni)のNi系化合物、ならびに硝
酸コバルト(Co(NO3)2)、硝酸銅(Cu(NO3)2)の硝酸系
化合物の各水溶液を、所定の金属付着量が得られるよう
に濃度を調整し、バーコータにより塗布後、熱風乾燥炉
により100〜150℃で乾燥させた。また、比較のため、硝
酸亜鉛(Zn(NO3)2)、硝酸マグネシウム(Mg(NO3)2)、
硝酸アルミニウム(Al(NO3)3)の水溶液についても、同
様の条件で塗布した鋼板を作製した。
【0032】
【表1】
【0033】これらの鋼板を溶融亜鉛めっきシミュレー
タを用いて焼鈍しめっきを行った。めっきに際しては、
焼鈍雰囲気は10%H2-N2(露点-40℃)とし、焼鈍温度は8
50℃、焼鈍時間は60秒とし、Alを0.12%含む460℃の亜鉛
めっき浴を用いて、侵入板温460℃、浸漬時間3秒にてめ
っきした。めっき後、N2ガスワイパーにより亜鉛付着量
を片面当たり60g/m2に調整した。また、一部めっきを施
さず焼鈍のみを行ったサンプルについても作製した。
【0034】塗布乾燥後のサンプルについては、0T曲げ
試験による塗布化合物の密着性の評価を行い、さらに焼
鈍後のサンプルについては、テープ剥離試験を行い、試
験前後の化合物の付着量変化を測定し、未反応物の残存
の有無を評価した。
【0035】めっき後のサンプルは、不めっき発生状
況、初期合金相形態の観察、0T曲げ試験によるめっき密
着性の評価を行い、さらに、誘導加熱装置により、50
0,525、550,575,600℃で20秒の合金化処理を行っ
て,表層まで合金化できる温度により、合金化速度を比
較した。また、皮膜中の鉄含有率が10%±0.5%となるよ
うに合金化温度を調整し、20秒間の合金化処理を行った
サンプルを用いて、合金化ムラの発生状況を観察すると
ともに、90度曲げ試験を行って耐パウダリング性を評価
した。
【0036】以上のようにして製造した溶液塗布鋼板、
溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板に
ついて、各種品質を評価した結果を製造条件とともに表
2および表3に示す。なお、これらの表に示した各種品
質に関する評価事項と評価基準は以下の通りである。
【0037】 *1.金属化合物の密着性(塗布乾燥後鋼板) ○:良好 ×:皮膜剥離発生 *2.未反応物の有無(加熱焼鈍後鋼板) ○:全て反応(付着量変化無し) ×:未反応化合物残存(付着量減少) *3.不めっき ○:良好(不めっきが認められない) ×:不めっきが認められる *4.初期合金相(SEM観察) ○:微細なζ相が均一に生成 ×:ζ相がまばらに生成 B:アウトバースト状組織 *5.めっき密着性 ○:良好(めっき皮膜にクラック、剥離なし) △:めっき皮膜にクラック発生 ×:めっき剥離発生 *6.合金化速度 ●:速すぎる(450℃±25℃、20秒で合金化) ○:良好(500℃±25℃、20秒で合金化) △:やや遅い(550℃±25℃、20秒で合金化) ×:非常に遅い(600℃±25℃、20秒で合金化) *7.合金化ムラ(目視判定) ○:良好(ムラが認められない) ×:スジムラが認められる *8.耐パウダリング性(90度曲げ) ○:良好(めっき剥離なし) ×:加工部のめっき剥離発生
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】表2および表3に示すように、本発明例で
は全ての評価事項について良好な結果が得られたのに対
し、金属化合物を付着させない場合、金属の種類や金属
付着量が本発明範囲から外れる比較例は、上記品質評価
事項のうちいずれかが劣っていた。
【0041】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明によると、
めっき皮膜の均一性ならびに密着性に優れた溶融亜鉛め
っき鋼板、およびPを含有する高強度鋼板に特有な合金
化ムラや線状マークを解消し、耐パウダリング性に優れ
た合金化溶融亜鉛めっき鋼板を安定して製造することが
できる。
フロントページの続き (72)発明者 櫻井 理孝 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 鷺山 勝 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 野呂 寿人 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 濱田 悦男 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K027 AA02 AA23 AB07 AB26 AB28 AB44 AC12 AC15 AC73 AD25 AE33

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、P0.02%以上またはさらにMn0.2
    %以上を含む高強度鋼板を非酸化性雰囲気で加熱焼鈍
    し、その後、Alを含む溶融亜鉛浴に浸漬してめっきを行
    う、高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造過程において、焼
    鈍前の鋼板表面に、Ni,Co,SnおよびCu系の金属化合物
    から選ばれた1種または2種以上を金属量に換算して1
    〜200mg/m2の範囲で付着させることを特徴とする高強度
    溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記金属化合物が、有機化合物塩を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の高強度溶融亜鉛めっ
    き鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記金属化合物が、硝酸塩を含むことを
    特徴とする請求項1に記載の高強度溶融亜鉛めっき鋼板
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記金属化合物が、塩化物を含むことを
    特徴とする請求項1に記載の高強度溶融亜鉛めっき鋼板
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4において、金属化合物を付
    着させた鋼板を加熱焼鈍し、金属化合物が鋼板全面を被
    覆することなく地鉄が露出した状態で、Alを含む溶融亜
    鉛浴に浸漬してめっきを行うことを特徴とする高強度溶
    融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】 非酸化性雰囲気での加熱焼鈍が、直火還
    元加熱方式で加熱した後、水素雰囲気中で均熱処理を行
    う処理であることを特徴とする請求項1〜5に記載の高
    強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6の製造方法によって溶融亜
    鉛めっきした後、さらにめっき層の合金化熱処理を行う
    ことを特徴とする高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製
    造方法。
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