JP2000212017A - 歯科用充填材組成物 - Google Patents

歯科用充填材組成物

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JP2000212017A
JP2000212017A JP11015013A JP1501399A JP2000212017A JP 2000212017 A JP2000212017 A JP 2000212017A JP 11015013 A JP11015013 A JP 11015013A JP 1501399 A JP1501399 A JP 1501399A JP 2000212017 A JP2000212017 A JP 2000212017A
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acrylic monomer
compound
dental filler
composition
fluorene
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JP11015013A
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Masahiro Yamada
昌宏 山田
Mitsuaki Yamada
光昭 山田
Yasuhiro Suda
康裕 須田
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Osaka Gas Co Ltd
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Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 歯牙の修復治療用材料として必要な強度を有
する硬化物を形成することができ、しかも生体に対する
安全性が高い歯科用充填材組成物を実現する。 【解決手段】 歯科用充填材組成物は、下記の一般式
(1)で示される少なくとも1種のビスクレゾキシエタ
ノールフルオレン系化合物と、当該ビスクレゾキシエタ
ノールフルオレン系化合物と重合可能な多官能性アクリ
ル系モノマーと、う蝕防止剤とを含んでいる。なお、一
般式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を示してい
る。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、充填材組成物、特
に、歯科用充填材組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】う蝕された歯牙の修復治療に際しては、
従来からアマルガム、インレーおよびセメントなどの充
填材が広く利用されているが、近頃は、これらの充填材
に比べて使いやすさおよび色調などが優れていることか
らコンポジットレジンの利用が広まりつつある。
【0003】このようなコンポジットレジンは、多官能
性の脂肪族アクリル系モノマー、ビスフェノール系芳香
族化合物、う蝕防止剤および硬化触媒を主に含んでお
り、例えば2種類のペーストからなる。この2種類のペ
ーストは、それぞれが対の関係にある硬化触媒(例えば
レドックス触媒)の一方を含んでおり、歯科治療の際に
混合すると各ペーストに含まれる硬化触媒成分が互いに
作用して数分で硬化するように調整されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のようなコンポジ
ットレジンは、ビスフェノール系芳香族化合物を必須成
分として利用している。このビスフェノール系芳香族化
合物は、歯科用充填材に求められる硬度、耐摩耗性、辺
縁封鎖性などを達成するための成分として用いられてい
るが、近年所謂環境ホルモンとして認定されるに至った
毒性物質であるため、生体に対して将来的に害悪を及ぼ
すおそれがある。また、このコンポジットレジンの硬化
物は、アマルガムなどの充填材に比べて強度が小さく、
歯牙の修復治療用材料としての基本的な適性を疑問視す
る向きもある。
【0005】本発明の目的は、歯牙の修復治療用材料と
して必要な強度を有する硬化物を形成することができ、
しかも生体に対する安全性が高い歯科用充填材組成物を
実現することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る歯科用充填
材組成物は、下記の一般式(1)で示される少なくとも
1種のビスクレゾキシエタノールフルオレン系化合物
と、当該ビスクレゾキシエタノールフルオレン系化合物
と重合可能な多官能性アクリル系モノマーと、う蝕防止
剤とを含んでいる。なお、一般式(1)中、Rは水素原
子またはメチル基を示している。
【0007】
【化2】
【0008】ここで、ビスクレゾキシエタノールフルオ
レン系化合物は、例えば、20〜60重量%含まれてい
る。
【0009】また、ここで用いられる多官能性アクリル
系モノマーは、例えば、二官能性脂肪族アクリレート化
合物および二官能性脂肪族メタアクリレート化合物から
なる群から選ばれた少なくとも1種の二官能性脂肪族ア
クリル系モノマーと、三官能性脂肪族アクリレート化合
物および三官能性脂肪族メタアクリレート化合物からな
る群から選ばれた少なくとも1種の三官能性脂肪族アク
リル系モノマーとを含む多官能性アクリル系モノマー混
合物である。
【0010】また、上述のう蝕防止剤は、例えばフッ化
ピッチである。
【0011】さらに、本発明に係る上述の歯科用充填材
組成物は、通常、硬化触媒をさらに含んでいる。
【0012】
【発明の実施の形態】ビスクレゾキシエタノールフルオ
レン系化合物 本発明で用いられるビスクレゾキシエタノールフルオレ
ン系化合物は、下記の一般式(1)で示されるビスクレ
ゾキシエタノールフルオレンジアクリレートまたはビス
クレゾキシエタノールフルオレンジメタアクリレートで
ある。
【0013】
【化3】
【0014】一般式(1)中、RはH(水素原子)また
はCH3(メチル基)を示している。このようなビスク
レゾキシエタノールフルオレン系化合物は、例えば市場
において入手可能な公知の物質であるビスクレゾールフ
ルオレン(例えば、大阪瓦斯株式会社の商品名“BC
F”)のOH基部分に対して常法によりエタノール基を
導入し、当該エタノール基部分をさらに常法に従ってア
クリル酸またはメタアクリル酸によりエステル化すると
製造することができる。
【0015】本発明では、上述の一般式(1)で示され
るビスクレゾキシエタノールフルオレン系化合物のうち
の1種類が単独で用いられてもよいし、2種類のものが
混合して用いられてもよい。すなわち、一般式(1)中
のRが水素原子のもの(すなわち、ビスクレゾキシエタ
ノールフルオレンジアクリレート)、またはRがメチル
基のもの(すなわち、ビスクレゾキシエタノールフルオ
レンジメタアクリレート)がそれぞれ単独で用いられて
もよいし、Rが水素原子のものとRがメチル基のものと
が混合して用いられてもよい。
【0016】なお、本発明では、一般式(1)中のRが
メチル基であるビスクレゾキシエタノールフルオレンジ
メタアクリレートを単独で用いるのが最も好ましい。
【0017】多官能性アクリル系モノマー 本発明で用いられる多官能性アクリル系モノマーは、上
述のビスクレゾキシエタノールフルオレン系化合物と重
合して硬化物を形成するための成分であり、上述のビス
クレゾキシエタノールフルオレン系化合物と重合反応可
能なものであれば特に限定されることなく各種のものを
用いることができる。
【0018】ビスクレゾキシエタノールフルオレン化合
物と重合反応可能な多官能性アクリル系モノマーとして
は、例えば、二官能性脂肪族アクリレート化合物、二官
能性脂肪族メタアクリレート化合物、三官能性脂肪族ア
クリレート化合物、三官能性脂肪族メタアクリレート化
合物を挙げることができる。
【0019】ここで、二官能性脂肪族アクリレート化合
物としては、エチレングリコールジアクリレート、トリ
エチレングリコールジアクリレート、ブチレングリコー
ルジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレ
ート、プロピレングリコールジアクリレート、1,3−
ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオー
ルジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリ
レートを例示することができる。
【0020】また、二官能性脂肪族メタアクリレート化
合物としては、エチレングリコールジメタアクリレー
ト、トリエチレングリコールジメタアクリレート、ブチ
レングリコールジメタアクリレート、ネオペンチルグリ
コールジメタアクリレート、プロピレングリコールジメ
タアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタアクリ
レート、1,4−ブタンジオールジメタアクリレート、
1,6−ヘキサンジオールジメタアクリレートを例示す
ることができる。
【0021】一方、三官能性脂肪族アクリレート化合物
としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリ
レート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリ
メチロールエタノールトリアクリレートおよびトリメチ
ロールメタントリアクリレートを挙げることができる。
また、三官能性脂肪族メタアクリレート化合物として
は、例えば、トリメチロールプロパントリメタアクリレ
ート、トリメチロールエタントリメタアクリレート、ト
リメチロールエタノールトリメタアクリレートおよびト
リメチロールメタントリメタアクリレートを挙げること
ができる。
【0022】上述の各種多官能性アクリル系モノマー
は、それぞれ単独で用いられてもよいし、2種以上のも
のが併用されてもよい。但し、三官能性脂肪族アクリレ
ート化合物および三官能性脂肪族メタアクリレート化合
物は、主として本発明の歯科用充填材組成物からなる硬
化物の硬度調整剤として機能し得ることから、本発明の
歯科用充填材組成物の使用目的に応じ、通常は二官能性
脂肪族アクリレート化合物および二官能性脂肪族メタア
クリレート化合物に対して補助的に利用するのが好まし
い。因みに、多官能性アクリル系モノマーとして三官能
性脂肪族アクリレート化合物や三官能性脂肪族メタアク
リレート化合物を主として用いると、高強度の硬化物が
得られるが、この硬化物は強度が高まり過ぎて脆くな
り、却って歯科用充填材として使用しにくくなる場合が
ある。
【0023】以上より、本発明で用いられる多官能性ア
クリル系モノマーとして好ましいものは、上述のような
二官能性脂肪族アクリレート化合物および二官能性脂肪
族メタアクリレート化合物からなる群から選ばれた少な
くとも1種の二官能性脂肪族アクリル系モノマーと、上
述のような三官能性脂肪族アクリレート化合物および三
官能性脂肪族メタアクリレート化合物からなる群から選
ばれた少なくとも1種の三官能性脂肪族アクリル系モノ
マーとを含む多官能性アクリル系モノマー混合物であ
る。このような多官能性アクリル系モノマー混合物を用
いると、本発明の組成物は、歯科用充填材に適した強度
の硬化物を形成し易くなる。
【0024】う蝕防止剤 う蝕防止剤は、歯牙の耐酸性を高めてう蝕の進行を抑制
するための成分である。本発明で用いられるう蝕防止剤
は、特に限定されるものではなく、公知の各種のものを
用いることができるが、歯牙に対してフッ素イオンを供
給できるものが好ましい。このようなう蝕防止剤を用い
た場合は、それが歯牙の主成分であるハイドロキシアパ
タイト(Ca6(PO410(OH)2)の水酸基をフッ
素化し、耐酸性の高いフッ化アパタイト(Ca6(P
4102)に変化させることができるので、う蝕をよ
り効果的に抑制することができる。
【0025】上述のようなフッ素イオンを供給可能なう
蝕防止剤としては、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化
スズ、フッ化チタン、フッ化亜鉛およびモノフルオロリ
ン酸ナトリウムなどの無機化合物、並びにフッ素化芳香
族化合物を挙げることができる。なお、フッ素化芳香族
化合物としては、例えば、フッ化ピッチおよび7環以下
の環で構成されるフッ素化芳香族化合物を用いることが
できる。
【0026】ここで、フッ化ピッチは、ピッチをフッ素
ガスを用いてフッ素化することにより製造できる公知の
物質であり、例えば、特開昭62−275190号公報
に開示されている。
【0027】このようなフッ化ピッチを製造するために
用いられるピッチは、一般に芳香族縮合六員環平面がメ
チレンなどの脂肪族炭化水素基により架橋しながら積層
した層構造を有するものであり、通常、石油蒸留残渣、
ナフサ熱分解残渣、エチレンボトム油、石炭液化油およ
びコールタールなどの石油系または石炭系重質油を蒸留
して沸点が200℃未満の低沸点成分を除去したもの、
ナフタレン等の縮合によって合成されたもの、およびこ
れらをさらに熱処理や水添処理したものである。具体的
には、等方性ピッチ、メソフェースピッチ、水素化メソ
フェースピッチ、石油系または石炭系重質油を蒸留して
低沸点成分を除去した後に生成するメソフェース球体か
らなるメソカーボンマイクロビーズなどを挙げることが
できる。
【0028】上述のピッチを用いて目的とするフッ化ピ
ッチを製造する際には、ピッチとフッ素ガスとを直接反
応させる。この反応時の温度は、0〜350℃程度に設
定するのが好ましく、ピッチの軟化点以下に設定するの
がより好ましい。また、反応時のフッ素ガス圧は、特に
限定されるものではないが、一般に0.07〜1.5気
圧に設定するのが好ましい。なお、フッ素ガスとして
は、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオンなどの不活性ガ
スを用いて希釈したものが用いられてもよい。このよう
な製造方法によれば、白色ないし黄白色若しくは褐色の
固体であり、かつ耐水性、耐薬品性に優れた非常に安定
なフッ化ピッチを製造することができる。
【0029】本発明で利用可能なフッ化ピッチとして好
ましいものは、実質的に炭素原子とフッ素原子とからな
り、フッ素と炭素との原子比(フッ素/炭素)が、例え
ば0.5〜1.8程度の粉末状のものである。このよう
なフッ化ピッチは、次の(a)、(b)、(c)および
(d)の特性を示す。
【0030】(a)粉末X線回折において、2θ=13
゜付近に最大強度のピークを示し、2θ=40゜付近に
最大強度ピークよりも強度の小さなピークを示す。
【0031】(b)X線光電子分光分析において、29
0.0±1.0eVにCFに相当するピークおよび29
2.5±0.9eV付近にCF2に相当するピークを示
し、CFに相当するピークに対するCF2に相当するピ
ークの強さの比が0.15〜1.5程度である。
【0032】(c)真空蒸留により膜を形成することが
できる。 (d)30℃における水に対する接触角が141°±8
°である。
【0033】また、本発明では、透明樹脂状のフッ化ピ
ッチを使用することもできる。透明樹脂状のフッ化ピッ
チは、例えば、フッ化ピッチをフッ素ガス雰囲気下にお
いて0.1〜3℃/分程度、好ましくは0.5〜1.5
℃/分程度の昇温速度で250〜400℃程度まで昇温
し、所定時間、例えば1〜18時間程度、好ましくは6
〜112時間程度反応させることにより製造することが
できる。この方法によれば、例えば次のような特性を示
す透明樹脂状のフッ化ピッチを得ることができる。
【0034】 F/C原子比:1.5〜1.7 光透過率(250〜900nm):90% 分子量:1,500〜2,000 軟化点:150〜250℃
【0035】なお、本発明の組成物では、上述のような
フッ素イオンを供給可能なう蝕防止剤として、フッ化ピ
ッチを用いるのが特に好ましい。フッ化ピッチを用いた
場合は、口腔中に長期間に渡ってフッ素イオンが供給さ
れ、う蝕を長期間効果的に抑制することができる。
【0036】その他の成分 本発明の歯科用充填材組成物は、上述の成分の他、必要
に応じて他の重合性モノマー、硬化触媒、フィラーおよ
び安定剤などの他の成分を含んでいてもよい。
【0037】ここで、他の重合性モノマーは、通常、本
発明の組成物の粘度、硬化速度および重合収率等の調整
や、本発明の組成物による歯科用充填材の硬度調整を目
的として添加されるものである。利用可能な他の重合性
モノマーとしては、例えば、メチルアクリレート、メチ
ルメタアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、
ヒドロキシエチルメタアクリレート、テトラヒドロフル
フリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタアク
リレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタア
クリレートなどのモノマーやそれらのオリゴマー、並び
に二官能性芳香族アクリル系モノマーを挙げることがで
きる。
【0038】ここで、二官能性芳香族アクリル系モノマ
ーとしては、二官能性芳香族アクリレート化合物または
二官能性芳香族メタアクリレート化合物が用いられる。
二官能性芳香族アクリレート化合物としては、2,2−
ビス(アクリロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
[4−(3−アクリロキシ)−2−ヒドロキシプロポキ
シフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−アクリロキシ
エトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アク
リロキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(4−アクリロキシテトラエトキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−アクリロキシペンタエトキシフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシプ
ロポキシフェニル)プロパン、2(4−アクリロキシエ
トキシフェニル)−2(4−アクリロキシエトキシフェ
ニル)プロパン、2(4−アクリロキシジエトキシフェ
ニル)−2(4−アクリロキシトリエトキシフェニル)
プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシジプロポキ
シフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキ
シイソプロポキシフェニル)プロパン、2(4−アクリ
ロキシジプロポキシフェニル)−2(4−メタアクリロ
キシエトキシフェニル)プロパンを例示することができ
る。
【0039】また、二官能性芳香族メタアクリレート化
合物としては、2,2−ビス(メタアクリロキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス[4−(3−メタアクリロ
キシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル]プロパ
ン、2,2−ビス(4−メタアクリロキシエトキシフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタアクリロキシ
トリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−
メタアクリロキシテトラエトキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−メタアクリロキシペンタエトキシフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタアクリロキ
シプロポキシフェニル)プロパン、2(4−メタアクリ
ロキシエトキシフェニル)−2(4−メタアクリロキシ
エトキシフェニル)プロパン、2(4−メタアクリロキ
シジエトキシフェニル)−2(4−メタアクリロキシト
リエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メ
タアクリロキシジプロポキシフェニル)プロパン、2,
2−ビス(4−メタアクリロキシイソプロポキシフェニ
ル)プロパンを例示することができる。
【0040】なお、上述の二官能性芳香族アクリル系モ
ノマーは、それぞれ単独で用いられてもよいし、2種以
上が併用されてもよい。
【0041】一方、硬化触媒は、本発明の歯科用充填材
組成物の硬化を歯科治療中の限られた時間内において常
温下で促進させるために添加されるものであり、通常、
レドックス重合触媒や感光性触媒が用いられる。
【0042】ここで、レドックス重合触媒としては、通
常、N,N−ジメチル−p−トルイジン等のアミン化合
物(特に三級アミン化合物)と過酸化ベンゾイル等の過
酸化物とを組み合わせたものが用いられる。因みに、こ
のようなレドックス重合触媒を用いる場合は、本発明の
組成物を2つに分け、その一方にアミン化合物を添加
し、他方に過酸化物を添加する。或いは、過酸化物のみ
を他の成分と混合しておき、アミン化合物を使用時に別
途添加するようにする。
【0043】一方、感光性触媒としては、例えば、α−
ジケトン、キノンおよびこれらの誘導体から選択される
少なくとも1種の光増感剤と、アルデヒドおよびその誘
導体から選択される少なくとも1種の促進剤とを含むも
のが用いられる。具体的には、例えば、カンファーキノ
ン、ベンジルおよびジアセチルのうちから選ばれた少な
くとも1つのビシナル−ジケトン(光増感剤)と、4−
(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸またはその低級ア
ルキルエステル(促進剤)とを含むものが用いられる。
このような感光性触媒を硬化触媒として用いると、本発
明の組成物は、可視光または紫外線を照射するだけで硬
化し得る。
【0044】また、フィラーは、増量材または改質材と
して適宜添加されるものであり、例えば、シリカ粉末、
ガラスビーズ、酸化アルミニウム、α−石英末、ハイド
ロキシアパタイトおよびリン酸カルシウムなどの無機物
質の粉末が用いられる。これらのフィラーは、2種以上
のものが併用されてもよい。このような無機物質のフィ
ラーの粒径は、特に限定されるものではないが、通常は
100μm以下が好ましく、30μm以下がより好まし
い。この粒径が100μmを超える場合は、本発明の組
成物を硬化させることにより得られる歯科用充填材の表
面が粗くなり、舌が触れたときのざらつき感などの不快
感が高まるおそれがある。また、本発明の組成物からな
る歯科用充填材の強度向上を図るために、各種の粒径の
フィラーが併用されてもよい。
【0045】なお、上述のフィラーは、樹脂成分との親
和性或いは結合性を高め、それにより本発明の組成物か
らなる歯科用充填材の強度をより高めるために、予めシ
ランカップリング剤を用いて表面処理しておくのが好ま
しい。この場合、シランカップリング剤としては、例え
ば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラ
ン、ビニルトリメトキシシラン、トリス(β−メトキシ
エトキシ)シラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシランなどを用いることができる。
【0046】さらに、安定剤は、本発明の組成物が使用
前に硬化してしまうのを抑制するためのものであり、通
常、ハイドロキノン系の重合抑制剤が用いられる。ハイ
ドロキノン系の重合抑制剤としては、例えば、ハイドロ
キノンモノメチルエーテルを挙げることができる。
【0047】なお、本発明の組成物には、上述の他の成
分以外にも、例えばヒトの歯牙と同じ色調を再現するた
めの色素などが適宜混入されていてもよい。
【0048】配合割合 本発明の歯科用充填材組成物は、通常、上述のビスクレ
ゾキシエタノールフルオレン系化合物を20〜60重量
%(好ましくは30〜50重量%)、上述の多官能性ア
クリル系モノマーを5〜40重量%(好ましくは8〜3
5重量%)、およびう蝕防止剤を1〜10重量%(好ま
しくは2〜6重量%)それぞれ含むように配合される。
【0049】ここで、ビスクレゾキシエタノールフルオ
レン系化合物の配合割合が20重量%未満の場合は、本
発明の組成物からなる硬化物の強度が不十分になるおそ
れがある。逆に、60重量%を超える場合は、本発明の
組成物からなる硬化物が脆くなるおそれがある。また、
多官能性アクリル系モノマーの配合割合が5重量%未満
の場合は、本発明の組成物の練和性が低下するおそれが
ある。逆に、40重量%を超える場合は、本発明の組成
物からなる硬化物の強度が不十分になるおそれがある。
さらに、う蝕防止剤の配合割合が1重量%未満の場合
は、本発明の歯科用充填材組成物による硬化物が良好な
う蝕防止機能を発揮しにくくなるおそれがある。逆に、
10重量%を超える場合は、本発明の組成物からなる硬
化物の物性が全体的に悪化し、脆くなるおそれがある。
【0050】なお、多官能性アクリル系モノマーとし
て、上述のような二官能性脂肪族アクリル系モノマー
と、上述のような三官能性脂肪族アクリル系モノマーと
を含む多官能性アクリル系モノマー混合物を用いる場
合、二官能性脂肪族アクリル系モノマーと三官能性脂肪
族アクリル系モノマーとの配合割合は、特に限定される
ものではなく、組成物の粘度や歯科用充填材の強度など
を考慮して適宜設定することができる。
【0051】本発明の歯科用充填材組成物は、上述の各
種成分を混合し、これを練和してペースト状にすると調
製することができる。
【0052】ここで、上述の硬化触媒としてレドックス
重合触媒を用いる場合は、硬化触媒を除く他の成分を均
一に混合し、これにより得られる混合物を2つに分け
る。そして、その一方の混合物にアミン化合物を添加
し、他方の混合物に過酸化物を添加して、それぞれの混
合物を練和して2つのペーストを調製する。
【0053】一方、硬化触媒として感光性触媒を用いる
場合は、当該硬化触媒を含む全ての成分を混合して練和
し、ペーストを調製する。
【0054】歯科用充填材組成物の使用方法 本発明の歯科用充填材組成物は、歯科治療分野、例えば
虫歯の治療において従来から用いられているアマルガム
やインレーに代わる充填材として利用される。
【0055】ここで、本発明の組成物が上述のレドック
ス重合触媒を含む場合は、使用に際してアミン化合物を
含むペーストと過酸化物を含むペーストとを混合する。
これにより、アミン化合物と過酸化物とが一体化してレ
ドックス重合が進行し、本発明の組成物は通常数分以内
(例えば3分以内)に硬化する。
【0056】一方、本発明の組成物が上述の感光性触媒
を含む場合は、使用に際し、組成物に対して各種の光源
(例えばキセノンランプ等)から可視光や紫外線を照射
する。これにより、組成物は光重合し、通常は数十秒
(例えば30〜120秒程度)で硬化する。
【0057】このようにして硬化させた本発明の組成物
からなる充填材は、歯牙の修復治療用材料としての必要
な強度を示し得る。また、本発明の組成物に含まれるビ
スクレゾキシエタノールフルオレン系化合物は、所謂環
境ホルモンのような生体に対して害悪になるような物質
ではないため、本発明の組成物は生体に対して害悪にな
りにくく安全性が高い。
【0058】
【実施例】実施例1 表1に示す成分からなる2種類のペースト(ペーストA
およびペーストB)を調製した。このペーストA、Bを
等量づつ採取して練和したところ、約3分で硬化した
【0059】
【表1】
【0060】得られた硬化物について、圧縮強度および
フッ素徐放性を調べた。この際、圧縮強度は、ISO4
049に規定された方法に従って測定した。一方、フッ
素徐放性は、得られた硬化物をイヌの歯牙2本に埋入
し、1本を1週間後に、他方を1ヶ月後にそれぞれ抜歯
して、埋入個所付近のフッ素濃度を測定することにより
評価した。結果は下記の通りである。
【0061】圧縮強度:3,680kg/cm2 フッ素徐放性:埋入前=373ppm、1週間後=45
6ppm、1ヶ月後=873ppm
【0062】比較例1 実施例1において用いたビスクレゾキシエタノールフル
オレンジメタアクリレートをビスフェノールAジメタア
クリレートに、また、フッ化ピッチをモノフルオロリン
酸ナトリウムにそれぞれ変更した点を除いて実施例1の
場合と同様のペーストA、Bを調製した。このペースト
A、Bを実施例1と同様にして硬化させ、得られた硬化
物について実施例1の場合と同様にして圧縮強度とフッ
素徐放性とを調べた。結果は下記の通りである。
【0063】圧縮強度:2,340kg/cm2 フッ素徐放性:埋入前=356ppm、1週間後=38
6ppm、1ヶ月後=415ppm
【0064】実施例2 実施例1で用いたものと同じビスクレゾキシエタノール
フルオレン系化合物(すなわち、ビスクレゾキシエタノ
ールフルオレンジメタアクリレート)11.5重量部、
トリエチレングリコールジメタアクリレート4.7重量
部、トリメチロールプロパントリメタアクリレート3.
0重量部、フッ化ピッチ4.0重量部、カンファーキノ
ン0.6重量部、ベンジルジメチルケタール0.2重量
部、1,2−ジメチル−1H−テトラゾール0.3重量
部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1重量部、
α−石英(平均粒径=15.4μm)75.6重量部お
よび微量の色素を混合して練和した。これにより得られ
たペースト状の組成物にキセノンランプの光を60秒間
照射したところ、硬化物が得られた。この硬化物の圧縮
強度を実施例1の場合と同様にして測定したところ、
3,620kg/cm 2であった。
【0065】
【発明の効果】本発明の歯科用充填材組成物は、所謂環
境ホルモンとして作用しない上述のような一般式(1)
で示されるビスクレゾキシエタノールフルオレン系化合
物を含んでいる。このため、この組成物は、歯牙の修復
治療用材料として必要な高強度の硬化物を形成すること
ができ、しかも従来のコンポジットレジンに比べて生体
に対する安全性が高い。
【0066】なお、このような本発明の組成物がう蝕防
止剤としてフッ化ピッチを含む場合は、口腔中に長期間
に渡ってフッ素イオンが供給され得るので、上述の効果
に加えてう蝕を長期間効果的に抑制することができる。
フロントページの続き (72)発明者 須田 康裕 大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内 Fターム(参考) 4C089 AA06 BA11 BC02 BC06 BC08 BD02 BD04 CA09 CA10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の一般式(1)で示される少なくとも
    1種のビスクレゾキシエタノールフルオレン系化合物
    と、 前記ビスクレゾキシエタノールフルオレン系化合物と重
    合可能な多官能性アクリル系モノマーと、 う蝕防止剤と、を含む歯科用充填材組成物。 【化1】 (式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)
  2. 【請求項2】前記ビスクレゾキシエタノールフルオレン
    系化合物を20〜60重量%含む、請求項1に記載の歯
    科用充填材組成物。
  3. 【請求項3】前記多官能性アクリル系モノマーは、二官
    能性脂肪族アクリレート化合物および二官能性脂肪族メ
    タアクリレート化合物からなる群から選ばれた少なくと
    も1種の二官能性脂肪族アクリル系モノマーと、三官能
    性脂肪族アクリレート化合物および三官能性脂肪族メタ
    アクリレート化合物からなる群から選ばれた少なくとも
    1種の三官能性脂肪族アクリル系モノマーとを含む多官
    能性アクリル系モノマー混合物である、請求項1または
    2に記載の歯科用充填材組成物。
  4. 【請求項4】前記う蝕防止剤がフッ化ピッチである、請
    求項1、2または3に記載の歯科用充填材組物。
  5. 【請求項5】硬化触媒をさらに含む、請求項1、2、3
    または4に記載の歯科用充填材組成物。
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