JPH11217311A - 歯科用充填材組成物 - Google Patents

歯科用充填材組成物

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JPH11217311A
JPH11217311A JP10030430A JP3043098A JPH11217311A JP H11217311 A JPH11217311 A JP H11217311A JP 10030430 A JP10030430 A JP 10030430A JP 3043098 A JP3043098 A JP 3043098A JP H11217311 A JPH11217311 A JP H11217311A
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JP
Japan
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compound
acrylic monomer
composition
difunctional
filler composition
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JP10030430A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Tajiri
博幸 田尻
Mitsuaki Yamada
光昭 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH11217311A publication Critical patent/JPH11217311A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 歯牙の修復治療用材料として必要な強度を有
する硬化物を形成することができ、しかも安全性が高い
歯科用充填材組成物を実現する。 【解決手段】 歯科用充填材組成物は、下記の一般式
(1)で示される少なくとも1種のビスフェノキシエタ
ノールフルオレン系化合物と、当該ビスフェノキシエタ
ノールフルオレン系化合物と重合可能な二官能性アクリ
ル系モノマーと、う蝕防止剤とを含んでいる。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、充填材組成物、特
に、歯科用充填材組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】う蝕された歯牙の修復治療に際しては、
従来からアマルガム、インレーおよびセメントなどの充
填材が広く利用されているが、近頃は、これらの充填材
に比べて使いやすさ、安全性および色調などが優れてい
ることからコンポジットレジンの利用が広まりつつあ
る。
【0003】このようなコンポジットレジンは、アクリ
ル系等のモノマー成分、ビスフェノール型モノマー成
分、う蝕防止剤および硬化触媒を主に含んでおり、例え
ば2種類のペーストからなる。この2種類のペースト
は、それぞれが対の関係にある硬化触媒(例えばレドッ
クス触媒)の一方を含んでおり、歯科治療の際に混合す
ると各ペーストに含まれる硬化触媒成分が互いに作用し
て数分で硬化するように調整されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のようなコンポジ
ットレジンは、ビスフェノール型のモノマー成分を必須
成分として利用している。このビスフェノール型のモノ
マー成分は、歯科用充填材に求められる硬度、耐摩耗
性、辺縁封鎖性などを達成するための成分として用いら
れているが、毒性の疑いがあることから、コンポジット
レジンの安全性を損なうおそれがある。また、このコン
ポジットレジンの硬化物は、アマルガムなどの充填材に
比べて強度が小さく、歯牙の修復治療用材料としての基
本的な適性を疑問視する向きもある。
【0005】本発明の目的は、歯牙の修復治療用材料と
して必要な強度を有する硬化物を形成することができ、
しかも安全性が高い歯科用充填材組成物を実現すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る歯科用充填
材組成物は、下記の一般式(1)で示される少なくとも
1種のビスフェノキシエタノールフルオレン系化合物
と、当該ビスフェノキシエタノールフルオレン系化合物
と重合可能な二官能性アクリル系モノマーと、う蝕防止
剤とを含んでいる。
【0007】
【化2】
【0008】式中、Rは水素原子またはメチル基を示し
ている。
【0009】ここで、ビスフェノキシエタノールフルオ
レン系化合物は、例えば、20〜60重量%含まれてい
る。
【0010】また、ここで用いられる二官能性アクリル
系モノマーは、例えば、二官能性芳香族アクリレート化
合物および二官能性芳香族メタクリレート化合物からな
る群から選ばれた少なくとも1種の二官能性芳香族アク
リル系モノマーと、二官能性脂肪族アクリレート化合物
および二官能性脂肪族メタクリレート化合物からなる群
から選ばれた少なくとも1種の二官能性脂肪族アクリル
系モノマーとを含む二官能性アクリル系モノマー混合物
である。
【0011】また、上述のう蝕防止剤は、例えばフッ化
ピッチである。
【0012】さらに、本発明に係る上述の歯科用充填材
組成物は、通常、硬化触媒をさらに含んでいる。
【0013】
【発明の実施の形態】ビスフェノキシエタノールフルオ
レン系化合物 本発明で用いられるビスフェノキシエタノールフルオレ
ン系化合物は、下記の一般式(1)で示されるビスフェ
ノキシエタノールフルオレンジアクリレートまたはビス
フェノキシエタノールフルオレンジメタアクリレートで
ある。
【0014】
【化3】
【0015】一般式(1)中、RはH(水素原子)また
はCH3(メチル基)を示している。このようなビスフ
ェノキシエタノールフルオレン系化合物は、公知の物質
であり、市販されているものを利用することができる。
【0016】本発明では、上述の一般式(1)で示され
るビスフェノキシエタノールフルオレン系化合物のうち
の1種類が単独で用いられてもよいし、2種類のものが
混合して用いられてもよい。すなわち、一般式(1)中
のRが水素原子のもの、またはRがメチル基のものがそ
れぞれ単独で用いられてもよいし、Rが水素原子のもの
とRがメチル基のものとが混合して用いられてもよい。
【0017】なお、本発明では、一般式(1)中のRが
メチル基であるビスフェノキシエタノールフルオレンジ
メタアクリレートを単独で用いるのが最も好ましい。
【0018】二官能性アクリル系モノマー 本発明で用いられる二官能性アクリル系モノマーは、上
述のビスフェノキシエタノールフルオレン系化合物と重
合して硬化物を形成するための成分であり、上述のビス
フェノキシエタノールフルオレン系化合物と重合反応可
能なものであれば特に限定されることなく各種のものを
用いることができる。
【0019】ビスフェノキシエタノールフルオレン系化
合物と重合反応可能な二官能性アクリル系モノマーとし
ては、例えば、二官能性芳香族アクリレート化合物、二
官能性芳香族メタクリレート化合物、二官能性脂肪族ア
クリレート化合物、二官能性脂肪族メタクリレート化合
物を挙げることができる。
【0020】ここで、二官能性芳香族アクリレート化合
物としては、2,2−ビス(アクリロキシフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス[4−(3−アクリロキシ)−2
−ヒドロキシプロポキシフェニル]プロパン、2,2−
ビス[4−アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−アクリロキシトリエトキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシテトラ
エトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アク
リロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−
ビス(4−アクリロキシプロポキシフェニル)プロパ
ン、2(4−アクリロキシエトキシフェニル)−2(4
−アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2(4−
アクリロキシジエトキシフェニル)−2(4−アクリロ
キシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(4−アクリロキシジプロポキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−アクリロキシイソプロポキシフェニ
ル)プロパン、2(4−アクリロキシジプロポキシフェ
ニル)−2(4−メタアクリロキシエトキシフェニル)
プロパンを例示することができる。
【0021】また、二官能性芳香族メタアクリレート化
合物としては、2,2−ビス(メタアクリロキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス[4−(3−メタアクリロ
キシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル]プロパ
ン、2,2−ビス(4−メタアクリロキシエトキシフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタアクリロキシ
トリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−
メタアクリロキシテトラエトキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−メタアクリロキシペンタエトキシフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタアクリロキ
シプロポキシフェニル)プロパン、2(4−メタアクリ
ロキシエトキシフェニル)−2(4−メタアクリロキシ
エトキシフェニル)プロパン、2(4−メタアクリロキ
シジエトキシフェニル)−2(4−メタアクリロキシト
リエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メ
タアクリロキシジプロポキシフェニル)プロパン、2,
2−ビス(4−メタアクリロキシイソプロポキシフェニ
ル)プロパンを例示することができる。
【0022】さらに、二官能性脂肪族アクリレート化合
物としては、エチレングリコールジアクリレート、トリ
エチレングリコールジアクリレート、ブチレングリコー
ルジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレ
ート、プロピレングリコールジアクリレート、1,3−
ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオー
ルジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリ
レートを例示することができる。
【0023】さらに、二官能性脂肪族メタアクリレート
化合物としては、エチレングリコールジメタアクリレー
ト、トリエチレングリコールジメタアクリレート、ブチ
レングリコールジメタアクリレート、ネオペンチルグリ
コールジメタアクリレート、プロピレングリコールジメ
タアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタアクリ
レート、1,4−ブタンジオールジメタアクリレート、
1,6−ヘキサンジオールジメタアクリレートを例示す
ることができる。
【0024】なお、上述の各種二官能性アクリル系モノ
マーは、それぞれ単独で用いられてもよいし、2種以上
のものが併用されてもよい。後者の場合、二官能性アク
リル系モノマーの組み合わせは任意に設定することがで
きる。
【0025】但し、本発明で用いられる二官能性アクリ
ル系モノマーとして好ましいものは、上述のような二官
能性芳香族アクリレート化合物および二官能性芳香族メ
タクリレート化合物からなる群から選ばれた少なくとも
1種の二官能性芳香族アクリル系モノマーと、上述のよ
うな二官能性脂肪族アクリレート化合物および二官能性
脂肪族メタクリレート化合物からなる群から選ばれた少
なくとも1種の二官能性脂肪族アクリル系モノマーとを
含む二官能性アクリル系モノマー混合物である。このよ
うな二官能性アクリル系モノマー混合物を用いると、本
発明の組成物は、歯科用充填材に適した強度がより大き
な硬化物を形成することができる。
【0026】う蝕防止剤 う蝕防止剤は、歯牙の耐酸性を高めてう蝕の進行を抑制
するための成分である。本発明で用いられるう蝕防止剤
は、特に限定されるものではなく、公知の各種のものを
用いることができるが、歯牙に対してフッ素イオンを供
給できるものが好ましい。このようなう蝕防止剤を用い
た場合は、それが歯牙の主成分であるハイドロキシアパ
タイト(Ca6(PO410(OH)2)の水酸基をフッ
素化し、耐酸性の高いフッ化アパタイト(Ca6(P
4102)に変化させることができるので、う蝕をよ
り効果的に抑制することができる。
【0027】上述のようなフッ素イオンを供給可能なう
蝕防止剤としては、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化
スズ、フッ化チタン、フッ化亜鉛およびモノフルオロリ
ン酸ナトリウムなどの無機化合物、並びにフッ素化芳香
族化合物を挙げることができる。なお、フッ素化芳香族
化合物としては、例えば、フッ化ピッチおよび7環以下
の環で構成されるフッ素化芳香族化合物を用いることが
できる。
【0028】ここで、フッ化ピッチは、ピッチをフッ素
ガスを用いてフッ素化することにより製造できる公知の
物質であり、例えば、特開昭62−275190号公報
に開示されている。
【0029】このようなフッ化ピッチを製造するために
用いられるピッチは、一般に芳香族縮合六員環平面がメ
チレンなどの脂肪族炭化水素基により架橋しながら積層
した層構造を有するものであり、通常、石油蒸留残渣、
ナフサ熱分解残渣、エチレンボトム油、石炭液化油およ
びコールタールなどの石油系または石炭系重質油を蒸留
して沸点が200℃未満の低沸点成分を除去したもの、
ナフタレン等の縮合によって合成されたもの、およびこ
れらをさらに熱処理や水添処理したものである。具体的
には、等方性ピッチ、メソフェースピッチ、水素化メソ
フェースピッチ、石油系または石炭系重質油を蒸留して
低沸点成分を除去した後に生成するメソフェース球体か
らなるメソカーボンマイクロビーズなどを挙げることが
できる。
【0030】上述のピッチを用いて目的とするフッ化ピ
ッチを製造する際には、ピッチとフッ素ガスとを直接反
応させる。この反応時の温度は、0〜350℃程度に設
定するのが好ましく、ピッチの軟化点以下に設定するの
がより好ましい。また、反応時のフッ素ガス圧は、特に
限定されるものではないが、一般に0.07〜1.5気
圧に設定するのが好ましい。なお、フッ素ガスとして
は、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオンなどの不活性ガ
スを用いて希釈したものが用いられてもよい。このよう
な製造方法によれば、白色ないし黄白色若しくは褐色の
固体であり、かつ耐水性、耐薬品性に優れた非常に安定
なフッ化ピッチを製造することができる。
【0031】本発明で利用可能なフッ化ピッチとして好
ましいものは、実質的に炭素原子とフッ素原子とからな
り、フッ素と炭素との原子比(フッ素/炭素)が、例え
ば0.5〜1.8程度の粉末状のものである。このよう
なフッ化ピッチは、次の(a)、(b)、(c)および
(d)の特性を示す。
【0032】(a)粉末X線回折において、2θ=13
゜付近に最大強度のピークを示し、2θ=40゜付近に
最大強度ピークよりも強度の小さなピークを示す。
【0033】(b)X線光電子分光分析において、29
0.0±1.0eVにCFに相当するピークおよび29
2.5±0.9eV付近にCF2 に相当するピークを示
し、CFに相当するピークに対するCF2 に相当するピ
ークの強さの比が0.15〜1.5程度である。
【0034】(c)真空蒸留により膜を形成することが
できる。 (d)30℃における水に対する接触角が141°±8
°である。
【0035】また、本発明では、透明樹脂状のフッ化ピ
ッチを使用することもできる。透明樹脂状のフッ化ピッ
チは、例えば、フッ化ピッチをフッ素ガス雰囲気下にお
いて0.1〜3℃/分程度、好ましくは0.5〜1.5
℃/分程度の昇温速度で250〜400℃程度まで昇温
し、所定時間、例えば1〜18時間程度、好ましくは6
〜112時間程度反応させることにより製造することが
できる。この方法によれば、例えば次のような特性を示
す透明樹脂状のフッ化ピッチを得ることができる。
【0036】F/C原子比:1.5〜1.7 光透過率(250〜900nm):90% 分子量:1,500〜2,000 軟化点:150〜250℃
【0037】なお、本発明の組成物では、上述のような
フッ素イオンを供給可能なう蝕防止剤として、フッ化ピ
ッチを用いるのが特に好ましい。フッ化ピッチを用いた
場合は、口腔中に長期間に渡ってフッ素イオンが供給さ
れ、う蝕を長期間効果的に抑制することができる。
【0038】その他の成分 本発明の歯科用充填材組成物は、上述の必須成分の他、
必要に応じて三官能性アクリル系モノマー、硬化触媒、
フィラーおよび安定剤などの他の成分を含んでいてもよ
い。
【0039】ここで、三官能性アクリル系モノマーは、
本発明の歯科用充填材組成物からなる硬化物の硬度を調
整するために添加されるものであり、通常、三官能性脂
肪族アクリレート化合物または三官能性脂肪族メタアク
リレート化合物が好ましく用いられる。
【0040】なお、三官能性脂肪族アクリレート化合物
としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリ
レート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリ
メチロールエタノールトリアクリレートおよびトリメチ
ロールメタントリアクリレートを挙げることができる。
一方、三官能性脂肪族メタアクリレート化合物として
は、例えば、トリメチロールプロパントリメタアクリレ
ート、トリメチロールエタントリメタアクリレート、ト
リメチロールエタノールトリメタアクリレートおよびト
リメチロールメタントリメタアクリレートを挙げること
ができる。なお、これらの三官能性アクリル系モノマー
は、2種以上のものが併用されてもよい。
【0041】一方、硬化触媒は、本発明の歯科用充填材
組成物の硬化を歯科治療中の限られた時間内において常
温下で促進させるために添加されるものであり、通常、
レドックス重合触媒や感光性触媒が用いられる。
【0042】ここで、レドックス重合触媒としては、通
常、N,N−ジメチル−p−トルイジン等の三級アミン
化合物と過酸化ベンゾイル等の過酸化物とを組み合わせ
たものが用いられる。因みに、このようなレドックス重
合触媒を用いる場合は、本発明の組成物を2つに分け、
その一方に三級アミン化合物を添加し、他方に過酸化物
を添加する。
【0043】また、感光性触媒としては、例えば、カン
ファーキノン、ベンジルおよびジアセチルのうちから選
ばれた少なくとも1つのビシナル−ジケトンと、4−
(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸またはその低級ア
ルキルエステルとを含むものが用いられる。
【0044】また、フィラーは、増量材または改質材と
して添加されるものであり、例えば、シリカ粉末、ガラ
スビーズ、酸化アルミニウム、α−石英、リン酸カルシ
ウムなどの無機物質が用いられる。このような無機物質
のフィラーの粒径は、特に限定されるものではないが、
一般に100μm以下が好ましく、30μm以下がより
好ましい。この粒径が100μmを超える場合は、本発
明の組成物を硬化させることにより得られる充填材の表
面が粗くなり、舌が触れたときのざらつき感などの不快
感が高まるおそれがある。
【0045】なお、上述のフィラーは、樹脂成分との親
和性を高め、それにより本発明の組成物からなる硬化物
の強度を高めることができることから、予めシランカッ
プリング剤を用いて表面処理しておくのが好ましい。こ
の場合、シランカップリング剤としては、例えば、ビニ
ルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニ
ルトリメトキシシラン、トリス(β−メトキシエトキ
シ)シラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピル
トリメトキシシランなどを用いることができる。
【0046】さらに、安定剤は、本発明の組成物が使用
前に硬化してしまうのを抑制するためのものであり、通
常、ハイドロキノン系の重合抑制剤が用いられる。ハイ
ドロキノン系の重合抑制剤としては、例えば、ハイドロ
キノンモノメチルエーテルを挙げることができる。
【0047】なお、本発明の組成物には、上述の他の成
分以外にも、例えばヒトの歯牙と同じ色調を再現するた
めの色素などが適宜混入されていてもよい。
【0048】配合割合 本発明の歯科用充填材組成物は、通常、上述のビスフェ
ノキシエタノールフルオレン系化合物を20〜60重量
%(好ましくは30〜50重量%)、上述の二官能性ア
クリル系モノマーを5〜40重量%(好ましくは8〜3
5重量%)、およびう蝕防止剤を1〜10重量%(好ま
しくは2〜6重量%)それぞれ含むように配合される。
【0049】ここで、ビスフェノキシエタノールフルオ
レン系化合物の配合割合が20重量%未満の場合は、本
発明の組成物からなる硬化物の強度が不十分になるおそ
れがある。逆に、60重量%を超える場合は、本発明の
組成物からなる硬化物が脆くなるおそれがある。また、
二官能性アクリル系モノマーの配合割合が5重量%未満
の場合は、本発明の組成物の練和性が低下するおそれが
ある。逆に、40重量%を超える場合は、本発明の組成
物からなる硬化物の強度が不十分になるおそれがある。
さらに、う蝕防止剤の配合割合が1重量%未満の場合
は、本発明の歯科用充填材組成物による硬化物が良好な
う蝕防止機能を発揮しにくくなるおそれがある。逆に、
10重量%を超える場合は、本発明の組成物からなる硬
化物の物性が全体的に悪化し、脆くなるおそれがある。
【0050】なお、二官能性アクリル系モノマーとし
て、上述のような二官能性芳香族アクリル系モノマー
と、上述のような二官能性脂肪族アクリル系モノマーと
を含む二官能性アクリル系モノマー混合物を用いる場
合、二官能性芳香族アクリル系モノマーと二官能性脂肪
族アクリル系モノマーとの配合割合は、特に限定される
ものではなく、組成物の粘度などを考慮して適宜設定す
ることができる。
【0051】本発明の歯科用充填材組成物は、上述の各
種成分を混合し、これを練和してペースト状にすると調
製することができる。
【0052】ここで、上述の硬化触媒としてレドックス
重合触媒を用いる場合は、硬化触媒を除く他の成分を均
一に混合し、これにより得られる混合物を2つに分け
る。そして、その一方の混合物に第3級アミン化合物を
添加し、他方の混合物に過酸化物を添加して、それぞれ
の混合物を練和して2つのペーストを調製する。
【0053】一方、硬化触媒として感光性触媒を用いる
場合は、当該硬化触媒を含む全ての成分を混合して練和
し、ペーストを調製する。
【0054】歯科用充填材組成物の使用方法 本発明の歯科用充填材組成物は、歯科治療分野、例えば
虫歯の治療において従来から用いられているアマルガム
やインレーに代わる充填材として利用される。
【0055】ここで、本発明の組成物が上述のレドック
ス重合触媒を含む場合は、使用に際して第三級アミン化
合物を含むペーストと過酸化物を含むペーストとを混合
する。これにより、三級アミン化合物と過酸化物とが一
体化してレドックス重合が進行し、本発明の組成物は通
常5分以内に硬化する。
【0056】一方、本発明の組成物が上述の感光性触媒
を含む場合は、使用に際し、組成物に対してキセノンラ
ンプ等の光源から光を照射する。これにより、組成物は
光重合し、通常10〜60秒程度で硬化する。
【0057】このようにして硬化させた本発明の組成物
からなる充填材は、歯牙の修復治療用材料としての必要
な強度を有し、しかも従来のコンポジットレジンに含ま
れるようなビスフェノール型モノマーを含んでいないの
で、安全性が高い。
【0058】
【実施例】実施例1 表1に示す成分からなる2種類のペースト(ペーストA
およびペーストB)を調製した。このペーストA、Bを
等量づつ採取して練和したところ、約4分で硬化した
【0059】
【表1】
【0060】得られた硬化物について、圧縮強度および
フッ素徐放性を調べた。この際、圧縮強度は、ISO4
049に規定された方法に従って測定した。一方、フッ
素徐放性は、得られた硬化物をイヌの歯牙2本に埋入
し、1本を1週間後に、他方を1ヶ月後にそれぞれ抜歯
して、埋入個所付近のフッ素濃度を測定することにより
評価した。結果は下記の通りである。
【0061】圧縮強度:3650kg/m2 フッ素徐放性:埋入前=86ppm、1週間後=188
ppm、1ヶ月後=625ppm
【0062】比較例1 実施例1において用いたビスフェノキシエタノールフル
オレンジメタアクリレートをビスフェノールAジメタア
クリレートに、また、フッ化ピッチをモノフルオロリン
酸ナトリウムにそれぞれ変更した点を除いて実施例1の
場合と同様のペーストA、Bを調製した。このペースト
A、Bを実施例1と同様にして硬化させ、得られた硬化
物について実施例1の場合と同様にして圧縮強度とフッ
素徐放性とを調べた。結果は下記の通りである。
【0063】圧縮強度:2400kg/m2 フッ素徐放性:埋入前=90ppm、1週間後=300
ppm、1ヶ月後=230ppm
【0064】実施例2 実施例1で用いたものと同じビスフェノキシエタノール
フルオレン系化合物10.0重量部、2,2−ビス(4
−メタアクリロキシジエトキシフェニル)プロパン6.
5重量部、ジエチレングリコールジメタアクリレート
4.5重量部、フッ化ピッチ2.0重量部、カンファー
キノン0.1重量部、ベンジルジメチルケタール0.3
重量部、1,2−ジメチル−1H−テトラゾール0.1
重量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1重量
部、α−石英(平均粒径=15.4μm)76.6重量
部および微量の色素を混合して練和した。これにより得
られたペースト状の組成物にキセノンランプの光を60
秒間照射したところ、硬化物が得られた。この硬化物の
圧縮強度を実施例1の場合と同様にして測定したとこ
ろ、3780kg/m2であった。
【0065】
【発明の効果】本発明の歯科用充填材組成物は、上述の
ような一般式(1)で示されるビスフェノキシエタノー
ルフルオレン系化合物を含んでいるので、歯牙の修復治
療用材料として必要な強度を有する硬化物を形成するこ
とができ、しかも従来のコンポジットレジンに比べて安
全性が高い。
【0066】なお、このような本発明の組成物がう蝕防
止剤としてフッ化ピッチを含む場合は、口腔中に長期間
に渡ってフッ素イオンが供給され得るので、上述の効果
に加えてう蝕を長期間効果的に抑制することができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の一般式(1)で示される少なくとも
    1種のビスフェノキシエタノールフルオレン系化合物
    と、 前記ビスフェノキシエタノールフルオレン系化合物と重
    合可能な二官能性アクリル系モノマーと、 う蝕防止剤と、を含む歯科用充填材組成物。 【化1】 (式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)
  2. 【請求項2】前記ビスフェノキシエタノールフルオレン
    系化合物を20〜60重量%含む、請求項1に記載の歯
    科用充填材組成物。
  3. 【請求項3】前記二官能性アクリル系モノマーは、二官
    能性芳香族アクリレート化合物および二官能性芳香族メ
    タクリレート化合物からなる群から選ばれた少なくとも
    1種の二官能性芳香族アクリル系モノマーと、二官能性
    脂肪族アクリレート化合物および二官能性脂肪族メタク
    リレート化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種
    の二官能性脂肪族アクリル系モノマーとを含む二官能性
    アクリル系モノマー混合物である、請求項1または2に
    記載の歯科用充填材組成物。
  4. 【請求項4】前記う蝕防止剤がフッ化ピッチである、請
    求項1、2または3に記載の歯科用充填材組物。
  5. 【請求項5】硬化触媒をさらに含む、請求項1、2、3
    または4に記載の歯科用充填材組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7361432B2 (en) * 2001-02-01 2008-04-22 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Composition for hologram-recording material, hologram-recording medium, and process for producing the same

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US7361432B2 (en) * 2001-02-01 2008-04-22 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Composition for hologram-recording material, hologram-recording medium, and process for producing the same

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