JP2000211917A - 染料定着性化合物及び印画シ―ト - Google Patents

染料定着性化合物及び印画シ―ト

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JP2000211917A
JP2000211917A JP11014471A JP1447199A JP2000211917A JP 2000211917 A JP2000211917 A JP 2000211917A JP 11014471 A JP11014471 A JP 11014471A JP 1447199 A JP1447199 A JP 1447199A JP 2000211917 A JP2000211917 A JP 2000211917A
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compound
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anion
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Kengo Ito
謙吾 伊東
Kanako Shimizu
加奈子 清水
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Kyowa Chemical Industry Co Ltd
Sony Corp
Original Assignee
Kyowa Chemical Industry Co Ltd
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 イオン交換作用に基づくインターカレーショ
ン作用により染料を定着するハイドロタルサイト系層間
化合物に物質的な汎用性を付与せしめた。 【解決手段】 一般式(1)又は(2)で示される構造
のハイドロタルサイト類化合物の層間に無機酸素酸アニ
オンが配されてなる。 [MII 1-xAl+3 x(OH)2+x[Ax/n・mH2O]-x
(1) (式中、MIIはMg、Zn、Ni、Caから選ばれる2
価の金属イオン、Aはn価のアニオンを表し、x及びm
は0.1<x<0.4、0<m<2を満たす正数であ
る。) LiAl2(OH)61/n・mH2O (2) (式中、Aはn価のアニオンを表し、mは0<m<2を
満たす正数である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、染料が定着される
染料定着性化合物及びそれを用いた印画シートに関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、パソコン等の表示画像を銀塩系写
真と同じように印画シートに出力するためにインクジェ
ット方式を用いた電気的な画像形成が行われている。こ
のインクジェット方式は、電界や熱、圧力等を駆動源と
して溶液状のインクをノズルより吐出させて、インク成
分を印画シートの染料定着層に移行せしめるものであ
る。
【0003】ここで、インクに用いられる染料として
は、水溶性の直接染料や酸性染料が主として用いられて
いる。また、印画シートの染料定着層は、染料との親和
性に優れた水溶性高分子、有機もしくは無機填料、その
他補助的物質が染料浸透性や画像の滲みを制御するよう
に配合されている。その画質の進歩は著しく、走査画像
ではあってもドット密度の改善や印画シート(画像染料
定着層)の光沢化と相俟って高精細化し、視認距離では
銀塩系写真様の品位を呈するようになっている。
【0004】このインクジェット方式に用いられる染料
は、直接染料の染色理論に代表されるように、染料定着
層への移行後は染料定着層構成成分とのファンデルワー
ルス力、水素結合等の相互作用をすることによって染料
定着層中に保持(染色)されている。従って、そのまま
では、画像形成後に染料に対してより親和力の優れた溶
媒や樹脂等に接した場合、あるいはこれらの相互作用を
打ち消すだけの熱エネルギーが供給された場合には、染
料の溶出や移行が誘発されたり、画像のボケが発生する
等の不都合が生じてしまい、いわゆる銀塩系写真のよう
な完全な定着性を示さない状況にある。同様に、直接染
料や酸性染料を記録手法に用いる文具、印刷等の一般的
な印字材料についても同じ問題が潜在する。
【0005】このような状況を打開するために、例えば
特公昭62−798号公報、USP第4694302号
公報、特開平1−225585号公報、特公昭63−1
1158号公報等に見られるように化学結合の形成に基
づく手段が提案されている。
【0006】これらの公報では、インク用染料に反応染
料を用い、染料定着層中の活性基と共有結合を形成する
方法、あるいは、染料アニオンと染料定着層中の有機高
分子カチオン間にもしくは染料アニオンと染料定着層中
の無機低分子カチオン間にイオン結合を形成させる方法
等により、インクを染料定着層に化学的に固定する方法
が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の手段では、インクや染料定着層の反応性が高すぎて保
存性が悪いことや、短時間で反応が完了せず、安定な画
像形成に長時間を要したり、もしくは、加熱等の補助手
段を必要とする。また、染料の調製が難しく使用可能な
色相が限られる。または、画像の透明性や光沢の確保が
困難などの欠点がある。さらに、これらの手段によって
耐水性が向上しても、耐溶剤性や耐光性が欠如あるいは
不足していたりして画像の品位と定着性が十分に両立す
るとは言い難い。
【0008】このため、従来のインクジェット画像は証
明写真や野外展示印刷等、高度の画像耐久性が求められ
る分野にて実用化が大きく妨げられている。それととも
に、画像の彩度、解像性を高めてより高品位な画質を得
ることが嘱望されている。かかる状況下、この問題に答
えるべく、特開平7−68925号公報に示されるがご
とく、イオン交換作用に基づくインターカレーション作
用を用いた染料画像の定着方法が提案されている。
【0009】しかしながら、その記述では、酸性染料や
直接染料などの広義のアニオン染料を分子レベルで補足
する作用を有するハイドロタルサイト系層間化合物が限
定されており、当該物質の合成の難易や原料価格に応じ
て経済効果を左右する場合もある。また、用途によって
は例えば安価な汎用紙を対象とする場合には、高度な光
沢や透明性を必要としないので、特開平7−68925
号公報等に示されるように、比較的に高価な有機酸で表
面処理して得られるハイドロタルサイト類あるいはハイ
ドロタルサイト類を焼成して得られる酸化物固溶体を染
料定着性化合物として用いた場合には、品質過剰に陥る
場合もある。
【0010】本発明は、上述したような従来の実情に鑑
みて提案されたものであり、イオン交換作用に基づくイ
ンターカレーション作用により染料を定着するハイドロ
タルサイト系層間化合物に物質的な汎用性を付与せしめ
た安価な染料定着性化合物及びそれを用いた印画シート
を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の染料定着性化合
物は、一般式(1)又は(2)で示される構造のハイド
ロタルサイト類化合物の層間に無機酸素酸アニオンが配
されてなることを特徴とする。
【0012】 [MII 1-xAl+3 x(OH)2+x[Ax/n・mH2O]-x (1) (式中、MIIはMg、Zn、Ni、Caから選ばれる2
価の金属イオン、Aはn価のアニオンを表し、x及びm
は0.1<x<0.4、0<m<2を満たす正数であ
る。) LiAl2(OH)61/n・mH2O (2) (式中、Aはn価のアニオンを表し、mは0<m<2を
満たす正数である。) 上述したような本発明に係る染料定着性化合物では、ハ
イドロタルサイト類化合物の層間に無機酸素酸アニオン
が配されているので、インターカレーション反応により
染料が層間に強固に定着される。
【0013】また、本発明の印画シートは、支持体と、
上記支持体上に形成された染料定着層とを有し、上記染
料定着層は、一般式(1)又は(2)で示される構造の
ハイドロタルサイト類化合物の層間に無機酸素酸アニオ
ンが配されてなる染料定着性化合物を含有していること
を特徴とする。
【0014】 [MII 1-xAl+3 x(OH)2+x[Ax/n・mH2O]-x (1) (式中、MIIはMg、Zn、Ni、Caから選ばれる2
価の金属イオン、Aはn価のアニオンを表し、x及びm
は0.1<x<0.4、0<m<2を満たす正数であ
る。) LiAl2(OH)61/n・mH2O (2) (式中、Aはn価のアニオンを表し、mは0<m<2を
満たす正数である。) 上述したような本発明に係る印画シートでは、染料定着
性化合物として、層間に無機酸素酸アニオンが配された
ハイドロタルサイト類化合物を含有しているので、イン
ターカレーション反応により染料が層間に強固に定着さ
れて、鮮明な画像が形成される。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0016】本実施の形態に係る印画シートの一構成例
を図1に示す。この印画シート1は、フィルム状の支持
体2上に、インターカレーション反応により染料が受
容、定着される染料定着層3が形成されてなる。
【0017】支持体2としては、紙、合成紙、プラスチ
ックフィルム、金属板、金属箔、アルミニウムを蒸着し
たプラスチックフィルム等から任意に選択される。
【0018】染料定着層3は、染料定着性化合物と、バ
インダー高分子とを含有し、染料定着性化合物が、バイ
ンダー高分子中に分散されてなる。
【0019】本実施の形態に係る印画シート1では、染
料定着性化合物として、下記一般式(1)又は(2)で
示される構造のハイドロタルサイト類化合物を用いてい
る。
【0020】 [MII 1-xAl+3 x(OH)2+x[Ax/n・mH2O]-x (1) (式中、MIIはMg、Zn、Ni、Caから選ばれる2
価の金属イオン、Aはn価のアニオンを表し、x及びm
は0.1<x<0.4、0<m<2を満たす正数であ
る。) LiAl2(OH)61/n・mH2O (2) (式中、Aはn価のアニオンを表し、mは0<m<2を
満たす正数である。) 上記(1)又は(2)で示されるハイドロタルサイト類
化合物は、化学合成され、夾雑物を含まずに純白色もし
くは淡い着色を呈する。合成ハイドロタルサイトを用い
ることで、銀塩写真に比較し得るような高い彩度を実現
する染料定着層3を形成することが可能となる。
【0021】また、このハイドロタルサイト類化合物
は、層間に無機酸素酸アニオンが配されている。ここ
で、無機酸素酸とは、酸素を含む無機酸、すなわち酸素
以外の非金属又は金属に酸素が配位した基を有する酸を
いう。上記ハイドロタルサイト類化合物の層間に配され
る無機酸素酸としては、例えば過塩素酸、硝酸、硫酸等
が好適なものとして挙げられる。
【0022】一方、比較的長いアルキル基等の炭化水素
鎖を有するカルボン酸、スルホン酸、硫酸エステル酸、
リン酸エステル酸等の有機酸を用いた場合、その配置量
にも依存するが、水和しにくい被吸着表面を与えること
から、染料分子と層間表面との接触を断ち、親水性染料
の定着部位を奪うことで染料の定着効果を不足せしめて
しまう。そのため、上述したような無機酸素酸を用いる
ことで、染料分子と層間表面との親和性を高め、染料の
定着効果を満足することができる。
【0023】また、上記染料定着性化合物は、無機酸素
酸の吸着量が、ハイドロタルサイト類のアニオン交換容
量に対する無機酸の当量比で0.2〜1.1の範囲であ
ることが好ましい。無機酸素酸の吸着量が当量比で0.
2よりも少ないと、染料定着性化合物の染料定着効果が
十分に得られない。また、無機酸素酸の吸着量が当量比
で1.1よりも多いと、却って染料の定着を阻害してし
まう。従って、無機酸素酸の吸着量を上述の範囲とする
ことで、染料定着性化合物の染料定着効果を十分に発揮
することができる。
【0024】そして、このような染料定着性化合物は、
その表面のカチオン部が、直接染料又は酸性染料のアニ
オン部とイオン結合を形成することにより、染料を定着
して画像を形成する。その原理について、図2〜図4を
用いて説明する。
【0025】本実施の形態に係る染料定着性化合物の出
発物質として用いられる天然型のハイドロタルサイト類
化合物10は、図2に示すように、層間や層を構成する
金属水酸化物の八面体の表面に炭酸イオン(CO3 2-
11を保持している。このときの層間距離をd1とす
る。
【0026】上記ハイドロタルサイト類化合物10を水
で膨潤させておき、無機酸素酸陰イオン12を添加する
と吸着平行に至り、図3に示すようなイオン交換が起こ
り、予め存在していた炭酸イオン11に代わってこの無
機酸素酸陰イオン12が層間等の表面に吸着する。この
ときの層間距離d2は、置換した無機酸素酸陰イオン1
2のサイズに応じて変化する。
【0027】そして、このハイドロタルサイト類化合物
10に、直接染料又は酸性染料等の染料13が、水、ア
ルコール等の高誘電率溶媒に分散されてなるインクが供
給されると、染料13は、ハイドロタルサイト類化合物
10の層間等に速やかに移行する。そして、染料13の
アニオン部と、層間表面の無機酸素酸陰イオン12との
間でイオン交換あるいは何らかの電子的相互作用が起こ
り、図4に示すように、染料13がハイドロタルサイト
類化合物10の層間等の表面に強く吸着する。このよう
な作用により、染料が染料定着性化合物に定着すること
になる。
【0028】また、上記染料定着性化合物の含有量は、
染料定着層3を構成する固形分の20重量%〜90重量
%であることが好ましい。染料定着性化合物の含有量が
20重量%よりも少ないと、染料定着効果が十分ではな
く、また、染料定着性化合物の含有量が90重量%より
も多いと、染料定着層3の柔軟性が低下してしまう。従
って、上記染料定着性化合物の含有量を20重量%〜9
0重量%とすることで、柔軟性に富み、染料定着能力に
優れた印画シート1を得ることができる。
【0029】バインダー高分子としては、通常この種の
印画シートの染料定着層に用いられている公知の熱可塑
性樹脂が使用可能であるが、染料定着性化合物の染料定
着作用を阻害するような置換基、例えば、染料定着性化
合物に対して、直接染料又は酸性染料よりも相対的にイ
オン交換等による吸着を起こしやすい置換基を含むもの
は好ましくない。
【0030】このような染料定着層3は、染料定着性化
合物とバインダー高分子とが高誘電率溶媒中で分散され
てなる塗料を、支持体2上に塗布、乾燥することにより
形成される。ここで、上記高誘電率溶媒には、バインダ
ー高分子を溶解せしめる溶媒が用いられる。
【0031】また、染料定着性化合物の染料定着性を阻
害しない限り、さまざまな目的で染料定着層3中に各種
添加剤を添加してもよい。染料定着層3中に添加される
添加剤としては、例えば、バインダー高分子のガラス転
移点Tgを制御するための可塑剤、染料定着層3の吸水
性や帯電性制御のための補助的添加剤、耐光性改善のた
めの紫外線吸収剤あるいは品位改善のための蛍光増白剤
等が挙げられる。
【0032】そして、上述したような本実施の形態に係
る印画シート1に対しては、直接染料又は酸性染料を用
いたインクが用いられることが好ましい。
【0033】ここで、直接染料、酸性染料とは、発色団
としてモノアゾ、ジスアゾ、アントラキノン、トリフェ
ニルメタン、その他を有し分子内に1〜3個のスルホン
酸基またはカルボキシル基の陰イオン性の水溶性基を持
つものをいい、一般に酸性染料よりも直接染料の方が分
子量が大きい。
【0034】この印画シート1に対して好適に用いられ
る染料を具体的に例示すれば、イエロー系染料として、
C.Iダイレクトイエロー1,8,11,12,24,
26,27,28,33,39,44,50,58,8
5,86,87,88,89,98,100,110等
の他、C.Iアシッドイエロー1,3,7,11,1
7,19,23,25,29,36,38,40,4
2,44,49,59,61,70,72,75,7
6,78,79,98,99,110,111,11
2,114,116,118,119,127,12
8,131,135,141,142,161,16
2,163,164,165等が挙げられる。
【0035】マゼンタ系染料として、C.Iダイレクト
レッド1,2,4,9,11,13,17,20,2
3,24,28,31,33,37,39,44,4
6,62,63,75,79,80,81,83,8
4,89,95,99,113,197,201,21
8,220,224,225,226,227,22
8,229,230,231等の他、C.Iアシッドレ
ッド1,6,8,9,13,14,18,26,27,
32,35,37,42,51,52,57,75,7
7,80,82,83,85,87,88,89,9
2,94,97,106,111,114,115,1
17,118,119,129,130,131,13
3,134,138,143,145,154,15
5,158,168,180,183,184,18
6,194,198,199,209,211,21
5,216,217,219,249,252,25
4,256,257,262,265,266,27
4,276,282,283,303,317,31
8,320,321,322等が挙げられる。
【0036】シアン系色素としては、C.Iダイレクト
ブルー1,2,6,8,15,22,25,41,7
1,76,77,78,80,86,90,98,10
6,108,120,158,160,163,16
5,168,192,193,194,195,19
6,199,200,201,202,203,20
7,225,226,236,237,246,24
8,249等の他、C.Iアシッドブルー1,7,9,
15,22,23,25,27,29,40,41,4
3,45,54,59,60,62,72,74,7
8,80,82,83,90,92,93,100,1
02,103,104,112,113,117,12
0,126,127,129,130,131,13
8,140,142,143,151,154,15
8,161,166,167,168,170,17
1,175,182,183,184,187,19
2,199,203,204,205,229,23
4,236等が挙げられる。
【0037】また、ブラック系染料としては、C.Iダ
イレクトブラック17,19,22,32,38,5
1,56,62,71,74,75,77,94,10
5,106,107,108,112,113,11
7,118,132,133,146等の他、C.Iア
シッドブラック1,2,7,24,26,29,31,
44,48,50,51,52,58,60,62,6
3,64,67,72,76,77,94,107,1
08,109,110,112,115,118,11
9,121,122,131,132,139,14
0,155,156,157,158,159,191
等が挙げられる。
【0038】上述したような直接染料又は酸性染料をそ
のままインク用色剤として用いた水性インクを使用でき
ることはもちろん、インクの補助添加物として用いる溶
剤類との相溶性あるいは染料定着層3中での滲み性制御
を目的として、染料の対カチオンを有機イオンに置換し
て用いたインクを用いることもできる。
【0039】印画シート1に画像を形成する際には、画
像信号に応じて、ピエゾ素子や感熱素子等を用いてイン
ク滴をノズルより吐出することにより、インクが選択的
に印画シート1上に移行せしめられて画像が形成され
る。なお、インクを印画シート1上に移行せしめるため
の手段は、ピエゾ素子や感熱素子等に限られるものでは
なく、インクジェット方式においてこれまで提案されて
いるものがいずれも使用可能である。
【0040】なお、上述した実施の形態では、染料定着
性化合物を含有する染料定着層3が支持体2上に形成さ
れてなる印画シート1を例に挙げて説明したが、本発明
はこれに限定されるものではなく、染料定着性化合物や
バインダー高分子等の染料定着層構成材料を繊維パルプ
と共に抄紙することにより、染料定着層が支持体と一体
に形成された印画シートについても適用可能である。
【0041】
【実施例】・染料定着性化合物の染料吸着量についての
評価 つぎに示す実施例1〜実施例2及び比較例1では、ハイ
ドロタルサイト化合物の層間イオンを炭酸イオンから無
機酸素酸イオンに置換し、染料吸着量の変化について調
べた。
【0042】〈実施例1〉組成式(1)中Mがマグネシ
ウムでAが炭酸イオンの合成ハイドロタルサイト(モル
比MgO/Al23=4.1±0.1)20gを1リッ
トルの水中に分散して撹拌しながら、ハイドロタルサイ
ト類のアニオン交換容量に対する無機酸の当量比で1.
1当量の硝酸を200ccの水に溶解し滴下した。この
分散液を室温で24時間放置した後、沈殿物をろ別し純
水で洗浄して105℃で乾燥し純白色の粉体を得た。こ
のようにして、層間に硝酸イオンを吸着させた染料定着
性化合物を得た。
【0043】〈実施例2〉組成式(1)中Mがマグネシ
ウムでAが炭酸イオンの合成ハイドロタルサイト(モル
比MgO/Al23=4.1±0.1)20gを1リッ
トルの水中に分散して撹拌しながら、ハイドロタルサイ
ト類のアニオン交換容量に対する無機酸の当量比で1.
1当量の硫酸を200ccの水に溶解し滴下した。この
分散液を室温で24時間放置した後、沈殿物をろ別し純
水で洗浄して105℃で乾燥し純白色の粉体を得た。こ
のようにして、層間に硫酸イオンを吸着させた染料定着
性化合物を得た。
【0044】以上のようにして得られた実施例1及び実
施例2の各種無機酸素酸イオンが吸着された染料定着性
化合物について、染料吸着量を次の方法により測定し
た。
【0045】まず、無機酸素酸イオンが吸着された染料
定着性化合物1.0gを、100gの純水中に超音波分
散機を用いて分散し白色の懸濁液を得た。そして、この
懸濁液に、染料としてクロラゾールブラックT水溶液を
所定量添加して一夜放置し、室温で吸着平衡に至らしめ
た。次に、水溶液中に残存する(吸着に与らなかった)
染料量を分光学的に定量した。
【0046】そして、既知の染料添加量から、吸着に与
らなかった染料量を差し引くことにより、染料定着性化
合物に吸着された染料量を算出した。染料の添加量を1
0、35、65[mmol/100g]と変えて、それ
ぞれの場合の染料吸着量を算出した。
【0047】また、比較例1として、出発物質である、
組成式(1)中MがマグネシウムでAが炭酸イオンの合
成ハイドロタルサイトについても同様な条件下で染料吸
着量を測定した。
【0048】実施例1,実施例2及び比較例1の染料定
着性化合物の物理的性質を表1に示し、また、上記染料
定着性化合物の染料吸着量を、染料添加量とともに表2
に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】表2から明らかなように、無機酸素酸イオ
ンを吸着した実施例1〜実施例2の染料定着性化合物の
染料吸着量は、炭酸イオンを吸着した比較例1の染料定
着性化合物の染料吸着量よりも常に多いという結果が得
られた。これは、表1からもわかるように、層間イオン
を炭酸イオンから無機酸素酸イオンに変更したことによ
り比表面積が増加したためと推定される。
【0052】従って、ハイドロタルサイト化合物の層間
に無機酸素酸イオンを存在せしめることで、染料吸着性
に優れた染料定着性化合物が得られることがわかった。
【0053】・印画シートの染料定着性についての評価 つぎに示す実施例3〜実施例6及び比較例2では、層間
に無機酸素酸イオンが吸着された染料定着性化合物を用
いて印画シートを作製し、その染料定着性について評価
した。
【0054】〈実施例3〉まず、実施例1で作製した、
層間に硝酸イオンが吸着された染料定着性化合物を0.
5gと、叩解したパルプを3gとをビーカーに入れ、さ
らに100ccの水を加え、スプーンを用いて軽く撹拌
しながら、サイズ剤を0.06gと定着剤を0.12g
との希釈液を加えた。この混合液をミキサーにて約5分
間撹拌した後、抄紙機の水槽に投入し、さらに撹拌を行
った。
【0055】ここで、上記サイズ剤には、ディックハー
キュレス社製のマコーベル12(原液中の固形分は1
2.0%)を用いた。このマコーベル12は、製紙後の
水分による伸縮を防ぐ作用を有する。また、上記定着剤
には、ディックハーキュレス社製のカイメン557−H
(原液中の固形分は12.5%)を用いた。このカイメ
ン557−Hは、パルプ間の(もしくは顔料との)接着
を促進する作用を有する。
【0056】次に、水槽内の水を一気に抜いた。これに
より、印画シートを構成するシート成分が水槽下部に積
層する。そして、水槽下部に積層したシート成分の上に
吸水紙を重ねて重石ローラーにて押圧した。次に、吸水
紙を外してから、底部に形成されている原紙を最下部の
スクリーンメッシュから剥離して、乾燥機にて160℃
で脱水した。これにより、染料定着層が支持体と一体に
形成されてなる印画シートが得られた。
【0057】〈実施例4〉染料定着性化合物の添加量を
1.0gとしたこと以外は実施例3と同様にして印画シ
ートを作製した。
【0058】〈実施例5〉染料定着性化合物の添加量を
3.3gとしたこと以外は実施例3と同様にして印画シ
ートを作製した。
【0059】〈実施例6〉染料定着性化合物の添加量を
5.5gとしたこと以外は実施例3と同様にして印画シ
ートを作製した。
【0060】〈比較例2〉染料定着性化合物を添加しな
かったこと以外は実施例3と同様にして印画シートを作
製した。
【0061】以上のようにして得られた実施例3〜実施
例6及び比較例2の印画シートを、セイコーエプソン社
製のプリンタ(商品名MJ−700C)の給紙トレイに
装着した。また、プリンタの黒色のインクカセット内容
物を、下記組成のインクIと入れ替えて白黒印刷モード
にてインクジェット記録を行い、白黒画像を得た。
【0062】・インクI組成 染料(クロラゾールブラックT):2重量部 トリエチレングリコールジアセテート:5重量部 テトラエチレングリコール:2重量部 水:30重量部 染料定着性化合物を含む実施例3〜実施例6の印画シー
トでは、光沢性がやや劣るものの、良好な画像が得られ
た。一方、染料定着性化合物を含まない比較例2の印画
シートでは、高濃度部でインクがシート背面に達する現
象が認められた。
【0063】次に、各記録画像を水中に5秒間浸漬した
ところ、比較例2の印画シートでは直ちに染料の溶出が
起こった。一方、実施例3の印画シートでは、高濃度部
にて染料の溶出が認められたが、実施例4〜実施例6の
印画シートでは、染料の溶出は全く見られず、完全な定
着性を示した。
【0064】さらに、染料定着性化合物として、層間イ
オンが炭酸イオンであるハイドロタルサイトを用いた場
合についても同様に画像の定着性能を評価したところ、
完全な定着性は得られなかった。
【0065】従って、染料定着性化合物として用いられ
るハイドロタルサイト化合物の層間に無機酸素酸イオン
を存在せしめることで、画像の定着性が大幅に改善され
たことが明白となった。
【0066】・印画シートの画像性能についての評価 つぎに示す実施例7及び比較例3では、層間に過塩素酸
イオンが吸着された染料定着性化合物を用いて印画シー
トを作製し、その画像性能について評価した。
【0067】〈実施例7〉組成式(1)中Mがマグネシ
ウムでAが炭酸イオンの合成ハイドロタルサイト(モル
比MgO/Al23=6.1±0.1)30gを1リッ
トルの水中に分散して撹拌しながら、200ccのエタ
ノールに溶解した過塩素酸を60mg当量分滴下した。
この分散液をポリビニルブチラール(積水化学社製、商
品名BL−1)を1重量%含むエタノ−ル溶液1kgに
投入し、20時間サンドミルによる分散を行って白色懸
濁液を得た。
【0068】この懸濁液を、上質紙の片面にワイヤーバ
ーを用いて塗布後、110℃の熱風にて1分間乾燥して
固体被膜を得た。次に、表面温度120℃の弾性ローラ
ー間を10cm/秒の早さで送りながら圧着し室温に冷
却して汎用紙様の白色印画シートを作製した。
【0069】〈比較例3〉染料定着性化合物として、層
間イオンが炭酸イオンであるハイドロタルサイトを用い
て、実施例7と同様にして印画シートを作製した。
【0070】以上のようにして得られた実施例8及び比
較例3の印画シートをセイコーエプソン社製のプリンタ
(商品名MJ−700C)の給紙トレイに装着し、ま
た、インクカセット内容物を下記組成のインクIIと入れ
替えてインクジェット記録を行い、カラー画像を得た。
【0071】・インクII組成 染料:2重量部 テトラメチルアンモニウムクロリド:1重量部 ジエチレングリコール:5重量部 2−ピロリドン:15重量部 水:50重量部 染料 Y:C.I.アシットイエロー23 M:C.I.アシットレッド52 C:C.I.アシットブルー9 その結果、実施例7及び比較例3の印画シートに形成さ
れた画像は、どちらも真円状のドットを形成していた。
また、得られた画像について、光沢度、画像濃度(シア
ン、マゼンタ)、対温湿度色差(シアン、マゼンタ)を
測定した。その結果を表3に示す。なお、表3におい
て、対温湿度色差は、色差が5以下のときを○とし、2
0以上のときを×として示した。
【0072】
【表3】
【0073】表3から、層間に過塩素酸が吸着された染
料定着性化合物を用いた印画シートでは、得られる画像
が、光沢や発色濃度当の品位だけでなく耐温湿度特性に
も優れることがわかる。
【0074】従って、染料定着性化合物として用いられ
るハイドロタルサイト化合物の層間に無機酸素酸イオン
を存在せしめることで、画像性能が大幅に改善されるこ
とがわかった。
【0075】
【発明の効果】本発では、画像定着性に優れた染料定着
性化合物を、安価に実現することができる。また、本発
明では、この優れた染料定着性化合物を染料定着層に用
いることで、耐温度特性や画像品位等の性能に優れた画
像を得ることができ、経済的にも優れた印画シートを実
現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る印画シートの一構成例を示す断面
図である。
【図2】ハイドロタルサイト類化合物の層間の炭酸イオ
ンが存在している状態を示す模式図である。
【図3】図2の炭酸イオンが無機酸素酸イオンに置換さ
れた状態を示す模式図である。
【図4】ハイドロタルサイト類化合物の層間に染料が定
着された状態を示す模式図である。
【符号の説明】
1 印画シート、 2 支持体、 3 染料定着層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 加奈子 香川県坂出市林田町4285番地 協和化学工 業株式会社内 Fターム(参考) 2H086 BA15 BA31 4G047 AA05 AC03 4G048 AA03 AC05 4G076 AA09 AA10 AA12 AA14 AA18 AA19 AA21 AB02 AB09 AB21 BA25 CA22 DA30

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1)又は(2)で示される構造
    のハイドロタルサイト類化合物の層間に無機酸素酸アニ
    オンが配されてなることを特徴とする染料定着性化合
    物。 [MII 1-xAl+3 x(OH)2+x[Ax/n・mH2O]-x (1) (式中、MIIはMg、Zn、Ni、Caから選ばれる2
    価の金属イオン、Aはn価のアニオンを表し、x及びm
    は0.1<x<0.4、0<m<2を満たす正数であ
    る。) LiAl2(OH)61/n・mH2O (2) (式中、Aはn価のアニオンを表し、mは0<m<2を
    満たす正数である。)
  2. 【請求項2】 上記無機酸素酸アニオンが、過塩素酸イ
    オン、硝酸イオン、又は硫酸イオンであることを特徴と
    する請求項1記載の染料定着性化合物。
  3. 【請求項3】 支持体と、上記支持体上に形成された染
    料定着層とを有し、 上記染料定着層は、一般式(1)又は(2)で示される
    構造のハイドロタルサイト類化合物の層間に無機酸素酸
    アニオンが配されてなる染料定着性化合物を含有してい
    ることを特徴とする印画シート。 [MII 1-xAl+3 x(OH)2+x[Ax/n・mH2O]-x (1) (式中、MIIはMg、Zn、Ni、Caから選ばれる2
    価の金属イオン、Aはn価のアニオンを表し、x及びm
    は0.1<x<0.4、0<m<2を満たす正数であ
    る。) LiAl2(OH)61/n・mH2O (2) (式中、Aはn価のアニオンを表し、mは0<m<2を
    満たす正数である。)
  4. 【請求項4】 上記無機酸素酸アニオンが、過塩素酸イ
    オン、硝酸イオン、又は硫酸イオンであることを特徴と
    する請求項3記載の印画シート。
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