JP2000211318A - 二輪車用空気入りタイヤ - Google Patents

二輪車用空気入りタイヤ

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JP2000211318A
JP2000211318A JP11013047A JP1304799A JP2000211318A JP 2000211318 A JP2000211318 A JP 2000211318A JP 11013047 A JP11013047 A JP 11013047A JP 1304799 A JP1304799 A JP 1304799A JP 2000211318 A JP2000211318 A JP 2000211318A
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JP
Japan
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cord
tire
pneumatic tire
motorcycle
dtex
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English (en)
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Yasuyuki Tamura
康之 田村
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Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 操縦性と旋回性とタイヤ性状とに優れ、かつ
これらのバランスの良好な高性能の二輪車用空気入りタ
イヤを提供する。 【解決手段】 トレッドの内側でかつタイヤ周方向に配
設されたコードで形成されるスパイラルベルト層と、該
スパイラルベルト層と組み合わされるカーカスとを少な
くとも備えてなり、該コードが、ポリエチレン−2,6
−ナフタレートで実質的に形成されることを特徴とする
二輪車用空気入りタイヤである。コードの、25±5℃
における引張弾性率が、7208〜15887MPaで
ある態様、コードの、JIS L 1017(化学繊維
タイヤコード試験方法)に規定される、25℃±5℃に
おける荷重−伸長曲線の2.65mN/dtex時の傾
き(E)と10.6mN/dtex時の傾き(F)との
比(E/F)が、0.7〜1.3である態様、などが好
ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二輪車用空気入り
タイヤに関し、更に詳しくは、操縦性と旋回性とタイヤ
性状とに優れ、かつこれらのバランスの良好な高性能の
二輪車用空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の二輪車用空気入りタイヤでは、ス
パイラルベルト層のコードとして、高いタガ効果を期待
して芳香族ポリアミドなどの高弾性コードを使用する旨
が、例えば、特公平3−8961号公報、特開平3−2
27703号公報、特開平3−231003号公報、特
開平3−239602号公報、特開平3−24620号
公報、特開平3−114903号公報、特開平5−22
9306号公報、特開平5−229306号公報などに
開示されている。しかし、前記芳香族ポリアミドなどの
高弾性コードでは、加硫時の金型フィット性が悪い上、
タイヤの旋回性や性状が十分でないという問題がある。
【0003】また、スパイラルベルト層のコードとし
て、加硫時の金型フィット性を向上させつつタガ効果を
向上させるべく、低弾性フィラメントと高弾性フィラメ
ントとを撚り合わせた複合コードを使用し、該複合コー
ドの応力伸度曲線の非線型性を利用し、応力伸度曲線の
変曲点と、低伸度領域及び高伸度領域における弾性率比
とを限定する旨が、例えば、特開平5−604号公報、
特開平5−92702号公報、特開平5−116509
号公報などに開示されている。しかしながら、前記低弾
性フィラメントと前記高弾性フィラメントとを撚り合わ
せた複合コードの場合、応力−伸度曲線に変曲線を持つ
ため、いわゆる大入力及び小人力でのコードの挙動が異
なってしまうため、操縦性に入力依存性が出てしまい、
大入力・大変形時には操縦性が良好であるが、小入力・
小変形時には効果が十分でないという問題がある。ま
た、前記複合コードを使用する場合、加硫金型への拡張
率をトレッド幅方向で一定にするのは実際には困難であ
るという問題もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来に
おける諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課
題とする。本発明は、操縦性と旋回性とタイヤ性状とに
優れ、かつこれらのバランスの良好な高性能の二輪車用
空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段は以下の通りである。即ち、 <1> トレッドの内側でかつタイヤ周方向に配設され
たコードで形成されるスパイラルベルト層と、該スパイ
ラルベルト層と組み合わされるカーカスとを少なくとも
備えてなり、該コードが、ポリエチレン−2,6−ナフ
タレートで実質的に形成されることを特徴とする二輪車
用空気入りタイヤである。 <2> コードの、25±5℃における引張弾性率が、
7208〜15887MPaである前記<1>に記載の
二輪車用空気入りタイヤである。 <3> コードの、JIS L 1017(化学繊維タ
イヤコード試験方法)に規定される、25℃±5℃にお
ける荷重−伸長曲線の2.65mN/dtex時の傾き
(E)と10.6mN/dtex時の傾き(F)との比
(E/F)が、0.7〜1.3である前記<1>又は<
2>に記載の二輪車用空気入りタイヤである。 <4> コードが、ポリエチレン−2,6−ナフタレー
トで実質的に形成される原糸の撚り糸であり、該撚り糸
における以下の上撚り係数(R)が、1200〜260
0である前記<1>から<3>のいずれかに記載の二輪
車用空気入りタイヤである。 撚り係数(R)=N×√(0.9D) ただし、前記式において、Nは、上撚り数(回/10c
m)を表し、Dは、デシテックスで表したコードの総表
示繊度を表す。
【0006】前記<1>に記載の二輪車用空気入りタイ
ヤにおいては、前記コードがポリエチレン−2,6−ナ
フタレート(以下「PEN」と称することがある。) で
実質的に形成されているので、タイヤ製造時に生タイヤ
を加硫金型に装着し、生タイヤに内圧を充填させ、金型
内面に押しつける際、一般の高弾性有機繊維コードとは
異なり、タイヤ加硫成型時にコードの受ける温度下(1
65℃〜185℃)で、十分な伸びを示すので、スパイ
ラルベルト層がカーカスに食い込むこともなければ、生
タイヤが加硫金型にフィットしないこともない。このた
め、スパイラルベルト層の性状は均一となり、得られる
二輪車用空気入りタイヤの接地性も均一となり、該二輪
車用空気入りタイヤは、操縦安定性、耐偏摩耗性に優れ
る。
【0007】前記<2>に記載の二輪車用空気入りタイ
ヤは、前記コードの、25±5℃における引張弾性率
が、7208〜15887MPaであるので、該二輪車
用空気入りタイヤの走行上にトレッド部がせり出して行
くのを抑えるというタガの役割が十分に発揮される。ま
た、入力に対する接地面での追従性が良好であり、操縦
性の剛性感が必要以上に高くなることがない。
【0008】前記<3>に記載の二輪車用空気入りタイ
ヤは、前記コードの、JIS L1017(化学繊維タ
イヤコード試験方法)に規定される、25℃±5℃にお
ける荷重−伸長曲線の2.65mN/dtex時の傾き
(E)と10.6mN/dtex時の傾き(F)との比
(E/F)が、0.7〜1.3であるので、旋回性に優
れる。即ち、2.65mN/dtex時とは、コードに
加わる入力の中で比較的小さい入力の平均応力値であ
り、10.6mN/dtex時とは、コードに加わる入
力の中で比較的大きい入力の平均応力値であり、この大
小の入力に相当する応力下での応力−伸長曲線のそれぞ
れの傾き(E)及び(F)は、まさしく入力に対するタ
イヤ回答性を示し、この両者に差があると、入力に対す
る回答性が変わってしまうことになるが0.7〜1.3
であれば、回答性の入力依存性は許容でき、特に旋回性
が良好となる。
【0009】前記<4>に記載の二輪車用空気入りタイ
ヤは、前記コードが、ポリエチレン−2,6−ナフタレ
ートで実質的に形成される原糸の撚り糸であり、該撚り
糸における前記上撚り係数(R)が、1200〜260
0であるので、該コードに適度の集束性が与えられ、高
レベルのタガ効果が得られ、その結果、コード−ゴム間
の接着性が良好である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の二輪車用空気入りタイヤ
は、トレッドの内側でかつタイヤ周方向に配設されたコ
ードで形成されるスパイラルベルト層と、該スパイラル
ベルト層と組み合わされるカーカスとを少なくとも備え
てなり、その他の構造は公知の二輪車用空気入りタイヤ
と同様である。なお、本発明の二輪車用空気入りタイヤ
は、ラジアルタイヤであってもよいし、バイアスタイヤ
であってもよい。
【0011】<コード>前記コードは、ポリエチレン−
2,6−ナフタレートで実質的に形成されることが必要
である。その理由は以下の通りである。即ち、タイヤ製
造時においては、生タイヤを加硫金型に装着し、該生タ
イヤに内圧を充填させ、該生タイヤを前記加硫金型の内
面に押しつける必要があるが、その際に、ポリエチレン
−2,6−ナフタレートを除く高弾性有機繊維コードで
は、タイヤ加硫成型時にコードが受ける温度下(165
℃〜185℃)で十分に伸長しないため、前記スパイラ
ルベルト層が前記カーカスに食い込んでしまうことがあ
り、また、前記生タイヤが前記加硫金型にフィットせ
ず、性状の不良な二輪車用空気入りタイヤしか得られな
い。タイヤ製造時に前記生タイヤを前記加硫金型に装着
し、該生タイヤに内圧を充填させ、該生タイヤを前記加
硫金型の内面に押しつける時、その拡張率が一定でない
トレッド各部を伸びを持って金型に密着させるため、ラ
セン状に巻きつけられたスパイラルベルト層のコード
は、タイヤ加硫成型時にコードが受ける温度下において
十分に伸びを有する必要がある。前記コードが、ポリエ
チレン−2,6−ナフタレートで実質的に形成されてい
る場合には、該コードにより形成されるスパイラルベル
ト層の性状は、均一となり、接地性も均一となり、該二
輪車用空気入りタイヤは、操縦安定性、耐偏摩耗性に優
れたものとなる。
【0012】前記ポリエチレン−2,6−ナフタレート
は、溶融重合、固相重合などの公知の重合方法に従って
製造することができる。
【0013】前記コードは、ポリエチレン−2,6−ナ
フタレートの繊維で形成されるが、該繊維を製造する方
法としては、特に制限はなく、溶融紡糸法、溶液紡糸法
などにより前記ポリエチレン−2,6−ナフタレートを
繊維化する方法が挙げられ、具体的には、例えば特開平
10−88422号公報の実施例1に記載の方法に従っ
てポリエチレン−2,6−ナフタレートの繊維(原糸)
を製造することができる。
【0014】前記ポリエチレン−2,6−ナフタレート
の繊維は、例えば、以下の溶融紡糸法に従って製造する
ことができる。即ち、前記ポリエチレン−2,6−ナフ
タレート(極限粘度0.84)の樹脂チップを、310
℃で溶融した後、紡糸口金(口径0.6mm)から吐出
し紡糸する。吐出量は、紡糸延伸後の繊度が1111.
1dtexになるように調整する。吐出された糸条に対
し、長さ400mmにわたって370℃に加熱保持され
た領域を通過させた後、25℃で風速0.3m/秒の冷
却風を吹き出し長さ330mmにわたって吹き付け、こ
れを冷却固化し、オイリングローラで油剤を付与した
後、700m/分の速度で巻き取る。以上により、前記
ポリエチレン−2,6−ナフタレートを繊維化し、原糸
を得ることができる。
【0015】前記ポリエチレン−2,6−ナフタレート
の繊維には、熱、酸素等に対して十分な耐久性を付与す
る目的で酸化防止剤を添加することが好ましく、また必
要に応じて艶消し剤、顔料、帯電防止剤などの公知の添
加剤を添加してもよい。
【0016】以上により得られた前記ポリエチレン−
2,6−ナフタレートの繊維(ポリマーフィラメント)
は、その引張強度が、通常40mN/dtex以上であ
り、48mN/dtex以上が好ましい。前記引張強度
が、40mN/dtex未満であると、走行中のコード
破断が発生することがある。
【0017】前記コードは、前記ポリエチレン−2,6
−ナフタレートの繊維原糸の束の1本から形成されてい
てもよいし、2本以上から形成されていてもよく、その
場合、例えば、前記ポリエチレン−2,6−ナフタレー
トの繊維に下撚りをかけ、次いでこれを2本乃至3本合
わせて、逆方向に上撚りを施し、撚糸コードとして得る
ことができる。
【0018】前記有機繊維コードを撚糸コードとした場
合、下記撚り係数(R)が、1200〜2600である
のが好ましく、1500〜2300がより好ましい。 撚り係数(R)=N×√(0.9D) ただし、前記式において、Nは、上撚り数(回/10c
m)を表し、Dは、デシテックスで表したコードの総表
示繊度を表す。
【0019】前記撚り係数(R)が、1200〜260
0であると、該コードに適度な集束性を与えることがで
き、高レベルのタガ効果が得られる点で有利である。前
記撚り係数(R)が、1200未満であると、コード−
ゴム間の接着性が悪くなることがあり、2600を超え
ると、該コードの伸びが増大し、初期モジュラスが低下
するため、タガ効果が低下してしまうことがある。
【0020】前記コードの、25±5℃における引張弾
性率としては、7208〜15887MPaが好まし
く、8100〜11800MPaがより好ましい。前記
引張弾性率は、5883.99MPa未満であると、該
二輪車用空気入りタイヤが走行中、トレッド部がせり出
して行くのを抑えるという単純なタガとしての役割を十
分に発揮しなくなることがあり、また、入力に対して接
地面での追従性が十分でないことがある。したがって、
タガ効果だけに着目すれば、前記前記引張弾性率の下限
値を5883.99MPaとしても問題ないが、前記前
記引張弾性率が7208MPa未満であると、入力に対
する接地面での追従性が不十分となるので、本発明にお
いては、前記引張弾性率の下限値としては7208MP
aであることが好ましい。
【0021】一方、前記引張弾性率が、15887MP
aを超えると、入力に対して接地面での追従性は良好で
なくなる上、適切でないレベルにまでタイヤの剛性が高
くなりすぎ、換言すれば、蛇角に対する横力の発生が急
激になりすぎ、操縦性の剛性感が必要以上に高くなって
しまう。その結果、ドライバーにとってはまるで720
8MPa未満であるコードを使用したかのような、接地
面での追従性が悪くなったかの印象を受けるといった不
具合が出てくる。
【0022】前記コードの、JIS L 1017−1
983(化学繊維タイヤコード試験方法)に規定され
る、25℃±5℃における荷重−伸長曲線の2.65m
N/dtex時の傾き(E)と10.6mN/dtex
時の傾き(F)との比(E/F)が、0.8〜1.3で
あるのが好ましく、1.0に近い程より好ましく、1.
0であるのが最も好ましい。
【0023】即ち、2.65mN/dtex時とは、該
二輪車用空気入りタイヤ中のコードに加わる入力の中で
比較的小さい入力の平均応力値を意味し、10.6mN
/dtex時とは、該二輪車用空気入りタイヤ中のコー
ドに加わる入力の中で比較的大きい入力の平均応力値を
意味する。したがって、この大小の入力に相当する応力
下での応力−伸長曲線(S−S曲線ともいうことがあ
る)におけるそれぞれの傾きE及びFは、まさしく大小
の入力に対する該二輪車用空気入りタイヤの回答性を示
し、この両者に差があると入力に対する回答性が変わっ
てしまうことになる。この入力に対する回答性は、タイ
ヤの旋回時に特に顕著にドライバーに感じられる。
【0024】前記比(E/F)が、0.7未満である
と、大入力時の回答性が相対的に小入力時の回答性に対
して悪くなる傾向があり、1.3を超えるとその逆とな
る傾向がある。一方、前記比(E/F)が、前記数値範
囲内にあると、回答性の入力依存性は許容できるレベル
にある点で好ましい。タイヤの旋回性は、スパイラルベ
ルト層のコードが受ける大荷重下と小荷重下とにおける
各々のモジュラスの絶対値よりも、その比によって大き
く左右されるのである。
【0025】前記比(E/F)は、例えば、以下のよう
にして求められる。即ち、供試タイヤのクラウンセンタ
ー部を中心にしてスパイラルベルト層からコード試験片
を採取する。このコード試験片を、25±5℃の各恒温
下において、引張試験機(例えば、島津製作所(株)製
のオートグラフなど)によって、JIS L 1017
−1983(化学繊維タイヤコード試験方法)に従っ
て、荷重−伸長曲線(S−S線、引張特性曲線)を描
く。そして、応力の目盛で2.65mN/dtex時の
該曲線の接線の傾きを求め、また、同様に10.6mN
/dtex時の該曲線の接線の傾きを求め、両者の比を
算出することにより求められる。
【0026】なお、前記コードの物性として、19.9
mN/dtex荷重下での伸度(%)(JIS L 1
017−1983の手法による) が3.5%以下である
のが、コードに適度な熱収縮性を与えることができる点
で好ましい。なお、適度な熱収縮性がないコードを用い
ると、タイヤ内の比較的加硫拡張の小さい部分でコード
の蛇行が発生することがあり好ましくない。
【0027】また、前記コードは、ゴムによってコーテ
ィングされてスパイラルベルト層を形成してもよく、そ
の場合のコーティングゴムとしては、特に限定されない
が、50%伸長時の引張応力E(MPa)が、0.98
〜1.96であるのが好ましい。前記引張応力E(MP
a)が、0.98未満であると、ややレスポンス性が悪
くなる傾向があり、1.96を超えると、ゴムがタイヤ
剛性に対して固くなりすぎ、場合によってはセパレーシ
ョンが発生することがある。
【0028】前記コードは、トレッドの内側でかつタイ
ヤ周方向に配設され、例えば、トレッドの内側において
タイヤ周方向に巻回されて、スパイラルベルト層を形成
する。該スパイラルベルト層は、カーカスと組み合わせ
れる。本発明の二輪車用空気入りタイヤにおいては、前
記コードを除く他の構成については、特に制限はなく、
公知のものと同様に設計することができる。
【0029】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明は、これらの実施例に何ら限定れるものではな
い。
【0030】(実施例1〜8及び比較例1〜5)トレッ
ド周方向に対して90°の角度で延びるナイロンコード
(840d/2)の2プライによってカーカスを形成
し、このカーカスのそれぞれの側端部分をビードコアの
周りで内側から外側に向けて折り返した。そして、該カ
ーカスのクラウン部の外周側であって、かつ前記トレッ
ドの内側に、PENの繊維により形成したコードの一本
を、螺旋状に巻回して、トレッドの幅とほぼ等しい幅を
有する一層のスパイラルベルト層を形成した。したがっ
て、該スパイラルベルト層のコードは、実質的にトレッ
ド周方向に延在している。以上の構成の二輪車用空気入
りタイヤ(タイヤのサイズ:170/60R17)を製
造した。
【0031】前記コードは、以下のようにして形成し
た。まず、85モル%以上がポリエチレン−2,6−ナ
フタレートからなる重合体を重合により得た。次に、こ
の重合体のチップを溶融紡糸した。その際の条件は、紡
糸速度を600m/分とし、紡糸口金直下に雰囲気温度
340℃、長さ44cmの加熱筒を設定した。紡糸され
た未延伸糸をオイリングローラーで油剤を付与して巻き
取った。次いで、得られた未延伸糸を1%のプリテンシ
ョンをかけた後、227℃の加熱ロールと非加熱ロール
との間で2.2%弛緩率で収縮熱セットを行い、300
m/分で巻き取った。
【0032】なお、紡糸機の温度は重合体が溶融したエ
クストルーダーの後半部で300〜315℃、以降口金
から吐出するまでの温度を318℃とした。また、上記
加熱筒を通過させた後に長さ35cmにわたり相対湿度
65%、温度25℃にて冷却固化させた。以上により、
ポリエチレン−2,6−ナフタレートの原糸を得た。次
に、この原糸を前記撚り係数Rが表1及び表2に示す値
に調整し、撚糸コードを得た。この撚糸コードを次の条
件にて接着剤付与と熱処理を施した。
【0033】まず、この撚糸コードを、特公昭63−1
2503号公報の実施例1に示された、レゾルシン−ホ
ルマリン、ラテックス系の接着剤に浸漬した後、乾燥ゾ
ーンの処理温度を170℃、処理時間を60〜160秒
間とし、またヒートセットゾーン及びノルマライジング
ゾーンの処理温度を250〜270℃とし、処理時間を
60〜160秒間とし、更にヒートセットゾーンコード
張力及びノルマライジングゾーンコード張力を共に、
2.2〜9.0mN/dtexに設定した。以上によ
り、コードを得た。
【0034】得られた各実施例及び比較例の二輪車用空
気入りタイヤ(タイヤのサイズ:170/60R17)
について、以下の評価を行った。その結果は、表1及び
表2に示した。なお、各タイヤにおける相違は、前記コ
ードとして表1及び表2に示したものを用いた点のみに
ある。なお、実施例1におけるコードは、表示デニール
が1500D/2、下撚りが39回/10cm、上撚り
が39回/10cm〔撚り数が下×上(回/10cm)
39×39と表示〕であった。
【0035】<評価> −引張弾性率− 未走行の新品タイヤからコードに傷つけることなく、注
意深く取り出したスパイラルベルト層のコードに付着し
ている余分なゴムを、鋏を用いて注意深くそぎ落とした
後、JIS L 1017−1983に従って、オート
グラフ(島津製作所製)にて室温(25±2℃)で引張
荷重−伸長曲線を描いた。この曲線の荷重軸を引張前の
総デシテックス(dtex)数で除した値に換算し、応
力−伸長曲線に書き直し、この曲線における7.94g
/dtex荷重点に接線を引き、この接線の傾きを求め
た。この値に〔9.81×繊維の比重〕を乗じた値を引
張弾性率(MPa)とした。
【0036】−比(E/F)− 前記曲線における、2.65g/dの荷重点に接線を引
き、この接線の傾き(E)を求めた。この値に〔9.8
1×繊維の比重〕を乗じた値が、ここでいう引張弾性率
(MPa)である。同様にして、10.6mN/dte
x荷重点に接線を引き、この接線の傾き(F)を求め
た。そして、これらの値から前記比(E/F)を算出し
た。
【0037】−操縦性及び旋回性− 各タイヤを排気量が750ccの二輸車の後輪に装着し
て操縦安定性評価テストコースで専門のドライバー2名
が実車走行を行い、操縦性及び旋回性を官能評価した。
各項目について、1〜10点で評価し、ドライバー2名
の評価の平均点を求めた。なお、数値の大きい程、優れ
ていることを意味する。
【0038】−性状− 各タイヤをラジアル方向(タイヤ半径方向と実質平行)
にカットし、断面表面をバフした後、断面のカーカス層
とスパイラルベルト層との層間ゲージを目視にて観察
し、以下の基準にて評価した。 タイヤ幅方向に均一なゲージを持ったもの・・・・・・
・良好(◎) 均一ではないが層間ゲージが十分に保たれているもの・
・普通(○) 均一でなく一部分が層間ゲージが不足しているもの・・
・やや不良(△) 耐久安全上問題になるほどに性状不良があるもの・・・
・不良(×) なお、◎〜△は、耐久安全上問題ないレベルであるが、
◎に近くなるほど、安全マージンの高いタイヤであると
いえる。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】表1及び表2の結果から、以下のことが明
らかである。請求項1から4に規定する条件を満たす、
実施例1〜5の二輪車用空気入りタイヤは、操縦性と旋
回性とタイヤ性状とに優れ、かつこれらのバランスの良
好であり、高性能であることが明らかである。また、請
求項2に規定する条件を満たさない実施例8の二輪車用
空気入りタイヤの場合、実施例1〜5に比べて、操縦性
と、性状とがやや劣っていた。また、請求項3に規定す
る条件を満たさない実施例7の二輪車用空気入りタイヤ
の場合、実施例1〜5に比べて、旋回性がやや劣ってい
た。また、請求項4に規定する条件を満たさない実施例
6の二輪車用空気入りタイヤの場合、実施例1〜5に比
べて、操縦性がやや劣っていた。
【0042】これに対し、比較例1〜5のように、有機
繊維コードとしてポリエチレン−2,6−ナフタレート
の繊維のコードを用いなかった場合には、操縦性と旋回
性とタイヤ性状とのバランスが悪く、しかもこれらの値
は低いレベルであった。
【0043】
【発明の効果】本発明によると、操縦性と旋回性とタイ
ヤ性状とに優れ、かつこれらのバランスの良好な高性能
の二輪車用空気入りタイヤを提供することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トレッドの内側でかつタイヤ周方向に配
    設されたコードで形成されるスパイラルベルト層と、該
    スパイラルベルト層と組み合わされるカーカスとを少な
    くとも備えてなり、該コードが、ポリエチレン−2,6
    −ナフタレートで実質的に形成されることを特徴とする
    二輪車用空気入りタイヤ。
  2. 【請求項2】 コードの、25±5℃における引張弾性
    率が、7208〜15887MPaである請求項1に記
    載の二輪車用空気入りタイヤ。
  3. 【請求項3】 コードの、JIS L 1017(化学
    繊維タイヤコード試験方法)に規定される、25℃±5
    ℃における荷重−伸長曲線の2.65mN/dtex時
    の傾き(E)と10.6mN/dtex時の傾き(F)
    との比(E/F)が、0.7〜1.3である請求項1又
    は2に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  4. 【請求項4】 コードが、ポリエチレン−2,6−ナフ
    タレートで実質的に形成される原糸の撚り糸であり、該
    撚り糸における以下の上撚り係数(R)が、1200〜
    2600である請求項1から3のいずれかに記載の二輪
    車用空気入りタイヤ。 撚り係数(R)=N×√(0.9D) ただし、前記式において、Nは、上撚り数(回/10c
    m)を表し、Dは、デシテックスで表したコードの総表
    示繊度を表す。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20020027031A (ko) * 2000-10-04 2002-04-13 신형인 카카스 플라이에 pen 코드가 적용된 공기입 타이어

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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