JP6510302B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、空気入りタイヤに関するものである。
タイヤの高速耐久性向上を目的として、ベルト層の外周側に、繊維コードをタイヤ周方向に実質的に平行に配列してなるベルト補強層を設けることが知られている。ベルト補強層を形成する有機繊維コードとしては、ナイロン66やナイロン6などで代表される汎用のナイロン繊維(脂肪族ポリアミド繊維)が一般に用いられており、また、ポリエステル繊維の他、弾性率の高いポリオレフィンケトン繊維が用いられることもある(例えば、特許文献1,2参照)。
従来、ベルト補強層に用いられているポリアミド繊維は、加熱時の収縮応力に対して乾熱収縮率が小さいものであり、すなわち、乾熱収縮率に対する収縮応力の比が大きいものであった。例えば、特許文献1には、ベルト補強層に用いられるナイロン66の片撚り繊維コードとして、150℃での熱収縮応力が0.15cN/dtex以上であり、150℃での乾熱収縮率が2.5%以上であるものを用いることが提案されており、実施例において具体的に開示されたコードについて、乾熱収縮率に対する収縮応力の比を計算したところ、該比は0.050〜0.074である。このように乾熱収縮率に対する収縮応力の比が大きいと、例えば、タイヤ加硫成型時に少し収縮したときでもベルト層を強い力で締め付けることになり、タガ効果が強すぎることによって、ベルト層に対する食い込みが発生し、有機繊維コードがベルト層に接触することで高速耐久性が低下する要因となる。
一方、ベルト補強層をタイヤ幅方向の中央部と両端部とに区分して、両者に異なる物性を持つ繊維コードを用いることが知られており、例えば、特許文献3には、ベルト補強層の両端部に用いられる繊維コードの乾熱収縮率を、中央部に用いられる繊維コードの乾熱収縮率よりも小さく設定することが開示されている。このように単に乾熱収縮率を異ならせただけでは、タイヤ加硫成型時にベルト層を均一に拡張させることは困難であり、高速耐久性と耐摩耗性が低下する要因となる。
特開2011−218981号公報 特開2004−218189号公報 特開2007−131161号公報
本発明は、以上の点に鑑み、高速耐久性と耐摩耗性を向上することができる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明に係る空気入りタイヤは、トレッド部におけるカーカス層の外周側にコードをタイヤ周方向に対して傾斜配列したベルト層と、前記ベルト層の外周側において有機繊維コードをタイヤ周方向に沿って配列したベルト補強層と、を備えた空気入りタイヤにおいて、前記ベルト補強層の有機繊維コードとして、脂肪族ポリアミド繊維からなるコードであって、150℃における乾熱収縮率に対する150℃における収縮応力の比(収縮応力(cN/dtex)/乾熱収縮率(%))が0.030〜0.040であるコードを用い、前記ベルト補強層のタイヤ幅方向の中央部に用いられる有機繊維コードの前記比を、前記ベルト補強層のタイヤ幅方向の両端部に用いられる有機繊維コードの前記比よりも大きく設定したものである。
本発明によれば、乾熱収縮率に対する収縮応力の比が上記特定の範囲内にある脂肪族ポリアミド繊維コードをベルト補強層に用い、かつ、この比をベルト補強層の中央部と両端部で上記のように設定したことにより、高速耐久性と耐摩耗性を向上することができる。
実施形態の空気入りタイヤの半断面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係る空気入りタイヤは、ベルト層の外周側に配設されるベルト補強層の構成に特徴がある。ベルト補強層は、ベルト層のタイヤ半径方向外側において、タイヤ周方向に沿って配列した有機繊維コードからなるものであり、有機繊維コードとその被覆ゴムからなる複合体の層である。ベルト補強層の有機繊維コードは、タイヤ周方向に実質的に平行に、すなわち略0°の角度(好ましくは5°以下の角度)で延びており、該コードがタイヤ幅方向に所定間隔で配列されている。
図1は、空気入りタイヤの一例としての乗用車用空気入りラジアルタイヤの半断面図である。このタイヤは、左右一対のビード部(1)及びサイドウォール部(2)と、両サイドウォール部(2)間に設けられたトレッド部(3)とを備えて構成されており、一対のビード部(1)間にトロイダル状に延在するカーカス層(4)が設けられている。図中、CLはタイヤ赤道を示す。この例では、タイヤは、タイヤ赤道CLに対して左右対称構造をなす。
カーカス層(4)は、トレッド部(3)からサイドウォール部(2)を通り、ビード部(1)においてビードコア(5)で内側から外側に折り返すことにより係止されている。カーカス層(4)は、有機繊維からなるカーカスコードをタイヤ周方向に対し実質上直角に配列してなる少なくとも1プライで構成されている。
トレッド部(3)におけるカーカス層(4)の外周側(即ち、タイヤ半径方向外側)にはベルト層(6)が配されている。ベルト層(6)は、カーカス層(4)のクラウン部の外周に重ねて設けられており、1枚又は複数枚のベルトで構成することができ、この例では内側の第1ベルト(6A)と外側の第2ベルト(6B)との2枚で構成されている。ベルト層(6)は、スチールコードをタイヤ周方向に対して一定角度で傾斜させかつタイヤ幅方向に所定間隔にて配列させてなるものであり、2枚のベルト(6A)(6B)間で、スチールコードが互いに交差するように配設されている。第1ベルト(6A)は、第2ベルト(6B)よりも幅広の最大幅ベルトであり、そのため、第1ベルト(6A)のタイヤ幅方向端がベルト層(6)の幅方向端(6E)である。
ベルト層(6)の外周側(即ち、タイヤ半径方向外側)には、ベルト層(6)とトレッドゴム部(7)との間に、ベルト補強層(8)が設けられている。ベルト補強層(8)は、この例ではベルト層(6)をその全幅(即ち、幅方向の全体)で覆うキャッププライであり、タイヤ周方向に実質的に平行に配列した有機繊維コードからなる。ベルト補強層(8)は、ベルト層(6)を周方向に締め付け、タイヤ周方向及び径方向の剛性やベルト拘束力を高めるタガ効果を得て、高速走行時の遠心力によるベルトのせり上がりや径成長、ベルト端部の歪みを抑制し、高速での耐久性能と操縦安定性を良好にする。
本実施形態において、ベルト補強層(8)は、タイヤ幅方向の中央部と両端部とに区分され、ベルト補強層の中央部(8A)とベルト補強層の両端部(8B)とで物性の異なる有機繊維コードが用いられている。ベルト補強層の中央部(8A)は、タイヤ赤道CLを含むベルト層(6)の中央領域を覆う部分である。ベルト補強層の両端部(8B)は、幅方向端(6E)を含むベルト層(6)の端部領域を覆う部分であり、幅方向端(6E)よりもタイヤ幅方向内側の位置から幅方向端(6E)よりもタイヤ幅方向外側まで延在している。
ベルト補強層の中央部(8A)と両端部(8B)との境界位置(8K)は、特に限定されないが、ベルト層の幅方向端(6E)からタイヤ赤道CLに向かって最大ベルト幅(W)の5〜35%の位置であることが好ましく、より好ましくは10〜30%の位置である。すなわち、ベルト層の幅方向端(6E)から境界位置(8K)までのタイヤ幅方向における距離をWsとして、Wsは0.05W〜0.35Wであることが好ましく、より好ましくは0.1W〜0.3Wである。
ここで、最大ベルト幅(W)は、ベルト層(6)の左右の幅方向端(6E)間のタイヤ幅方向(タイヤ軸方向)における距離である。これらの各寸法は、タイヤを正規リムに装着して正規内圧を充填した無負荷の正規状態でのものである。正規リムとは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リムである。また、正規内圧とは、該規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧である。
以下、該ベルト補強層を構成する有機繊維コードについて詳細に説明する。
本実施形態において、ベルト補強層に用いる有機繊維コードは、脂肪族ポリアミド繊維のヤーンからなる。脂肪族ポリアミドとは、脂肪族骨格を含むポリアミドであり、芳香族骨格のみからなるアラミドは含まれない。脂肪族ポリアミドは、脂肪族ジアミン及び/又は脂肪族ジカルボン酸を用いて重合されたものであり、ここでいう脂肪族には鎖式構造のものだけでなく環式構造を持つ脂環族も含まれる概念である。また、脂肪族ジアミン及び/又は脂肪族ジカルボン酸とともに、芳香族ジアミン及び/又は芳香族ジカルボン酸を併用して重合したものであってもよい。
該有機繊維コードは、ガラス転移温度(Tg)が90〜170℃である脂肪族ポリアミド繊維からなることが好ましい。このようにガラス転移温度の高い脂肪族ポリアミド繊維を用いることにより、有機繊維コードの復元性が改善されるので、耐フラットスポット性を向上することができる。すなわち、汎用のナイロン繊維からなるコードを用いたベルト補強層では、そのガラス転移温度の低さから、高速走行時に発生する高熱による歪みがセットされてしまう特性があるため、再走行時にタイヤが振動する要因となる、所謂フラットスポット現象が生じやすい。これに対し、ガラス転移温度の高い脂肪族ポリアミド繊維からなるコードを用いることにより、耐フラットスポット性を改善することができる。脂肪族ポリアミド繊維のガラス転移温度の下限は、より好ましくは100℃以上であり、更に好ましくは120℃以上である。脂肪族ポリアミド繊維の延伸率を高めると配向が上がり結晶度が向上することでガラス転移温度が高くなる。しかし、配向を上げすぎると硬くなり、紡糸工程などの加工時に毛羽やフィラメント切れの要因となりやすい。そのため、ガラス転移温度は170℃以下であることが好ましく、より好ましくは160℃以下である。ここで、ガラス転移温度は、JIS K7121に準じて測定される。
好ましい実施形態に係る脂肪族ポリアミドとしては、国際公開第2009/113590号に開示されたポリアミドが挙げられる。すなわち、(a)少なくとも50モル%の脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、(b)少なくとも50モル%の、主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを含むジアミンと、を重合させた、ポリアミドである。
上記脂環族ジカルボン酸としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、及び1,3−シクロペンタンジカルボン酸などの環式構造の炭素数が3〜10である脂環族ジカルボン酸から選択される少なくとも一種が挙げられ、好ましくは1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である。ジカルボン酸は、脂環族ジカルボン酸のみで構成してもよく、また、例えば、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、及びヘキサデカン二酸などの鎖式脂肪族ジカルボン酸、並びに、テレフタル酸、イソフタル酸、及びナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から選択される少なくとも一種を併用してもよい。脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸として、より好ましくは炭素数が10〜18の鎖式脂肪族ジカルボン酸である。
上記ジアミンについて、主鎖から分岐した置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、及びイソブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基などが挙げられ、好ましくはメチル基である。主鎖から分岐した置換基を持つジアミンとしては、例えば、2−メチルペンタメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、及び2−メチルオクタメチレンジアミンなどの炭素数3〜20の分岐状飽和脂肪族ジアミンから選択される少なくとも一種が挙げられ、好ましくは2−メチルペンタメチレンジアミンである。ジアミンは、主鎖から分岐した置換基を持つジアミンのみで構成してもよく、また、例えば、直鎖飽和脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン、及び芳香族ジアミンから選択される少なくとも一種を併用してもよい。
上記ジカルボン酸(a)とジアミン(b)を重合させて脂肪族ポリアミドを製造する方法としては、特に限定されないが、熱溶融重合法を用いることが好ましい。熱溶融重合法は、ジカルボン酸及びジアミンの水溶液又は水の懸濁液、又はジカルボン酸及びジアミン塩と他の成分との混合物の水溶液又は水の懸濁液を、加熱し、溶融状態を維持したまま重合させる方法である。重合形態としては、バッチ式でも連続式でもよい。重合装置としては、例えば、オートクレーブ型反応器、タンブラー型反応器、及びニーダーなどの押出機型反応器などが挙げられる。
脂肪族ポリアミド繊維は、上記脂肪族ポリアミド、又は該脂肪族ポリアミドに種々の添加剤を添加した脂肪族ポリアミド組成物を用いて、常法に従い溶融紡糸することで作製することができる。得られた脂肪族ポリアミド繊維からなるヤーンに撚りを付与して生コードを作製し、該生コードに公知の接着処理液を用いたディップ処理を行うことにより、ディップ処理済みコードとしての有機繊維コードが得られる。
本実施形態に係るベルト補強層に用いる有機繊維コードにおいて、150℃における乾熱収縮率に対する150℃における収縮応力の比S(=収縮応力(cN/dtex)/乾熱収縮率(%))は、0.030〜0.040の範囲内に設定される。上記のように耐フラットスポット性を改善するために汎用のナイロン繊維に比べてガラス転移温度及びモジュラスの高い有機繊維コードを用いると、耐フラットスポット性は向上する一方で、タイヤ加硫成型の拡張時に拘束力が増すためにベルト層が均一に拡張されにくく、高速耐久性や耐摩耗性が低下することがある。そのため、本実施形態では上記の比Sを0.030〜0.040の範囲内に設定しており、高速耐久性と耐摩耗性の低下を抑制する上で有利である。すなわち、該比Sが0.030未満では、タガ効果を発揮する収縮応力に比べて乾熱収縮率が高く締め付けが有効に働かないため、高速耐久性が低下する。また、この比Sが0.040を超えると、タイヤの加硫成型時に締め付けが強くなりすぎてベルト層に食い込みが多発し、高速耐久性及び耐摩耗性が低下する。
ここで、乾熱収縮率は、ディップ処理済みコードとしての150℃における乾熱収縮率であり、JIS L1017に準じて150℃で30分間乾熱処理したコードの処理前後のコード長から算出される加熱時乾熱収縮率である。また、収縮応力は、ディップ処理済みコードとしての150℃における収縮応力であり、JIS L1017に準じて150℃で5分間加熱後に測定される乾熱時収縮応力である。
該有機繊維コードの150℃における収縮応力は0.11cN/dtex以上0.20cN/dtex未満であることが好ましい。収縮応力が0.11cN/dtex以上であることにより、タガ効果を高めて高速耐久性を向上することができる。また、収縮応力が0.20cN/dtex未満であることにより、タイヤ加硫成型時にベルト補強層による締め付けが強くなりすぎるのを抑えて、ベルト層に対する食い込みを抑制することができる。収縮応力は、0.11〜0.18cN/dtexでもよく、0.12〜0.16cN/dtexでもよい。
該有機繊維コードの150℃における乾熱収縮率は3.6〜5.5%であることが好ましい。乾熱収縮率が3.6%以上であることにより、タガ効果を発揮するための十分な収縮を可能として、高速耐久性を向上することができる。また、乾熱収縮率が5.5%以下であることにより、タイヤ加硫成型時におけるベルト層に対するベルト補強層の食い込みを抑制して、高速耐久性を向上することができる。乾熱収縮率は、より好ましくは3.8〜5.3%である。
本実施形態では、有機繊維コードの上記比Sがベルト補強層の中央部(8A)と両端部(8B)とで異なるものを用いることを特徴とする。すなわち、ベルト補強層の中央部(8A)に用いられる有機繊維コードの上記比Sceを、ベルト補強層の両端部(8B)に用いられる有機繊維コードの上記比Sshよりも大きく設定する(Sce>Ssh)。これにより、両端部(8B)よりも上記比Sが大きく締め付け力が大きいベルト補強層の中央部(8A)により、中央領域のベルト層(6)に対する拘束力が高まるため接地形状が安定し、また、中央部(3A)よりも上記比Sが小さく乾熱収縮率が比較的大きいベルト補強層の両端部(8B)により、端部領域のベルト層(6)に対するせり上がりを抑制することができる。そのため、耐摩耗性と高速耐久性を向上することができる。両者の差(Sce−Ssh)は特に限定されないが、0.002以上であることが好ましく、より好ましくは0.002〜0.009であり、0.004〜0.008でもよい。
乾熱収縮率に対する収縮応力の比S(Sce、Ssh)の設定は、例えば、コードを構成する脂肪族ポリアミド繊維の延伸時における処理温度、張力、速度及び時間などの条件を調整すること、脂肪族ポリアミドの分子量や結晶化度を調整すること、紡糸後に適宜延伸や熱セットを行うこと、接着処理液を用いたディップ処理時における処理液配合、処理温度、張力、速度及び時間などの条件を調整すること、コードの繊度や撚り数を調整すること等により行うことができ、上記範囲内に設定することができる。例えば、コードの繊度を大きくすると、乾熱収縮率は略同等に維持しつつ、収縮応力が大きく傾向があるため、両者の比Sは大きくなる傾向となる。また、コードの撚り数を大きくすると、収縮応力は略同等に維持しつつ、乾熱収縮率が低下する傾向があるため、両者の比Sは大きくなる傾向となる。また、ディップ処理時における張力が大きいと、収縮応力が大きくなる傾向があるため、上記比Sは大きくなる傾向となる。
本実施形態の有機繊維コードのコード構造としては、多数の脂肪族ポリアミドフィラメントを束ねてなるヤーンに一方向の撚りを付与した片撚り構造でもよく、あるいはまた、脂肪族ポリアミドフィラメントのヤーンをZ方向に撚って下撚糸とし、得られた下撚糸を複数本引き揃えて下撚り方向と逆方向であるS方向に撚り合わせた構造でもよく、例えば2本の下撚糸を撚り合わせた双撚り構造でもよい。撚り数(上撚り数)Tとしては、特に限定されず、例えば10〜50回/10cmでもよく、15〜45回/10cmでもよく、20〜40回/10cmでもよい。なお、下撚り数については、通常は上撚り数と同じ値に設定することができる。
本実施形態において、有機繊維コードの繊度(公称繊度ないし表示繊度とも称される。)は、特に限定されず、例えば、900〜5000dtexでもよく、1500〜4500dtexでもよい。ここで、有機繊維コードの公称繊度は、複数のヤーンを撚り合わせる場合、全ヤーンの合計の公称繊度である。
以上よりなる有機繊維コードを用いて、ベルト補強層をベルト層の外周側に巻き付けた状態にて生タイヤ(グリーンタイヤ)を作製し、得られた生タイヤを加硫成型することで空気入りタイヤが得られる。ベルト層上にベルト補強層を形成する際には、上記有機繊維コードを1本又は複数本引き揃えてゴム被覆したものを、生タイヤのベルト層上に螺旋状に巻き付けるか、又は、有機繊維コードを引き揃えた幅広のゴム引きシートをベルト層上に一周巻きすればよい。好ましくは、前者の螺旋状に巻き付けることである。
ベルト補強層における上記有機繊維コードのエンド数(打込み本数)としては、コード強力等に応じて適宜に設定することができ、例えば、10〜50本/25mmでもよく、15〜30本/25mmでもよい。
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[測定方法・試験方法]
実施例における各測定方法及び試験方法は以下の通りである。
・ガラス転移温度:JIS K7121に準じて、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いて測定。測定条件は、試料をホットステージ(Mettler社製EP80)で溶融させて得られた溶融状態のサンプルを、液体窒素を用いて急冷し、固化させて測定サンプルとし、該測定サンプル10mgを用いて昇温スピード20℃/分の条件下、30〜350℃の範囲で昇温して、ガラス転移温度を測定。
・収縮応力:JIS L1017に準じて、有機繊維コードを、つかみ間隔250mm、初荷重を公称繊度×0.0441cNとして、150℃の恒温槽に入れ、5分間加熱後に生じた力(収縮力)を測定し、公称繊度を用いて収縮応力を算出した。
・乾熱収縮率:JIS L1017の加熱時乾熱収縮率(A法)に準じて、有機繊維コードの長さを300mm以上とし、初荷重を公称繊度×0.0441cNとして、原糸長を測定した。次いで、無荷重で150℃の乾燥機に入れ、30分間加熱した後、加熱状態で初荷重をかけて糸長を測定して、収縮率を求めた。
・生産性:紡糸終了時、目視でヤーンを観測し、形状に問題ないものを○、毛羽、フィラメント切れ発生したものは×と評価。
・耐フラットスポット性:内圧200kPaで組み込んだ試験タイヤを排気量2000ccの試験車両に装着し、タイヤ1本当たりの荷重を4.31kNとして速度100km/hにて1時間走行させた後、16時間静置させた。その後、テストドライバーによる官能評価を行った。評価は、走りはじめの上下方向及び前後方向の振動の大きさについて行い、比較例1の空気入りタイヤの振動の大きさを10点とした0〜20点の20段階で評価した。点数が大きいほど振動が小さく、従って、耐フラットスポット性に優れることを意味する。
・耐摩耗性:上記タイヤを2000ccの4WD車に装着し、2500km毎に左右ローテーションさせながら10000km走行させて、走行後の残溝の深さを測定した。残溝は4本の平均値である。比較例1の値を100とした指数で表示し、指数が大きいほど耐摩耗性が良好であることを示す。
・高速耐久性:ECE−R30延長準拠。タイヤ内圧320kPaで、荷重はJATMA規定の最大荷重の80%とした。0〜150km/hで10分走行後、150km/hで10分走行させた。その後、10分毎に10km/hずつ段階的に速度を上昇させ、故障が発生するまで走行させた。故障が発生するまでの走行距離を、比較例1のタイヤを100として指数表示した。指数が大きいほど高速耐久性が優れていることを示す。
[実施例・比較例]
タイヤサイズが195/65R15であって、図1に示すようにベルト補強層(8)を備える乗用車用空気入りラジアルタイヤを試作した。ベルト補強層(キャッププライ)を構成する有機繊維コードの構成は、実施例及び比較例の各タイヤについて、下記表1に示す通りであり、ベルト補強層以外の構成は、全ての共通の構成とした。
詳細には、ベルト層は、2+1×0.27mmのスチールコードよりなるものを2枚とした(コード打ち込み本数は18本/25.4mm、コード角度は+25°/−25°)。カーカス層は、ポリエステル繊維の1670dtex/2コードを23本/25mmで配列したものの1プライとした。
ベルト補強層を構成する有機繊維コードは、いずれも下撚りしたヤーンを2本撚り合わせて得られた双撚り構造とした(例えば、実施例1では、公称繊度1400dtexのポリアミド繊維からなる下撚りしたヤーンを2本撚り合わせて得られた双撚り構造)。表1中のコード材質の「PA」はポリアミドであり、比較例1のポリアミドはナイロン66である。その他の実施例及び比較例のポリアミドは、国際公開第2009/113590号の[0057]〜[0062]に記載された熱溶融重合法により作製した脂肪族ポリアミドを、常法に従い溶融紡糸して作製したものである。なお、いずれのコードも下撚り数は、表1中の撚り数T(上撚り数)と同数に設定した。
比較例1では、ベルト補強層の中央部(8A)と両端部(8B)とで共通のポリアミド繊維コードを用いた。これに対し、実施例1〜7及び比較例2〜5では、ベルト補強層の中央部(8A)と両端部(8B)とで、乾熱収縮率に対する収縮応力の比Sが異なるポリアミド繊維コードを用いた。これらの各実施例及び比較例で用いたポリアミド繊維コードは、中央部(8A)と両端部(8B)で繊維自体は同じであるが、撚り数とディップ処理時のテンションを変えることで、表1に記載の比Sce及びSshを持つように調整したものである。なお、実施例2と比較例2〜5で用いたポリアミド繊維コードは、全てポリアミド繊維自体は同じであり、かつ繊度も同じ例である(撚り数とディップ処理時のテンションを変えることにより、異なる物性を持つコードとした)。
ベルト補強層の中央部(8A)と両端部(8B)との境界位置(8K)は、ベルト層の幅方向端(6E)からタイヤ赤道CLに向かって最大ベルト幅(W)の20%の位置に設定した(Ws=0.2W)。また、ベルト補強層におけるコードのエンド数は、中央部(8A)及び両端部(8B)ともに、28本/25mmとした。
得られた各タイヤを用いて、耐フラットスポット性と耐摩耗性と高速耐久性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0006510302
表1に示すように、ナイロン66繊維を用いた比較例1では、ガラス転移温度が小さく耐フラットスポット性に劣っており、また、乾熱収縮率に対する収縮応力の比Sが大きいものであった。これに対し、実施例1〜7であると、ガラス転移温度の高いポリアミド繊維を用い、またコードの乾熱収縮率に対する収縮応力の比Sが規定範囲内にあり、かつ該比Sがベルト補強層の両端部よりも中央部で高いものであったため(Sce>Ssh)、耐フラットスポット性を向上しつつ、高速耐久性と耐摩耗性を向上させることができた。一方、比較例2では、中央部での比Sceが規定値よりも大きく、かつ両端部での比Sshが規定値よりも小さいため、ベルト補強層の中央部でのタガ効果が過度に大きくなり耐摩耗性が低下し、またタイヤ加硫成型時にベルト層への食い込みが多発し、高速耐久性に劣っていた。比較例3では、中央部での比Sceが規定値よりも大きいため、ベルト補強層の中央部でのタガ効果が過度に大きくなりタイヤ加硫成型時にベルト層への食い込みが多発して、耐摩耗性及び高速耐久性に劣っていた。比較例4では、両端部での比Sshが規定値よりも小さいため、両端部での締め付けが有効に働かず、高速耐久性に劣っていた。比較例5では、上記比Sがベルト補強層の両端部よりも中央部で小さいものであったため(Sce<Ssh)、ベルト補強層の中央部でのタガ効果に劣り、接地形状が不安定となって耐摩耗性に劣っていた。
本発明は、乗用車用タイヤを始めとする各種の空気入りタイヤに好適に用いることができる。
3…トレッド部、4…カーカス層、6…ベルト層、8…ベルト補強層、8A…ベルト補強層の中央部、8B…ベルト補強層の両端部

Claims (4)

  1. トレッド部におけるカーカス層の外周側にコードをタイヤ周方向に対して傾斜配列したベルト層と、前記ベルト層の外周側において有機繊維コードをタイヤ周方向に沿って配列したベルト補強層と、を備えた空気入りタイヤにおいて、
    前記ベルト補強層の有機繊維コードとして、脂肪族ポリアミド繊維からなるコードであって、150℃における乾熱収縮率に対する150℃における収縮応力の比(収縮応力(cN/dtex)/乾熱収縮率(%))が0.030〜0.040であるコードを用い、
    前記ベルト補強層のタイヤ幅方向の中央部に用いられる有機繊維コードの前記比を、前記ベルト補強層のタイヤ幅方向の両端部に用いられる有機繊維コードの前記比よりも大きく設定した
    ことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記有機繊維コードは、ガラス転移温度が90℃〜170℃である脂肪族ポリアミド繊維からなる、請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記有機繊維コードの150℃における収縮応力が0.11cN/dtex以上0.20cN/dtex未満である、請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記有機繊維コードの150℃における乾熱収縮率が3.6〜5.5%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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