JP6456788B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、空気入りタイヤに関するものである。
タイヤの高速耐久性向上を目的として、ベルト層の外周側に、繊維コードをタイヤ周方向に実質的に平行に配列してなるベルト補強層を設けることが知られている。ベルト補強層を形成する有機繊維コードとしては、ナイロン66やナイロン6などで代表される汎用のナイロン繊維(脂肪族ポリアミド繊維)が一般に用いられている。
しかしながら、汎用の脂肪族ポリアミド繊維を用いたベルト補強層では、高速走行時に発生する高熱による歪みがセットされてしまう特性があるため、長時間走行した後の再走行時にタイヤが振動する要因となる、所謂フラットスポット現象が生じやすい。これに対し、例えば、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)繊維などのような、ナイロン66に比べてガラス転移温度及び剛性の高い有機繊維コードを用いると、耐フラットスポット性は改善される一方で、高剛性であることに起因してタイヤ転動時の変形に対するエネルギーロスが大きくなり、転がり抵抗が大きくなることが判明した。
ところで、特許文献1には、ナイロン66繊維などの汎用のポリアミド繊維を用いたコードの120℃での損失正接tanδを0.065以下とすることで、転がり抵抗を低減することが開示されている。しかし、汎用のポリアミド繊維コードでは、耐フラットスポット性と転がり抵抗の低減を両立することは難しい。特許文献2には25℃での損失正接tanδが0.06〜0.09であるPEN繊維コードをベルト補強層に用いることにより、また、特許文献3には60℃での損失正接tanδが0.1以下であるポリエチレンテレフタレート(PET)繊維等のコードをベルト補強層に用いることにより、転がり抵抗を低減することが開示されている。しかし、PENやPET等の剛性の高い繊維コードでは、転がり抵抗の低減効果が十分であるとはいえず、更なる改善が求められる。
なお、特許文献4には、耐熱性、流動性、靱性、低吸水性及び剛性に優れ、高い融点を有する脂肪族ポリアミドが開示され、該脂肪族ポリアミドのガラス転移温度が90〜170℃であることが記載されている。しかしながら、この文献は、主として自動車の吸気系部品や冷却系部品などの樹脂部品用途を対象としたものであり、タイヤのベルト補強層を構成する繊維コードへの適用については示唆されてない。
特開2002−103913号公報 特開2003−237308号公報 特開2005−075290号公報 国際公開第2009/113590号
本発明は、耐フラットスポット性を向上しつつ、転がり抵抗を低減することができる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明に係る空気入りタイヤは、トレッド部におけるカーカス層の外周側にコードをタイヤ周方向に対して傾斜配列したベルト層と、前記ベルト層の外周側において有機繊維コードをタイヤ周方向に沿って配列したベルト補強層と、を備えた空気入りタイヤにおいて、前記ベルト補強層の有機繊維コードとして、脂肪族ポリアミド繊維からなるコードであって、2%伸張時荷重(cN/dtex)と温度100℃における損失正接tanδとの積が0.035〜0.044であるコードを用いたものである。
本発明によれば、脂肪族ポリアミド繊維からなる有機繊維コードをベルト補強層に用いて、2%伸張時荷重と温度100℃における損失正接tanδとの積を上記範囲内に設定したことにより、耐フラットスポット性を向上させつつ、転がり抵抗を低減することができる。
実施形態の空気入りタイヤの半断面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係る空気入りタイヤは、ベルト層の外周側に配設されるベルト補強層の構成に特徴がある。ベルト補強層は、ベルト層のタイヤ半径方向外側において、タイヤ周方向に沿って配列した有機繊維コードからなるものであり、該有機繊維コードとそれを被覆する被覆ゴムとを含む層である。ベルト補強層の有機繊維コードは、タイヤ周方向に実質的に平行に、すなわち略0°の角度(好ましくは5°以下の角度)で延びており、該コードがタイヤ幅方向に所定間隔で配列されている。このようなベルト補強層としては、ベルト層の幅方向全体を覆うキャッププライでもよく、あるいはベルト端部を覆うエッジプライでもよい。
図1は、空気入りタイヤの一例としての乗用車用空気入りラジアルタイヤの半断面図である。このタイヤは、左右一対のビード部(1)及びサイドウォール部(2)と、両サイドウォール部(2)間に設けられたトレッド部(3)とを備えて構成されており、一対のビード部(1)間にトロイダル状に延在するカーカス層(4)が設けられている。なお、この例では、タイヤは、タイヤ赤道CLに対して左右対称構造をなす。
カーカス層(4)は、トレッド部(3)からサイドウォール部(2)を通り、ビード部(1)においてビードコア(5)で内側から外側に折り返すことにより係止されている。カーカス層(4)は、有機繊維からなるカーカスコードをタイヤ周方向に対し実質上直角に配列してなる少なくとも1プライで構成されている。
トレッド部(3)におけるカーカス層(4)の外周側(即ち、タイヤ半径方向外側)にはベルト層(7)が配されている。ベルト層(7)は、カーカス層(4)のクラウン部の外周に重ねて設けられており、1枚又は複数枚のベルトで構成することができ、この例では内側の第1ベルト(7A)と外側の第2ベルト(7B)との2枚で構成されている。ベルト層(7)は、スチールコードをタイヤ周方向に対して一定角度で傾斜させかつタイヤ幅方向に所定間隔にて配列させてなるものであり、2枚のベルト(7A)(7B)間で、スチールコードが互いに交差するように配設されている。
ベルト層(7)の外周側(即ち、タイヤ半径方向外側)には、ベルト層(7)とトレッドゴム部(8)との間に、ベルト補強層(9)が設けられている。ベルト補強層(9)は、この例ではベルト層(7)をその全幅で覆うキャッププライであり、タイヤ周方向に実質的に平行に配列した有機繊維コードからなる。ベルト補強層(9)は、ベルト層(7)を周方向に締め付け、タイヤ周方向及び径方向の剛性やベルト拘束力を高めるタガ効果を得て、高速走行時の遠心力によるベルト層(7)のせり上がりや径成長、ベルト層(7)端部の歪みを抑制し、高速での耐久性能と操縦安定性を良好にする。
以下、該ベルト補強層を構成する有機繊維コードについて詳細に説明する。
本実施形態において、ベルト補強層に用いる有機繊維コードは、脂肪族ポリアミド繊維のヤーンからなる。脂肪族ポリアミドとは、脂肪族骨格を含むポリアミドであり、芳香族骨格のみからなるアラミドは含まれない。脂肪族ポリアミドは、脂肪族ジアミン及び/又は脂肪族ジカルボン酸を用いて重合されたものであり、ここでいう脂肪族には鎖式構造のものだけでなく環式構造を持つ脂環族も含まれる概念である。また、脂肪族ジアミン及び/又は脂肪族ジカルボン酸とともに、芳香族ジアミン及び/又は芳香族ジカルボン酸を併用して重合したものであってもよい。
該有機繊維コードは、ガラス転移温度(Tg)が90〜170℃である脂肪族ポリアミド繊維からなることが好ましい。このようにガラス転移温度の高い脂肪族ポリアミド繊維を用いることにより、有機繊維コードの復元性が改善されるので、耐フラットスポット性を向上することができる。また、ベルト補強層に耐熱性を付与することができるので、高速走行時の操縦安定性や高速耐久性に有利である。脂肪族ポリアミド繊維のガラス転移温度の下限は、より好ましくは100℃以上であり、更に好ましくは120℃以上である。脂肪族ポリアミド繊維の延伸率を高めると配向が上がり結晶度が向上することでガラス転移温度が高くなる。しかし、配向を上げすぎると硬くなり、紡糸工程などの加工時に毛羽やフィラメント切れの要因となりやすく、ヤーンの生産性が低下する。そのため、ガラス転移温度は170℃以下であることが好ましく、より好ましくは160℃以下である。ここで、ガラス転移温度は、JIS K7121に準じて測定される。
好ましい実施形態に係る脂肪族ポリアミドとしては、国際公開第2009/113590号に開示されたポリアミドが挙げられる。すなわち、(a)少なくとも50モル%の脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、(b)少なくとも50モル%の、主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを含むジアミンと、を重合させた、ポリアミドである。
上記脂環族ジカルボン酸としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、及び1,3−シクロペンタンジカルボン酸などの環式構造の炭素数が3〜10である脂環族ジカルボン酸から選択される少なくとも一種が挙げられ、好ましくは1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である。ジカルボン酸は、脂環族ジカルボン酸のみで構成してもよく、また、例えば、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、及びヘキサデカン二酸などの鎖式脂肪族ジカルボン酸、並びに、テレフタル酸、イソフタル酸、及びナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から選択される少なくとも一種を併用してもよい。脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸として、より好ましくは炭素数が10〜18の鎖式脂肪族ジカルボン酸である。
上記ジアミンについて、主鎖から分岐した置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、及びイソブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基などが挙げられ、好ましくはメチル基である。主鎖から分岐した置換基を持つジアミンとしては、例えば、2−メチルペンタメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、及び2−メチルオクタメチレンジアミンなどの炭素数3〜20の分岐状飽和脂肪族ジアミンから選択される少なくとも一種が挙げられ、好ましくは2−メチルペンタメチレンジアミンである。ジアミンは、主鎖から分岐した置換基を持つジアミンのみで構成してもよく、また、例えば、直鎖飽和脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン、及び芳香族ジアミンから選択される少なくとも一種を併用してもよい。
上記ジカルボン酸(a)とジアミン(b)を重合させて脂肪族ポリアミドを製造する方法としては、特に限定されないが、熱溶融重合法を用いることが好ましい。熱溶融重合法は、ジカルボン酸及びジアミンの水溶液又は水の懸濁液、又はジカルボン酸及びジアミン塩と他の成分との混合物の水溶液又は水の懸濁液を、加熱し、溶融状態を維持したまま重合させる方法である。重合形態としては、バッチ式でも連続式でもよい。重合装置としては、例えば、オートクレーブ型反応器、タンブラー型反応器、及びニーダーなどの押出機型反応器などが挙げられる。
脂肪族ポリアミド繊維は、上記脂肪族ポリアミド、又は該脂肪族ポリアミドに種々の添加剤を添加した脂肪族ポリアミド組成物を用いて、常法に従い溶融紡糸することで作製することができる。得られた脂肪族ポリアミド繊維からなるヤーンに撚りを付与して生コードを作製し、該生コードに公知の接着処理液を用いたディップ処理を行うことにより、ディップ処理済みコードとしての有機繊維コードが得られる。
本実施形態に係るベルト補強層に用いる有機繊維コードでは、2%伸張時荷重(S)(cN/dtex)と温度100℃における損失正接tanδ(L)との積(P=S×L)が0.035〜0.044である。この積(P)が0.035以上であることにより、高速走行時におけるベルト補強層のタガ効果を高めることができるので、タイヤ耐久性を向上することができる。積(P)が0.044以下であることにより、タイヤ転動時の変形に対するエネルギーロスを小さくして、転がり抵抗を低減することができる。また、積(P)が0.044以下であることにより、タイヤ転動時にコードが融解しにくくなり、耐フラットスポット性を向上することができる。
有機繊維コードの2%伸張時荷重は、ディップ処理済みコードとしての20℃における2%伸張時荷重であり、JIS L1017に準じて測定された2%伸張時の引張荷重(cN)を公称繊度(dtex)で割った値である。
有機繊維コードの2%伸張時荷重は、0.79〜0.90cN/dtexであることが好ましい。より好ましくは0.82〜0.90cN/dtexである。2%伸張時荷重が0.79cN/dtex以上であることにより、タガ効果としてのベルト拘束力を高めて、タイヤ耐久性の改善効果を高めることができる。0.90cN/dtex以下であることにより、タイヤ加硫成型時におけるタイヤの拡張の際にベルト補強層のコードがベルト層に食い込むのを抑えて、タイヤ耐久性の向上効果を高めることができ、また、タイヤ転動時の変形に対するエネルギーロスを小さくして、転がり抵抗の低減効果を高めることができる。なお、2%伸張時荷重の値は、例えば、有機繊維コードを構成する脂肪族ポリアミド繊維の弾性率を調整したり、コード構造や撚り数を調整したりすることにより行うことができ、例えば、撚り数を増やすことで2%伸張時荷重を小さくすることができる。
有機繊維コードの温度100℃における損失正接tanδは、周波数10Hz、初期荷重6.47N/本及び動歪み5%で測定した、温度100℃における、ディップ処理済みコードとしての損失正接tanδである。この100℃におけるtanδは、特に限定しないが、0.035〜0.060であることが好ましく、より好ましくは0.039〜0.055である。
なお、tanδの値は、例えば、有機繊維コードを構成する脂肪族ポリアミド繊維の延伸時における処理温度、張力、速度及び時間などの条件を調整すること、脂肪族ポリアミドの分子量や結晶化度を調整すること、紡糸後に適宜延伸や熱セットを行うこと、接着処理液を用いたディップ処理時における処理液配合、処理温度、張力、速度及び時間などの条件を調整すること、コードの繊度や撚り数を調整すること等により行うことができ、上記範囲内に設定することができる。例えば、紡糸速度を下げることにより、tanδは小さくなる傾向にある。また、上記のようなガラス転移温度が高い脂肪族ポリアミド繊維コードを用いた場合、汎用の脂肪族ポリアミド繊維コードに比べて100℃のtanδを下げるのが容易であり、有利である。すなわち、汎用の脂肪族ポリアミド繊維コードではtanδのピーク温度が100℃前後にあるのに対し、上記のガラス転移温度の高い脂肪族ポリアミド繊維コードではtanδのピークがより高温にあるため、100℃のtanδを低減するのが容易である。
本実施形態の有機繊維コードのコード構造としては、多数の脂肪族ポリアミドフィラメントを束ねてなるヤーンに一方向の撚りを付与した片撚り構造でもよく、あるいはまた、脂肪族ポリアミドフィラメントのヤーンをZ方向に撚って下撚糸とし、得られた下撚糸を複数本引き揃えて下撚り方向と逆方向であるS方向に撚り合わせた構造でもよく、例えば2本の下撚糸を撚り合わせた双撚り構造でもよい。撚り数(上撚り数)としては、特に限定されず、例えば10〜50回/10cmでもよく、15〜45回/10cmでもよく、25〜40回/10cmでもよい。なお、下撚り数については、通常は上撚り数と同じ値に設定することができる。
本実施形態において、有機繊維コードの公称繊度(表示繊度とも称される。)は、特に限定されず、例えば、900〜5000dtexでもよく、1500〜4500dtexでもよい。ここで、有機繊維コードの公称繊度は、複数のヤーンを撚り合わせる場合、全ヤーンの合計の公称繊度である。
以上よりなる有機繊維コードを用いて、ベルト補強層をベルト層の外周側に巻き付けた状態にて生タイヤ(グリーンタイヤ)を作製し、得られた生タイヤを例えば150〜180℃で加硫成型することで空気入りタイヤが得られる。ベルト層上にベルト補強層を形成する際には、上記有機繊維コードを1本又は複数本引き揃えてゴム被覆したものを、生タイヤのベルト層上に螺旋状に巻き付けるか、又は、有機繊維コードを引き揃えた幅広のゴム引きシートをベルト層上に一周巻きすればよい。好ましくは、前者の螺旋状に巻き付けることである。
ベルト補強層における上記有機繊維コードのエンド数(打込み本数)としては、コード強力等に応じて適宜に設定することができ、例えば、10〜50本/25mmでもよく、15〜30本/25mmでもよい。
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[測定方法・試験方法]
実施例における各測定方法及び試験方法は以下の通りである。
・ガラス転移温度:JIS K7121に準じて、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いて測定。測定条件は、試料をホットステージ(Mettler社製EP80)で溶融させて得られた溶融状態のサンプルを、液体窒素を用いて急冷し、固化させて測定サンプルとし、該測定サンプル10mgを用いて昇温スピード20℃/分の条件下、30〜350℃の範囲で昇温して、ガラス転移温度を測定。
・ヤーン生産性:紡糸終了時、目視でヤーンを観測し、形状に問題ないものを○、毛羽、フィラメント切れ発生したものは×と評価。
・2%伸張時荷重:JIS L1017に準じ、20℃、65%RHの恒温条件で24時間放置後、引張試験機を用いて引張試験を行い、2%伸びたときの引張荷重(cN)を公称繊度(dtex)で割った値を、2%伸張時荷重として算出した。
・tanδ:UBM社製スペクトロメーターにて有機繊維コードの損失正接を測定した。測定条件は、試料長を20mmとし、周波数10Hz、初期荷重6.47N/コード、及び動歪み(歪み振幅)1mm(即ち、5%)の条件下で30〜200℃までの温度範囲で損失正接を測定し、100℃における値を求めた。
・耐フラットスポット性:内圧200kPaで組み込んだ試作タイヤを排気量2000ccの試験車両(セダン)に装着し、タイヤ1本当たりの荷重を4.31kNとして速度100km/hにて1時間走行させた後、16時間静置させた。その後、テストドライバーによる官能評価を行った。評価は、走りはじめの上下方向及び前後方向の振動の大きさについて行い、比較例1の空気入りタイヤの振動の大きさを10点とした0〜20点の20段階で評価した。点数が大きいほど振動が小さく、従って、耐フラットスポット性に優れることを意味する。
・転がり抵抗:転がり抵抗試験機を用いて、タイヤ内圧200kPa、リムサイズ15×6JJ、荷重4.2kN、速度80km/hの条件下で、タイヤの転がり抵抗を測定した。比較例1を100とした指数で表示し、指数が小さいほど、転がり抵抗が小さく、低燃費性に優れる。
・タイヤ耐久性:JIS D4230に準拠して、表面が平滑な鋼製のドラム試験機(ドラム直径=1700mm)を用い、周辺温度40℃、タイヤ内圧180kPa、リムサイズ15×6JJ、速度80km/h(一定)で評価を行った。評価手順は、JATMA規定の最大荷重の85%の荷重で4時間、次に最大荷重の90%の荷重で6時間、更に最大荷重で24時間走行させた後、外観及び内面を調査し、異常がなければ、更に最大荷重の120%で24時間走行させる。このとき外観及び内面に異常がなければ、更に最大荷重の140%で、故障が起きるまで走行させる。かかる評価手順に従い、故障が発生するまでの走行距離を求め、比較例1を100とした指数で表示した。指数が大きいほど、タイヤ耐久性に優れることを意味する。
[実施例・比較例]
タイヤサイズが175/65R15であって、図1に示すようにベルト補強層(9)を備える乗用車用空気入りラジアルタイヤを試作した。ベルト補強層(キャッププライ)を構成する有機繊維コードの構成は、実施例及び比較例の各タイヤについて、下記表1に示す通りであり、ベルト補強層以外の構成は、全ての共通の構成とした。
詳細には、ベルト層は、2+1×0.27mmのスチールコードよりなるものを2枚とした(コード打ち込み本数は17本/25.4mm、コード角度は+25°/−25°)。カーカス層は、ポリエステル繊維の1100dtex/2コードを23本/25mmで配列したものの1プライとした。
ベルト補強層を構成する有機繊維コードは、いずれも下撚りしたヤーンを2本撚り合わせて得られた双撚り構造とした(詳細には、公称繊度1400dtexのポリアミド繊維からなる下撚りしたヤーンを2本撚り合わせて得られた双撚り構造、コードの公称繊度は2800dtex)。表1中、比較例1のNy66はナイロン66である。その他の実施例及び比較例の高Tg−PAは、国際公開第2009/113590号の[0057]〜[0062]に記載された熱溶融重合法により作製した脂肪族ポリアミドを、常法に従い溶融紡糸して作製したものである。なお、いずれのコードも下撚り数は、表1中の撚り数(上撚り数)と同数に設定した。実施例1と実施例3は、同材質かつ同繊度のコードを用いた例であり、撚り数やディップ処理時の張力等を変更することで2%伸張時荷重とtanδを表1に記載の通りに調整したものである。有機繊維コードの打込み本数は、実施例及び比較例ともに、28本/25mmとした。
得られた各タイヤを用いて、耐フラットスポット性と転がり抵抗とタイヤ耐久性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0006456788
表1に示すように、2%伸張時荷重とtanδとの積が0.035〜0.044の範囲内に設定された脂肪族ポリアミド繊維コードを用いた実施例1〜7であると、汎用のナイロン66繊維を用いた比較例1に対し、耐フラットスポット性を向上しつつ、転がり抵抗を低減させることができた。特に、ガラス転移温度が90〜170℃である高Tgの脂肪族ポリアミド繊維コードを用いて、2%伸張時荷重とtanδとの積を上記範囲内に設定した実施例1〜5であると、比較例1に対して、耐フラットスポット性を顕著に向上しつつ、またヤーン生産性を損なうことなく、転がり抵抗が低減していた。上記の積及びガラス転移温度に加えて、2%伸張時荷重を0.79〜0.90cN/dtexの範囲内に設定した実施例1〜3であると、転がり抵抗の低減効果に優れるとともに、タイヤ耐久性も顕著に改善されていた。上記高Tgの脂肪族ポリアミド繊維コードは、汎用のナイロン66繊維コードよりも剛性が高いものの、PEN繊維コード等に比べると剛性が低く、その一方でガラス転移温度は高いため、耐フラットスポット性を向上しつつ、転がり抵抗を低減する上で有利であると考える。
なお、比較例2では、耐フラットスポット性、タイヤ耐久性は向上しているものの、2%伸長時荷重とtanδとの積が規定値より大きいため、転がり抵抗が比較例1に対して増加していた。また、比較例3では、耐フラットスポット性、転がり抵抗が向上しているものの、2%伸長時荷重とtanδの積が規定値未満のため、タイヤ耐久性の改善効果が得られなかった。
本発明は、乗用車用タイヤを始めとする各種の空気入りタイヤに好適に用いることができる。
3…トレッド部、4…カーカス層、7…ベルト層、9…ベルト補強層

Claims (3)

  1. トレッド部におけるカーカス層の外周側にコードをタイヤ周方向に対して傾斜配列したベルト層と、前記ベルト層の外周側において有機繊維コードをタイヤ周方向に沿って配列したベルト補強層と、を備えた空気入りタイヤにおいて、
    前記ベルト補強層の有機繊維コードとして、脂肪族ポリアミド繊維からなるコードであって、2%伸張時荷重(cN/dtex)と温度100℃における損失正接tanδとの積が0.035〜0.044であるコードを用いたことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記有機繊維コードは、ガラス転移温度が90℃〜170℃である脂肪族ポリアミド繊維からなる、請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記有機繊維コードの2%伸張時荷重が0.79〜0.90cN/dtexである、請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
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