JP2017081349A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】高速耐久性を損なうことなく、耐フラットスポット性を改善することができる空気入りタイヤを提供する。【解決手段】トレッド部3におけるカーカス層4の外周側にコードをタイヤ周方向に対して傾斜配列したベルト層7と、該ベルト層の外周側において有機繊維コードをタイヤ周方向に沿って配列したベルト補強層9と、を備えた空気入りタイヤにおいて、ベルト補強層の有機繊維コードとして、脂肪族ポリアミド繊維のフィラメント束からなる繊度400dtex以上500dtex未満の下撚りされたヤーンを2本撚り合わせてなる双撚り構造のコードを用い、該有機繊維コードを、コード断面積(Sc)に対するゴム断面積(Sr)の比(Sr/Sc)が2.5〜3.0を満足するように配設する。【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤに関するものである。
タイヤの高速耐久性向上を目的として、ベルト層の外周側に、有機繊維コードをタイヤ周方向に実質的に平行に配列してなるベルト補強層を設けることが知られている。その有機繊維コードとしては、ナイロン66やナイロン6などで代表される汎用のナイロン繊維(脂肪族ポリアミド繊維)が一般に用いられている。しかし、一般に脂肪族ポリアミド繊維はガラス転移温度が低いため、高速走行時に発生する高熱による歪みがセットされてしまう特性があり、再走行時にタイヤが振動する要因となる、所謂フラットスポット現象が生じやすい。
また、有機繊維コードの構造としては、下撚りされた2本のヤーンを撚り合わせてなる双撚り構造があり、かかる双撚り構造のポリアミド繊維コードをベルト補強層に用いることがある。しかし、従来の双撚り構造のポリアミド繊維コードは、コード径が太く、ベルト補強層として使用されるゴム量も多いことから、低発熱化が難しく、耐フラットスポット性に不利である。
ところで、特許文献1には、ベルト補強層を軽量化しながら高速耐久性を向上するために、ベルト補強層のコード1本当たりの総デニール数を1260〜840デニールとし、コードの打ち込み本数を70〜100本/50mmとし、コードの撚り係数を300〜1600とすることが開示されている。この文献では、コードを細径化することは開示されているものの、コードの打ち込み本数が十分に高いとはいえず、そのため、コードに対するゴムの比率が大きいので、低発熱化が不十分であり、耐フラットスポット性に劣る。
なお、特許文献2には、ベルト補強層に用いる有機繊維コードの総繊度を500〜5000dtexとする点が開示され、脂肪族ポリアミド繊維の双撚り構造のコードも開示されている。しかし、具体的に、脂肪族ポリアミド繊維の双撚り構造のコードを低繊度化することは開示されておらず、コードとゴムの比率も開示されていないことから、耐フラットスポット性を改善することはできない。また、特許文献3には、ベルト補強層に用いる有機繊維コードの繊度を500〜3200dtexとすることが開示されているが、片撚り構造のコードを用いるものであり、コードとゴムの比率も開示されていないことから、耐フラットスポット性を改善することはできない。また、特許文献4には、繊度が470〜940dtexのコードをベルト補強層に用いることが開示されているが、この文献は、コードを縦横と斜め2方向の4方向に配する4軸織物として用いるものであり、タイヤ周方向に沿って配設したベルト補強層に関する技術ではない。
なお、特許文献5には、耐熱性、流動性、靱性、低吸水性及び剛性に優れ、高い融点を有する脂肪族ポリアミドが開示され、該脂肪族ポリアミドのガラス転移温度が90〜170℃であることが記載されている。しかしながら、この文献は、主として自動車の吸気系部品や冷却系部品などの樹脂部品用途を対象としたものであり、タイヤのベルト補強層を構成する繊維コードへの適用については示唆されてない。
特開平04−081302号公報 特開2011−121464号公報 特開2002−154304号公報 特開2014−180935号公報 国際公開第2009/113590号
本発明は、高速耐久性を損なうことなく、耐フラットスポット性を改善することができる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明に係る空気入りタイヤは、トレッド部におけるカーカス層の外周側にコードをタイヤ周方向に対して傾斜配列したベルト層と、前記ベルト層の外周側において有機繊維コードをタイヤ周方向に沿って配列したベルト補強層と、を備えた空気入りタイヤにおいて、前記ベルト補強層の前記有機繊維コードが、脂肪族ポリアミド繊維のフィラメント束からなる下撚りされたヤーンを2本撚り合わせてなる双撚り構造のコードであって、前記ヤーンの繊度が400dtex以上500dtex未満であり、前記ベルト補強層が、前記有機繊維コードをゴムで被覆してなるものであって、コード断面積(Sc)に対するゴム断面積(Sr)の比(Sr/Sc)が2.5〜3.0を満足するものである。
本発明によれば、ベルト補強層を構成する脂肪族ポリアミド繊維からなる双撚り構造のコードを低繊度化した上で、コード断面積とゴム断面積の比を上記特定の範囲内に設定したことにより、高速耐久性を損なうことなく、耐フラットスポット性を改善することができる。
実施形態の空気入りタイヤの半断面図である。 (A)実施形態に係るベルト補強層の断面の一部を模式的に示した図。(B)比較例に係るベルト補強層の断面の一部を模式的に示した図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係る空気入りタイヤは、ベルト層の外周側に配設されるベルト補強層の構成に特徴がある。ベルト補強層は、ベルト層のタイヤ半径方向外側において、タイヤ周方向に沿って配列した有機繊維コードからなるものである。すなわち、ベルト補強層の有機繊維コードは、タイヤ周方向に実質的に平行に、すなわち略0°の角度(好ましくは5°以下の角度)で延びており、該コードがタイヤ幅方向に所定間隔で配列されている。このようなベルト補強層としては、ベルト層の幅方向全体を覆うキャッププライでもよく、あるいはベルト端部を覆うエッジプライでもよい。
図1は、空気入りタイヤの一例としての乗用車用空気入りラジアルタイヤの半断面図である。このタイヤは、左右一対のビード部(1)及びサイドウォール部(2)と、両サイドウォール部(2)間に設けられたトレッド部(3)とを備えて構成されており、一対のビード部(1)間にトロイダル状に延在するカーカス層(4)が設けられている。なお、この例では、タイヤは、タイヤ赤道CLに対して左右対称構造をなす。
カーカス層(4)は、トレッド部(3)からサイドウォール部(2)を通り、ビード部(1)においてビードコア(5)の周りを内側から外側に折り返すことにより係止されている。カーカス層(4)は、有機繊維からなるカーカスコードをタイヤ周方向に対し実質上直角に配列してなる少なくとも1プライで構成されている。
トレッド部(3)におけるカーカス層(4)の外周側(即ち、タイヤ半径方向外側)にはベルト層(7)が配されている。ベルト層(7)は、カーカス層(4)のクラウン部の外周に重ねて設けられており、1枚又は複数枚のベルトで構成することができ、この例では内側の第1ベルト(7A)と外側の第2ベルト(7B)との2枚で構成されている。ベルト層(7)は、スチールコードをタイヤ周方向に対して一定角度で傾斜させかつタイヤ幅方向に所定間隔にて配列させてなるものであり、2枚のベルト(7A)(7B)間で、スチールコードが互いに交差するように配設されている。
ベルト層(7)の外周側(即ち、タイヤ半径方向外側)には、ベルト層(7)とトレッドゴム部(8)との間に、ベルト補強層(9)が設けられている。ベルト補強層(9)は、この例ではベルト層(7)をその全幅で覆うキャッププライであり、タイヤ周方向に実質的に平行に配列した有機繊維コードからなる。ベルト補強層(9)は、ベルト層(7)を周方向に締め付け、タイヤ周方向及び径方向の剛性やベルト拘束力を高めるタガ効果を得て、高速走行時の遠心力によるベルト層(7)のせり上がりや径成長、ベルト層(7)端部の歪みを抑制し、高速での耐久性能と操縦安定性を良好にする。
ベルト補強層(9)は、図2(A)に示すように、有機繊維コード(10)をゴム(11)で被覆してなるものであり、シート状のゴム(11)の内部に、タイヤ周方向に延在する有機繊維コード(10)が所定の間隔をおいて埋設されている。
本実施形態において、ベルト補強層に用いる有機繊維コードは、脂肪族ポリアミド繊維からなる。脂肪族ポリアミドとは、脂肪族骨格を含むポリアミドであり、芳香族骨格のみからなるアラミドは含まれない。脂肪族ポリアミドは、脂肪族ジアミン及び/又は脂肪族ジカルボン酸を用いて重合されたものであり、ここでいう脂肪族には鎖式構造のものだけでなく環式構造を持つ脂環族も含まれる概念である。また、脂肪族ジアミン及び/又は脂肪族ジカルボン酸とともに、芳香族ジアミン及び/又は芳香族ジカルボン酸を併用して重合したものであってもよい。
該有機繊維コードは、ガラス転移温度(Tg)が90〜170℃である脂肪族ポリアミド繊維からなることが好ましい。このようにガラス転移温度の高い脂肪族ポリアミド繊維を用いることにより、有機繊維コードの復元性が改善されるので、耐フラットスポット性を向上することができる。また、ベルト補強層に耐熱性を付与することができるので、高速走行時の操縦安定性や高速耐久性に有利である。脂肪族ポリアミド繊維のガラス転移温度の下限は、より好ましくは100℃以上であり、更に好ましくは120℃以上である。脂肪族ポリアミド繊維の延伸率を高めると配向が上がり結晶度が向上することでガラス転移温度が高くなる。しかし、配向を上げすぎると硬くなり、紡糸工程などの加工時に毛羽やフィラメント切れの要因となりやすく、ヤーンの生産性が低下する。そのため、ガラス転移温度は170℃以下であることが好ましく、より好ましくは160℃以下である。ここで、ガラス転移温度は、JIS K7121に準じて測定される。
好ましい実施形態に係る脂肪族ポリアミドとしては、国際公開第2009/113590号に開示されたポリアミドが挙げられる。すなわち、(a)少なくとも50モル%の脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、(b)少なくとも50モル%の、主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを含むジアミンと、を重合させた、ポリアミドである。
上記脂環族ジカルボン酸としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、及び1,3−シクロペンタンジカルボン酸などの環式構造の炭素数が3〜10である脂環族ジカルボン酸から選択される少なくとも一種が挙げられ、好ましくは1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である。ジカルボン酸は、脂環族ジカルボン酸のみで構成してもよく、また、例えば、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、及びヘキサデカン二酸などの鎖式脂肪族ジカルボン酸、並びに、テレフタル酸、イソフタル酸、及びナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から選択される少なくとも一種を併用してもよい。脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸として、より好ましくは炭素数が10〜18の鎖式脂肪族ジカルボン酸である。
上記ジアミンについて、主鎖から分岐した置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、及びイソブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基などが挙げられ、好ましくはメチル基である。主鎖から分岐した置換基を持つジアミンとしては、例えば、2−メチルペンタメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、及び2−メチルオクタメチレンジアミンなどの炭素数3〜20の分岐状飽和脂肪族ジアミンから選択される少なくとも一種が挙げられ、好ましくは2−メチルペンタメチレンジアミンである。ジアミンは、主鎖から分岐した置換基を持つジアミンのみで構成してもよく、また、例えば、直鎖飽和脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン、及び芳香族ジアミンから選択される少なくとも一種を併用してもよい。
上記ジカルボン酸(a)とジアミン(b)を重合させて脂肪族ポリアミドを製造する方法としては、特に限定されないが、熱溶融重合法を用いることが好ましい。熱溶融重合法は、ジカルボン酸及びジアミンの水溶液又は水の懸濁液、又はジカルボン酸及びジアミン塩と他の成分との混合物の水溶液又は水の懸濁液を、加熱し、溶融状態を維持したまま重合させる方法である。重合形態としては、バッチ式でも連続式でもよい。重合装置としては、例えば、オートクレーブ型反応器、タンブラー型反応器、及びニーダーなどの押出機型反応器などが挙げられる。
脂肪族ポリアミド繊維は、上記脂肪族ポリアミド、又は該脂肪族ポリアミドに種々の添加剤を添加した脂肪族ポリアミド組成物を用いて、常法に従い溶融紡糸することで作製することができる。
本実施形態においてベルト補強層に用いる有機繊維コードは、脂肪族ポリアミド繊維のフィラメント束からなる下撚りされたヤーンを2本撚り合わせてなる双撚り構造のコードである。双撚り構造のコードは、片撚り構造のコードよりも収束性が高いため、圧縮や曲げ変形に対してコードを構成するフィラメントが局所的に座屈を起こしにくく、耐疲労性を向上することができる。
該有機繊維コードは、脂肪族ポリアミド繊維のフィラメント束に下撚りをかけ、それにより得られたヤーンを2本上撚りすることにより得られる。例えば、脂肪族ポリアミド繊維のフィラメント束をZ方向に撚り合わせた2本の下撚糸を引き揃え、これを下撚りの撚り方向と逆方向であるS方向に撚り合わせることにより作製することができる。
上記の下撚りされたヤーンの繊度(公称繊度)は、400dtex以上500dtex未満である。そのため、有機繊維コードとしての総繊度は、800dtex以上1000dtex未満である。ここで、ヤーンの公称繊度とは、表示繊度とも称される当該ヤーンの表示上の繊度であり、当業者には自明である。また、有機繊維コードの総繊度は、撚り合わせる2本のヤーンの繊度を足し合わせた値である。上記ヤーンの繊度が400dtex以上であることにより、ベルト補強層として必要な幅あたり強力を得るためにコード本数が多くなりすぎることを抑えて、コード同士の距離が狭くなることによるタイヤ耐久性の低下を抑制することができる。また、500dtex未満であることにより、コード量を小さくして、耐フラットスポット性の向上効果を高めることができる。上記ヤーンの繊度は、より好ましくは420〜480dtexである。
2本のヤーンを撚り合わせる際の撚り係数は、特に限定するものではないが、1000〜1200であることが好ましい。すなわち、撚り係数が1000以上であることにより、有機繊維コードの耐疲労性を向上することができる。また、1200以下であることにより、有機繊維コードの強力低下を抑えることができる。ここで、撚り係数Kは、長さ10cm当たりの上撚りと下撚りの平均の撚り数をT(回/10cm)とし、有機繊維コードの総繊度をD(dtex)として、K=T×(D/1.14)1/2で表される(式中の1.14は脂肪族ポリアミドの密度)。なお、上撚りと下撚りの撚り数は、特に限定されないが、30〜50回/10cmであることが好ましく、また、上撚り数と下撚り数は同じ値に設定されることが好ましい。
このようにして撚り合わされたコードは、通常、公知の接着処理液を用いたディップ処理が施され、これにより、ディップ処理済みコードとしての有機繊維コードが得られる。
本実施形態では、このようにして得られた有機繊維コードを、コード断面積(Sc)に対するゴム断面積(Sr)の比(Sr/Sc)が2.5〜3.0を満足するようにベルト補強層に配設する。この比が2.5以上であることにより、コード同士の距離が狭くなることによるタイヤ耐久性の低下を抑えることができる。また、この比が3.0以下であることにより、ゴム量を抑えて低発熱化を図ることができ、耐フラットスポット性を向上することができる。
ここで、コード断面積(Sc)及びゴム断面積(Sr)は、図2(A)に示すように、ベルト補強層(9)をその幅方向に沿って切断した部材幅方向断面における、有機繊維コード(10)とゴム(11)の各断面積である。なお、部材幅方向断面とは、ベルト補強層(10)を有機繊維コード(10)の延在方向に対して垂直に切断した断面である。また、上記比(Sr/Sc)は、ゴム断面積(Sr)をコード断面積(Sc)で割ることにより求めることができる。例えば、ベルト補強層(9)の幅25mm当たりのコード断面積を有機繊維コード(10)の打ち込み本数とコード径から算出し、ベルト補強層(9)の厚み(t)から算出したベルト補強層の断面積と上記コード断面積から、幅25mm当たりのゴム断面積を算出し、後者を前者で割ることにより、コード1本当たりのSr/Scが算出される(図2(A)における点線で区画された各コードについてのSr/Sc)。有機繊維コード(10)の打ち込み本数がベルト補強層(9)の幅方向で一定の場合、このコード1本当たりの値を、ベルト補強層(9)のSr/Scとする。有機繊維コード(10)の打ち込み本数がベルト補強層(9)の幅方向で変化するときは、上記のようにして算出される各コードのSr/Scの平均値を算出すればよい。
有機繊維コードの打ち込み本数(エンド数)は、75〜95本/25mmであることが好ましい。ベルト補強層の幅25mm当たりの打ち込み本数が75本以上であることにより、有機繊維コードに対するゴムの比率を小さくして、低発熱化を図ることができ、耐フラットスポット性の向上効果を高めることができる。また、この幅25mm当たりの打ち込み本数が95本以下であることにより、有機繊維コード同士の距離が狭くなることによるタイヤ耐久性の低下を抑制することができる。打ち込み本数は、より好ましくは75〜90本/25mmである。
有機繊維コードを用いてベルト層上にベルト補強層を形成する方法は、特に限定されない。例えば、有機繊維コードを複数本引き揃えてゴム被覆したものを、生タイヤのベルト層上に螺旋状に巻き付けてもよく、あるいはまた、有機繊維コードを引き揃えた幅広のゴム引きシートをベルト層上に一周巻きしてもよい。このようにして、ベルト補強層をベルト層の外周側に巻き付けた状態にて生タイヤ(グリーンタイヤ)を作製し、得られた生タイヤを加硫成型することで空気入りタイヤが得られる。
本実施形態によれば、脂肪族ポリアミド繊維からなる双撚り構造の有機繊維コードを低繊度化した上で、コード断面積とゴム断面積の比(Sr/Sc)を上記範囲内に設定したことにより、高速耐久性を損なうことなく、耐フラットスポット性を改善することができる。詳細には、図2(B)に示すように、従来の一般的な脂肪族ポリアミドコード(101)を用いたベルト補強層(100)は、コード径が大きく、ガラス転移温度が低い脂肪族ポリアミド繊維自体の量が多いことに起因して、耐フラットスポット性に劣る。また、コード径が太いことから、ベルト補強層(100)に使用されるゴム(102)の量も多く、ゴム(102)の発熱により耐フラットスポット性に不利である。これに対し、本実施形態であると、図2(A)に示すように、コード径を小さくしたことにより、コード自体の量が少なくなって耐フラットスポット性に有利であるだけでなく、打ち込み本数を多くしてコード断面積とゴム断面積の比(Sr/Sc)を上記特定の範囲内に設定したことにより、タイヤの耐久性を損なうことなく、ゴム量の低下による低発熱化によって耐フラットスポット性を向上することができる。
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[測定方法・試験方法]
実施例における各測定方法及び試験方法は以下の通りである。
・ガラス転移温度:JIS K7121に準じて、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いて測定。測定条件は、試料をホットステージ(Mettler社製EP80)で溶融させて得られた溶融状態のサンプルを、液体窒素を用いて急冷し、固化させて測定サンプルとし、該測定サンプル10mgを用いて昇温スピード20℃/分の条件下、30〜350℃の範囲で昇温して、ガラス転移温度を測定。
・生産性:紡糸終了時、目視でヤーンを観測し、形状に問題ないものを「○」、毛羽、フィラメント切れ発生したものは「×」と評価。
・コード径:有機繊維コード1本を撚りが戻らないように折り曲げ4本にし、たるまないように引揃えて平行に並べたものに対して、所定のダイヤルゲージ(脚(測定子)の直径9.5±0.03mm,荷重1666±29.4mN)を用いて、約6.5mmの高さから脚を落下して測定。
・ベルト補強層厚み:加硫前のベルト補強層部材を用いて、当該部材がたるまないように置き、所定のダイヤルゲージ(脚の直径9.5±0.03mm,荷重1666±29.4mN)を用いて、約6.5mmの高さから脚を落下して部材厚みを測定。
・Sr/Sc:有機繊維コードの打ち込み本数をE、コード径をd、ベルト補強層厚みをtとして、ベルト補強層の幅25mm当たりのコード断面積Scと、幅25mm当たりのゴム断面積Srを下記式から算出し、両者の比Sr/Scを求めた。
Sc=(d/2)2×π×E
Sr=25×t−Sc
・耐フラットスポット性:内圧220kPaで組み込んだ試作タイヤを排気量2500ccの試験車両(セダン)に装着し、タイヤ1本当たりの荷重を4.31kNとして速度100km/hにて1時間走行させた後、16時間静置させた。その後、テストドライバーによる官能評価を行った。評価は、走りはじめの上下方向及び前後方向の振動の大きさについて行い、振動の大きなものを「×」、やや振動を感じられ許容できないものを「△」、やや振動を感じられるが許容レベルであるものを「○」、ほぼ振動を感じないものを「◎」として評価。
・高速耐久性:ECE−R30延長準拠。タイヤ内圧320kPaで、荷重はJATMA規定の最大荷重の80%とした。0〜150km/hで10分走行後、150km/hで10分走行させた。その後、10分毎に10km/hずつ段階的に速度を上昇させ、故障が発生するまで走行させた。故障が発生するまでの走行距離を、比較例1のタイヤを100として指数表示した。指数が大きいほど高速耐久性が優れていることを示す。
・コード耐久性:内圧180kPaでリム組みしたタイヤを、表面が平滑な鋼製の直径1700mmのドラム試験機にて、故障までもしくは走行距離25000kmまで走行させた後、タイヤを解体しコード破断の有無を確認した。
[実施例・比較例]
タイヤサイズが215/45R17 91Wであって、図1に示すようにベルト補強層(9)を備える乗用車用空気入りラジアルタイヤを試作した。ベルト補強層(キャッププライ)を構成する有機繊維コードの構成は、実施例及び比較例の各タイヤについて、下記表1に示す通りであり、ベルト補強層以外の構成は、全ての共通の構成とした。
詳細には、ベルト層は、2+2×0.25mmのスチールコードよりなるものを2枚とした(コード打ち込み本数は23本/25.4mm、コード角度は+25°/−25°)。カーカス層は、ポリエステル繊維の1670dtex/2コードを30本/25mmで配列したものの2プライとした。
表1中のポリアミドのうち、ガラス転移温度が55℃のものはナイロン66繊維であり、それ以外のポリアミドは、国際公開第2009/113590号の[0057]〜[0062]に記載された熱溶融重合法により作製した脂肪族ポリアミドを、常法に従い溶融紡糸して作製した脂肪族ポリアミド繊維を示す。また、「470dtex/2」は繊度470dtexの下撚りしたヤーンを2本撚り合わせて得られた双撚り構造であることを意味し、「940dtex/1」は繊度940dtexの片撚り構造のコードであることを意味する。なお、双撚り構造のコードについては、いずれも下撚り数は、表1中の撚り数(上撚り数)と同数に設定した。
得られた各タイヤを用いて、耐フラットスポット性と高速耐久性とコード耐久性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2017081349
表1に示すように、繊度の高いナイロン66繊維の双撚り構造コードを用いた比較例1では耐フラットスポット性に劣っていた。これに対し、繊度の低いポリアミド繊維の双撚り構造コードを用いてSr/Scの比を所定範囲内に設定した実施例1〜5であると、高速耐久性とコード耐久性を損なうことなく、耐フラットスポット性が改善されていた。特に、ポリアミド繊維としてガラス転移温度の高いものを用いた実施例1〜3であると、高速耐久性が改善されており、また、ナイロン66繊維を用いた実施例4,5に対して耐フラットスポット性の更なる改善効果がみられた。一方、比較例2では、繊度の低いポリアミド繊維を用いているものの、Sr/Scの比が小さく、そのため、コード同士の距離が狭くなり高速耐久性に劣っていた。比較例3では、繊度の低いポリアミド繊維を用いているものの、Sr/Scの比が大きく、そのため、ゴム量が多くなって、耐フラットスポット性の改良効果が不十分であった。比較例4では、コード構造が片撚り構造であるため、コードの耐疲労性に劣り、コード破断がみられた。
本発明は、乗用車用タイヤを始めとする各種の空気入りタイヤに好適に用いることができる。
3…トレッド部、4…カーカス層、7…ベルト層、9…ベルト補強層、10…有機繊維コード、11…ゴム

Claims (3)

  1. トレッド部におけるカーカス層の外周側にコードをタイヤ周方向に対して傾斜配列したベルト層と、前記ベルト層の外周側において有機繊維コードをタイヤ周方向に沿って配列したベルト補強層と、を備えた空気入りタイヤにおいて、
    前記ベルト補強層の前記有機繊維コードが、脂肪族ポリアミド繊維のフィラメント束からなる下撚りされたヤーンを2本撚り合わせてなる双撚り構造のコードであって、前記ヤーンの繊度が400dtex以上500dtex未満であり、
    前記ベルト補強層が、前記有機繊維コードをゴムで被覆してなるものであって、コード断面積(Sc)に対するゴム断面積(Sr)の比(Sr/Sc)が2.5〜3.0を満足する、
    空気入りタイヤ。
  2. 前記ベルト補強層は、前記有機繊維コードの打ち込み本数が75〜95本/25mmである、請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記有機繊維コードは、ガラス転移温度が90℃〜170℃である脂肪族ポリアミド繊維からなる、請求項1記載の空気入りタイヤ。
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