JP2000210788A - 無鉛半田合金およびその製造方法 - Google Patents

無鉛半田合金およびその製造方法

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JP2000210788A
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lead
solder alloy
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metal
alloy
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English (en)
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Maki Kibe
真樹 木部
Masaki Inada
雅紀 稲田
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electronics Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のPb−Sn半田では、Pbが有害物質
であるのでそれに置き換わる、Snを主成分としPbや
その他の有害物質を含まず、Pb−Sn半田とほぼ等し
い融解温度を有する半田材料を提供する。 【解決手段】 Sn、ZnおよびMg2Snの三元共晶
を含む無鉛合金半田であって、その製造方法は、Sn、
ZnおよびMgか、またはSn、ZnおよびMg2Sn
の無鉛半田材料の混合金属1とKClとLiCl等の混
合物をアルミナ坩堝2に入れ、加熱処理して金属と反応
しない前記混合物の融液3中で混合金属1を融解するも
のである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉛(Pb)を含ま
ない無鉛半田合金およびその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】半田合金は、各種金属の接合のために広
く使われている。半田合金には目的に応じて各種の合金
が使われているが、その中でもPb−錫(Sn)半田
は、約183℃の使用し易い共晶融解温度を持ち、これ
まで最も幅広く使われ、半田の代名詞となっているほど
であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】環境問題がクローズア
ップされると共に、Pbが有害金属として指定されたた
め、Pbを使わない無鉛半田合金が強く望まれている。
使用温度、材料が限定されなければ、Pb−Sn系以外
の現存する各種の半田合金を適用できるが、これまでP
b−Sn半田が使われてきた領域では、Pb−Sn半田
を使用する対象となる相手の材料(半田付け部材)が、
Pb−Sn半田の融解温度に適用するようになってお
り、かつ半田合金を融解する半田浴も温度的にも材料的
にもPb−Sn半田に適合するように設計されている。
【0004】このため、半田合金成分および融解温度が
従来とできるだけ変わらないこと、すなわち、融解温度
がPb−Sn半田の共晶融解温度183℃に近く、かつ
Pb−Sn共晶の融解のように狭い温度範囲で融解する
ことが産業上極めて望ましい。
【0005】本発明はこのような問題を解決するために
なされたもので、Pb及び有害物質を含まず、Pb−S
n半田にほぼ等しい融解温度を有する無鉛半田合金およ
びその製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の無鉛半田合金
は、Sn、ZnおよびMg2Snの三元共晶を含む合金
から構成されているものである。
【0007】この三元共晶の合金によれば、Pb−Sn
半田の共晶融解温度である183℃とほとんど等しい約
181℃の共晶融解温度とすることができ、Pb−Sn
半田と同じ条件で使用できる。
【0008】また、三元共晶から少しずれた組成の合金
では、共晶融解温度の約181℃で三元共晶部分が融解
し、続いてその他の部分が融解することとなり、この場
合でも利用することができる。
【0009】次に、本発明の無鉛半田合金は、Sn、Z
n、Mg2Snの三つの相に固溶できる金属を含むもの
である。
【0010】この構成により、酸化に対する耐性を上げ
たり、その他実用上より望ましい形にすることができ
る。
【0011】次に、本発明の無鉛半田合金は、Sn、Z
n、Mg2Snの三つの相に固溶できるアルミニウム
(Al)を含むものである。
【0012】この構成により、Mgの一部をAlに置換
し(Mg,Al)2Snの構造にすることにより、酸化
に対する耐性を著しく向上させることができる。
【0013】次に、本発明の無鉛半田合金の製造方法
は、無鉛半田合金組成の各金属を、前記金属と反応しな
い物質の融液中で融解するものである。
【0014】この製造方法により、各金属が融液中にあ
るため、金属を大気から遮断することができ、金属の酸
化を防ぎながら金属を溶融することができる。
【0015】次に、本発明の無鉛半田合金の製造方法
は、無鉛半田合金組成の各金属を、前記金属と反応しな
いLiCl、KCl、NaCl、CaCl2もしくはこ
れらの組み合わせの融液を用いて融解するものである。
【0016】これにより、各金属が融液中にあるため、
金属を大気から遮断することができ、金属の酸化を防ぎ
ながら金属の溶融を行い、安定した無鉛半田合金を製造
することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照にしながら説明する。
【0018】(実施の形態1)本発明の無鉛半田合金の
製造方法の一般的な第1の実施の形態を図1を参照にし
て説明する。
【0019】図1に示すように、まず、Sn、Zn、マ
グネシウム(Mg)からなる半田合金材料の混合金属1
を、KClとLiClを41:59(モル%)に混合し
た混合物とともに、アルミナ坩堝2に入れ、800℃に
加熱し、30分間保持する。この場合、KClとLiC
lは、共融温度が約350℃で融解し、その融液3が混
合金属1をカバーして空気との接触を防ぐため、混合金
属1の酸化を防止し、かつ混合金属1と反応しないた
め、高温に上げて混合金属1を溶融しても、酸化させず
に半田合金を作製することができる。
【0020】次に、その後、室温まで冷却し、水でKC
lとLiClを溶解除去し、半田合金を取り出すことに
よって無鉛半田合金を得ることができる。
【0021】なお、上記の実施の形態では、KClとL
iClの共融組成の混合物を用いているが、これらに限
ることはなく、例えばNaClとCaCl2を用いても
共融により融解温度が下がり、かつ金属と反応しないた
め酸化させずに合金を作製することができる。
【0022】また、KCl、LiCl、NaCl、Ca
Cl2のいずれかか、または、これらの組み合わせでも
よく、この場合にも融解温度が下がり、かつ金属と反応
しないため酸化させずに合金を作製することができる。
【0023】要するに、金属の酸化が活発になる温度域
で溶融して金属を被い、かつ金属と反応しない物質であ
ればよい。
【0024】(実施の形態2)第1の実施の形態で示し
た無鉛半田合金の製造方法を用いて、半田合金の組成比
が三元共晶となる場合の第2の実施の形態を図2を用い
て説明する。
【0025】Snを82モル%、Znを10モル%、M
gを8モル%の組成からなる半田合金材料で第1の実施
の形態で示した製造方法を用いて無鉛半田合金を作製し
た。
【0026】その結果の無鉛半田合金のX線回折図形を
図2(a)に、示差走査型熱量計(DSC)曲線を図2
(b)に示す。
【0027】X線回折図形から、この無鉛半田合金はS
n、Zn、Mg2Snの三つの相からなることが分か
る。
【0028】また、加熱過程のDSC曲線には、ほぼ一
本の急峻な181℃の吸熱ピーク4が見られ、ほぼこの
組成でSn、Zn、Mg2Snの三つの相からなる三元
共晶が形成されていることが分かる。
【0029】これにより、Sn、Zn、Mg2Snの三
元共晶を有する無鉛半田合金では、共晶融解温度がPb
−Sn半田とほぼ等しい温度にすることができる。
【0030】また、融解吸熱ピーク4より高温部で見ら
れる発熱ピークは、冷却過程のDSC曲線にSnの結晶
化に対応する結晶化発熱ピーク6のみが現れることか
ら、Zn、Mg2Snの酸化に対応する酸化発熱ピーク
5であることが分かる。
【0031】次に、Mgの替わりに、あらかじめ作製し
たMg2Snを用い、Sn、Zn、Mg2Snを前記のS
n、Zn、Mgのモル%組成になるように秤量し、同じ
方法で融解し無鉛半田合金を作製した。
【0032】その結果、無鉛半田合金は図2に示したも
のと同じX線回折図形とDSC曲線を示した。このこと
は、この方法でも三元共晶となる無鉛半田合金が得られ
ることを示している。
【0033】(実施の形態3)第1の実施の形態で示し
た無鉛半田合金の製造方法を用いて、半田合金の組成比
が三元共晶よりずれた場合の第3の実施の形態を図3を
用いて説明する。
【0034】Snが89モル%、Znが10モル%、M
gが1モル%の組成からなる半田合金材料で第1の実施
の形態で示した製造方法を用いて無鉛半田合金を作製し
た。
【0035】その結果の無鉛半田合金のX線回折図形を
図3(a)に、DSC曲線を図3(b)に示す。
【0036】この場合も、無鉛半田合金はSn、Zn、
Mg2Snの3つの相からなるが、Snに富む領域にず
れているため、図3(a)のX線回折図形が示すよう
に、Snの強度に対し、相対的にZn、Mg2Snの回
折強度が減少し、Mg2Snは少量のためX線回折図形
にはほとんど現れない。
【0037】また、DSC曲線が示すように、組成が三
元共晶の組成からずれているため、三元共晶の181℃
の融解吸熱ピーク4と液相線吸収ピーク7が現れ、約2
60℃以上で図2(b)で見られた酸化発熱ピーク5が
見られる。
【0038】Sn、Zn、Mgのモル%の組成比率を三
元共晶となる比率より変えると、Sn、Zn、Mg2
nの三元共晶の融解吸熱ピーク4の位置は変わらない
が、液相線吸収ピーク7の位置は変わる。すなわち、組
成が第2の実施の形態の三元共晶の組成比の近傍に近づ
くほど融解吸収ピーク4が大きくなり、かつ液相線吸収
ピーク7の位置は融解吸収ピーク4に近づき小さくな
り、完全な三元共晶組成比では融解吸熱ピーク4の一本
になる。
【0039】但し、三元共晶組成比からのずれが小さい
と融解吸収ピーク4と液相線吸収ピーク7の分離は必ず
しも明確でないので、第1の実施の形態で示した組成比
は完全な共晶組成とは必ずしも言えない。しかしなが
ら、三元共晶組成比の近辺では大部分が共晶組織からな
るため合金は狭い温度幅で融解し、三元共晶の合金と同
様な作用効果がある。
【0040】また、三元共晶組成比からかなりずれて
も、液相線吸収ピーク7の温度が実用上許容できる半田
合金の融解終了温度以下であれば使用できるので目的に
応じて組成比を変えることができる。要するに、約18
1℃で融解するSn、Zn、Mg2Snの三元共晶を含
む合金であることが重要である。
【0041】(実施の形態4)第1の実施の形態で示し
た無鉛半田合金の製造方法を用いて、第2の実施の形態
で示した半田合金材料にAlを追加して無鉛半田合金を
作製した第4の実施の形態を図4を参照して説明する。
【0042】第2の実施の形態で示した半田合金材料の
組成比におけるMgの20%をAlに置換した組成比で
ある、Snが82モル%、Znが10モル%、Mgが
6.4モル%、Alが1.6モル%からなる半田合金材
料を用いて、第1の実施の形態で示した製造方法で無鉛
半田合金を作製した。
【0043】その結果の無鉛半田合金のX線回折図形を
図4(a)に、DSC曲線を図4(b)に示す。
【0044】X線回折図形から、無鉛半田合金がSn、
Zn、Mg2Snの三つの相からなりAlは検出されな
いことが分かる。Alは、報告されているように室温で
Mgに約1%固溶するが、Mg2Sn相に固溶すると
(Mg,Al)2Sn相が形成され、20%のAlでも
十分に固溶する。
【0045】DSC曲線には、三元共晶の融解吸熱ピー
ク4のみが見られ、図2(b)で示された酸化発熱ピー
ク5が見られなくなっている。
【0046】これは、Alの添加により酸化反応が完全
に抑制され、AlがMgに固溶し、Mg2Sn相が温度
に対し安定化することを示している。
【0047】
【発明の効果】本発明の無鉛半田合金は、従来の半田合
金の主要な成分の一つであるSnを主成分とし、有害な
Pbを含まず、無害物質からなり、かつ従来のPb−S
n半田とほぼ同じ温度である約181℃で融解すること
により、従来の半田設備をそのまま使用でき、半田に関
連する材料を替えなくてすむというすぐれた効果を奏す
ることができる。
【0048】また、本発明の無鉛半田合金の製造方法で
は、合金を形成する各金属と大気を遮断することがで
き、金属の酸化を防ぎながら金属を溶融することができ
るので安定した無鉛半田合金を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の無鉛半田合金の製造方法を示す概略図
【図2】本発明の無鉛半田合金の組成比が三元共晶とな
る場合のX線回折図とDSC曲線図
【図3】本発明の無鉛半田合金の組成比が三元共晶から
ずれた場合のX線回折図とDSC曲線図
【図4】本発明の無鉛半田合金の組成にAlを追加した
場合のX線回折図とDSC曲線図
【符号の説明】
1 混合金属 2 アルミナ坩堝 3 融液 4 融解吸熱ピーク 5 酸化発熱ピーク 6 結晶化発熱ピーク 7 液相線吸熱ピーク

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Sn、ZnおよびMg2Snの三元共晶
    を含むことを特徴とする無鉛半田合金。
  2. 【請求項2】 Sn、ZnおよびMg2Snの三つの相
    に固溶できる金属を含むことを特徴とする請求項1記載
    の無鉛半田合金。
  3. 【請求項3】 固溶できる金属がAlであることを特徴
    とする請求項2記載の無鉛半田合金。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の無
    鉛半田合金の組成の各金属を、前記金属と反応しない物
    質の融液中で融解することを特徴とする無鉛半田合金の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 金属と反応しない物質が、LiCl、K
    Cl、NaClおよびCaCl2もしくはこれらの組み
    合わせであることを特徴とする無鉛半田合金の製造方
    法。
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