JP2000209775A - 直列接続段数切り換え式キャパシタ電源装置 - Google Patents

直列接続段数切り換え式キャパシタ電源装置

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JP2000209775A JP11008580A JP858099A JP2000209775A JP 2000209775 A JP2000209775 A JP 2000209775A JP 11008580 A JP11008580 A JP 11008580A JP 858099 A JP858099 A JP 858099A JP 2000209775 A JP2000209775 A JP 2000209775A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 少ない数のスイッチでキャパシタの接続を切
り換え制御して出力電圧を安定化し、簡便な切り換えス
イッチの制御でスイッチング損失を低減する。 【解決手段】 調整用キャパシタ・バンクC4、C5の
全てを出力用キャパシタ・バンクC1〜C3に直列接続
する充電方向の整流素子D23に並列接続される逆方向
の単方向制御整流素子S23と調整用キャパシタ・バン
クC4、C5の全てをバイパスして出力用キャパシタ・
バンクC1〜C3から切り離す放電方向の整流素子D1
1に並列接続される逆方向の単方向制御整流素子S11
とを含む複数の制御整流素子を用い、出力用キャパシタ
・バンクC1〜C3の充放電状態を検出して該充放電状
態に応じて制御整流素子S11、S12、S22、S2
3を選択的に導通させることにより調整用キャパシタ・
バンクC4、C5の直列接続段数を切り換える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、出力用キャパシタ
・バンクに充放電状態に応じて段数を切り換えて複数段
の調整用キャパシタ・バンクを直列接続する直列接続段
数切り換え式キャパシタ電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電気二重層コンデンサは、鉛電池やニッ
ケル・カドミウム電池のような充電に時間がかかる化学
電池と比較して、他のコンデンサと同様に物理的な充電
により急速充電が可能になる。しかも、電気二重層コン
デンサによる蓄電装置は、大量にエネルギーを貯蔵でき
るという化学電池にない大きなメリットを有している
が、電気エネルギーの貯蔵量を多くしてそれを有効に利
用しようとすると、Q=CV2 /2の関係に基づいて端
子電圧が大きく変動する特性を持っている。電気二重層
コンデンサを使用したECS(Energy Capacitor Syste
m) による電気エネルギー貯蔵装置は、電気二重層コン
デンサにおける電気エネルギーの貯蔵量を多くしてそれ
を有効に利用できるものとして、電気自動車の電源装置
や大規模な電気エネルギー貯蔵装置として注目されてい
る。
【0003】ECSは、コンデンサと並列モニタと電流
ポンプからなる電気エネルギー貯蔵システムとして既に
各種文献(例えば電子技術、1994−12、p1〜
3、電学論B、115巻5号、平成7年 p504〜6
10など)で紹介されている。ここで、並列モニタは、
複数のコンデンサを構成因子とするコンデンサバンクの
各コンデンサの端子間に接続され、コンデンサの充電電
圧が並列モニタの設定値を越えると充電電流をバイパス
する装置であり、また、コンデンサバンクの端子間に接
続されるようにしてもよい。そのため、コンデンサバン
クを耐電圧いっぱいまで使えるようにするものとして、
並列モニタは、きわめて大きな役割を持ち、エネルギー
密度の有効利用の手段として不可欠な装置である。並列
モニタの接続により、コンデンサの特性のバラツキや残
留電荷の大小がある場合にも、最大電圧の均等化、逆流
防止、充電終止電圧の検出と制御などを行うことができ
る。したがって、コンデンサバンク内のすべてのコンデ
ンサは、設定された電圧まで均等に充電され、コンデン
サの蓄積能力をほぼ100パーセント発揮させることが
できる。
【0004】しかし、電気二重層コンデンサのように満
充電状態からエネルギーを取り出すに従って電圧が大き
く低下する特性を有する電源装置では、蓄電能力を有効
に活用するため、電源側電圧の定電圧化を図ることが必
須である。そのために、電池の直並列切り換えを行い、
電圧の変動幅を小さくするようにした電源装置が既に提
案(特開平8−168182号公報参照)されている。
図10はコンデンサ電池の直並列切り換えを行う電源装
置の構成例を示す図であり、コンデンサ電池を電圧の低
下にしたがって並列接続から直列接続に切り換えるもの
である。このような電源装置では、例えば図10(A)
に示すコンデンサ電池C1、C2の直並列切り換え回路
を、図10(B)に示すようにさらに多段に縦続接続し
充放電状態に応じ段階的に切り換え制御すると、段数に
見合って電圧の変動幅を小さくすることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のように
電圧の変動幅を小さくしようとすると、並列接続から直
列接続に切り換える段数が多くなり、段数が多くなるに
伴ってそれだけ多数の切り換えスイッチSp1、Sp
2、Ss1〜Sp31、Sp32、Ss31が必要にな
る。つまり、図10(A)から明らかなように、1段に
3つの切り換えスイッチSp1、Sp2、Ss1が用い
られるので、段数の3倍の切り換えスイッチが必要にな
る。
【0006】しかも、これらの切り換えスイッチは、電
源用であることから、大型の電磁接触器やジャイアント
トランジスタ、IGBT、GTO、サイリスタなどのパ
ワー半導体を用いることになる。そのため、切り換えス
イッチの駆動回路や放熱板などを含め、部品点数が多く
なり、取り付けのために大きなスペースの確保が必要に
なる。その結果、装置のコストが高くなり、信頼性にも
問題が生じる。
【0007】さらに、並列接続から直列接続に切り換え
る際、コンデンサ電池C1、C2の電圧が不均一になっ
ていると、コンデンサ電池C1とC2との間で大きなク
ロスカーレントが流れるので、図10(C)に示すよう
にこのようなクロスカーレントを防ぐための保護回路A
1、A2、それに対応できるスイッチング素子Q1〜Q
3が必要になる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するものであって、少ない数のスイッチでキャパシタ
の接続を切り換え制御して出力電圧の安定化を可能に
し、簡便な切り換えスイッチの制御でスイッチング損失
を低減するものである。
【0009】そのために本発明は、出力用キャパシタ・
バンクに充放電状態に応じて段数を切り換えて複数段の
調整用キャパシタ・バンクを直列接続する直列接続段数
切り換え式キャパシタ電源装置において、複数の整流手
段と単方向制御整流手段との逆方向並列回路を含み前記
調整用キャパシタ・バンクの直列接続段数を切り換える
切り換え回路と、前記出力用キャパシタ・バンクの充放
電状態を検出して該充放電状態に応じて前記切り換え回
路の複数の制御整流手段の導通を制御する制御手段とを
備え、前記制御手段により前記充放電状態に応じて前記
複数の制御整流手段を選択的に導通させることにより前
記調整用キャパシタ・バンクの直列接続段数を切り換え
るように構成したことを特徴とするものである。
【0010】また、少なくとも前記調整用キャパシタ・
バンクの全てを前記出力用キャパシタ・バンクに直列接
続する充電方向の整流素子に並列接続される逆方向の単
方向制御整流素子と前記調整用キャパシタ・バンクの全
てをバイパスして前記出力用キャパシタ・バンクから切
り離す放電方向の整流素子に並列接続される逆方向の単
方向制御整流素子とを含む複数の制御整流素子を用いて
前記調整用キャパシタ・バンクの直列接続段数を切り換
える切り換え回路と、前記出力用キャパシタ・バンクの
前記充放電状態を検出して該充放電状態に応じて前記切
り換え回路の複数の制御整流素子の導通を制御する制御
手段とを備えたことを特徴とし、前記切り換え回路は、
前記複数段の調整用キャパシタ・バンクを中段で接続又
はバイパスして接続の切り離しを行う回路が、反対方向
の単方向制御整流素子を直列に接続すると共に、それぞ
れの単方向制御整流素子に反対方向の整流素子を並列に
接続した構成、あるいは双方向制御整流素子を接続した
構成であることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しつつ説明する。図1は本発明に係る直列接続段
数切り換え式キャパシタ電源装置の実施の形態を示す図
であり、C1〜C5はキャパシタ・バンク、S1〜S3
はスイッチ、S11、S12、S22、S23は制御整
流素子、D11、D12、D22、D23は整流素子、
A1は制御回路、1は充電回路、2は出力制御回路、3
は負荷を示す。
【0012】図1において、キャパシタ・バンクC1〜
C5は、電気エネルギー貯蔵用として、例えば電気二重
層コンデンサのようなキャパシタ(単セル)を複数個用
いることにより、それらを直列あるいはそれをさらに並
列に接続したものであり、各キャパシタ、あるいはバン
クには並列モニタが接続される。これらのうち、キャパ
シタ・バンクC1〜C3は、負荷の定格電圧の範囲で常
に充放電される出力用キャパシタ・バンクであり、キャ
パシタ・バンクC4、C5は、負荷電圧の許容変動幅の
範囲で電圧調整要に充放電される調整用キャパシタ・バ
ンクである。スイッチS1〜S3は、直列接続した出力
用キャパシタ・バンクC1〜C3にさらに追加して調整
用キャパシタ・バンクC4、C5を段階的に直列接続し
たり、あるいは接続の切り離しをしたりして、調整用キ
ャパシタ・バンクC4、C5の直列接続段数を切り換え
る回路を構成している。
【0013】制御回路A1は、直列接続した出力用キャ
パシタ・バンクC1〜C3における充放電状態(端子電
圧)を検出し、その充放電状態に応じてスイッチS1〜
S3を制御して調整用キャパシタ・バンクC4、C5に
ついて接続又は接続の切り離しを行い直列接続段数の切
り換え制御を行うものである。したがって、制御回路A
1によりスイッチS1〜S3のうち常にいずれか1つの
みを選択的にオンにすることにより、キャパシタ・バン
クC1〜C3だけの直列接続からキャパシタ・バンクC
4(1段)、さらにはC5(2段)を加えた直列接続の
状態まで、直列接続段数(バンク数)を段階的に切り換
える。したがって、制御回路A1では、3つの接続状態
の切り換えを行うので、そのために2つの検出レベルE
1 、E2(例えばE1 <E2 )を有する。
【0014】充電回路1は、電源より直列接続されたキ
ャパシタ・バンクC1〜C5に定電流充電するものであ
り、段階的にキャパシタ・バンクC4、C5の接続が切
り離され、最終的にキャパシタ・バンクC1〜C3の直
列回路が定格電圧まで充電されて充電を終了する。出力
制御回路2は、例えば既に知られた電流ホンプのように
キャパシタ・バンクC1〜C5から負荷3に供給する電
流を制御、調節したり、負荷3から逆に電流源(充電回
路)としてキャパシタ・バンクC1〜C5を充電する、
つまり負荷3が発電機となる回生制動の場合の切り換え
を行ったりするものである。したがって、出力制御回路
2としては、電子スイッチや、降圧チョッパ、昇圧チョ
ッパ、その他のDC/DCコンバータが用いられるが、
キャパシタ・バンクC1〜C5の接続切り換えの制御に
より、負荷3から見て調整の必要のない範囲に電圧が安
定化される場合には省くこともでき、本発明にとっては
特に必要不可欠な構成要素というものではない。勿論、
キャパシタ・バンクC1〜C5の接続切り換えの制御に
より、電圧変動範囲が小さくなれば、これとコンバータ
を組み合わせることにより、コンバータを高効率に設計
でき、電圧安定性の高い電源を実現することもできる。
【0015】本発明では、切り換え回路を構成するスイ
ッチS1〜S3に図1(B)に示すようにサイリスタな
どの半導体からなる単方向の制御整流素子S11、S1
2、S22、S23とダイオードからなる整流素子D1
1、D12、D22、D23との並列回路を用いたもの
である。このうち、少なくとも調整用キャパシタ・バン
クC4、C5の全てを直列接続するスイッチS3の回路
には、充電方向の整流素子D23に逆方向の制御整流素
子S23を並列接続する。また、調整用キャパシタ・バ
ンクC4、C5の全てをバイパスして接続を切り離すス
イッチS1の回路には放電方向の整流素子D11に逆方
向の制御整流素子S11を並列する。これに対し、複数
段の調整用キャパシタ・バンクC4、C5を中段で接続
又は該接続の切り離しを行うスイッチS2の回路には、
充電方向の制御整流素子S12と逆方向の制御整流素子
S22とを直列接続し、それぞれに逆方向の整流素子D
12、整流素子D22を並列接続する。勿論、スイッチ
S2の回路としては、サイリスタ(制御整流素子)を逆
並列接続した回路やトライアック(双方向制御整流素
子)を接続した回路でもよい。
【0016】上記のようにサイリスタやトライアック、
ダイオードを組み合わせて切り換え回路を構成すること
により、突入電流に強く、長時間でのオンロス、ゲート
ロスが少なくすることができる。しかも、接続の切り換
え時に主極にキャパシタ・バンクの電圧が逆バイアスと
して加わるので、ターンオフの制御が特別に必要でなく
なり、ゲート制御回路を簡素化することができる。例え
ば図1(B)の回路において、充電時には、制御整流素
子S11、S12、S22、S23を全てオフにした状
態から整流素子D23が導通して充電をスタートする。
そして、充電が進むに従ってまず制御整流素子S12を
オンにすることにより、整流素子D23が逆バイアスに
なって調整用キャパシタ・バンクC4の接続が切り離さ
れ、次に制御整流素子S11をオンにすることにより、
整流素子D22も逆バイアスになって調整用キャパシタ
・バンクC5の接続も切り離される。放電時にも、制御
整流素子S11、S12、S22、S23を全てオフに
した状態から整流素子D11が導通して充電をスタート
し、S22、S23を順次オンにすることにより、同様
に調整用キャパシタ・バンクC5、C4を直列に加える
ことができる。
【0017】次に、キャパシタ・バンクC1〜C3の電
圧に応じてスイッチS1〜S3を制御し、直列接続する
キャパシタ・バンクC1〜C5の数を切り換える充放電
動作を説明する。図2は接続制御の処理ルーチンの例を
説明するための図、図3は制御回路の構成例を示す図で
ある。
【0018】制御回路A1では、例えば図2に示すよう
にキャパシタ・バンクC3の上端の電圧Vを読み込み
(ステップS11)、この電圧Vを制御の判定基準とし
て予め設定された設定レベルE1 、E2 と比較する(ス
テップS12、14)。そして、電圧Vが第1の設定レ
ベルE1 より低い場合には、スイッチS3のみをオンに
して全キャパシタ・バンクC1〜C5の直列接続とする
(ステップS16)。また、電圧Vが第2の設定レベル
2 より低く第1の設定レベルE1 以上であれば、スイ
ッチS2のみをオンにしてキャパシタ・バンクC5を除
きキャパシタ・バンクC1〜C4の直列接続とする(ス
テップS15)。そして、電圧Vが第2の設定レベルE
2 以上であれば、スイッチS1のみをオンにしてキャパ
シタ・バンクC4、C5を除きキャパシタ・バンクC1
〜C3の直列接続とする(ステップS13)。これを充
放電動作で説明すると、次のようになる。
【0019】充電動作について説明する。制御対象は制
御整流素子S11、S12となり、制御整流素子S2
2、S23は制御対象外(オフ状態のまま)である。全
放電状態から、制御整流素子S11、S12をオフにす
ることにより整流素子D23のみがオンとなり、全キャ
パシタ・バンクC1〜C5を直列に接続した状態から充
電を開始する。つまり、制御回路A1は、キャパシタ・
バンクC3の上端の電圧Vが第1の設定レベルE1 に達
しないと制御整流素子S11、S12をオフの状態に維
持する。充電を開始し、充電電圧Vが第1の設定レベル
1 まで上昇したことを制御回路A1が検出すると、制
御整流素子S12をオンにすることにより、キャパシタ
・バンクC4を切り離してキャパシタ・バンクC1〜C
3、C5の直列接続とする。さらに充電電圧Vが上昇
し、第2の設定レベルE2 に達した(越えた)ことを制
御回路A1が検出すると、制御整流素子S12をオフに
して制御整流素子S11をオンにすることにより、キャ
パシタ・バンクC5を切り離してキャパシタ・バンクC
1〜C3の直列接続とする。そして、定格電圧まで充電
すると、この状態が系としての満充電になる。
【0020】放電動作について説明する。制御対象は制
御整流素子S22、S23となり、制御整流素子S1
1、S12は制御対象外(オフ状態のまま)である。満
充電から、充電動作のときと逆に、制御整流素子S2
2、S23をオフにすることにより整流素子D11のみ
がオンとなり、キャパシタ・バンクC1〜C3の3つを
直列に接続した状態から放電を開始する。放電により電
圧Vが低下し、第2の設定レベルE2 より低下したこと
を制御回路A1が検出すると、制御整流素子S22をオ
ンにすることにより、キャパシタ・バンクC5を直列に
加える。さらに放電が進み、電圧Vが第1の設定レベル
1 より低下したことを制御回路A1が検出すると、制
御整流素子S22をオフにして制御整流素子S23をオ
ンにすることにより、キャパシタ・バンクC4も直列に
加える。このようにキャパシタ・バンクC4、C5を順
次直列に加えていくことにより、出力電圧の低下を補う
ことができる。
【0021】系としての満充電の状態において、図1
(A)に示すようにスイッチS1のみをオンにしキャパ
シタ・バンクC1〜C3の直列接続により定格電圧を取
り出している場合には、その上にキャパシタ・バンクC
4+C5の電圧が積み重なり、回路の内部で発生する最
大電圧はその分大きくなる。このような回路構成に対
し、図1(B)に示す回路構成は、キャパシタ・バンク
C4+C5の電圧がキャパシタ・バンクC1〜C3の直
列回路の電圧から差し引く極性で接続されるので、回路
の内部で発生する最大電圧を低く抑えることができる。
【0022】上記のように制御回路A1では、負荷の定
格電圧の範囲で充放電される出力用キャパシタ・バンク
C1〜C3の端子間電圧Vを測定し、その電圧Vの判定
に基づき充放電状態を検出することができるが、電圧V
からエネルギー残量を求めることもできる。図3はこの
残量表示を行う回路を有する制御回路の構成例を示した
ものである。図3において、電圧検出回路11は、出力
用キャパシタ・バンクC1〜C3の端子間電圧Vを測定
するものである。電圧判定回路12は、その電圧Vに基
づき電圧を判定(充放電状態を判定)するものであり、
スイッチ制御回路12は、電圧判定回路12の判定に基
づき上記のようなスイッチS1〜S3のオンオフ制御を
行うものである。また、残量演算回路14は、電圧Vに
基づきエネルギー残量を演算するものであり、表示回路
15は、残量演算回路14により演算されたエネルギー
残量を表示するものである。
【0023】充電から放電までの動作例をさらに説明す
る。図4は全放電状態から定電流充電し定電力放電完了
までの各部の電圧推移の例を示す図、図5は緩和充電時
間と自己放電特性の関係を説明するための図、図6は自
己放電による利用率の低下を説明するための図、図7は
緩和充電回路を備えた本発明に係る直列接続段数切り換
え式キャパシタ電源装置の実施の形態を示す図である。
それぞれ同一の1000F、10V定格のキャパシタ・
バンクC1〜C5を用いて充放電試験を行った例を示し
たのが図4である。ここで、制御回路A1の設定レベル
は、E1 =18V、およびE2 =22.5Vとし、充電
回路は30Aの定電流型を用い、電圧制限値を30.5
Vに定め、放電は500Wの定電力負荷とした。
【0024】まず、基本的な全放電状態、つまり各キャ
パシタ・バンクの初期電圧がゼロの状態から満充電まで
と、満充電から全放電までの間の出力電圧および各キャ
パシタ・バンクの電圧の推移は、図4に示すように出力
電圧が1(◇)、キャパシタ・バンクC3の上端の電圧
が2(□)、キャパシタ・バンクC1〜C3の平均電圧
が3(▽)、キャパシタ・バンクC4、C5の電圧が4
(△)、5(○)となる。このように出力電圧1は、キ
ャパシタ・バンクC1〜C5の直列状態への充電電圧が
定格に達したところから、直列接続しても定格電圧を割
るまでの全期間中の最低電圧は22.5V、変動の幅を
7.5/30=25%以内に留めることができた。
【0025】また、キャパシタ・バンクC3の上端の電
圧のトレース2から明らかなように、キャパシタ・バン
クC1〜C3の端子電圧は、系の貯蔵エネルギーの残量
と一定の関係を持つ。したがって、静電容量Cのキャパ
シタに蓄えたエネルギーUがその端子電圧Vから、 U=CV2 /2 で表せる原理を利用し、キャパシタ・バンクC1〜C3
の端子電圧を測定することにより、上記の計算、あるい
は2乗、平方根の折れ線近似回路を使って端子電圧Vを
貯蔵エネルギーの残量、すなわち蓄電量に換算すること
ができ、残量計に簡単で正確な表示を行うことができ
る。
【0026】電気二重層キャパシタでは、充電時間が短
いと、特有の自己充電すなわち自己のキャパシタ配列の
後段に向かって充電する現象が顕著に起こり、図5に示
すように端子電圧が時間とともに低下する。この低下の
割合は、長時間緩和充電をするほど小さくすることがで
きる。したがって、上記電源装置において、充電時に順
次直列回路から切り離されるキャパシタ・バンクC5、
C4で端子電圧の低下が大きいと、図6に示すようにキ
ャパシタ・バンクC5、C4の蓄電能力が有効に利用さ
れないことになる。図1において、いま、満充電状態か
らスイッチS1がオンの状態でキャパシタ・バンクC1
〜C3の放電を開始し、電圧が低下してくると、スイッ
チS1がオフになってスイッチS2がオンに切り換わ
り、キャパシタ・バンクC5又はC4が直列に加えられ
る。しかし、そのとき、キャパシタ・バンクC5又はC
4が自己放電して電圧が下がっていると、図4に対応し
て図6、に示したように切り換え直後から時間の経
過に応じて電圧から低くなってしまう。
【0027】図7において、緩和充電回路22は、充電
時にキャパシタ・バンクC5又はC4に対してキャパシ
タ・バンクC1〜C3から切り離されると、その後の端
子電圧の低下を防ぐこめに緩和充電を行う回路であり、
例えば小型、小容量のスイッチング定電流回路を用いる
ことができる。すなわち、この緩和充電回路22は、キ
ャパシタ・バンクC1〜C5に対する通常の充電電流に
比べて1/10〜1〜100程度の充電電流を供給する
小容量の回路で済み、制御は、充電されるキャパシタ・
バンクC5、C4の満充電状態をかろうじて維持する程
度に充電を続けるものであればよい。
【0028】図8および図9は本発明に係る直列接続段
数切り換え式キャパシタ電源装置の他の実施の形態を説
明するための図である。上記実施の形態では、説明を簡
単にするため全てのキャパシタ・バンクに静電容量や耐
電圧が等しいものを使って説明したが、図4に示すトレ
ース3、4、5から明らかなように、固定のキャパシタ
・バンクC1〜C3に対して、スイッチされるキャパシ
タ・バンクC4、C5は、それぞれ75%、60%の電
圧までしか充電されない、したがって、ここには耐電圧
の低いキャパシタ・バンクあるいは直列接続個数の少な
いキャパシタ・バンクを使用することができる。直列接
続個数の少ないバンクを同じ静電容量の単セルで製造す
ると、必然的にその静電容量は直列接続個数の少なさに
比例して大きくなる。
【0029】スイッチされるキャパシタ・バンクC4、
C5に固定のキャパシタ・バンクC1〜C3より大きい
静電容量(C4=1kF/0.6、C5=1kF/0.
75)を用いた場合の各部の電圧推移の例を示したのが
図8であり、逆にスイッチされるキャパシタ・バンクC
4、C5に固定のキャパシタ・バンクC1〜C3より小
さい静電容量(C4、C5=1kF×0.8)を用いた
場合の各部の電圧推移の例を示したのが図9である。こ
れらは、□がキャパシタ・バンクC3の上端の電圧、◇
が出力電圧、○がキャパシタ・バンクC1〜C3の平均
電圧、△がキャパシタ・バンクC4の電圧、▽がキャパ
シタ・バンクC5の電圧のトレースをそれぞれ示してい
る。
【0030】このようにスイッチされるキャパシタ・バ
ンクC4、C5の静電容量の増減によって、一定電圧以
上で利用できる電力量、つまり利用率が増減し、電圧の
変動幅が変化する。したがって、本発明は、全部同一の
キャパシタを用いて製造を容易にするか、静電容量を使
用する部位によって調節して蓄電量の有効利用を図るか
など、目的に応じた設計を選択することが可能である。
【0031】なお、本発明は、上記実施の形態に限定さ
れるものではなく、種々の変形が可能である。例えば上
記実施の形態では、3個のキャパシタ・バンクを直列に
した上に充放電状態(端子電圧)に応じて2個のキャパ
シタ・バンクを出力電圧の許容変動幅で調整用として段
階的に直列に加えたり、切り離したりしたが、これらの
個数は任意の組み合わせで選択することができる。調整
用キャパシタ・バンクが3個以上になった場合、中段で
接続又は該接続の切り離しを行う回路の構成はスイッチ
S2と全く同じでよい。さらに、切り換え回路を構成す
る制御整流手段は、サイリスタ(単方向制御整流素子)
やトライアック(双方向制御整流素子)を用いて説明し
たが、ジャイアントトランジスタ、MOSFETその他
の半導体制御素子、半導体以外の制御素子を含み、これ
らを組み合わせて用いてもよいことはいうまでもない。
さらに、切り換え回路の制御のための充放電状態の検出
レベルとして、出力用キャパシタ・バンクの端子電圧を
検出する場合には、調整用キャパシタ・バンクの直列接
続段数に対応した数が必要になるが、調整用キャパシタ
・バンクを含めた端子電圧(出力電圧)を検出し1つの
検出レベルで切り換え制御を行うようにしてもよい。す
なわち、充電モードの場合、放電モードの場合のそれぞ
れにおいて、調整用キャパシタ・バンクの接続される順
序が決まるので、検出レベルに達する毎にシーケンシャ
ルに導通する制御整流素子を選択的に制御し、あるいは
制御整流素子の導通状態に基づき次の導通する制御整流
素子を決定することができる。
【0032】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、出力用キャパシタ・バンクに充放電状態に応
じて段数を切り換えて複数段の調整用キャパシタ・バン
クを直列接続するので、少ない数のスイッチにより出力
電圧を所定の範囲で安定化することができ、スイッチの
損失の低減、スイッチの駆動回路の簡素化、取り付けス
ペースの削減、コストの削減を図ることができる。しか
も、切り換え回路は、少なくとも調整用キャパシタ・バ
ンクの全てを出力用キャパシタ・バンクに直列接続する
充電方向の整流素子に並列接続される逆方向の単方向制
御整流素子と調整用キャパシタ・バンクの全てをバイパ
スして出力用キャパシタ・バンクから切り離す放電方向
の整流素子に並列接続される逆方向の単方向制御整流素
子とを含む複数の制御整流素子を用いて調整用キャパシ
タ・バンクの直列接続段数を切り換えるので、切り換え
制御を行う素子が少なくなり制御回路の構成を簡単にす
ることができる。また、従来の並列接続と直列接続との
切り換えを行う場合には、並列接続への切り換え時に電
圧のアンバランスによりクロスカーレントが流れるた
め、これを阻止する手段が必要であったが、本発明によ
れば直列接続するキャパシタ・バンクの数を増減させる
ものであるため、クロスカーレントが流れるのを阻止す
る手段が不要となる。したがって、装置全体としても信
頼性を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る直列接続段数切り換え式キャパ
シタ電源装置の実施の形態を示す図である。
【図2】 接続制御の処理ルーチンの例を説明するため
の図である。
【図3】 制御回路の構成例を示す図である。
【図4】 全放電状態から定電流充電し定電力放電完了
までの各部の電圧推移の例を示す図である。
【図5】 緩和充電時間と自己放電特性の関係を説明す
るための図である。
【図6】 自己放電による利用率の低下を説明するため
の図である。
【図7】 緩和充電回路を備えた本発明に係る直列接続
段数切り換え式キャパシタ電源装置の実施の形態を示す
図である。
【図8】 本発明に係る直列接続段数切り換え式キャパ
シタ電源装置の他の実施の形態を説明するための図であ
る。
【図9】 本発明に係る直列接続段数切り換え式キャパ
シタ電源装置の他の実施の形態を説明するための図であ
る。
【図10】 コンデンサ電池の直並列切り換えを行う電
源装置の構成例を示す図である。
【符号の説明】
C1〜C5…キャパシタ・バンク、S1〜S3…スイッ
チ、S11、S12、S22、S23…制御整流素子、
D11、D12、D22、D23…整流素子、A1…制
御回路、1…充電回路、2…出力制御回路、3…負荷
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 000004271 日本電子株式会社 東京都昭島市武蔵野3丁目1番2号 (72)発明者 岡村 廸夫 神奈川県横浜市南区南太田2丁目19番6号 (72)発明者 大島 正明 神奈川県横浜市鶴見区江ケ崎町4−1東京 電力株式会社電力技術研究所内 (72)発明者 山岸 政章 神奈川県横浜市金沢区福浦1丁目1番1号 株式会社パワーシステム内 (72)発明者 最上 明矩 東京都昭島市武蔵野三丁目1番2号 日本 電子株式会社内 Fターム(参考) 5G003 AA01 BA03 CA14 CC02 DA04 DA14 GA02 5G065 DA04 EA01 HA17 JA01 LA01 NA01 NA06 NA08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 出力用キャパシタ・バンクに充放電状態
    に応じて段数を切り換えて複数段の調整用キャパシタ・
    バンクを直列接続する直列接続段数切り換え式キャパシ
    タ電源装置において、複数の整流手段と単方向制御整流
    手段との逆方向並列回路を含み前記調整用キャパシタ・
    バンクの直列接続段数を切り換える切り換え回路と、前
    記出力用キャパシタ・バンクの充放電状態を検出して該
    充放電状態に応じて前記切り換え回路の複数の単方向制
    御整流手段の導通を制御する制御手段とを備え、前記制
    御手段により前記充放電状態に応じて前記複数の単方向
    制御整流手段を選択的に導通させることにより前記調整
    用キャパシタ・バンクの直列接続段数を切り換えるよう
    に構成したことを特徴とする直列接続段数切り換え式キ
    ャパシタ電源装置。
  2. 【請求項2】 出力用キャパシタ・バンクに充放電状態
    に応じて段数を切り換えて複数段の調整用キャパシタ・
    バンクを直列接続する直列接続段数切り換え式キャパシ
    タ電源装置において、少なくとも前記調整用キャパシタ
    ・バンクの全てを前記出力用キャパシタ・バンクに直列
    接続する充電方向の整流素子に並列接続される逆方向の
    単方向制御整流素子と前記調整用キャパシタ・バンクの
    全てをバイパスして前記出力用キャパシタ・バンクから
    切り離す放電方向の整流素子に並列接続される逆方向の
    単方向制御整流素子とを含む複数の制御整流素子を用い
    て前記調整用キャパシタ・バンクの直列接続段数を切り
    換える切り換え回路と、前記出力用キャパシタ・バンク
    の充放電状態を検出して該充放電状態に応じて前記切り
    換え回路の複数の制御整流素子の導通を制御する制御手
    段とを備え、前記制御手段により前記充放電状態に応じ
    て前記複数の制御整流素子を選択的に導通させることに
    より前記調整用キャパシタ・バンクの直列接続段数を切
    り換えるように構成したことを特徴とする直列接続段数
    切り換え式キャパシタ電源装置。
  3. 【請求項3】 前記切り換え回路は、前記複数段の調整
    用キャパシタ・バンクを中段で接続又はバイパスして接
    続の切り離しを行う回路が、反対方向の単方向制御整流
    素子を直列に接続すると共に、それぞれの単方向制御整
    流素子に反対方向の整流素子を並列に接続した構成であ
    ることを特徴とする請求項2記載の直列接続段数切り換
    え式キャパシタ電源装置。
  4. 【請求項4】 前記切り換え回路は、前記複数段の調整
    用キャパシタ・バンクを中段で接続又はバイパスして接
    続の切り離しを行う回路が、双方向制御整流素子を接続
    した構成であることを特徴とする請求項2記載の直列接
    続段数切り換え式キャパシタ電源装置。
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