JP2000206873A - 点字アクチュエ―タ及び点字ディスプレイ - Google Patents

点字アクチュエ―タ及び点字ディスプレイ

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JP2000206873A
JP2000206873A JP11047473A JP4747399A JP2000206873A JP 2000206873 A JP2000206873 A JP 2000206873A JP 11047473 A JP11047473 A JP 11047473A JP 4747399 A JP4747399 A JP 4747399A JP 2000206873 A JP2000206873 A JP 2000206873A
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JP
Japan
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braille
pin
actuator
display
spring portion
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JP11047473A
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English (en)
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Shinichi Nakayama
伸一 中山
Masayoshi Wada
正義 和田
Shunji Mori
俊二 森
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 点字群を文章で把握し易い小型の点字ディス
プレイを提供する。 【解決手段】 点字ピンを収納する点字ドラム2を例え
ば円筒形状とし、点字を左から右または右から左へ連続
的に流れるように提示する点字表示部14を設けること
により、小型化を図り点字群を文章として把握し易くす
る。点字表示部14の早送り、早戻しなdのための操作
ボタン3や、点字表示速度の調整ツマミ20なども設け
られている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、点字を表示する
ための点字アクチュエータ及び点字ディスプレイに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来例について、図14ないし図17を
参照して説明する。図14に点字ディスプレイの従来例
を示す。点字ディスプレイ13上には、点字表示部14
が1列に並んでいる。各点字表示部14には、点字ピン
15が2×4のマトリックス状に配置されており、各点
字ピョン15は図示されない点字アクチュエータによ
り、1ピンずつ独立して上下方向に駆動可能である。各
点字ピン15は図示されない制御装置(コントローラ)
により駆動制御され、点字ディスプレイ13上に文章を
点字で表現する。視覚障害者は、指で点字ディスプレイ
13上のピン15をなぞりながら情報を読み取り、文章
として把握する。
【0003】図15および図16に点字ピン15を駆動
するアクチュエータの例を示す。図15はバイモルフ方
式の圧電アクチュエータを用いた例で、圧電アクチュエ
ータ16に、図示されない点字ピン駆動部により電圧を
印加することで、点字ピン15を点線で示すように上方
に駆動する(点字ピン15が突出する)ものである。1
7は支持台を示す。
【0004】図16はソレノイドを用いた例である。図
15の例と同じく、ソレノイド18に、図示されない点
字ピン駆動部により電圧を印加すると、点字ピン15は
点線で示すように上方に駆動され、電圧をオフするとピ
ンは元の位置に戻るようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の点字ディスプレ
イは、1文字を表す単位である点字モジュールが横一列
に多数配列されて点字表示部を形成しており、指で左か
ら右になぞりながら点字を読み取ることができるので、
点字を連続して把握でき文章として把握し易い特徴があ
る。その反面、装置を小型化できないという難点があ
る。
【0006】装置を小型化するため、図17に示すよう
に点字ディスプレイ13上の点字表示部14を1個の点
字モジュールだけにして、その上に指を載せて固定し、
点字を1文字ずつ次々に表示する方式も考えられる。し
かし、この方式は文字が流れるよう連続的に表示されな
いため、文字群を文章として把握し難い。
【0007】例えば、健常者に対し「わたしは、とっき
ょをとる。」という文章を、「わ」,「た」,「し」,
「は」,「、」,「と」,「っ」,「きょ」,「を」,
「と」,「る」,「。」のように提示されると、文字を
認識したあとに文章を組み立てる必要があるため、文章
としての把握が非常に難しくなる。発明者は視覚障害者
の協力を得てヒアリングを行った。その結果、視覚障害
者が点字を読む場合も、健常者の場合と同様で、1文字
1文字を単独に提示されると、文章として非常に把握し
難いが、電光掲示板のテロップが流れるように左から右
もしくは右から左に連続的に提示されると把握し易くな
るという事がわかった。したがって、この発明の課題
は、点字群を文章で把握し易い小型の点字ディスプレイ
及び点字アクチュエータを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】従来平面状に複数個並べ
られていた点字モジュールを、一本の帯をなすように、
例えば円筒形やベルトコンベア状に配置して点字表示部
を形成する。このように配置された点字モジュールは、
例えばオルゴールのように長手方向の軸を中心にして、
モータなどの搬送手段により搬送(回転)される。指を
ディスプレイ本体に設けられた触知面に配置した状態
で、点字モジュールを搬送させることにより、点字情報
を指に順次伝達できるようにする。点字情報は指に情報
を伝達した後、次にその部分が指に接触するまでに、コ
ントローラにより書き換えられる(更新される)。
【0009】
【発明の実施の形態】図1〜4はこの発明の実施形態を
示す構成図で、図5、6は第1の発明の詳細を説明する
ためのもの、図8〜12は第2の発明を説明するための
もの、図13は第3の発明を説明するためのもの、図7
は第1および第3の発明の点字ディスプレイをタッチパ
ネル式の自動販売機に用いた応用例である。図2〜4の
符号は、第1の発明を説明するために付与したものでは
あるが、第3の発明にも適用できる図であることは言う
までもない。
【0010】まず、この発明全体を捉えるうえで根幹を
なす図1〜4のうち、図1を説明する。点字ディスプレ
イ1は、点字ピンを選択的に駆動する点字アクチュエー
タを内蔵した円筒形の点字ドラム2と、この点字ドラム
2を矢印に示すような正逆方向に回転(搬送)可能なモ
ータ(図2に示すモータ8)と、操作部より構成され
る。この図面ではモータにより、左から右もしくは右か
ら左に連続的に提示可能となっている。点字表示部14
は、指を配置して点字を読み取る部分であり、操作部
は、操作ボタン3と、点字ドラム2の回転スピード調整
ツマミ20等より構成される。
【0011】点字ドラム2は、点字ディスプレイ1の表
面に点字表示部14がやや出っ張るように配置されてお
り、このディスプレイ本体に設けられた触知面に指を置
いて、モータ8により点字表示部14を回転させなが
ら、点字を次々に触知させる仕組みとなっている。
【0012】この例では、複数の点字モジュールを円筒
形の点字ドラムに配置して点字ディスプレイ1の表面か
ら出っ張らせて段差を設けることにより、使用時の位置
決めを容易にしている。もし、複数の点字モジュールを
ベルトコンベアの流れる長円形に構成したならば、点字
表示部を点字ディスプレイ1の表面より凹ませたり、も
しくは点字表示部だけを前記表面から出っ張らせたりし
て段差を設け、使用時の位置決めを容易にすることがで
きる。
【0013】また、操作ボタン3はここでは「読み取
り」,「読み返し」,「早送り」,「早戻し」の4つか
らなっている。スピード調整ツマミ20は、視覚障害者
の要求通りの点字の提示スピードとなるよう、点字ドラ
ム回転スピードを調整するためのもので、スピードは連
続的または段階的に調整可能である。
【0014】図2,3は、点字ピンの駆動部を説明する
ための説明図である。点字アクチュエータは、点字ピン
駆動部92および点字ピン収納部91から構成され、点
字ピン駆動部92は、コイル6および磁性体の軸7から
構成される。点字アクチュエータをこのように駆動部と
ピン収納部に分離したことも本件発明の特徴の一つであ
る。点字ドラム2の点字ピン15は、ここでは図2に示
すように4列構成とされ、その各々の点字ピンには、点
字アクチュエータのピン収納部91が図3または図4に
示すように、円周方向に放射状に配置されている。
【0015】この点字ディスプレイでグラフィックなど
を表示するときは、ピン密度を上げ、触覚ディスプレイ
として実現できる。また、この点字ディスプレイを文字
の読取りに用いるときは、一般的に点字モジュールは3
列×2行(図2に示したピンの並びをを列、これと直交
する方向のピンの並びを行と表現する)で1文字を表せ
るため、図2では右端の列または左端の列のピンのどち
らかは使用しないことになる。
【0016】文字を認識し易くするには、円周方向のピ
ッチを2行ごとに異ならせて、1文字(=1つの点字モ
ジュール)毎に区分しておくことが望ましい。例えば、
3列×2行で表される点字モジュールの、この2行の行
間を2mmとし、ある点字モジュールと他の点字モジュ
ールとのモジュール間隔を2mmより少し大きく設定し
ておけば、文字を認識し易くできる。また、点字表示部
14へ、文字または文章を表す単位ごとに表示されるべ
く文字を搬送する(円筒形ドラムを回転させる)ように
制御する工夫も考えられる。すなわち、所定量の文字を
搬送したあと所定の時間だけ停止し、然るのち所定量だ
け文字を搬送し、というような表示文字列をベースとし
た制御を行うこともできる。このような手段を講じるこ
とにより、ディスプレイ本体に設けられた触知面に提示
される点字モジュールの一部(1文字を構成するための
点字ピンの一部分)が点字ディスプレイ1の内側に隠れ
ているために認識できないというケースがなくなり、使
用感の向上を図ることができる。
【0017】この円周方向に配置される点字アクチュエ
ータの点字ピン収納部91の個数は、点字ドラム2の大
きさ,形状等によって異なる。また、点字アクチュエー
タによる点字ピン駆動は、図2に符号12で示す制御装
置(コントローラ)により、コイル6に通電するか否か
により行なう。このコイル6および磁性体の軸7は点字
ピン駆動部92を形成し、図2,図3に示すように、対
応する点字ピン収納部91とともに点字アクチュエータ
を構成する。
【0018】点字アクチュエータを制御する制御部は、
操作ボタン3、回転スピード調整ツマミ20などの操作
部および制御装置12からなる。制御装置12は操作ボ
タン3や回転スピード調整ツマミ20からの指示を受け
てモータ8を駆動し、点字表示速度の制御や、早送り・
早戻しなどの制御を行なう。
【0019】図5および図6は、図1の点字ディスプレ
イに適用するための点字ピンの構成例である。図5はピ
ン収納部を示す拡大斜視図、図6は点字アクチュエータ
の動作説明図である。
【0020】すなわち、点字ピン収納部91は例えば図
5のように、上部と下部は鉄などの磁性体10a,10
b、中間部は樹脂などの非磁性体部11より構成され
る。15は永久磁石からなる点字ピンであり、ピン径は
φ1.0〜1.5mmである。また、点字ピン駆動部9
2は図2,3および図6に示すように、コイル6および
鉄などの磁性体の軸7から構成される。
【0021】ここで、点字アクチュエータの動作原理に
つき、図6を参照して説明する。図6(a)は点字ピン
15が引っ込んだ状態を示し、磁性体10bに吸着され
ている。ここでは、点字ピン15の先端がS極、根元が
N極とされている。この状態で、磁性体からなる軸7の
先端がN極となるようにコイル6に通電すると(電磁石
を形成すると)、点字ピン15は磁性体10bの吸着力
にうち勝ち、図6(b)に示すように磁性体の軸7に吸
引され、すなわち点字ピンの軸方向に点字ピン15は突
出する。そのとき、点字ピン15はストッパ19にぶつ
かって位置決めされる。このストッパ19により、それ
ぞれのピンの突出量を一定にすることができ、文字が読
取りやすくなる。実施例の前記ピン突出量は、約0.5
mmである。
【0022】点字ピン15は上記の状態で、磁性体10
aに吸着される。従って、コイル6への通電を止めても
点字ピン15は突出したままである。点字を触知するた
め指で点字ピン15を押しても、点字ピン15は磁性体
10aへの吸着力の影響下にあるため、指をはなした
後、突出した状態に復元される。従って、点字ピン15
は指で押す,押さないに関係なく、突出した状態で保持
(ラッチ)されるラッチ機能を有する。このため、いっ
たん通電により点字ピンの出没を設定すると、それ以上
の通電を行う必要がなく、エネルギーの省力化を図れ
る。
【0023】なお、点字ピン15を引っ込めるときは、
図6(a)に示すように、コイル6を逆励磁する。これ
により、点字ピン15は軸7先端のS極と反発し、磁性
体10bへ吸着されて引っ込むことになる。このように
点字ピンの軸方向に点字ピンを往復動させることが可能
である。
【0024】ここで、第1の構成例の点字ピンを図1に
適用したときの動作について述べる。視覚障害者は、図
1に示す点字ディスプレイ1に設けられた点字ピンを読
み取るための触知面に左手人差し指を当てる。右手は操
作ボタン3上におく。この状態で、「読み取りボタン」
を押すと、点字ドラム2は例えば反時計方向に回転し、
点字情報が次々に左手人差し指に提示されるので、点字
の流れを文章として把握することができる。情報伝達速
度が速すぎて読み取れないときは、回転スピード調整ツ
マミ20により調整する。点字の読み取りを効率良く行
なうべく、早送りしてもっと先に示されている情報を知
りたいときは、操作ボタン3のうちの「早送りボタン」
を、また、前に書いてある情報を再度読み返したい時に
は、「読み返しボタン」や「早戻しボタン」を押せば良
い。
【0025】点字ディスプレイ1の供給先としては、パ
ソコン用ワープロソフトやタッチパネル式のATM機,
CD機,自動販売機などが考えられる。そこで、図示は
省略したが、用途に応じて「改行ボタン」,「行戻りボ
タン」を設けて読み取り易くしたり、入力ボタンとして
操作者の意志を入力するための「YES(はい)ボタ
ン」,「NO(いいえ)ボタン」または「確認ボタン」
を設けたりすることもある。
【0026】図1では、点字モジュールを円形をした回
転ドラム上に配置したが、この発明の要点は、触知する
指を点字表示部上に配置しておき、点字を「右から左」
または「左から右」に連続的またはエンドレスに流すよ
うな構成であればよいわけだから、例えば長円形をした
ベルトコンベア等の搬送手段に点字アクチュエータを配
置するなどしても良い。以上をまとめると、この点字デ
ィスプレイを構成するには、以下のようにすると良い。
【0027】選択的に駆動される複数の点字ピンからな
る点字を提示する点字表示部および複数の点字ピン収納
部からなる点字モジュールと、点字モジュールを所定の
方向に搬送する搬送手段と、点字ピンを所定の方向に往
復動させる点字アクチュエータと、前記搬送手段および
前記点字アクチュエータを制御する制御部と、前記制御
部に操作および指示を与える操作部とからなり、ディス
プレイ本体に設けられた触知面に配置される指に対して
前記搬送手段により左から右または右から左に連続的に
提示可能にする点字ディスプレイにおいて、前記点字ア
クチュエータは、点字ピンを収納する点字ピン収納部
と、前記搬送手段の経路上に配置される点字ピンを駆動
する点字ピン駆動部とからなり、各部は互いに分離して
配置され、前記点字ピンは永久磁石からなり、前記点字
ピン収納部の上部および下部は磁性体、中間部は非磁性
体からそれぞれ構成され、前記点字ピン駆動部は、電磁
石の通電制御により点字ピンを駆動し、前記点字ピン駆
動部の通電制御により点字ピンが所定の位置に保持され
ることを特徴とする点字ディスプレイ。
【0028】この点字ディスプレイは、複数の前記点字
モジュールが円筒形をなすように、複数の点字ピン収納
部が該円筒の回転中心から表面方向に向けて放射状に配
列され、搬送手段により搬送(回転)可能となしたもの
である。また、前記点字表示部はベルトコンベア状にエ
ンドレスに構成され、複数の点字ピン収納部がベルト状
の表面方向に向けて順次配列され、搬送手段により搬送
可能であっても良い。
【0029】そしてこの点字ディスプレイは、点字表示
速度が調整可能な調整部が設けられている。この調整部
は、表示速度を連続的もしくは段階的に調整可能であ
る。前記制御部への操作、指示は点字を読み取り易くす
るためのものか、または操作者の意志を入力するための
ものの少なくとも一方であり、前記点字を読み取り易く
するためのものとして、点字の読み取り、読み返しのた
めのもの、点字を高速に読み進めたり(早送り)、読み
返したり(早戻し)するためのもの、点字文章を改行し
たり、前行に戻すためのものの少なくとも1つとし、前
記操作者の意志を入力するためのものとして、「は
い」、「いいえ」、「確認」の少なくとも1つである。
【0030】図1の点字ディスプレイを用いた応用例と
して、タッチパネル式の自動販売機を図7に示す。タッ
チパネル式自動販売機は広く普及しているが、視覚障害
者には使い難い。図1に示す点字ディスプレイは、自動
販売機本体とのインタフェースさえとってやれば後付け
可能なので、特徴の1つである“小型”を活かして、図
7のように現状のタッチパネル式自動販売機の空きスペ
ースに、後付けで取り付けている。この場合、コスト的
にも有利なだけでなく、点字アクチュエータが点字ピン
収納部と点字駆動部とに分離して配置され通電制御する
ための配線作業の繁雑さが低減できるので、設置済みの
タッチパネル式自動販売機に広く普及できる可能性があ
り、バリアフリー社会形成の点からも有利である。な
お、健常者の操作性に悪影響を及ぼすおそれもない。
【0031】次に、第2の発明の点字アクチュエータの
構成例を述べる。図8〜12は、第2の発明である点字
アクチュエータの構成例である。図8および図9は、点
字ピンに形状記憶合金製の弾性体を2本用いたときの上
下移動を説明するためのもので、点字ピンの軸を含む軸
方向の断面図である。
【0032】点字ピン31は、中間に一部径の大きな円
盤部分36を有し、この円盤部分の下方および上方には
形状記憶合金製の弾性体である第1ばね部32、第2ば
ね部33を備えている。円盤部分36は第1ばね部32
と第2ばね部33の間に固着されており、ばねの伸縮に
より点字ピンを軸方向に動作させるものであれば良いの
で円盤の形にはこだわらない。つまり、円盤部分36は
言い換えれば第1ばね部と第2ばね部および点字ピンを
一体化するための固着部材である。上板34、下板35
は、点字ピン収納部を形成する枠の一部であり、点字ピ
ン31の貫通穴を兼ねた軸受け40、41を有する。貫
通穴40、41を軸受けとするように配置された点字ピ
ン31は、上板34、下板35に上下から挟まれ与圧を
もって支持された形状記憶合金製の第1ばね部32、第
2ばね部33により、上下方向の運動のみが自在になる
ように拘束されている。
【0033】点字ピン31の長さは、点字ピン収納部の
上板34と下板35との相互間の距離よりも長い、すな
わち図9のように点字ピン31が押し上げられた状態に
おいて、点字ピン31の下端が貫通穴41よりも若干上
方に位置するくらい長いほうが望ましく、このとき点字
ピン31の上下方向の運動がより安定する。つまり、点
字ピン31が押し下げられて図9から図8の状態に戻る
とき、下向きに働く力のベクトルの向きが安定するから
である。また、形状記憶合金製の第1ばね部32、第2
ばね部33が、上板34、下板35で上下から挟まれ与
圧をもって支持されるとき、上板34、下板35に第1
ばね部32、第2ばね部33が固定されやすいように溝
をつくっておくことも考えられる。
【0034】点字ピン31は、第1ばね部32、第2ば
ね部33を備えるため上下方向(軸方向)に弾力性を有
するので、外力に対して変位に比例した力で押し返すこ
とが可能となる。いま、第1ばね部32、第2ばね部3
3のうち、どちらか一方を加熱し、あらかじめ記憶され
ている形状に変形させる。一例として、形状記憶合金製
の第1ばね部32、第2ばね部33は加熱により、ばね
の伸びた長い形状があらかじめ記憶されているとする。
第1ばね部32を加熱すると、第1ばね部32は伸びた
形状に戻ろうとする。形状記憶合金は一般的に、加熱に
よりあらかじめ記憶されている形状への変形時には通常
のばねとして作用している状態より十分大きな力を発生
する。この性質より、第1ばね部32は円盤部分36と
ともに点字ピン31、および第2ばね部ばね33を上方
に押し上げる。この結果、図9に示されるように、第2
ばね部33は円盤部分36と上板34の間に圧縮され、
点字ピン31は上板34の軸受け40を貫通して上方に
突出する。また、点字ピン31を埋没させるときは、第
1ばね部32への加熱を中止し、第2ばね部33を加熱
すればよい。
【0035】当然ながら、形状記憶合金製の第1ばね部
32、第2ばね部33は加熱によりばねの縮んだ形状が
あらかじめ記憶されていてもよい。この場合は、第2ば
ね部33を加熱すると点字ピン31が突出することにな
り、第1ばね部32を加熱すると埋没することになる。
【0036】図10は、図8および図9で示した点字ピ
ンおよび点字ピン収納部を、形状記憶合金製のばね1本
で実現したものである。点字ピン31は、中間に円盤部
分38を有し、形状記憶合金製の弾性体であるばね37
を備えており、円盤部分38はばねの内側に固着されて
いる。この円盤部分38は、円盤部分36と同様に、ば
ね37と点字ピンを一体化させるための固着部材であ
る。ばね37は円盤部分38の下方を第1ばね部37
a、上方を第2ばね部37bと区別される。その他の構
成は図8および図9と同様であり、点字ピン31の長さ
や上下の板34、35に溝を作る点での工夫も同様であ
るので省略する。
【0037】図10では、円盤部分38に対して第1ば
ね部37aもしくは第2ばね部37bの一方を選択して
加熱することにより、ばねを2本用いて実現した場合と
同様の動作を得られる。この場合も、形状記憶合金製の
ばねは加熱により長く伸びるか、または短く縮むかのど
ちらの形状に記憶されても実現できる。選択的に加熱す
る方法については、一例を後述する。
【0038】図11は、図8の点字ピンおよび点字ピン
収納部にストッパを設けたものである。ストッパ39
は、点字ピン31の上下動ストロークを制限するために
設ける。形状記憶合金製の第1ばね部32、第2ばね部
33が加熱により伸びるようにあらかじめ記憶されてい
るとき、第1ばね部32を加熱すると点字ピン31が上
方に押し上げられる。このとき、円盤部分36がストッ
パ39に接触し点字ピン31をこの位置に停止させるこ
とで、文字を構成する他の点字ピンとの突出の高さを均
一にでき点字を読み取り易くできるとともに、強制変形
させられる第2ばね部33の過変形による性能の劣化を
も防ぐことができる。突出の高さを均一にするためだけ
ならば、ストッパを上部にだけ設ければよいし、埋没さ
せたときの過変形まで考慮するならば、下部にもストッ
パを設ければよい。
【0039】次に、図8、9を用いて点字ピンのラッチ
(保持)機能を説明する。形状記憶合金製の第1ばね部
32、第2ばね部33は加熱により伸びるようにあらか
じめ記憶されている。図8において、第1ばね部32を
加熱すると、前述のように図9のごとく点字ピン31は
押し上げられる。その後、第1ばね部32を加熱前の温
度に戻しても、第1ばね部32、第2ばね部33は図9
の状態を保ったまま保持される。つまり、点字ピン31
は、加熱操作を続けなくても、いったん押し上げられた
位置で、長さの異なるばねにより弾性支持された状態で
保持される機能を有する。これは、形状記憶合金が持
つ、外力による強制変形後は大きな永久歪みが残留す
る、という性質による。これを利用し、点字の表示状態
を変更するための、ある短い時間だけ形状記憶合金製の
第1ばね部32または第2ばね部33を加熱すること
で、ばねの形状を変化させ、その後加熱操作を停止し、
点字ピン31の状態を保持することが可能となる。そし
て、これにより省電力化が図られる。
【0040】図12は、図8〜11の点字ピンおよび点
字ピン収納部において、形状記憶合金製のばねを部分的
に加熱する一例を示すものである。加熱手段としては、
温水や温風を該当部分に当てる方法などが考えられる
が、ここでは通電による加熱方法を説明する。
【0041】形状記憶合金製の第1ばね部32、第2ば
ね部33は加熱により長く伸びるようにあらかじめ記憶
されている。そして、第1ばね部32、第2ばね部33
のそれぞれの両端面間に電圧をかけ、その形状記憶合金
が有する抵抗により加熱する装置を考える。図8、図
9、及び図11では、第1ばね部32の下端部分に端子
44が、第2ばね部33の上端部分に端子42が接触す
るように配線されている。第1ばね部32の上端と第2
ばね部33の下端は円盤部分36に接触しているため、
円盤部分36に導電性材料を用いて端子43と接触する
よう配線すると便利である。図10のように形状記憶合
金製のばね1本で構成した場合は、直接ばね37と端子
43とを配線することができる。端子43と44の間に
電圧をかけると、第1ばね部32が通電加熱され、点字
ピン31が突出する。端子43と42の間に電圧をかけ
ると、第2ばね部33が通電加熱され、点字ピン31が
埋没する。
【0042】図13は、第3の発明を示すものであり、
図8〜12の点字ピンを、点字ディスプレイとして実現
するための構成である。図12と同一のものについては
同じ符号で表す。1文字を表す単位である点字モジュー
ルは一般的に6本のピンから構成されるため、点字ピン
を駆動するための端子や切替器などは、6ピン分図示す
るのが望ましいが、ここでは図の簡略化のため、1ピン
分だけ示すことにする。
【0043】図13は、図8〜図12の点字ピンを図1
および図2の装置に組み込むためのもので、このときの
点字ピンおよびこの駆動部を一部分だけ取り出し、示し
たものである。第1ばね部および第2ばね部とも加熱に
より長く伸びる形状が予め記憶されている。無端搬送ベ
ルト45上には、点字モジュールを構成する点字ピン収
納部46が配置されており、点字ピン収納部46には、
通電加熱するための端子(移動側接触端子)42〜44
がベルト45の送り方向と同じ向きに配線されている。
点字ピン駆動部93は、形状記憶合金製のばねを用いて
通電により点字ピンを出没させる駆動部であり、図2の
点字ピン駆動部92に対応する。点字ピン収納部46の
端子42〜44は、ベルト45の搬送経路上に固定して
設けられた点字ピン駆動部93の端子(固定側接触端
子)47〜49と搬送中に係合し、ある一定の時間だけ
接触するように構成される。切替器50は、電圧を切り
替えるものであり、端子48と端子49に電圧をかける
ように図2の制御装置12で制御すると、点字ピンが突
出する。また、制御装置12により端子48と端子47
に電圧をかけると、突出していた点字ピンが埋没する。
このような駆動部を必要数設けることで、点字の出没の
変更を可能とする。
【0044】以上は、形状記憶合金製のばねを用いた点
字アクチュエータを前提に、これを点字ディスプレイと
して実用化するための構成を述べたが、この第3の発明
の要点は、搬送される点字モジュールに給電して点字ピ
ンの出没を制御する手段の提供である。よって給電によ
り点字ピンを駆動する点字ディスプレイに適用できるも
のであり、その範囲は形状記憶合金製のばねに給電する
ための手段だけに留まらない。
【0045】図13に示した搬送手段としてのベルト4
5は、図2の点字ドラム2に置き換えるようにしても良
い。同様に、点字ピン駆動部93を図2の励磁式の点字
ピン駆動部92に置き換えても良く、これらを用途に応
じて使い分けることで、形状記憶合金製のばねを用いた
点字ピンを実用化できる。
【0046】図13は、以下のような構成といえる。選
択的に駆動される複数の点字ピンからなる点字を提示す
る点字表示部および点字ピン収納部からなる点字モジュ
ールと、点字モジュールを所定の方向に搬送する搬送手
段と、点字ピンを所定の方向に往復動させる点字アクチ
ュエータと、前記搬送手段および前記点字アクチュエー
タを制御する制御部を有する点字ディスプレイにおい
て、前記点字ピンは軸方向に沿って設けられた形状記憶
合金製のばねよりなる第1のばね部と第の2ばね部との
間に固定されて軸方向に弾性支持されるとともに、前記
第1のばね部あるいは第2のばね部のいずれか一方を加
熱してその形状を変化させ、2つのばね部の釣り合いの
位置を軸方向に移動させることにより、前記点字ピンの
軸方向の移動が制御される。
【0047】そして、前記点字モジュールの複数の第1
のばね部と第のばね部に、通電するための複数の配線の
移動側接触端子を設け、かつ、前記点字モジュールが搬
送手段により搬送される際のある一定時間、それぞれの
移動側接触端子に接触するように複数の固定側接触端子
を、この搬送経路上に固定して設置され、搬送されてく
る前記移動側接触端子と前記固定側接触端子とを接触さ
せ、前記点字アクチュエータを選択的に駆動して点字モ
ジュールへの給電を行うように構成される。
【0048】さらには、加熱に伴う形状変化による2つ
のばねの釣り合いの位置の全移動量より狭い領域に前記
点字ピンの移動を制限するように、ストッパを点字ピン
の軸方向のいずれか一方または両方に設置しても良い。
【0049】
【発明の効果】この発明による点字ディスプレイは、こ
れまで指を動かしながら点字を読み取っていたものとは
異なり、円筒形等のエンドレスの点字ドラム上に指を配
置しておき、点字を「右から左」,「左から右」に流れ
るように表示しているため、下記のような効果がもたら
される。
【0050】1)点字表示部を横一列に多数配置する必
要がないため、点字ディスプレイの小型化が可能であ
る。携帯性を重視した点字ディスプレイに有利である。 2)点字ディスプレイを小型化できるため、現在広く普
及しているタッチパネル式自動販売機等に低コストで後
付け可能である。従って、バリアフリー社会形成に有利
である。 3)点字を次々と流れるように触知できるため、文章と
して把握し易い。 4)点字ピンの出没状態を保持するラッチ機能を有する
ため、省電力化が可能である。 5)点字表示部と点字ピン駆動部を分離して配置したた
め、通電制御するのに必要な配線の煩雑さが軽減され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態を示す構成図である。
【図2】図1の内部構成を示す平面図である。
【図3】図1の内部構成を示す側面図である。
【図4】点字ドラムを示す構成図である。
【図5】点字ディスプレイに適用する第1の発明の点字
ピン収納部を示す拡大斜視図である。
【図6】点字ディスプレイに適用する第1の発明の点字
アクチュエータの動作説明図である。
【図7】この発明の応用例を示す概要図である。
【図8】第2の発明の点字ピンの動作説明図である。
【図9】第2の発明の点字ピンの動作説明図である。
【図10】第2の発明の点字ピンの動作説明図である。
【図11】第2の発明の点字ピンにストッパを設けた図
である。
【図12】第2の発明の点字ピンを通電加熱により動作
させる図である。
【図13】給電により点字アクチュエータを制御する第
3の発明の構成図である。
【図14】点字ディスプレイの従来例を示す構成図であ
る。
【図15】圧電アクチュエータの例を示す概要図であ
る。
【図16】静電アクチュエータの例を示す概要図であ
る。
【図17】点字ディスプレイの他の従来例を示す構成図
である。
【符号の説明】
1、13…点字ディスプレイ 2…点字ドラム 3…操
作ボタン 4…タッチパネル機 5…タッチパネル 6
…コイル 7…磁性体の軸 8…モータ 91…点字ピ
ン収納部 92…点字ピン駆動部 10a,10b…磁
性体11…非磁性体 12…制御装置(コントローラ)
14…点字表示部 15…点字ピン16…圧電アクチ
ュエータ 17…支持台 18…ソレノイド 19…ス
トッパ20…回転スピード調整ツマミ 31…点字ピン
32…第1ばね部 33…第2ばね部 34…上板
35…下板 36,38…円盤部分37…形状記憶合金
製のばね 37a…第1ばね部 37b…第2ばね部
39…ストッパ 40,41…貫通穴 42〜44…端
子 45…無端搬送ベルト 46…点字ピン収納部 4
7〜49…駆動部側端子 93…点字ピン駆動部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 選択的に駆動される複数の点字ピンから
    なる点字を提示する点字表示部および複数の点字ピン収
    納部からなる点字モジュールと、点字モジュールを所定
    の方向に搬送する搬送手段と、点字ピンを所定の方向に
    往復動させる点字アクチュエータと、前記搬送手段およ
    び前記点字アクチュエータを制御する制御部とからな
    り、ディスプレイ本体に設けられた触知面に対して点字
    モジュールを連続的に提示可能にしたことを特徴とする
    点字ディスプレイ。
  2. 【請求項2】 前記点字アクチュエータは、点字ピンを
    収納する点字ピン収納部と、前記搬送手段の経路上に配
    置される点字ピンを駆動する点字ピン駆動部とからな
    り、各部は互いに分離して配置したことを特徴とする請
    求項1に記載の点字ディスプレイ。
  3. 【請求項3】 複数の前記点字モジュールが、円筒ドラ
    ムまたはベルトコンベアからなる搬送手段に配置されて
    いることを特徴とする請求項1ないし2のいずれかに記
    載の点字ディスプレイ。
  4. 【請求項4】 前記点字ピンが永久磁石からなり、前記
    点字ピン収納部が上部および下部は磁性体、中間部は非
    磁性体からそれぞれ構成されてなることを特徴とする請
    求項1から3のいずれかに記載の点字ディスプレイ。
  5. 【請求項5】 選択的に駆動される点字ピンと、点字ピ
    ン収納部と、点字ピンを加熱により駆動する駆動部とを
    有する点字アクチュエータにおいて、 前記点字ピンは軸方向に沿って設けられた形状記憶合金
    製のばねよりなる第1のばね部と第2のばね部との間に
    固定されて軸方向に弾性支持されるとともに、 前記第1のばね部あるいは第2のばね部のいずれか一方
    を加熱してその形状を変化させ、2つのばね部の釣り合
    いの位置を軸方向に移動させ、 点字ピンを選択的に駆動する制御部により点字ピンの軸
    方向の移動が制御されることを特徴とする点字アクチュ
    エータ。
  6. 【請求項6】 加熱に伴う形状変化による2つのばねの
    釣り合いの位置の全移動量より狭い領域に前記点字ピン
    の移動を制限するように、ストッパを点字ピンの軸方向
    のいずれか一方または両方に設置したことを特徴とする
    請求項5に記載の点字アクチュエータ。
  7. 【請求項7】 前記第1のばね部あるいは第2のばね部
    のいずれか一方への加熱をばね部への通電により行うこ
    とを特徴とする請求項5ないし6のいずれかに記載の点
    字アクチュエータ。
  8. 【請求項8】 選択的に駆動される複数の点字ピンから
    なる点字を提示する点字表示部および点字ピン収納部か
    らなる点字モジュールと、点字モジュールを所定の方向
    に搬送する搬送手段と、点字ピンを所定の方向に往復動
    させる点字アクチュエータと、前記搬送手段および前記
    点字アクチュエータを制御する制御部を有する点字ディ
    スプレイにおいて、 前記点字モジュールに、通電するための複数の配線の移
    動側接触端子を設け、かつ、前記点字モジュールが搬送
    手段により搬送される際のある一定時間、それぞれの移
    動側接触端子に接触するように別の複数の固定側接触端
    子を、この搬送手段の経路上に固定して設置し、 搬送されてくる前記移動側接触端子と前記固定側接触端
    子とを接触させ、前記点字アクチュエータを選択的に駆
    動して点字モジュールへの給電を行うように構成したこ
    とを特徴とする点字ディスプレイ。
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