JP2000204975A - エンジンのインテ―クマニホルド - Google Patents

エンジンのインテ―クマニホルド

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JP2000204975A
JP2000204975A JP2000028426A JP2000028426A JP2000204975A JP 2000204975 A JP2000204975 A JP 2000204975A JP 2000028426 A JP2000028426 A JP 2000028426A JP 2000028426 A JP2000028426 A JP 2000028426A JP 2000204975 A JP2000204975 A JP 2000204975A
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valve
throttle valve
noise
intake air
throttle
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JP2000028426A
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Hideo Nakamura
秀生 中村
Natsuhiko Katahira
奈津彦 片平
Hitoshi Hashioka
仁 橋岡
Kenjiro Morota
健二郎 茂呂田
Yoshihiro Miyaji
義博 宮地
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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  • Control Of Throttle Valves Provided In The Intake System Or In The Exhaust System (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スロットル弁を急激に開弁させる際に、同弁
の下流側に乱流が発生することによって生じる騒音を低
減させる。 【解決手段】 エンジンには、各気筒に空気(吸気)を
供給するための樹脂材料からなるインテークマニホルド
12が接続されている。インテークマニホルド12の上
流側には、スロットル弁19を内蔵するスロットルボデ
ィ15が接続される。インテークマニホルド12におい
てスロットルボディ15との接続部分近傍の内周壁に
は、吸入空気をその流通方向に沿って整流する板状の整
流部材33が複数設けられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、エンジンに吸入
空気を供給するためのエンジンのインテークマニホルド
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、内燃機関に供給される空気の量
は、吸気通路の内部に設けられたスロットル弁が同通路
における流路断面積を変更することによって調節され
る。内燃機関のスロットル弁としてはバタフライ式の弁
が多く採用されている。このバタフライ式の弁は、流体
通路内に設けられた回転軸を有する弁体が、その軸を中
心として回転することにより流体通路内を通過する流体
の量を調節するものである。
【0003】このようなバタフライ式の弁に関する技術
として、例えば、実開昭63−17372号公報に記載
された「バタフライ弁」が公知である。図25に示すよ
うに、この弁50においては、流体が通過する管路(図
示略)の途中に設けられた円筒状の弁箱51に、略円板
状をなす弁体52が軸53により回転可能に支持されて
いる。弁体52の外周縁部が弁箱51の内周壁に当接し
ている状態(図23に示す状態)にある場合、即ち、弁
体52が全閉状態にある場合には流体の弁箱51におけ
る流通が遮断される。これに対して、弁体52が軸53
を中心として回転することにより、弁体52の外周縁部
が弁箱51の内周壁から離反した状態となって流体の流
通が許容される。
【0004】図26に示すように、弁体52のノズル側
(図25、図26において軸53よりも上方側)で、且
つ、上流側(図25の左側)の周縁部には櫛歯状突起5
4が円弧状をなすように形成されている。また、弁体5
2のオリフィス側(図25、図26において軸53より
も下方側)で、且つ、下流側(図25の右側)の周縁部
にも同様に櫛歯状突起55が形成されている。これら各
櫛歯状突起54,55の間には流体が通過可能なスリッ
ト56,57がそれぞれ形成されている。図26に示す
ように、これら各スリット56,57は、その方向が弁
体52の中心部に向かうようにして形成されている。
【0005】上記バタフライ弁50においては、弁体5
2の表面に沿って流れる流体の流通方向を各スリット5
6,57によって規制することにより、弁体52の下流
側に流れる流体を分散させ、キャビテーション発生を抑
制するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、内燃機関に
おいては、同機関の運転に伴ってスロットル弁の上流側
と下流側との間には圧力差が生じ、この圧力差により、
吸気通路内を空気がスロットル弁の上流側から下流側へ
と流れる。スロットル弁の上流側及び下流側の圧力差
は、内燃機関の運転状態に加えて同弁の開度に応じて決
定され、例えば、スロットル弁が略全閉状態にある場合
にはその圧力差は極めて大きな値となる。
【0007】ここで、特にその開度が極めて小さく、圧
力差が極めて大きい状態からスロットル弁を急激に開弁
させた場合、同弁の上流側から下流側に向けて空気が急
激に流れ始める。その結果、スロットル弁の下流側にお
いて乱流が発生し、吸気通路内には、この乱流に伴う過
大な圧力変動が生じることがある。こうした過大な圧力
変動が生じる場合、この圧力変動に伴う空気の摩擦音
や、同圧力変動が起振力となって吸気通路の構成部材が
振動することによる騒音が発生することがあった。
【0008】図27は、スロットル弁が全閉状態にある
ときの前記圧力差をそれぞれ80kPa,60kPa,
30kPaと変化させた場合における、スロットル弁の
開度変化(同図(a))とスロットル弁近傍における音
圧の変化(同図(b),(c),(d))との関係を示
している。同図に示すように、スロットル弁近傍の音圧
は、同弁が全閉状態から開弁する際に急激に増大する。
また、その大きさは圧力差とともに変動する。即ち、ス
ロットル弁の開弁時に、同弁の近傍からは大きな騒音が
発生し、そして、圧力差が大きくなるほどその音圧が大
きく変動して騒音が増大する。
【0009】図28は、吸気通路80内に設けられたス
ロットル弁81と、同通路80を流れる空気の流線を示
している。スロットル弁81が軸82を中心に回転して
開弁状態となった場合、同図に示すように、空気はスロ
ットル弁81のノズル側開口83及びオリフィス側開口
84を通じて下流側に流れる。ここで、スロットル弁8
1の下流側には空気の流れが乱流となる領域があり、特
に、図28に示すように、スロットル弁のオリフィス側
(同図において軸82より上方側)で、且つ、同弁80
の近傍の領域Aには強い乱流が発生する傾向がある。前
述した騒音の大きさは、この領域で発生する乱流の強さ
と相関関係があると考えられる。
【0010】従って、上記騒音を低減させるためには、
乱流の発生、特に前記領域Aにおける乱流の発生に伴う
圧力変動を低減させる必要がある。この点、上記公報に
記載された「バタフライ弁」に係る構成では、スリット
57が弁体52の中心部に向かうように形成されている
ため、弁体52のオリフィス側開口を通過した流体はス
リット57を通過した後に弁体52の中心部に集中して
しまい、逆に乱流が生じやすくなる。このため、上記公
報に記載された「バタフライ弁」に係る構成を内燃機関
のスロットル弁として採用し、同弁の下流側における流
体の流れ方向を制御したとしても、上記乱流に伴う圧力
変動に起因した騒音を低減させることはできなかった。
【0011】この発明は上記実情に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、スロットル弁の上流側と下流側と
の圧力差が大きい状態から同弁を急激に開弁させる際に
同弁の下流側に乱流が発生することによって生じる騒音
を低減させることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明は、スロットル弁を内蔵する
スロットルボディの下流側に接続されるインテークマニ
ホルドにおいて、前記スロットルボディとの接続部分近
傍の内周壁には、吸入空気をその流通方向に沿って整流
する板状の整流部材が複数設けられてなるエンジンのイ
ンテークマニホルドをその要旨としている。
【0013】請求項2に記載の発明は、請求項1記載の
エンジンのインテークマニホルドにおいて、同インテー
クマニホルドは樹脂材料からなることをその要旨として
いる。
【0014】上記請求項1又は2に記載の構成によれ
ば、インテークマニホルドに吸入空気が流入する際に各
整流部材により吸入空気が整流されることによって、イ
ンテークマニホルド内における乱流の発生が抑えられ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】[第1の実施形態]以下、第1の
実施形態について、図1〜4を参照して説明する。
【0016】図1は、本実施形態におけるエンジン11
等を示す概略構成図である。同図に示すように、エンジ
ン11には、各気筒(図示略)に空気(吸気)を供給す
るための樹脂材料からなるインテークマニホルド12
と、各気筒から燃焼ガスを排出するためのエギゾースト
マニホルド15とが接続されている。インテークマニホ
ルド12の上流側(図1の左側)には、内部にスロット
ル弁19を内蔵するスロットルボディ15が接続されて
いる。
【0017】図2は、スロットルボディ15及びスロッ
トル弁19を拡大して示す。スロットルボディ15は、
内部に吸気通路の一部を構成する断面円形状の内部空間
16を有する。スロットル弁19はバタフライ式の弁で
あり、内部空間16内に設けられた円板状をなす弁体1
7と、同弁体17の中心を通りスロットルボディ15に
回転可能に支持された軸18とを備えている。軸18は
図示しないアクセルペダルに対してワイヤ等により連結
されている。
【0018】運転者によりアクセルペダルが踏み込まれ
ることにより、弁体17はその踏込量に応じて、軸18
を中心に図2の矢印で示す方向に回転する。その結果、
スロットル弁19の開度は、図2に示す全閉状態と二点
鎖線で示す全開状態との間で連続的に変化する。このよ
うに、スロットル弁19の開度が変化することにより、
スロットルボディ15の内部空間16を通過してインテ
ークマニホルド12内に導入される吸入空気の量が調節
される。
【0019】スロットルボディ15の内周壁において、
軸18よりも下流側(図2の右側)であり同軸18の軸
心から距離L1だけ離間した位置には、全周にわたって
段差32が形成されている。スロットルボディ15にお
いて段差32よりも下流側の部分全体には、流路断面積
が拡大された拡径部21が形成されている。本実施形態
において、距離L1は、後述する実験結果に基づいてス
ロットル弁19の半径Rの1/2と等しく設定されてい
る(L1=R/2)。また、段差32の長さSも同様
に、実験結果に基づいて半径Rの9/100と等しく設
定されている(S=9R/100)。また、本実施形態
において、軸18の位置におけるスロットルボディ15
の内径、及びスロットルボディ15に接続される部分に
おけるインテークマニホルド12の内径はいずれも「5
5mm」であり、スロットル弁の半径Rは「27.5m
m」である。
【0020】以上のように構成された本実施形態におけ
る作用及び効果について説明する。エンジン11の運転
が開始されることにより、各気筒にはスロットル弁19
の開度に応じた量の吸入空気が導入される。この際、吸
入空気の大部分は、弁体17の表面に沿ってスロットル
弁19のノズル側(図2において軸18より下方側)に
移動してノズル側開口、即ち、スロットル弁19のノズ
ル側周縁部分とスロットルボディ15との間に形成され
る隙間を通じて下流側に流れる。また、吸入空気の一部
分は、スロットル弁19のオリフィス側(図2において
軸18より上方側)開口、即ち、スロットル弁19のオ
リフィス側周縁部分とスロットルボディ15との間に形
成される隙間を通じて下流側に流れる。
【0021】この際、オリフィス側開口を通過した吸入
空気は、前述したようにスロットル弁19の下流側にお
いて乱流になり易い傾向がある。そして、特に、スロッ
トル弁19の開度を全閉状態から急増させた場合、同弁
19の下流側に生じる乱流の渦強度が大きくなって騒音
が発生し易くなることも前述した。
【0022】この点、本実施形態では、スロットルボデ
ィ15内に拡径部21が形成されており、同ボディ15
内において乱流の発生が予想される領域の流路断面積が
拡大されている。このため、オリフィス側開口を通過し
た吸入空気がスロットル弁19の下流側において乱流と
なった場合、その乱流は拡径部21において分散され、
その渦強度が減少する。従って、乱流に伴って、スロッ
トルボディ15及びインテークマニホルド12の内部に
発生する圧力変動が緩和される。その結果、圧力変動に
起因した騒音を低減させることができる。
【0023】図3は、スロットルボディ15の近傍位置
における騒音の音圧レベル(以下、「騒音レベル」とい
う)を、段差32の長さSを(0≦S≦16R/10
0)の条件を満たす範囲で変化させて測定した実験結果
を示す。本実施形態では段差32をスロットルボディ1
5の内周壁全周にわたって形成しているのに対して、こ
の実験では、スロットルボディ15内において軸18よ
りもオリフィス側の部分(図2において、スロットルボ
ディ15の上半分)にのみ拡径部21を形成した場合
(以下、「水準1」という)と、ノズル側の部分(図2
において、スロットルボディ15の下半分)にのみ拡径
部21を形成した場合(以下、「水準2」という)との
2つの水準により騒音レベルを測定した。図3において
実線は水準1における結果を示し、破線は水準2におけ
る結果を示している。また、同図において、一点鎖線
は、段差32の長さSが「0」の場合、即ち、スロット
ルボディ15に拡径部21を形成しない場合の騒音レベ
ルを示している。尚、水準1及び水準2ではともに、前
記距離Lをスロットル弁19の半径Rの1/2と等しく
設定している。
【0024】水準1の結果によれば、スロットルボディ
15内のオリフィス側の部分に拡径部21を形成するこ
とにより騒音レベルが減少することがわかる。これに対
して、水準2の結果より、スロットルボディ15内のノ
ズル側の部分にのみ拡径部21を形成しても、騒音レベ
ルは殆ど減少しないことがわかる。更に、水準1の場合
には、段差32の長さSを「0」から「9R/100」
にまで増加させた場合、騒音レベルの低減量が増加し、
同レベルは約3dB減少することがわかる。また、段差
32の長さSを「9R/100」から更に増加させた場
合、騒音レベルは減少するが、その減少率は小さいこと
がわかる。
【0025】以上の結果から、騒音を低減させるために
は、スロットルボディ15の流路断面積のうち、少なく
ともオリフィス側の部分を拡大するように拡径部21を
設けることが有効である。加えて、段差32の長さSと
騒音レベルとにも相関関係があり、段差32の長さSを
「9R/100」以上に設定した場合、騒音レベルはよ
り大きく減少することがわかる。本実施形態では拡径部
21をスロットルボディ15の全周にわたって形成する
とともに、段差32の長さSを「9R/100」と等し
く設定しているため、騒音を効果的に低減させることが
できる。
【0026】図4は、前述した距離L1を(0≦L1≦
2.0R)を満たす範囲で変化させて、騒音レベルを測
定した実験結果を示す。同図において、一点鎖線は拡径
部21を設けない場合の騒音レベルを示している。ま
た、段差32の長さSは「9R/100」と等しく設定
されている。
【0027】同図に示すように、距離L1が「0」から
「1.0R」の範囲にある場合、約3dBの騒音低減効
果があることがわかる。そして、距離L1が「1.0
R」より更に増加した場合、騒音レベルは徐々に増加す
る。距離L1が「2.0R」と等しくなった場合、騒音
レベルの低減量は略「0」となある。これは、乱流発生
領域がスロットル弁19の近傍にあるため、距離L1が
増加して拡径部21がこの乱流発生領域よりも下流側に
位置するようになった場合には、乱流を分散させること
ができなくなるためであると考えられる。
【0028】以上の結果から、軸18の軸心から段差3
2までの距離L1と騒音レベルとには相関関係があり、
距離L1を弁体17の半径Rの2倍以下、好ましくは半
径R以下に設定することにより、騒音レベルがより大き
く減少することがわかる。本実施形態では、前述したよ
うに、距離L1を半径Rの1/2に設定しているため、
騒音を効果的に低減させることができる。
【0029】また、本実施形態では、インテークマニホ
ルド12が樹脂材料によって形成されているため、比較
的小さな起振力が作用する場合でもより大きな騒音を発
生する傾向がある。この点、本実施形態に係る構成は、
前述したように乱流に伴う圧力変動を小さく抑えること
ができることから、このような樹脂製インテークマニホ
ルド12から発生する騒音を低減させる上でも好適であ
る。加えて、本実施形態に係る構成によれば吸気抵抗の
増加を招くことがないため、吸気抵抗の増加に起因して
エンジン11の出力を低下させることもない。
【0030】以下、第2〜第6の実施形態について順に
説明する。尚、上記第1の実施形態と同様の構成につい
ては、同一の符号を付すことにより説明を省略する。 [第2の実施形態]次に、第2の実施形態について、上
記第1の実施形態との相違点を中心に図5〜図7を参照
して説明する。
【0031】図5に示すように、本実施形態のスロット
ルボディ15内に拡径部21は形成されていない。弁体
17の下流側の側面において軸18よりもオリフィス側
に位置する部分には、調整部材22が取り付けられてい
る。この調整部材22は、スロットル弁19のオリフィ
ス側開口を通過する吸入空気の量を制限する機能を有す
る。図6に示すように、この調整部材22は、軸18を
中心として円弧状に延びる曲面23を有しており、軸1
8に垂直な断面が扇形状を呈している。
【0032】調整部材22は曲面23を有しているた
め、スロットル弁19を全閉状態から開弁させる場合、
同弁19の開度が所定値以上にまで増加するまでは、同
弁19のオリフィス側開口の流路断面積が変化せず、オ
リフィス側から下流側に流れる吸入空気の量が略一定量
に調節される。また、本実施形態において、調整部材2
2の弁体17からの高さH1(弁体17の表面と直交す
る方向における調整部材22の長さ)は後述する実験結
果に基づき、弁体17の半径Rの1/3と等しく設定さ
れている。
【0033】前述したように、騒音は、スロットル弁1
9のオリフィス側開口から同弁19の下流側に流れる吸
入空気が乱流になることに起因して発生する。本実施形
態によれば、騒音の発生が問題となるスロットル弁19
の開弁時において、同弁19のオリフィス側開口から下
流側に流れる吸入空気の量が調整部材22によって制限
される。従って、調整部材22を設けない場合と比較し
て、オリフィス側開口を通過する吸入空気量の量が減少
する。これにより、スロットル弁19の下流側に発生す
る乱流の渦強度を減少させることができ、乱流の発生に
伴う騒音を低減させることができる。
【0034】図7は、調整部材22の高さH1を(0≦
H1≦R)を満たす範囲で変化させて、騒音レベルを測
定した実験結果を示す。同図において、実線は本実施形
態と同様に、調整部材22を弁体17の下流側の側面に
おいて軸18よりもオリフィス側の位置(以下、「第1
の位置」という)に設けた場合の結果を示し、破線は図
5の二点鎖線で示すように、調整部材22を弁体17の
上流側の側面において軸18よりもノズル側の位置(以
下、「第2の位置」という)に設けた場合の結果を比較
例として示している。
【0035】同図に示すように、第2の位置に調整部材
22を設けた比較例では、騒音レベルの減少は観察され
ず、逆に高さH1の増加に伴い騒音レベルが増加してい
ることがわかる。これは、調整部材22によってスロッ
トル弁19のノズル側開口を通過する吸入空気の量が制
限される分だけ、オリフィス側開口を通過する吸入空気
の量が増加したため騒音レベルが増加したと考えられ
る。即ち、スロットル弁19のオリフィス側開口を通過
する吸入空気の量が増加することにより、同弁19の下
流側において発生する乱流の渦強度が増加する。その結
果、スロットルボディ15内における圧力変動が増大す
るため、騒音が増加したと考えられる。
【0036】一方、本実施形態と同様に、調整部材22
を第1の位置に設けた場合には、調整部材22の高さH
1がいずれの場合であっても、騒音の騒音レベルは減少
していることがわかる。特に、高さH1が弁体17の半
径Rの1/3と等しくなった場合には、騒音レベルの低
減量は約2.5dBとなって最大となる。
【0037】ここで、高さH1と騒音レベルの低減量と
の間には、次のような関係(a),(b)がある。 (a)調整部材22の高さH1を「R/3」にまで増加
させた場合、騒音レベルの低減量はその高さH1の増加
に伴って2.5dBにまで増加する。
【0038】これは前述したように、調整部材22の高
さH1が増加することにより、オリフィス側開口を通過
する吸入空気の量が減少するためである。 (b)調整部材22の高さH1を「R/3」から更に
「R」に等しくなるまで増加させても、騒音レベルの低
減量は増加せず、逆に同量は1.0dB程度となる。
【0039】一方、図5に一点鎖線で示すように、調整
部材22の高さH1を本実施形態に係る構成よりも更に
増加させた場合、スロットル弁19の開度をある程度増
加させても、同弁19のオリフィス側から下流側に流れ
る吸入空気の量は調整部材22により制限されるように
なるため殆ど増加しない。従って、スロットル弁19の
上流側から下流側に流れる吸入空気の大部分が、スロッ
トル弁19のノズル側開口を通過することになる。この
ため、スロットル弁19の下流側であってオリフィス側
の部分における乱流の発生は抑制されるものの、ノズル
側の部分には吸入空気量の増加に伴って強い乱流が発生
することになる。その結果、この乱流に伴う圧力変動に
よって騒音レベルが増加すると考えられる。
【0040】以上の結果から、調整部材22の高さH1
を弁体17の半径Rの1/3〜1/2の範囲に設定する
ことが、騒音を低減させる点で最適であることがわか
る。本実施形態によれば、前述したように調整部材22
の高さH1を弁体17の半径Rの1/3と等しく設定す
ることにより、スロットル弁19の下流側における乱流
の発生を抑制することができる。その結果、乱流の発生
に伴う騒音を効果的に低減させることができる。
【0041】[第3の実施形態]次に、第3の実施形態
について、上記第1の実施形態との相違点を中心に図8
〜図11を参照して説明する。
【0042】本実施形態では、第1の実施形態と同様
に、スロットルボディ15内に拡径部21が形成されて
いる。また、図8に示すように、弁体17の下流側の側
面において軸18よりもオリフィス側に位置する部分に
は、側面が扇形形状をなす8枚の整流板25が設けられ
ている。整流板25の高さH2(弁体17の表面に直交
する方向における整流板25の長さ)は、弁体17の半
径Rの1/3と等しくなるように設定されている。各整
流板25は軸18の軸線方向に均等間隔を隔てて平行に
配置され、各々同軸18の軸線に対して直交するように
弁体17に取り付けられている。
【0043】各整流板25は軸18の軸線方向における
取付位置に応じた異なる長さを有して、弁体17のオリ
フィス側周縁部から軸18にまで延びている。弁体17
の略中央部分に取り付けられた2つの整流板25の長さ
L2(軸18と直交する方向における整流板25の長
さ)は、弁体17の半径Rの90%に相当する長さに設
定されている。
【0044】各整流板25の間には、軸18に垂直な方
向に延びる7つの溝26が形成されている。従って、各
溝26の延びる方向はスロットル弁19の開度によって
変化し、同弁19が全閉状態にある場合は吸入空気の流
通方向と直交し、同弁19が全開状態にある場合は前記
流通方向に一致する。また、図8に示すように、各溝2
6は、いずれも弁体17の中心から距離(2R/3)の
範囲内にそれぞれ配置されている。本実施形態におい
て、各整流板25の厚さT1及び溝の幅B1(軸18の
軸線方向における整流板25及び溝26の長さ)はそれ
ぞれ「2mm」、「4mm」に設定されている。
【0045】以上の構成を備えた本実施形態によれば、
スロットル弁19が全閉状態から急激に開弁する際に同
弁19のオリフィス側開口を通過して下流側に流れる吸
入空気の流通方向は各整流板25によって規制される。
即ち、吸入空気が軸18の軸線方向に流れないように規
制される。このため、吸入空気は各溝26内を通過して
スロットル弁19のオリフィス側からノズル側に流れ
る。
【0046】このように、本実施形態によれば、オリフ
ィス側開口を通じてスロットル弁19の下流側に流れた
吸入空気の流通方向を規制することによって、同弁19
の下流側領域において乱流が発生することを抑制するこ
とができる。その結果、乱流の発生に伴う騒音を低減さ
せることができる。
【0047】図9は、溝26の数を変化させた場合にお
ける騒音レベルの低減量の変化を示す実験結果である。
この実験では、溝26の幅B1、及び整流板25の厚さ
T1をそれぞれ一定値(B1=「2mm」,T1=「4
mm」)としている。そして、整流板25を弁体17の
略中央部分に2つだけ取り付けた状態から、それらの両
側にそれぞれ取り付ける整流板25の数を順に増加させ
ることにより、溝26の数を「0、1、3、・・・9」
と変化させている。また、溝26の数が「0」の場合、
即ち、整流板25を設けない場合において、騒音レベル
が約3dB減少しているのは、スロットルボディ15に
設けられた拡径部21による騒音低減作用によるもので
ある。
【0048】この実験結果より、溝26の数を増加させ
た場合、騒音レベルの低減量は徐々に増加することがわ
かる。これは、溝26の数を増加させることにより、ス
ロットル弁19の下流側における吸入空気の流通方向が
確実に規制されるようになるためである。また、溝26
の数を7つから更に増加させても、騒音レベルは殆ど減
少しないことがわかる。即ち、弁体17の中央寄りの位
置に溝26を設けた場合には騒音を低減させることがで
きるが、弁体17の周縁側(図8において弁体17の左
右側)に設けた場合には騒音レベルの低減量は小さいこ
とがわかる。これは、スロットル弁19のオリフィス側
開口において、弁体17の中央寄りの部分を通過する吸
入空気の量が多いのに対し、周縁側の部分を通過する吸
入空気の量が少ないためである。
【0049】この点、本実施形態では、複数の溝26を
弁体17の中心から距離(2R/3)の範囲内にある部
分全体にわたって設けるるようにしたため、スロットル
弁19の下流側における吸入空気の流通方向を確実に規
制することができ、乱流の発生に伴う騒音を効果的に低
減させることができる。
【0050】図10は、各整流板25における最大の長
さL2(弁体17の略中央部分に取り付けられた2つの
整流板25の長さ)を図11に示すように「0.25
R」の状態から同図の二点鎖線で示すように「2R」に
まで変更するとともに、その他の整流板25の長さもそ
の取付位置に応じて変更した場合における、長さL2と
騒音レベルの低減量との関係を示す実験結果である。こ
の実験において、各整流板25の数、厚さT1、及び各
溝26の幅B1は本実施形態と同様の値に設定されてい
る。また、整流板25の長さL2が「0」の場合、即
ち、整流板25を設けない場合において、騒音レベルが
約3dB減少しているのは、スロットルボディ15内に
設けられた拡径部21による騒音低減作用によるもので
ある。
【0051】この実験結果から、整流板25の長さL2
を(L2=0.75R)にまで増加させた場合、その増
加に伴って騒音レベルの低減量は約7dBにまで徐々に
増加することがわかる。これは、整流板25の長さL2
が増加するにつれて、吸入空気の流通方向が確実に規制
されて乱流の発生が抑制されるようになるためである。
【0052】また、騒音レベルの低減量は、整流板25
の長さL2が(L2=0.75R)となった状態から更
に増加させても殆ど増加しないことがわかる。これは、
溝26による吸入空気の流通方向を規制する機能が、主
としてスロットル弁19の下流側においてオリフィス側
の領域にある吸入空気に対して作用するためである。
【0053】本実施形態によれば、整流板25の長さL
2を(L2=0.9R)と設定することにより、前述し
たように吸入空気の流通方向を確実に規制してスロット
ル弁19の下流側における乱流の発生を確実に抑制する
ことができる。その結果、乱流の発生に伴う騒音を効果
的に低減させることができる。
【0054】更に、本実施形態の各整流板25は軸18
の軸線方向に対して直交する方向に形成されているた
め、各整流板25による流路断面積の減少量が極めて小
さい。従って、整流板25を複数設けることによる吸入
空気抵抗の増加を小さく抑えることができる。このた
め、吸入空気抵抗の増加に伴うエンジン出力の低下を抑
制することができる。また、スロットル弁が全開状態に
なった場合、整流板25の延びる方向が吸入空気の流通
方向と一致するようになるため、その流れを乱し難い。
【0055】加えて、本実施形態によれば、各整流板2
5がそれぞれ平行に配置されており、溝26を流通する
吸入空気の流線が一致する。このため、溝26を通過し
た吸入空気が合流する際における乱流の発生を抑制する
ことができる。
【0056】図12は、溝26の形状を変化させた場合
における騒音レベルの低減量の変化を示す実験結果であ
る。図13に示すように、この実験においては、第2の
実施形態の調整部材22と同様に、弁体17の側面に扇
状部材27が取り付けられるとともに、その部材27に
複数(7つ)の溝28が形成されている。この各溝28
の幅は本実施形態における溝26の幅B1と等しく設定
されてる。調整部材27において各溝26の両側の部分
は、本実施形態の整流板25に相当する仕切板29とな
っている。この仕切板29の数及び厚さは、本実施形態
における整流板25の数及び厚さT1と等しく設定され
ている。
【0057】図14に示すように、各溝28は、その底
面がスロットル弁19が全閉状態にある場合に、スロッ
トルボディ15の内周壁に対して角度θをもって傾斜す
るように形成されている。この実験では、この傾斜角度
θを60°、75°、及び本実施形態と同様に90°に
それぞれ変化させ、その変化に伴う騒音レベルの低減量
の変化を測定している。
【0058】この実験結果より、溝28の傾斜角度θが
大きいほど騒音レベルの低減量は大きくなることがわか
る。これは、傾斜角度θが大きくなることにより、溝2
8によって流通方向が規制される吸入空気の量が増大し
て、乱流の発生が確実に抑制されるようになるためであ
る。
【0059】この点、本実施形態では、溝26の傾斜角
度θが上記実験における90°に相当するため、前述し
たように確実に乱流の発生を抑制することができ、騒音
を効果的に低減させることができる。
【0060】[第4の実施形態]次に、第4の実施形態
について、図15を参照して、上記第3の実施形態との
相違点を中心にして説明する。
【0061】第3の実施形態における整流板25は全体
が扇形状をなしていたが、本実施形態における整流板2
5はこの形状とは異なり、図15に示すように、全体が
略四角形状をなしている。弁体17の側面からの整流板
25の高さH3は、第3の実施形態と同様に弁体17の
半径Rの1/3と等しく設定されている(H3=R/
3)。本実施形態において、整流板25の数は第3の実
施形態と同様に8枚であるが、同板の厚さT2は「1m
m」に、溝26の幅B2は「3mm」にそれぞれ設定さ
れている。また、スロットルボディ15内には第1の実
施形態と同様に拡径部21が形成されている。
【0062】本実施形態によれば、整流板25の形状を
略四角形状に変更したことにより、後述する表1の水準
1及び水準2に示すように、第3の実施形態(水準1)
と比較して騒音を更に0.8dB低減させることができ
る。即ち、本実施形態によれば、整流板25の形状を扇
形状から略四角形状に変更することにより、同板25の
側面積が増加する。これにより、各溝26によって流通
方向が規制される吸入空気の量が増加する結果、騒音を
より大きく低減させることができる。
【0063】以下に示す表1は、整流板25の数及び厚
さT2と溝26の幅B2とをそれぞれ変更した各水準に
おける騒音レベルの低減量を示す実験結果である。
【0064】
【表1】 表1において、開口率Kは以下の式(1)により定義さ
れる。
【0065】 K=(Sa −Sb )/Sa ×100 (1) Sa :軸18の位置におけるスロットルボディ15内の
通路断面積 Sb :スロットル弁19が全開状態となった場合におい
て、各整流板25により吸入空気の流れが妨げられる総
面積 表1に示すように、水準2〜5の場合、即ち、整流板2
5が7つ形成され、且つ、同板25の厚さT2及び溝2
6の幅B2がそれぞれ(1mm≦T≦4mm)、(2m
m≦B≦4mm)の条件を満たし、その比(B2/T
2)が0.5〜3の範囲にある場合、騒音レベルの低減
量は略同様の値となり、7.2〜7.5dBの騒音低減
効果があることがわかる。これに対して、上記以外の水
準6にあっては、騒音レベルの低減量は6.1dBとな
って小さくなることがわかる。このように、騒音低減効
果は整流板25の厚さT2及び溝26の幅B2により異
なるものとなる。即ち、本実施形態による騒音低減効果
は、単に、整流板25により吸入空気の流路を狭め、そ
の流速を増加させることにより吸入空気の渦化が抑制さ
れることによって生じているのではなく、整流板25に
よって吸入空気の流通方向が制御され吸入空気の渦化が
抑制されるため生じるものであることがわかる。
【0066】また、本実施形態では、整流板25の形状
変更に加え、その厚さT2、及び溝26の幅B2を第3
の実施形態と異なり、それぞれ「1mm」、「3mm」
に設定している。これにより、第3の実施形態において
88%であった開口率Kを97%にまで増加させること
ができる。その結果、本実施形態によれば、吸入空気抵
抗を減少させることができ、吸入空気抵抗の増加に伴う
エンジン出力の低下を抑制することができる。
【0067】[第5の実施形態]次に、第5の実施形態
について、図16〜図18を参照して、上記第4の実施
形態との相違点を中心にして説明する。
【0068】図16及び図17に示すように、本実施形
態における弁体17には第3の実施形態と同様の整流板
(以下、「オリフィス側整流板」という)25が設けら
れるとともに、スロットル弁19の上流側の側面におい
て軸18よりもノズル側に位置する部分にも8枚の整流
板(以下、「ノズル側整流板」という)30が設けられ
ている。図17に示すように、各ノズル側整流板30の
間には、オリフィス側整流板25と同様に溝31が形成
されている。これら各整流板25,30は、軸18の軸
心に対して対照的な位置にそれぞれ設けられている。ま
た、スロットルボディ15には第1の実施形態と同様に
拡径部21が形成されている。
【0069】本実施形態において、オリフィス側整流板
25の厚さT3は「1mm」に、各溝26の幅B3は
「4mm」にそれぞれ設定されている。これに対して、
ノズル側整流板30の厚さT4及び各溝31の幅B4は
いずれも「3mm」に設定されている。
【0070】弁体17と、各整流板25,30とはアル
ミ合金を押出成形することにより一体形成されている。
また、本実施形態における軸18は、2つの棒状をなす
板材18a,18bにより構成されている。これら各板
材18a,18bは、図17に示すように、弁体17を
挟むようにしてビス35により固定されている。
【0071】本実施形態によれば、オリフィス側整流板
25に加えてノズル側整流板30を設けるようにしてい
る。このようにノズル側整流板30を設けることによ
り、スロットル弁19のノズル側開口を通じて下流側に
流れる吸入空気の流れを整流し、吸入空気の流速を増加
させることができる。これにより、オリフィス側開口を
通じてスロットル弁19の下流側に流れた吸入空気が、
流速の増加した吸入空気の流れに引き込まれ合流して流
れるようになるため、乱流が形成され難くなる。従っ
て、本実施形態によれば、前述したオリフィス側整流板
25による乱流抑制作用に加えて、オリフィス側開口を
通過した吸入空気が乱流になることを確実に抑えること
ができる。その結果、乱流の発生に伴う騒音を効果的に
低減させることができる。
【0072】以下に示す表2は、各整流板25,30の
有無及びその厚さT3,T4と溝26,31の幅B3,
B4とをそれぞれ変更した各水準1〜5における騒音レ
ベルの低減量を示す実験結果である。尚、水準1におい
ては、騒音レベルは減少せず、2.8dB増加した。
【0073】
【表2】 同表に示すように、オリフィス側整流板25及びノズル
側整流板30の双方を取り付けた場合(水準3及び水準
5)には、オリフィス側整流板25のみを弁体17に取
り付けた場合(水準2及び水準4)と比較して騒音レベ
ルがより大きく減少することがわかる。特に、水準5で
は、水準3と比較して騒音レベルが更に大きく減少する
ことがわかる。本実施形態によれば、この実験結果に基
づいて各整流板25,30の厚さT3,T4、及び溝2
6,31の幅B3,B4を水準5と一致するように設定
しているため、騒音を大きく低減させることができる。
【0074】本実施形態と同様に、スロットル弁19の
下流側における乱流を抑制して騒音を低減する技術とし
て、同弁19の下流側に騒音低減用のネットを設けるこ
と技術が知られている。これは、例えば、スロットルボ
ディ15とインテークマニホルド12との接合部分の間
にネットを挟み込み、このネットによりスロットルボデ
ィ15からインテークマニホルド12側に流れる吸入空
気を整流して乱流の発生を抑制するものである。
【0075】図18はこのネットを採用した構成(以
下、比較例という)における騒音レベルの低減量と開口
率Kとの関係を示している。ここで、比較例における開
口率Kは以下の式(2)により定義される。
【0076】 K=(Sa −Sc )/Sa ×100 (2) Sa :軸18の位置におけるスロットルボディ15内の
通路断面積 Sc :ネットによって吸入空気の流れが妨げられる総面
積 また、図18では前述した実験結果の各水準3〜5にお
ける騒音レベルの低減量と開口率Kとの関係をプロット
点により、また、開口率Kの変化に伴う圧力損失の変化
を一点鎖線により示している。同図に示すように、比較
例においては、開口率Kが小さいほど騒音レベルが減少
することがわかる。従って、比較例において所定の騒音
低減効果を得るためには、開口率Kの小さいネットを採
用する必要がある。
【0077】しかしながら、このように開口率Kの小さ
いネットを採用した場合、一点鎖線で示すように開口率
Kの減少に伴ってネットによる圧力損失が増加してしま
うため、吸入空気抵抗の増加に伴うエンジン11の低下
が懸念されるため好ましくない。このため、開口率Kは
上記のようなエンジン出力の低下が問題とならない大き
さ、例えば、85%以上に設定しなければならない。従
って、比較例にあっては、約4dB以上の騒音低減効果
を奏することは困難である。
【0078】これに対して、上記実験における各水準3
〜5においては、いずれの水準でも85%以上の開口率
Kを確保でき、問題となるような吸入空気抵抗の増加を
招くことなく比較例よりも大きな騒音低減効果を奏する
ことができる。特に、本実施形態と同等の構成に相当す
る水準5にあっては、極めて大きな騒音低減効果(1
0.2dB)を奏することができる。
【0079】更に、本実施形態においては、弁体17
と、オリフィス側及びノズル側整流板25,30とをア
ルミ合金を押出成形することにより一体形成するように
している。従って、ネットを用いたり、或いはスロット
ルボディ15近傍を防音カバーにより覆うといった騒音
低減対策を採用した構成と比較して、ネット或いはカバ
ーが必要となることがないため、製造コストを低く抑え
ることができる。
【0080】また、比較例のようにネットを用いた場
合、冷間始動時においてネットに氷が付着する現象(ア
イシング)が発生しやすい。このため、ネットの隙間が
氷により閉塞され、吸入空気抵抗が大きく増加してしま
うことが懸念される。しかしながら、本実施形態によれ
ば、このようなアイシングによる吸入空気抵抗の増加を
招くこともない。
【0081】[第6の実施形態]次に、この発明を具体
化した第6の実施形態について、図19〜図21を参照
して、上記第3の実施形態との相違点を中心にして説明
する。上記各実施形態では、スロットル弁19の弁体1
7に調整部材22或いは整流板25,30を設けること
により騒音の低減を図るようにしている。これに対し
て、本実施形態では、第3の実施形態における構成に加
えて、更に別の騒音低減対策を併せて実施するようにし
ている。
【0082】図19及び図20に示すように、インテー
クマニホルド12においてスロットルボディ15との接
続部分近傍の内周壁には、複数(30個)の板状をなす
整流部材がインテークマニホルド12内における吸入空
気の流通方向に沿って設けられている。図20に示すよ
うに、各整流部材33はそれぞれが所定間隔を隔てて配
置されるとともに、インテークマニホルド12の中心に
向けて放射状に設けられている。整流部材33の高さH
4、幅B5、長さL3(吸入空気の流通方向における長
さ)は、後述する実験結果に基づいて、それぞれ「3m
m」、「3mm」、「15mm」にそれぞれ設定されて
いる。
【0083】各整流部材33は、インテークマニホルド
12と一体形成されている。また、各整流部材33の間
にはスロットル弁19を介して下流側に流れた吸入空気
が通過可能な溝34がそれぞれ形成されている。この溝
34の幅B5は後述する実験結果に基づいて「2.7m
m」に設定されている。尚、本実施形態において、スロ
ットルボディ15内に拡径部21は設けられていない。
【0084】図21は、整流部材33の数を0〜30個
にまで変化させた場合における騒音レベルの低減量の変
化を示す実験結果である。また、同図において、括弧内
に示す数字は、各溝34の幅B5(mm)を表してい
る。尚、この実験では整流板25は弁体17に設けられ
ていない。
【0085】この実験結果より、整流部材33を設ける
インテークマニホルド12に「12個」以上設け、且
つ、溝34の幅B5を「12mm」以下に設定すること
により騒音が低減することがわかる。これは、インテー
クマニホルド12に吸入空気が流入する際に各整流部材
33により吸入空気が整流されることによって、インテ
ークマニホルド12内における乱流の発生が抑えられる
ためである。また、この実験結果より、整流部材33の
数を「30個」、各溝34の幅を「2.7mm」に設定
することにより騒音低減量が最大(約4dB)となるた
め、このような構成が騒音低減の観点においては好適で
あることがわかる。
【0086】本実施形態では、整流部材33に加えて弁
体17に整流板25が設けられていることから、上記実
験結果よりも更に大きな騒音低減効果が確認されてい
る。これは、整流板25と、インテークマニホルド12
に設けられた整流部材33との相乗作用によるものであ
ると容易に推定される。特に、本実施形態に係る構成で
は、整流部材33の数及び各溝34の幅B5を上記実験
結果に基づく最適値に設定したため、騒音をより大きく
低減させることができる。
【0087】本実施形態における整流部材33は、イン
テークマニホルド12とともに一体成形することができ
る。このため、本実施形態によれば、前述したネットを
用いた騒音低減対策と異なり製造コストの大幅な増加を
招くことなく騒音を更に低減することができる。
【0088】以上、各実施形態について説明したが、こ
の実施形態は以下に示す別の実施形態のようにその構成
を変更することもできる。この別の実施形態においても
上記各実施形態と略同様の作用効果を奏することができ
る。
【0089】(1)上記第1の実施形態では、拡径部2
1をスロットルボディ15の内周壁全周にわたって形成
するようにした。これに対して、スロットルボディ15
内において軸18よりもオリフィス側の部分にのみ拡径
部21を形成するようにしてもよい。
【0090】(2)上記第1の実施形態では、スロット
ルボディ15において段差32が形成された位置より下
流側の部分を全て拡径するようにしたが、図22に示す
ように、乱流の発生が予想される領域を囲むようにして
拡径部21を部分的に形成するようにしてもよい。
【0091】(3)上記第1の実施形態では、段差32
が形成される位置と軸18との間の距離L1を弁体17
の半径Rの1/2と等しくなるように設定した。これに
対して、この距離L1を半径Rの2倍以下の範囲内で適
宜変更するようにしてもよい。
【0092】(4)上記第1の実施形態では、段差32
の長さSを半径Rの9/100と等しくなるようにし
た。段差32の長さSを半径Rの9/100以上に設定
することにより、騒音をより効果的に低減できるが、例
えば、この長さSは(0<S<9R/100)の条件を
満たす範囲内で適宜変更してもよく、このような構成で
あっても騒音を低減させることができる。
【0093】(5)上記第2の実施形態では、調整部材
22を、軸18を中心として円弧状に延びる曲面23を
有し、軸18に垂直な断面が扇形状を呈するものとし
た。これに対して、調整部材22は上記のような形状以
外にも、スロットル弁19のオリフィス側開口から同弁
19の下流側に流れる吸入空気の量を制限できる形状で
あればよく、例えば、三角形状等とすることもできる。
また、調整部材22は、弁体17の下流側の側面であっ
て軸18よりもオリフィス側の部分全体に配置されるも
のでなくても、例えば、周縁部分にのみ配置されるもの
であってもよい。
【0094】(6)上記第3の実施形態では、扇形状を
なす8つの整流板25を軸18の延びる方向に均等間隔
を隔てて弁体17に取り付けるようにした。これに対し
て、整流板25は上記構成に限定されることなく、その
形状及び数を適宜変更することができる。また、各整流
板25は必ずしも均等間隔を隔てて弁体17に取り付け
られる必要はなく、例えば、弁体17の中央部分におけ
る各整流板25の間隔、即ち、溝26の幅を狭めるよう
にし、逆に弁体17の周縁部分における溝26の幅を拡
げるようにしてもよい。また、前述した溝26の傾斜角
度θも(0<θ≦90)の条件を満たす範囲内で適宜変
更することができる。
【0095】(7)上記第3の実施形態では、整流板2
5の高さH2を弁体17の半径Rの1/3と等しくなる
ように設定した。これに対して、整流板25の高さH2
を(R/4≦H2≦R)の条件を満たす範囲内で適宜変
更するようにしてもよい。
【0096】(8)上記第5の実施形態では、オリフィ
ス側及びノズル側整流板25,30をアルミ合金を押出
成形することにより弁体17と一体形成するようにし
た。これに対して、図23および図24に示すような構
成を採用することもできる。即ち、オリフィス側及びノ
ズル側整流板25,30がそれぞれ設けられていた弁体
17の各側面に、同弁体17とは別部材からなる整流部
材40,41をそれぞれ抵抗溶接により固定する。各整
流部材40,41は板状の部材をプレス加工することに
より、整流板25に相当する複数の折曲部42,43と
各折曲部42,43の間に形成される溝44,45とを
有する形状に成形されている。このような構成によって
も、第5の実施形態と同様に製造コストの大幅な増加を
招くことなく、騒音の低減を図ることができる。
【0097】(8)上記第3〜5の実施形態において
は、いずれもスロットルボディ15内に拡径部21を設
けるようにした。これに対して、この拡径部21を省略
する構成とすることもできる。
【0098】(9)上記各実施形態ではいずれも、スロ
ットル弁19をワイヤ等によりアクセルペダルに駆動連
結し、同ペダルの踏込量に応じて同弁19の開度を変更
する構成とした。これに対して、スロットル弁19をコ
ンピュータによって制御された電動モータ等のアクチュ
エータによって駆動するようにしてもよい。
【0099】(10)上記第2の実施形態の構成におい
て、スロットルボディ15内に第1の実施形態の拡径部
21を更に設けるようにしてもよい。 (11)上記第6の実施形態において、スロットル弁1
9に設けられた整流板25を省略し、整流部材33のみ
により騒音を低減させることも可能である。
【0100】(12)上記各実施形態では、インテーク
マニホルド12を樹脂材料により形成するようにした。
前述したように、本発明は、吸気通路の一部として樹脂
製インテークマニホルドを採用した場合の騒音低減対策
として極めて有効であるが、同マニホルド12がアルミ
ニウム等の金属材料により形成されている場合でも、同
様の作用効果を奏することができる。
【0101】
【発明の効果】請求項1又は2に記載の発明によれば、
インテークマニホルドに吸入空気が流入する際に各整流
部材により吸入空気が整流されることによって、インテ
ークマニホルド内における乱流の発生が抑えられるた
め、騒音の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スロットルボディ及びエンジン等を示す概略構
成図。
【図2】第1の実施形態におけるスロットルボディ及び
スロットル弁を示す断面図。
【図3】段差と騒音レベルとの関係を示すグラフ。
【図4】段差が形成される位置と騒音レベルとの関係を
示すグラフ。
【図5】第2の実施形態におけるスロットルボディ及び
スロットル弁を示す断面図。
【図6】スロットル弁を示す斜視図。
【図7】溝の幅と騒音レベルとの関係を示すグラフ。
【図8】第3の実施形態におけるスロットル弁を示す正
面図。
【図9】溝の数と騒音レベル低減量との関係を示すグラ
フ。
【図10】整流板の長さと騒音レベル低減量との関係を
示すグラフ。
【図11】スロットル弁を示す正面図。
【図12】傾斜角度と騒音レベル低減量とを関係を示す
グラフ。
【図13】スロットル弁を示す正面図。
【図14】スロットル弁を示す断面図。
【図15】第4の実施形態におけるスロットルボディ及
びスロットル弁を示す断面図。
【図16】第5の実施形態におけるスロットルボディ及
びスロットル弁を示す断面図。
【図17】スロットル弁を示す正面図。
【図18】ネットの開口率と騒音レベル低減量との関係
を示すグラフ。
【図19】第6の実施形態におけるスロットルボディ及
びスロットル弁を示す断面図。
【図20】図19の20−20断面図。
【図21】整流部材の数と騒音レベル低減量との関係を
示すグラフ。
【図22】別の実施形態におけるスロットルボディ及び
スロットル弁を示す断面図。
【図23】別の実施形態におけるスロットル弁を示す正
面図。
【図24】図23の24−24断面図。
【図25】従来の技術における「バタフライ弁」を示す
断面図。
【図26】従来の技術における弁体を示す正面図。
【図27】スロットル弁の開度と音圧との関係を示すグ
ラフ。
【図28】スロットル弁の下流側に発生する乱流を示す
説明図。
【符号の説明】
11…エンジン、12…インテークマニホルド、15…
スロットルボディ、18…軸、19…スロットル弁、2
2…調節部材、23…曲面、25…整流板、32…拡径
部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋岡 仁 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車 株式会社内 (72)発明者 茂呂田 健二郎 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車 株式会社内 (72)発明者 宮地 義博 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車 株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スロットル弁を内蔵するスロットルボディ
    の下流側に接続されるインテークマニホルドにおいて、
    前記スロットルボディとの接続部分近傍の内周壁には、
    吸入空気をその流通方向に沿って整流する板状の整流部
    材が複数設けられてなるエンジンのインテークマニホル
    ド。
  2. 【請求項2】前記インテークマニホルドは樹脂材料から
    なる請求項1記載のエンジンのインテークマニホルド。
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