JP2000203982A - 単結晶育成方法及び装置 - Google Patents

単結晶育成方法及び装置

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JP2000203982A
JP2000203982A JP11003120A JP312099A JP2000203982A JP 2000203982 A JP2000203982 A JP 2000203982A JP 11003120 A JP11003120 A JP 11003120A JP 312099 A JP312099 A JP 312099A JP 2000203982 A JP2000203982 A JP 2000203982A
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voltage
coil
circuit
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Katsura Yamamoto
桂 山本
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Komatsu Electronic Metals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ワークコイルの入力電力制御の精度を高めて
単結晶育成精度及び育成率を向上させ、かつ各装置毎の
プロファイルの作成時間及び手間を削減する。 【解決手段】 単結晶育成プロセス実行中、コイル電圧
検出回路20は、ワークコイル11の各コイル端子を通
じてコイル電圧(Vwc)を検出し、この検出結果をコン
ピュータ制御部18にフィードバックする。コンピュー
タ制御部18は、本プロセスに先だって作成されたVwc
プロファイルに対応する目標値データが設定されてお
り、コイル電圧検出回路20により検出されたコイル電
圧(Vwc)が上記目標値データと一致するようにサイリ
スタ141の点弧角を自動設定し、ワークコイル11の
入力電力を可変制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波誘導加熱コ
イルへの入力電力を制御することにより単結晶を晶出し
て所定形状に整形する浮遊帯域溶融法〔フロートゾーン
(FZ)法〕による半導体単結晶の育成方法及び装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】FZ法により半導体単結晶を育成する従
来の単結晶育成装置として、図10に示す如くのものが
知られている。この単結晶育成装置において、単結晶を
育成する場合、まず、チャンバ10内で、上軸駆動機構
(図示せず)に棒状の原料多結晶5を支持させその先端
部を高周波誘導加熱コイル(以下、ワークコイルとい
う)11に臨ませて垂下させる一方、直径の小さい単結
晶の種を原料多結晶5の直下に位置する下軸駆動機構
(図示せず)に保持させる。
【0003】この状態で、点弧角設定器17を操作し、
サイリスタ制御回路16を介してサイリスタ回路14内
のサイリスタ141の点弧角を調整することにより電源
部15から電源を供給し、発振器13内の発振管131
を発振駆動する。
【0004】これにより、発振器131からカレントト
ランス回路12を介してワークコイル11に発信電圧が
印加され、このワークコイル11による誘導加熱を受け
て原料多結晶5の溶融が開始される。この溶融された原
料多結晶5を下軸駆動機構に保持させた種結晶に融着さ
せ、無転位化処理を行った後、更にワークコイル11に
対して原料多結晶5及び単結晶の種を相対的に回転さ
せ、かつ相対的に軸線方向(下方)に移動させながら棒
状の単結晶6を育成していく。
【0005】上記単結晶育成プロセスにおいて、原料多
結晶5の溶融状況は単結晶6の育成に大きな影響を与え
ることは言うまでもない。そこで、単結晶6の良好な育
成を実現するためには、ワークコイル11の入力電力
(Wwc)を単結晶6の育成長さ等に応じて適宜に制御す
る必要がある。
【0006】この種の従来装置では、単結晶6の育成に
際し、発振器13の発振管131のプレート電圧(Ep)
を制御することによりワークコイル11への入力電力
(Wwc)を調整していた。
【0007】プレート電圧(Ep)を決めると、相応する
プレート電流(Ip)、グリット電流(Ig)が自ずと決ま
ってくる。電気測定に関しては、これら3種類のパラメ
ータ〔(Ep),(Ip),(Ig)〕を考慮しつつ、単結晶
6の引き上げを行っている。
【0008】しかしながら、この(Ep)によるワークコ
イル12の電力制御方法(Ep制御方法)は、エネルギー
損失の観点からは、必ずしも最良の方法とは言えなかっ
た。
【0009】例えば、発振管131への入力電力(Wp)
は、 (Wp)=(Ep×Ip) …… (1) で表される。
【0010】従来装置では、ワークコイル11の入力電
力(Wwc)を調整する場合に、上記式(1)に従って(E
p)を制御しつつ発振管131への入力電力(Wp)の調
整作業を行うものであったが、実際の装置の動作では、
発振器13内の発振管131及び発振回路での電力ロ
ス、カレントトランス回路12での電力ロス、発振器1
3,カレントトランス回路12間等の途中配線による電
力ロス等が重なり、ワークコイル11に印加される電力
(Wwc)が、例えば、初期値の10%〜40%位に低下
することになった。しかも、これらの損失は、単結晶育
成段階、経時変化、電力量、電気部品劣化等により逐次
変化する。
【0011】このため、(Ep)制御方法を採用した従来
装置では、(Ep)を如何に正確に調整したとしても、ワ
ークコイル11の入力電力(Wwc)を望み通りの値に制
御するには限界があった。
【0012】なお、本願発明者は、従来装置で生成した
(Ep)に関する複数の育成プロファイル毎の単結晶育成
状況の観察結果から、単結晶育成開始後、育成長が比較
的短い時期の一定期間内の(Ep)の値が、その後におけ
る単結晶の育成に大きく影響することを突き止めた。し
かも、上記一定期間内の(Ep)の値は、育成良好な場合
と不良な場合との差が極めて微妙であることも判明し
た。
【0013】つまり、上記一定期間内のワークコイル1
1の微妙な入力電力調整がその後の単結晶の育成精度を
決定付けるとも言える訳であるが、従来の(Ep)制御方
法では、こうした一定期間内におけるワークコイル11
の微妙な入力電力調整に対処できず、結果として、単結
晶6の育成精度及び育成率低下を招来していた。
【0014】また、上述した種々の損失分に伴う(Ep)
の低下の度合いは、各装置毎に異なるのが一般的であ
る。このため、単結晶育成プロファイル作成にあたって
は、与えるべく(Ep)値も各装置によって異なることに
なる。すなわち、個々の装置毎に電力損失効率が異なる
場合、同じ素材、同じ型のワークコイル11を用いたと
しても同じプロファイルでは成長させることができな
い。
【0015】特に、Ep制御方法を採用した従来装置で
は、発振器13から検出した(Ep)の値をフィードバッ
クしてサイリスタ141の点弧角制御を行うため、発振
器13とワークコイル11間の経路中の損失に起因して
装置毎の育成プロファイルが大きく異なった結果となる
傾向にあり、各装置毎に最適プロファイルを得る際にか
なりの時間と手間を要することになった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】このように、上記従来
の単結晶育成装置では、発振器内の発振管のプレート電
圧(Ep)に基づき単結晶の育成を行っていたため、発振
器とワークコイル間の経路中の電力ロスによってワーク
コイルの入力電力(印加電圧)を希望通りに制御するこ
とが困難となり、単結晶の育成精度及び育成率の低下を
免れないという問題点があった。
【0017】また、従来装置では、発振器とワークコイ
ル間の経路中の電力ロスを反映させずに単結晶の育成を
行っていたため、上記電力ロスに起因して各装置毎の単
結晶育成プロファイルに大きな差が生じ、各装置毎の育
成プロファイルを得るための時間と手間がかさむという
問題点があった。
【0018】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
であり、ワークコイルの入力電力を希望通りに制御して
単結晶の育成精度及び育成率を向上させ得るとともに、
各装置毎にプロファイルを作成する時間及び手間を削減
可能な半導体単結晶の育成方法及び装置を提供すること
を目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の発明は、高周波発振器から誘導加熱コイ
ルへの入力電力を制御することにより単結晶を晶出して
所定形状に整形する浮遊帯域溶融法による単結晶育成装
置において、前記誘導加熱コイルのコイル端子間電圧を
検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段により検出
されたコイル端子間電圧に基づき前記誘導加熱コイルの
入力電力を可変制御する入力電力制御手段とを具備する
ことを特徴とする。
【0020】請求項2の発明は、請求項1記載の発明に
おいて、前記高周波発振器内の発振管のプレート電圧、
プレート電流、及びグリット電流の少なくともいずれか
1つを検出する検出手段を具備し、前記入力電力制御手
段は、前記電圧検出手段により検出されたコイル端子間
電圧及び前記検出手段の検出値に基づき前記誘導加熱コ
イルの入力電力を可変制御することを特徴とする。
【0021】請求項3の発明は、請求項1または2記載
の発明において、前記高周波発振器の入力側にサイリス
タから成るスイッチング手段を具備し、前記入力電力制
御手段は、前記電圧検出手段により検出されたコイル端
子間電圧に応じて前記サイリスタの点弧角を設定するこ
とにより前記誘導加熱コイルの入力電力を可変制御する
ことを特徴とする。
【0022】請求項4の発明は、請求項1記載の発明に
おいて、前記電圧検出手段は、前記誘導加熱コイルの2
つのコイル端子から各々入力する2つの入力信号のうち
の一方を反転する反転回路と、前記2つの入力信号のう
ちの反転されない入力信号と前記反転回路の出力信号を
加算する加算回路と、前記加算回路の出力信号を処理し
前記コイル端子間電圧として出力する加算出力処理回路
とを具備することを特徴とする。
【0023】請求項5の発明は、請求項4記載の発明に
おいて、前記2つの入力信号及び前記加算回路の出力信
号に基づき前記コイル端子間電圧の波形を表示する表示
手段を具備することを特徴とする。
【0024】請求項6の発明は、請求項4記載の発明に
おいて、前記加算出力処理回路は、前記加算回路の出力
信号のピーク値を検出し、前記コイル端子間電圧として
出力するピークホールド回路であることを特徴とする。
【0025】請求項7の発明は、請求項6記載の発明に
おいて、前記ピークホールド回路の出力信号をディジタ
ル表示若しくはメータ表示する表示手段を具備すること
を特徴とする。
【0026】請求項8の発明は、請求項4記載の発明に
おいて、前記加算出力処理回路は、前記加算回路の出力
信号を積分し、前記コイル端子間電圧として出力する積
分回路であることを特徴とする。
【0027】請求項9の発明は、請求項8記載の発明に
おいて、前記積分回路の出力信号をディジタル表示また
はメータ表示する表示手段を具備することを特徴とす
る。
【0028】請求項10の発明は、請求項4記載の発明
において、絶縁交換器または絶縁増幅器のうちの少なく
ともいずれか一方を前記加算回路に付加したことを特徴
とする。
【0029】請求項11の発明は、高周波発振器から誘
導加熱コイルへの入力電力を制御することにより単結晶
を晶出して所定形状に整形する浮遊帯域溶融法による単
結晶育成方法において、前記誘導加熱コイルのコイル端
子間電圧を検出し、この検出されたコイル端子間電圧に
基づき前記誘導加熱コイルの入力電力を可変制御するよ
うにしたことを特徴とする。
【0030】請求項12の発明は、請求項11記載の発
明において、前記高周波発振器内の発振管のプレート電
圧、プレート電流、及びグリット電流の少なくともいず
れか1つを検出し、該検出値及び前記コイル端子間電圧
に基づき前記誘導加熱コイルの入力電力を可変制御する
ことを特徴とする。
【0031】請求項13の発明は、請求項11または1
2記載の発明において、前記高周波発振器の入力側にサ
イリスタから成るスイッチング手段を具備し、前記検出
されたコイル端子間電圧に応じて前記サイリスタの点弧
角を設定することにより前記誘導加熱コイルの入力電力
を可変制御することを特徴とする。
【0032】請求項14の発明は、請求項11記載の発
明において、前記誘導加熱コイルの2つのコイル端子か
ら各々入力する2つの入力信号のうちの一方を反転する
とともに、該2つの入力信号のうちの反転された入力信
号と反転されない入力信号を加算し、該反転加算信号を
処理し前記コイル端子間電圧として出力することを特徴
とする。
【0033】請求項15の発明は、請求項14記載の発
明において、前記2つの入力信号及び前記加算加算信号
に基づき前記コイル端子間電圧の波形を表示することを
特徴とする。
【0034】請求項16の発明は、請求項14記載の発
明において、前記反転加算信号のピーク値を検出し、前
記コイル端子間電圧として出力することを特徴とする。
【0035】請求項17の発明は、請求項16記載の発
明において、検出された前記ピーク値に基づき前記コイ
ル端子間電圧をディジタル表示若しくはメータ表示する
ことを特徴とする。
【0036】請求項18の発明は、請求項14記載の発
明において、前記反転加算信号を積分し、前記コイル端
子間電圧として出力することを特徴とする。
【0037】請求項19の発明は、請求項18記載の発
明において、前記反転加算信号の積分値に基づき前記コ
イル端子間電圧をディジタル表示若しくはメータ表示す
ることを特徴とする。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係わる単結晶育成
装置の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に
説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係わる単結
晶育成装置の概略構成を示す図である。同図において、
図10における従来装置と同様の機能を果たす部分には
同一の符号を付している。
【0039】同図からも分かるように、本実施形態の単
結晶育成装置では、従来装置(図10参照)の構成に加
えて、ワークコイル11のコイル端子間電圧(Vwc)を
検出し、該検出出力をサイリスタ制御回路16にフィー
ドバックするコイル電圧検出回路20が設けられる。
【0040】コイル端子間電圧(Vwc)は、ワークコイ
ル11のコイル両端に直に加わる電圧で、コイル側イン
ピーダンスをZcとすると、コイル電流Icは、 Ic=Vc/Zc …… (2) である。Zcをほぼ一定とすれば、VcはIcに比例する。
【0041】すなわち、コイル端子間電圧(Vwc)は、
原料多結晶5及び単結晶6の加熱状態に直に影響する。
よって、コイル電圧検出回路20により検出された当該
コイル端子間電圧(Vwc)に基づきワークコイル11の
入力電力を可変制御する本実施形態によれば、後述する
如く、より正確かつ精密なFZ制御を実現できる。
【0042】コイル電圧検出回路20に対して、ワーク
コイル11のコイル端子間信号を取り込む位置として
は、例えば、チャンバ10内部におけるワークコイル1
1上若しくはワークコイル11とカレントトランス回路
12を接続する接続軸上、チャンバ10外部の上記接続
軸上、カレントトランス回路12の筐体内のいずれかを
選択できる。
【0043】この場合において、ノイズの影響を受けな
いでかつ安全にコイル端子間信号を得るための充分な対
策が必要となる。この対策の一例として、コイル電圧検
出回路20側から2本の同軸ケーブル(若しくはシール
ド線)を張り延ばし、そのうちの1本については心線を
ワークコイル11の一方のコイル端子または該コイル端
子に繋がる上記接続軸に接続するとともに外側導線を接
地し、同様に、もう1本についても、心線をワークコイ
ル11の他方のコイル端子または該コイル端子に繋がる
上記接続軸に接続するとともに外側導線を接地する方法
がある。
【0044】また、この時、コイル電圧検出回路20内
には、ワークコイル11側からの異常時の過電圧入力を
防止する過電圧防止回路や、高い信号電圧を後段の回路
に適した値に降圧する降圧回路等を併設するようにして
も良い。
【0045】図2は、本実施形態に係わるコイル電圧検
出回路20の回路構成を示すブロック図であり、周辺部
(コンピュータ制御部18、表示制御部19、制御コン
ソール30の構成とともに開示している。
【0046】このコイル電圧検出回路20は、過電圧保
護回路(201A、201B),降圧回路(202A、
202B),過電圧保護回路(203A、203B),
加算回路204,反転回路205,ピークホールド回路
206,A/D変換回路207を具備して構成される。
【0047】過電圧保護回路(202A、202B)
は、ワークコイル11の各々対応するコイル端子からの
過電圧入力を阻止する回路である。降圧回路(202
A、202B)は、各々対応する過電圧保護回路(20
1A、201B)の出力信号電圧を後段の回路動作に適
する値まで降圧する回路である。過電圧保護回路(20
3A、203B)は、過電圧保護回路(201A、20
1B)と同様の過電圧入力阻止機能を果たすものであっ
て、本実施形態においては、過電圧保護回路(201
A、201B)のみでは後段の回路を過電圧から充分に
保護できないとの配慮から付加されている。
【0048】なお、過電圧保護回路(201A、201
B、203A、203B)は、例えば、サイリスタを用
いて異常過電圧入力を遮断するSCR(シリコン制御整
流素子)方式や分離方式等により実現できる。
【0049】また、過電圧保護回路(201A、201
B),降圧回路(202A、202B),過電圧保護回
路(203A、203B)は、上述した如く、ワークコ
イル端子間信号を安全に取り出す対策の一環として設け
られるものであって、必ずしもコイル電圧検出回路20
内に設ける必要はなく、その外部に設けても良い。
【0050】次に、本実施形態の単結晶育成装置の動作
について説明する。この単結晶育成装置では、本装置の
状態を把握すべく、実際の運用に先立ち、ワークコイル
11の入力電力制御に係わる各種パラメータのプロファ
イルを作成する。
【0051】すなわち、装置の状態を知るためには、
(Ep),(Ip),(Ig)及び(Ig/Ip)の正常範囲を確
認しつつ単結晶の育成を行うことが必要であり、これら
各信号のプロファイルがまず必要になる。更に、本実施
形態では、単結晶6の育成をワークコイル11のコイル
電圧(Vwc)により制御する点を特徴とすることから、
上記各信号のプロファイルに加えて、コイル電圧(Vw
c)のプロファイルも作成する。
【0052】これらプロファイルの作成は、本実施形態
の装置により単結晶育成プロセスを試行し、該試行プロ
セス中にワークコイル11の電力制御に係わる所望のパ
ラメータを計測して抽出する方法により実現できる。
【0053】試行プロセスを実施するには、まず、チャ
ンバ10内にて、上軸駆動機構に棒状の原料多結晶5を
支持させ、その先端部がワークコイル11に臨む位置ま
で垂下させる一方、単結晶の種を原料多結晶5の直下に
位置する下軸駆動機構に支持させる。
【0054】この状態で、点弧角設定器17を手動操作
し、サイリスタ制御回路16を介してサイリスタ141
の点弧角を制御することにより、発振器13からカレン
トトランス回路12を介してワークコイル11に発振電
圧を印加して原料多結晶5を誘導加熱する。
【0055】この誘導加熱によって溶融される原料多結
晶5を下軸駆動機構に保持させた種結晶に融着させ、無
転位化させた後、ワークコイル11に対して原料多結晶
5及び単結晶の種を相対的に回転させ、かつ相対的に軸
線方向(下方)に移動させながら単結晶6を育成してい
く。
【0056】この試行プロセス中のコイル電圧検出回路
20の動作について図2を参照して説明する。該試行プ
ロセス中、コイル電圧検出回路20では、ワークコイル
11の一方のコイル端子に接続される過電圧保護回路例
えば201Aからの信号が降圧回路202Aを経て過電
圧保護回路203Aにより信号S1として取り込まれ、加
算回路204及び表示制御部19に入力される。
【0057】一方、ワークコイル11のもう一方のコイ
ル端子に接続される過電圧保護回路201Bからの信号
は降圧回路202Bにより降圧された後、過電圧保護回
路203Bにより信号S2として取り込まれ、反転回路2
05及び表示制御部19に入力される。
【0058】反転回路205は、過電圧保護回路203
Bからの入力信号S2を反転させ、過電圧保護回路203
Aからの入力信号S1と同位相の信号S3として加算回路2
04に入力する。加算回路204は、過電圧保護回路2
03Aからの入力信号S1と反転回路205からの入力信
号S3を加算し、反転加算信号S4としてピークホールド回
路206に出力する。
【0059】ピークホールド回路206は、加算回路2
04の出力信号S4のピーク値を検出し、該検出信号S5を
A/D変換回路207及び表示制御部19に出力する。
A/D変換回路207は、ピークホールド回路206の
出力信号S5をアナログ信号からディジタル信号に変換
し、コイル電圧(Vwc)の検出出力としてコンピュータ
制御部18及び表示制御部19に送出する。
【0060】コンピュータ制御部18は、パーソナルコ
ンピュータ等により実現されるものであり、A/D変換
回路207の出力すなわちコイル電圧(Vwc)に基づき
サイリスタ制御回路16を介してサイリスタ141の点
弧角の自動設定制御を行う。
【0061】なお、このコンピュータ制御部18による
点弧角自動設定制御は、今回のような試行プロセスでは
実施されない。この点弧角自動設定制御は、該試行プロ
セスでコイル電圧(Vwc)のプロファイルが作成され、
このプロファイルを基に目標値データが設定された後、
実際に検出されるコイル電圧(Vwc)が上記目標値に一
致するようにサイリスタ141の点弧角を自動的に調整
する形で実施される。このコンピュータ制御部18での
コイル電圧(Vwc)に基づく点弧角自動設定制御につい
ては後述する。
【0062】表示制御部19は、過電圧保護回路203
Aの出力信号S1、過電圧保護回路203Bの出力信号S
2、加算回路204の出力信号S4の各信号波形のCRT
表示、ピークホールド回路206の出力信号S5に基づく
コイル電圧値のアナログ表示(例えば、メータ表示)、
A/D変換回路207の出力信号に基づくコイル電圧値
のデジタル表示等の表示制御を行う。
【0063】なお、上記試行プロセス実行時、表示制御
部19には、発振器13のプレート電圧(Ep)及びプレ
ート電流(Ip)を検出する各検出手段(図示せず)から
の検出信号も入力される。表示制御部19は、これら
(Ep)検出信号または(Ip)検出信号に基づき(Ep)値
または(Ip)値を例えばメータ表示する制御も行う。
【0064】図3は、本実施形態の単結晶育成装置の外
観構造を示す図である。この単結晶育成装置において、
図1におけるチャンバ10、カレントトランス回路1
2、高周波発振器13はそれぞれ個別の筐体内に実装さ
れる。その他、この装置には制御コンソール30が設け
られる。制御コンソール30は、点弧角設定器17の
他、CRT表示部301,ディジタル表示部302,コ
イル電圧メータ303,Ep表示メータ304,Ip表示メ
ータ305等の各表示手段を少なくとも具備する。
【0065】CRT表示部301には、ワークコイル1
1の各コイル端子から得られた信号S1、S2、及び加算回
路204の反転加算出力信号S4の信号波形が表示され
る。ディジタル表示部302には、A/D変換回路20
7の出力信号に基づき、コイル電圧のピーク値がディジ
タル値として表示される。
【0066】コイル電圧メータ303には、ピークホー
ルド回路206の出力信号S5に基づき、コイル電圧のピ
ーク値がメータ表示される。Ep表示メータ304には、
発振器13からの(Ep)検出信号に基づき発振管131
の(Ep)値がメータ表示される。Ip表示メータ305に
は、発振器13からの(Ip)検出信号に基づき発振管1
31の(Ip)値がメータ表示される。
【0067】本願発明者は、上記試行プロセスにおい
て、制御コンソール30上の各表示部に表示された計測
値を読み取り、その値を抽出していくことにより、以下
の様な種々の信号に関するプロファイルを得た。
【0068】まず、(Ep)のプロファイルについて説明
する。図4は、本実施形態の単結晶育成装置において、
上述した試行プロセスにより作成された発振管131の
プレート電圧(Ep)のプロファイルの一例を示すもので
ある。なお、このプロファイルは、直径6インチで結晶
軸<111>の単結晶6の育成時のものである。
【0069】同図における曲線A1,A2,A3,A4のい
ずれからも、上記試行プロセス中のワークコイル11の
電力制御に際し、溶解開始時から種ずけまで(Ep)を上
げていき、種ずけ終了後、結晶軸が20mm〜30mmに成
長するあたりまで次第に(Ep)を下げていき、更に結晶
軸が30mm以上に成長した後には、(Ep)を漸増させて
いく、といった基本制御が適用されていることが分か
る。
【0070】同図において、曲線A1は、上記基本制御
に基づく試行プロセスにより、単結晶6が最も理想に近
い形で育成された時のものである。これに対し、曲線A
2,A3,A4は、同じ装置を用いて上記試行プロセスを
実行した際、曲線A1の時ほど良好な育成結果が得られ
なかった時のものである。
【0071】具体的には、例えば、曲線A2の場合、テ
ーパ部(結晶径が連続的に増加する先端部分)と後端部
(結晶径が連続的に減少する部分)間の直胴部(結晶径
が等しい円筒形部分)が約1メートルの長さに1本上が
りに仕上がった。この時、テーパ長は20cm程度と短く
かつ波もなく、曲線A1時の時に匹敵する高精度の育成
結果が得られた。
【0072】曲線A3の場合には、形なりにも引き上が
ったが、テーパ部が波状のものとなり、曲線A2時の時
よりも育成結果が悪化した。更に、曲線A4の場合に
は、結晶軸全長が140mm程度までしか引き上げること
ができなかった。
【0073】本願発明者は、これら曲線A1〜A4の各
(Ep)プロファイルから、単結晶引き上げの際、テーパ
部育成時つまり図4に「T1」で示される期間の間、曲
線A1に近いプロファイルを描くほど程結晶が太り、目
的の径に達する確率が高くなるという育成評価結果を得
た。
【0074】つまり、テーパ部育成時、結晶及び/又は
素材送り速度を調整しても微妙に温度が低いと結晶は太
らなくなり、目的の径に達しない。言い換えれば、テー
パ部育成段階で、高い温度コントロール精度が必要とな
り、このためには、プレート電圧(Ep)制御より温度コ
ントロールに優れるワークコイル電圧(Vwc)を測定し
た方がより望ましいことが分かった。
【0075】また、別の試行プロセスにおいて、本願発
明者は、単結晶育成長さと(Ep)の関係について、図5に
おける表1に示すような測定結果を得た。この測定結果
は、直径5インチで結晶軸<100>の単結晶6の育成
時のものである。
【0076】この測定結果からは、以下の点が読み取れ
る。例えば、成長軸長150mmで(Ep)=7.75(KV)、
かつ成長軸長200mmで(Ep)=7.9(KV)の時、DF
C切れのない良好な育成結果が得られる。これに対し
て、成長軸長150mmで(Ep)=7.75(KV)、かつ成長
軸長200mmで(Ep)=7.6(KV)の時には、上記の場
合に比べてDFC切れまでの育成軸長が短くなり、上が
り方が悪化する。更に、成長軸長150mmで(Ep)=7.
5(KV)、かつ成長軸長200mmで(Ep)=7.5(KV)の
時には、DFC切れまでの育成軸長が400mm程度とな
り、上がり方が極端に悪化する。
【0077】以上の解析結果から、図4に示した期間T
1のテーパ部育成段階のみならず、直胴部育成段階に入
った後も、プレート電圧(Ep)の微妙な差で単結晶のD
FC切れが発生することが分かる。このことからも、コ
イル電圧(Vwc)を測定してより正確に過熱状態を把握
することが重要であることが分かる。
【0078】次に、本願発明者は、本実施形態の装置に
おけるプレート電圧(Ep)とワークコイル電圧(Vwc)
のプロファイルの比較を試みた。図6は、本実施形態の
装置における上記試行プロセスにて得られた発振管13
1のプレート電圧(Ep)のプロファイルとコイル電圧
(Vwc)のプロファイルを示す図である。なお、これら
プロファイルは、いずれも、直径5インチで結晶軸<1
00>の単結晶6の育成時のものである。
【0079】同図(a)に示す(Ep)プロファイルにお
いて、曲線B1の場合はDFC=400mmで、曲線B2の
場合はDFC=800mmで、曲線B4の場合はDFC=
400mmで、それぞれDFC切れとなっている。これに
対し、曲線B3及びB5の場合は、DFC切れが発生せ
ず、単結晶6が良好な状態で育成完了した。
【0080】また、同図(b)に示す(Vwc)プロファ
イルにおいて、曲線C1の場合はDFC=400mmで、
曲線C2の場合はDFC=800mmで、それぞれDFC
切れとなっている。これに対して、曲線C3及びC4の場
合は、DFC切れが発生せず、単結晶6が育成完了し
た。
【0081】図6(a)における(Ep)プロファイルか
らは、(Ep)値が高い程、DFC切れが起こり難い傾向
にあることが分かる。同様に、図6(b)における(Vw
c)プロファイルからも、(Vwc)値が高い程、DFC切
れが起こり難い傾向にあることが分かる。更に、これら
(Ep)プロファイルと(Vwc)プロファイルとを比較し
てみると、(Ep)に対して(Vwc)の方がより正確に加
熱変動の現象を捕らえていることが分かる。
【0082】本実施形態の装置における(Ep)プロファ
イルと(Vwc)プロファイルの関係を更に詳しく解析し
てみる。図7は、上記試行プロセスにおける単結晶6の
引き上げ過程において、同一育成中の発振管入力電力
(Wp=Ep×Ip)における(Ep)、(Ip)、(Vwc)のプ
ロファイルを1つにまとめて示したものである。
【0083】同図によれば、(Ep)と(Vwc)が必ずし
も同じ比の変化を示していないことが分かる。この場
合、(Wp)に対して(Ep)の変化率は(Vwc)の変化率
より高いことが分かる。従って、(Ep)の値は、原料多
結晶5の実際の加熱温度に正確に反映できないものであ
り、逆に、(Vwc)の値は、原料多結晶5の実際の加熱
温度により正確に反映できるものであると言える。
【0084】つまり、(Ep)プロファイルと(Vwc)プ
ロファイルの比較の結果、(Ep)制御によるよりも、
(Vwc)制御による方が、ワークコイル11のコイル電
圧の過剰な増減に対してこれを安定化するための点弧角
制御を精度良く実施でき、より良い育成結果が期待でき
るものと推測できる。
【0085】また、図8は、本実施形態に係わる別個の
単結晶育成装置A,Bにおける発振管入力電力(Wp=Ep
×Ip)に対する(Ep)と(Vwc)の関係を示す図であ
る。同図によれば、同一の原料多結晶5と同一のワーク
コイル11を使用し、かつ同一の結晶及び素材径を対象
とする育成プロセスの場合であっても、装置A,B毎に
発振器13とワークコイル11間の回路特性の差によっ
て、たとえ同じ(Wp)値を与えたとしても、装置毎にコ
イル電圧(Vwc)が異なることが分かる。
【0086】図8からも分かるように、同一発振管入力
電力(Wp)を与えた場合、装置Aは装置Bよりも(Vw
c)が高い。このことは、同一の発振管入力電力(Wp)
を与えた場合、装置Aと装置Bとでは原料多結晶5の溶
け具合が等が異なる結果となることを意味している。
【0087】しかしながら、コイル電圧(Vwc)で制御
すると、各育成段階で異なった(Ep)値とはなるもの
の、精密かつ正確な引き上げが可能になる。この点につ
いて、上記プロファイル作成後にコンピュータ制御部1
8での自動制御により実施される実際の単結晶育成プロ
セスを例に挙げながら説明する。
【0088】このコンピュータ制御部18による自動制
御に先立ち、該コンピュータ制御部18には、上述した
試行プロセスで得られたコイル電圧(Vwc)のプロファ
イルのうち、理想的な育成結果を得られたプロファイル
〔例えば、図6(b)に示す曲線C4に相当〕をモデル
とした目標値のデータが設定される。ここで、目標値デ
ータは、単結晶の育成長さに対するコイル電圧(Vwc)
が、モデルとされたプロファイルと一致する値に対応付
けて登録されたものである。
【0089】目標値データの設定後、既に述べた方法で
単結晶育成準備を整え、コンピュータ制御部18による
自動制御を起動する。これにより、コンピュータ制御部
18は、サイリスタ制御回路16を介してサイリスタ1
41の点弧角を自動設定することにより、発振器13か
らカレントトランス回路12を介してワークコイル11
に発振電圧を印加し、単結晶育成プロセスを開始する。
【0090】この単結晶育成プロセスの開始に伴い、コ
ンピュータ制御部18には、コイル電圧検出回路20か
らコイル電圧(Vwc)の検出値が取り込まれ、他方、単
結晶の育成長さを検出する手段(図示せず)からは当該
時点における単結晶育成長さの検出値が入力される。
【0091】なお、育成長さを検出する手段としては、
チャンバ10内で原料多結晶5を支持する上軸駆動機構
または単結晶6を支持する下軸駆動機構若しくはその両
者に駆動距離をカウントするカウンタを設け、このカウ
ンタのカウント値を晶出中の単結晶6の結晶長を示す信
号としてコンピュータ制御部18に入力する構成のもの
が考えられる。
【0092】コンピュータ制御部18では、上記各入力
と目標値データとを照合し、該目標値データから上記検
出された育成長さに対するコイル電圧(Vwc)の目標値
を読み取り、かつ当該時点で検出中のコイル電圧(Vw
c)の値が当該目標値に一致するようにサイリスタの点
弧角の制御を行う。
【0093】以後、同様に、コイル電圧検出回路20の
検出値に基づくサイリスタ141の点弧角自動設定制御
を続けることにより、目標とされたプロファイルに沿っ
たワークコイル11の電力制御が行える。また、この電
力制御の結果、目標とされたプロファイルを得た時の試
行プロセスと同等の良好な単結晶を育成できる。
【0094】本実施形態の装置では、コイル電圧(Vw
c)に基づくコンピュータ制御部18でのサイリスタ点
弧角自動設定制御による単結晶育成プロセスにおいて、
下記の表2及び表3に示す如くの育成結果を得た。
【0095】 表2は、直径115mmの原料多結晶5を用いて直径12
5mmの単結晶6を育成した場合の結果を示すものであ
る。ここで、育成長さは1〜2mであり、同一コイル、
同一装置を使用することを前提としている。表2によれ
ば、(Vwc)制御方法が(Ep)制御方法に比べて著しく
育成成功率が高いことが実証された。
【0096】 表3は、直径100mmの原料多結晶5を用いて直径10
0mmの単結晶6を育成した場合の結果を示すものであ
る。この場合も、育成長さは1〜2mであり、同一コイ
ル、同一装置を使用することを前提としている。表3に
おいても、(Vwc)制御方法が(Ep)制御方法に比べて
育成成功率が高いことが実証された。
【0097】ところで、本実施形態の装置では、図2及
び図3の構成からも分かるように、単結晶育成プロセス
(試行プロセスも含む)実行時、本装置の動作状態に応
じた各種信号の計測結果が制御コンソール30の対応す
る表示部に各々表示される。
【0098】特に、本実施形態の装置では、コイル電圧
検出回路20より、ワークコイル11の各コイル端子か
らの入力信号S1,S2及びこれら両信号の反転加算信号S4
を取り出してその波形をCRT表示部301に表示する
ようにしている。
【0099】図9は、本実施形態に係わる装置のCRT
表示部301での表示波形の一例を示したものである。
同図(a)は、ある単結晶育成プロセスで単結晶6を1
0mm引き上げた時に該プロセスが正常に推移している場
合の上記信号波形を示すものであり、同図(b)は、別
の単結晶育成プロセスで単結晶6を同図(a)と同程度
(10mm)まで引き上げた時に育成プロセスに異常を来
している場合の上記信号波形を示すものである。
【0100】なお、同図(a)及び(b)ともに、上段
はワークコイル11の一方のコイル端子から取り込まれ
た信号(過電圧保護回路203Aの出力信号S1)の波
形、下段はワークコイル11のもう一方のコイル端子か
ら取り込まれた信号(過電圧保護回路203Bの出力信
号S2)の信号波形、中段は上記各コイル端子から取り込
まれた信号の反転加算信号(加算回路204の出力信号
S4)の信号波形を示している。
【0101】同図(a)によれば、育成プロセスが正常
に推移している時、信号S1,信号S2,反転加算信号S4
のいずれの波形も円滑なSIN波を描いており、高周波
(ノイズ)が載っていない様子が分かる。また、同図
(b)によれば、育成プロセスの異常時、信号S1,信号
S2,反転加算信号S4のいずれの波形にも高周波ノイズ
が載っている様子が分かる。
【0102】このように、本実施形態では、(Vwc)制
御と並行して、ワークコイル11のコイル端子から取り
出した信号の波形を表示するようにしているため、この
表示された信号波形から単結晶の育成状態を確認できる
ようになった。この機能によりノイズが載っている波形
が表示された場合、異常と認識し、当該異常を回避する
ための迅速な対応が可能となる。
【0103】なお、図9の例では、ワークコイル11の
コイル端子から取り出した信号の波形をCRT表示する
場合について述べたが、後述する如く、コイル電圧を直
流に変換して表示する構成とした場合であっても、高周
波ノイズが載っていれば直流値が不安定となるため、こ
の不安定な状態を捕らえて異常と判断し、同様の対応が
可能となる。
【0104】この他、本発明は上記実施形態に限らず、
種々の応用若しくは変形が可能である。例えば、上記実
施形態では、(Ep)制御の代わりに(Vwc)制御を行う
例を示しているが、(Vwc)制御のみではなく、必要に
応じて、(Ep),(Ip)あるいは(Ig)のどれか若しく
は全てを考慮して単結晶育成を行うようにしても良い。
【0105】また、育成プロセス実行中に、コイル電圧
の周波数を測定し、ワークコイル電圧(Vwc)の波形を
制御するようにしても良い。
【0106】また、図2に示すコイル電圧検出回路20
の構成において、ピークホールド回路の代わりに積分回
路を設け、この積分回路により電圧波形を直流化してデ
ィジタル表示またはメータ表示するようにしても良い。
【0107】また、このコイル電圧検出回路20におい
て、加算回路204に絶縁交換器または絶縁増幅器の少
なくともいずれか1つを付加し、異常時の高電圧が該絶
縁部分を境にして装置内に入り込まないような構成とす
ることもできる。また、加算回路204及び反転回路2
05から成る回路部分は、作動アンプにより構成しても
良い。
【0108】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
誘導加熱コイルのコイル電圧(Vwc)を検出しこのコイ
ル電圧(Vwc)をフィードバックして誘導加熱コイルの
入力電力を可変制御することにより単結晶の育成を行う
ようにしたため、発振管と誘導加熱コイル間の電力損失
を予め見込んだ誘導加熱コイルの高精度の温度制御が実
現できる。
【0109】特に、この種の装置では、単結晶育成開始
後の一定期間内の誘導加熱コイルの微妙な入力電力変動
がその後の単結晶の育成精度を決定付けることが分かっ
ているが、本発明におけるコイル電圧(Vwc)による制
御によれば、この一定期間内の誘導加熱コイルの微妙な
入力電力調整にも容易に対処でき、結果として、単結晶
の育成精度及び育成率を向上させることができる。
【0110】また、本発明によれば、発振管と誘導加熱
コイル間の電力ロス分が反映された誘導加熱コイルのコ
イル電圧を直に測定して該誘導加熱コイルの電力制御を
行うため、上記電力ロス分に起因する誘導加熱コイルの
入力電力変動を小さく抑えつつ、同一の素材及び型のコ
イルに関してほぼ似たようなプロファイルを得ることが
でき、装置毎のプロファイル作成に費やす時間及び手間
を大幅に削減できる。
【0111】また、本発明によれば、誘導加熱コイルか
ら取り込んだ信号に基づきコイル端子電圧の波形等を表
示する機能を付加したため、コイル電圧波形の歪みやノ
イズ等の状態から回路系の異常状態を正確に把握し、そ
の異常回避に迅速に対処可能となる。
【0112】また、本発明によれば、コイル電圧を検出
する部分に絶縁交換器や絶縁アンプ等による絶縁手段を
併設したため、誘導加熱コイル側からの異常高電圧から
装置及び操作者を保護でき、安全な運用が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係わる単結晶育成装置の
概略構成図。
【図2】本実施形態の装置におけるコイル電圧検出回路
の機能構成を示す図。
【図3】本実施形態の装置の外観構造を示す図。
【図4】本実施形態の装置のEpプロファイルを示す図。
【図5】本実施形態の装置における単結晶育成長に対す
るEp測定結果を示す表図。
【図6】本実施形態の装置におけるEpとVwcの各プロフ
ァイルを示す図。
【図7】本実施形態の装置の発振管入力電力対Ep,Ip及
びVwc特性を示す図。
【図8】本実施形態に係わる各装置毎の発振管入力電力
対Ep及びVwc特性を示す図。
【図9】本実施形態の装置におけるコイル電圧波形の表
示例を示す図。
【図10】従来の単結晶育成装置の概略構成図。
【符号の説明】
5 原料多結晶 6 単結晶 10 チャンバ 11 誘導加熱コイル(ワークコイル) 12 カレントトランス回路 13 発振器 131 発振管 14 サイリスタ回路 141 電力用サイリスタ 15 電源 16 サイリスタ制御回路 17 点弧角設定器 18 コンピュータ制御部 19 表示制御部 20 コイル電圧検出回路 201A,201B,203A,203B 過電圧保護
回路 202A,202B 降圧回路 204 加算回路 205 反転回路 206 ピークホールド回路 207 A/D変換回路 30 制御コンソール 301 CRT表示部 302 ディジタル表示部 303 コイル電圧表示メータ 304 Ep表示メータ 305 Ip表示メータ

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高周波発振器から誘導加熱コイルへの入
    力電力を制御することにより単結晶を晶出して所定形状
    に整形する浮遊帯域溶融法による単結晶育成装置におい
    て、 前記誘導加熱コイルのコイル端子間電圧を検出する電圧
    検出手段と、 前記電圧検出手段により検出されたコイル端子間電圧に
    基づき前記誘導加熱コイルの入力電力を可変制御する入
    力電力制御手段とを具備することを特徴とする単結晶育
    成装置。
  2. 【請求項2】 前記高周波発振器内の発振管のプレート
    電圧、プレート電流、及びグリット電流の少なくともい
    ずれか1つを検出する検出手段を具備し、前記入力電力
    制御手段は、前記電圧検出手段により検出されたコイル
    端子間電圧及び前記検出手段の検出値に基づき前記誘導
    加熱コイルの入力電力を可変制御することを特徴とする
    請求項1記載の単結晶育成装置。
  3. 【請求項3】 前記高周波発振器の入力側にサイリスタ
    から成るスイッチング手段を具備し、前記入力電力制御
    手段は、前記電圧検出手段により検出されたコイル端子
    間電圧に応じて前記サイリスタの点弧角を設定すること
    により前記誘導加熱コイルの入力電力を可変制御するこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の単結晶育成装
    置。
  4. 【請求項4】 前記電圧検出手段は、前記誘導加熱コイ
    ルの2つのコイル端子から各々入力する2つの入力信号
    のうちの一方を反転する反転回路と、 前記2つの入力信号のうちの反転されない入力信号と前
    記反転回路の出力信号を加算する加算回路と、 前記加算回路の出力信号を処理し前記コイル端子間電圧
    として出力する加算出力処理回路とを具備することを特
    徴とする請求項1記載の単結晶育成装置。
  5. 【請求項5】 前記2つの入力信号及び前記加算回路の
    出力信号に基づき前記コイル端子間電圧の波形を表示す
    る表示手段を具備することを特徴とする請求項4記載の
    単結晶育成装置。
  6. 【請求項6】 前記加算出力処理回路は、前記加算回路
    の出力信号のピーク値を検出し、前記コイル端子間電圧
    として出力するピークホールド回路であることを特徴と
    する請求項4記載の単結晶育成装置。
  7. 【請求項7】 前記ピークホールド回路の出力信号をデ
    ィジタル表示若しくはメータ表示する表示手段を具備す
    ることを特徴とする請求項6記載の単結晶育成装置。
  8. 【請求項8】 前記加算出力処理回路は、前記加算回路
    の出力信号を積分し、前記コイル端子間電圧として出力
    する積分回路であることを特徴とする請求項4記載の単
    結晶育成装置。
  9. 【請求項9】 前記積分回路の出力信号をディジタル表
    示またはメータ表示する表示手段を具備することを特徴
    とする請求項8記載の単結晶育成装置。
  10. 【請求項10】 絶縁交換器または絶縁増幅器のうちの
    少なくともいずれか一方を前記加算回路に付加したこと
    を特徴とする請求項4記載の単結晶育成装置。
  11. 【請求項11】 高周波発振器から誘導加熱コイルへの
    入力電力を制御することにより単結晶を晶出して所定形
    状に整形する浮遊帯域溶融法による単結晶育成方法にお
    いて、 前記誘導加熱コイルのコイル端子間電圧を検出し、この
    検出されたコイル端子間電圧に基づき前記誘導加熱コイ
    ルの入力電力を可変制御するようにしたことを特徴とす
    る単結晶育成方法。
  12. 【請求項12】 前記高周波発振器内の発振管のプレー
    ト電圧、プレート電流、及びグリット電流の少なくとも
    いずれか1つを検出し、該検出値及び前記コイル端子間
    電圧に基づき前記誘導加熱コイルの入力電力を可変制御
    することを特徴とする請求項11記載の単結晶育成方
    法。
  13. 【請求項13】 前記高周波発振器の入力側にサイリス
    タから成るスイッチング手段を具備し、前記検出された
    コイル端子間電圧に応じて前記サイリスタの点弧角を設
    定することにより前記誘導加熱コイルの入力電力を可変
    制御することを特徴とする請求項11または12記載の
    単結晶育成方法。
  14. 【請求項14】 前記誘導加熱コイルの2つのコイル端
    子から各々入力する2つの入力信号のうちの一方を反転
    するとともに、該2つの入力信号のうちの反転された入
    力信号と反転されない入力信号を加算し、該反転加算信
    号を処理し前記コイル端子間電圧として出力することを
    特徴とする請求項11記載の単結晶育成方法。
  15. 【請求項15】 前記2つの入力信号及び前記加算加算
    信号に基づき前記コイル端子間電圧の波形を表示するこ
    とを特徴とする請求項14記載の単結晶育成方法。
  16. 【請求項16】 前記反転加算信号のピーク値を検出
    し、前記コイル端子間電圧として出力することを特徴と
    する請求項14記載の単結晶育成方法。
  17. 【請求項17】 検出された前記ピーク値に基づき前記
    コイル端子間電圧をディジタル表示若しくはメータ表示
    することを特徴とする請求項16記載の単結晶育成方
    法。
  18. 【請求項18】 前記反転加算信号を積分し、前記コイ
    ル端子間電圧として出力することを特徴とする請求項1
    4記載の単結晶育成方法。
  19. 【請求項19】 前記反転加算信号の積分値に基づき前
    記コイル端子間電圧をディジタル表示若しくはメータ表
    示することを特徴とする請求項18記載の単結晶育成方
    法。
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