JP2000198914A - 芳香族ポリカ―ボネ―ト樹脂組成物 - Google Patents

芳香族ポリカ―ボネ―ト樹脂組成物

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JP2000198914A
JP2000198914A JP203399A JP203399A JP2000198914A JP 2000198914 A JP2000198914 A JP 2000198914A JP 203399 A JP203399 A JP 203399A JP 203399 A JP203399 A JP 203399A JP 2000198914 A JP2000198914 A JP 2000198914A
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polycarbonate resin
aromatic polycarbonate
bis
titanium oxide
hydroxyphenyl
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JP203399A
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Hisanaga Shimizu
久永 清水
Koji Ishihata
浩司 石畑
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Chemicals Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 芳香族ポリカーボネート樹脂が本来有する特
性を生かし、且つ酸化チタンを加えることで白色度等の
光学的特性を向上させた上、熱安定性および衝撃強度に
優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 (A)蛍光スペクトルを測定したとき
(励起波長320nm)、基準物質に対する465nm
における相対蛍光強度が4×10-3以下であり、且つ二
価フェノールとカーボネート前駆体とを溶融法で反応さ
せて得られた芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部
および(B)酸化チタン0.1〜100重量部からなる
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は良好な白色度を有す
る芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に関する。更に詳
しくは、機械的特性、熱安定性に優れるとともに、優れ
た白色度を有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に
関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃
性などの機械的特性に優れ、しかも耐熱性、透明性など
にも優れており、広く用いられている。このような芳香
族ポリカーボネート樹脂の製造方法としては、ビスフェ
ノールAなどの二価フェノールにホスゲンを直接反応さ
せる方法(界面重合法)、あるいはビスフェノールなど
の二価フェノールとジフェニルカーボネートなどのジア
リルカーボネートとを溶融状態でエステル交換反応させ
重合する方法(以下、溶融法と称することがある。)な
どが知られている。このような製造方法のなかで、二価
フェノールとジアリルカーボネートとのエステル交換反
応させる方法は、界面重合法による製造に比べて、ホス
ゲンやメチレンクロライド等のハロゲン化合物を使用す
る問題がなく、環境に対する負荷が少なく且つ安価に製
造できる利点があり、有望な技術である。
【0003】また、芳香族ポリカーボネート樹脂は、耐
衝撃性等の機械的特性や、透明性、耐熱性、電気的特
性、寸法安定性等に優れることから機械、電気・電子機
器、自動車等の幅広い用途にて使用されているが、それ
ら用途によっては未塗装のため、成形材料自体に着色を
施すことが要求される場合がある。熱可塑性樹脂を白色
に着色したり光線遮蔽性や光線反射性を付与するため
に、一般的に酸化チタンが用いられている。
【0004】芳香族ポリカーボネート樹脂とガラスフィ
ラーを用いた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が、特
許2683662号公報に記載されている。この芳香族
ポリカーボネート樹脂は実質的に溶融法で製造された芳
香族ポリカーボネート樹脂である。更にこの特許公報に
は、その物性を阻害しない範囲で酸化チタンを添加して
もよいとの記載がある。この組成物は溶液法の芳香族ポ
リカーボネート樹脂組成物よりアイゾット耐衝撃性に優
れていることが開示されている。しかしながら、かかる
組成物に使用されている溶融法芳香族ポリカーボネート
樹脂は相対蛍光強度については何ら考慮されておらず、
酸化チタンを添加した際、十分な白色度が得られず、衝
撃強度や熱安定性に劣る欠点を有していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、機械
的特性、熱安定性に優れるとともに、優れた白色度を有
する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を提供すること
にある。我々はかかる樹脂組成物を鋭意検討した結果、
溶融法の芳香族ポリカーボネート樹脂の相対蛍光強度を
特定の範囲にし、この芳香族ポリカーボネート樹脂を用
いることで、本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)蛍光ス
ペクトルを測定したとき(励起波長320nm)、基準
物質に対する465nmにおける相対蛍光強度が4×1
-3以下であり、且つ二価フェノールとカーボネート前
駆体とを溶融法で反応させて得られた芳香族ポリカーボ
ネート樹脂100重量部および(B)酸化チタン0.1
〜100重量部からなる芳香族ポリカーボネート樹脂組
成物に関するものである。
【0007】本発明で使用される芳香族ポリカーボネー
ト樹脂は、通常二価フェノールとカーボネート前駆体と
を溶融法で反応させて得られるものである。ここで使用
される二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロ
キノン、レゾルシノール、1,6−ジヒドロキシナフタ
リン、2,6−ジヒドロキシナフタリン、4,4’−ジ
ヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−1−フェニルメタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,
5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−1−ナフチルメタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノール
A)、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス{(4−ヒ
ドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−
ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニ
ル}プロパン、2,2−ビス{(3,5−ジブロモ−4
−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス
{(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ)フェニル}プ
ロパン、2,2−ビス{(3−ブロモ−4−ヒドロキ
シ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−クロロ
−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、4−ブロモレ
ゾルシノール、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4
−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス
{(3−フェニル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパ
ン、2,2−ビス{(3−エチル−4−ヒドロキシ)フ
ェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−n−プロピル
−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス
{(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシ)フェニル}
プロパン、2,2−ビス{(3−tert−ブチル−4
−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス
{(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ)フェニル}
プロパン、2,2−ビス{(3−メトキシ−4−ヒドロ
キシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジブ
ロモ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチレ
ン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス{(3−フェノキ
シ−4−ヒドロキシ)フェニル}エチレン、エチレング
リコールビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3
−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)イソブタン、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−4−メチルペンタン、3,3−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロ
ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、9,9−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−
ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フル
オレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、
α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイ
ソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4’−
ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス{(3,5−ジ
メチル−4−ヒドロキシ)フェニル}スルホン、4,
4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’
−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒ
ドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジ
フェニルエーテルおよび4,4’−ジヒドロキシジフェ
ニルエステルなどがあげられ、これらは単独または2種
以上を混合して使用できる。
【0008】なかでもビスフェノールA、2,2−ビス
{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパ
ン、2,2−ビス{(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキ
シ)フェニル}プロパン、エチレングリコールビス(4
−ヒドロキシフェニル)エーテル、2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリ
メチルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフェ
ニルスルホン、ビス{(3,5−ジメチル−4−ヒドロ
キシ)フェニル}スルホン、4,4’−ジヒドロキシジ
フェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェ
ニルスルフィド、および4,4’−ジヒドロキシジフェ
ニルケトンからなる群より選ばれた少なくとも1種のビ
スフェノールより得られる単独重合体または共重合体が
好ましく、特に、ビスフェノールAの単独重合体が好ま
しく使用される。
【0009】カーボネート前駆体としては、カーボネー
トエステルまたはハロホルメート等が使用される。具体
的には、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネー
ト、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m―クレジ
ルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフ
ェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチ
ルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキ
シルカーボネートなどが挙げられるが、これらに限定さ
れない。好ましくは、ジフェニルカーボネートまたは二
価フェノールのジハロホルメートなどを使用し、より好
ましくは、ジフェニルカーボネートを使用する。これら
炭酸エステルもまた、単独で用いても良く、また二種以
上を組み合わせて用いても良い。
【0010】上記二価フェノールとカーボネート前駆体
を溶融法によって反応させてポリカーボネート樹脂を製
造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二
価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。またポ
リカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合
物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、
芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合した
ポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、また、
得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混
合物であってもよい。
【0011】三官能以上の多官能性芳香族化合物として
は、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−
ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニ
ル)ヘプテン−2,2,4,6−トリメチル−2,4,
6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,
3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒド
ロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキ
シ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4
−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エ
チル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノー
ル等のトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェ
ニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)
ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェ
ニルメチル)ベンゼン、又はトリメリット酸、ピロメリ
ット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸及びこれらの
酸クロライド、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−
(3’−フェノキシカルボニル−4’−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2
−(3’−カルボキシ−4’−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン等が挙げられ、中でも1,1,1−トリス(4−
ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス
(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン
が好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシ
フェニル)エタンが好ましい。
【0012】溶融法による反応は、通常二価フェノール
とカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、
不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネートエ
ステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコール
またはフェノールを留出させる方法により行われる。反
応温度は生成するアルコールまたはフェノールの沸点等
により異なるが、通常120〜350℃の範囲である。
反応後期には系を10〜0.1Torr程度に減圧して
生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさ
せる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
【0013】また、溶融法において重合速度を速めるた
めに重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒とし
ては、例えば(i)アルカリ金属化合物又はアルカリ土
類金属化合物および/または(ii)含窒素塩基性化合物
よりなる触媒を用いて縮合される。
【0014】触媒として用いられるアルカリ金属化合物
としては、例えばアルカリ金属の水酸化物、炭化水素化
物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、亜流酸塩、シ
アン酸塩、チオシアン酸塩、ステアリン酸塩、水素化ホ
ウ素塩、安息香酸塩、リン酸水素化物、ビスフェノー
ル、フェノールの塩等が挙げられる。
【0015】具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭
酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、
炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カ
リウム、酢酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウ
ム、硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウ
ム、亜硝酸リチウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウ
ム、亜硫酸リチウム、シアン酸ナトリウム、シアン酸カ
リウム、シアン酸リチウム、チオシアン酸ナトリウム、
チオシアン酸カリウム、チオシアン酸リチウム、ステア
リン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン
酸リチウム、水酸化ホウ素ナトリウム、水酸化ホウ素リ
チウム、水素化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素ナト
リウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息
香酸リチウム、リン酸水素ジナトリウム、リン酸水素ジ
カリウム、リン酸水素ジリチウム、ビスフェノールAの
ジナトリウム塩、ジカリウム塩、ジリチウム塩、フェノ
ールのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などが挙
げられる。
【0016】触媒としてのアルカリ金属化合物は、二価
フェノール1モルに対し10-8〜10-5モルの範囲で使
用しうる。上記使用範囲を逸脱すると、得られるポリカ
ーボネートの諸物性に悪影響を及ぼしたり、また、エス
テル交換反応が充分に進行せず高分子量のポリカーボネ
ートが得られない等の問題があり好ましくない。
【0017】また、触媒としての含窒素塩基性化合物と
しては、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド
(Me4NOH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキ
シド(Et4NOH)、テトラブチルアンモニウムヒド
ロキシド(Bu4NOH)、ベンジルトリメチルアンモ
ニウムヒドロキシド(φ―CH2(Me)3NOH)、ヘ
キサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなどの
アルキル、アリール、アルキルアリール基などを有する
アンモニウムヒドロオキシド類、トリエチルアミン、ト
リブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ヘキサデシ
ルジメチルアミンなどの3級アミン類、あるいはテトラ
メチルアンモニウムボロハイドライド(Me4NB
4)、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド
(Bu4NBH4)、テトラブチルアンモニウムテトラフ
ェニルボレート(Bu4NBPh4)、テトラメチルアン
モニウムテトラフェニルボレート(Me4NBPh4)な
どの塩基性塩などを挙げることができる。これらの中
で、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(Me4
OH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(Et
4NOH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド
(Bu4NOH)が好ましく、特にテトラメチルアンモ
ニウムヒドロキシド(Me4NOH)が好ましい。
【0018】上記含窒素塩基性化合物は、含窒素塩基性
化合物中のアンモニウム窒素原子が二価フェノール1モ
ル当り1×10-5〜1×10-3当量となる割合で用いる
のが好ましい。より好ましい割合は同じ基準に対し2×
10-5〜7×10-4当量となる割合である。特に好まし
い割合は同じ基準に対し5×10-5〜5×10-4当量と
なる割合である。本発明においては所望により、アルカ
リ金属やアルカリ土類金属のアルコキシド類、アルカリ
金属やアルカリ土類金属の有機酸塩類、亜鉛化合物類、
ホウ素化合物類、アルミニウム化合物類、珪素化合物
類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ化合物類、鉛化合
物類、オスミウム化合物類、アンチモン化合物類、マン
ガン化合物類、チタン化合物類、ジルコニウム化合物類
などの通常エステル化反応、エステル交換反応に使用さ
れる触媒を用いることができる。触媒は単独で使用して
もよいし、2種以上組み合わせ使用してもよい。これら
の重合触媒の使用量は、原料の二価フェノール1モルに
対し、好ましくは1×10−9〜1×10−5当量、よ
り好ましくは1×10-8〜5×10-6当量の範囲で選ば
れる。
【0019】また、かかる重合反応において、フェノー
ル性の末端基を減少するために、重縮反応の後期あるい
は終了後に、例えばフェノール、p−t−ブチルフェノ
ール、p−t−ブチルフェニルフェニルカーボネート、
p−t−ブチルフェニルカーボネート、p−クミルフェ
ノール、p−クミルフェニルフェニルカーボネート、p
−クミルフェニルカーボネート、ビス(クロロフェニ
ル)カーボネート、ビス(ブロモフェニル)カーボネー
ト、ビス(ニトロフェニル)カーボネート、ビス(フェ
ニルフェニル)カーボネート、クロロフェニルフェニル
カーボネート、ブロモフェニルフェニルカーボネート、
ニトロフェニルフェニルカーボネート、ジフェニルカー
ボネート、メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボ
ネート、2,2,4−トリメチル−4−(4−ヒドロキ
シフェニル)クロマン2,4,4−トリメチル−2−
(4−ヒドロキシフェニル)クロマンおよびエトキシカ
ルボニルフェニルフェニルカーボネート等の化合物を加
えることが好ましい。なかでも2−クロロフェニルフェ
ニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフ
ェニルカーボネートおよび2−エトキシカルボニルフェ
ニルフェニルカーボネートが好ましく、特に2−メトキ
シカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好ましく
使用される。
【0020】本発明において末端封鎖剤を用いて芳香族
ポリカーボネート樹脂の末端を封鎖することが好まし
い。また、末端封鎖剤を添加する前の芳香族ポリカーボ
ネート樹脂の末端水酸基濃度を全末端に対して20モル
%以上、好ましくは30モル%以上、さらに好ましくは
40モル%以上に制御することが好ましい。かくするこ
とにより、特定の末端基を高い割合で導入でき、芳香族
ポリカーボネート樹脂の改質効果を高めることができ
る。通常は、芳香族ポリカーボネート樹脂の末端水酸基
濃度が、全末端のうち水酸基が30〜95モル%の範囲
の芳香族ポリカーボネート樹脂に末端封鎖剤を用いるこ
とが有利である。また、末端封鎖剤を添加する前の芳香
族ポリカーボネート樹脂水酸基の末端割合は、原料であ
る二価フェノールとジフェニルカーボネートの仕込み比
によってコントロールすることができる。ここで芳香族
ポリカーボネート樹脂の一定量における末端水酸基濃度
のモル数は、常法により1H―NMRにより決定でき
る。
【0021】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂の末
端水酸基濃度は、全末端に対して0〜40モル%、好ま
しくは0〜18モル%、さらに好ましくは0〜9モル
%、最も好ましくは0〜7モル%に制御することが好ま
しい。ここで0モル%とは1H―NMR法で測定した
時、検出不可能を表す。末端水酸基濃度がかかる範囲に
あると、白色度および衝撃強度が更に向上する。
【0022】本発明では、芳香族ポリカーボネート樹脂
中の触媒の活性を中和する失活剤を用いることが好まし
い。この失活剤の具体例としては、例えばベンゼンスル
ホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸
メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン
酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスル
ホン酸フェニル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−
トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸ブ
チル、p−トルエンスルホン酸オクチル、p−トルエン
スルホン酸フェニルなどのスルホン酸エステル;さら
に、トリフルオロメタンスルホン酸、ナフタレンスルホ
ン酸、スルホン化ポリスチレン、アクリル酸メチル‐ス
ルホン化スチレン共重合体、ドデシルベンゼンスルホン
酸−2−フェニル−2−プロピル、ドデシルベンゼンス
ルホン酸−2−フェニル−2−ブチル、オクチルスルホ
ン酸テトラブチルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テ
トラブチルホスホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラ
ブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テ
トラエチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン
酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスル
ホン酸テトラヘキシルホスホニウム塩、ドデシルベンゼ
ンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩、デシルア
ンモニウムブチルサルフェート、デシルアンモニウムデ
シルサルフェート、ドデシルアンモニウムメチルサルフ
ェート、ドデシルアンモニウムエチルサルフェート、ド
デシルメチルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシ
ルジメチルアンモニウムテトラデシルサルフェート、テ
トラデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、
テトラメチルアンモニウムヘキシルサルフェート、デシ
ルトリメチルアンモニウムヘキサデシルサルフェート、
テトラブチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェー
ト、テトラエチルアンモニウムドデシルベンジルサルフ
ェート、テトラメチルアンモニウムドデシルベンジルサ
ルフェート等の化合物を挙げることができるが、これら
に限定されない。これらの化合物を二種以上併用するこ
ともできる。
【0023】失活剤の中でホスホニウムもしくはアンモ
ニウム塩型の失活剤はそれ自身200℃以上でも特に安
定である。そしてその失活剤を芳香族ポリカーボネート
樹脂に添加した場合すみやかに重縮合反応触媒を中和
し、目的とする芳香族ポリカーボネート樹脂を得ること
ができる。即ち、重合封鎖反応後に生成するポリカーボ
ネートに対し、失活剤を好ましくは0.01〜500p
pmの割合で、より好ましくは0.01〜300pp
m、特に好ましくは0.01〜100ppmの割合で使
用される。
【0024】また、かかる失活剤は、重縮合反応触媒に
対する割合では、重縮合反応触媒1モル当り0.5〜5
0モルの割合で用いるのが好ましい。失活剤を末端封鎖
後の芳香族ポリカーボネート樹脂に添加する方法には特
に限定されない。例えば、反応生成物である芳香族ポリ
カーボネート樹脂が溶融状態にある間にこれらを添加し
てもよいし、一旦芳香族ポリカーボネート樹脂をペレタ
イズした後再溶融して添加してもよい。前者において
は、末端封鎖反応が終了して得られる溶融状態にある反
応器内または押出機内の反応生成物である芳香族ポリカ
ーボネート樹脂が溶融状態にある間に、これらを添加し
て芳香族ポリカーボネート樹脂を形成した後、押出機を
通してペレタイズしてもよいし、また、重合封鎖反応で
得られた芳香族ポリカーボネート樹脂が反応器から押出
機を通ってペレタイズされる間に、失活剤を添加して混
練することによって芳香族ポリカーボネート樹脂を得る
ことができる。
【0025】本発明の溶融重合された芳香族ポリカーボ
ネート樹脂では、その反応を促進するために重合触媒を
用いた場合は、重合反応後にも重合触媒が残存すること
が多い。この残存した触媒を重合反応終了後、そのまま
放置すると重合触媒の触媒活性により芳香族ポリカーボ
ネート樹脂の分解や再反応が起こる弊害がある。更にか
かる残存触媒活性のある芳香族ポリカーボネート樹脂と
酸化チタンとの芳香族ポリカーボネート樹脂組成物では
その影響が拡大される上に、白色度の低下や衝撃強度の
低下等の新たな問題が発生することがあり、かかる残存
触媒活性を抑制することが好ましい。
【0026】残存触媒活性を抑制する指標として残存触
媒活性指数を用いて、以下の要領で測定する。測定機器
として、測定対象となるサンプルの溶融粘度範囲の測定
が可能な回転型のレオメーターを使用し、サンプルが外
部の酸素により酸化しないよう、十分な窒素気流中、測
定する樹脂が溶融する一定温度の条件下で、サンプルを
一定方向かつ一定の角速度で回転させ、その際の溶融粘
度変化を観察する。サンプルを測定する際の粘弾性測定
器の治具は、サンプル全体の歪みが一定となるよう、す
なわち剪断速度が一定となるよう円錐円板形のものを使
用する。即ち、下記式(i)により計算した1分間当た
りの溶融粘度変化を残存触媒活性指数とした。
【0027】
【数1】
【0028】この残存触媒活性指数は、2%以下で好ま
しく、より好ましくは1%以下、更に好ましくは0.5
%以下、最も好ましくは0.2%以下である。残存触媒
活性指数がこの範囲であると芳香族ポリカーボネート樹
脂が経時変化が少なく、好ましい。
【0029】本発明の溶融重合された芳香族ポリカーボ
ネート樹脂では、その相対蛍光強度を4×10-3以下に
抑えることが肝要である。この相対蛍光強度が4×10
-3を越えると、芳香族ポリカーボネート樹脂と酸化チタ
ンとの芳香族ポリカーボネート樹脂組成物では、白色度
及び衝撃強度の低下等の新たな問題が発生する。この相
対蛍光強度は3×10-3以下が好ましく、最も好ましく
は2×10-3以下である。
【0030】このような芳香族ポリカーボネート樹脂の
熱分解、および機械的分解が少ない蛍光強度が特定値以
下の芳香族ポリカーボネートを得るためには、下記のよ
うにエステル交換触媒の量を規定すること、該エステル
交換触媒をスルホン酸系化合物により失活すること、ポ
リカーボネートの分子末端についてヒドロキシ基の全分
子末端にしめる割合を規定すること、および芳香族ポリ
カーボネートの分子末端を封止することが好ましい。
【0031】また溶融重縮合反応における芳香族ポリカ
ーボネート樹脂温度を常に255℃以下に保つことが、
熱分解、および機械的分解が少ない蛍光強度が特定値以
下の芳香族ポリカーボネートを得るために好ましい。
【0032】また重合釜撹拌翼の撹拌について、下記式 撹拌剪断速度=撹拌翼の周速/反応釜と撹拌翼の隙間の
長さ [ここで撹拌剪断速度の単位は1/sec、撹拌翼の周
速の単位はcm/sec撹拌翼の隙間の長さの単位はc
mである]で表される重合釜撹拌翼の撹拌剪断速度(単
位:1/sec)を撹拌翼半径(単位;cm)の2乗で
割った数値を0.1〜0.001(1/sec×c
2)とすることが、熱分解、および機械的分解が少な
い蛍光強度が特定値以下の芳香族ポリカーボネートを得
るために好ましい。
【0033】これらの芳香族ポリカーボネートの製造に
おける触媒系については、塩基性窒素化合物と、アルカ
リ金属化合物を併用し、アルカリ金属化合物の使用量を
ビスフェノールA1モル当り5.0×10-6モル以下に
抑えることによりエステル交換反応も、工業的に有利に
進み、流動性、色調良好なポリカーボネートを得ること
ができる。
【0034】芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、
粘度平均分子量(Mv)で12,000〜30,000
が好ましく、14,000〜27,000がより好まし
く、15,000〜25,000が特に好ましい。かか
る粘度平均分子量を有する芳香族ポリカーボネート樹脂
は、組成物として十分な強度が得られ、また、成形時の
溶融流動性も良好であり成形歪みが発生せず好ましい。
本発明でいう粘度平均分子量は塩化メチレン100mL
にポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶
液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたも
のである。 ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は
極限粘度) [η]=1.23×10-4Mv0.83 c=0.7
【0035】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物に用いる酸化チタンとしては、製造方法および結晶構
造によって特に限定されるものではないが、塩素法によ
り製造され、ルチル形の結晶構造をとる酸化チタンが好
ましい。また、使用される酸化チタンの平均粒子径とし
ては、特に限定されるものではないが、0.01〜0.5
μmのものが好ましく、0.1〜0.3μmのものが特に
好ましい。また、本発明の目的を損なわない範囲で、通
常酸化チタンの表面処理剤として使用される処理剤であ
らかじめ処理されていても構わない。かかる処理剤とし
ては、例えばアルミナおよびシリカが挙げられ、各々単
独で使用しても、併用して使用しても構わない。またそ
れら表面処理剤中には、本発明を阻害しない程度の量で
有機分散剤や安定剤等が含まれていてもよい。
【0036】また本発明に使用する酸化チタンは、シリ
コン系化合物により表面処理されたものが好ましい。シ
リコン系化合物としては、アルキルポリシロキサン、ア
ルキルアリールポリシロキサン、アルキルハイドロジェ
ンポリシロキサンなどのシロキサン類及びアルキルトリ
メトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ンなどのシランカップリング剤などが挙げられる。特に
好ましい表面処理剤として、アルキルハイドロジェンポ
リシロキサン、アルキルハイドロジェンポリシクロシロ
キサンなどのポリオルガノ水素シロキサンが挙げられ
る。
【0037】上記酸化チタンとポリオルガノ水素シロキ
サンは、そのままの状態でポリカーボネート樹脂に配合
することができるが、本発明の効果の面から、予めポリ
オルガノ水素シロキサンで酸化チタンの表面処理を行っ
た後、該表面処理酸化チタンをポリカーボネート樹脂に
混合することが好ましい。
【0038】表面処理の方法としては一般的に、湿式法
と乾式法が挙げられ、湿式法の場合、ポリオルガノ水素
シロキサンと低沸点溶剤の混合溶液に、酸化チタンを加
え、攪拌後、脱溶媒を行う。その後、更に100〜30
0℃で熱処理してもよい。また、乾式法の場合は、酸化
チタンとポリオルガノ水素シロキサンをヘンシェルミキ
サー、スーパーミキサー、V型タンブラーなどの混合機
中で混合するか、ポリオルガノ水素シロキサン有機溶液
を酸化チタンに噴霧して付着させ、更に100〜300
℃で熱処理してもよい。
【0039】また、該ポリオルガノ水素シロキサン表面
処理酸化チタンのポリオルガノ水素シロキサン反応付加
率は、35%以上である事が好ましい。ポリオルガノ水
素シロキサン反応付加率は、ポリオルガノ水素シロキサ
ンにて表面処理された酸化チタンのFT−IRを測定す
る事により、Si−Hピーク(2,200cm-1付近)
の吸光度を求め、ブランク(該表面処理に用いたポリオ
ルガノ水素シロキサン)との対比により反応率を算出し
た値のことである。
【0040】また、好ましい表面処理剤としてトリメチ
ルシロキシシリケートが挙げられる。トリメチルシロキ
シシリケートは、ガラス中のナトリウムをトリメチルシ
リル基で置換したもので、下記一般式(1)に示す化学
構造を有するものである。
【0041】
【化1】 [(CH33SiO1/2X[SiO2Y …(1) [ここで、X=1〜3、Y=0.5〜8]
【0042】上記酸化チタンを前記トリメチルシロキシ
シリケートで表面処理を施すに際し、トリメチルシロキ
シシリケートはそのものが固形物であるため、また酸化
チタン表面への被覆をより均一にするために、このトリ
メチルシロキシシリケートを適当な溶媒、例えば比較的
低分子量のメチルポリシロキサン、デカメチルシクロペ
ンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサ
ン、n−ヘキサン、イソプロピルアルコール、塩化メチ
レン、1,1,1−トリクロロエタン、あるいはこれらの
溶媒の混合物等に溶解させた溶液を使用することが好ま
しい。溶媒により溶解希釈された溶液は市場より容易に
入手することができる、例えば信越化学工業(株)より
市販されているKF7312J(溶媒:デカメチルシク
ロペンタシロキサン)、KF7312F(溶媒:オクタ
メチルシクロテトラシロキサン)、KF7312K(溶
媒:低粘度メチルポリシロキサン)、また東レ・ダウコ
ーニング・シリコーン(株)より市販されているBY1
1−018(溶媒:デカメチルシクロペンタシロキサ
ン)、DC593(溶媒:低粘度メチルポリシロキサ
ン)等が挙げられる。
【0043】上記酸化チタンを前記トリメチルシロキシ
シリケートで表面処理する方法として、トリメチルシロ
キシシリケートが溶解している前記溶液中に酸化チタン
を添加混合した後に、加熱あるいは減圧することによっ
て溶媒のみを蒸発除去して表面処理を施す方法、また
は、酸化チタンを高速攪拌装置(ヘンシェルミキサー
等)で強攪拌中に、トリメチルシロキシシリケートが溶
解する前記溶液を滴下あるいはスプレー噴霧し、加熱あ
るいは減圧することによって溶媒のみを蒸発除去して表
面処理を施す方法等がある。いずれの方法に際しても、
酸化チタン表面に存在する活性点と前記トリメチルシロ
キシシリケートを反応させ、またトリメチルシロキシシ
リケート同士を架橋重合させ酸化チタン表面を被覆する
ために、2〜15時間、100〜250℃にて高温加熱
処理を行って十分に酸化チタンの活性点を失活させると
ともに、前記トリメチルシロキシシリケートの低分子量
物を除去することによって、より表面処理を安定化させ
ることは非常に有効である。
【0044】また、好ましい表面処理剤として下記一般
式(2)で示されるポリシロキサンが使用される。
【0045】
【化2】
【0046】[式中、R1はアルキル基好ましくは炭素
原子数1〜15のアルキル基、アリール基好ましくは炭
素原子数6〜15のアリール基、アルコキシル基好まし
くは炭素原子数1〜15のアルコキシル基または−R2
−R3もしくは−R2−CH(CH3)R3(但し、R2
アルキレン基好ましくはメチレン基、エチレン基または
プロピレン基、R3はアリール基好ましくはフェニル基
を示す。)、nおよびmは正の整数であり、10≦m+
n≦1000好ましくは20≦m+n≦800であ
る。]
【0047】上記一般式(2)で表されるポリシロキサ
ンの中で、特に好ましいものとしては、下記一般式
(3)〜(6)に示すポリシロキサンが挙げられる。
【0048】
【化3】
【0049】
【化4】
【0050】
【化5】
【0051】
【化6】
【0052】上記酸化チタンを前記ポリシロキサンで表
面処理を施すに際し、ポリシロキサンの酸化チタン表面
への被覆をより均一にするために、このポリシロキサン
を適当な溶媒、例えば比較的低分子量のメチルポリシロ
キサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメ
チルシクロテトラシロキサン、n−ヘキサン、イソプロ
ピルアルコール、塩化メチレン、1,1,1−トリクロロ
エタン、あるいはこれらの溶媒の混合物等に溶解させた
溶液を使用することができる。
【0053】かかる酸化チタンをポリシロキサンで表面
処理する方法として、前記ポリシロキサンが溶解してい
る溶液中に酸化チタンを添加混合した後に溶媒のみを蒸
発除去して表面処理を施す方法、または酸化チタンを高
速攪拌装置(ヘンシェルミキサー等)で強攪拌中に、ポ
リシロキサンの溶液あるいはポリシロキサンそのものを
滴下あるいはスプレー噴霧し、加熱あるいは減圧するこ
とによって溶媒のみを蒸発除去して表面処理を施す方法
等がある。いずれの方法に際しても、酸化チタン表面に
存在する活性点と前記ポリシロキサンを反応させ、また
ポリシロキサン同士を架橋させ酸化チタン表面を被覆す
るために、150〜300℃、好ましくは200〜28
0℃にて2〜15時間程度高温加熱処理を行って十分に
酸化チタンの活性点を失活させるとともに、前記ポリシ
ロキサンの低分子量物を除去することによって、表面処
理を安定化させることが必要である。
【0054】前記シリコン化合物の表面処理量は、酸化
チタン100重量部に対して、0.01〜30重量部が
好ましく、0.1〜20重量部がより好ましく、1〜1
0重量部が特に好ましい。
【0055】本発明における酸化チタンの配合割合は、
芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、
0.1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部であ
る。酸化チタンの配合量が、0.1重量部未満では、十
分な白色度を有する樹脂組成物が得られず、100重量
部を越えると芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量の低
下や物性特に衝撃強度の低下が起こり、更に白色度も低
下する。
【0056】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物には、成形時における分子量の低下や色相の悪化を防
止するために熱安定剤を配合することができる。かかる
熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、
ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、具体
的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフ
ェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert
−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファ
イト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホ
スファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオ
クチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノ
フェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファ
イト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチ
ルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−ter
t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトー
ルジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ
−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、
ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフ
ァイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニ
ル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリ
ルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホ
スフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホス
フェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノ
オルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、
ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェー
ト、4,4’−ビフェニレンジホスホスフィン酸テトラ
キス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベン
ゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチ
ル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。な
かでも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチ
ルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチ
ルフェニル)ホスファイトおよびベンゼンホスホン酸ジ
メチルが好ましく使用される。これらの熱安定剤は、単
独でもしくは2種以上混合して用いてもよい。かかる熱
安定剤の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100
重量部に対して0.0001〜1重量部が好ましく、
0.0005〜0.5重量部がより好ましく、0.00
1〜0.1重量部が更に好ましい。
【0057】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を配
合することもできる。かかる酸化防止剤としては、例え
ばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプ
ロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3
−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−
ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコー
ル−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−
ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,
5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−
tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベン
ジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシン
ナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒド
ロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、ト
リス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
ベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレン
ジホスホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert
−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル
−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}
−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウ
ンデカン等が挙げられる。これら酸化防止剤の配合量
は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して
0.0001〜0.05重量部が好ましい。
【0058】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物には、溶融成形時の金型からの離型性をより向上させ
るために、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤を配
合することも可能である。かかる離型剤としては、オレ
フィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシ
ロキサン、一価又は多価アルコールの高級脂肪酸エステ
ル、パラフィンワックス、蜜蝋等が挙げられる。かかる
離型剤の配合量は、A成分の芳香族ポリカーボネート樹
脂100重量部に対し、0.01〜2重量部が好まし
い。
【0059】オレフィン系ワックスとしては、特にポリ
エチレンワックスおよび/または1−アルケン重合体の
使用が好ましくきわめて良好な離型効果が得られる。ポ
リエチレンワックスとしては現在一般に広く知られてい
るものが使用でき、エチレンを高温高圧下で重合したも
の、ポリエチレンを熱分解したもの、ポリエチレン重合
物より低分子量成分を分離精製したもの等が挙げられ
る。また分子量、分岐度等は特に制限されるものではな
いが、分子量としては数平均分子量で1,000以上が
好ましい。更にポリエチレンワックスをマレイン酸およ
び/または無水マレイン酸で変性したタイプも使用でき
る。1−アルケン重合体としては炭素数5〜40の1−
アルケンを重合したものが使用でき、更にマレイン酸お
よび/または無水マレイン酸を同時に共重合したタイプ
も使用できる。マレイン酸および/または無水マレイン
酸を同時に共重合したタイプでは摺動性向上効果と共
に、衝撃強度が向上する特徴がある。1−アルケン重合
体の分子量としては数平均分子量で1,000以上が好
ましい。かかる場合には強度を維持しながら良好な離型
性が得られる。
【0060】高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数
1〜20の一価又は多価アルコールと炭素原子数10〜
30の飽和脂肪酸との部分エステル又は全エステルであ
るのが好ましい。かかる一価又は多価アルコールと飽和
脂肪酸との部分エステル又は全エステルとしては、ステ
アリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、
ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビ
テート、ベヘニン酸モノグリセリド、ペンタエリスリト
ールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラス
テアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネー
ト、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリ
ルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステ
アレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテー
ト、ビフェニルビフェネ−ト、ソルビタンモノステアレ
ート、2−エチルヘキシルステアレート等が挙げられ、
なかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸
トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレ
ートが好ましく用いられる。
【0061】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物には、本発明の目的を損なわない範囲で、光安定剤を
配合することができる。かかる光安定剤としては、例え
ば2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチル
フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−
ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−
クロロベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒ
ドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒ
ドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)
フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メ
チレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェ
ニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベン
ゾオキサジン−4−オン)等が挙げられる。かかる光安
定剤の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重
量部に対して0.01〜2重量部が好ましい。
【0062】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物には、本発明の目的を損なわない範囲で、帯電防止剤
を配合することができる。かかる帯電防止剤としては、
例えばポリエーテルエステルアミド、グリセリンモノス
テアレート、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム
塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩、無水
マレイン酸モノグリセライド、無水マレイン酸ジグリセ
ライド等が挙げられる。
【0063】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物には、本発明の目的が損なわれない量の難燃剤を配合
することができる。難燃剤としては、ハロゲン化ビスフ
ェノールAのポリカーボネート型難燃剤、有機塩系難燃
剤、芳香族リン酸エステル系難燃剤、あるいは、ハロゲ
ン化芳香族リン酸エステル型難燃剤等があげられ、それ
らを一種以上配合することができる。具体的にハロゲン
化ビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤は、テ
トラクロロビスフェノールAのポリカーボネート型難燃
剤、テトラクロロビスフェノールAとビスフェノールA
との共重合ポリカーボネート型難燃剤テトラブロモビス
フェノールAのポリカーボネート型難燃剤、テトラブロ
モビスフェノールAとビスフェノールAとの共重合ポリ
カーボネート型難燃剤等である。具体的に有機塩系難燃
剤は、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジ
カリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウ
ム、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸カリ
ウム、ビス(2,6−ジブロモ−4−クミルフェニル)
リン酸カリウム、ビス(4−クミルフェニル)リン酸ナ
トリウム、ビス(p−トルエンスルホン)イミドカリウ
ム、ビス(ジフェニルリン酸)イミドカリウム、ビス
(2,4,6−トリブロモフェニル)リン酸カリウム、
ビス(2,4−ジブロモフェニル)リン酸カリウム、ビ
ス(4−ブロモフェニル)リン酸カリウム、ジフェニル
リン酸カリウム、ジフェニルリン酸ナトリウム、パーフ
ルオロブタンスルホン酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリ
ウムあるいはカリウム、ヘキサデシル硫酸ナトリウムあ
るいはカリウム等である。具体的にハロゲン化芳香族リ
ン酸エステル型難燃剤は、トリス(2,4,6−トリブ
ロモフェニル)ホスフェート、トリス(2,4−ジブロ
モフェニル)ホスフェート、トリス(4−ブロモフェニ
ル)ホスフェート等である。具体的に芳香族リン酸エス
テル系難燃剤は、トリフェニルホスフェート、トリス
(2,6−キシリル)ホスフェート、テトラキス(2,
6−キシリル)レゾルシンジホスフェート、テトラキス
(2,6−キシリル)ヒドロキノンジホスフェート、テ
トラキス(2,6−キシリル)−4,4’−ビフェノー
ルジホスフェート、テトラフェニルレゾルシンジホスフ
ェート、テトラフェニルヒドロキノンジホスフェート、
テトラフェニル−4,4’−ビフェノールジホスフェー
ト、芳香環ソースがレゾルシンとフェノールでありフェ
ノール性OH基を含まない芳香族ポリホスフェート、芳
香環ソースがレゾルシンとフェノールでありフェノール
性OH基を含む芳香族ポリホスフェート、芳香環ソース
がヒドロキノンとフェノールでありフェノール性OH基
を含まない芳香族ポリホスフェート、同様のフェノール
性OH基を含む芳香族ポリホスフェート、(以下に示す
「芳香族ポリホスフェート」は、フェノール性OH基を
含む芳香族ポリホスフェートと含まない芳香族ポリホス
フェートの両方を意味するものとする)芳香環ソースが
ビスフェノールAとフェノールである芳香族ポリホスフ
ェート、芳香環ソースがテトラブロモビスフェノールA
とフェノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソ
ースがレゾルシンと2,6−キシレノールである芳香族
ポリホスフェート、芳香環ソースがヒドロキノンと2,
6−キシレノールである芳香族ポリホスフェート、芳香
環ソースがビスフェノールAと2,6−キシレノールで
ある芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがテトラブ
ロモビスフェノールAと2,6−キシレノールである芳
香族ポリホスフェート等である。
【0064】これらの難燃剤の中で、ハロゲン化ビスフ
ェノールAのポリカーボネート型難燃剤として、テトラ
ブロモビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤、
テトラブロモビスフェノールAとビスフェノールAとの
共重合ポリカーボネートが好ましく、更にテトラブロモ
ビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤が好まし
い。有機塩系難燃剤としてはジフェニルスルホン−3,
3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−
3−スルホン酸カリウム、2,4,5−トリクロロベン
ゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。芳香族リン酸エ
ステル系難燃剤としては、トリフェニルホスフェート、
トリクレジルフスフェート、クレジルジフェニルホスフ
ェート、レズルシノールビス(ジキシレニルホスフェー
ト)、ビス(2,3ジブロモプロピル)ホスフェート、
トリス(2,3ジブロモプロピル)ホスフェートが好ま
しい。これらの中でも、オゾン層破壊しない芳香族リン
酸エステル系難燃剤であるトリフェニルホスフェート、
トリクレジルフスフェート、レズルシノールビス(ジキ
シレニルホスフェート)が最も好ましい。
【0065】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物には、他の樹脂やエラストマーを本発明の目的が損な
われない範囲で、すなわち極めて少割合であれば配合す
ることもできる。
【0066】かかる他の樹脂としては、例えばポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の
ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、
ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリフェ
ニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、
ポリスルホン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等の
ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニト
リル/スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリ
ル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポ
リメタクリレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂
等の樹脂が挙げられる。
【0067】また、エラストマーとしては、例えばイソ
ブチレン/イソプレンゴム、スチレン/ブタジエンゴ
ム、エチレン/プロピレンゴム、アクリル系エラストマ
ー、シリコーンゴム、ポリエステル系エラストマー、ポ
リアミド系エラストマー、コアシェル型のエラストマー
であるMBS(メタクリル酸メチル/スチレン/ブタジ
エン)ゴム、MAS(メタクリル酸メチル/アクリロニ
トリル/スチレン)ゴム等が挙げられる。
【0068】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物を製造するには、任意の方法が採用される。例えばタ
ンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウタ
ーミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機
等で混合する方法が適宜用いられる。こうして得られる
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、そのまま又は溶
融押出機で一旦ペレット状にしてから、射出成形法、押
出成形法、圧縮成形法等の通常知られている方法で成形
品にすることができる。なお、芳香族ポリカーボネート
樹脂への配合成分の分散を高めて安定した離型性や各物
性を得るためには、溶融押出において二軸押出機を使用
するのが好ましい。更に本発明の繊維状充填材は直接押
出機ホッパー口あるいは押出機途中から投入する方法、
芳香族ポリカーボネート樹脂と予め混合する方法、一部
の芳香族ポリカーボネート樹脂と予め混合してマスター
を作成し投入する方法、かかるマスターを押出機途中か
ら投入する方法のいずれの方法も取ることができる。
【0069】かくして得られた本発明の芳香族ポリカー
ボネート樹脂組成物は、機械的特性、寸法安定性、耐熱
性等に優れ、且つ白色度および光反射特性に優れている
ので液晶表示盤やLED(発光ダイオード)の表示盤等
の反射板に有用である。
【0070】
【実施例】以下に実施例をあげて更に説明する。実施例
中の「部」または「%」は重量部または重量%を示し、
また評価項目および組成物中の各成分の記号は下記の内
容を意味する。
【0071】(I)評価項目 (1)相対蛍光強度 下記条件により測定した芳香族ポリカーボネート樹脂の
465nmにおける蛍光強度(励起波長320nm)を
基準物質の蛍光強度を測定し、その比(相対蛍光強度=
芳香族ポリカーボネート樹脂の蛍光強度/基準物質の蛍
光強度)を計算した。 測定条件 装置 日立F4500 ランプ Xe、150W スリット巾 Ex/Em 各2.5mm ホトマル 400W サンプル(濃度) 1mg芳香族ポリカーボネート樹脂/5ml 塩化メチレン 比較基準物質:サルチル酸フェニル1.0×10-3mg
/ml塩化メチレン
【0072】(2)残存触媒活性指数 残存触媒活性量は以下のように測定した。サンプルは測
定前に120℃、4時間の減圧乾燥を行い測定に供し
た。測定機としてレオメトリックス(株)製RDA−I
I型粘弾性測定器を使用し、直径25mmの円錐円板型
の治具を装着し、測定中サンプルの本機器の適正条件を
満足した窒素気流中、測定温度である270℃に設定し
た。測定温度はオーブン内の温度を測定することにより
設定した。その後乾燥した測定用サンプルをセットし、
サンプル全体が十分に測定温度となるよう静置の後、そ
の後角速度1rad/秒の回転をすることで測定を開始
し、これを30分間続け、その間の溶融粘度の変化を観
察した。この測定より回転開始後5分後及び30分後の
溶融粘度を求め、それらの値を下記式(i)より計算す
ることにより、1分間当たりの溶融粘度変化を残存触媒
活性指数として表した。
【0073】
【数2】
【0074】(3)末端水酸基濃度 サンプル0.02gを0.4mlのクロロホルムに溶解
し、20℃で1H−NMR(日本電子社製EX−27
0)を用いて末端水酸基および末端フェニル基を測定
し、下記式(ii)により末端水酸基濃度を測定した。 末端水酸基濃度(モル%)=(末端水酸基数/全末端数)×100 …(ii)
【0075】(4)粘度平均分子量 粘度平均分子量(Mv)は、塩化メチレンに20℃で
0.7g/dlの濃度で溶解した溶液から求めた比粘度
ηSPを前述の式に挿入して求めた。
【0076】(5)ノッチ付衝撃強度 ASTM D256により厚み1/8”の試験片を用い
ノッチ側からおもりを衝撃させ衝撃値を測定した(kg
f・cm/cm)。
【0077】(6)色相 カラーマシン[東京電色(株)製カラーコンピュター
TC−1800MKII]により厚さ2mmの見本板のL
値、a値、b値を測定し、下記式より白色度を求めた。 白色度(W)=100−[(100−L)2+a2
21/2
【0078】(II)組成物中の各成分の記号 (a)芳香族ポリカーボネート樹脂 EX−PC [参照例1]本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂の製
造 ビスフェノールA、228重量部、ジフェニルカーボネ
ート220重量部及びエステル交換触媒;ビスフェノー
ルAのNa2塩(1.36×10-5重量部;Naとして
0.1μmol/1molビスフェノールA)及びテト
ラメチルアンモニウムヒドロキシド(9.1×10-3
量部;100μmol/1molビスフェノールA)を
撹拌装置、蒸留塔及び減圧装置を備えた反応槽に仕込み
窒素置換した後、140℃で溶解した.30分間撹拌
後、内温を180℃に昇温し、内圧100mmHg30
分間反応させ、生成するフェノールを溜去した。ついで
内温を200℃に昇温しつつ徐々に減圧し50mmHg
で30分間フェノールを溜去しつつ反応させた。更に2
20℃、30mmHgまで徐々に昇温、減圧し、同温
度、同圧下で30分間、更に、240℃、10mmH
g、250℃、1mmHgまで上記と同じ手順で昇温、
減圧を繰り返し反応を続行した。
【0079】最終的に250〜255℃で(常に255
℃以下に保つよう留意した)、また重合釜撹拌翼の撹拌
剪断速度(単位:1/sec)を撹拌翼半径(単位;c
m)の2乗で割った数値を0.001(1/sec×c
2)に保ちつつポリカーボネートの重縮合を継続し
た。
【0080】重縮合終了後末端停止剤として2−メトキ
シカルボニルフェニルフェニルカーボネート3.1部を
添加した。その後255℃、1Torr以下で10分間
末端封鎖反応を行った。次に溶融状態のままで、触媒失
活剤としてドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホ
スホニウム塩を0.00029部(5×10-7モル/ビ
スフェノール1モル)添加して255℃、10Torr
以下で反応を継続し、粘度平均分子量23300、末端
水酸基濃度6モル%、相対蛍光強度1×10-3及び触媒
失活指数0.03の芳香族ポリカーボネート樹脂を得
た。この芳香族ポリカーボネート樹脂をギアポンプでエ
クストルーダーに送った。エクストルーダー途中でトリ
スノニルフェニルホスファイトを0.003重量%、ト
リメチルホスフェートを0.05重量%加え、芳香族ポ
リカーボネート樹脂ペレットを得た。
【0081】CEX−PC [参照例2]比較のための芳香族ポリカーボネート樹脂
の製造 ビスフェノールA、228重量部、ジフェニルカーボネ
ート220重量部及びエステル交換触媒;ビスフェノー
ルAのNa2塩(1.36×10-3重量部;Naとして
10μmol/1molビスフェノールA)及びテトラ
メチルアンモニウムヒドロキシド(9.1×10-3重量
部;100μmol/1molビスフェノールA)を撹
拌装置、蒸留塔及び減圧装置を備えた反応槽に仕込み窒
素置換した後、140℃で溶解した。30分間撹拌後、
内温を180℃に昇温し、内圧100mmHg30分間
反応させ、生成するフェノールを溜去した。ついで内温
を200℃に昇温しつつ徐々に減圧し50mmHgで3
0分間フェノールを溜去しつつ反応させた。更に220
℃、30mmHgまで徐々に昇温、減圧し、同温度、同
圧下で30分間、更に、240℃、10mmHg、25
0℃、1mmHgまで上記と同じ手順で昇温、減圧を繰
り返し反応を続行した。
【0082】最終的に280℃〜285℃でカボネート
の重縮合を継続しつつポリマーを得た。この芳香族ポリ
カーボネート樹脂の粘度平均分子量23000、末端水
酸基濃度50モル%、相対蛍光強度6×10-3及び触媒
失活指数3.1であった。
【0083】(b)酸化チタン [参考例3]酸化チタンの表面処理(1) 表2記載のメチルハイドロジェンポリシロキサン(Si
−1)2重量部と塩化メチレン18重量部を混合し、該
メチルハイドロジェンポリシロキサンの塩化メチレンに
よる10%希釈溶液を調整した。この希釈溶液中に表1
記載の酸化チタン(TiO2A)を100重量部添加し
て、2時間にわたって混合した後、塩化メチレンを蒸発
除去し、その後200℃に加熱し約6時間放置し、該メ
チルハイドロジェンポリシロキサン(Si−1)で表面
処理が施された酸化チタンTi−1を得た。また、得ら
れた該表面処理酸化チタンのメチルハイドロジェンポリ
シロキサン反応付加率は45%であった。
【0084】[参考例4]酸化チタンの表面処理(2) 表2記載のポリシロキサン(Si−2)10重量部と塩
化メチレン10重量部を混合し、該ポリシロキサンの塩
化メチレンによる50%希釈溶液を調整した。この希釈
溶液中に表1記載の酸化チタン(TiO2A)を100
重量部添加して、2時間にわたって混合した後、塩化メ
チレンを蒸発除去し、その後230℃に加熱し約6時間
放置し、該ポリシロキサン(Si−2)で表面処理が施
された酸化チタンTi−2を得た。
【0085】[参考例5]酸化チタンの表面処理(3) 表3記載のトリメチルシロキシシリケート溶液(Si溶
液)4重量部と塩化メチレン36重量部を混合し、トリ
メチルシロキシシリケートを2重量部含有する希釈溶液
を調整する。この希釈溶液中に表1記載の酸化チタン
(TiO2A)を100重量部添加して、2時間にわた
って混合した後、塩化メチレンおよびデカメチルシクロ
ペンタシロキサンを蒸発除去し、その後150℃に加熱
し約6時間放置し、トリメチルシロキシシリケートで表
面処理が施された酸化チタンTi−3を得た。
【0086】[実施例1〜5、比較例1〜5] 上述の参考例で得られた芳香族ポリカーボネート樹脂及
び表4記載の各成分を、タンブラーを使用して均一に混
合した後、径30mmφベント式二軸押出機[神戸製鋼
(株)製KTX−30]により、シリンダー温度270
℃、10mmHgの真空度で脱気しながらペレット化し
た。得られたペレットを120℃の熱風循環式乾燥機に
より5時間乾燥した後、射出成形機[住友重機械工業
(株)製SG150U]を使用して、シリンダー温度2
80℃、金型温度80℃の条件で試験片および見本板を
作成し、成形品の粘度平均分子量、衝撃強度、色相を測
定した。その結果を表4に示した。
【0087】表4から明らかな如く本発明の実施例であ
る相対蛍光強度を有する芳香族ポリカーボネート樹脂と
酸化チタンからなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
は、比較例の相対蛍光強度の高い芳香族ポリカーボネー
ト樹脂を用いたものに比較して、酸化チタンを含有した
樹脂組成物が本来期待される白色度が優る上に、更に熱
安定性、衝撃強度に優れている。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
【表3】
【0091】
【表4】
【0092】
【発明の効果】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組
成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂が本来有する特性
を生かし、且つ酸化チタンを加えることで白色度等の光
学的特性を向上させた上、熱安定性および衝撃強度に優
れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を提供すること
が可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 CG011 CG021 CG031 DE136 FB096 FB266 FD016 FD096 4J029 AA09 AB01 AC02 AE01 BB04A BB05A BB09A BB12A BB12B BB12C BB13A BB13B BC05A BG05X BG08X BG08Y BH02 DB07 DB11 DB13 HA01 HC02 HC03 HC04A HC05A HC05B JA091 JA121 JA161 JA201 JA251 JB113 JB171 JB191 JB193 JC091 JC141 JC363 JC373 JC633 JC731 JC751 JD06 JF021 JF031 JF041

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)蛍光スペクトルを測定したとき
    (励起波長320nm)、基準物質に対する465nm
    における相対蛍光強度が4×10-3以下であり、且つ二
    価フェノールとカーボネート前駆体とを溶融法で反応さ
    せて得られた芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部
    および(B)酸化チタン0.1〜100重量部からなる
    芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 カーボネート前駆体がジフェニルカーボ
    ネートである請求項1記載の芳香族ポリカーボネート樹
    脂組成物。
  3. 【請求項3】 酸化チタンがシリコン系化合物で表面処
    理された酸化チタンである請求項1又は2のいずれか1
    項記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
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