JP2000197907A - 固形潤滑剤の供給方法 - Google Patents

固形潤滑剤の供給方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属材料を圧延する際に、高速度圧延時の固
形潤滑剤の安定供給方法と、圧延諸条件の変動に適合さ
せた固形潤滑剤の供給量制御方法とに関する。 【解決手段】 本発明の多孔質材料に含浸させた固形潤
滑剤の潤滑供給方法は、固形潤滑剤を供給しながら金属
材料を圧延する際に、多孔質材料に含浸させた固形潤滑
剤を、圧延機のロールまたは圧延される材料に押し付け
て供給する。さらに、本発明の固形潤滑剤の潤滑供給方
法は、固形潤滑剤を供給しながら金属材料を圧延する際
に、圧延荷重または圧延トルクの変動に応じて、圧延機
のロールまたは圧延される金属材料への固形潤滑剤の押
し付け力を変化させて、固形潤滑剤の供給量を制御する
か、または、圧延荷重または圧延トルクの変動に応じ
て、圧延機のロールまたは圧延される材料に固形潤滑剤
を断続的に押し付けることにより固形潤滑剤の供給量を
制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属材料を圧延す
る際に固形潤滑剤を安定供給することに関し、さらに詳
しくは高速圧延における固形潤滑剤の安定供給方法、及
び圧延諸条件の変動に適合させて固形潤滑剤を適量供給
する制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、冷間圧延などでは液状潤滑剤の供
給量の制御に圧延荷重、圧延トルク等の検出値の結果か
ら摩擦係数を計算し、この摩擦係数に変化に基づき潤滑
剤の供給量を制御する技術がある。
【0003】固形潤滑剤の供給方法としては、特開平4
−372692号公報は、熱間圧延において圧延機ロー
ルの焼き付きによる鋼板表面疵の発生を防止する目的
で、熱間圧延用ワックス状固形潤滑剤のロールへの押付
位置を調整し、ならびにエアーシリンダーの空気圧を調
整することにより熱間圧延用ワックス状固形潤滑剤のロ
ールへの押付圧力を調整し、熱間圧延中のロール表面に
熱間圧延用ワックス状固形潤滑剤を押圧塗布し方法を開
示する。
【0004】また、特開昭57−103729号公報
は、加熱溶融したワックス等をロールコーター及びバー
コーターなどにより鋼板表面に塗布しその後冷却固化し
て予め乾燥皮膜を形成し、しかる後圧延を行う潤滑方法
を開示する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の方法において
は、液体潤滑剤を使用する場合は、潤滑剤供給バルブを
オン−オフ制御することにより、潤滑剤供給量を制御す
ることができるが、液状潤滑剤ではその応答性が悪く、
圧延の際の圧延諸データを下に的確に潤滑剤供給量を最
適制御することができないという課題が提起されてい
る。さらに、固形潤滑剤を供給する場合には、圧延の際
の圧延諸データの変動に基づき的確に固形潤滑剤の供給
量を制御することができないという課題が提起されてい
る。
【0006】そこで、本発明は、固形潤滑剤を供給しな
がら圧延する際に、固形潤滑材を安定供給すること、す
なわち高速圧延及び圧延振動に対しても固形潤滑剤が破
損することなく、且つ圧延諸条件の変動に対しても最小
必要量の固形潤滑剤を供給可能にすることを目的とす
る。
【0007】すなわち、本発明の技術的課題は、潤滑剤
を供給しながら圧延する際に、室温で固形のワックスま
たは上記ワックスに室温で粉末状の潤滑剤を混入させた
固形潤滑剤を予め多孔質材料に含浸させて固めたもの
を、ロールまたは圧延材料に押し付けながら供給するこ
とにより固形潤滑剤の安定供給を行う方法を提供するも
のである。さらに、固形潤滑剤または、固形潤滑剤を予
め多孔質材料に含浸させて固めたものを供給しながら圧
延する際に、圧延中の圧延荷重または圧延トルクを検知
しながら、固形潤滑剤または、固形潤滑剤を予め多孔質
材料に含浸させて固めたものの押し付け圧力を制御する
ことにより、適切且つ最小必要量の固形潤滑剤の供給量
を制御する方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題は、次に示す本
発明の固形潤滑剤の供給方法によって達成される。
【0009】すなわち、本発明の要旨とするところは以
下の通りである。 (1)固形潤滑剤を供給しながら金属材料を圧延する際
に、固形潤滑剤を予め多孔質材料に含浸させたものを、
圧延機のロールまたは圧延される前記材料に押し付けて
供給することを特徴とする固形潤滑剤の供給方法。 (2)固形潤滑剤または固形潤滑剤を予め多孔質材料に
含浸させたものを供給しながら金属材料を圧延する際
に、圧延荷重または圧延トルクの変動に応じて、圧延機
のロールまたは圧延される金属材料への前記固形潤滑剤
の押し付け力を変化させて、前記固形潤滑剤の供給量を
制御することを特徴とする固形潤滑剤の供給方法。 (3)圧延荷重または圧延トルクの変動に応じて、圧延
機のロールまたは圧延される前記材料に前記固形潤滑剤
を断続的に押し付けることにより、前記固形潤滑剤の供
給量を制御することを特徴とする上記(2)に記載の方
法。 (4)前記多孔質材料の融点が前記固形潤滑剤の融点よ
りも高く、且つ前記固形潤滑剤の融点が、該固形潤滑剤
を供給するワークロールの圧延中の最高温度よりも高い
ものを用いることを特徴とする上記(1)から(3)の
何れか1項に記載の固形潤滑剤の供給方法。 (5)前記固形潤滑剤または固形潤滑剤を多孔質材料に
含浸させたものに水をかけながらワークロールに供給す
ることを特徴とする上記(1)から(4)の何れか1項
に記載の固形潤滑剤の供給方法。 (6)前記固形潤滑剤または固形潤滑剤を多孔質材料に
含浸させたもののワークロールへの押し付け圧力を、
0.01kgf/cm2 以上とすることを特徴とする上
記(1)から(5)の何れか1項に記載の固形潤滑剤の
供給方法。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の第1の固形潤滑剤の供給
方法において使用する固形潤滑剤は、室温で固形のワッ
クス固形潤滑剤または上記ワックスと室温で粉末状の潤
滑剤とを混入させた固形潤滑剤を予め多孔質材料に含浸
させ固めたものである。このように固形潤滑剤を予め多
孔質材料に含浸させて、圧延機のロールまたは被圧延材
料の潤滑する必要のある所定位置に押しつけて供給する
ことによって、固形潤滑の圧壊強度を上回る押し付け圧
力においても固形潤滑剤が欠損することなく固形潤滑剤
の付着量が増大し、高速度の圧延及び振動を伴う圧延に
おいても、固形潤滑剤を安定して確実に供給することが
可能となる。
【0011】室温で固形のワックスまたは上記ワックス
に室温で粉末状の潤滑剤を混入させた固形潤滑剤の多孔
質材料への含浸量は、図1の(a)、(b)及び(c)
に示すように、多孔質材料(3)の穴面積率を規定する
ことにより決められる。図1に示す多孔質体含浸固形潤
滑剤(1)は、予め溶融させたワックスまたはワックス
と粉末状の潤滑剤を混入させた固形潤滑剤等を多孔質材
料(3)に染み込ませることによって製造される。多孔
質材料(3)は、多孔質プラスチックフェルト、多孔質
軟質セラミック体等を用いることができる。また、多孔
質材料(3)は特に圧延温度等の圧延条件に適応させて
選択することが可能である。図1の(a)は、固形潤滑
剤(2)で充填される穴が多孔質材料全体の20%を占
める場合であり、すなわち穴面積率が20%の多孔質材
料(3)に固形潤滑剤(3)を含浸させた多孔質体含浸
固形潤滑剤(1)を示す。図1の(b)及び(c)は、
穴面積率が50%及び80%の多孔質材料(3)に固形
潤滑剤(2)を含浸させた多孔質体含浸固形潤滑剤
(1)をそれぞれ示す。
【0012】また本発明者らの実験において、ロール面
または圧延材料面の所定位置への固形潤滑剤の付着量
は、固形潤滑剤の押し付け力と実質的にほぼ直線関係に
あることが判明した。本発明の第2の固形潤滑剤の供給
方法は、この知見に基づいてなされたものであり、圧延
機のロールまたは被圧延材料の潤滑する必要のある所定
位置の固形潤滑剤の押し付け力を変化させることによ
り、ロール面または圧延材料面への固形潤滑剤の供給量
を制御する方法である。具体的には、圧延中の圧延荷重
または圧延トルクなどを検出し、それらの検出された値
の変動にしたがって固形潤滑剤の押し付け力を変化させ
たり、或いは固形潤滑剤の押し付けを断続的に行う、す
なわちオン−オフ制御を行ないながら圧延することによ
り、適切且つ最小必要量の固形潤滑剤を供給しながら圧
延する方法である。また、第2の方法においては、従来
の固形潤滑剤だけでなく固形潤滑剤を多孔質材料に含浸
したもののいずれの潤滑剤でも使用することが可能であ
る。
【0013】さらに、発明者らは実験により、現状考え
得る圧延操業条件に対して、コストおよび作業効率上、
最も好ましい固形潤滑剤の融点および押し付け圧力の条
件を検討した。その結果、少なくとも固形潤滑剤の融点
が、固形潤滑剤を供給するロール表面の圧延中の最高温
度よりも高い融点の固形潤滑剤を用いないと、ロールの
熱によって固形潤滑剤の消耗速度が速くなることを見い
だした。また、多孔質材料の融点は、その多孔質材料に
含浸させる固形潤滑剤の融点よりも高くないと、ロール
または被圧延材に供給した際に固形潤滑剤より先に多孔
質材料が溶融・消耗し、必要強度が維持できなくなり高
速度の圧延及び振動を伴う圧延において固形潤滑剤の欠
損が起こり、必要な付着量が維持できなくなることがわ
かった。さらに、固形潤滑剤の効果を引き出すのに必要
な最低限の押し付け圧力条件が、0.01kgf/cm
2 以上であることも発見した。押し付け圧力が0.01
kgf/cm2 未満では、ロールへの固形潤滑剤の付着
量が少なく、ロール肌荒れ(ロール焼付きも含む)抑制
やロール摩耗低減などの効果が十分に得られない。多孔
質物質に固形潤滑剤を含浸させた場合も、上記効果を得
るために、含浸された固形潤滑剤に対して、上記の圧力
をかける必要がある。また、固形潤滑剤を使用するにあ
たって、固形潤滑剤自体に水をかけながら使用する必要
がある。通常、ロール冷却水をかけながら操業されてい
るが、このロール冷却水を固形潤滑剤にかけながら供給
しても差し支えない。つまり、ロール冷却水をかけてい
るところで、固形潤滑剤をロールに供給しても良い。も
ちろん、固形潤滑剤専用の配管を配して水を直接かける
ようにしてもよい。固形潤滑剤を使用するにあたって水
をかけながら使用しなければならない理由は、水がない
ロール表面に固形潤滑剤を押し付けると、固形潤滑剤と
ロールとが焼付きに近い状態で転着し、消耗速度が非常
に大きくなるためである。従って、従来の油系の潤滑油
を使用する場合には、ロール表面の水を水切り装置で取
り除いてから潤滑油を供給するが、固形潤滑剤はロール
表面に水が存在する状態で供給した方が好ましく、言い
換えれば、従来の水切り装置が不要になる利点もあり、
設備メンテナンスの労力がさらに低減する効果も期待で
きる。
【0014】
【実施例】〔実施例1〕多孔質体含浸固形潤滑剤は、ワ
ックス基剤に炭酸カルシウム粉末を20wt%含有する
ワックス系潤滑剤を溶融したのち、この溶融ワックス系
潤滑剤をそれぞれ図1に示すような20%、50%及び
80%の穴面積率を有するプラスチックフェルト形多孔
質体に含浸させて製造した。このプラスチックフェルト
形多孔質体に含浸させた20%の穴面積率を有する多孔
質体含浸固形潤滑剤(6−1)を、図2に示す2段式の
熱間圧延機(9)の上ワークロール(4)の全面に、固
形潤滑剤押し込み装置(6)によって擦り付けながら、
フェライト系ステンレス鋼(SUS430の巾200m
mの板コイル鋼材)の被圧延材料(8)を、圧延温度1
100℃、ワークロール径250mm、圧延速度20m
pm、圧下率45%で圧延を行った。その結果、多孔質
体含浸固形潤滑剤(6−1)を押し付け塗布した上ワー
クール(4)には僅かに焼き付きが発生したが、一方、
いずれの潤滑剤をも塗布しなかった下ワークロール
(7)には全表面に渡って焼き付きが発生した。また、
上記と同様の熱間圧延機(9)と圧延条件で、下ワーク
ロール(7)だけに上記と同様の多孔質体含浸固形潤滑
剤(7−1)を刷り付けながら圧延を行った結果、下ワ
ークロール(7)には僅かに焼き付きが発生するが、一
方、いずれの潤滑剤をも塗布しなかった上ワークロール
(6)には焼き付きが発生した。ロールに発生した焼き
付き個数と潤滑剤との関係を図3に示す。ロール面の焼
き付き度合いは、図3に従来技術(A、B)と本発明の
実施例(C、D、E)のロールに発生した焼き付き個数
の比較を示す。図3の潤滑剤C、D及びEに示すよう
に、プラスチックフェルト形多孔質体の穴面積率が大き
くなるにしたがって焼きつき発生個数が減少する。プラ
スチックフェルト形多孔質体の穴面積率が80%である
潤滑剤Eでは、ロールの焼き付き個数はほぼ零個であっ
た。したがって、本発明において使用する多孔質材料の
穴面積は20%より大きくすることが好ましい。しかし
ながら、高速圧延及び圧延振動に伴う多孔質体含浸固形
潤滑剤の欠損を回避するために、多孔質材料の穴面積は
80%より小さくすることが好ましい。上記実施例にお
いては、熱間圧延時にロールに多孔質体含浸固形潤滑剤
を塗布することについて記載したが、本発明の多孔質体
含浸固形潤滑剤を供給する方法は、冷間圧延においても
同様に実施することができ、且つ被圧延材料側に多孔質
体含浸固形潤滑剤を塗布することにより上記と同様の効
果が得られる。
【0015】〔実施例2〕熱間コイル圧延機を用いて、
図2の参照番号6、7で示すように、上下ワークロール
に固形潤滑剤を任意の押し付け力で押圧塗布できる装置
を設置した。固形潤滑剤はパラフィン系ワックスに黒鉛
を30%エステルを10%注入したものを用いた。そし
て、圧延荷重の測定値が一定になるように固形潤滑剤を
押圧するような制御装置を導入し、ロール間ギャップを
一定にして、圧延速度を変化させながら、フェライト系
ステンレス鋼SUS430の圧延を行った。被圧延剤の
フェライト系ステンレス鋼は、1100℃に加熱され、
ロール側入口では950℃でロールバイトに入るように
温度を制御した。ロール冷却水は、ロール出側からでき
るだけ多くの量がロールにかかるようにした。そして、
固形潤滑剤の押圧制御の有無による焼き付き発生限界圧
延速度を調べた。圧延材の入側板厚は1.6mmで圧下
率は約30%とした。固形潤滑剤はロールに供給した。
その結果、固形潤滑剤の押圧制御を行った圧延のほう
が、焼付きが発生し始めるときの圧延荷重増加に対応し
て、潤滑剤の押圧増加により潤滑供給量を増すため、焼
付き発生限界圧延速度が向上する。固形潤滑剤の押圧制
御が無いと、焼付きが発生し始めるときの圧延荷重の増
加に対応して、潤滑剤の供給量を増すことができないた
め、焼付き発生限界圧延速度は、押圧制御をしたときよ
りも小さくなる。図4はその効果を示したものである。
これによって、圧延条件に対応した最適な固形潤滑剤の
供給量の制御が焼き付きの発生防止に有効であり、ロー
ルの長寿命化及び安定圧延、鋼材の表面品質の向上に寄
与することが判明した。
【0016】〔実施例3〕実施例2と同じく、工場の仕
上熱間圧延ラインのNo.2スタンドの出側にエアーシ
リンダーを用いたワックス潤滑剤の供給装置を設置し、
ワックス潤滑剤の融点、多孔質材料の融点、押し付け圧
力、およびワックス潤滑剤への水かけの有無等の条件を
変えて、それらの条件におけるロール焼付き発生状況を
調査した。また、上記圧延で用いた潤滑剤としては、穴
面積が50%の多孔質材料に固形潤滑剤であるワックス
潤滑剤を含浸させた融点が異なる2種類のもの(表1、
表2)、固形潤滑剤であるワックス潤滑剤のみ(表3)
の3条件で行った。この結果を表1〜3に示す。多孔質
材料の融点が比較的高く(325℃)、全ての固形潤滑
剤(ワックス潤滑剤)の融点よりも高い場合(表1)に
は、本発明の条件であるワックス潤滑剤の融点がロール
表面最高温度(75℃)以上、ワックス潤滑剤への水か
けが有りの条件では、潤滑剤のロールへの押し付け圧力
が0.01kgf/cm2 以上の条件で、ロール肌荒れ
(焼付き)の発生の抑制が可能となり、数ロット無研削
(ロール手入れ無し)で使用可能であることが確認でき
た。この場合10.00kgf/cm2 の押し付け圧力
でも固形潤滑剤へのクラックの発生は見られなかった。
これに対して、多孔質材料の融点が比較的低い(101
℃)場合(表2)には、本発明の条件においては、上記
の結果と同じ良好な結果が得られたが、多孔質材料の融
点が固形潤滑剤(ワックス潤滑剤)の融点よりも低い条
件においては、潤滑剤のロールへの押し付け圧力が2.
00kgf/cm2以上になると、固形潤滑剤(ワック
ス潤滑剤)にクラックが入り、押し付け圧力が3.00
kgf/cm2 以上では、潤滑剤の欠損が生じてロール
肌荒れ(焼付き)の発生の抑制が困難となることが判っ
た。さらに、多孔質材料がなく固形潤滑剤であるワック
ス潤滑剤のみの場合(表3)には、本発明の条件におい
て、潤滑剤のロールへの押し付け圧力が0.01〜1.
00kgf/cm2 までは、ロール肌荒れ(焼付き)の
発生の抑制が可能となり、数ロット無研削(ロール手入
れ無し)で使用可能であるが、押し付け圧力が2.00
kgf/cm2 以上の条件では、固形潤滑剤(ワックス
潤滑剤)にクラックが入ったり、欠損が発生し、上記の
潤滑効果が得られないことが判った。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
【表3】
【0020】
【発明の効果】本発明の多孔質体含浸固形潤滑剤を用い
た固形潤滑剤の供給方法により、高速度圧延及び圧延ロ
ールの振動による固形潤滑剤の欠損を防止することがで
き、固形潤滑剤を安定して供給することができた。さら
に、本発明の圧延条件の変動に応答した固形潤滑剤の供
給方法により、圧延する際に必要最小限の固形潤滑剤を
確実に供給することができるために、圧延材料に付加さ
れる潤滑剤価格を減少することができ、同時に圧延機の
ロール寿命及び鋼材の表面品質の向上することに寄与す
ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、それぞれの多孔質体含浸固形潤滑剤を
示し、図1の(a)は穴面積率20%、図1の(b)は
穴面積率50%、図1の(c)は穴面積率80%の多孔
質体含浸固形潤滑剤を示す。
【図2】本発明の多孔質体含浸固形潤滑剤を使用した2
段式の熱間圧延機の一部断面図を示す。
【図3】本発明と比較例とのロールに発生した焼き付き
個数と潤滑剤との関係を示す。
【図4】固形潤滑剤の押圧制御の有無が焼付き発生限界
圧延速度に与える影響を示したものである。
【符号の説明】
1…多孔質体含浸固形潤滑剤 2…固形潤滑剤 3…多孔質材料 4…上ワークロール 5…下ワークロール 6…潤滑剤押し込み装置 6−1…多孔質体含浸固形潤滑剤 7…潤滑剤押し込み装置 7−1…多孔質体含浸固形潤滑剤 8…被圧延材料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10N 40:24 50:08 (72)発明者 荒谷 省一 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 濱渦 修一 福岡県北九州市小倉南区新曽根5−1 三 島光産株式会社機工事業部内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固形潤滑剤を供給しながら金属材料を圧
    延する際に、固形潤滑剤を予め多孔質材料に含浸させた
    ものを、圧延機のロールまたは圧延される前記材料に押
    し付けて供給することを特徴とする固形潤滑剤の供給方
    法。
  2. 【請求項2】 固形潤滑剤または固形潤滑剤を予め多孔
    質材料に含浸させたものを供給しながら金属材料を圧延
    する際に、圧延荷重または圧延トルクの変動に応じて、
    圧延機のロールまたは圧延される金属材料への前記固形
    潤滑剤の押し付け力を変化させて、前記固形潤滑剤の供
    給量を制御することを特徴とする固形潤滑剤の供給方
    法。
  3. 【請求項3】 圧延荷重または圧延トルクの変動に応じ
    て、圧延機のロールまたは圧延される前記材料に前記固
    形潤滑剤を断続的に押し付けることにより、前記固形潤
    滑剤の供給量を制御することを特徴とする請求項2記載
    の方法。
  4. 【請求項4】 前記多孔質材料の融点が前記固形潤滑剤
    の融点よりも高く、且つ前記固形潤滑剤の融点が、該固
    形潤滑剤を供給するワークロールの圧延中の最高温度よ
    りも高いものを用いることを特徴とする請求項1から3
    の何れか1項に記載の固形潤滑剤の供給方法。
  5. 【請求項5】 前記固形潤滑剤または固形潤滑剤を多孔
    質材料に含浸させたものに水をかけながらワークロール
    に供給することを特徴とする請求項1から4の何れか1
    項に記載の固形潤滑剤の供給方法。
  6. 【請求項6】 前記固形潤滑剤または固形潤滑剤を多孔
    質材料に含浸させたもののワークロールへの押し付け圧
    力を、0.01kgf/cm2 以上とすることを特徴と
    する請求項1から5の何れか1項に記載の固形潤滑剤の
    供給方法。
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