JP2000197819A - 排ガス浄化材及びその製造方法 - Google Patents

排ガス浄化材及びその製造方法

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JP2000197819A
JP2000197819A JP11197072A JP19707299A JP2000197819A JP 2000197819 A JP2000197819 A JP 2000197819A JP 11197072 A JP11197072 A JP 11197072A JP 19707299 A JP19707299 A JP 19707299A JP 2000197819 A JP2000197819 A JP 2000197819A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内燃機関、特にディーゼルエンジンからの排
ガス成分を硫黄酸化物の存在下においても浄化できる排
ガス浄化材及びその製造工程が簡単な製造方法を提供す
ることを目的とする。 【解決手段】 基材2と、前記基材2表面に形成された
担体層3と、前記担体層3表面に被覆された酸性酸化物
層4と、前記酸性酸化物層4の表面に担持された触媒成
分と、を備えた構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の排ガス
を浄化する排ガス浄化材及びその製造方法、特にディー
ゼル機関の排ガスに含まれるパティキュレートを酸化燃
焼して浄化する排ガス浄化材及びその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年、環境に対する高まりから、内燃機
関からの排ガスを浄化処理した後、安全な排ガスとして
大気中に放出されるよう望まれており、排ガスを浄化す
るのに使用される各種の排ガス浄化材が検討されてい
る。
【0003】一般に、排ガス浄化材は、セラミック製あ
るいは金属製の耐熱性ハニカム構造体と、前記耐熱性ハ
ニカム構造体上に触媒活性成分である貴金属や非金属あ
るいはそれらの酸化物を必要量担持するための無機多孔
質材料からなる担体(又は担体層)と、担体上に担持し
た触媒活性成分である貴金属や非金属あるいはそれらの
酸化物とから構成されている。
【0004】ガソリンエンジンについては、排ガス中の
有害成分に対する厳しい排出規制と、それに対する技術
の進歩により、具体的には三元触媒の出現と更なる改良
により、排ガス中の有害物質は確実に減少してきてい
る。ところが、ディーゼルエンジンについては、その特
異な原理とパティキュレートと呼ばれる有害成分の存在
により、規制がガソリンエンジンに比べて、緩く設定さ
れていたために、有害物質排出抑制のための技術開発も
ガソリンエンジンに比べて大きく遅れていた。
【0005】しかしながら、昨今の環境に対する関心の
高まりから、ディーゼルエンジンについても有害物質の
排出規制が強化されてきており、ディーゼルエンジンか
らの排ガスを確実に浄化できる排ガス浄化材の開発が切
望されている。
【0006】そこで、ディーゼルエンジンからの排ガス
を浄化できる三元触媒と基本的に同じ構成である両端の
孔が全て開口した形のオープン型SOF(Solubl
eOrganic Fraction;可溶性有機成
分、高沸点の炭化水素)触媒が開発されている。
【0007】例えば、特開平1−171626号公報
(以下、イ号公報という)には、「ガソリンエンジンと
同様に触媒活性成分である白金族金属等の金属微粒子が
高比表面積の活性アルミナ、又はアルカリ金属や希土類
が添加された活性アルミナ等担体上に分散、担持されて
おり、一酸化炭素や炭化水素とともにディーゼルパティ
キュレート中のSOFが酸化して浄化されるオープン型
SOF分解触媒」が開示されている。
【0008】特開平4−358539号公報(以下、ロ
号公報という)には、「触媒金属を担持した活性アルミ
ナ層上にSiO2、TiO2およびZrO2の少なくとも
1種の酸化物を化学的蒸着法により酸化物の膜を形成
し、硫黄酸化物を活性アルミナに吸着させない二酸化イ
オウ耐性触媒」が開示されている。
【0009】特公昭55−26912号公報(以下、ハ
号公報という)には、「アルミナと無定形シリカ、好ま
しくはシリカゾルを水性媒体中で混合してセラミック基
体を被覆する二酸化イオウ耐性触媒」が開示されてい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のオープン型SOF分解触媒は、以下のような課題を
有していた。
【0011】イ号公報に記載のオープン型SOF分解触
媒や二酸化イオウ耐性触媒は、ディーゼル排ガス中に含
まれる、燃料に起因する硫黄酸化物と担体であるアルミ
ナが反応してアルミナが硫酸塩化することにより、有効
な比表面積が減少して、触媒活性が低下してしまい、耐
久性に欠けるという問題点を有していた。
【0012】ロ号公報に記載のオープン型SOF分解触
媒は、化学的蒸着法を使用するので、酸化物を形成させ
るための工程が煩雑となり、かつ生産原価が高いという
問題点を有していた。
【0013】ハ号公報に記載のオープン型SOF分解触
媒は、無定形シリカを使用するので、アルミナ上にシリ
カを均一に形成することができず、部分的に露出したア
ルミナが硫黄酸化物と反応して硫黄塩化することによ
り、比表面積が減少して、触媒活性が低下するという問
題点を有していた。
【0014】本発明は、上記従来の課題を解決するもの
で、内燃機関、特にディーゼルエンジンからの排ガス成
分を硫黄酸化物の存在下においても、浄化できる排ガス
浄化材及びその製造工程が簡単な製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の排ガス浄化材は、基材と、前記基材表面に
形成された担体層と、前記担体層の表面に被覆された酸
性酸化物層と、前記酸性酸化物層の表面に担持された触
媒成分と、を備えた構成を有している。
【0016】この構成により、最上層から触媒成分、酸
性酸化物層、担体層の順で層状構造を形成すると、硫黄
酸化物の存在下においても硫黄酸化物による被毒を受け
難いという作用を有する。
【0017】また、本発明の排ガス浄化材の製造方法
は、酸性酸化物の前駆体の溶液中に担体を含浸後、一次
焼成して前記担体表面に酸性酸化物層を被覆した後に、
前記酸性酸化物を被覆した前記担体のスラリーを作製
し、前記スラリー中に基材を含浸し、次いで二次焼成し
て、前記基材上に酸性酸化物層を被覆した担体層を形成
し、更に酸性酸化物層を被覆した担体層で被覆された前
記基材を、触媒成分を含有する溶液中に含浸した後に三
次焼成する構成を有している。
【0018】この構成により、基材上に最上層から触媒
成分、酸性酸化物層、担体層の順で層状構造を形成で
き、かつ担体表面上に酸性酸化物を均一に被覆すること
ができるので、硫黄酸化物の存在下においても硫黄酸化
物による被毒を受けることがないという作用を有する。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の排ガス
浄化材は、基材と、基材表面に形成された担体層と、担
体層の表面に被覆された酸性酸化物層と、酸性酸化物層
の表面に担持された触媒成分と、を備えた構成を有して
いる。
【0020】この構成により、最上層から触媒成分、酸
性酸化物層、担体層の順で層状構造が形成されるので、
硫黄酸化物の存在下においても硫黄酸化物による被毒を
受け難く、耐久性に優れるという作用を有する。
【0021】ここで、基材の材質は、セラミック、金属
等が使用される。また、基材は、ハニカム構造体、発泡
体等で形成される。
【0022】担体は、高表面積を有するもので、アルミ
ナ、シリカ、チタニア、ジルコニア等の無機酸化物、シ
リカとアルミナ等の複合無機酸化物が好適に用いられ
る。
【0023】酸性酸化物層の酸性酸化物は、シリカ、ア
ルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛等が使用され
る。
【0024】触媒成分は、排ガス中の有害成分を浄化で
きるPt、Pd等の貴金属や、Co、Ni、Cu等の非
金属が使用される。
【0025】本発明の請求項2に記載の排ガス浄化材
は、請求項1において、担体層に対し酸性酸化物層が、
4wt%〜12wt%、好ましくは6wt%〜10wt
%で形成され、及び/又は酸性酸化物層の膜厚が0.0
5μm〜30μm、好ましくは0.1μm〜20μm
で、かつ担体層に対する被覆率が70%〜100%、好
ましくは80%〜100%である構成を有している。
【0026】この構成により、請求項1で得られる作用
の他、硫黄酸化物と酸性酸化物が酸性同士で反発しあう
ことにより、硫黄酸化物が触媒成分および担体層に近づ
きにくくなり、有効な触媒活性面積を保持でき、触媒活
性を向上できるという作用を有する。
【0027】ここで、酸性酸化物層は、担体層に対し4
wt%〜12wt%、好ましくは6wt%〜10wt%
の量が用いられる。酸性酸化物層の量が6wt%より少
ないと、酸性ガスである硫黄酸化物と酸性酸化物の反発
が不十分となり、また、10wt%より多くなると、硫
黄酸化物と酸性酸化物の反発効果が飽和してしまい、い
ずれも好ましくない。酸性酸化物層の量が4wt%より
少なく、12wt%より多くなると、この傾向が著しく
なるため、より好ましくない。
【0028】酸性酸化物層の膜厚は、0.05μm〜3
0μm、好ましくは0.1μm〜20μmで形成され
る。膜厚が0.1μmより薄くなるにつれ酸性ガスであ
る硫黄酸化物と酸性酸化物の反発が不十分になる傾向が
みられ、また、20μmより厚くなるにつれて硫黄酸化
物と酸性酸化物の反発効果が飽和する傾向がみられ、い
ずれも好ましくない。膜厚が0.05μmより薄く、3
0μmより厚くなると、この傾向が著しくなるため、よ
り好ましくない。
【0029】担体層に対する被覆率が70%〜100
%、好ましくは80%〜100%で形成される。被覆率
が80%より小さくなるにつれ酸性ガスである硫黄酸化
物と酸性酸化物の反発が不十分となる傾向がみられるの
で好ましくない。被覆率が70t%より小さいとこの傾
向が著しくなるため、より好ましくない。
【0030】本発明の請求項3に記載の排ガス浄化材
は、請求項1又は2において、基材に対し酸性酸化物層
を被覆した担体が、5wt%〜18wt%、好ましくは
7wt%〜15wt%で形成されている構成を有してい
る。
【0031】この構成により、請求項1又は2で得られ
る作用の他、硫黄酸化物の存在下においても硫黄酸化物
による被毒を受けることがなく、かつ有害物質に対する
浄化能力に優れ、浄化効果を向上できるという作用を有
する。
【0032】ここで、酸性酸化物を被覆した担体は、基
材に対し5wt%〜18wt%、好ましくは7wt%〜
15wt%で形成される。酸性酸化物を被覆した担体の
量が7wt%より少なくなるにつれ触媒自体の活性が不
十分になる傾向がみられ、また、15wt%より多くな
るにつれ硫黄酸化物と酸性酸化物の反発効果が飽和して
しまうという傾向がみられるので、いすれも好ましくな
い。酸性酸化物を被覆した担体の量が5wt%より少な
くなるか、または18wt%より多くなるにつれ、この
傾向が著しくなるため、より好ましくない。
【0033】本発明の請求項4に記載の排ガス浄化材
は、請求項1乃至3の内いずれか1項において、担体層
の担体が、平均粒子径が1μm〜10μm、N2吸着法
による細孔分布測定法において全細孔容積が0.3ml
/g以上で、かつ細孔直径100Å以上の細孔容積が全
細孔容積の60%以上、更に大気中1000℃で焼成し
たときの比表面積が100m2/g以上の耐熱性無機酸
化物からなる構成を有している。
【0034】この構成により、請求項1乃至3の内いず
れか1項で得られる作用の他、排ガスの炭化水素を効率
よく浄化できるという作用を有する。
【0035】全細孔容積が0.3ml/g以上で、かつ
細孔直径が100Å以上の細孔容積が60%以上の担体
を用いているので、バイモーダル構造を有し、触媒活性
表面積を増大し浄化効率を高めるという作用を有する。
【0036】担体がバイモーダル構造で触媒粒子のシン
タリングを防ぎ触媒活性の耐久性を向上させるという作
用を有する。
【0037】担体の比表面積が100m2/g以上有す
るので、詳細は不明であるが、スピルオーバー現象等に
より炭化水素を効率的に酸化分解することができるとい
う作用を有する。
【0038】ここで、担体の平均粒子径が1μm〜10
μmの範囲のものが使用される。平均粒子径が1μmよ
り小さくなるにつれ、粒径が小さすぎて最適のバイモー
ダル構造が得られ難い傾向があり、炭化水素の浄化効率
が低減し、また、10μmより大きくなるにつれ、表面
積が小さくなり炭化水素の浄化効率が低減する傾向がみ
られるので、いずれも好ましくない。
【0039】担体の全細孔容積が0.3ml/g以上の
ものが使用される。触媒粒子を細孔内に保持し、シンタ
リングの発生を防ぐためである。全細孔容積が0.3m
l/gより小さくなるにつれ、触媒粒子が担体の表面に
シンタリングを起こし易い傾向があり炭化水素の浄化効
率が低減する傾向がみられるので、好ましくない。
【0040】担体の細孔直径が100Å以上のものが使
用される。細孔直径が100Åより小さくなるにつれ、
炭化水素の浄化効率が低減する傾向がみられるので、好
ましくない。これにより細孔の二元化ができバイモーダ
ル構造となり触媒の高い選択性を得ることができる。細
孔直径はバイモーダル構造化を高めるため粒子径の範囲
で大きい程よい。
【0041】大気中1000℃で焼成したときの比表面
積が100m2/g以上のものが使用される。比表面積
が100m2/gより小さくなるにつれ、炭化水素の浄
化効率が低減する傾向がみられるので、好ましくない。
【0042】本発明の請求項5に記載の排ガス浄化材
は、請求項1乃至4の内いずれか1項において、酸性酸
化物層が、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、
酸化亜鉛の内少なくとも2種以上を用いて形成された複
合酸化物である構成を有している。
【0043】この構成により、請求項1乃至4の内いず
れか1項で得られる作用の他、硫黄酸化物とシリカ、ア
ルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛の内少なくと
も2種類以上を用いた複合酸化物層との反発作用によっ
て、硫黄酸化物による被毒を受け難く、耐久性に優れる
という作用を有する。
【0044】本発明の請求項6に記載の排ガス浄化材
は、請求項1乃至4の内いずれか1項において、担体が
アルミナであり、及び/又は酸性酸化物層が珪素アルコ
キシドを出発原料(前駆体)とするシリカである構成を
有している。
【0045】この構成により、請求項1乃至4の内いず
れか1項で得られる作用の他、珪素アルコキシドを用い
ることにより、含浸法という簡単な方法で均一なシリカ
の被覆層を担体上に形成できるという作用を有する。
【0046】ここで、珪素アルコキシドは、テトラメト
キシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシ
シラン、テトラプトキシシラン、テトラブトキシシラン
等が使用される。
【0047】本発明の請求項7に記載の排ガス浄化材
は、請求項1乃至4の内いずれか1項において、担体が
アルミナであり、及び/又は酸性酸化物層が珪酸ナトリ
ウムを出発原料(前駆体)とするシリカと、硝酸アルミ
ニウムを出発原料(前駆体)とするアルミナとからなる
複合酸化物である構成を有している。
【0048】この構成により、請求項1乃至4の内いず
れか1項で得られる作用の他、珪酸ナトリウムと硝酸ア
ルミニウムを用いて酸性酸化物を形成し、含浸法という
簡単な方法でシリカとアルミナからなる均一な被覆層を
担体上に形成できるという作用を有する。
【0049】本発明の請求項8に記載の排ガス浄化材
は、請求項7において、酸性酸化物層のシリカとアルミ
ナからなる複合酸化物のAl/(Si・Al)の比率
が、40〜80、好ましくは50〜70である構成を有
している。
【0050】この構成により、請求項7で得られる作用
の他、硫黄酸化物と複合酸化物が酸性同士で反発しあう
ことにより硫黄酸化物が触媒成分及び担体層により近づ
きにくくなるという作用を有する。
【0051】ここで、シリカとアルミナからなる複合酸
化物のAl/(Si・Al)の比率が、50より小さい
と、酸性ガスである硫黄酸化物と酸性酸化物の反発が不
十分となり、また、比率が70より大きいと、硫黄酸化
物と酸性酸化物の反発効果が飽和してしまい、いずれも
好ましくない。比率が40より小さく、80より大きく
なると、この傾向が著しくなるため、より好ましくな
い。
【0052】本発明の請求項9に記載の排ガス浄化材
は、請求項1乃至4の内いずれか1項において、担体が
アルミナであり、及び/又は酸性酸化物層が珪酸ナトリ
ウムを出発原料(前駆体)とするシリカと、塩化チタン
を出発原料(前駆体)とするチタニアとからなる複合酸
化物である構成を有している。
【0053】この構成により、請求項1乃至4の内いず
れか1項で得られる作用の他、塩化チタンと珪酸ナトリ
ウムを用いて酸性酸化物を形成し、含浸法という簡単な
方法でシリカとチタニアからなる均一な被覆層を担体上
に形成できるという作用を有する。
【0054】本発明の請求項10に記載の排ガス浄化材
は、請求項9において、シリカとチタニアからなる複合
酸化物のTi/(Si・Ti)の比率が40〜80、好
ましくは50〜70である構成を有している。
【0055】この構成により、請求項9で得られる作用
の他、硫黄酸化物と複合酸化物が酸性同士で反発しあう
ことにより硫黄酸化物が触媒成分及び担体層により近づ
きにくくなるという作用を有する。
【0056】ここで、シリカとチタニアからなる複合酸
化物のTi/(Si・Ti)の比率が、50より小さい
と、酸性ガスである硫黄酸化物と酸性酸化物の反発が不
十分となり、また、比率が70より大きいと、硫黄酸化
物と酸性酸化物の反発効果が飽和してしまい、いずれも
好ましくない。比率が40より小さく、80より大きく
なると、この傾向が著しくなるため、より好ましくな
い。
【0057】本発明の請求項11に記載の排ガス浄化材
の製造方法は、請求項1乃至10の内いずれか1項にお
いて、酸性酸化物の前駆体の溶液中に担体を含浸後、一
次焼成して担体表面に酸性酸化物層を被覆した後に、酸
性酸化物層を被覆した担体のスラリーを作製し、スラリ
ー中に基材を含浸し、次いで二次焼成して、基材上に酸
性酸化物層を被覆した担体層を形成し、次いで担体層で
被覆された基材を、触媒成分を含有する溶液中に含浸し
た後に三次焼成する構成を有している。
【0058】この構成により、基材上に、最上層から触
媒成分、酸性酸化物層、担体層の順で層状構造を形成で
き、かつ担体表面上に酸性酸化物を均一に被覆できるの
で、硫黄酸化物の存在下においても硫黄酸化物による被
毒を受けることがなく、簡単な製造工程で排ガス浄化材
を製造することができるという作用を有する。
【0059】本発明の請求項12に記載の排ガス浄化材
の製造方法は、請求項1乃至5及び7乃至8の内いずれ
か1項において、硝酸アルミニウム水溶液、珪酸ナトリ
ウム水溶液及び水酸化ナトリウム水溶液からなる混合溶
液と担体を混合・攪拌し、担体の表面にシリカ・アルミ
ナからなる複合酸化物の前駆体を含浸後、一次焼成して
担体表面にシリカとアルミナからなる複合酸化物を被覆
した後に、複合酸化物を被覆した担体のスラリーを作製
し、スラリー中に基材を含浸し、次いで二次焼成して、
基材上に複合酸化物層を被覆した担体層を形成し、次い
で担体層で被覆された基材を、触媒成分を含有する溶液
中に含浸した後に三次焼成する構成を有している。
【0060】この構成により、簡単な製造方法で、基材
上に最上層から触媒成分、複合酸化物層、担体層の順で
層状構造を形成でき、かつ担体表面上に複合酸化物を均
一に被覆できるために、硫黄酸化物の存在下においても
硫黄酸化物による被毒を受けることがないという作用を
有する。
【0061】本発明の請求項13に記載の排ガス浄化材
の製造方法は、請求項1乃至5及び7乃至8において、
硝酸アルミニウム水溶液に担体を加えて混合・攪拌し、
珪酸ナトリウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液の混合
溶液を加え、担体の表面にシリカとアルミナからなる複
合酸化物の前駆体を含浸後、一次焼成して担体の表面に
シリカとアルミナからなる複合酸化物を被覆した後に、
複合酸化物を被覆した担体のスラリーを作製し、スラリ
ー中に基材を含浸し、次いで二次焼成して、基材上に複
合酸化物層を被覆した担体層を形成し、次いで担体層で
被覆された基材を、触媒成分を含有する溶液中に含浸し
た後に三次焼成する構成を有している。
【0062】この構成により、酸性溶液中にアルミナを
加えると、アルミナの等電点(pH=8〜10)におけ
る凝集を抑制することができ、アルミナ上にシリカとア
ルミナからなる複合酸化物層を均一に形成できるという
作用を有する。
【0063】本発明の請求項14に記載の排ガス浄化材
の製造方法は、請求項1乃至5及び9乃至10の内いず
れか1項において、塩化チタン水溶液と珪酸ナトリウム
水溶液の混合溶液と担体を混合・攪拌し、担体の表面に
シリカとチタニアからなる複合酸化物の前駆体を含浸
後、一次焼成して担体の表面にシリカとチタニアからな
る複合酸化物を被覆した後に、複合酸化物を被覆した担
体のスラリーを作製し、スラリー中に基材を含浸し、次
いで二次焼成して、基材上に複合酸化物層を被覆した担
体層を形成し、次いで担体層で被覆された基材を、触媒
成分を含有する溶液中に含浸した後に、三次焼成する構
成を有している。
【0064】この構成により、簡単な製造方法で、基材
上に最上層から触媒成分、複合酸化物層、担体層の順で
層状構造を形成でき、かつ担体表面上に複合酸化物を均
一に被覆できるために、硫黄酸化物の存在下においても
硫黄酸化物による被毒を受けることがないという作用を
有する。
【0065】本発明の請求項15に記載の排ガス浄化材
の製造方法は、請求項1乃至5及び9乃至10におい
て、塩化チタン水溶液に担体を加えて混合・攪拌し、次
いで、珪酸ナトリウム水溶液を加え、担体の表面にシリ
カとチタニアからなる複合酸化物の前駆体を含浸後、一
次焼成して担体の表面にシリカとチタニアからなる複合
酸化物を被覆した後、複合酸化物を被覆した担体のスラ
リーを作製し、スラリー中に基材を含浸し、次いで二次
焼成して、基材上に複合酸化物層を被覆した担体層を形
成し、次いで担体層で被覆された基材を、触媒成分を含
有する溶液中に含浸した後、三次焼成する構成を有して
いる。
【0066】この構成により、請求項1乃至5及び9乃
至10の内いずれか1項で得られる作用の他、酸性の溶
液中にアルミナを加えると、アルミナの等電点(pH=
8〜10)における凝集を抑制することができ、アルミ
ナ上にチタニアとシリカからなる複合酸化物層を均一に
形成できるという作用を有する。
【0067】本発明の請求項16に記載の排ガス浄化材
の製造方法は、請求項1乃至15において、複合酸化物
層を被覆した担体層で被覆された基材を、触媒成分を含
有する溶液中に含浸した後、凍結乾燥法を用いて乾燥す
る構成を有している。
【0068】この構成により、請求項1乃至15の内い
ずれか1項で得られる作用の他、複合酸化物層を被覆し
た担体層上に、触媒成分が均一に分散でき、触媒の性能
が向上するという作用を有する。
【0069】本発明の請求項17に記載の排ガス浄化材
の製造方法は、請求項11乃至16において、酸性酸化
物を被覆した担体のスラリーの粘度が1cP〜300c
P、好ましくは2cP〜50cPである構成を有してい
る。
【0070】この構成により、請求項11乃至16の内
いずれか1項で得られる作用の他、簡単な方法で均一な
被覆層を基材に形成でき、排ガス中の炭化水素を効率よ
く浄化できるという作用を有する。
【0071】ここで、スラリーの粘度は、1cP〜30
0cP、好ましくは2cP〜50cPである。粘度が2
cPより小さくなるにつれ、担体を被覆する工程を多数
設ける必要があり、製造にあたり多くの時間を要し、ま
た、粘度が50cPより大きくなるにつれ、スラリーの
基材のセルの中への出入りが困難になり、基材上への均
一な担体皮膜の形成ができなくなるので、いずれも好ま
しくない。粘度が1cPより小さくなり、300cPよ
り大きくなるにつれ、この傾向が著しくなるため、より
好ましくない。
【0072】本発明の請求項18に記載の排ガス浄化材
の製造方法は、請求項11、16、17において、一次
焼成する際の焼成温度が、400℃〜1100℃、好ま
しくは500℃〜1000℃である構成を有している。
【0073】この構成により、請求項11、16、17
の内いずれか1項で得られる作用の他、酸性ガスである
硫黄酸化物と酸性酸化物との間の反発作用が良好である
という作用を有する。
【0074】ここで、酸性酸化物の前駆体の溶液中に担
体を含浸後、一次焼成する際の焼成温度は、500℃よ
り低くなるにつれ、酸性酸化物の酸性度が弱く十分な反
発作用が得られないという傾向がみられ、また、100
0℃より高くなるにつれ、酸性酸化物が結晶成長(シン
タリング)を起こして担体の細孔を閉塞してしまうため
に比表面積が減少し、触媒活性が低下してしまう傾向が
みられ、いずれも好ましくない。焼成温度が400℃よ
り低くなり、1100℃より高くなるにつれ、この傾向
が著しくなるため、より好ましくない。
【0075】本発明の請求項19に記載の排ガス浄化材
の製造方法は、請求項12乃至17において、一次焼成
する際の焼成温度が、400℃〜800℃、好ましくは
500℃〜700℃である構成を有している。
【0076】この構成により、請求項12乃至17の内
いずれか1項で得られる作用の他、酸性ガスである硫黄
酸化物と複合酸化物との間の反発作用が良好であり、硫
黄酸化物による劣化を防止できるので耐久性を向上させ
るという作用を有する。
【0077】ここで、複合酸化物の前駆体を担体に含浸
後、一次焼成する際の焼成温度は、400℃〜800
℃、好ましくは500℃〜700℃において好適であ
る。焼成温度が、500℃より低くなるにつれ、複合酸
化物の酸性度が弱く十分な反発作用が得られないという
傾向が認められ、また、700℃より高くなるにつれ、
複合酸化物が結晶成長(シンタリング)を起こして担体
の細孔を閉塞してしまうために比表面積が減少し、触媒
活性が低下してしまう傾向がみられ、いずれも好ましく
ない。焼成温度が400℃より低くなり、800℃より
高くなるにつれ、この傾向が著しくなるため、より好ま
しくない。
【0078】以下、本発明の実施の形態について、図面
を用いて説明する。
【0079】(実施の形態1)図1は本発明の実施の形
態1における排ガス浄化材の断面図である。
【0080】図1において、1は実施の形態1の排ガス
浄化材、2はハニカム構造をもつ基材、3は基材2表面
に形成された担体層、4は担体層3表面に被覆された酸
性酸化物層、5は酸性酸化物層4の表面に担持された触
媒成分である。
【0081】以上のように構成された実施の形態1の排
ガス浄化材について、以下その製造方法を説明する。
【0082】図2は実施の形態1の排ガス浄化材の製造
工程のフローチャートである。
【0083】図2において、S1は担体の表面に酸性酸
化物層4を被覆する工程、S2は酸性酸化物を被覆した
担体層3をハニカム構造を持つ基材2に被覆する工程、
S3は基材2上の酸性酸化物層4を被覆した担体層3の
表面に触媒成分5を担持する工程である。
【0084】以下、各工程について、詳細に説明する。
【0085】(1)担体の表面に酸性酸化物層4を被覆
する工程(S1) 所定量の酸性酸化物層4の前駆体を溶媒に加えて攪拌
し、担体を溶液中に所定量加えて一昼夜攪拌し、乾燥
後、大気中にて500℃〜1000℃で焼成する。
【0086】(2)酸性酸化物を被覆した担体層3をハ
ニカム構造を持つ基材2に被覆する工程(S2) 酸性酸化物を被覆した担体層3に、純水、分散剤を加え
てスラリーを作製する。このスラリーを希釈して粘度を
調整した後、ハニカム構造体の基材2を浸漬し、引き上
げた後、余分なスラリーを除去し、乾燥する。上記作業
を数回繰り返して所定量をコートした後、大気中にて所
定温度で焼成する。
【0087】(3)基材2上の酸性酸化物層4を被覆し
た担体層3の表面に触媒成分5を担持する工程(S3) 純水に、所定量の触媒成分5の金属塩、添加剤を加えた
溶液中に、酸性酸化物層4をコーティングした担体をコ
ートしたハニカム構造体の基材2を浸漬し、引き上げた
後、余分な溶液を除去し乾燥し、大気中で焼成する。更
に、純水に所定量の触媒成分5の金属塩、添加剤を加え
た溶液中に、酸性酸化物層4をコーティングした担体を
コートしたハニカム構造体を浸漬し、引き上げた後、余
分な溶液を除去し乾燥し、還元雰囲気中で焼成し、排ガ
ス浄化材1を形成する。
【0088】ここで、酸性酸化物層4は、担体層3に対
し6wt%〜10wt%、酸性酸化物層4の膜厚は、
0.1μm〜20μm、被覆率は80%〜100%であ
るのが適当である。また、酸性酸化物層4を被覆した担
体は、基材2に対し7wt%〜15wt%であるのが適
当である。更に、担体層3の担体は、平均粒子径が1μ
m〜10μm、N2吸着法による細孔分布測定において
全細孔容積が0.3ml/g以上、かつ細孔直径100
Å以上の細孔容積が全細孔容積の60%以上、更に大気
中1000℃で焼成したときの比表面積が100m2
g以上の耐熱性無機酸化物であることが適当である。
【0089】排ガス浄化材1の製造方法において、スラ
リーの粘度が1cP〜300cP、好ましくは2cP〜
50cPとするのが適当である。また、酸性酸化物の前
駆体の溶液中に担体を含浸後、一次焼成する際の焼成温
度は、500℃〜1000℃が適当である。
【0090】担体層3は基材2の表面に被覆することに
より、高比表面積を提供するものであり、アルミナ、シ
リカ、チタニア、ジルコニア等の無機酸化物、シリカと
アルミナ等の複合無機酸化物から構成される。
【0091】酸性酸化物層4は、排ガス中の硫黄酸化物
と担体層3あるいは触媒成分5との反応を抑制するもの
であり、担体よりも酸性度の高い無機酸化物あるいは複
合無機酸化物から構成される。
【0092】触媒成分5は、排ガス中の有害成分を浄化
するものであり、Pt、Pd等の貴金属、Co、Ni、
Cu等の非金属あるいはそれらの酸化物から構成され
る。
【0093】担体の表面に酸性酸化物層4を被覆する工
程S1において、酸性酸化物が担体表面に均一に被覆さ
れ、排ガス中の硫黄酸化物と担体層3あるいは触媒成分
5との反応が効果的に抑制される。
【0094】また、酸性酸化物を被覆した担体層3をハ
ニカム構造を持つ基材2に被覆する工程S2と、基材2
上の酸性酸化物を被覆した担体層3の表面に触媒成分5
を担持する工程S3において、排ガス中の有害成分が浄
化される。
【0095】(実施の形態2)実施の形態2の排ガス浄
化材は、担体が活性アルミナ、酸性酸化物がシリカ、シ
リカの前駆体が珪素アルコキドであること以外は、実施
の形態1と同様である。尚、実施の形態1における図
1、図2と同様のものについては、同一の符号を付し説
明を省略する。
【0096】担体層3は基材2の表面に被覆することに
より、高比表面積を提供するものである。
【0097】酸性酸化物層4は、排ガス中の硫黄酸化物
と担体層3あるいは触媒成分5との反応を抑制するもの
である。
【0098】ここで、珪素アルコキシドは、テトラメト
キシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシ
シラン、テトラプトキシシラン、テトラブトキシシラン
等が使用される。
【0099】図3は実施の形態2の排ガス浄化材の製造
工程のフローチャートである。
【0100】図3において、S4は活性アルミナ(担
体)の表面に酸性酸化物層4を被覆する工程、S5はシ
リカ(酸性酸化物)を被覆した活性アルミナ(担体層
3)をハニカム構造を持つ基材2に被覆する工程、S6
は基材2上のシリカ(酸性酸化物)を被覆した活性アル
ミナ(担体層3)の表面に触媒成分5を担持する工程で
ある。
【0101】担体の表面に酸性酸化物層4を被覆する工
程S4において、シリカ(酸性酸化物)が活性アルミナ
(担体層3)表面に均一に被覆され、排ガス中の硫黄酸
化物と担体層3あるいは触媒成分5との反応が効果的に
抑制される。
【0102】また、シリカ(酸性酸化物)を被覆した活
性アルミナ(担体層3)をハニカム構造を持つ基材2に
被覆する工程S2と、基材2上の酸性酸化物を被覆した
担体層3の表面に触媒成分5を担持する工程S3におい
て、排ガス中の有害成分が浄化される。
【0103】(実施の形態3)実施の形態3の排ガス浄
化材は、担体が活性アルミナ、酸性酸化物がシリカ、ア
ルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛の内少なくと
も2種以上用いて形成された複合酸化物であること以外
は、実施の形態1と同様である。尚、実施の形態1、2
における図1〜図3と同様のものについては、同一の符
号を付し説明を省略する。
【0104】担体層3は基材2の表面に被覆することに
より、高比表面積を提供するものである。
【0105】酸性酸化物層4は、排ガス中の硫黄酸化物
と担体層3あるいは触媒成分5との反応を抑制するもの
であり、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸
化亜鉛の内少なくとも2種以上用いて形成された複合酸
化物で構成される。ここでは、シリカとアルミナからな
る複合酸化物が使用されるが、シリカとチタニア、ジル
コニアとアルミナ、酸化亜鉛とチタニア等からなる複合
酸化物が使用される。
【0106】触媒成分5は、排ガス中の有害成分を浄化
するものであり、Pt、Pd等の貴金属、Co、Ni、
Cu等の非金属あるいはそれらの酸化物から構成され
る。
【0107】(実施の形態4)図4は本発明の実施の形
態4における排ガス浄化材の断面図である。
【0108】図4において、21は実施の形態4の排ガ
ス浄化材、22はハニカム構造を持つ基材、23は基材
22表面に形成されたアルミナ層、24はアルミナ層2
3表面に被覆されたシリカとアルミナからなる複合酸化
物層、25はシリカとアルミナからなる複合酸化物層2
4の表面に担持された触媒成分である。
【0109】以上のように構成された実施の形態4の排
ガス浄化材について、以下その製造方法を説明する。
【0110】図5は実施の形態4の排ガス浄化材の製造
工程のフローチャートである。
【0111】図5において、S7はアルミナ層23の表
面にシリカとアルミナからなる複合酸化物層24を被覆
する工程、S8はシリカとアルミナからなる複合酸化物
層24を被覆したアルミナ層23をハニカム構造を持つ
基材22に被覆する工程、S9は基材22上のシリカと
アルミナからなる複合酸化物層24を被覆したアルミナ
層23の表面に触媒成分25を担持する工程である。
【0112】以下、各工程について、詳細に説明する。
【0113】(1)アルミナ層23の表面にシリカとア
ルミナからなる複合酸化物層24を被覆する工程(S
7) アルミナの出発原料である所定量の金属塩を溶媒に加え
て撹拌、溶解した後、アルミナを所定量加えて、更に撹
拌する。次いで、シリカの出発原料である金属塩溶液を
加え、撹拌する。その後、十分に洗浄、乾燥し、大気中
にて400℃〜800℃で焼成する。
【0114】(2)シリカとアルミナからなる複合酸化
物層24を被覆したアルミナ層23をハニカム構造を持
つ基材22に被覆する工程(S8) シリカとアルミナからなる複合酸化物層24を被覆した
アルミナ層23に、純水、分散剤を加えてスラリーを作
製する。このスラリーを希釈して粘度を調整した後、ハ
ニカム構造体の基材22を浸漬し、引き上げた後、余分
なスラリーを除去し、乾燥する。上記作業を数回繰り返
して所定量をコートした後、大気中にて所定温度で焼成
する。
【0115】(3)基材22上のシリカとアルミナから
なる複合酸化物層24を被覆したアルミナ層23の表面
に触媒成分25を担持する工程(S9) 所定量の触媒成分25の金属塩、添加剤を加えた溶液中
に、シリカとアルミナからなる複合酸化物層24をコー
ティングしたアルミナ層23をコートしたハニカム構造
の基材22を浸漬し、引き上げた後、余分な溶液を除去
し、凍結乾燥後、焼成し、排ガス浄化材21を得る。
【0116】ここで、シリカとアルミナからなる複合酸
化物層24のAl/(Si・Al)の比率は、50〜7
0、シリカとアルミナからなる複合酸化物層24の膜厚
は、0.1μm〜20μm、被覆率は80%〜100%
であるのが適当である。また、シリカとアルミナからな
る複合酸化物層24を被覆したアルミナ層23は、基材
22に対し7wt%〜15wt%であるのが適当であ
る。更に、アルミナ層23の担体は、平均粒子径が1μ
m〜10μm、N2吸着法による細孔分布測定において
全細孔容積が0.3ml/g以上であり、かつ細孔直径
100Å以上の細孔容積が全細孔容積の60%以上、更
に大気中1000℃で焼成したときの比表面積が100
2/g以上の耐熱性無機酸化物であることが適当であ
る。
【0117】また、排ガス浄化材の製造方法において、
スラリーの粘度が1cP〜300cP、好ましくは2c
P〜50cPとするのが適当である。また、シリカとア
ルミナからなる複合酸化物層24をアルミナ層23にコ
ーティング後、一次焼成する温度は400℃〜800
℃、好ましくは500℃〜700℃が適当である。
【0118】アルミナ層23は基材22の表面に被覆す
ることにより、高比表面積を提供するものである。シリ
カとアルミナからなる複合酸化物層24は、排ガス中の
硫黄酸化物とアルミナ層23あるいは触媒成分25との
反応を抑制するためのものである。
【0119】触媒成分25は、排ガス中の有害成分を浄
化するものであり、Pt、Pd等の貴金属、Co、N
i、Cu等の非金属あるいはそれらの酸化物から構成さ
れる。
【0120】アルミナ層23の表面にシリカとアルミナ
からなる複合酸化物層24を被覆する工程S7におい
て、シリカとアルミナからなる複合酸化物層24がアル
ミナ層23表面に均一に被覆され、排ガス中の硫黄酸化
物とアルミナ層23あるいは触媒成分25との反応が効
果的に抑制される。
【0121】シリカとアルミナからなる複合酸化物層2
4を被覆したアルミナ層23をハニカム構造を持つ基材
22に被覆する工程S8と、基材22上のシリカとアル
ミナからなる複合酸化物層24を被覆したアルミナ層2
3の表面に触媒成分25を担持する工程S9において、
排ガス中の有害成分が浄化される。
【0122】(実施の形態5)図6は本発明の実施の形
態5における排ガス浄化材の断面図である。
【0123】図6において、30は実施の形態5の排ガ
ス浄化材、31はハニカム構造を持つ基材、32は基材
31表面に形成されたアルミナ層、33はアルミナ層3
2表面に被覆されたチタニアとシリカからなる複合酸化
物層、34はチタニアとシリカからなる複合酸化物層3
3の表面に担持された触媒成分である。
【0124】以上のように構成された実施の形態5の排
ガス浄化材について、以下その製造方法を説明する。
【0125】図7は実施の形態5の排ガス浄化材の製造
方法のフローチャートである。
【0126】図7において、S10はアルミナ層32の
表面にシリカとチタニアからなる複合酸化物層33を被
覆する工程、S11はシリカとチタニアからなる複合酸
化物層33を被覆したアルミナ層32をハニカム構造を
持つ基材31に被覆する工程、S12は基材31上のシ
リカとチタニアからなる複合酸化物層33を被覆したア
ルミナ層32の表面に触媒成分34を担持する工程であ
る。
【0127】以下、各工程について、詳細に説明する。
【0128】(1)アルミナ層32の表面にシリカとチ
タニアからなる複合酸化物層33を被覆する工程(S1
0) チタニアの出発原料である所定量の金属塩を溶媒に加え
て撹拌、溶解した後、アルミナを所定量加えて、更に撹
拌する。次いで、シリカの出発原料である金属塩溶液を
加え、撹拌する。その後、十分に洗浄、乾燥し、大気中
にて400℃〜800℃で焼成する。
【0129】(2)シリカとチタニアからなる複合酸化
物層33を被覆したアルミナ層32をハニカム構造を持
つ基材31に被覆する工程(S11) シリカとチタニアからなる複合酸化物層33を被覆した
アルミナ層32に、純水、分散剤を加えてスラリーを作
製する。このスラリーを希釈して粘度を調整した後、ハ
ニカム構造体の基材31を浸漬し、引き上げた後、余分
なスラリーを除去し、乾燥する。上記作業を数回繰り返
して所定量をコートした後、大気中にて所定温度で焼成
する。
【0130】(3)基材31上のシリカとチタニアから
なる複合酸化物層33を被覆したアルミナ層32の表面
に触媒成分34を担持する工程(S12) 所定量の触媒成分34の金属塩、添加剤を加えた溶液中
に、シリカとチタニアからなる複合酸化物層33をコー
ティングしたアルミナ層32をコートしたハニカム構造
の基材31を浸漬し、引き上げた後、余分な溶液を除去
し、凍結乾燥後、焼成し、排ガス浄化材30を得る。
【0131】ここで、シリカとチタニアからなる複合酸
化物層33のTi/(Si・Ti)の比率は、50〜7
0、シリカとチタニアからなる複合酸化物層33の膜厚
は、0.1μm〜20μm、被覆率は80%〜100%
であるのが適当である。また、シリカとチタニアからな
る複合酸化物層33を被覆したアルミナ層32は、基材
31に対し7wt%〜15wt%であるのが適当であ
る。更に、アルミナ層32の担体は、平均粒子径が1μ
m〜10μm、N2吸着法による細孔分布測定において
全細孔容積が0.3ml/g以上であり、かつ細孔直径
100Å以上の細孔容積が全細孔容積の60%以上、更
に大気中1000℃で焼成したときの比表面積が100
2/g以上の耐熱性無機酸化物であることが適当であ
る。
【0132】排ガス浄化材の製造方法において、スラリ
ーの粘度が1cP〜300cP、好ましくは2cP〜5
0cPとするのが適当である。また、シリカとチタニア
からなる複合酸化物層33をアルミナ層32にコーティ
ング後、一次焼成する温度は400℃〜800℃、好ま
しくは500℃〜700℃が適当である。
【0133】アルミナ層32は基材31の表面に被覆す
ることにより、高比表面積を提供するものである。
【0134】シリカとチタニアからなる複合酸化物層3
3は、排ガス中の硫黄酸化物とアルミナ層32あるいは
触媒成分34との反応を抑制するためのものである。
【0135】触媒成分34は、排ガス中の有害成分を浄
化するものであり、Pt、Pd等の貴金属、Co、N
i、Cu等の非金属あるいはそれらの酸化物から構成さ
れる。
【0136】アルミナ層32の表面にシリカとチタニア
からなる複合酸化物層33を被覆する工程S10におい
て、シリカとチタニアからなる複合酸化物層33がアル
ミナ層32表面に均一に被覆され、排ガス中の硫黄酸化
物とアルミナ層32あるいは触媒成分34との反応が効
果的に抑制される。
【0137】シリカとチタニアからなる複合酸化物層3
3を被覆したアルミナ層32をハニカム構造を持つ基材
31に被覆する工程S11と、基材31上のシリカとチ
タニアからなる複合酸化物層33を被覆したアルミナ層
32の表面に触媒成分34を担持する工程S12におい
て、排ガス中の有害成分が浄化される。
【0138】
【実施例】以下、本発明の具体例を詳細に説明する。
【0139】(実施例1) (1)活性アルミナの表面にシリカ層を被覆する工程 所定量のテトラエトキシシラン(和光純薬工業製)を、
無水エタノール(和光純薬工業製)5Lに加えて攪拌
し、活性アルミナ(住友化学工業製)1800gを加え
て一昼夜攪拌した後、乾燥し、大気中にて900℃で焼
成した。
【0140】(2)シリカを被覆した活性アルミナをハ
ニカム構造を持つ基材に被覆する工程 純水2.5Lに分散剤(花王製、商品名ポイズ)720
gを加えた混合溶液に、シリカを被覆した活性アルミナ
1800gを加えて20時間混合し、スラリーを作製し
た。このスラリーを前記混合溶液と同じ濃度の溶液でス
ラリーの粉体濃度が1/3になるように希釈し、希釈ス
ラリー中に直径5.66inch、長さ6inch、セ
ル数400セル/in2のコージェライト製ハニカム構
造体(NGK製)を浸漬し、引き上げた後に余分なスラ
リーをエアブローにより除去した後、300℃で乾燥し
た。上記操作を数回繰り返し、所定量をコートした後、
大気中にて所定温度で焼成した。
【0141】(3)基材上のシリカを被覆した活性アル
ミナの表面に触媒成分を担持する工程 純水5Lに所定量の硝酸パラジウム、クエン酸を加えた
溶液中に、前記ハニカム構造体を浸漬し、引き上げた
後、余分な溶液をエアブローにより除去した後、凍結乾
燥法により乾燥し、大気中にて600℃で焼成した。
【0142】更に、純水5Lに所定量のジニトロジアミ
ノ白金硝酸溶液、クエン酸を溶解した溶液中に、前記パ
ラジウムを担持したハニカム構造体を浸漬し、引き上げ
た後、余分な溶液をエアブローにより除去した後、凍結
乾燥法により乾燥し、還元雰囲気中にて600℃で焼成
した。
【0143】(実施例2)所定量の0.4mol珪酸ナ
トリウム(和光純薬工業製)水溶液中に活性アルミナ
(住友化学工業製)1800gを加えて2時間攪拌し、
所定量の0.4mol硝酸アルミニウム水溶液を加え
て、更に2時間攪拌した。純水5Lで十分洗浄した後、
吸引濾過し、100℃で乾燥後、大気中にて900℃で
焼成した。
【0144】以下、実施例1と同様にして排ガス浄化材
を作製した。
【0145】(実施例3)所定量の0.4mol珪酸ナ
トリウム(和光純薬工業製)水溶液中に活性アルミナ
(住友化学工業製)1800gを加えて2時間攪拌し、
所定量の0.4mol四塩化チタン水溶液を加えて、更
に2時間攪拌した。純水5Lで十分洗浄した後、吸引濾
過し、100℃で乾燥後、大気中にて900℃で焼成し
た。
【0146】以下、実施例1と同様にして排ガス浄化材
を作製した。
【0147】(実施例4) (1)活性アルミナの表面にシリカとアルミナからなる
複合酸化物層を被覆する工程 所定量の硝酸アルミニウム(和光純薬工業製)を、純水
5Lに加えて撹拌し、溶解した後、活性アルミナ(住友
化学工業製)1800gを加えて、2時間撹拌した。次
いで、活性アルミナ含有溶液中に、所定量の珪酸ナトリ
ウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液の混合溶液を一気
に加えて、更に2時間撹拌し、デカンテーションにより
十分に洗浄した後、乾燥し、大気中にて600℃で焼成
した。
【0148】(2)シリカとアルミナからなる複合酸化
物層を被覆した活性アルミナをハニカム構造を持つ基材
に被覆する工程 純水2.5Lに分散剤(花王製、商品名ポイズ)720
gを加えた混合溶液に、シリカとアルミナからなる複合
酸化物を被覆した活性アルミナ1800gを加えて20
時間混合し、スラリーを作製した。このスラリーを前記
混合溶液と同じ濃度の溶液でスラリーの粉体濃度が1/
3になるように希釈し、希釈スラリー中に直径5.66
inch、長さ6inch、セル数400セル/in2
のコージェライト製ハニカム構造体(NGK製)を浸漬
し、引き上げた後、余分なスラリーをエアブローにより
除去した後、300℃で乾燥した。上記操作を数回繰り
返し、所定量をコートした後、大気中にて所定温度で焼
成した。
【0149】(3)基材上のシリカとアルミナからなる
複合酸化物を被覆した活性アルミナの表面に触媒成分を
担持する工程 純水5Lに所定量の硝酸パラジウム、クエン酸を加えた
溶液中に、シリカとアルミナからなる複合酸化物を被覆
したアルミナをコーティングしたハニカム構造体を浸漬
し、引き上げた後、余分な溶液をエアブローにより除去
した後、凍結乾燥法により乾燥し、大気中にて600℃
で焼成した。
【0150】更に純水5Lに所定量のジニトロジアミノ
白金硝酸溶液、クエン酸を溶解した溶液中に、前記パラ
ジウムを担持したシリカとアルミナからなる複合酸化物
を被覆したアルミナをコーティングしたハニカム構造体
を浸漬し、引き上げた後、余分な溶液をエアブローによ
り除去した後、凍結乾燥法により乾燥し、還元雰囲気中
にて600℃で焼成した。
【0151】(実施例5) (1)活性アルミナの表面にシリカとチタニアからなる
複合酸化物層を被覆する工程 所定量の塩化チタン溶液(和光純薬工業製)を、純水5
Lに加えて撹拌し、溶解した後、活性アルミナ(住友化
学工業製)1800gを加えて、2時間撹拌した。次い
で、活性アルミナ含有溶液中に、所定量の珪酸ナトリウ
ム水溶液を一気に加えて、更に2時間撹拌し、デカンテ
ーションにより十分に洗浄した後、乾燥し、大気中にて
600℃で焼成した。
【0152】(2)シリカとチタニアからなる複合酸化
物層を被覆した活性アルミナをハニカム構造を持つ基材
に被覆する工程 純水2.5Lに分散剤(花王製、商品名ポイズ)720
gを加えた混合溶液に、シリカとチタニアからなる複合
酸化物を被覆した活性アルミナ1800gを加えて20
時間混合し、スラリーを作製した。このスラリーを前記
混合溶液と同じ濃度の溶液でスラリーの粉体濃度が1/
3になるように希釈し、希釈スラリー中に直径5.66
inch、長さ6inch、セル数400セル/in2
のコージェライト製ハニカム構造体(NGK製)を浸漬
し、引き上げた後、余分なスラリーをエアブローにより
除去した後、300℃で乾燥した。上記操作を数回繰り
返し、所定量をコートした後、大気中にて所定温度で焼
成した。
【0153】(3)基材上のシリカとチタニアからなる
複合酸化物を被覆した活性アルミナの表面に触媒成分を
担持する工程 純水5Lに所定量の硝酸パラジウム、クエン酸を加えた
溶液中に、シリカとチタニアからなる複合酸化物を被覆
したアルミナをコーティングしたハニカム構造体を浸漬
し、引き上げた後、余分な溶液をエアブローにより除去
した後、凍結乾燥法により乾燥し、大気中にて600℃
で焼成した。
【0154】更に純水5Lに所定量のジニトロジアミノ
白金硝酸溶液、クエン酸を溶解した溶液中に、前記パラ
ジウムを担持したシリカとチタニアからなる複合酸化物
を被覆したアルミナをコーティングしたハニカム構造体
を浸漬し、引き上げた後、余分な溶液をエアブローによ
り除去した後、凍結乾燥法により乾燥し、還元雰囲気中
にて600℃で焼成した。
【0155】(比較例1)純水2.5Lに分散剤(花王
製、商品名ポイズ)720gを加えた混合溶液に、活性
アルミナ(住友化学工業製、商品名TAシリーズ)18
00gを加えて20時間混合し、スラリーを作製した。
このスラリーを前記混合溶液と同じ濃度の溶液でスラリ
ーの粉体濃度が1/3になるように希釈し、希釈スラリ
ー中に直径5.66inch、長さ6inch、セル数
400セル/in2のコージェライト製ハニカム構造体
(NGK製)を浸漬し、引き上げた後、余分なスラリー
をエアブローにより除去した後、300℃で乾燥した。
上記操作を数回繰り返し、所定量をコートした後、大気
中にて所定温度で焼成した。
【0156】次いで、純水5Lに所定量の硝酸パラジウ
ム、クエン酸を加えた溶液中に、前記ハニカム構造体を
浸漬し、引き上げた後、余分な溶液をエアブローにより
除去した後、凍結乾燥法により乾燥し、大気中にて60
0℃で焼成した。
【0157】更に、純水5Lに所定量のジニトロジアミ
ノ白金硝酸溶液、クエン酸を溶解した溶液中に、前記パ
ラジウムを担持したハニカム構造体を浸漬し、引き上げ
た後、余分な溶液をエアブローにより除去した後、凍結
乾燥法により乾燥し、還元雰囲気中にて600℃で焼成
した。
【0158】(比較例2)純水2.5Lに分散剤(花王
製、商品名ポイズ)720gを加えた混合溶液に、活性
アルミナ(住友化学工業製、商品名TAシリーズ)18
00gを加えて20時間混合し、スラリーを作製した。
このスラリーを前記混合溶液と同じ濃度の溶液でスラリ
ーの粉体濃度が1/3になるように希釈し、希釈スラリ
ー中に直径5.66inch、長さ6inch、セル数
400セル/in2のコージェライト製ハニカム構造体
(NGK製)を浸漬し、引き上げた後、余分なスラリー
をエアブローにより除去した後、300℃で乾燥した。
上記操作を数回繰り返し、所定量をコートした後、大気
中にて所定温度で焼成した。
【0159】次いで、純水5Lに所定量の硝酸パラジウ
ム、クエン酸を加えた溶液中に、前記ハニカム構造体を
浸漬し、引き上げた後、余分な溶液をエアブローにより
除去した後、凍結乾燥法により乾燥し、大気中にて60
0℃で焼成した。
【0160】更に、純水5Lに所定量のジニトロジアミ
ノ白金硝酸溶液、クエン酸を溶解した溶液中に、前記パ
ラジウムを担持したハニカム構造体を浸漬し、引き上げ
た後、余分な溶液をエアブローにより除去した後、凍結
乾燥法により乾燥し、還元雰囲気中にて600℃で焼成
した。
【0161】更に、所定量のテトラエトキシシラン(和
光純薬工業製)を無水エタノール(和光純薬工業製)5
Lに加えて攪拌し、パラジウムと白金を担持したハニカ
ム構造体を含浸した後、乾燥し、大気中にて900℃で
焼成した。
【0162】(比較例3)所定量の珪酸ナトリウム(和
光純薬工業製)と水酸化ナトリウム(和光純薬工業製)
を純水5Lに加えて撹拌し、溶解した後、活性アルミナ
(住友化学工業製)1800gを加えて、2時間撹拌し
た。次いで、前記活性アルミナ含有溶液中に、所定量の
硝酸アルミニウム(和光純薬工業製)水溶液を一気に加
えて、更に2時間撹拌した後、デカンテーションにより
十分に洗浄後、乾燥し、大気中にて600℃で焼成し
た。以下、実施例1と同様にして排ガス浄化材を作製し
た。
【0163】(比較例4)所定量の珪酸ナトリウム(和
光純薬工業製)を純水5Lに加えて撹拌し、溶解した
後、活性アルミナ(住友化学工業製)1800gを加え
て、2時間撹拌した。次いで、前記活性アルミナ含有溶
液中に、所定量の塩化チタン(和光純薬工業製)水溶液
を一気に加えて、更に2時間撹拌した後、デカンテーシ
ョンにより十分に洗浄後に、乾燥し、大気中にて600
℃で焼成した。以下、実施例1と同様にして排ガス浄化
材を作製した。
【0164】(比較例5)所定量の硝酸アルミニウム
(和光純薬工業製)を純水5Lに加えて撹拌し、溶解し
た後、活性アルミナ(住友化学工業製)1800gを加
えて、2時間撹拌した。次いで、前記活性アルミナ含有
溶液中に、所定量の珪酸ナトリウム水溶液と水酸化ナト
リウム水溶液の混合溶液を一気に加えて、更に2時間撹
拌後、デカンテーションにより十分に洗浄した後、乾燥
し、大気中にて600℃で焼成した。
【0165】その後、純水2.5Lに分散剤(花王製、
商品名ポイズ)720gを加えた混合溶液に、シリカと
アルミナからなる複合酸化物を被覆した活性アルミナ1
800gを加え、20時間混合し、スラリーを作製し
た。このスラリーを純水と分散剤の混合溶液と同じ濃度
の溶液でスラリーの粉体濃度が1/3になるように希釈
し、この希釈スラリー中に直径5.66inch、長さ
6inch、セル数400セル/in2のコージェライ
ト製ハニカム構造体(NGK製)を浸漬し、引き上げた
後、余分なスラリーをエアブローにより除去した後、3
00℃で乾燥した。上記作業を数回繰り返して所定量を
コートした後、大気中にて所定温度で焼成した。
【0166】次いで、純水5Lに所定量の硝酸パラジウ
ム、クエン酸を加えた溶液中にシリカとアルミナからな
る複合酸化物を被覆したアルミナをコーティングしたハ
ニカム構造体を浸漬し、引き上げた後、余分な溶液をエ
アブローにより除去した後、100℃の乾燥機で一晩乾
燥し、大気中にて600℃で焼成した。
【0167】更に、純水5Lに所定量のジニトロジアミ
ノ白金硝酸溶液、クエン酸を加えた溶液中に、前記パラ
ジウムを担持したシリカとアルミナからなる複合酸化物
を被覆したアルミナをコーティングしたハニカム構造体
を浸漬し、引き上げた後、余分な溶液をエアブローによ
り除去した後、100℃の乾燥機で一晩乾燥し、還元雰
囲気中にて600℃で焼成した。
【0168】(比較例6)所定量の塩化チタン溶液(和
光純薬工業製)を純水5Lに加えて撹拌し、溶解した
後、活性アルミナ(住友化学工業製)1800gを加え
て、2時間撹拌する。次いで前記活性アルミナ含有溶液
中に、所定量の珪酸ナトリウム水溶液を一気に加えて、
更に2時間撹拌後、デカンテーションにより十分に洗浄
した後に、乾燥、大気中にて600℃で焼成した。
【0169】その後、純水2.5Lに分散剤(花王製、
商品名ポイズ)720gを加えた混合溶液に、前記シリ
カとアルミナからなる複合酸化物を被覆した活性アルミ
ナ1800gを加えて20時間混合し、スラリーを作製
した。このスラリーを純水と分散剤の混合溶液と同じ濃
度の溶液でスラリーの粉体濃度が1/3になるように希
釈し、この希釈スラリー中に直径5.66inch、長
さ6inch、セル数400セル/in2のコージェラ
イト製ハニカム構造体(NGK製)を浸漬し、引き上げ
た後、余分なスラリーをエアブローにより除去した後、
300℃で乾燥した。上記作業を数回繰り返して所定量
をコートした後、大気中にて所定の温度で焼成した。
【0170】次いで、純水5Lに所定量の硝酸パラジウ
ム、クエン酸を加えた溶液中に前記シリカとチタニアか
らなる複合酸化物を被覆したアルミナをコーティングし
たハニカム構造体を浸漬し、引き上げた後、余分な溶液
をエアブローにより除去した後、100℃の乾燥機で一
晩乾燥し、大気中にて600℃で焼成した。
【0171】更に、純水5Lに所定量のジニトロジアミ
ノ白金硝酸溶液、クエン酸を加えた溶液中に、前記パラ
ジウムを担持したシリカとチタニアからなる複合酸化物
を被覆したアルミナをコーティングしたハニカム構造体
を浸漬し、引き上げた後、余分な溶液をエアブローによ
り除去した後、100℃の乾燥機で一晩乾燥し、還元雰
囲気中にて600℃で焼成した。
【0172】以下、実施例1〜5及び比較例1〜6にお
いて製造された排ガス浄化材について、触媒活性評価試
験と、SO2酸化能評価試験を行った。
【0173】ここで、触媒活性評価試験を行う固定床流
通系反応装置について説明する。
【0174】図8は触媒活性評価試験に用いた固定床流
通系反応装置の概略図である。
【0175】図8において、40は固定床流通系反応装
置、41、42は気体用流量調整器、43は液体用流量
調整器、44は気化器、45は石英管、46は電気炉、
47は石英ウール、48は排ガス浄化材、49はNDI
R方式のCO,CO2ガス分析計、50はガスクロマト
グラフである。
【0176】以上のように構成された固定床流通系反応
装置40を用いて行われる触媒活性評価試験方法につい
て説明する。
【0177】窒素ガス、乾燥した大気を気体用流量調整
器42により、また、炭化水素を液体用流量調整器43
により、所定の流量に調整した後、炭化水素を気化器4
4によって所定の濃度で気化し、窒素ガスと乾燥した大
気を混合する。混合されたガスは、石英管45内に導入
され、石英管45内に置かれた排ガス浄化材48によっ
て浄化される。ここで、試験に供する排ガス浄化材48
は、反応系で評価することができるように、所定の寸法
に切り出した。また、排ガス浄化材48の前後には、石
英ウール47が配置され、石英管45は電気炉46内に
設置されている。その後、浄化された混合ガスの内、一
部はNDIR方式のCO,CO2ガス分析計49に導入
され、一酸化炭素及び二酸化炭素濃度を検知する。
【0178】ここで、触媒活性評価試験は、混合ガスの
酸素分圧4%、空間速度30000h-1、炭化水素濃度
350ppm、電気炉46内温度250℃の条件で行わ
れ、触媒活性の経時変化が測定された。
【0179】このように、計測された一酸化炭素濃度、
二酸化炭素濃度から、(数1)により、酸化率を算出し
た。
【0180】
【数1】
【0181】(数1)において、PCOはNDIR方式
の一酸化炭素、二酸化炭素ガス分析計によって測定され
た一酸化炭素濃度の値、PCO2はNDIR方式の一酸
化炭素、二酸化炭素ガス分析計によって測定された二酸
化炭素濃度の値、PCは炭化水素が100%燃焼した時
のCO2濃度の理論値である。
【0182】一方、浄化された混合ガスの内、他の一部
はガスサンプリング装置を介してガスクロマトグラフ5
0へ導入され、未反応の炭化水素の各成分が定量され
る。反応に伴う分解率は、排ガス浄化材48を配置しな
い状態で、前もって炭化水素の各成分の定量を行い、こ
の時の値を100%として、浄化された混合ガス中に含
まれる未反応の炭化水素の残存率より算出した。
【0183】次に、SO2酸化能評価試験について説明
する。
【0184】図9はSO2酸化能評価試験に用いた反応
装置の概略図である。
【0185】図9において、51はSO2酸化能評価試
験を行う反応装置、52、53、54は気体用流量調整
器、55はガス混合器、56は石英管、57は電気炉、
58は石英ウール、59は排ガス浄化材、60はNDI
R方式のSO2ガス分析計である。
【0186】以上のように構成された反応装置を用いて
行われるSO2酸化能評価試験方法について説明する。
【0187】気体用流量調整器52、53、54によっ
て流量調整された窒素ガス、乾燥した大気、SO2ガス
(SO2濃度=1000ppm、バランスガス=窒素)
は混合器55で混合され、石英管56内に導入され、石
英管56内に置かれた排ガス浄化材59によって反応す
る。ここで、試験に供する排ガス浄化材59は、反応系
で評価することができるように、所定の寸法に切り出し
た。また、排ガス浄化材59の前後には、石英ウール5
8が配置され、石英管56は電気炉57内に設置されて
いる。その後、反応したガスは、NDIR方式のSO2
ガス分析計60に導入され、SO2濃度を測定する。
【0188】ここで、SO2酸化能評価試験は、混合ガ
スの酸素分圧8%、空間速度30000h-1、SO2
度100ppm、電気炉57内温度400℃の条件で行
われ、触媒活性の経時変化が測定された。
【0189】SO2酸化能は、石英管56に導入される
前のSO2濃度と、SO2分析計で測定されたSO2濃度
により評価した。
【0190】(表1)乃至(表17)に、実施例1〜5
及び比較例1〜6で製造された排ガス浄化材59におけ
る触媒活性評価試験及びSO2酸化能評価試験の結果を
示す。
【0191】(表1)に、担体である活性アルミナの平
均粒子径(μm)、N2吸着法による細孔分布測定にお
ける全細孔容積(ml/g)、細孔直径100Å以上の
細孔容積の存在率(%)、大気中1000℃で焼成後の
比表面積(m2/g)及び250℃での炭化水素浄化率
(%)を示した。
【0192】
【表1】
【0193】(表1)から明らかなように、活性アルミ
ナについては、平均粒子径が1μm〜10μm、N2
着法による細孔分布測定における全細孔容積が0.3m
l/g以上、細孔直径100Å以上の細孔容積の存在率
が60%以上、大気中1000℃で焼成後の比表面積が
100m2/g以上で、炭化水素の浄化率が80%以上
を示した。一方、前記範囲外の活性アルミナを使用した
場合、炭化水素の浄化率が40%〜60%であった。こ
のように、前記範囲内にある活性アルミナを使用する
と、高活性な排ガス浄化材が得られることがわかった。
【0194】(表2)に、担体基材に対する被覆量(w
t%)と250℃での炭化水素浄化率(%)との関係を
示した。
【0195】
【表2】
【0196】この(表2)から明らかなように、基材に
対し酸性酸化物を被覆した担体が7wt%〜15wt%
において炭化水素の浄化率が85%であり、前記範囲外
の被覆量の45%〜60%に比べて炭化水素の浄化率が
高いことがわかった。
【0197】(表3)に、基材に対するシリカとアルミ
ナからなる複合酸化物の被覆量(wt%)と250℃で
の炭化水素浄化率(%)との関係を示した。
【0198】
【表3】
【0199】この(表3)から明らかなように、アルミ
ナに対するシリカとアルミナからなる複合酸化物の被覆
量が7wt%〜15wt%で、炭化水素の浄化率が95
%〜96%と高く、上記範囲外の被覆量では、48%〜
60%と低くなることが明らかである。
【0200】次に(表4)に、基材に対するシリカとチ
タニアからなる複合酸化物の被覆量(wt%)と250
℃での炭化水素浄化率(%)との関係を示した。
【0201】
【表4】
【0202】この(表4)から明らかなように、アルミ
ナに対するシリカとチタニアからなる複合酸化物の被覆
量が7wt%〜15wt%で、炭化水素の浄化率が93
%〜95%と高く、上記範囲外の被覆量では、50%〜
59%と低くなることが明らかである。
【0203】次に(表5)に、酸性酸化物を被覆した担
体のスラリーの粘度(cP)と250℃での炭化水素浄
化率(%)との関係を示した。
【0204】
【表5】
【0205】この(表5)から明らかなように、排ガス
浄化材の製造方法における、酸性酸化物を被覆した担体
のスラリーの粘度が1cP〜300cPにおいて炭化水
素の浄化率が70%〜85%であり、前記範囲外のスラ
リーの粘度の50%〜55%に比べて炭化水素の浄化率
が高いことがわかった。
【0206】次に(表6)に、シリカとアルミナからな
る複合酸化物を被覆した担体のスラリーの粘度(cP)
と250℃での炭化水素浄化率(%)との関係を示し
た。
【0207】
【表6】
【0208】この(表6)から明らかなように、シリカ
とアルミナからなる複合酸化物を被覆した担体のスラリ
ーの粘度が1cP〜300cPにおいて炭化水素の浄化
率が70%〜96%であり、前記範囲外のスラリーの粘
度の53%〜54%に比べて炭化水素の浄化率が高いこ
とがわかった。
【0209】(表7)に、シリカとチタニアからなる複
合酸化物を被覆した担体のスラリーの粘度(cP)と2
50℃での炭化水素浄化率(%)との関係を示した。
【0210】
【表7】
【0211】この(表7)から明らかなように、シリカ
とチタニアからなる複合酸化物を被覆した担体のスラリ
ーの粘度が1cP〜300cPにおいて炭化水素の浄化
率が82%〜96%であり、前記範囲外のスラリーの粘
度の51%〜55%に比べて炭化水素の浄化率が高いこ
とがわかった。
【0212】次に(表8)に、シリカの出発原料と25
0℃での炭化水素浄化率(%)及び400℃でのSO2
の酸化率(%)との関係を示した。
【0213】
【表8】
【0214】この(表8)から明らかなように、排ガス
浄化材の製造においてシリカを形成する場合に、出発原
料として珪素アルコキシドを用いた場合、炭化水素の浄
化率が85%と高く、SO2の硫酸ミストへの酸化が1
5%で抑制効果が大きいことがわかった。また、出発原
料としてシリカゾルを用いた場合、炭化水素の浄化率が
75%、SO2の酸化率が25%であり、更に、珪酸ナ
トリウムを用いた場合、炭化水素の浄化率が50%、S
2の酸化率が40%であった。
【0215】次に(表9)に、シリカの出発原料、アル
ミナの出発原料と250℃での炭化水素浄化率(%)及
び400℃でのSO2の酸化率(%)との関係を示し
た。
【0216】
【表9】
【0217】この(表9)から明らかなように、排ガス
浄化材の製造方法においてシリカとアルミナからなる複
合酸化物を形成する場合に、出発原料としてシリカ分は
珪酸ナトリウムを、アルミナ分は硝酸アルミニウムを用
いた場合に、炭化水素の浄化率が97%と高く、SO2
の硫酸ミストへの酸化が9%と抑制効果が大きいことが
わかった。一方、出発原料としてシリカ分はケイ酸ナト
リウム、アルミナ分は水酸化ナトリウムを、又は、シリ
カ分はシリカゾルを、アルミナ分は硝酸アルミニウムを
用いた場合に、更には、シリカ分はシリカゾルを、アル
ミナ分は水アルミナをそれぞれ用いた場合、炭化水素の
浄化率が50%〜71%、SO2の酸化率が25%〜4
0%であった。
【0218】(表10)に、シリカの出発原料、チタニ
アの出発原料と250℃での炭化水素浄化率(%)及び
400℃でのSO2の酸化率(%)との関係を示した。
【0219】
【表10】
【0220】この(表10)から明らかなように、排ガ
ス浄化材の製造方法においてシリカとチタニアからなる
複合酸化物を形成する場合に、出発原料としてシリカ分
は珪酸ナトリウムを、チタニア分は塩化チタンを用いた
場合に、炭化水素の浄化率が96%と高く、SO2の硫
酸ミストへの酸化が9%と抑制効果が大きいことがわか
った。一方、出発原料としてシリカ分は珪酸ナトリウ
ム、チタニア分は硫酸チタンを、又は、シリカ分はシリ
カゾルを、チタニア分は塩化チタンを用いた場合に、更
には、シリカ分はシリカゾルを、チタニア分は硫酸チタ
ンをそれぞれ用いた場合、炭化水素の浄化率が62%〜
75%、SO2の酸化率が35%〜42%であった。
【0221】次に(表11)に、シリカとアルミナから
なる複合酸化物のAl/(Si・Al)の比率と250
℃での炭化水素浄化率(%)及び400℃でのSO2
酸化率(%)との関係を示した。
【0222】
【表11】
【0223】また、(表12)に、シリカとチタニアか
らなる複合酸化物のTi/(Si・Ti)の比率と25
0℃での炭化水素浄化率(%)及び400℃でのSO2
の酸化率(%)との関係を示した。
【0224】
【表12】
【0225】この(表11)、(表12)から、シリカ
とアルミナからなる複合酸化物のAl/(Si・Al)
の比率と、シリカとチタニアからなる複合酸化物のTi
/(Si・Ti)の比率を40〜80にすると、炭化水
素の浄化率が90%以上、SO2の硫酸ミストへの酸化
が10%以下と抑制効果が大きいことがわかった。一
方、前記範囲外では、炭化水素の浄化率が51%〜53
%、SO2の酸化率が41%〜44%であった。
【0226】次に(表13)に、実施例1〜5における
酸性酸化物を形成する場合の一次焼成温度と250℃で
の炭化水素浄化率(%)及び400℃でのSO2の酸化
率(%)との関係を示した。
【0227】
【表13】
【0228】この(表13)から明らかなように、実施
例1〜3より、排ガス浄化材の製造において酸性酸化物
を形成する場合の一次焼成する際の焼成温度が500℃
〜1000℃において、炭化水素の浄化率が80%以上
と高く、SO2の硫酸ミストへの酸化が20%以下と抑
制効果が大きいことがわかった。前記範囲外の焼成温度
では、炭化水素の浄化率が52%〜55%、SO2の酸
化率が40%〜46%であった。
【0229】実施例4より、シリカとアルミナからなる
複合酸化物を形成する場合の一次焼成する際の焼成温度
が500℃〜800℃において、炭化水素の浄化率が9
1%以上と高く、SO2の硫酸ミストへの酸化が10%
以下と抑制効果が大きいことがわかった。前記範囲外の
焼成温度では、炭化水素の浄化率が55%〜59%、S
2の酸化率が37%〜41%であった。
【0230】実施例5より、シリカとチタニアからなる
複合酸化物を形成する場合の一次焼成する際の焼成温度
が500℃〜800℃において、炭化水素の浄化率が9
0%以上と高く、SO2の硫酸ミストへの酸化が10%
以下と抑制効果が大きいことがわかった。前記範囲外の
焼成温度では、炭化水素の浄化率が56%〜61%、S
2の酸化率が42%〜45%であった。
【0231】次に(表14)に、担体層で被覆された基
材を触媒成分を含有する溶液中に含浸した後、凍結乾燥
法を用いて形成した場合と、乾燥機を用いて形成した場
合の排ガス浄化材について、250℃での炭化水素浄化
率(%)と400℃でのSO 2の酸化率(%)を示し
た。
【0232】
【表14】
【0233】この(表14)から明らかなように、凍結
乾燥法を用いた場合と、乾燥機を用いた場合を比較する
と、SO2の酸化率については大きな差はないが、炭化
水素の浄化率については凍結乾燥法を用いた方が明らか
に高く、高活性な排ガス浄化材が得られることがわかっ
た。
【0234】次に(表15)に、実施例1〜3、(表1
6)に、実施例4,5、及び(表17)に比較例1〜4
における酸性酸化物を形成する場合の被覆量(wt
%)、膜厚(μm)、被覆率(%)、250℃での炭化
水素浄化率(%)及び400℃でのSO2の酸化率
(%)を示した。
【0235】
【表15】
【0236】
【表16】
【0237】
【表17】
【0238】この(表15)〜(表17)から明らかな
ように、実施例1〜3より、担体に対する酸性酸化物の
被覆量が6wt%〜10wt%、酸性酸化物層の膜厚が
0.1μm〜20μm、担体に対する被覆率が80%〜
100%で、炭化水素の浄化率が84%以上、SO2
酸化率が13%以下を示した。一方、前記範囲外の場
合、炭化水素の浄化率が46%〜56%、SO2の酸化
率が39%〜45%であった。
【0239】また、比較例1より、酸性酸化物が存在し
ない場合は、炭化水素の浄化率が65%、SO2の酸化
率が51%であった。これにより、酸性酸化物の存在に
より、炭化水素の浄化率、硫酸ミストへの酸化抑制効果
が良好であることがわかった。
【0240】更に、比較例2より、比較例2の製造方法
で作製した排ガス浄化材は、炭化水素の浄化率が69%
〜71%、SO2の酸化率が25%〜26%であり、実
施例1〜5の炭化水素の浄化率が84%以上、SO2
酸化率が13%以下に比べ、排ガス浄化材の性能が劣る
ことがわかった。
【0241】実施例4、5より、担体に対する複合酸化
物の被覆量が6wt%〜10wt%、酸性酸化物層の膜
厚が0.1μm〜20μm、担体に対する被覆率が80
%〜100%で、炭化水素の浄化率が94%以上、SO
2の酸化率が9%以下を示した。一方、前記範囲外の場
合、炭化水素の浄化率が46%〜56%、SO2の酸化
率が39%〜45%であった。
【0242】実施例4と比較例3を比較すると、実施例
4では炭化水素の浄化率が94%以上、SO2の酸化率
が9%以下と高く、比較例3における炭化水素の浄化率
が84%〜86%、SO2の酸化率が13%以下に比べ
て高活性な排ガス浄化材が得られることがわかった。
【0243】
【発明の効果】以上述べたように本発明においては、以
下の優れた効果を実現することができる。
【0244】本発明の請求項1に記載の排ガス浄化材に
よれば、基材と、基材表面に形成された担体層と、担体
層の表面に被覆された酸性酸化物層と、酸性酸化物層の
表面に担持された触媒成分とを備えているので、最上層
から触媒成分、酸性酸化物層、担体層の順で層状構造が
形成され、硫黄酸化物の存在下においても硫黄酸化物に
よる被毒を受け難く、耐久性に優れるという有利な効果
が得られる。
【0245】本発明の請求項2に記載の排ガス浄化材に
よれば、請求項1において、担体層に対し酸性酸化物層
が、4wt%〜12wt%、好ましくは6wt%〜10
wt%で形成され、及び/又は酸性酸化物層の膜厚が
0.05μm〜30μm、好ましくは0.1μm〜20
μmで、かつ担体層に対する被覆率が70%〜100
%、好ましくは80%〜100%であるので、請求項1
で得られる効果の他、硫黄酸化物と酸性酸化物が酸性同
士で反発しあうことにより、硫黄酸化物が触媒成分及び
担体層に近づきにくくなり、有効な触媒活性面積を保持
することができ、触媒活性を向上させることができると
いう有利な効果が得られる。
【0246】本発明の請求項3に記載の排ガス浄化材に
よれば、請求項1又は2において、基材に対し酸性酸化
物層を被覆した担体が、5wt%〜18wt%、好まし
くは7wt%〜15wt%で形成されているので、請求
項1又は2で得られる効果の他、硫黄酸化物の存在下に
おいても硫黄酸化物による被毒を受けることがなく、か
つ有害物質に対する浄化能力に優れ、浄化効果を期待す
るとができるという有利な効果が得られる。
【0247】本発明の請求項4に記載の排ガス浄化材に
よれば、請求項1乃至3の内いずれか1項において、担
体層の担体が、平均粒子径が1μm〜10μm、N2
着法による細孔分布測定法において全細孔容積が0.3
ml/g以上で、かつ細孔直径100Å以上の細孔容積
が全細孔容積の60%以上、更に大気中1000℃で焼
成したときの比表面積が100m2/g以上の耐熱性無
機酸化物からなるので、請求項1乃至3の内いずれか1
項で得られる効果の他、排ガスの炭化水素を効率よく浄
化できるという有利な効果が得られる。
【0248】全細孔容積が0.3ml/g以上で、かつ
細孔直径100Å以上の細孔容積が全細孔容積の60%
以上の担体を用いているので、バイモーダル構造を有
し、触媒活性表面積を増大し浄化効率を高めるという効
果が得られる。
【0249】担体がバイモーダル構造で触媒粒子のシン
タリングを防ぎ触媒活性の耐久性を向上させるという効
果が得られる。
【0250】担体の比表面積が100m2/g以上有す
るので、詳細は不明であるが、スピルオーバー現象等に
より炭化水素を効率的に酸化分解することができるとい
う効果が得られる。
【0251】本発明の請求項5に記載の排ガス浄化材に
よれば、請求項1乃至4の内いずれか1項において、酸
性酸化物層が、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニ
ア、酸化亜鉛の内少なくとも2種以上を用いて形成され
た複合酸化物であるので、請求項1乃至4の内いずれか
1項で得られる効果の他、硫黄酸化物とシリカ、アルミ
ナ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛の内少なくとも2
種類以上を用いた複合酸化物層との反発作用によって、
硫黄酸化物による被毒を受け難く、耐久性に優れるとい
う有利な効果が得られる。
【0252】本発明の請求項6に記載の排ガス浄化材に
よれば、請求項1乃至4の内いずれか1項において、担
体がアルミナであり、及び/又は酸性酸化物層が珪素ア
ルコキシドを出発原料(前駆体)とするシリカであるの
で、請求項1乃至4の内いずれか1項で得られる効果の
他、珪素アルコキシドを用いることにより、含浸法とい
う簡単な方法で均一なシリカの被覆層を担体上に形成で
きるという有利な効果が得られる。
【0253】本発明の請求項7に記載の排ガス浄化材に
よれば、請求項1乃至4の内いずれか1項において、担
体がアルミナであり、及び/又は酸性酸化物層が珪酸ナ
トリウムを出発原料(前駆体)とするシリカと、硝酸ア
ルミニウムを出発原料(前駆体)とするアルミナとから
なる複合酸化物であるので、請求項1乃至4の内いずれ
か1項で得られる効果の他、珪酸ナトリウムと硝酸アル
ミニウムを用いて酸性酸化物を形成し、含浸法という簡
単な方法でシリカとアルミナからなる均一な被覆層を担
体上に形成できるという有利な効果が得られる。
【0254】本発明の請求項8に記載の排ガス浄化材に
よれば、請求項7において、酸性酸化物層のシリカとア
ルミナからなる複合酸化物のAl/(Si・Al)の比
率が、40〜80、好ましくは50〜70であるので、
請求項7で得られる効果の他、硫黄酸化物と複合酸化物
が酸性同士で反発しあうことにより硫黄酸化物が触媒成
分及び担体層により近づきにくくなるという有利な効果
が得られる。
【0255】本発明の請求項9に記載の排ガス浄化材に
よれば、請求項1乃至4の内いずれか1項において、担
体がアルミナであり、及び/又は酸性酸化物層が珪酸ナ
トリウムを出発原料(前駆体)とするシリカと、塩化チ
タンを出発原料(前駆体)とするチタニアとからなる複
合酸化物であるので、請求項1乃至4の内いずれか1項
で得られる効果の他、塩化チタンと珪酸ナトリウムを用
いて酸性酸化物を形成し、含浸法という簡単な方法でシ
リカとチタニアからなる均一な被覆層を担体上に形成で
きるという有利な効果が得られる。
【0256】本発明の請求項10に記載の排ガス浄化材
によれば、請求項9において、シリカとチタニアからな
る複合酸化物のTi/(Si・Ti)の比率が40〜8
0、好ましくは50〜70であるので、請求項9で得ら
れる効果の他、硫黄酸化物と複合酸化物が酸性同士で反
発しあうことにより硫黄酸化物が触媒成分及び担体層に
より近づきにくくなるという有利な効果が得られる。
【0257】本発明の請求項11に記載の排ガス浄化材
の製造方法によれば、請求項1乃至10の内いずれか1
項において、酸性酸化物の前駆体の溶液中に担体を含浸
後、一次焼成して担体表面に酸性酸化物層を被覆した後
に、酸性酸化物層を被覆した担体のスラリーを作製し、
スラリー中に基材を含浸し、次いで二次焼成して、基材
上に酸性酸化物層を被覆した担体層を形成し、次いで担
体層で被覆された基材を、触媒成分を含有する溶液中に
含浸した後に三次焼成するので、基材上に、最上層から
触媒成分、酸性酸化物層、担体層の順で層状構造を形成
でき、かつ担体表面上に酸性酸化物を均一に被覆できる
ので、硫黄酸化物の存在下においても硫黄酸化物による
被毒を受けることがなく、簡単な製造工程で排ガス浄化
材を製造することができるという有利な効果が得られ
る。
【0258】本発明の請求項12に記載の排ガス浄化材
の製造方法によれば、請求項1乃至5及び7乃至8の内
いずれか1項において、硝酸アルミニウム水溶液、珪酸
ナトリウム水溶液及び水酸化ナトリウム水溶液からなる
混合溶液と担体を混合・攪拌し、担体の表面にシリカ・
アルミナからなる複合酸化物の前駆体を含浸後、一次焼
成して担体表面にシリカとアルミナからなる複合酸化物
を被覆した後に、複合酸化物を被覆した担体のスラリー
を作製し、スラリー中に基材を含浸し、次いで二次焼成
して、基材上に複合酸化物層を被覆した担体層を形成
し、次いで担体層で被覆された基材を、触媒成分を含有
する溶液中に含浸した後に三次焼成するので、簡単な製
造方法で基材上に、最上層から触媒成分、複合酸化物
層、担体層の順で層状構造を形成でき、かつ担体表面上
に複合酸化物を均一に被覆できるために、硫黄酸化物の
存在下においても硫黄酸化物による被毒を受けることが
ないという有利な効果が得られる。
【0259】本発明の請求項13に記載の排ガス浄化材
の製造方法によれば、請求項1乃至5及び7乃至8の内
いずれか1項において、硝酸アルミニウム水溶液に担体
を加えて混合・攪拌し、珪酸ナトリウム水溶液と水酸化
ナトリウム水溶液の混合溶液を加え、担体の表面にシリ
カとアルミナからなる複合酸化物の前駆体を含浸後、一
次焼成して担体の表面にシリカとアルミナからなる複合
酸化物を被覆した後に、複合酸化物を被覆した担体のス
ラリーを作製し、スラリー中に基材を含浸し、次いで二
次焼成して、基材上に複合酸化物層を被覆した担体層を
形成し、次いで担体層で被覆された基材を、触媒成分を
含有する溶液中に含浸した後に三次焼成するので、酸性
溶液中にアルミナを加えると、アルミナの等電点(pH
=8〜10)における凝集を抑制することができ、アル
ミナ上にシリカとアルミナからなる複合酸化物層を均一
に形成できるという有利な効果が得られる。
【0260】本発明の請求項14に記載の排ガス浄化材
の製造方法によれば、請求項1乃至5及び9乃至10の
内いずれか1項において、塩化チタン水溶液と珪酸ナト
リウム水溶液の混合溶液と担体を混合・攪拌し、担体の
表面にシリカとチタニアからなる複合酸化物の前駆体を
含浸後、一次焼成して担体の表面にシリカとチタニアか
らなる複合酸化物を被覆した後に、複合酸化物を被覆し
た担体のスラリーを作製し、スラリー中に基材を含浸
し、次いで二次焼成して、基材上に複合酸化物層を被覆
した担体層を形成し、次いで担体層で被覆された基材
を、触媒成分を含有する溶液中に含浸した後に、三次焼
成するので、簡単な製造方法で基材上に、最上層から触
媒成分、複合酸化物層、担体層の順で層状構造を形成で
き、かつ担体表面上に複合酸化物を均一に被覆できるた
めに、硫黄酸化物の存在下においても硫黄酸化物による
被毒を受けることがないという有利な効果が得られる。
【0261】本発明の請求項15に記載の排ガス浄化材
の製造方法によれば、請求項1乃至5及び9乃至10の
内いずれか1項において、塩化チタン水溶液に担体を加
えて混合・攪拌し、次いで、珪酸ナトリウム水溶液を加
え、担体の表面にシリカとチタニアからなる複合酸化物
の前駆体を含浸後、一次焼成して担体の表面にシリカと
チタニアからなる複合酸化物を被覆した後、複合酸化物
を被覆した担体のスラリーを作製し、スラリー中に基材
を含浸し、次いで二次焼成して、基材上に複合酸化物層
を被覆した担体層を形成し、次いで担体層で被覆された
基材を、触媒成分を含有する溶液中に含浸した後、三次
焼成するので、請求項1乃至5及び9乃至10の内いず
れか1項で得られる効果の他、酸性の溶液中にアルミナ
を加えると、アルミナの等電点(pH=8〜10)にお
ける凝集を抑制することができ、アルミナ上にチタニア
とシリカからなる複合酸化物層を均一に形成できるとい
う有利な効果が得られる。
【0262】本発明の請求項16に記載の排ガス浄化材
の製造方法によれば、請求項1乃至15の内いずれか1
項において、複合酸化物層を被覆した担体層で被覆され
た基材を、触媒成分を含有する溶液中に含浸した後、凍
結乾燥法を用いて乾燥するので、請求項1乃至15の内
いずれか1項で得られる効果の他、複合酸化物層を被覆
した担体層上に、触媒成分が均一に分散でき、触媒の性
能が向上するという有利な効果が得られる。
【0263】本発明の請求項17に記載の排ガス浄化材
の製造方法によれば、請求項11乃至16の内いずれか
1項において、酸性酸化物を被覆した担体のスラリーの
粘度が1cP〜300cP、好ましくは2cP〜50c
Pであるので、請求項11乃至16の内いずれか1項で
得られる効果の他、簡単な方法で均一な被覆層を基材に
形成でき、排ガス中の炭化水素を効率よく浄化できると
いう有利な効果が得られる。
【0264】本発明の請求項18に記載の排ガス浄化材
の製造方法によれば、請求項11、16、17の内いず
れか1項において、一次焼成する際の焼成温度が、40
0℃〜1100℃、好ましくは500℃〜1000℃で
あるので請求項11、16、17の内いずれか1項で得
られる効果の他、酸性ガスである硫黄酸化物と酸性酸化
物との間の反発作用が良好であるという有利な効果が得
られる。
【0265】本発明の請求項19に記載の排ガス浄化材
の製造方法によれば、請求項12乃至17の内いずれか
1項において、一次焼成する際の焼成温度が、400℃
〜800℃、好ましくは500℃〜700℃であるの
で、請求項12乃至17の内いずれか1項で得られる効
果の他、酸性ガスである硫黄酸化物と複合酸化物との間
の反発作用が良好であり、耐久性に優れるという有利な
効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における排ガス浄化材の
断面図
【図2】実施の形態1における排ガス浄化材の製造工程
のフローチャート
【図3】実施の形態2における排ガス浄化材の製造工程
のフローチャート
【図4】本発明の実施の形態4における排ガス浄化材の
断面図
【図5】実施の形態4の排ガス浄化材の製造工程のフロ
ーチャート
【図6】本発明の実施の形態5における排ガス浄化材の
断面図
【図7】実施の形態5の排ガス浄化材の製造工程のフロ
ーチャート
【図8】触媒活性評価試験に用いた固定床流通系反応装
置の概略図
【図9】SO2酸化能評価試験に用いた反応装置の概略
【符号の説明】
1 排ガス浄化材 2 基材 3 担体層 4 酸性酸化物層 5 触媒成分 21 排ガス浄化材 22 基材 23 アルミナ層 24 複合酸化物層 25 触媒成分 30 排ガス浄化材 31 基材 32 アルミナ層 33 複合酸化物層 34 触媒成分 40 固定床流通系反応装置 41、42 気体用流量調整器 43 液体用流量調整器 44 気化器 45 石英管 46 電気炉 47 石英ウール 48 排ガス浄化材 49 NDIR方式のCO,CO2ガス分析計 50 ガスクロマトグラフ 51 反応装置 52、53、54 気体用流量調整器 55 ガス混合器 56 石英管 57 電気炉 58 石英ウール 59 排ガス浄化材 60 NDIR方式のSO2ガス分析計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01J 23/06 B01J 32/00 32/00 37/02 301L 37/02 301 B01D 53/36 104B Fターム(参考) 4D048 AA14 AB01 BA03X BA06X BA07X BA08Y BA16Y BA30X BA31X BA35Y BA37Y BA38Y BA41X BA42X BB02 CC38 4G069 AA03 AA08 AA09 BA01A BA01B BA01C BA02A BA02B BA02C BA03A BA03B BA03C BA04A BA04B BA04C BA05A BB04A BB04B BB04C BC35A CA03 CA07 CA18 DA06 EA18 EB18X EC03X EC04X EC05X EC06X EC07X EC08X FA02 FB06 FB30 FB34 FC07 FC08

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材と、前記基材表面に形成された担体層
    と、前記担体層の表面に被覆された酸性酸化物層と、前
    記酸性酸化物層の表面に担持された触媒成分と、を備え
    ていることを特徴とする排ガス浄化材。
  2. 【請求項2】前記担体層に対し前記酸性酸化物層が、4
    wt%〜12wt%、好ましくは6wt%〜10wt%
    で形成され、及び/又は前記酸性酸化物層の膜厚が0.
    05μm〜30μm、好ましくは0.1μm〜20μm
    で、かつ前記担体層に対する被覆率が70%〜100
    %、好ましくは80%〜100%であることを特徴とす
    る請求項1に記載の排ガス浄化材。
  3. 【請求項3】前記基材に対し前記酸性酸化物層を被覆し
    た担体が、5wt%〜18wt%、好ましくは7wt%
    〜15wt%で形成されていることを特徴とする請求項
    1又は2に記載の排ガス浄化材。
  4. 【請求項4】前記担体層の担体が、平均粒子径が1μm
    〜10μm、N2吸着法による細孔分布測定法において
    全細孔容積が0.3ml/g以上で、かつ細孔直径10
    0Å以上の細孔容積が全細孔容積の60%以上、更に大
    気中1000℃で焼成したときの比表面積が100m2
    /g以上の耐熱性無機酸化物からなることを特徴とする
    請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の排ガス浄化
    材。
  5. 【請求項5】前記酸性酸化物層が、シリカ、アルミナ、
    チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛の内少なくとも2種以
    上を用いて形成された複合酸化物であることを特徴とす
    る請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の排ガス浄化
    材。
  6. 【請求項6】前記担体がアルミナであり、及び/又は前
    記酸性酸化物層が珪素アルコキシドを出発原料(前駆
    体)とするシリカであることを特徴とする請求項1乃至
    4の内いずれか1項に記載の排ガス浄化材。
  7. 【請求項7】前記担体がアルミナであり、及び/又は前
    記酸性酸化物層が珪酸ナトリウムを出発原料(前駆体)
    とするシリカと、硝酸アルミニウムを出発原料(前駆
    体)とするアルミナとからなる複合酸化物であることを
    特徴とする請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の排
    ガス浄化材。
  8. 【請求項8】前記酸性酸化物層のシリカとアルミナから
    なる複合酸化物のAl/(Si・Al)の比率が、40
    〜80、好ましくは50〜70であることを特徴とする
    請求項7に記載の排ガス浄化材。
  9. 【請求項9】前記担体がアルミナであり、及び/又は酸
    性酸化物層が珪酸ナトリウムを出発原料(前駆体)とす
    るシリカと、塩化チタンを出発原料(前駆体)とするチ
    タニアとからなる複合酸化物であることを特徴とする請
    求項1乃至4の内いずれか1項に記載の排ガス浄化材。
  10. 【請求項10】シリカとチタニアからなる複合酸化物の
    Ti/(Si・Ti)の比率が40〜80、好ましくは
    50〜70であることを特徴とする請求項9に記載の排
    ガス浄化材。
  11. 【請求項11】酸性酸化物の前駆体の溶液中に担体を含
    浸後、一次焼成して前記担体表面に酸性酸化物層を被覆
    した後に、前記酸性酸化物層を被覆した前記担体のスラ
    リーを作製し、前記スラリー中に基材を含浸し、次いで
    二次焼成して、前記基材上に酸性酸化物層を被覆した担
    体層を形成し、次いで前記担体層で被覆された前記基材
    を、触媒成分を含有する溶液中に含浸した後に三次焼成
    することを特徴とする請求項1乃至10の内いずれか1
    項に記載の排ガス浄化材の製造方法。
  12. 【請求項12】硝酸アルミニウム水溶液、珪酸ナトリウ
    ム水溶液及び水酸化ナトリウム水溶液からなる混合溶液
    と担体を混合・攪拌し、前記担体の表面にシリカ・アル
    ミナからなる複合酸化物の前駆体を含浸後、一次焼成し
    て前記担体表面にシリカとアルミナからなる複合酸化物
    を被覆した後に、前記複合酸化物を被覆した前記担体の
    スラリーを作製し、前記スラリー中に基材を含浸し、次
    いで二次焼成して、前記基材上に複合酸化物層を被覆し
    た担体層を形成し、次いで前記担体層で被覆された前記
    基材を、触媒成分を含有する溶液中に含浸した後に三次
    焼成することを特徴とする請求項1乃至5及び7乃至8
    の内いずれか1項に記載の排ガス浄化材の製造方法。
  13. 【請求項13】硝酸アルミニウム水溶液に担体を加えて
    混合・攪拌し、珪酸ナトリウム水溶液と水酸化ナトリウ
    ム水溶液の混合溶液を加え、前記担体の表面にシリカと
    アルミナからなる複合酸化物の前駆体を含浸後、一次焼
    成して前記担体の表面にシリカとアルミナからなる複合
    酸化物を被覆した後に、前記複合酸化物を被覆した前記
    担体のスラリーを作製し、前記スラリー中に基材を含浸
    し、次いで二次焼成して、前記基材上に複合酸化物層を
    被覆した担体層を形成し、次いで前記担体層で被覆され
    た前記基材を、触媒成分を含有する溶液中に含浸した後
    に三次焼成することを特徴とする請求項1乃至5及び7
    乃至8の内いずれか1項に記載の排ガス浄化材の製造方
    法。
  14. 【請求項14】塩化チタン水溶液と珪酸ナトリウム水溶
    液の混合溶液と担体を混合・攪拌し、前記担体の表面に
    シリカとチタニアからなる複合酸化物の前駆体を含浸
    後、一次焼成して前記担体の表面にシリカとチタニアか
    らなる複合酸化物を被覆した後に、前記複合酸化物を被
    覆した前記担体のスラリーを作製し、前記スラリー中に
    基材を含浸し、次いで二次焼成して、前記基材上に複合
    酸化物層を被覆した担体層を形成し、次いで前記担体層
    で被覆された前記基材を、触媒成分を含有する溶液中に
    含浸した後に、三次焼成することを特徴とする請求項1
    乃至5及び9乃至10の内いずれか1項に記載の排ガス
    浄化材の製造方法。
  15. 【請求項15】塩化チタン水溶液に担体を加えて混合・
    攪拌し、次いで、珪酸ナトリウム水溶液を加え、前記担
    体の表面にシリカとチタニアからなる複合酸化物の前駆
    体を含浸後、一次焼成して前記担体の表面にシリカとチ
    タニアからなる複合酸化物を被覆した後、前記複合酸化
    物を被覆した前記担体のスラリーを作製し、前記スラリ
    ー中に基材を含浸し、次いで二次焼成して、前記基材上
    に複合酸化物層を被覆した担体層を形成し、次いで前記
    担体層で被覆された前記基材を、触媒成分を含有する溶
    液中に含浸した後、三次焼成することを特徴とする請求
    項1乃至5及び9乃至10の内いずれか1項に記載の排
    ガス浄化材の製造方法。
  16. 【請求項16】複合酸化物層を被覆した担体層で被覆さ
    れた前記基材を、触媒成分を含有する溶液中に含浸した
    後、凍結乾燥法を用いて乾燥することを特徴とする請求
    項1乃至15の内いずれか1項に記載の排ガス浄化材の
    製造方法。
  17. 【請求項17】前記酸性酸化物を被覆した前記担体のス
    ラリーの粘度が1cP〜300cP、好ましくは2cP
    〜50cPであることを特徴とする請求項11乃至16
    の内いずれか1項に記載の排ガス浄化材の製造方法。
  18. 【請求項18】前記一次焼成する際の焼成温度が、40
    0℃〜1100℃、好ましくは500℃〜1000℃で
    あることを特徴とする請求項11、16、17の内いず
    れか1項に記載の排ガス浄化材の製造方法。
  19. 【請求項19】前記一次焼成する際の焼成温度が、40
    0℃〜800℃、好ましくは500℃〜700℃である
    ことを特徴とする請求項12乃至17の内いずれか1項
    に記載の排ガス浄化材の製造方法。
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