JP2000195418A - 画像形成装置の製造方法および製造装置 - Google Patents

画像形成装置の製造方法および製造装置

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JP2000195418A
JP2000195418A JP37402598A JP37402598A JP2000195418A JP 2000195418 A JP2000195418 A JP 2000195418A JP 37402598 A JP37402598 A JP 37402598A JP 37402598 A JP37402598 A JP 37402598A JP 2000195418 A JP2000195418 A JP 2000195418A
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temperature
image forming
gas
voltage
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Hideji Kawasaki
秀司 川崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、電子放出部の活性化の後に、電子
放出部に堆積した炭素を酸化させずに低コストで装置全
体の組立をすることができる画像形成装置の製造方法を
提供する。 【解決手段】 複数の電子放出部を形成するフォーミン
グ工程及び複数の電子放出部に炭素を堆積する活性化工
程の終了後、加熱炉内に複数の部材、電子源及び画像形
成部材を入れて堆積した炭素より酸化温度が低い有機ガ
スを導入する工程と、加熱炉を接合剤が溶ける温度T1
まで上昇させる工程と、複数の部材を接合剤により接着
する接着工程と、加熱炉を堆積した炭素が酸化しない温
度T2まで下降させる工程と、加熱炉内に酸素を含むガ
スを導入する工程とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子、該
電子放出素子を用いた電子源、該電子源を用いた画像形
成装置並びに画像形成装置の製造方法及び製造装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子放出素子としては大別し
て熱電子放出素子と冷陰極電子放出素子を用いた2種類
のものが知られている。冷陰極電子放出素子には電界放
出型(以下、「FE型」という。)、金属/絶縁層/金
属型(以下、「MIM型」という。)や表面伝導型電子
放出素子等がある。FE型の例としては、W.P.Dyke &
W.W.Dolan,“Field Emission”,Advance in Electoron
Physics,8,89(1956)あるいは、C.A.Spindt,“Physical
Properties of Thin-Film Field Emission Cathodes wi
th Molybdenium Cones”,J.Apply.Phys.,47,5248(1976)
等に開示されたものが知られている。
【0003】MIM型の例としてはC.A.Mead,“Operati
on of Tunnel-Emission Devices”,J.Apply.Phys.,3
2,646(1961)等に開示されたものが知られている。
【0004】表面伝導型電子放出素子型の例としては、
M.I.Elinson,Redio Eng.Electron Phys.,10,1290(1965)
等に開示されたものがある。
【0005】表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成
された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことに
より、電子放出が生ずる現象を利用するものである。こ
の表面伝導型電子放出素子としては、前記エリンソン等
によるSnO2 薄膜を用いたもの、Au薄膜によるもの
[G.Dittmer:“Thin Solid Films”,9,317(1972)]、In2 O
3 /SnO2 薄膜によるもの[M.Hartwell and C.G.Fonstad:
“IEEE Trans.ED Conf.”519(1975)]、カーボン薄膜に
よるもの[荒木久 他:真空、第26巻、第1号、22
頁(1983)]等が報告されている。
【0006】これらの表面伝導型電子放出素子の典型的
な例として前述のM.ハートウェルの素子構成を図20
に模式的に示す。同図において1は基板である。4は導
電性薄膜で、H型形状のパターンに、スパッタで形成さ
れた金属酸化物薄膜等からなり、後述の通電フォーミン
グと呼ばれる通電処理により電子放出部5が形成され
る。尚、図中の素子電極間隔Lは、0.5〜1mm、
W′は、0.1mmに設定されている。
【0007】従来、これらの表面伝導型電子放出素子に
おいては、電子放出を行う前に導電性薄膜4を予め通電
フォーミングと呼ばれる通電処理によって電子放出部5
を形成するのが一般的であった。即ち、通電フォーミン
グとは前記導電性薄膜4両端に直流電圧あるいは非常に
ゆっくりとした昇電圧、例えば1V/分程度、を印加通
電し、導電性薄膜を局所的に破壊、変形もしくは変質せ
しめ、電気的に高抵抗な状態にした電子放出部5を形成
することである。尚、電子放出部5は導電性薄膜4の一
部に亀裂が発生しその亀裂付近から電子放出が行われ
る。前記通電フォーミング処理をした表面伝導型電子放
出素子は、上述導電性薄膜4に電圧を印加し、素子に電
流を流すことにより、上述電子放出部5より電子を放出
せしめるものである。
【0008】しかしながら、これら従来の表面伝導型電
子放出素子においては、実用化にあたって様々な問題が
あった。そこで、本出願人等は特開平7−235255
号公報に記載されているように、フォーミング、活性化
工程等により電子放出素子の高抵抗部に炭素を主成分と
する堆積物を有する新規な表面伝導型電子放出素子を提
案している。
【0009】一方、近年では特に、表示装置をはじめと
する画像形成装置の分野においては、液晶を用いた平板
型表示装置がCRTに替わって普及してきたが、液晶表
示装置は自発光型でないために、バックライト等を持た
なければならない等の問題点があり、自発光型の画像形
成装置の開発が望まれてきた。
【0010】このような要求に対し、表面伝導型電子放
出素子を多数配置した電子源と、電子源より放出された
電子によって、可視光を発光せしめる蛍光体とを組み合
わせた表示装置である画像形成装置は、大面積の装置で
も比較的容易に製造でき、かつ表示品位の優れた自発光
型表示装置である(例えば、本出願人の米国特許広報5
066883号)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】画像形成装置において
は、複数の部材にて構成された外囲器と、外囲器内に配
置された電子源と、該電子源からの電子ビームの照射に
より画像を形成する画像形成部材(以下、「フェースプ
レート」と呼ぶ。)とを高温で接着した(以下、「封着
工程」と呼ぶ。)後、電圧を印加し、フォーミング、活
性化工程等の工程を行ったあと、電子放出特性、画像特
性を検査し、外囲器を封止していた。これらの一連の工
程においては、封着工程を行った後に電子放出特性、画
像特性を検査するために、何らかの原因で、電子源基板
において不良が発生した場合、画像形成装置そのものを
不良品とせねばならなくなるため、画像形成装置を高価
なものにしていた。このため、電子源基板において、フ
ォーミング、活性化工程等を行い、検査後良品と判定さ
れた電子源基板と、前記フェースプレートとを組み立
て、画像形成装置を製造することが望まれていた。
【0012】しかしながら、活性化工程終了後の電子放
出素子に高温加熱工程である封着工程を行うことによ
り、活性化工程により形成された炭素を主成分とする堆
積物の一部が酸素により酸化され、前記検査時における
電子放出特性とは異なる電子放出特性になり、前記検査
時良品とされていたものが封着工程後不良が発生する場
合があった。このため、活性化工程により形成された炭
素の酸化を防ぎ、封着工程による電子放出特性の安定化
が必要となっている。これに対して真空中あるいは不活
性ガス雰囲気で封着を行う手段が考えられているが、真
空中においては加熱封着を行う装置が真空排気系を持つ
こととなり、高価なものとなる。また、単に、封着工程
時の外囲器内に不活性ガス雰囲気を導入するだけでは残
留する酸素により電子放出特性が不安定となる場合があ
り、残留酸素を除去する機構、例えば真空排気系を装置
に組み込まなくてはならないために、高価なものとなっ
ていた。
【0013】本発明は、電子放出部の活性化の後に、電
子放出部に堆積した炭素を酸化させずに低コストで装置
全体の組立をすることができる画像形成装置の製造方法
を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した課題
を解決するために鋭意検討を行って成されたものであ
り、下述する構成のものである。本発明による画像形成
装置の製造方法は、複数の部材にて構成された外囲器
と、該外囲器内に配置された電子放出部を有する複数の
電子放出素子を備える電子源と、該外囲器内に配置され
た前記電子源からの電子ビームの照射により画像を形成
する画像形成部材とを有する画像形成装置の製造方法に
おいて、前記複数の電子放出部を形成するフォーミング
工程及び前記複数の電子放出部に炭素を堆積する活性化
工程の終了後、加熱炉内に前記複数の部材、前記電子源
及び前記画像形成部材を入れて前記堆積した炭素より酸
化温度が低い有機ガスを導入する工程と、前記加熱炉を
接合剤が溶ける温度T1まで上昇させる工程と、前記複
数の部材を前記接合剤により接着する接着工程と、前記
加熱炉を前記堆積した炭素が酸化しない温度T2まで下
降させる工程と、前記加熱炉内に酸素を含むガスを導入
する工程とを有することを特徴とする。
【0015】本発明の画像形成装置の製造方法によれ
ば、封着工程を行う前に、堆積した炭素よりも低い温度
で酸化する有機ガスを導入して温度を上昇させることに
より、酸素が導入した有機ガスと反応して、雰囲気中の
酸素の分圧が減少し、封着工程において活性化により堆
積した炭素の酸化が抑圧され、また、封着温度時ではな
く冷却時に酸素分圧を高くすることにより活性化工程で
堆積した炭素を酸化させずに有機ガスにより汚染された
パネル内を洗浄することが可能となる。
【0016】以下、図面を参照しながら本発明を説明す
る。図1は、本発明の封着工程を行う加熱炉の構成図、
図2は本発明の封着工程のタイミングチャートを示す。
【0017】図1において、温度コントローラにより加
熱炉の温度は制御され、所望の温度で各々のガス流量を
マスフローコントローラ(MFC)により制御する。加
熱炉内は外囲器部材を接着する最高温度T1 まで加熱さ
れ、この間不活性ガスおよび有機ガスが導入されてい
る。ここで、必ずしも、不活性ガスは導入する必要はな
い。その後、T1 から室温まで降温される途中のT2
る温度で有機ガスの導入を止め、酸素ガスを導入し、有
機ガスにより吸着した有機物等を酸化除去する。ここ
で、活性化工程により電子放出素子高抵抗部に堆積した
炭素は大気雰囲気で350℃以上で急激に酸化が進み、
電子放出特性に大きな影響を及ぼしている。これに対し
て、イソプロピルアルコール(70℃にて酸素と反
応)、アセトン等の有機ガスは200℃以下でも酸素と
反応する。この温度による酸素に対する耐性を利用し
て、活性化により形成された炭素の酸化を防ぐと共に有
機ガスによる汚染を除去する。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明を適用し得る表面伝導型電
子放出素子の基本的構成には大別して、平面型及び垂直
型の2つがある。
【0019】まず、平面型表面伝導型電子放出素子につ
いて説明する。
【0020】図6は、本発明を適用可能な平面型表面伝
導型電子放出素子の構成を示す模式図であり、図6
(a)は平面図、図6(b)は断面図である。
【0021】図6において1101は基板、1102と
1103は素子電極、1104は導電性薄膜、1105
は電子放出部である。
【0022】基板1101としては、石英ガラス、Na
等の不純物含有量を減少したガラス、青板ガラス、青板
ガラスにスパッタ法等により形成したSiO2 を積層し
たガラス基板及びアルミナ等のセラミックス及びSi基
板等を用いることができる。対向する素子電極110
2,1103の材料としては、一般的な導体材料を用い
ることができる。これは例えばNi,Cr,Au,M
o,W,Pt,Ti,Al,Cu,Pd等の金属或は合
金及びPd,Ag,Au,RuO2 ,Pd−Ag等の金
属或は金属酸化物とガラス等から構成される印刷導体、
In2 3 −SnO 2 等の透明導電体及びポリシリコン
等の半導体導体材料等から適宜選択することができる。
【0023】素子電極間隔L、素子電極長さW、導電性
薄膜1104の形状等は、応用される形態等を考慮し
て、設計される。素子電極間隔Lは、好ましく、数百n
mから数百μmの範囲とすることができ、より好ましく
は、数μmから数十μmの範囲とすることができる。
【0024】素子電極長さWは、電極の抵抗値、電子放
出特性を考慮して、数μmから数百μmの範囲とするこ
とができる。素子電極1102,1103の膜厚dは、
数十nmから数μmの範囲とすることができる。
【0025】尚、図6に示した構成だけでなく、基板1
101上に、導電性薄膜1104、対向する素子電極1
102,1103の順に積層した構成とすることもでき
る。
【0026】導電性薄膜1104には、良好な電子放出
特性を得るために、微粒子で構成された微粒子膜を用い
るのが好ましい。その膜厚は、素子電極1102,11
03へのステップカバレージ、素子電極1102,11
03間の抵抗値及び後述するフォーミング条件等を考慮
して適宜設定されるが、通常は0.1nmの数倍から数
百nmの範囲とするのが好ましく、より好ましくは1n
mより50nmの範囲とするのが良い。そのシート抵抗
値ρsは102 から107 Ω/□の値である。本願明細
書において、フォーミング処理については、通電処理を
例に挙げて説明するが、フォーミング処理はこれに限ら
れるものではなく、膜に亀裂を生じさせて高抵抗状態を
形成する処理を包含するものである。
【0027】導電性薄膜1104を構成する材料は、P
d,Pt,Ru,Ag,Au,Ti,In,Cu,C
r,Fe,Zn,Sn,Ta,W,Pd等の金属、Pd
O,SnO2 ,In2 3 ,PbO,Sb2 3 等の酸
化物、HfB2 ,ZrB2 ,LaB6 ,CeB6 ,YB
4 ,GdB4 等の硼化物、TiC,ZrC,HfC,T
a,C,SiC,WC等の炭化物、TiN,ZrN,H
fN等の窒化物、Si,Ge等の半導体、カーボン等の
中から適宜選択される。
【0028】ここで述べる微粒子膜とは、複数の微粒子
が集合した膜であり、その微細構造は、微粒子が個々に
分散配置した状態あるいは微粒子が互いに隣接、あるい
は重なり合った状態(いくつかの微粒子が集合し、全体
として島状構造を形成している場合も含む)をとってい
る。微粒子の粒径は、0.1nmの数倍から数百nmの
範囲、好ましくは、1nmから20nmの範囲である。
【0029】なお、本明細書では頻繁に「微粒子」とい
う言葉を用いるので、その意味について説明する。
【0030】小さな粒子を「微粒子」と呼び、これより
も小さなものを「超微粒子」と呼ぶ。「超微粒子」より
もさらに小さく原子の数が数百個程度以下のものを「ク
ラスター」と呼ぶことは広く行われている。
【0031】しかしながら、それぞれの境は厳密なもの
ではなく、どの様な性質に注目して分類するかにより変
化する。また「微粒子」と「超微粒子」を一括して「微
粒子」と呼ぶ場合もあり、本明細書中での記述はこれに
沿ったものである。「実験物理学講座14 表面・微粒
子」(木下是雄 編、共立出版 1986年9月1日発
行)では次のように記述されている。
【0032】「本稿で微粒子と言うときにはその直径が
だいたい2〜3μm程度から10nm程度までとし、特
に超微粒子というときは粒径が10nm程度から2〜3
nm程度までを意味することにする。両者を一括して単
に微粒子と書くこともあってけっして厳密なものではな
く、だいたいの目安である。粒子を構成する原子の数が
2個から数十〜数百個程度の場合はクラスターと呼
ぶ。」(195ページ22〜26行目)付言すると、新
技術開発事業団の“林・超微粒子プロジェクト”での
「超微粒子」の定義は、粒径の下限はさらに小さく、次
のようなものであった。
【0033】「創造科学技術推進制度の“超微粒子プロ
ジェクト”(1981〜1986)では、粒子の大きさ
(径)がおよそ1〜100nmの範囲のものを“超微粒
子”(ultra fine particle)と呼ぶことにした。する
と1個の超微粒子はおよそ100〜108 個くらいの原
子の集合体という事になる。原子の尺度でみれば超微粒
子は大〜巨大粒子である。」(「超微粒子−創造科学技
術−」株主税、上田良二、田崎明 編;三田出版 19
88年2ページ1〜4行目)「超微粒子よりさらに小さ
いもの、すなわち原子が数個〜数百個で構成される1個
の粒子は、ふつうクラスターと呼ばれる」(同書2ペー
ジ12〜13行目)上記のような一般的な呼び方をふま
えて、本明細書において「微粒子」とは多数の原子・分
子の集合体で、粒径の下限は0.1nmの数倍から1n
m程度、上限は数μm程度のものを指すこととする。
【0034】電子放出部1105は、導電性薄膜110
4の一部に形成された高抵抗の亀裂により構成され、導
電性薄膜1104の膜厚、膜質、材料及び後述する通電
フォーミング等の手法等に依存したものとなる。電子放
出部1105の内部には、0.1nmの数倍から数十n
mの範囲の粒径の導電性微粒子が存在する場合もある。
この導電性微粒子は、導電性薄膜1104を構成する材
料の元素の一部、あるいは全ての元素を含有するものと
なる。電子放出部1105及びその近傍の導電性薄膜1
104には、炭素及び炭素化合物を有することもでき
る。
【0035】次に、垂直型表面伝導型電子放出素子につ
いて説明する。
【0036】図7は、本発明の表面伝導型電子放出素子
を適用できる垂直型表面伝導型電子放出素子の一例を示
す模式図である。
【0037】図7においては、図6に示した部位と同じ
部位には図6に付した符号と同一の符号を付している。
1201は、段差形成部である。基板1101、素子電
極1102及び1103、導電性薄膜1104、電子放
出部1105は、前述した平面型表面伝導型電子放出素
子の場合と同様の材料で構成することができる。段差形
成部1201は、真空蒸着法、印刷法、スパッタ法等で
形成されたSiO2 等の絶縁性材料で構成することがで
きる。段差形成部1201の膜厚は、先に述べた平面型
表面伝導型電子放出素子の素子電極間隔Lに対応し、数
百nmから数十μmの範囲とすることができる。
【0038】この膜厚は、段差形成部の製法、及び、素
子電極間に印加する電圧を考慮して設定されるが、数十
nmから数μmの範囲が好ましい。
【0039】導電性薄膜1104は、素子電極1102
及び1103と段差形成部1201作成後に、該素子電
極1102,1103の上に積層される。電子放出部1
105は、図7においては、段差形成部1201に形成
されているが、作成条件、フォーミング条件等に依存
し、形状、位置ともこれに限られるものでない。
【0040】上述の表面伝導型電子放出素子の製造方法
としては様々な方法があるが、その一例を図8に模式的
に示す。
【0041】以下、図6及び図8を参照しながら製造方
法の一例について説明する。図8においても、図6に示
した部位と同じ部位には図6に付した符号と同一の符号
を付している。
【0042】1)基板1101を洗剤、純水および有機
溶剤等を用いて十分に洗浄し、真空蒸着法、スパッタ法
等により素子電極材料を堆積後、例えばフォトリソグラ
フィー技術を用いて基板1101上に素子電極110
2,1103を形成する(図8(a))。
【0043】2)素子電極1102,1103を設けた
基板1101に、有機金属溶液を塗布して、有機金属薄
膜を形成する。有機金属溶液には、前述の導電性膜11
04の材料の金属を主元素とする有機金属化合物の溶液
を用いることができる。有機金属薄膜を加熱焼成処理
し、リフトオフ、エッチング等によりパターニングし、
導電性薄膜1104を形成する(図8(b))。ここで
は、有機金属溶液の塗布法を挙げて説明したが、導電性
薄膜1104の形成法はこれに限られるものでなく、真
空蒸着法、スパッタ法、化学的気相堆積法、分散塗布
法、ディッピング法スピンナー法等を用いることもでき
る。
【0044】3)つづいて、フォーミング工程を施す。
このフォーミング工程の方法の一例として通電処理によ
る方法を説明する。素子電極1102,1103間に、
不図示の電源を用いて、通電を行うと、導電性薄膜11
04の部位に、構造の変化した電子放出部1105が形
成される(図8(c))。通電フォーミングによれば導
電性薄膜1104に局所的に破壊、変形もしくは変質等
の構造の変化した部位が形成される。該部位が電子放出
部1105を構成する。通電フォーミングの電圧波形の
例を図9に示す。
【0045】電圧波形は、パルス波形が、好ましい。こ
れにはパルス波高値を定電圧としたパルスを連続的に印
加する図9(a)に示した手法とパルス波高値を増加さ
せながら、電圧パルスを印加する図9(b)に示した手
法がある。
【0046】図9(a)におけるt1 及びt2 は電圧波
形のパルス幅とパルス間隔である。通常t1 は1μse
c〜10msec、t2 は、10μsec〜10mse
cの範囲で設定される。三角波の波高値(通電フォーミ
ング時のピーク電圧)は、表面伝導型電子放出素子形態
に応じて適宜選択される。このような条件のもと、例え
ば、数秒から数十分間電圧を印加する。パルス波形は三
角波に限定されるものではなく、矩形波など所望の波形
を採用することができる。
【0047】図9(b)におけるt1 及びt2 は、図9
(a)に示したのと同様とすることができる。三角波の
波高値(通電フォーミング時ピーク電圧)は、例えば
0.1V/ステップ程度づつ、増加させることができ
る。
【0048】通電フォーミング処理の終了は、パルス間
隔t2 中に、導電性薄膜1104を局所的に破壊、変形
しない程度の電圧を印加し、電流を測定して検知するこ
とができる。例えば0.1V程度の電圧印加により流れ
る素子電流を測定し、抵抗値を求めて、1MΩ以上の抵
抗を示した時、通電フォーミングを終了させる。
【0049】4)フォーミングを終えた素子には活性化
工程と呼ばれる処理を施すのが好ましい。活性化工程と
は、この工程により、素子電流If、放出電流Ieが、
著しく変化する工程である。
【0050】活性化工程は、例えば、有機物質のガスを
含有する雰囲気下で、通電フォーミングと同様に、パル
スの印加を繰り返すことで行うことができる。この雰囲
気は、例えば油拡散ポンプやロータリーポンプなどを用
いて真空容器内を排気した場合に雰囲気内に残留する有
機ガスを利用して形成することができる他、イオンポン
プなどにより一旦十分に排気した真空中に適当な有機物
質のガスを導入することによっても得られる。このとき
の好ましい有機物質のガス圧は、前述の応用の形態、真
空容器の形状や、有機物質の種類などにより異なるため
場合に応じ適宜設定される。適当な有機物質としては、
アルカン、アルケン、アルキンの脂肪族炭化水素類、芳
香族炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、ケント
類、アミン類、フェノール、カルボン、スルホン酸等の
有機酸類等を挙げることが出来、具体的には、メンタ、
エタン、プロパンなどCn2n+2で表される飽和炭化水
素、エチレン、プロピレンなどCn2n等の組成式で表
される不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、メタノー
ル、エタノール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒ
ド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミン、エ
チルアミン、フェノール、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等
あるいはこれらの混合物が使用できる。この処理によ
り、雰囲気中に存在する有機物質から、炭素あるいは炭
素化合物が素子上に堆積し、素子電流If、放出電流I
eが、著しく変化するようになる。
【0051】活性化工程の終了判定は、素子電流Ifと
放出電流Ieを測定しながら、適宜行う。なおパルス
幅、パルス間隔、パルス波高値などは適宜設定される。
【0052】炭素及び炭素化合物とは、例えばグラファ
イト(いわゆるHOPG,PG,GCを包含する、HO
PGはほぼ完全なグラファイトの結晶構造、PGは結晶
粒が200Å程度で結晶構造がやや乱れたもの、GCは
結晶粒が20Å程度になり結晶構造の乱れがさらに大き
くなったものを指す。)、非晶質カーボン(アモルファ
スカーボン及び、アモルファスカーボンと前記グラファ
イトの微結晶の混合物を指す)であり、その膜厚は、5
0nm以下の範囲とするのが好ましく、30nm以下の
範囲とすることがより好ましい。
【0053】5)このような工程を経て得られた電子放
出素子は、安定化工程を行うことが好ましい。この工程
は、真空容器内の有機物質排気する工程である。真空容
器を排気する真空排気装置は、装置から発生するオイル
が素子の特性に影響を与えないように、オイルを使用し
ないものを用いるのが好ましい。具体的には、ソープシ
ョンポンプ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げるこ
とが出来る。
【0054】前記活性化の工程で、排気装置として油拡
散ポンプやロータリーポンプを用い、これから発生する
オイル成分に由来する有機ガスを用いた場合は、この成
分の分圧を極力低く抑える必要がある。真空容器内の有
機成分の分圧は、上記の炭素及び炭素化合物がほぼ新た
に堆積しない分圧で1.3×10-6Pa以下が好まし
く、さらには1.3×10-8Pa以下が特に好ましい。
さらに真空容器内を排気するときには、真空容器全体を
加熱して、真空容器内壁や、電子放出素子に吸着した有
機物質分子を排気しやすくするのが好ましい。このとき
の加熱条件は、80〜250℃好ましくは150℃以上
で、できるだけ長時間処理するのが望ましいが、特にこ
の条件に限るものではなく、真空容器の大きさや形状、
電子放出素子の構成などの諸条件により適宜選ばれる条
件により行う。真空容器内の圧力は極力低くすることが
必要で、1×10-5Pa以下が好ましく、さらに1.3
×10-6Pa以下が特に好ましい。
【0055】安定化工程を行った後の、駆動時の雰囲気
は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好ま
しいが、これに限るものではなく、有機物質が十分除去
されていれば、真空度自体は多少低下しても十分安定な
特性を維持することが出来る。
【0056】このような真空雰囲気を採用することによ
り、新たな炭素あるいは炭素化合物の堆積を抑制でき、
また真空容器や基板などに吸着したH2O,O2なども除
去でき、結果として素子電流If、放出電流Ieが、安
定する。
【0057】上述した工程を経て得られた本発明を適用
可能な電子放出素子の基本特性について図10、図11
を参照しながら説明する。
【0058】図10は、真空処理装置の一例を示す模式
図であり、この真空処理装置は測定評価装置としての機
能をも兼ね備えている。図10においても、図6に示し
た部位と同じ部位には図6に付した符号と同一の符号を
付している。図10において、55は真空容器であり、
56は排気ポンプである。真空容器55内には電子放出
素子が配されている。即ち、1101は電子放出素子を
構成する基体であり、1102及び1103は素子電
極、1104は導電性薄膜、1105は電子放出部であ
る。51は、電子放出素子に素子電圧Vfを印加するた
めの電源、50は素子電極1102,1103間の導電
性薄膜1104を流れる素子電流Ifを測定するための
電流計、54は素子の電子放出部より放出される放出電
流Ieを捕捉するためのアノード電極である。53はア
ノード電極54に電圧を印加するための高圧電源、52
は素子の電子放出部1105より放出される放出電流I
eを測定するための電流計である。一例として、アノー
ド電極の電圧を1kV〜10kVの範囲とし、アノード
電極と電子放出素子との距離Hを2mm〜8mmの範囲
として測定を行うことができる。
【0059】真空容器55内には、不図示の真空計等の
真空雰囲気下での測定に必要な機器が設けられていて、
所望の真空雰囲気下での測定評価を行えるようになって
いる。排気ポンプ56は、ターボポンプ、ロータリーポ
ンプからなる通常の高真空装置系と更に、イオンポンプ
等からなる超高真空装置系とにより構成されている。こ
こに示した電子源基板を配した真空処理装置の全体は、
不図示のヒーターにより加熱できる。従って、この真空
処理装置を用いると、前述の通電フォーミング以降の工
程も行うことができる。
【0060】図11は、図10に示した真空処理装置を
用いて測定された放出電流Ie、素子電流Ifと素子電
圧Vfの関係を模式的に示した図である。図11におい
ては、放出電流Ieが素子電流Ifに比べて著しく小さ
いので、任意単位で示している。なお、縦・横軸ともリ
ニアスケールである。
【0061】図11からも明らかなように、本発明を適
用可能な表面伝導型電子放出素子は、放出電流Ieに関
して対する三つの特徴的性質を有する。
【0062】即ち、 (i)本素子はある電圧(しきい値電圧と呼ぶ、図11
中のVth)以上の素子電圧を印加すると急激に放出電
流Ieが増加し、一方しきい値電圧Vth以下では放出
電流Ieがほとんど検出されない。つまり、放出電流I
eに対する明確なしきい値電圧Vthを持った非線形素
子である。
【0063】(ii)放出電流Ieが素子電圧Vfに単調
増加依存するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御
できる。
【0064】(iii)アノード電極54に捕捉される放出
電荷は、素子電圧Vfを印加する時間に依存する。つま
り、アノード電極54に捕捉される電荷量は、素子電圧
Vfを印加する時間により抑制できる。
【0065】以上の説明より理解されるように、本発明
の適用可能な表面伝導型電子放出素子は、入力信号に応
じて、電子放出特性を容易に制御できることになる。こ
の性質を利用すると複数の電子放出素子を配して構成し
た電子源、画像形成装置等、多方面への応用が可能とな
る。
【0066】図11においては、素子電流Ifが素子電
圧Vfに対して単調増加する(以下、「MI特性」とい
う。)例を実線に示した。素子電流Ifが素子電圧Vf
に対して電圧制御型負性抵抗特性(以下、「VCNR特
性」という。)を示す場合もある(不図示)。これら特
性は、前述の工程を制御することで制御できる。
【0067】本発明を適用可能な電子放出素子の応用例
について以下に述べる。本発明を適用可能な表面伝導型
電子放出素子の複数個を基板上に配列し、例えば電子源
あるいは、画像形成装置が構成できる。
【0068】電子放出素子の配列については、種々のも
のが採用できる。
【0069】一例として、並列に配置した多数の電子放
出素子の個々を両端で接続し、電子放出素子の行を多数
個配し(行方向と呼ぶ)、この配線と直交する方向(列
方向と呼ぶ)で、該電子放出素子の上方に配した制御電
極(グリッドとも呼ぶ)により、電子放出素子からの電
子を制御駆動するはしご状配置のものがある。これとは
別に、電子放出素子をX方向及びY方向に行列状に複数
個配し、同じ行に配された複数の電子放出素子の電極の
一方を、X方向の配線に共通に接続し、同じ列に配され
た複数の電子放出素子の電極の他方を、Y方向の配線に
共通に接続するものが挙げられる。このようなものは所
謂単純マトリクス配置である。まず単純マトリクス配置
について以下に詳述する。
【0070】本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素
子については、前述したとおり(i)乃至(iii)の特性
がある。即ち、表面伝導型電子放出素子からの放出電子
は、しきい値電圧以上では、対向する素子電極間に印加
するパルス状電圧の波高値と幅で制御できる。一方、し
きい値電圧以下では、殆ど放出されない。この特性によ
れば、多数の電子放出素子を配置した場合においても、
個々の素子に、パルス状電圧を適宜印加すれば、入力信
号に応じて、表面伝導型電子放出素子を選択して電子放
出量を制御できる。
【0071】以下この原理に基づき、本発明を適用可能
な電子放出素子を複数配して得られる電子源基板につい
て、図12を用いて説明する。図12において、71は
電子源基板、72はX方向配線、73はY方向配線であ
る。74は表面伝導型電子放出素子、75は結線であ
る。尚、表面伝導型電子放出素子74は、前述した平面
型あるいは垂直型のどちらであってもよい。
【0072】m本のX方向配線72は、Dx1,Dx2,
…,Dxmからなり、真空蒸着法、印刷法、スパッタ法等
を用いて形成された導電性金属等で構成することができ
る。配線の材料、膜厚、巾は、適宜設計される。Y方向
配線73は、Dy1,Dy2, …,Dynのn本の配線よりな
り、X方向配線72と同様に形成される。これらm本の
X方向配線72とn本のY方向配線73との間には、不
図示の層間絶縁層が設けられており、両者を電気的に分
離している(m,nは、共に正の整数)。
【0073】不図示の層間絶縁層は、真空蒸着法、印刷
法、スパッタ法等を用いて形成されたSiO2 等で構成
される。例えば、X方向配線72を形成した基板71の
全面或は一部に所望の形状で形成され、特に、X方向配
線72とY方向配線73の交差部の電位差に耐え得るよ
うに、膜厚、材料、製法が、適宜設定される。X方向配
線72とY方向配線73は、それぞれ外部端子として引
き出されている。
【0074】表面伝導型放出素子74を構成する一対の
電極(不図示)は、m本のX方向配線72とn本のY方
向配線73と導電性金属等からなる結線75によって電
気的に接続されている。
【0075】配線72と配線73を構成する材料、結線
75を構成する材料及び一対の素子電極を構成する材料
は、その構成元素の一部あるいは全部が同一であって
も、またそれぞれ異なってもよい。これら材料は、例え
ば前述の素子電極の材料より適宜選択される。素子電極
を構成する材料と配線材料が同一である場合には、素子
電極に接続した配線は素子電極ということもできる。
【0076】X方向配線72には、X方向に配列した表
面伝導型放出素子74の行を、選択するための走査信号
を印加する不図示の走査信号印加手段が接続される。一
方、Y方向配線73には、Y方向に配列した表面伝導型
放出素子74の各列を入力信号に応じて、変調するため
の不図示の変調信号発生手段が接続される。各電子放出
素子に印加される駆動電圧は、当該素子に印加される走
査信号と変調信号の差電圧として供給される。
【0077】上記構成においては、単純なマトリクス配
線を用いて、個別の素子を選択し、独立に駆動可能とす
ることができる。
【0078】このような単純マトリクス配置の電子源を
用いて構成した画像形成装置について、図13及び図1
4を用いて説明する。図13は、画像形成装置の表示パ
ネルの一例を示す模式図であり、図14は、図13の画
像形成装置に使用される蛍光膜の模式図である。図15
は、NTSC方式のテレビ信号に応じて表示を行なうた
めの駆動回路の一例を示すブロック図である。
【0079】図13において、71は電子放出素子を複
数配した電子源基板、81は電子源基板71を固定した
リアプレート、86はガラス基板83の内面に蛍光膜8
4とメタルバック85等が形成されたフェースプレート
である。82は、支持枠であり該支持枠82には、リア
プレート81、フェースプレート86が低融点のフリッ
トガラスなどの接合剤を用いて、接合される。
【0080】74は、図12に示すのと同一の表面伝導
型電子放出素子である。72,73は、表面伝導型電子
放出素子の一対の素子電極と接続されたX方向配線及び
Y方向配線である。
【0081】外囲器88は、上述の如く、フェースプレ
ート86、支持枠82、リアプレート81で構成され
る。リアプレート81は主に基板71の強度を補強する
目的で設けられるため、基板71自体で十分な強度を持
つ場合は別体のリアプレート81は不要とすることがで
きる。即ち、基板71に直接支持枠82を封着し、フェ
ースプレート86、支持枠82及び基板71で外囲器8
8を構成しても良い。一方、フェースプレート86、リ
アプレート81間に、スペーサーとよばれる不図示の支
持体を設置することにより、大気圧に対して十分な強度
をもつ外囲器88を構成することもできる。
【0082】図14は、蛍光膜を示す模式図である。蛍
光膜84は、モノクロームの場合は蛍光体のみから構成
することができる。カラーの蛍光膜の場合は、蛍光体の
配列によりブラックストライプあるいはブラックマトリ
クスなどと呼ばれる黒色導電材91と蛍光体92とから
構成することができる。ブラックストライプ、ブラック
マトリクスを設ける目的は、カラー表示の場合、必要と
なる三原色蛍光体の各蛍光体92間の塗り分け部を黒く
することで混色等を目立たなくすることと、蛍光膜84
における外光反射によるコントラストの低下を抑制する
ことにある。ブラックストライプの材料としては、通常
用いられている黒鉛を主成分とする材料の他、導電性が
あり、光の透過及び反射が少ない材料を用いることがで
きる。
【0083】ガラス基板93に蛍光体を塗布する方法
は、モノクローム、カラーによらず、沈澱法、印刷法等
が採用できる。蛍光膜84の内面側には、通常メタルバ
ック85が設けられる。メタルバックを設ける目的は、
蛍光体の発光のうち内面側への光をフェースプレート8
6側へ鏡面反射させることにより輝度を向上させるこ
と、電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作
用させること、外囲器内で発生した負イオンの衝突によ
るダメージから蛍光体を保護すること等である。メタル
バックは、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化
処理(通常、「フィルミング」と呼ばれる。)を行い、
その後Alを真空蒸着等を用いて堆積させることで作製
できる。
【0084】フェースプレート86には、更に蛍光膜8
4の導電性を高めるため、蛍光膜84の外面側に透明電
極(不図示)を設けてもよい。
【0085】前述の封着を行う際には、カラーの場合は
各色蛍光体と電子放出素子とを対応させる必要があり、
十分な位置合わせが不可欠となる。
【0086】図13に示した画像形成装置の製造方法の
一例を以下に説明する。
【0087】図16はこの製造方法に用いる装置の概要
を示す模式図である。図3は、この製造方法の工程図で
ある。電子源基板が配置される真空チャンバー113は
ゲートバルブ134を介して排気装置135に接続され
ている。真空チャンバー133には、チャンバー内の圧
力及び雰囲気中の各成分の分圧を測定するために、圧力
計136、四重極質量分析器(Q−mass)137等
が取り付けられている。
【0088】真空チャンバー133には、さらに必要な
ガスを真空チャンバー内に導入して雰囲気を制御するた
め、ガス導入ライン138が接続されている。ガス導入
ライン138の他端には導入物質源140が接続されて
おり、導入物質がアンプルやボンベなどに入れて貯蔵さ
れている。ガス導入ラインの途中には、導入物質を導入
するレートを制御するための導入制御手段139が設け
られている。導入量制御手段139としては具体的に
は、スローリークバルブなど逃す流量を制御可能なバル
ブや、マスフローコントローラーなどが、導入物質の種
類に応じて、それぞれ使用が可能である。図16の装置
により真空チャンバー133を排気し、フォーミングを
行う。この際、図17に示すように、例えば、Y方向配
線73を共通電極141に接続し、X方向配線72の内
の一つに接続された素子に電源142によって、同時に
電圧パルスを印加して、フォーミングを行うことができ
る。パルスの形状や、処理の終了の判定などの条件は、
個別素子のフォーミングについての既述の方法に準じて
選択すればよい。また、複数のX方向配線に、位相をず
らせたパルスを順次印加(スクロール)することによ
り、複数のX方向配線に接続された素子をまとめてフォ
ーミングする事も可能である。
【0089】フォーミング終了後、活性化工程を行う。
真空チャンバー133内は、十分に排気した後有機物質
がガス導入ランイ138から導入される。あるいは、個
別素子の活性化方法として記述のように、まず油拡散ポ
ンプやロータリーポンプで排気し、これによって真空雰
囲気中に残留する有機物質を用いても良い。また、必要
に応じて有機物質以外の物質も導入される場合がある。
この様にして形成した、有機物質を含む雰囲気中で、各
電子放出素子に電圧を印加することにより、炭素あるい
は炭素化合物、ないし両者の混合物が電子放出部に堆積
し、電子放出量がドラスティックに上昇するのは、個別
素子の場合と同様である。このときの電圧の印加方法
は、上記フォーミングの場合と同様の結線により、一つ
の方向配線につながった素子に、同時の電圧パルスを印
加すればよい。
【0090】活性化工程終了後は、個別素子の場合と同
様に、安定化工程を行うことが好ましい。
【0091】真空チャンバー133を加熱して、80〜
250℃に保持しながら、イオンポンプ、ソープション
ポンプなどのオイルを使用しない排気装置135により
排気し、有機物質の十分少ない雰囲気にした後、後述す
る駆動回路を用いた検査装置によって、電子放出特性等
の電子源の検査を行う。この検査に合格したものは外囲
器の組み立て工程である封着工程へと移される。
【0092】また、フェースプレート86は検査を終
え、スペーサ82等の外囲器88を構成する部材と加熱
接着する。その後、スペーサ82の電子源71を有する
リアプレート81との接着面にフリットガラスなどの接
合剤を塗布し、仮焼成をしておく。この仮焼成は、塗布
したフリットガラス中に含まれる有機性のバインダーを
除去するために、後述する本焼成の前に、該本焼成時の
加熱温度以下の温度で行われる。
【0093】次に、前記フェースプレート86とスペー
サ82とが一体となった部材とリアプレート81とを所
定の位置で合わせ、固定し、図1に示されるような有機
ガスおよび不活性ガス、大気等の酸素を含むガスが供給
でき、外囲器88全体を加熱できる容器を備えた加熱炉
に入れる。加熱炉内には加熱装置が入っていて、この加
熱装置は温度コントローラにより制御される。
【0094】図1の装置を用いて、まずAr,He,N
e,Kr,Xe等の不活性ガスと、イソプロピルアルコ
ール、アセント、メチルアルコール、ベンゾニトリル等
の有機ガスとを加熱炉内に導入して接着を行う所望の温
度T1 まで昇温する。T1 は接着に用いるフリット等の
特性により異なるが通常400℃〜480℃の範囲にあ
る。また、有機ガス流量は加熱炉内に残留する酸素濃度
により適宜決定される。
【0095】温度T1 にて一定時間保持した後、T2
る温度まで冷却をして、有機ガスの導入を止め、酸素ガ
スを導入する。ここで、T2 は電子放出素子の高抵抗部
に堆積させた炭素を酸化させず、かつ外囲器内の表面に
吸着した有機ガスを除去する温度であり、一般的には2
00℃〜350℃の範囲にある。
【0096】その後、さらに室温まで冷却を進める。こ
こで、冷却前にT2 で一定時間保持しても良い。
【0097】その後、外囲器88を加熱して、80〜2
50℃に保持しながら、イオンポンプ、ソープションポ
ンプなどのオイルを使用しない排気装置により外囲器に
取り付けられた排気管(不図示)を通じて排気し、排気
管をバーナーで熱して溶解させて封じきる。外囲器88
の封止後の圧力を維持するために、ゲッター処理を行な
うこともできる。これは、外囲器88の封止を行う直前
あるいは封止後に、抵抗加熱あるいは高周波加熱等を用
いた加熱により、外囲器88内の所定の位置(不図示)
に配置されたゲッターを加熱し、蒸着膜を形成する処理
である。ゲッターは通常はBa等が主成分であり、該蒸
着膜の吸着作用により、外囲器88内の雰囲気を維持す
るものである。
【0098】次に、単純マトリクス配置の電子源を用い
て構成した表示パネルに、NTSC方式のテレビ信号に
基づいたテレビジョン表示を行う為の駆動回路の構成例
について、図15を用いて説明する。図15において、
101は画像表示表示パネル、102は走査回路、10
3は制御回路、104はシフトレジスタである。105
はラインメモリ、106は同期信号分離回路、107は
変調信号発生器、VxおよびVaは直流電圧源である。
【0099】表示パネル101は、端子Dox1 乃至Dox
m 、端子Doy1 乃至Doyn 、及び高圧端子Hvを介して
外部の電気回路と接続している。端子Dox1 乃至Doxm
には、表示パネル内に設けられている電子源、即ち、M
行N列の行列状にマトリクス配線された表面伝導型電子
放出素子群を一行(N素子)ずつ順次駆動する為の走査
信号が印加される。
【0100】端子Dy1乃至Dynには、前記走査信号によ
り選択された一行の表面伝導型電子放出素子の各素子の
出力電子ビームを制御する為の変調信号が印加される。
高圧端子Hvには、直流電圧源Vaより、例えば10k
Vの直流電圧が供給されるが、これは表面伝導型電子放
出素子から放出される電子ビームに蛍光体を励起するの
に十分なエネルギーを付与する為の加速電圧である。
【0101】走査回路102について説明する。同回路
は、内部にM個のスイッチング素子を備えたもので(図
中、S1乃至Smで模式的に示している)ある。各スイ
ッチング素子は、直流電圧源Vxの出力電圧もしくは0
V(グランドレベル)のいずれか一方を選択し、表示パ
ネル101の端子Dx1乃至Dxmと電気的に接続される。
S1乃至Smの各スイッチング素子は、制御回路103
が出力する制御信号Tscanに基づいて動作するもの
であり、例えばFETのようなスイッチング素子を組み
合わせることにより構成することができる。
【0102】直流電圧源Vxは、本例の場合には表面伝
導型電子放出素子の特性(電子放出しきい値電圧)に基
づき走査されていない素子に印加される駆動電圧が電子
放出しきい値電圧以下となるような一定電圧を出力する
よう設定されている。
【0103】制御回路103は、外部より入力する画像
信号に基づいて適切な表示が行なわれるように各部の動
作を整合させる機能を有する。制御回路103は、同期
信号分離回路106より送られる同期信号Tsyncに
基づいて、各部に対してTscanおよびTsftおよ
びTmryの各制御信号を発生する。
【0104】同期信号分離回路106は、外部から入力
されるNTSC方式のテレビ信号から同期信号成分と輝
度信号成分とを分離する為の回路である。同期信号分離
回路106により分離された同期信号は、垂直同期信号
と水平同期信号より成るが、ここでは説明の便宜上Ts
ync信号として図示した。前記テレビ信号から分離さ
れた画像の輝度信号成分は便宜上DATA信号と表し
た。該DATA信号はシフトレジスタ104に入力され
る。
【0105】シフトレジスタ104は、時系列的にシリ
アルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライン
毎にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記制
御回路103より送られる制御信号Tsftに基づいて
動作する(即ち、制御信号Tsftは、シフトレジスタ
104のシフトクロックであるということもでき
る。)。シリアル/パラレル変換された画像1ライン分
(電子放出素子N素子分の駆動データに相当)のデータ
は、Id1乃至IdnのN個の並列信号として前記シフ
トレジスタ104より出力される。
【0106】ラインメモリ105は、画像1ライン分の
データを必要時間の間だけ記憶する為の記憶装置であ
り、制御回路103より送られる制御信号Tmryに従
って適宜Id1乃至Idnの内容を記憶する。記憶され
た内容は、I′d1乃至I′dnとして出力され、変調
信号発生器107に入力される。
【0107】変調信号発生器107は、画像データI′
d1乃至I′dnの各々に応じて表面伝導型電子放出素
子の各々を適切に駆動変調する為の信号源であり、その
出力信号は、端子Doy1 乃至Doyn を通じて表示パネル
101内の表面伝導型電子放出素子に印加される。
【0108】前述したように、本発明を適用可能な電子
放出素子は放出電流Ieに対して以下の基本特性を有し
ている。即ち、電子放出には明確なしきい値電圧Vth
があり、Vth以上の電圧を印加された時のみ電子放出
が生じる。電子放出しきい値以上の電圧に対しては、素
子への印加電圧の変化に応じて放出電流も変化する。こ
のことから、本素子にパルス状の電圧を印加する場合、
例えば電子放出閾値以下の電圧を印加しても電子放出は
生じないが、電子放出閾値以上の電圧を印加する場合に
は電子ビームが出力される。その際、パルスの波高値V
mを変化させる事により出力電子ビームの強度を制御す
ることが可能である。また、パルスの幅Pwを変化させ
ることにより出力される電子ビームの電荷の総量を制御
する事が可能である。
【0109】従って、入力信号に応じて、電子放出素子
を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅変調
方式等が採用できる。電圧変調方式を実施するに際して
は、変調信号発生器107として、一定長さの電圧パル
スを発生し、入力されるデータに応じて適宜パルスの波
高値を変調するような電圧変調方式の回路を用いること
ができる。
【0110】パルス幅変調方式を実施するに際しては、
変調信号発生器107として、一定の波高値の電圧パル
スを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧パルス
の幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を用いる
ことができる。
【0111】シフトレジスタ104やラインメモリ10
5は、デジタル信号式のものをもアナログ信号式のもの
をも採用できる。画像信号のシリアル/パラレル変換や
記憶が所定の速度で行なわれれば良いからである。
【0112】デジタル信号式を用いる場合には、同期信
号分離回路106の出力信号DATAをデジタル信号化
する必要があるが、これには106の出力部にA/D変
換器を設ければ良い。これに関連してラインメモリ10
5の出力信号がデジタル信号かアナログ信号かにより、
変調信号発生器107に用いられる回路が若干異なった
ものとなる。即ち、デジタル信号を用いた電圧変調方式
の場合、変調信号発生器107には、例えばD/A変換
回路を用い、必要に応じて増幅回路などを付加する。パ
ルス幅変調方式の場合、変調信号発生器107には、例
えば高速の発振器および発振器の出力する波数を計数す
る計数器(カウンタ)及び計数器の出力値と前記メモリ
の出力値を比較する比較器(コンパレータ)を組み合せ
た回路を用いる。必要に応じて、比較器の出力するパル
ス幅変調された変調信号を表面伝導型電子放出素子の駆
動電圧にまで電圧増幅するための増幅器を付加すること
もできる。
【0113】アナログ信号を用いた電圧変調方式の場
合、変調信号発生器107には、例えばオペアンプなど
を用いた増幅回路を採用でき、必要に応じてレベルシフ
ト回路などを付加することもできる。パルス幅変調方式
の場合には、例えば、電圧制御型発振回路(VOC)を
採用でき、必要に応じて表面伝導型電子放出素子の駆動
電圧まで電圧増幅するための増幅器を付加することもで
きる。
【0114】このような構成をとり得る本発明を適用可
能な画像表示装置においては、各電子放出素子に、容器
外端子Dox1 乃至Doxm 、Doy1 乃至Doyn を介して電
圧を印加することにより、電子放出が生ずる。高圧端子
Hvを介してメタルバック85、あるいは透明電極(不
図示)に高圧を印加し、電子ビームを加速する。加速さ
れた電子は、蛍光膜84に衝突し、発光が生じて画像が
形成される。
【0115】次に、はしご型配置の電子源及び画像形成
装置について図18及び図19を用いて説明する。
【0116】図18は、はしご型位置の電子源の一例を
示す模式図である。図18において、110は電子源基
板、111は電子放出素子である。112、Dx1〜Dx1
0 は、電子放出素子111を接続するための共通配線で
ある。電子放出素子111は、基板110上に、X方向
に並列に複数個配されている(これを素子行と呼ぶ)。
この素子行が複数個配されて、電子源を構成している。
各素子行の共通配線間に駆動電圧を印加することで、各
素子行を独立に駆動させることができる。即ち、電子ビ
ームを放出させたい素子行には、電子放出しきい値以上
の電圧を、電子ビームを放出しない素子行には、電子放
出しきい値以下の電圧を印加する。各素子行間の共通配
線Dx2〜Dx9は、例えばDx2〜Dx3を同一配線とするこ
ともできる。
【0117】図19は、はしご型配置の電子源を備えた
画像形成装置におけるパネル構造の一例を示す模式図で
ある。120はグリッド電極、121は電子が通過する
ため空孔、122はDox1,Dox2,…,Doxm よりなる
容器外端子である。123はグリッド電極120と接続
されたG1,G2,…,Gnからなる容器外端子、12
4は各素子間の共通配線を同一配線とした電子源基板で
ある。図19においては、図13に示した部位と同じ部
位には、これらの図に付したのと同一の符号を付してい
る。ここに示した画像形成装置と、図13に示した単純
マトリクス配置の画像形成装置との大きな違いは、電子
源基板110とフェースプレート86の間にグリッド電
極120を備えているか否かである。
【0118】図19においては、基板110とフェース
プレート86の間には、グリッド電極120が設けられ
ている。グリッド電極120は、表面伝導型放出素子か
ら放出された電子ビームを変調するためのものであり、
はしご型配置の素子行と直交して設けられたストライプ
状の電極に電子ビームを通過させるため、各素子に対応
して1個ずつ円形の開口121が設けられている。グリ
ッドの形状や設置位置は図19に示したものに限定され
るものではない。例えば、開口としてメッシュ状に多数
の通過口を設けることもでき、グリッドを表面伝導型放
出素子の周囲や近傍に設けることもできる。
【0119】容器外端子122およびグリッド容器外端
子123は、不図示の制御回路と電気的に接続されてい
る。
【0120】本例の画像形成装置では、素子行を1列ず
つ順次駆動(走査)していくのと同期してグリッド電極
列に画像1ライン分の変調信号を同時に印加する。これ
により、各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画像
を1ラインずつ表示することができる。
【0121】上記の2種類の画像形成装置の構成は、本
発明を適用可能な画像形成装置の一例であり、本発明の
技術思想に基づいて種々の変形が可能である。入力信号
については、NTSC方式を挙げたが入力信号はこれに
限られるものではなく、PAL,SECAM方式など
他、これよりも、多数の走査線からなるTV信号(例え
ば、高品位TV)方式をも採用できる。
【0122】本発明の画像形成装置は、テレビジョン放
送の表示装置、テレビ会議システムやコンピューター等
の表示装置の他、感光性ドラム等を用いて構成された光
プリンターとしての画像形成装置等としても用いること
ができる。
【0123】
【実施例】以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳し
く説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもの
ではなく、本発明の目的が達成される範囲内での各要素
の置換や設計変更がなされたものをも包含する。
【0124】(実施例1)基板として青板ガラスを用い
て、スパッタ法およびフォトリソグラフィー法により素
子電極を配置し、その後、印刷法により単純マトリクス
配線を形成した。
【0125】その後、導電性薄膜であるPdOを素子電
極間にBJ(バブルジェット)法を用いて形成した。
【0126】図16に示された真空チャンバー内に配置
した。ここで、配線に電圧を印加できるように電流導入
端子がチャンバーに取り付けてある。その後、フォーミ
ング処理を施し、導入物質源としてアセトンを用いてパ
ルス電圧を印加して、活性化を行った。その後、真空チ
ャンバーを200℃で加熱し、安定化工程を施した。そ
して、不図示のアノード板に高圧を印加し、前述の駆動
装置を用いてIf,Ieを測定した。以上のようにして
平面型表面伝導型電子放出素子を有する電子源基板を形
成した。
【0127】次に、フェースプレートとスペーサは接着
してスペーサと電子源との接着面にはフリットガラスな
どの接合剤を塗布して、350℃にて仮焼成を施した。
その後、図1に示す加熱炉を用いて、封着を行った。こ
のときの温度プロファイルおよびガス導入タイミングを
図4に示す。ここで、T1 =420℃、T2 =300
℃、T1 の保持時間は20minであった。また、大気
圧で、不活性ガスとしてAr、有機ガスとしてアセント
を用いてフローして行った。この結果、有機ガスを導入
せずに封着を行った場合、封着前に比べ封着後でIfが
60%、Ieが70%に減少していたのが、有機ガスを
導入することにより封着前に比べた封着後のIfが86
%、封着前に比べた封着後のIeが92%となり、減少
が抑えられた。
【0128】なお、不活性ガスの導入は酸素導入時に中
止してもしなくてもよい。
【0129】(実施例2)基板として青板ガラスを用い
て、スパッタ法およびフォトリソグラフィー法により素
子電極を配置し、その後、印刷法により単純マトリクス
配線を形成した。
【0130】その後、導電性薄膜であるPdOを素子電
極間にBJ(バブルジェット)法を用いて形成した。
【0131】図16に示された真空チャンバー内に配置
した。ここで、配線に電圧を印加できるように電流導入
端子がチャンバーに取り付けてある。その後、フォーミ
ング処理を施し、導入物質源としてアセントを用いてパ
ルス電圧を印加して、活性化を行った。その後、真空チ
ャンバーを200℃で加熱し、安定化工程を施した。そ
して、不図示のアノード板に高圧を印加し、前述の駆動
装着を用いてIf,Ieを測定した。以上のようにして
平面型表面伝導型電子放出素子を有する電子源基板を形
成した。
【0132】次に、フェースプレートとスペーサは接着
してスペーサと電子源との接着面にはフリットガラスな
どの接合剤を塗布して、350℃にて仮焼成を施した。
図1に示す加熱炉を用いて、封着を行った。このときの
温度プロファイルおよびガス導入タイミングを図5に示
す。ここで、T1 =470℃,T2 =250℃,T1
保持時間は20min,T2 の保持時間は60minで
あった。また、大気圧で、不活性ガスとしてAr、有機
ガスとしてベンゾニトリルを用いてフローして行った。
この結果、有機ガスを導入せずに封着を行った場合、封
着前に比べ封着後でIfが20%、Ieが32%に減少
していたのが、有機ガスを導入することにより封着前に
比べた封着後のIfが81%、封着前に比べた封着後の
Ieが82%となり、減少が抑えられた。
【0133】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば以
下の効果が奏される。
【0134】(I)本発明の画像形成装置の製造方法に
よれば、封着工程による電子放出特性の劣化が抑制で
き、封着工程後、安定な電子放出特性を有する画像形成
装置を提供できる。
【0135】(ii)本発明の画像形成装置の製造方法に
よれば、安価な加熱炉によって、電子放出特性の劣化が
抑制できる封着工程を提供できる。
【0136】(iii)本発明の画像形成装置の製造方法に
よれば、電子源とフェースプレートの検査された良品の
みで後工程の組み立てを行うため画像形成装置を安価に
製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態による画像形成装置の製造方
法に用いる加熱炉の模式図である。
【図2】本発明の実施形態による画像形成装置の製造方
法における封着工程のタイミングチャートである。
【図3】本発明の実施形態による画像形成装置の製造方
法の工程図である。
【図4】本発明の画像形成装置の製造方法の実施例1に
おける封着工程のタイミングチャートである。
【図5】本発明の画像形成装置の製造方法の実施例2に
おける封着工程のタイミングチャートである。
【図6】本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素子の
構成を示す模式的平面図及び断面図である。
【図7】本発明を適用可能な垂直型表面伝導型電子放出
素子の構成を示す模式図である。
【図8】図6に示す本発明を適用可能な表面伝導型電子
放出素子の製造方法の1例を示す模式図である。
【図9】本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素子の
製造に際して採用できる通電フォーミング処理における
電圧波形の一例を示す模式図である。
【図10】測定評価機能を備えた真空処理装置の一例を
示す模式図である。
【図11】本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素子
についての放出電流Ie、電子電流Ifと素子電圧Vf
の関係の一例を示すグラフである。
【図12】本発明を適用可能な単純マトリクス配置した
電子源の一例を示す模式図である。
【図13】本発明を適用可能な単純マトリクス型の画像
形成装置の表示パネルの一例を示す模式図である。
【図14】蛍光膜一例を示す模式図である。
【図15】画像形成装置にNTSC方式のテレビ信号に
応じて表示を行なうための駆動回路の一例を示すブロッ
ク図である。
【図16】本発明の画像表示装置フォーミング、活性化
工程を行うための真空排気装置の模式図である。
【図17】本発明の画像形成装置の、フォーミング、活
性化工程のための結線方式を示す模式図である。
【図18】本発明を適用可能な梯子配置の電子源の一例
を示す模式図である。
【図19】本発明を適用可能な梯子型の画像形成装置の
表示パネルの一例を示す模式図である。
【図20】従来の表面伝導型電子放出素子の一例を示す
模式図である。
【符号の説明】
1 基板 2,3 素子電極 4 導電性薄膜 5 電子放出部 50 素子電極1102・1103間の導電性薄膜11
04を流れる素子電流Ifを測定するための電流計 51 電子放出素子に素子電圧Vfを印加するための電
源 53 アノード電極54に電圧を印加するための高圧電
源 54 素子の電子放出部より放出される放出電流Ieを
捕捉するためのアノード電極 55 素子の電子放出部1105より放出される放出電
流Ieを測定するための電流計 56 真空装置 57 排気ポンプ 71 電子源基板 72 X方向配線 73 Y方向配線 74 表面伝導型電子放出素子 75 結線 81 リアプレート 82 スペーサ 83 ガラス基板 84 蛍光膜 85 メタルバック 86 フェースプレート 87 高圧端子 88 外囲器 91 黒色導電材 92 蛍光体 93 ガラス基板 101 表示パネル 102 走査回路 103 制御回路 104 シフトレジスタ 105 ラインメモリ 106 同期信号分離回路 107 変調信号発生器 VxおよびVa 直流電圧源 110 電子源基板 111 電子放出素子 112 Dx1〜Dx10 は、前記電子放出素子を配線する
ための共通配線 120 グリッド電極 121 電子が通過するため空孔 122 Dox1 , Dox2,…,Doxm よりなる容器外端
子 123 グリッド電極120と接続されたG1,G2 133 真空宇チャンバー 134 ゲートバルブ 135 排気装置 136 圧力計 137 四重極質量分析器 138 ガス導入ライン 139 導入量制御手段 140 導入物質源 1201 段差形成部

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の部材にて構成された外囲器と、該
    外囲器内に配置された電子放出部を有する複数の電子放
    出素子を備える電子源と、該外囲器内に配置された前記
    電子源からの電子ビームの照射により画像を形成する画
    像形成部材とを有する画像形成装置の製造方法におい
    て、前記複数の電子放出部を形成するフォーミング工程
    及び前記複数の電子放出部に炭素を堆積する活性化工程
    の終了後、加熱炉内に前記複数の部材、前記電子源及び
    前記画像形成部材を入れて前記堆積した炭素より酸化温
    度が低い有機ガスを導入する工程と、前記加熱炉を接合
    剤が溶ける温度T1まで上昇させる工程と、前記複数の
    部材を前記接合剤により接着する接着工程と、前記加熱
    炉を前記堆積した炭素が酸化しない温度T2まで下降さ
    せる工程と、前記加熱炉内に酸素を含むガスを導入する
    工程とを有することを特徴とする画像形成装置の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の画像形成装置の製造方
    法において、前記加熱炉内に酸素を含むガスを導入する
    工程の後で前記加熱炉の温度を下降させる工程を有する
    ことを特徴とする画像形成装置の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の画像形成装置の製造方
    法において、前記酸素を含むガスを導入する工程の後
    で、前記加熱炉の温度を維持する工程を有することを特
    徴とする画像形成装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の画像形成装置の製造方
    法において、前記加熱炉の温度を維持する工程の後で前
    記加熱炉の温度を下降させる工程を有することを特徴と
    する画像形成装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の
    画像形成装置の製造方法において前記酸素を含むガスは
    酸素のみより成ることを特徴とする画像形成装置の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の
    画像形成装置の製造方法において前記酸素を含むガスは
    大気であることを特徴とする画像形成装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の
    画像形成装置の製造方法において、前記有機ガスを導入
    する工程で有機ガスと同時に不活性ガスを導入すること
    を特徴とする画像形成装置の製造方法。
  8. 【請求項8】 加熱炉と、該加熱炉内の加熱装置と、該
    加熱装置により前記加熱炉内の温度を制御する温度コン
    トローラと、有機ガス源と、酸素を含むガスの第2のガ
    ス源と、前記有機ガス源から前記加熱炉に有機ガスを導
    入する第1の導入手段と、前記第2のガス源から前記加
    熱炉に前記酸素を含むガスを導入する第2の導入手段
    と、前記第1の導入手段を流れるガスの流量を制御する
    第1の流量制御手段と、前記第2の導入手段を流れるガ
    スの流量を制御する第2の流量制御手段と、を備えるこ
    とを特徴とする画像形成装置の製造装置。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の画像形成装置の製造装
    置において、不活性ガス源と、該不活性ガス源から前記
    加熱炉に不活性ガスを導入する第3の導入手段と、該第
    3の導入手段を流れるガスの流量を制御する第3の流量
    制御手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置の
    製造装置。
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