JP2000194188A - トナ―担持体及び画像形成装置 - Google Patents

トナ―担持体及び画像形成装置

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JP2000194188A
JP2000194188A JP37303498A JP37303498A JP2000194188A JP 2000194188 A JP2000194188 A JP 2000194188A JP 37303498 A JP37303498 A JP 37303498A JP 37303498 A JP37303498 A JP 37303498A JP 2000194188 A JP2000194188 A JP 2000194188A
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Toshiaki Arai
利晃 荒井
Mitsuharu Takagi
光治 高木
Tokuo Okada
徳男 岡田
Takahiro Kawagoe
隆博 川越
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Bridgestone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 濃度むらのない高品質の画像を与え、かつ長
期使用における特性変化が小さく耐久性に優れたトナー
担持体、及びそれを装着した画像形成装置を提供するこ
と。 【解決手段】 表面にトナーを担持してその薄膜を形成
し、この状態で画像形成体に接触又は近接して、該画像
形成体表面に該トナーを供給することにより、画像形成
体表面に可視画像を形成させるトナー担持体において、
トナー担持体が、導電性弾性層の表面に、自己架橋性を
示さないアルコール可溶性ポリアミド化合物とメラミン
化合物との混合物を硬化させてなる樹脂を含有する材料
からなる被覆層を有するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トナー担持体及び
画像形成装置に関し、さらに詳しくは、複写機やプリン
ター等の画像形成装置において、静電潜像を保持した感
光体や紙等の画像形成体にトナーを供給して、該画像形
成体表面に可視像を形成させるためのトナー担持体であ
って、濃度むらのない高品質の画像を与え、かつ長期使
用における特性変化が小さく耐久性に優れたトナー担持
体、及びそれを装着した画像形成装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、複写機やプリンター等の電子写真
方式の画像形成装置などにおいて、静電潜像を保持した
感光体等の画像形成体に一成分トナーを供給し、該トナ
ーを潜像に付着させて可視化する画像形成方法として、
加圧現像法が知られている(米国特許第3152012
号明細書、同第3731146号明細書等)。この加圧
現像法は、トナーを担持したトナー担持体を、静電潜像
を保持した画像形成体(感光体)に接触させて、トナー
を該画像形成体の潜像に付着させることにより画像形成
を行うもので、このため上記トナー担持体を導電性と弾
性を有する導電性弾性体で形成することが必要である。
すなわち、この加圧現像法では、例えば図2に示すよう
に、トナーを供給するためのトナー塗布用ローラ5と静
電潜像を保持した画像形成体(感光体)6との間に、ト
ナー担持体(現像ローラ)1が配設され、これらトナー
担持体1、画像形成体6及びトナー塗布用ローラ5がそ
れぞれ図中矢印方向に回転することにより、トナー7が
トナー塗布用ローラ5によりトナー担持体1の表面に供
給され、このトナーが成層ブレード8により均一な薄膜
に整えられる。そして、この状態でトナー担持体1が画
像形成体6と接触しながら回転することにより、薄層に
形成されたトナーがトナー担持体1から画像形成体6の
潜像に付着して、該潜像が可視化するようになってい
る。図中9は転写部であり、ここで紙等の記録媒体にト
ナー画像を転写するようになっている。また、10はク
リーニング部であり、そのクリーニングブレード11に
より転写後に画像形成体6表面に残存するトナーを除去
するようになっている。
【0003】このような加圧現像法による画像形成装置
においては、トナー担持体1は、画像形成体6に密着し
た状態を保持しながら回転しなければならず、このた
め、図1の概略断面図に示すように、金属等の良導電性
材料からなるシャフト2の外周に、シリコーンゴム,N
BR(アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム),E
PDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム),
ポリウレタンゴム等の弾性ゴムやフォームなどに導電剤
を配合して導電性を付与した導電性弾性体からなる導電
性弾性層3を形成した構造となっている。さらに、トナ
ー7に対する帯電性や付着性の制御のために、画像形成
体6及び成層ブレード8との摩擦力制御のために、ある
いは弾性体による画像形成体の汚染防止などのために、
樹脂等からなる被覆層4が導電性弾性層3の表面に設け
られている。一方、紙やOHP紙などの紙葉類からなる
画像形成体に、トナー担持体上に担持させたトナーを孔
状の制御電極を介して直線飛翔せしめて、画像を形成さ
せる画像形成法も提案されている。また、画像形成体
(感光体)に近接して非接触状態に配設されたスリーブ
状のトナー担持体の表面に、薄層に成層した非磁性トナ
ーを担持し、これを画像形成体上に飛翔させて現像を行
い、画像を形成させる方法も提案されている(特開昭5
8−116559号公報)。
【0004】いずれの場合も、トナー担持体上には、ト
ナーに対する帯電性や付着性の制御のために、あるいは
画像形成体,成層ブレード,制御電極等の他の部材との
摩擦力低減などのために、樹脂等からなる被覆層が導電
性弾性層の表面に設けられている。本発明者らは、これ
までに、メラミン樹脂,フェノール樹脂,アルキッド樹
脂,フッ素樹脂,ポリアミド樹脂等の樹脂を表面層に用
いたトナー担持体を、摩擦や画像を改良しうるトナー担
持体として提案してきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、最近に
至って、プリンターなどが高速化されたり、微細画像が
要求されたり、あるいはカラー画像化されたりすること
により、画像形成に対する要求が厳しくなり、従来のト
ナー担持体では対応できない種々の問題が顕在化してき
た。すなわち、トナー担持体をプリンターなどに組み込
み、長期間に渡って非使用状態に保った後に画像出しを
行う場合、 1)白地画像において、用紙の進行方向に対し垂直方向
に黒線(黒横線)が入る、 2)ハーフトーン画像において、「ざらつき」紋様や濃
淡むらが生じる、などの画像不良が発生するという問題
が顕在化してきた。本発明者らは、上記問題について検
討を重ねた結果、画像不良が次のような原因によるもの
であるという知見を得た。すなわち、例えば、図2に示
すような画像形成装置においてトナー担持体1を長期間
使用した場合、トナー7、トナー塗布用ローラ5あるい
は成層ブレード8との摩擦により、トナー担持体表面の
被覆層が摩耗すること、トナーフィルミングの発生によ
って、トナー担持体の表面性状が変化するため、トナー
帯電量やトナー搬送量が変わり、画像不良が発生するこ
とである。従って、画像不良の問題を解決するには表面
を形成する被覆層の耐久性を上げればよいことになる。
表面を形成する被覆層の耐久性を上げるには、該被覆層
を厚膜化することを要するものである。このような厚膜
化は、初期の使用条件において、 1)トナー帯電量の制御不能による、高帯電量化、とい
う問題を発生させる危険をはらんだものであるといえ
る。本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、画像
むらがない高品質の画像が得られるように初期条件を最
適化した上で、長期使用時における画像不良の発生を防
止し、良好な画像が確実に得られるような、帯電性能と
耐久性とが両立したトナー担持体及び及びそれを装着し
た画像形成装置を提供することを目的とするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために、トナー、トナー塗布用ローラあるい
は成層ブレードとの摩擦に対して、優れた耐久性を発揮
し、長期使用による表面性変化が小さく、しかも感光体
の汚染防止、トナー付着防止、トナー帯電量の制御、抵
抗調整、摩擦係数の制御等、被覆層の設計において求め
られる諸機能を有する構成材料を念頭において鋭意研究
検討を重ねた結果、アルコール可溶性ポリアミド化合物
がこれらの諸要求を満足させることを見出した。すなわ
ち、アルコール可溶性ポリアミド化合物は、アルコール
に溶解させ、溶液化することにより、トナー担持体の表
面に被覆層を形成させることができる。しかし、表面
性、タック性に問題があったため、さらなる検討を行っ
た結果、別途化合物としてメラミン化合物を用いて該ポ
リアミド化合物を硬化させることにより、成膜後の表面
特性を改善できることを見出し、本発明を完成させたも
のである。さらに付け加えると、メラミン化合物は、そ
の構造が電子供与性能に優れた形態を取るものであり、
優れた電子放出能を現出する。このため、メラミン化合
物を該ポリアミド化合物の硬化に用いることによって、
トナーを電子供与により帯電させるのに有利に働くこと
も、上記「トナー帯電量の制御不能による、高帯電量
化」という問題の解決に有効に働くものと推測される。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、表面にトナーを担持してその薄膜
を形成し、この状態で画像形成体に接触又は近接して、
該画像形成体表面に該トナーを供給することにより、画
像形成体表面に可視画像を形成させるトナー担持体にお
いて、トナー担持体が、導電性弾性層の表面に、自己架
橋性を示さないアルコール可溶性ポリアミド化合物とメ
ラミン化合物との混合物を硬化させてなる樹脂を含有す
る材料からなる被覆層を有するものであることを特徴と
するトナー担持体を提供するものである。また本発明
は、トナー担持体が装着されてなり、かつトナー担持体
の表面にトナーを担持してその薄膜を形成し、このトナ
ー担持体を画像形成体に接触又は近接させて、該画像形
成体表面にトナーを供給することにより、画像形成体表
面に可視画像を形成させる画像形成装置において、該ト
ナー担持体として、上記本発明のトナー担持体を用いた
ことを特徴とする画像形成装置をも提供するものであ
る。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のトナー担持体は、図1に
示すように、良導電性シャフト2の外周に導電性弾性層
3が形成され、導電性弾性層3の表面に被覆層4を形成
したものである。シャフト2としては、良好な導電性を
有するものであればいずれのものも使用し得るが、通常
は、金属製の中実体からなる芯金や内部を中空にくりぬ
いた金属製円筒体等の金属製シャフトが用いられる。上
記導電性弾性層3には、適当なゴム材料に導電剤を添加
して導電性を付与した弾性材料が用いられる。ここで、
ゴム材料としては、特に制限はなく、例えばニトリルゴ
ム,エチレンプロピレンゴム,スチレンブタジエンゴ
ム,ブタジエンゴム,イソプレンゴム,天然ゴム,シリ
コーンゴム,ウレタンゴム,アクリルゴム,クロロプレ
ンゴム,ブチルゴム,エピクロルヒドリンゴム等が挙げ
られ、これらは一種用いてもよく、二種以上を組み合わ
せて用いることができるが、これらの中で、特にクロロ
プレンゴム,ブタジエンゴム,エチレンプロピレンゴム
及びウレタンゴムから選ばれる一種又は二種以上の混合
物が好ましい。
【0008】一方、これらのゴム材料に添加される導電
剤は、イオン導電剤と電子導電剤とがあり、前者のイオ
ン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム,テ
トラブチルアンモニウム,ラウリルトリメチルアンモニ
ウム等のドデシルトリメチルアンモニウム,ヘキサデシ
ルトリメチルアンモニウム,ステアリルトリメチルアン
ミニウム等のオクタデシルトリメチルアンモニウム,ベ
ンジルトリメチルアンモニウム,変性脂肪族ジメチルエ
チルアンモニウム等の過塩素酸塩,塩素酸塩,塩酸塩,
臭素酸塩,ヨウ素酸塩,ホウフッ化水素酸塩,硫酸塩,
アルキル硫酸塩,カルボン酸塩,スルホン酸塩などのア
ンモニウム塩;リチウム,ナトリウム,カルシウム,マ
グネシウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の過
塩素酸塩,塩素酸塩,塩酸塩,臭素酸塩,ヨウ素酸塩,
ホウフッ化水素酸塩,トリフルオロメチル硫酸塩,スル
ホン酸塩などが挙げられる。また、電子導電剤の例とし
ては、ケッチェンブラック,アセチレンブラック等の導
電性カーボンブラック;SAF,ISAF,HAF,F
EF,GPF,SRF,FT,MT等のゴム用カーボン
ブラック;酸化処理を施したインク用カーボンブラッ
ク,熱分解カーボンブラック,グラファイト;酸化ス
ズ,酸化チタン,酸化亜鉛等の導電性金属酸化物;ニッ
ケル,銅等の金属などの粉末が挙げられる。
【0009】これらの導電剤は一種用いてもよく、二種
以上を組み合わせて用いてもよい。また、その添加量は
特に制限されるものではないが、イオン導電剤の場合、
上記ゴム材料100重量部に対して、0.01〜5重量
部、好ましくは0.05〜2重量部の範囲とすることがで
き、電子導電剤の場合、1〜50重量部、好ましくは5
〜40重量部の範囲とすることができる。この導電剤添
加量の調整により、導電性弾性層の抵抗値を、103
1010Ω・cm、特に104 〜108 Ω・cmの範囲に
調整するのが好ましい。なお、この導電性弾性層には、
上記導電剤以外に必要に応じ、従来公知の充填剤,架橋
剤など、その他のゴム用添加剤を適宜添加することがで
きる。この導電性弾性層の硬度は、JIS−Aで60°
以下、特に25〜55°の範囲とすることが好ましい。
この硬度が60°を超えるとトナー担持体が硬くなり、
感光体等との接触面積が小さくなって、良好な画像形成
が行えなくなるおそれがある上、トナーに損傷を与えて
画像形成体や成層ブレードへのトナー固着などが発生し
て、画像不良が生じる原因となる。逆に低硬度になりす
ぎると、画像形成体や成層ブレードとの摩擦が大きくな
り、ジッター等の画像不良が発生するおそれがある。
【0010】導電性弾性層は、画像形成体や成層ブレー
ドなどと当接して使用されることから、圧縮永久歪みが
小さいことが好ましく、具体的には20%以下、特に1
0%以下が好ましい。特にポリウレタンゴムは、この圧
縮永久歪みを小さく設計できるので、特に好ましい。ま
た、この導電性弾性層の表面粗さは、JIS10点平均
粗さで、15μmRz以下、特に3〜10μmRzとす
ることが好ましい。この平均粗さが15μmRzを超え
るとトナー担持体の表面を形成する被覆層を厚く形成す
る必要があり、その結果、トナー担持体表面が硬くな
り、トナーに損傷を与えて画像形成体や成層ブレードへ
のトナー固着などが発生して、画像不良となるので好ま
しくない。また、Rzが小さすぎると該被覆層を形成し
たときに、トナー担持体の表面のRzが小さくなりす
ぎ、トナー担持量が少なくなり画像濃度が低下するおそ
れが生じる。なお、この表面粗さは、表面粗さ計「サー
フコム590A」(東京精密社製)を用いて、円周方向
に測定長さ2.4mm、測定速さ0.3mm/秒、カットオ
フ波長0.8mmでローラのシャフト方向及び円周方向で
偏りがないように300箇所以上測定して求めた値であ
る(以下においても同様)。本発明のトナー担持体にお
いては、トナーに対する帯電性や付着性の制御のため
に、画像形成体や成層ブレードなどとの摩擦力低減のた
めに、あるいは、弾性体による画像形成体の汚染防止な
どのために、上記導電性弾性層の表面に樹脂等からなる
被覆層が設けられている。この被覆層は、アルコール可
溶性ポリアミド化合物とメラミン化合物との混合物を硬
化させてなる樹脂を含有する材料で形成される。
【0011】このアルコール可溶性ポリアミド化合物の
設計方法としては、 ナイロン6,10,66等のように、多元共重合によ
って結晶性の低下を促進させる方法、 アミド結合中の水素を置換し、水素結合力を失活させ
る方法、 通常のポリアミドの主鎖又は側鎖に、溶媒親和性に富
む構造を付加して変成させる方法、が主として挙げられ
るが、一般に、アルコール可溶性を付与したポリアミド
は共重合体が多い。上記の具体例として、CM800
0(商品名:東レ社製)のようなアルコール可溶性共重
合ポリアミド、上記の具体例として、トレジンEF−
30T(商品名:帝国化学産業社製)のような自己架橋
型N−メトキシメチル化ポリアミド、上記の具体例と
して、AQナイロンA−90(商品名:東レ社製)のよ
うなピペラジン環構造付与型脂肪族共重合ポリアミドが
挙げられる。これらのポリアミド化合物は、いずれも無
極性溶媒には不溶であるが、置換や変成の度合いに応じ
て低級アルコールに可溶な性状を示す。この中でも上記
及びに示した例は、自己架橋性を示さない性状によ
って、硬化剤として添加する化合物を多めに混入しても
樹脂の硬度を抑えることができる。このことは、添加化
合物の特性を取り込むために、添加物分率を上げようと
したとき、有利に働くと考えられる。さらに、自己架橋
性ポリアミド化合物に見られるような溶液のゲル化とい
った問題が起こることもないため、実際に使用する場
合、ポットライフの問題を懸念する必要がより少なくな
ると考えられる。本発明者らの検討によると、上記の
具体例として挙げたピペラジン環構造を持つアルコール
可溶性ポリアミド化合物を含有する材料で被覆層を構成
した場合、トナー帯電特性が良く、特に好ましい結果を
もたらす。該ポリアミド化合物の構造例としては、下記
【0012】
【化1】
【0013】(式中、n及びmは単位構造の繰り返し数
を示す。)で表されるポリアミド化合物が挙げられる。
上記ポリアミド化合物を硬化させる化合物としては、ユ
リア化合物,メラミン樹脂等のメラミン化合物,フェノ
ール化合物,多エポキシ化合物,ブロックイソシアネー
ト等が挙げられが、上述したように、メラミン化合物を
用いたときに、トナー帯電特性の点で特に好ましい結果
が得られる。メラミン化合物としては、トリメチロール
アミン,ヘキサメトキシメチルメラミン,n−ブチルエ
ーテルメラミン,iso−ブチルエーテルメラミン等の
メラミン樹脂などが挙げられ、本発明においては、トリ
メチロールアミン,ヘキサメトキシメチルメラミン,i
so−ブチルエーテルメラミンが特に好ましい。本発明
のトナー担持体の被覆層を形成する樹脂におけるポリア
ミド化合物とメラミン化合物との構成比は、ポリアミド
化合物のもたらす効果と湿潤環境下での表面タック性と
の釣り合いによって決定され、固形分重量比で5/5≦
(ポリアミド化合物)/(メラミン化合物)≦7/3と
なるように調整されたものが好ましく、6/4≦(ポリ
アミド化合物)/(メラミン化合物)≦7/3が特に好
ましい。本発明に係る被覆層は、溶剤に対する不溶部が
70重量%以上のものが好ましく、この不溶部が70重
量%未満では、長期間の放置により、画像形成体や成層
ブレードなど、トナー担持体と接触している部材の圧接
痕ができ、その結果、画像に黒横線などの不具合が生じ
るおそれがある。特に、溶剤不溶部が80重量%以上の
ものが好適である。本発明に係る被覆層は、上記硬化剤
等により硬化された樹脂を主成分とするものであるが、
その他に、トナーへの帯電能のさらなる向上、他の部材
との摩擦力低減や導電性付与等の目的で、荷電制御剤,
滑材,導電剤、その他の樹脂等の種々の添加剤を含有さ
せることができる。本発明のトナー担持体においては、
このような被覆層の抵抗を、導電性弾性層の抵抗より高
くすることが、トナー担持体の抵抗を調整する上で好ま
しく、この被覆層の好ましい抵抗値は109 〜1016Ω
・cmの範囲であり、特に1010〜1013Ω・cmの範
囲が好ましい。また、トナー担持体の抵抗としては10
6 〜1012Ω・cmが好ましく、107 〜1010Ω・c
mが特に好ましい。
【0014】また、被覆層を形成したトナー担持体の表
面粗さは、JIS10点平均粗さで、10μmRz以
下、特に1〜8μmRzとすることが好ましい。この平
均粗さが10μmRzを超えると、トナーの帯電量が小
さくなったり逆帯電トナーが生じて、画像かぶりを生じ
るので好ましくない。また、Rzが小さすぎるとトナー
担持量が少なくなり、画像濃度が低下するおそれが生じ
る。本発明のトナー担持体における被覆層の形成方法に
ついては特に制限はないが、ポリアミド化合物及び硬化
剤、必要に応じて各種添加剤を溶解又は分散させてなる
塗工液をディピング法,ロールコーター法,ドクターブ
レード法,スプレー法などにより、導電性弾性層上に塗
布したのち、常温あるいは50〜170℃程度の温度で
乾燥し、架橋硬化させて形成する。
【0015】この被覆層の厚さは、3〜50μm程度と
することができるが、特に5〜30μmの範囲が好まし
い。この被覆層の厚さが薄すぎると局所的な放電が起こ
り、画像に白横線が発生しやすくなる。また、厚すぎる
とトナー担持体が硬くなり、トナーに損傷を与えて画像
形成体や成層ブレードへのトナー固着などが発生して画
像不良の原因となる。前記塗工液の調製に用いられる溶
媒としては、例えばメタノール,エタノール,イソプロ
パノール,ブタノール等のアルコール系溶媒、アセト
ン,メチルエチルケトン,シクロヘキサノン等のケトン
系溶媒、トルエン,キシレン等の芳香族炭化水素系溶
媒、ヘキサン等の脂肪酸炭化水素系溶媒、シクロヘキサ
ン等の脂環式炭化水素系溶媒、酢酸エチル等のエステル
系溶媒、イソプロピルエーテル,テトラヒドロフラン等
のエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド等のアミド系
溶媒、クロロホルム,シクロロエタン等のハロゲン化炭
化水素系溶媒等、及びこれらの混合溶媒などが挙げられ
る。本発明においては、アルコール系溶媒及びアルコー
ル系溶媒と各種炭化水素との混合溶媒が特に好ましく用
いられる。
【0016】本発明のトナー担持体は、電子写真装置に
おける現像装置などの画像形成装置に現像ローラ等とし
て組み込まれて用いられるものであり、例えば、図2に
示したように、トナーを供給するためのトナー塗布用ロ
ーラ5と静電潜像を保持した感光ドラム(画像形成体)
6との間に、本発明のトナー担持体を現像ローラ1とし
て配置し、トナー塗布用ローラ5によりトナー7を担持
し、これを成層ブレード8により均一な薄層に整え、さ
らにこの薄層からトナーを感光ドラム(画像形成体)6
に供給し、感光ドラム(画像形成体)6の静電潜像にト
ナーを付着させて潜像を可視化するものである。図2に
示した画像形成装置の詳細については、上述の従来技術
において説明したので省略する。なお、本発明のトナー
担持体を装着する画像形成装置は、図2に示したものに
限定されず、表面にトナーを担持して該トナーの薄層を
形成し、この状態で画像形成体に接触又は近接して、該
画像形成体表面にトナーを供給することにより、画像形
成体表面に可視画像を形成するものであればいずれのも
のでもよい。例えば、紙やOHP用紙等の紙葉類を画像
形成体とし、ごれらにトナー担持体上に担持させたトナ
ーを制御電極に形成した孔を通して直接飛翔せしめ、紙
やOHP用紙に直接画像を形成させるものであってもよ
い。また、本発明のトナー担持体に担持させるトナーと
しては、非磁性の一成分現像剤が好適に用いられるが、
磁性タイプの一成分現像剤を用いることもでき、例えば
磁性一成分現像剤を用いて白黒画像印字を行う場合に
も、本発明のトナー担持体及び画像形成装置を好適に用
いることができる。
【0017】
【実施例】次に、本発明を実施例により、さらに詳しく
説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定
されるものではない。なお、実施例及び比較例で得られ
たローラ(トナー担持体)について、下記の要領で特性
試験を行った。 (1)被覆層の層厚 被試験ローラの垂直切断面を走査型電子顕微鏡により観
察して測定した。 (2)被覆層の溶剤不溶率 被試験ローラとは別に、ガラス板を用意して、各ローラ
の被覆層形成に用いた塗工液 をガラス板に塗布し、各
ローラの作製と同一の条件で塗膜を加熱し、硬化させて
塗膜試料を作製した。このガラス板を、塗工液の調製に
用いたものと同様の溶媒中に常温で24時間浸漬した
後、乾燥させて、浸漬前後の塗膜の重量を測定し、下記
の式により溶剤不溶率を算出し、ローラの被覆層の溶剤
不溶率とし、この被覆層の溶剤不溶率が70重量%以上
かどうかを確認した。 溶剤不溶率=〔(溶剤に浸漬、乾燥後の塗膜重量)/
(溶剤に浸漬前の塗膜重量)〕×100(重量%) (3)屈曲試験 被試験ローラとは別に、ポリプロピレン製トレーを用意
して、各ローラの被覆層形成に用いた塗工液をこのトレ
ー中に広げ、該塗工液の溶媒を揮発させた後、各ローラ
の作製と同一の条件で加熱乾燥させ、硬化させて塗膜試
料を作製した。塗工液の使用量は、最終的に膜厚15μ
m程度の試料が得られるように適宜調節した。得られた
塗膜をトレーから丁寧に引き剥がし、30mm×30m
mの大きさに切り出して試験片とした。この試験片の対
角が重なるように屈曲させ、膨らんだ試験片の中央部を
折り目が付く程度にまで潰していく、という作業を折り
目が十分に塑性変形するまで繰り返し、この間に試験片
に折り目が生じるかどうかを確認した。 (4)ローラの抵抗 被試験ローラの両端に各500gの荷重をかけて銅板上
に押し付け、抵抗率計R8340A(アドバンテスト社
製)を用い、100Vの電圧を印加して抵抗値を測定し
た。 (5)トナー帯電量 被試験ローラを現像ローラとして、図2に示した現像ユ
ニット部に装着し、現像ローラを50mm/秒の周速で
回転させ、この現像ローラ表面にトナー薄層を形成し、
このトナー薄層を吸引してファラディゲージ内に導入
し、電荷量を測定した。これと同時に、吸引されたトナ
ー量も測定し、単位重量当たりのトナー帯電量〔q/m
(μC/g)〕を求めた。 (6)画像評価 被試験ローラを現像ローラとして図2に示した現像ユニ
ットに組み込み、現像バイアス−400V、ブレードバ
イアス600Vとし、平均粒径7μmの非磁性一成分ト
ナーを用い、線速60mm/秒の周速で回転させながら
反転現像で画像出しを行い、白地画像、ハーフトーン画
像及び黒地画像における画像評価をおこなった。初期画
像として10枚目の印刷画像の前後の計5枚、耐久画像
として1万枚目の印刷画像の前後の計5枚について評価
し、評価結果とした。
【0018】実施例1 グリセリンにプロピレンオキサイドとエチレンオキサイ
ドを付加し、分子量5000としたポリエーテルポリオ
ール(OH価:33)100部(重量部、以下同じ)に
1,4−ブタンジオール1.0部、ニッケルアセチルアセ
トネート0.5部、ジブチルチンジラウレート0.01部及
びアセチレンブラック2.0部を添加し、混合機を用いて
混合してポリオール組成物を調製した。このポリオール
組成物を減圧下に攪拌して脱泡した後、ウレタン変性M
DI(メタキシリレンジイソシアネート)を17.5部加
えて2分間攪拌し、これを、金属シャフトを配置し予め
110℃に加熱した金型に注型し、110℃で2時間硬
化させて金属シャフトの外周に導電性弾性層を形成して
ローラを得た。得られたローラの表面を研磨して、表面
をJIS10点平均粗さ7μmRz に調整した。なお、
この表面粗さは、上述したように、表面粗さ計「サーフ
コム590A」(東京精密社製)を用いて、円周方向に
測定長さ2.4mm、測定速さ0.3mm/秒、カットオフ
波長0.8mmでローラのシャフト方向及び円周方向で偏
りがないように300箇所以上測定して求めた値である
(以下の例においても同様)。
【0019】次に、アルコール可溶性ポリアミド化合物
としてAQナイロンA−90(東レ社製,塩基度3.30
×10-3mol/g)、メラミン樹脂としてスーパーベ
ッカミンL−145−60(大日本インキ社製,固形分
率60%)を用い、エタノールとトルエンとを重量比3
/1(エタノール/トルエン)で混合した混合溶媒に、
上記ポリアミド化合物とメラミン樹脂とを固形分重量比
で5/5(ポリアミド化合物/メラミン樹脂)となるよ
うに混合し、全固形分濃度25重量%の塗工液を調製し
た。この塗工液中に、導電剤としてカーボンブラックP
rintex35(デグサジャパン社製)を30部添加
して分散させ、該塗工液中に上記導電性弾性体ローラを
浸漬して引き上げ、これを110℃にて4時間加熱する
ことにより、硬化した被覆層を有する図1と同様のロー
ラ状トナー担持体を得た。
【0020】実施例2 実施例1において、ポリアミド化合物とメラミン樹脂と
の固形分重量比を7/3(ポリアミド化合物/メラミン
樹脂)となるように混合した以外は、実施例1と同様に
してローラ状トナー担持体を得た。 比較例1 実施例1において、メラミン樹脂を除き、ポリアミド化
合物のみを用いた以外は、実施例1と同様にしてローラ
状トナー担持体を得た。 比較例2 塗工液に混入する化合物として、ポリアミド化合物とメ
ラミン樹脂との混合物の代わりに、オイルフリーアルキ
ッド樹脂及びメラミン樹脂それぞれ5部加えた以外は、
実施例1と同様にしてローラ状トナー担持体を得た。 比較例3 塗工液に混入する化合物として、ポリアミド化合物とメ
ラミン樹脂との混合物の代わりに、ポリエステルポリオ
ール100部及びウレタン変性MDIを10部加えた以
外は、実施例1と同様にしてローラ状トナー担持体を得
た。このようにして得られたトナー担持体の特性試験結
果を第1表に示す。
【0021】
【表1】
【0022】第1表から、実施例のトナー担持体は、良
好なトナー帯電性を示し、被覆層において屈曲による亀
裂が発生することのない柔軟性を有し、かつ良好な耐久
画像を再現し得るものであることが確認ができた。な
お、比較例1については、トナー担持体の被覆層のタッ
クが強すぎるため、画像評価を行うことが不可能であ
り、また、付着したトナーを完全に除去することができ
ないため、トナー帯電量の測定も不可能であった。
【0023】
【発明の効果】本発明のトナー担持体は、メラミン化合
物により硬化させたアルコール可溶性ポリアミド化合物
を用いてトナー担持体の被覆層を構成することにより、
長期間連続使用しても、該被覆層に割れや削れが生じる
ことがなく、各種画像不良の発生を防止することがで
き、良好な画像を長期に渡って再現することができるも
のであって、各種画像形成装置のトナー担持体として好
適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のトナー担持体の一例を示す概略断面
図である。
【図2】 本発明の画像形成装置の一例を示す概略断面
図である。
【符号の説明】
1:トナー担持体(現像ローラ) 2:シャフト 3:導電性弾性層 4:被覆層 5:トナー塗布用ローラ 6:画像形成体(感光体) 7:トナー 8:成層ブレード 9:転写部 10:クリーニング部 11:クリーニングブレード
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川越 隆博 埼玉県所沢市青葉台1302−57 Fターム(参考) 2H077 AA15 AC04 AD02 AD06 AD13 AD18 AD32 AD35 BA03 EA11 EA15 EA16 FA13 FA16 FA22 FA25

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面にトナーを担持してその薄膜を形成
    し、この状態で画像形成体に接触又は近接して、該画像
    形成体表面に該トナーを供給することにより、画像形成
    体表面に可視画像を形成させるトナー担持体において、
    トナー担持体が、導電性弾性層の表面に、自己架橋性を
    示さないアルコール可溶性ポリアミド化合物とメラミン
    化合物との混合物を硬化させてなる樹脂を含有する材料
    からなる被覆層を有するものであることを特徴とするト
    ナー担持体。
  2. 【請求項2】 アルコール可溶性ポリアミド化合物が、
    多元共重合構造のものである請求項1記載のトナー担持
    体。
  3. 【請求項3】 アルコール可溶性ポリアミド化合物が、
    ピペラジン構造によりアルコール可溶性を付与されたも
    のである請求項1又は2記載のトナー担持体。
  4. 【請求項4】 アルコール可溶性ポリアミド化合物とメ
    ラミン化合物との混合比が、固形分重量比で5/5≦
    (ポリアミド化合物)/(メラミン化合物)≦7/3で
    ある請求項1〜3のいずれかに記載のトナー担持体。
  5. 【請求項5】 導電性弾性層を構成するゴム弾性体が、
    クロロプレンゴム,ブタジエンゴム,エチレンプロピレ
    ンゴム及びウレタンゴムの中から選ばれる一種又は二種
    以上である請求項1〜4のいずれかに記載のトナー担持
    体。
  6. 【請求項6】 トナー担持体が装着されてなり、かつト
    ナー担持体の表面にトナーを担持してその薄膜を形成
    し、このトナー担持体を画像形成体に接触又は近接させ
    て、該画像形成体表面にトナーを供給することにより、
    画像形成体表面に可視画像を形成させる画像形成装置に
    おいて、上記トナー担持体として、請求項1〜5のいず
    れかに記載のトナー担持体を用いたことを特徴とする画
    像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002295451A (ja) * 2001-04-02 2002-10-09 Bridgestone Corp 半導電性部材及び電子写真装置

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