JP2000192337A - 黒鉛質炭素繊維及びそれを用いた放熱シート - Google Patents
黒鉛質炭素繊維及びそれを用いた放熱シートInfo
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 熱伝導率の高い放熱シートを効率的に得る方
法を提供する。 【解決手段】 90%以上の繊維が繊維長600μm未
満であり、画像処理で求めた平均繊維長が30μm以上
300μm未満であることを特徴とする放熱シート用黒
鉛質炭素繊維を用いる。
法を提供する。 【解決手段】 90%以上の繊維が繊維長600μm未
満であり、画像処理で求めた平均繊維長が30μm以上
300μm未満であることを特徴とする放熱シート用黒
鉛質炭素繊維を用いる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子部品等から発
生する熱を放熱器等に伝えて放熱する際に好適に使用さ
れる黒鉛質炭素繊維及びそれよりなる放熱シートに関す
るものである。
生する熱を放熱器等に伝えて放熱する際に好適に使用さ
れる黒鉛質炭素繊維及びそれよりなる放熱シートに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、パソコン等に使用されるマイクロ
プロセッサー(MPU)等の電子部品の高性能化に伴
い、電子部品等から発生する熱も増加し、この熱をどの
ように処理するかが問題となっている。この問題は、電
子部品等に放熱器を取り付けることによって解消される
が、電子部品等から発生する熱を効率よく放熱器等に伝
えるには、部品間に生じる隙間をなくす必要があり、そ
の材料として通常、シリコン系ゴムに窒化ホウ素等の熱
伝導性粉末を混合してシート状にしたものが知られてい
る。
プロセッサー(MPU)等の電子部品の高性能化に伴
い、電子部品等から発生する熱も増加し、この熱をどの
ように処理するかが問題となっている。この問題は、電
子部品等に放熱器を取り付けることによって解消される
が、電子部品等から発生する熱を効率よく放熱器等に伝
えるには、部品間に生じる隙間をなくす必要があり、そ
の材料として通常、シリコン系ゴムに窒化ホウ素等の熱
伝導性粉末を混合してシート状にしたものが知られてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、電子部
品等からの発熱量は増加しつつあるのに対し、電子機器
の小型化による電子部品の収納スペースの縮小により放
熱のためのスペースも小さくなっている。従って、電子
部品等から発生した熱を出来るだけ効率よく放熱器から
放熱するために、電子部品から放熱器への熱伝導効率を
高める、つまり放熱シートの熱伝導率を高くする必要が
ある。
品等からの発熱量は増加しつつあるのに対し、電子機器
の小型化による電子部品の収納スペースの縮小により放
熱のためのスペースも小さくなっている。従って、電子
部品等から発生した熱を出来るだけ効率よく放熱器から
放熱するために、電子部品から放熱器への熱伝導効率を
高める、つまり放熱シートの熱伝導率を高くする必要が
ある。
【0004】このような問題に対して、特開平3−15
1658号公報では、フィラーの長手方向を放熱シート
の厚み方向に配向させる方法が提案されている。その第
一の方法は、マトリックス樹脂とフィラーとの混練物を
押出機によりシート状に押し出し、この押し出したシー
トを厚み方向と平行にスライスした後、スライス面でプ
レスして放熱シートに成形する方法であり、第二の方法
は、マトリックス樹脂100重量部に対してフィラーを
200重量部以上配合して混練することによってフィラ
ーの外周にマトリックス樹脂をコーティングされた粉末
ゴム状成形材料を作製し、これを金型に入れて厚み方向
と垂直な方向に圧力をかけて成形するという方法であ
る。これらの方法によってフィラーの長手方向を放熱シ
ートの厚み方向に配向させることは可能であるが、第一
の方法では、押出成形、スライス、プレスといくつもの
工程を必要として生産効率が悪く、また第二の方法では
厚み方向と垂直な方向に圧力をかけて成形するために、
例えば厚みが0.2mm程度の薄い放熱シートを形成す
ることは非常に困難であり、放熱シートを製造する方法
としては実用的ではない。
1658号公報では、フィラーの長手方向を放熱シート
の厚み方向に配向させる方法が提案されている。その第
一の方法は、マトリックス樹脂とフィラーとの混練物を
押出機によりシート状に押し出し、この押し出したシー
トを厚み方向と平行にスライスした後、スライス面でプ
レスして放熱シートに成形する方法であり、第二の方法
は、マトリックス樹脂100重量部に対してフィラーを
200重量部以上配合して混練することによってフィラ
ーの外周にマトリックス樹脂をコーティングされた粉末
ゴム状成形材料を作製し、これを金型に入れて厚み方向
と垂直な方向に圧力をかけて成形するという方法であ
る。これらの方法によってフィラーの長手方向を放熱シ
ートの厚み方向に配向させることは可能であるが、第一
の方法では、押出成形、スライス、プレスといくつもの
工程を必要として生産効率が悪く、また第二の方法では
厚み方向と垂直な方向に圧力をかけて成形するために、
例えば厚みが0.2mm程度の薄い放熱シートを形成す
ることは非常に困難であり、放熱シートを製造する方法
としては実用的ではない。
【0005】また、特開平3−151658号公報で用
いられているような窒化ホウ素系放熱シートの熱伝導率
は4W/mK程度であり、放熱シートとしては十分な熱
伝導率を有するものではない。一方、黒鉛質炭素繊維
は、繊維軸方向の熱伝導率は高いが、繊維径方向の熱伝
導率は繊維軸方向の数百分の1しかないため、マトリッ
クス樹脂中での配向性が重要となる。つまり、電子部品
等から発生する熱を放熱器などに効率よく伝えるために
は、放熱シートの面方向の熱伝導率を高くする必要があ
り、そのためには出来るだけ多くの黒鉛質炭素繊維の繊
維軸方向が放熱シートの面方向と平行になるように配向
させなければならない。
いられているような窒化ホウ素系放熱シートの熱伝導率
は4W/mK程度であり、放熱シートとしては十分な熱
伝導率を有するものではない。一方、黒鉛質炭素繊維
は、繊維軸方向の熱伝導率は高いが、繊維径方向の熱伝
導率は繊維軸方向の数百分の1しかないため、マトリッ
クス樹脂中での配向性が重要となる。つまり、電子部品
等から発生する熱を放熱器などに効率よく伝えるために
は、放熱シートの面方向の熱伝導率を高くする必要があ
り、そのためには出来るだけ多くの黒鉛質炭素繊維の繊
維軸方向が放熱シートの面方向と平行になるように配向
させなければならない。
【0006】しかし、現実的には、放熱シートの厚み方
向と平行に黒鉛質炭素繊維の繊維方向を並べるのは非常
に困難である。例えば、通常公知の黒鉛質炭素繊維を粉
砕したもの(繊維長/繊維径=100程度、繊維系=1
0μm)をマトリックス樹脂と混練し、ドクターブレー
ド法等で放熱シートを成形した場合、黒鉛質炭素繊維は
マトリックス樹脂の成形の際の流れ方向に従って配向
し、殆どはその繊維軸方向が放熱シートの面方向を向く
ように配向してしまう。これは、マトリックス樹脂の流
動に対して抵抗となる黒鉛質炭素繊維が最も抵抗の少な
い方向を向くように配向しようとするためである。この
ため、面方向の熱伝導率は高くなるが、厚み方向に熱伝
導率の高い放熱シートを得ることは難しい。
向と平行に黒鉛質炭素繊維の繊維方向を並べるのは非常
に困難である。例えば、通常公知の黒鉛質炭素繊維を粉
砕したもの(繊維長/繊維径=100程度、繊維系=1
0μm)をマトリックス樹脂と混練し、ドクターブレー
ド法等で放熱シートを成形した場合、黒鉛質炭素繊維は
マトリックス樹脂の成形の際の流れ方向に従って配向
し、殆どはその繊維軸方向が放熱シートの面方向を向く
ように配向してしまう。これは、マトリックス樹脂の流
動に対して抵抗となる黒鉛質炭素繊維が最も抵抗の少な
い方向を向くように配向しようとするためである。この
ため、面方向の熱伝導率は高くなるが、厚み方向に熱伝
導率の高い放熱シートを得ることは難しい。
【0007】この問題に対して、特開平9−28395
5号公報では、熱伝導性フィラーとして黒鉛質炭素繊維
の平均アスペクト比が3未満になるように調整、即ちマ
トリックス樹脂の流動に対して抵抗となる黒鉛質炭素繊
維の繊維長を出来るだけ小さくしている。これにより、
繊維がどのような向きをしていても抵抗が小さくなるた
め、繊維軸方向がランダムな方向に向くようになり、そ
れによって厚み方向の熱伝導率が高い放熱シートを形成
している。黒鉛質炭素繊維としては、黒鉛質炭素繊維の
ストランド等を粉砕して得たものや、石油や石炭のメソ
フェーズピッチから得られるメソフェーズ小球体の黒鉛
化物が用いられているが、黒鉛質炭素繊維のストランド
等を平均アスペクト比が3未満となるように、粉砕・分
離するためには、長時間の粉砕や複雑な分離工程が必要
であり、生産効率も悪く、全く実用的ではない。
5号公報では、熱伝導性フィラーとして黒鉛質炭素繊維
の平均アスペクト比が3未満になるように調整、即ちマ
トリックス樹脂の流動に対して抵抗となる黒鉛質炭素繊
維の繊維長を出来るだけ小さくしている。これにより、
繊維がどのような向きをしていても抵抗が小さくなるた
め、繊維軸方向がランダムな方向に向くようになり、そ
れによって厚み方向の熱伝導率が高い放熱シートを形成
している。黒鉛質炭素繊維としては、黒鉛質炭素繊維の
ストランド等を粉砕して得たものや、石油や石炭のメソ
フェーズピッチから得られるメソフェーズ小球体の黒鉛
化物が用いられているが、黒鉛質炭素繊維のストランド
等を平均アスペクト比が3未満となるように、粉砕・分
離するためには、長時間の粉砕や複雑な分離工程が必要
であり、生産効率も悪く、全く実用的ではない。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく、鋭意検討した結果、90%以上の繊維が
繊維長600μm未満であり、画像処理で求めた平均繊
維長が30μm以上300μm未満の黒鉛質炭素繊維を
マトリックス樹脂中に分散させて形成することにより、
高い熱伝導率を有し且つ強度の高い放熱シートが得られ
ることを見出し、本発明に到達した。
を解決すべく、鋭意検討した結果、90%以上の繊維が
繊維長600μm未満であり、画像処理で求めた平均繊
維長が30μm以上300μm未満の黒鉛質炭素繊維を
マトリックス樹脂中に分散させて形成することにより、
高い熱伝導率を有し且つ強度の高い放熱シートが得られ
ることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明をより詳細に説明す
る。本発明の黒鉛質炭素繊維としては、高い熱伝導率が
得やすい為に特にピッチ系の黒鉛質炭素繊維を用いるこ
とが好ましい。紡糸ピッチを得るための炭素質原料とし
ては、配向しやすい分子種が形成されており、光学的に
は異方性の炭素繊維を与えるようなものであれば特に制
限はない。例えば、石炭系のコールタール、コールター
ルピッチ、石炭液化物、石油系の重質油、タール、ピッ
チ、または、ナフタレンやアントラセンの触媒反応によ
る重合反応生成物等が挙げられる。これらの炭素質原料
には、フリーカーボン、未溶解石炭、灰分、窒素分、硫
黄分、触媒等の不純物が含まれているが、これらの不純
物は、濾過、遠心分離、あるいは溶剤を使用する静置沈
降分離等の周知の方法であらかじめ除去しておくことが
望ましく、特に本発明で用いられる黒鉛質炭素繊維の灰
分量は100ppm未満、炭素含有量は99%以上であ
ることが望ましい。これにより、放熱シートを形成した
ときに不純物による性能の劣化を抑えることが出来る。
る。本発明の黒鉛質炭素繊維としては、高い熱伝導率が
得やすい為に特にピッチ系の黒鉛質炭素繊維を用いるこ
とが好ましい。紡糸ピッチを得るための炭素質原料とし
ては、配向しやすい分子種が形成されており、光学的に
は異方性の炭素繊維を与えるようなものであれば特に制
限はない。例えば、石炭系のコールタール、コールター
ルピッチ、石炭液化物、石油系の重質油、タール、ピッ
チ、または、ナフタレンやアントラセンの触媒反応によ
る重合反応生成物等が挙げられる。これらの炭素質原料
には、フリーカーボン、未溶解石炭、灰分、窒素分、硫
黄分、触媒等の不純物が含まれているが、これらの不純
物は、濾過、遠心分離、あるいは溶剤を使用する静置沈
降分離等の周知の方法であらかじめ除去しておくことが
望ましく、特に本発明で用いられる黒鉛質炭素繊維の灰
分量は100ppm未満、炭素含有量は99%以上であ
ることが望ましい。これにより、放熱シートを形成した
ときに不純物による性能の劣化を抑えることが出来る。
【0010】また、前記炭素質原料を、例えば、加熱処
理した後、特定溶剤で可溶分を抽出するといった方法、
あるいは、水素供与性溶剤、水素ガスの存在下に水添処
理するといった方法で予備処理を行っておいても良い。
本発明においては、40%以上、好ましくは70%以
上、さらに好ましくは90%以上の光学的異方性組織を
含む炭素質原料が好適であり、このために前述の炭素質
原料を必要によっては、通常350〜500℃、好まし
くは380〜450℃で、2分〜50時間、好ましくは
5分〜5時間、窒素、アルゴン、水蒸気等の不活性ガス
雰囲気下、あるいは、吹き込み下に加熱処理することが
ある。
理した後、特定溶剤で可溶分を抽出するといった方法、
あるいは、水素供与性溶剤、水素ガスの存在下に水添処
理するといった方法で予備処理を行っておいても良い。
本発明においては、40%以上、好ましくは70%以
上、さらに好ましくは90%以上の光学的異方性組織を
含む炭素質原料が好適であり、このために前述の炭素質
原料を必要によっては、通常350〜500℃、好まし
くは380〜450℃で、2分〜50時間、好ましくは
5分〜5時間、窒素、アルゴン、水蒸気等の不活性ガス
雰囲気下、あるいは、吹き込み下に加熱処理することが
ある。
【0011】本発明で言うピッチの光学的異方性組織割
合は、常温下、偏光顕微鏡でのピッチ試料中の光学的異
方性を示す部分の面積割合として求めた値である。具体
的には、例えば、ピッチ試料を数mm角に粉砕したもの
を、常法に従って2cm直径の樹脂の表面のほぼ全面に
試料片を埋め込み、表面を研磨後、表面全体をくまなく
偏光顕微鏡(100倍率)下で観察し、試料の全表面積
に占める光学的異方性部分の面積の割合を測定すること
によって求める。
合は、常温下、偏光顕微鏡でのピッチ試料中の光学的異
方性を示す部分の面積割合として求めた値である。具体
的には、例えば、ピッチ試料を数mm角に粉砕したもの
を、常法に従って2cm直径の樹脂の表面のほぼ全面に
試料片を埋め込み、表面を研磨後、表面全体をくまなく
偏光顕微鏡(100倍率)下で観察し、試料の全表面積
に占める光学的異方性部分の面積の割合を測定すること
によって求める。
【0012】このようにして得られたピッチを、常法に
したがって紡糸、不融化し、所望の温度で炭化および黒
鉛化を行うことにより本発明の黒鉛質炭素繊維が得られ
る。黒鉛質炭素繊維の繊維径は通常10μm程度であ
る。具体的にはピッチ繊維を酸化性ガス雰囲気中で、3
00〜380℃で加熱処理することにより、不融化繊維
トウを得る。更にこの不融化繊維トウを窒素、アルゴン
等の不活性ガス雰囲気中通常、800〜3000℃で炭
化、黒鉛化される。この様な温度で処理することにより
黒鉛結晶の層間隔が狭くなり、結晶子サイズが大きくな
るが、この処理温度が高いほど炭素繊維の熱伝導率が高
くなることが知られている。本発明で得られる炭素繊維
は繊維の黒鉛結晶の積層厚みLcが150Å以上、好ま
しくは170Å以上、面間隔d002が3.354Å以
上3.43Å以下、好ましくは3.425Å以下であ
る。
したがって紡糸、不融化し、所望の温度で炭化および黒
鉛化を行うことにより本発明の黒鉛質炭素繊維が得られ
る。黒鉛質炭素繊維の繊維径は通常10μm程度であ
る。具体的にはピッチ繊維を酸化性ガス雰囲気中で、3
00〜380℃で加熱処理することにより、不融化繊維
トウを得る。更にこの不融化繊維トウを窒素、アルゴン
等の不活性ガス雰囲気中通常、800〜3000℃で炭
化、黒鉛化される。この様な温度で処理することにより
黒鉛結晶の層間隔が狭くなり、結晶子サイズが大きくな
るが、この処理温度が高いほど炭素繊維の熱伝導率が高
くなることが知られている。本発明で得られる炭素繊維
は繊維の黒鉛結晶の積層厚みLcが150Å以上、好ま
しくは170Å以上、面間隔d002が3.354Å以
上3.43Å以下、好ましくは3.425Å以下であ
る。
【0013】黒鉛結晶の積層厚みLcと面間隔d002
は、日本学術振興会第117委員会で定められた「人造
黒鉛の格子定数及び結晶子の大きさの測定法」(大谷杉
郎等炭素繊維近代編集(1986)P733〜740に
より黒鉛の(002)回折線から求めた。このようにし
て得られた本発明の黒鉛質炭素繊維は熱伝導率が高く、
放熱シートにした場合の熱伝導率も現在一般的に使用さ
れている窒化ホウ素(熱伝導率62W/mK程度)を用
いたものよりもはるかに高い熱伝導率を示し、繊維軸方
向の熱伝導率が100W/mK以上、好ましくは150
W/mKである。
は、日本学術振興会第117委員会で定められた「人造
黒鉛の格子定数及び結晶子の大きさの測定法」(大谷杉
郎等炭素繊維近代編集(1986)P733〜740に
より黒鉛の(002)回折線から求めた。このようにし
て得られた本発明の黒鉛質炭素繊維は熱伝導率が高く、
放熱シートにした場合の熱伝導率も現在一般的に使用さ
れている窒化ホウ素(熱伝導率62W/mK程度)を用
いたものよりもはるかに高い熱伝導率を示し、繊維軸方
向の熱伝導率が100W/mK以上、好ましくは150
W/mKである。
【0014】本発明においては、上記のようにして得ら
れた黒鉛質炭素繊維を粉砕しマトリックス樹脂樹脂中に
分散させることにより、面の厚み方向の熱伝導率が高
く、且つ強度の高い放熱シートを製造することができ
る。本発明の黒鉛質炭素繊維は、繊維長にある程度の分
布を有しており、具体的には、繊維の90%以上が繊維
長600μm未満、好ましくは500μm未満であり、
画像処理で求めた平均繊維長が30μm以上300μm
未満、好ましくは30μm以上200μm未満の黒鉛質
炭素繊維である。
れた黒鉛質炭素繊維を粉砕しマトリックス樹脂樹脂中に
分散させることにより、面の厚み方向の熱伝導率が高
く、且つ強度の高い放熱シートを製造することができ
る。本発明の黒鉛質炭素繊維は、繊維長にある程度の分
布を有しており、具体的には、繊維の90%以上が繊維
長600μm未満、好ましくは500μm未満であり、
画像処理で求めた平均繊維長が30μm以上300μm
未満、好ましくは30μm以上200μm未満の黒鉛質
炭素繊維である。
【0015】本発明において平均繊維長は、(株)ニコ
ン製LUZEX2Dにより画像処理を行って求めた。具
体的には、シャーレ等に黒鉛質炭素繊維を入れ、繊維同
士が重ならないようにアセトン等の揮発性溶媒中で分散
し、溶媒を揮発させ、分散させた黒鉛質炭素繊維を約1
0倍に拡大した画像を取り込み、繊維の最大長さを測
定、つまり繊維軸方向の長さを測定し、その数をカウン
トして求めた。
ン製LUZEX2Dにより画像処理を行って求めた。具
体的には、シャーレ等に黒鉛質炭素繊維を入れ、繊維同
士が重ならないようにアセトン等の揮発性溶媒中で分散
し、溶媒を揮発させ、分散させた黒鉛質炭素繊維を約1
0倍に拡大した画像を取り込み、繊維の最大長さを測
定、つまり繊維軸方向の長さを測定し、その数をカウン
トして求めた。
【0016】放熱シートはMPUなどの電子部品と放熱
部品との間に挟み込んで使用することによって、電子部
品と放熱部品との間に空隙が生じないようにすると共
に、電子部品と放熱部品との間に生じる熱的な応力や、
放熱部品から電子部品への振動などを吸収・緩衝するこ
とを重要な役割としているものであり、外的な力に対し
て放熱シートを変形させることができるように、マトリ
ックス樹脂としては可撓性を有するものが好ましい。
部品との間に挟み込んで使用することによって、電子部
品と放熱部品との間に空隙が生じないようにすると共
に、電子部品と放熱部品との間に生じる熱的な応力や、
放熱部品から電子部品への振動などを吸収・緩衝するこ
とを重要な役割としているものであり、外的な力に対し
て放熱シートを変形させることができるように、マトリ
ックス樹脂としては可撓性を有するものが好ましい。
【0017】このようなマトリックス樹脂としては、特
に限定されないが、柔軟性に優れているという点でシリ
コーンゲル、シリコーンゴムなどが好ましく、その他、
ポリブタジエン系、ブタジエンスチレン系、ブタジエン
アクリロニトリル系、ポリクロロプレン系、ポリイソプ
レン系、クロルスルホン化ポリエチレン系、ポリイソブ
チレン系、イソブチレンイソプレン系、アクリル系、多
硫化系、ウレタン系、フッ素系などの合成ゴムを使用す
ることができる。
に限定されないが、柔軟性に優れているという点でシリ
コーンゲル、シリコーンゴムなどが好ましく、その他、
ポリブタジエン系、ブタジエンスチレン系、ブタジエン
アクリロニトリル系、ポリクロロプレン系、ポリイソプ
レン系、クロルスルホン化ポリエチレン系、ポリイソブ
チレン系、イソブチレンイソプレン系、アクリル系、多
硫化系、ウレタン系、フッ素系などの合成ゴムを使用す
ることができる。
【0018】マトリックス樹脂に混合する黒鉛質炭素繊
維の量については、黒鉛質炭素繊維の量が多い方が熱伝
導率が高くなるが、黒鉛質炭素繊維の量が多くなりすぎ
ると放熱シートの成形性や強度に問題が生じる恐れがあ
るので、熱伝導率と成形性や強度のバランスを考慮する
と、マトリックス樹脂に対して黒鉛化炭素繊維を20〜
70容量%、好ましくは40〜60容量%の範囲で混合
するのが好ましい。
維の量については、黒鉛質炭素繊維の量が多い方が熱伝
導率が高くなるが、黒鉛質炭素繊維の量が多くなりすぎ
ると放熱シートの成形性や強度に問題が生じる恐れがあ
るので、熱伝導率と成形性や強度のバランスを考慮する
と、マトリックス樹脂に対して黒鉛化炭素繊維を20〜
70容量%、好ましくは40〜60容量%の範囲で混合
するのが好ましい。
【0019】上記のようなマトリックス樹脂に黒鉛質炭
素繊維を混合して混練し、シート状に成形することによ
り放熱シートを得ることができる。シート成型法として
は各種の方法を採用することができ、特に限定されない
が、薄い放熱シートの場合にはドクターブレード法やカ
レンダー成形法が適しており、厚い放熱シートの場合に
は押出成形法が適している。
素繊維を混合して混練し、シート状に成形することによ
り放熱シートを得ることができる。シート成型法として
は各種の方法を採用することができ、特に限定されない
が、薄い放熱シートの場合にはドクターブレード法やカ
レンダー成形法が適しており、厚い放熱シートの場合に
は押出成形法が適している。
【0020】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例
により限定されるものではない。 実施例1 Lcが180Å、d002が3.418Åの黒鉛質炭素
長繊維(繊維径約10μm)をボールミルで22時間粉
砕処理したところ、繊維の95%以上が500μm未
満、平均繊維長が190μmの放熱シート用黒鉛質炭素
繊維を得た。得られた放熱シート用黒鉛質炭素繊維の繊
維長分布を図1に示す。 比較例1 実施例1で得られた黒鉛質炭素繊維を引き続きボールミ
ルで粉砕処理し、合計で48時間、粉砕処理したが、平
均繊維長が30μm未満(平均アスペクト比が3未満)
の黒鉛質炭素繊維を得ることはできなかった。
するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例
により限定されるものではない。 実施例1 Lcが180Å、d002が3.418Åの黒鉛質炭素
長繊維(繊維径約10μm)をボールミルで22時間粉
砕処理したところ、繊維の95%以上が500μm未
満、平均繊維長が190μmの放熱シート用黒鉛質炭素
繊維を得た。得られた放熱シート用黒鉛質炭素繊維の繊
維長分布を図1に示す。 比較例1 実施例1で得られた黒鉛質炭素繊維を引き続きボールミ
ルで粉砕処理し、合計で48時間、粉砕処理したが、平
均繊維長が30μm未満(平均アスペクト比が3未満)
の黒鉛質炭素繊維を得ることはできなかった。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、熱伝導率、特に厚み方
向の熱伝導率が高い放熱シートを効率的に得ることがで
きるため工業的に有用である。
向の熱伝導率が高い放熱シートを効率的に得ることがで
きるため工業的に有用である。
【図1】 実施例1で得られた放熱シート用黒鉛質炭素
繊維の繊維長分布を示す図である。
繊維の繊維長分布を示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 室井 美香 香川県坂出市番の州町1番地 三菱化学株 式会社坂出事業所内 Fターム(参考) 4F072 AA02 AA08 AB10 AB14 AD02 AD04 AD07 AD09 AD43 AD46 AD47 AK05 AK14 AK16 4J002 AC031 AC061 AC071 AC081 AC091 BB181 BB271 BD121 BG001 CK031 CK051 CN021 CP031 DA026 FA046 GQ00 GT00 4L037 AT05 CS04 FA02 FA05 PP01 UA06 UA12 UA20 5F036 AA01 BA23 BB21 BD11
Claims (7)
- 【請求項1】 90%以上の繊維が繊維長600μm未
満であり、画像処理で求めた平均繊維長が30μm以上
300μm未満であることを特徴とする放熱シート用黒
鉛質炭素繊維。 - 【請求項2】 黒鉛結晶の積層厚みLcが150Å以
上、面間隔d002が3.354Å以上3.43Å以下
である請求項1に記載の放熱シート用黒鉛質炭素繊維。 - 【請求項3】 灰分含有量が100ppm未満である請
求項1又は2に記載の放熱シート用黒鉛質炭素繊維。 - 【請求項4】 炭素含有量が99%以上である請求項1
乃至3のいずれか1項に記載の放熱シート用黒鉛質炭素
繊維。 - 【請求項5】 黒鉛質炭素繊維がピッチ系黒鉛質炭素繊
維である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の放熱シ
ート用黒鉛質炭素繊維。 - 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の
黒鉛質炭素繊維をマトリックス樹脂中に分散させて形成
されたことを特徴とする放熱シート。 - 【請求項7】 マトリックス樹脂に対して黒鉛質炭素繊
維を20〜70容量%の割合で混合したものである請求
項6に記載の放熱シート。
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