JP2008214819A - ピッチ系炭素繊維フィラー - Google Patents

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Abstract

【課題】放熱性が高い放熱材料を得ることができる炭素繊維を提供する。
【解決手段】メソフェーズピッチを原料とし、個数平均繊維長、目開き53μmのメッシュのふるいで分級した際に、ふるい上に残る割合、目開き100μmのメッシュのふるいで分級した際に、ふるい上に残る割合を制御した炭素繊維を作成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、繊維長の分布を規定したピッチ系炭素繊維フィラーに関わるものである。更には、メルトブロー法によって作製した炭素繊維の物理性状や結晶サイズを制御することにより、放熱用途として適するピッチ系炭素繊維フィラーに関わる。また、ここに示すピッチ系炭素繊維フィラーを用いた熱伝導性成形体に関わるものである。
高性能の炭素繊維はポリアクリロニトリル(PAN)を原料とするPAN系炭素繊維と、一連のピッチ類を原料とするピッチ系炭素繊維に分類できる。そして炭素繊維は強度・弾性率が通常の合成高分子に比較して著しく高いという特徴を利用し、航空・宇宙用途、建築・土木用途、スポーツ・レジャー用途などに広く用いられている。
炭素繊維は、通常の合成高分子に比較して熱伝導率が高く、放熱性に優れていると言われている。炭素繊維など炭素材料は、フォノンの移動により高い熱伝導率を達成すると言われている。フォノンは、結晶格子が発達している材料において良く伝達する。市販のPAN系炭素繊維は結晶格子が十分に発達しているとは言えず、その熱伝導率は通常200W/(m・K)よりも小さく、サーマルマネジメントの観点からは必ずしも好適であるとは言い難い。これに対して、ピッチ系炭素繊維は黒鉛化性が高いために結晶格子が良く発達し、PAN系炭素繊維に比べて高熱伝導率を達成しやすいと認識されている。
近年、発熱性電子部品の高密度化や、携帯用パソコンをはじめとする電子機器の小型、薄型、軽量化に伴い、それらに用いられる放熱部材の低熱抵抗化の要求が益々高まっており、放熱特性の更なる向上が要求されている。放熱部材としては、熱伝導性フィラーが充填された硬化物からなる熱伝導性シート、ゲル状物質に熱伝導性フィラーが充填され、柔軟性を有する硬化物からなる熱伝導性スペーサー、液状マトリックスに熱伝導性フィラーが充填された流動性のある熱伝導性ペースト、熱伝導性ペーストを溶剤で希釈し更に流動性を高めた熱伝導性塗料、硬化性物質に熱伝導性フィラーが充填された熱伝導性接着剤、樹脂の相変化を利用したフェーズチェンジ型放熱部材等が例示される。
これら放熱部材の熱伝導率を向上させるには、マトリックスに熱伝導材を高充填させれば良い。熱伝導性が優れた物質として、酸化アルミニウムや窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素、石英、水酸化アルミニウムなどの金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物などが知られている。しかし、金属材料系の充填材は比重が高く熱伝導性接着剤の重量が大きくなってしまう。また、粉末状の熱伝導材を用いた場合、ネットワークを形成しにくいため、高い熱伝導性を得にくい。よって、熱伝導性を向上させるには熱伝導材を多量に使用する必要があり、その結果として、熱伝導性ペーストの重量増やコスト増につながり、必ずしも使い勝手の良いものとはいい難い。
従って、熱伝導材の高い熱伝導率を効果的に利用するためには、適切なマトリックスを介在させた状態において熱伝導材がネットワークを形成していることが好ましい。ネットワークが形成されやすい形状としては、繊維状物質が広く知られている。例えば、特許文献1には、炭素繊維とマトリックスを混合した複合材が提案されている。
これら複合材の作製法の一つとして、炭素繊維とマトリックスをニーダーなどで混練し、射出成形する方法がある。しかし、混練の過程においてせん断力が強いと、炭素繊維を破砕し、ネットワークを形成する能力が低下し、熱伝導材としての性能が期待できなくなる。せん断力を抑制するには、粘度を抑制すれば良い。しかし、粘度を抑制するために、繊維長を大幅に短縮すると、またネットワークを形成する能力が低下し、熱伝導率を十分に発揮することができない。
特開平11−279406号公報
上記のように、熱伝導性に優れる放熱材料が求められているという観点から、熱伝導材はマトリックス内でネットワークを形成するのに優れた繊維状物質が望ましい。また、成形時においても繊維長を十分に保つことができ、ネットワークを形成することができるのが望ましい。ここに示す熱伝導材はネットワーク形成能と同時に高い熱伝導性を有するのが望ましい。
本願発明者らは、熱伝導性に優れた放熱材料を作成するための優れた熱伝導材を提供することを鑑み、繊維長の分布を規定したピッチ系炭素繊維が、せん断力のかかる成形法を用いた状態でも放熱部材の中でネットワークを形成するのに優れ、良好な熱伝導率を有する放熱部材を提供できることを見出し本願発明に到達した。
即ち、本願発明の目的は、
メソフェーズピッチを原料とし平均繊維径が5〜20μm、平均繊維径に対する繊維径分散の百分率(CV値)が5〜20、個数平均繊維長が100〜500μm、目開き53μmのメッシュのふるいで分級した際に、ふるい上に残る割合が50〜80%、目開き100μmのメッシュのふるいで分級した際に、ふるい上に残る割合が30〜60%であることを特徴とするピッチ系炭素繊維フィラーにより達成できる。
また、六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズが5nm以上であること、真密度が1.5〜2.3g/ccの範囲であり、繊維軸方向の熱伝導率が300W/(m・K)以上であること、メソフェーズピッチを溶融して紡糸し、これを不融化工程及び焼成工程を経た後に粉砕した後、分級操作を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のピッチ系炭素繊維フィラーの製造法、本特許請求のピッチ系炭素繊維フィラーを用いた熱伝導性成形体も包含される。
本発明のピッチ系炭素繊維フィラーは、繊維長分布を制御することで、マトリックス中でのネットワーク形成を容易にし、放熱材料の高性能化を可能にせしめている。
次に、本発明の実施の形態について順次説明していく。
本発明で用いられるピッチ系炭素繊維フィラーの原料としては、例えば、ナフタレンやフェナントレンといった縮合多環炭化水素化合物、石油系ピッチや石炭系ピッチといった縮合複素環化合物等が挙げられる。その中でもナフタレンやフェナントレンといった縮合多環炭化水素化合物が好ましく、特に光学的異方性ピッチ、すなわちメソフェーズピッチが好ましい。これらは、一種を単独で用いても、二種以上を適宜組み合わせて用いてもよいが、メソフェーズピッチを単独で用いることが炭素繊維の熱伝導性を向上させる上で特に好ましい。
原料ピッチの軟化点はメトラー法により求めることができ、250℃以上350℃以下が好ましい。軟化点が250℃より低いと、不融化の際に繊維同士の融着や大きな熱収縮が発生する。また、350℃より高いとピッチの熱分解が生じ糸状になりにくくなる。
原料ピッチは溶融後、ノズルより吐出しこれを冷却することによる溶融紡糸によって繊維化できる。紡糸方法として特に限定はないが、具体的には口金から吐出したピッチをワインダーで引き取る通常の紡糸法、熱風をアトマイジング源として用いるメルトブロー法、遠心力を利用してピッチを引き取る遠心紡糸法などが挙げられるが、生産性の高さなどの理由からメルトブロー法を用いるのが好ましい。
原料ピッチは溶融紡糸された後、不融化、焼成、粉砕を経て最後に黒鉛化することによってピッチ系炭素繊維フィラーとする。以下、メルトブロー法を例にとって、各工程について説明する。
本発明においては、ピッチ系炭素繊維フィラーの原料となるピッチ繊維の紡糸ノズルの形状については特に制約はないが、ノズル孔の長さと孔径の比3よりも小さいものが好ましく用いられ、更に好ましくは1.5よりも小さいものが用いられる。紡糸時のノズルの温度についても特に制約はなく、安定した紡糸状態が維持できる温度、即ち、紡糸ピッチの粘度が2.0〜20.0Pa・S、好ましくは3.0〜15.0Pa・Sになる温度であればよい。
ノズル孔から出糸されたピッチ繊維は、100〜350℃に加温された毎分100〜10000mの線速度のガスを細化点近傍に吹き付けることによって短繊維化される。吹き付けるガスは空気、窒素、アルゴンを用いることができるが、コストパフォーマンスの点から空気が好ましい。
ピッチ繊維は、金網ベルト上に捕集され連続的なマット状になり、さらにクロスラップされることで3次元ランダムマットとなる。
3次元ランダムマットとは、クロスラップされていることに加え、ピッチ繊維が三次元的に交絡しているマットをいう。この交絡は、ノズルから、金網ベルトに到達する間にチムニと呼ばれる筒において達成される。線状の繊維が立体的に交絡するために、通常一次元的な挙動しか示さない繊維の特性が立体においても反映されるようになる。
このようにして得られたピッチ繊維よりなる3次元ランダムマットは、公知の方法で不融化する。不融化は、空気、或いはオゾン、二酸化窒素、窒素、酸素、ヨウ素、臭素を空気に添加したガスを用いて200〜350℃で達成される。安全性、利便性を考慮すると空気中で実施することが好ましい。また、不融化したピッチ繊維は、真空中、或いは窒素、アルゴン、クリプトン等の不活性ガス中で600〜1500℃で焼成され、次いで2000〜3500℃で黒鉛化されるが、焼成は常圧で、且つコストの安い窒素中で実施される場合が多く、黒鉛化は使用する炉の形式に応じて、不活性ガスの種類を変更する事が一般的である。不融化後或いは焼成後、必要に応じ得られた繊維を粉砕する。粉砕は公知の方法によって行うことができる。具体的には、カッター、ボールミル、ジェットミル、クラッシャーなどを用いることができる。粉砕されたピッチ系炭素繊維フィラーを必要に応じて焼成し、次いで黒鉛化する。黒鉛化温度は、炭素繊維としての熱伝導率を高くするためには、2000〜3500℃にすることが好ましい。より好ましくは2300〜3100℃である。黒鉛化の際に黒鉛性のルツボに入れ処理すると、外部からの物理的、化学的作用を遮断でき好ましい。黒鉛製のルツボは上記の炭素繊維を、所望の量入れることが出来るものであるならば大きさ、形状に制約はないが、黒鉛化処理中または冷却中に炉内の酸化性のガス、または水蒸気との反応による当該炭素繊維の損傷を防ぐために、フタ付きの気密性の高いものが好適に利用できる。
本発明で用いるピッチ系炭素繊維フィラーは、個数平均繊維長が100〜500μm、メソフェーズピッチを原料とし平均繊維径が5〜20μm、平均繊維径に対する繊維径分散の百分率(CV値)が5〜20、個数平均繊維長が100〜500μm、目開き53μmのメッシュのふるいで分級した際に、ふるい上に残る割合が50〜80%、目開き100μmのメッシュのふるいで分級した際に、ふるい上に残る割合が30〜60%であることが望ましい。個数平均繊維長が100μmを下回ると、複合材内部でのピッチ系炭素繊維フィラー同士のネットワークが十分に形成できず、高い熱伝導率を発揮することができない。一方、個数平均繊維長が500mmを超えると繊維の交絡が著しく増大し、樹脂と混合した際に粘度が非常に大きくなりハンドリングが困難になる。目開き53μmのメッシュのふるい上に残る炭素繊維は、マトリックスを好適に形成し、熱伝導に有効に作用する。また、100μmのメッシュのふるい上に残る炭素繊維は、ニーダーなどせん断力のかかる成形法を用いて、炭素繊維を砕いても有効な繊維長を保つことができる。53μmのメッシュの下に残る短い炭素繊維は、粘度を大幅に向上させることが無いので、せん断力を抑制することができ、炭素繊維の繊維長を残すことに寄与する、本条件を好適に満足するのが、53μmのメッシュのふるいで分級した際に、ふるい上に残る割合が50〜80%、目開き100μmのメッシュのふるいで分級した際に、ふるい上に残る割合が30〜60%である。上記の個数平均繊維長、メッシュの上に残存する割合は粉砕条件及び分級条件を制御することにより、制御できる。
具体的な制御方法としては、粉砕後にふるいやメッシュを用いて短い繊維長または、長い繊維長のピッチ系炭素繊維フィラーを除去することである。また粉砕の強度、例えばカッターの刃の回転数、ボールミルの回転数などを制御することで、繊維長の分布を制御でき、これとふるいやメッシュによる制御を組み合わせることで、ふるい上の割合をより精密に制御できる。
ピッチ系炭素繊維フィラーの平均繊維径は5〜20μmであることが必要である。5μm以下の場合には、原料となるマットの形状が保持できなくなることがあり生産性が悪い。繊維径が20μmを超えると、不融化工程でのムラが大きくなり部分的に融着が起こったりするところが発生する。より好ましくは5〜15μmであり、さらに好ましくは8〜12μmである。
なお、平均繊維径に対する繊維径分散の百分率として求められるCV値は、5〜20であることが好ましい。CV値が5を下回ることは工程上あり得ない。また、CV値が20を超えると不融化でトラブルを起こす、直径が20μm以上の繊維が増える可能性が高くなり、生産性の観点から好ましくない。
本発明で用いるピッチ系炭素繊維フィラーは、六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズが5nm以上であることが必要である。六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズは公知の方法によって求めることができ、X線回折法にて得られる炭素結晶の(110)面からの回折線によって求めることができる。結晶子サイズが重要になるのは、熱伝導が主としてフォノンによって担われており、フォノンを発生するのが結晶であることに由来している。より好ましくは、20nm以上であり、さらに好ましくは30nm以上である。
ピッチ系炭素繊維フィラーの真密度は1.5〜2.3g/ccであることが好ましい。1.5g/ccを下回ると黒鉛化度が不十分であるために、十分な熱伝導度を発揮できない。2.3g/ccを上回るには、非常に大きなエネルギーを必要とするため、コストの観点から好ましくない。
ピッチ系炭素繊維フィラーの繊維軸方向の熱伝導率は300W/m・K以上であることが必要である。300W/m・K以上ある場合、マトリックスと混合し熱伝導性成形体を作製した場合十分な熱伝導性を得ることができる。逆に300W/m・Kを下回る場合には、熱伝導性成形体の熱伝導性が期待できない。
本願発明のピッチ系炭素繊維フィラーは、マトリックスと複合してコンパウンド、シート、グリース、接着剤等の熱伝導性成形体を得ることができる。マトリックスとして特に限定はないが、具体的にはポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂などを用いることができる。
以下に実施例を示すが、本願発明はこれらに制限されるものではない。
なお、本実施例における各値は、以下の方法に従って求めた。
(1)ピッチ系炭素繊維フィラーの平均繊維径は、焼成を経た炭素繊維を1000本を抜き取り、光学顕微鏡下でスケールを用いて測定した値の平均値として求めた。
(2)ピッチ系炭素繊維フィラーの個数平均繊維長は、焼成を経た炭素繊維を1000本抜き取り測長器で測定した値の平均値として求めた。
(3)ピッチ系炭素繊維フィラーのメッシュ上に残る割合は、100gの炭素繊維を目開き100μm、目開き53μmのメッシュで振盪機(タナカテック製、R−1)で篩い分けし、篩い分け後得られた炭素繊維の質量を測定することで求めた。
(4)ピッチ系炭素繊維フィラーの結晶子サイズは、X線回折に現れる(110)面からの反射を測定し、学振法にて求めた。
(5)ピッチ系炭素繊維フィラーの密度は、JIS R7601に記載の密度こうばい管法にて測定した。
(6)ピッチ系炭素繊維フィラーの熱伝導率は、フィラーの電気抵抗を測定し、計算して求めた。
(7)ピッチ系炭素繊維フィラー/ポリカーボネート複合物の熱伝導率は、京都電子製QTM−500を用いプローブ法で求めた。
[実施例1]
縮合多環炭化水素化合物よりなるピッチを主原料とした。光学的異方性割合は100%、軟化点が283℃であった。直径0.2mmφの孔のキャップを使用し、スリットから加熱空気を毎分5500mの線速度で噴出させて、溶融ピッチを牽引して平均直径14.5μmのピッチ系短繊維を作製した。紡出された繊維をベルト上に捕集してマットとし、さらにクロスラッピングで目付320g/mのピッチ系短繊維からなる3次元ランダムマットとした。
この3次元ランダムマットを空気中で170℃から285℃まで平均昇温速度6℃/分で昇温して不融化を行った。不融化した3次元ランダムマットをカッター(ターボ工業製)で700rpmで粉砕し、目開き1mmのふるいで分級したもの3000℃で焼成した。焼成後のピッチ系炭素繊維フィラーの平均繊維径は8.8μm、平均繊維径に対する繊維径分散の百分率(CV値)は12%であった。個数平均繊維長はで250μmであり、目開き53μmのメッシュのふるいで分級した際に、ふるい上に残る割合が70%、目開き100μmのメッシュのふるいで分級した際に、ふるい上に残る割合が45%であった。六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズは70nmであった。真密度は2.18g/cc、熱伝導率350W/m・Kであった。
上述のピッチ系炭素繊維フィラーをポリカーボネート(帝人化成製、L−1225WP)とをニーダー(栗本鐵工所製)で混合したところ、ポリカーボネート100重量部に対し120重量部まで混合することができた。作製した炭素繊維/ポリカーボネート複合物の熱伝導率を測定したところ、2.3W/(m・K)であった。
[実施例2]
実施例1においてカッターの回転数を750rpmに変更したこと以外は同様の方法で、ピッチ系炭素繊維フィラーを作製した。焼成後のピッチ系炭素繊維フィラーの平均繊維径は8.8μm、平均繊維径に対する繊維径分散の百分率(CV値)は12%であった。個数平均繊維長は平均で180μmであり、目開き53μmのメッシュのふるいで分級した際に、ふるい上に残る割合が60%、目開き100μmのメッシュのふるいで分級した際に、ふるい上に残る割合が35%であった。六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズは70nmであった。真密度は2.18g/cc、熱伝導率350W/m・Kであった。
上述のピッチ系炭素繊維フィラーをポリカーボネート(帝人化成製、L−1225WP)とをニーダー(栗本鐵工所製)で混合したところ、ポリカーボネート100重量部に対し130重量部まで混合することができた。作製した炭素繊維/ポリカーボネート複合物の熱伝導率を測定したところ、2.1W/(m・K)であった。
[比較例1]
実施例1においてカッターの回転数を650rpmに変更、ふるいによる分級操作を用いなかったこと、ピッチ系炭素繊維フィラーを作製した。焼成後のピッチ系炭素繊維フィラーの平均繊維径は8.8μm、平均繊維径に対する繊維径分散の百分率は12%であった。個数平均繊維長は300μmであり、目開き53μmのメッシュのふるいで分級した際に、ふるい上に残る割合が85%、目開き100μmのメッシュのふるいで分級した際に、ふるい上に残る割合が55%であった。六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズは70nmであった。真密度は2.18g/cc、熱伝導率350W/m・Kであった。
上述のピッチ系炭素繊維フィラーをポリカーボネート(帝人化成製、L−1225WP)とをニーダー(栗本鐵工所製)で混合したところ、ポリカーボネート100重量部に対し90重量部まで混合することができた。作製した炭素繊維/ポリカーボネート複合物の熱伝導率を測定したところ、1.5W/(m・K)であった。
[比較例2]
実施例1においてカッターの回転数を950rpmに変更したこと以外は同様の方法で、ピッチ系炭素繊維フィラーを作製した。焼成後のピッチ系炭素繊維フィラーの平均繊維径は8.8μm、平均繊維径に対する繊維径分散の百分率は12%であった。個数平均繊維長は200μmであり、目開き53μmのメッシュのふるいで分級した際に、ふるい上に残る割合が30%、目開き100μmのメッシュのふるいで分級した際に、ふるい上に残る割合が15%であった。六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズは70nmであった。真密度は2.18g/cc、熱伝導率350W/m・Kであった。
上述のピッチ系炭素繊維フィラーをポリカーボネート(帝人化成製、L−1225WP)とをニーダー(栗本鐵工所製)で混合したところ、ポリカーボネート100重量部に対し140重量部まで混合することができた。作製した炭素繊維/ポリカーボネート複合物の熱伝導率を測定したところ、1.2W/(m・K)であった。
本発明のピッチ系炭素繊維フィラーはふるいやメッシュによる分級により、個数平均繊維長、目開き53μmのメッシュのふるいで分級した際にふるい上に残る割合、目開き100μmのメッシュのふるいで分級した際に、ふるい上に残る割合を制御することで、せん断力のかかる状態で作製した複合材が高い熱伝導性を発現させることを可能にせしめている。これにより、高い放熱特性が要求される場所に用いることが可能になり、サーマルマネージメントを確実なものとする。

Claims (5)

  1. メソフェーズピッチを原料とし平均繊維径が5〜20μm、平均繊維径に対する繊維径分散の百分率(CV値)が5〜20、個数平均繊維長が100〜500μm、目開き53μmのメッシュのふるいで分級した際に、ふるい上に残る割合が50〜80%、目開き100μmのメッシュのふるいで分級した際に、ふるい上に残る割合が30〜60%であることを特徴とするピッチ系炭素繊維フィラー。
  2. 六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズが5nm以上であることを特徴とする請求項1に記載のピッチ系炭素繊維フィラー。
  3. 真密度が1.5〜2.3g/ccの範囲であり、繊維軸方向の熱伝導率が300W/(m・K)以上である請求項1〜2のいずれか1項に記載のピッチ系炭素繊維フィラー。
  4. メソフェーズピッチを溶融して紡糸し、これを不融化工程及び焼成工程を経た後に粉砕した後、分級操作を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のピッチ系炭素繊維フィラーの製造法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のピッチ系炭素繊維フィラーを用いた熱伝導性成形体。
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