JP2010229323A - 高減衰ゴム組成物およびそれを用いたゴム支承体 - Google Patents

高減衰ゴム組成物およびそれを用いたゴム支承体 Download PDF

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Abstract

【課題】高減衰で、かつ、加硫速度が速く、橋梁用や建築物用等といった大型の支承体用途に適する高減衰ゴム組成物およびそれを用いたゴム支承体を提供する。
【解決手段】硬質板1とゴム層2とが交互に積層され一体化された免震支承体であって、上記ゴム層2が、下記の(A)〜(C)成分を含有し、その(A)成分100重量部に対して、(B)成分の含有割合が5〜100重量部の範囲に設定された高減衰ゴム組成物によって形成されている。
(A)ジエン系ゴム。
(B)平均繊維径4〜15μm、平均繊維長10μm〜10cmのピッチ系炭素繊維フィラー。
(C)硫黄系加硫剤。
【選択図】図1

Description

本発明は、防振特性および免震特性を有する高減衰ゴム組成物およびそれを用いたゴム支承体に関するものである。
近年、橋梁技術の進歩がめざましく、橋梁規模が年々大型化し、これに伴って長大橋が設計されている。上記長大橋の架設は、通常、所定の間隔で配設された橋脚の上に、多数のゴム製の支承体を設置し、この支承体を介して、上記橋脚に長スパンの橋桁を設置し、行われる。このようにしてゴム支承体を介在させることにより、上記長大橋において、防振支持および免震支持等の機能が効果的に得られるようになる。ところで、上記ゴム支承体には、極めて大きな荷重が負荷されることから、その荷重支持に優れるよう、通常、金属板等の剛性を有する硬質板を、ゴム層と交互に積層し一体化して、形成される。
そして、上記ゴム層の材料としては、従来から、減衰性に優れた、天然ゴムやジエン系合成ゴムを主成分とするゴム組成物が用いられている。しかし、天然ゴムやジエン系合成ゴムのみでは、目的とする減衰性にはやや劣ることから、通常、そのゴム組成物中に、減衰特性を補助するカーボンブラック等の充填剤が配合されている(特許文献1〜3参照)。
特開2001−164044公報 WO98/32794号公報 特開平11−132274号公報
ところで、橋梁用や建築物用の支承体は、大型であることから、その製造時に、製品内部(中心部)に熱を行き渡らせ、上記ゴム組成物の加硫を充分に行うためには、長時間(20時間前後)の加熱が必要である。これは、ゴムの、熱伝導性に劣る(熱を伝えにくい)性質によるものである。
上記のようにゴム組成物中にカーボンブラックを配合した場合、カーボンブラックが熱伝導性を有することから、上記大型製品の用途においても、ある程度の加硫速度の向上効果は期待できる。しかし、所望の熱伝導性を発揮させるには、多量のカーボンブラックを添加する必要がある。このようなカーボンブラックの多量添加は、ゴム層の伸びの低下や硬度上昇を伴うことから、ゴム支承体の物性低下(機能低下)を引き起こすとともに、その上記ゴム組成物(未加硫ゴム)の粘度が増大することによる加工性(ハンドリング)の悪化等も懸念される。
また、加硫剤や加硫促進剤の種類および量の調整により、加硫速度を上げることも可能ではあるが、しかし、このような手法は、ゴム焼け(スコーチ)を生じやすく、貯蔵安定性、接着不具合、外観不具合等を引き起こすおそれがある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、高減衰で、かつ、加硫速度が速く、橋梁用や建築物用等といった大型の支承体用途に適する高減衰ゴム組成物およびそれを用いたゴム支承体の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、下記の(A)を主成分とし、下記の(B)および(C)成分を含有する高減衰ゴム組成物であって、(A)成分100重量部に対して、(B)成分の含有割合が5〜100重量部の範囲に設定されている高減衰ゴム組成物を第一の要旨とし、上記第一の要旨の高減衰ゴム組成物を用いてなるゴム支承体を第二の要旨とする。
(A)ジエン系ゴム。
(B)平均繊維径4〜15μm、平均繊維長10μm〜10cmのピッチ系炭素繊維フィラー。
(C)硫黄系加硫剤。
すなわち、本発明者らは、高減衰で、かつ、加硫速度が速く、橋梁用や建築物用等といった大型の支承体用途に適する高減衰ゴム組成物として、まず、ジエン系ゴム組成物中に熱伝導性フィラーを含有させたものを用いることを検討した。しかしながら、カーボンブラック、金属酸化物(アルミナ、酸化亜鉛等)等の従来公知のゴム用熱伝導性フィラーでは、先に述べたように、加硫速度を向上させるのに多量に添加する必要があり、それによる物性低下,加工性の悪化等の問題が懸念される。そこで、ゴム用のフィラーでないものについても各種検討し、実験を重ねた。その実験の結果、平均繊維径4〜15μm、平均繊維長10μm〜10cmのピッチ系炭素繊維フィラーを配合したところ、その配合量が少量であっても、ゴム内に炭素繊維が細かく分散されることにより、熱を伝える媒体となり、上記のような問題を生じず加硫速度の向上を実現できることを突き止め、本発明に到達した。
以上のように、本発明の高減衰ゴム組成物は、ジエン系ゴム組成物中に、平均繊維径4〜15μm,平均繊維長10μm〜10cmのピッチ系炭素繊維フィラー〔(B)成分〕を特定量含有させたものである。そのため、高減衰で、かつ、ゴム組成物加硫時の熱伝導も良好に行われるようになるため加硫速度が速く、橋梁用や建築物用等といった大型の支承体用途に優れた効果を発揮することができる。
特に、上記炭素繊維フィラー〔(B)成分〕の、六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズが5nm以上であると、本発明の高減衰ゴム組成物の加硫速度を、より速くすることができ、上記のような橋梁用や建築物用等といった大型の支承体用途に優れた効果を発揮することができる。
また、上記炭素繊維フィラー〔(B)成分〕の真密度が1.5〜2.3g/ccの範囲であり、繊維軸方向の熱伝導率が300W/m・K以上であると、本発明の高減衰ゴム組成物の加硫速度を、より速くすることができ、上記のような橋梁用や建築物用等といった大型の支承体用途に優れた効果を発揮することができる。
本発明の免震支承体の一例を示す断面図である。 本発明の免震支承体の他の例を示す断面図である。 本発明の免震支承体の他の例を示す断面図である。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の高減衰ゴム組成物は、ジエン系ゴム(A成分)を主成分とし、平均繊維径4〜15μm,平均繊維長10μm〜10cmのピッチ系炭素繊維フィラー(B成分)と、硫黄系加硫剤(C成分)とを含有するものであって、上記炭素繊維フィラー(B成分)の含有割合が特定の範囲に設定されている。なお、本発明において、上記「主成分」とは、組成物の特性に大きな影響を与えるもののことであり、通常は、全体の55重量%以上を意味する。
上記ジエン系ゴム〔(A)成分〕としては、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)等があげられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。なかでも、強度、耐油性、耐熱性等の観点から、NR,BRが好ましい。
そして、上記(A)成分とともに用いられる熱伝導性フィラーとしては、先に述べたように、平均繊維径4〜15μm,平均繊維長10μm〜10cmのピッチ系炭素繊維フィラー〔(B)成分〕が用いられる。好ましくは、平均繊維長50μm〜25mm,平均繊維径8〜10μmの炭素繊維フィラーである。すなわち、炭素繊維フィラーの平均繊維径が上記範囲未満であると、熱伝導性が悪くなる方向となるからであり、逆に、平均繊維径が上記範囲を超えると、材料特性の変化に大きく影響を与える(ゴムが硬くなり、伸びも悪くなる)からである。また、炭素繊維フィラーの平均繊維長が上記範囲未満であると、高い熱伝導性(所望の加硫速度向上効果)を発揮することができないからであり、逆に、平均繊維長が上記範囲を超えると、ゴムコンパウンド練り前における秤量時に作業性(ハンドリング)が悪くなる為である。なお、上記平均繊維径および平均繊維長は、例えば、SEM(電子顕微鏡)観察等により測定することができる。
特に、上記特定のピッチ系炭素繊維フィラー〔(B)成分〕は、その六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズが5nm以上であることが好ましい。より好ましくは、20nm以上であり、さらに好ましくは30nm以上である。すなわち、このような範囲に設定することにより、高減衰ゴム組成物の加硫速度を、より速くすることができ、橋梁用や建築物用等といった大型の支承体の用途に用いても、その製品内部(中心部)にまで、速く熱を行き渡らせることができ、加硫時間の短縮化が狙えるからである。なお、六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズは、例えば、X線回折法にて得られる炭素結晶の(110)面からの回折線によって求めることができる。結晶子サイズが重要になるのは、熱伝導が主としてフォノンによって担われており、フォノンを発生するのが結晶であることに由来している。
また、上記特定のピッチ系炭素繊維フィラー〔(B)成分〕は、その真密度が1.5〜2.3g/ccであり、繊維軸方向の熱伝導率は300W/m・K以上であることが好ましい。すなわち、このような範囲に設定することにより、本発明の高減衰ゴム組成物の加硫速度を、より速くすることができ、橋梁用や建築物用等といった大型の支承体の用途に用いても、その製品内部(中心部)にまで、速く熱を行き渡らせることができ、加硫時間の短縮化が狙えるからである。
上記特定のピッチ系炭素繊維フィラー〔(B)成分〕の原料としては、例えば、ナフタレンやフェナントレンといった縮合多環炭化水素化合物、石油系ピッチや石炭系ピッチといった縮合複素環化合物等があげられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。なかでも、熱伝導性を向上させ、加硫速度を速くする観点から、ナフタレンやフェナントレンといった縮合多環炭化水素化合物が好ましく、特に光学的異方性ピッチ、すなわちメソフェーズピッチが好ましい。
そして、上記特定のピッチ系炭素繊維フィラー〔(B)成分〕は、例えば、メルトブロー法等に従い、250〜350℃程で溶融した上記原料ピッチを、ノズル口金から糸状に吐出し、これを冷却して溶融紡糸を得た後、この溶融紡糸を、不融化、焼成、粉砕を経て最後に黒鉛化することによって製造することができる。
上記不融化は、空気、或いはオゾン、二酸化窒素、窒素、酸素、ヨウ素、臭素を空気に添加したガスを用いて200〜350℃で達成される。安全性、利便性を考慮すると空気中で実施することが好ましい。また、不融化したピッチ繊維は、真空中、或いは窒素、アルゴン、クリプトン等の不活性ガス中で600〜1500℃で焼成され、次いで2000〜3500℃で黒鉛化されるが、焼成は常圧で、且つコストの安い窒素中で実施される場合が多く、黒鉛化は使用する炉の形式に応じて、不活性ガスの種類を変更する事が一般的である。不融化後或いは焼成後、必要に応じ得られた繊維を粉砕する。粉砕は、具体的には、カッター、ボールミル、ジェットミル、クラッシャーなどを用いることにより行われる。粉砕されたピッチ系炭素繊維フィラーを必要に応じて焼成し、次いで黒鉛化する。黒鉛化温度は、炭素繊維としての熱伝導率を高くするためには、2000〜3500℃にすることが好ましい。より好ましくは2300〜3100℃である。黒鉛化の際に黒鉛性のルツボに入れ処理すると、外部からの物理的、化学的作用を遮断でき、好ましい。黒鉛製のルツボは上記の炭素繊維を、所望の量入れることが出来るものであるならば、大きさ、形状に制約はないが、黒鉛化処理中または冷却中に炉内の酸化性のガス、または水蒸気との反応による当該炭素繊維の損傷を防ぐために、フタ付きの気密性の高いものが好適に利用できる。
上記特定のピッチ系炭素繊維フィラー〔(B)成分〕の配合割合は、ジエン系ゴム〔(A)成分〕100重量部(以下、「部」と略す)に対して、5〜100部の範囲で配合される。好ましくは10〜50部の範囲である。すなわち、上記炭素繊維フィラーの配合割合が上記範囲未満であると、所望の熱伝導性(加硫速度の向上効果)を発揮することができないからであり、逆に、上記炭素繊維フィラーの配合割合を上記範囲よりも高くしても、コストアップにつながるのみで、それ以上の効果は期待できないからである。
上記(A)および(B)成分とともに用いられる硫黄系加硫剤〔(C)成分〕としては、例えば、硫黄、塩化硫黄等の硫黄(粉末硫黄,沈降硫黄,不溶性硫黄)や、2−メルカプトイミダゾリン、ジペンタメチレンチウラムペンタサルファイド等があげられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。
上記硫黄系加硫剤〔(C)成分〕の配合量は、上記ジエン系ゴム〔(A)成分〕100部に対して、0.3〜7部の範囲が好ましく、特に好ましくは1〜5部の範囲である。すなわち、上記加硫剤の配合量が少なすぎると、加硫反応性が悪くなる傾向がみられ、逆に加硫剤の配合量が多すぎると、ゴム物性(破断強度,破断伸び)が低下する傾向がみられるからである。
また、上記特殊な高減衰ゴム組成物には、上記(A)〜(C)成分に加えて、カーボンブラック、プロセスオイル、老化防止剤、加工助剤、加硫促進剤、白色充填剤、反応性モノマー、発泡剤等を必要に応じて適宜配合しても差し支えない。
そして、上記特殊な高減衰ゴム組成物は、上記(A)〜(C)成分および必要に応じてその他の成分を用いて、これらをニーダー,バンバリーミキサー,オープンロール,2軸スクリュー式攪拌機等の混練機を用いて混練することにより、調製することができる。
上記特殊な高減衰ゴム組成物は、橋梁用支承体、建築物用支承体といった大型の支承体の材料として好ましく用いられるが、それ以外にも、自動車用制振材、洗濯機等の一般家電製品の制振ダンパー等にも用いることができる。
橋梁用または建築物用の免震支承体は、例えば、図1に示すように、硬質板1とゴム層2とが交互に積層され一体化されたものである。そして、上記ゴム層2が、本発明に係る上記特殊な高減衰ゴム組成物によって形成されており、これが最大の特徴である。図において、3,4は、金属製の取付板であり、硬質板1とゴム層2との積層体の上部および下部に接着固定されている。そして、上記免震支承体では、その下部取付板4が、橋脚等の下部構造体に固定されるようになっており、上部取付板3が、橋桁等の上部構造体に固定されるようになっている。
上記硬質板1としては、例えば、圧延鋼板,鉄板などの金属板や、硬質プラスチック板材等が用いられる。
ここで、図1に示す免震支承体は、例えば、つぎのようにして作製される。すなわち、まず、上記(A)〜(C)成分および必要に応じてその他の成分を配合し、これらをニーダー,バンバリーミキサー,オープンロール,混合ロール,2軸スクリュー式攪拌機等の混練機を用いて混練することにより、ゴム層2用材料であるゴム組成物を調製する。つぎに、所定の大きさの硬質板1を複数枚準備し、さらに、上部取付板3および下部取付板4も準備し、所定の配置となるよう、これらを成形金型内にセットする。なお、成形金型内にセットする上記硬質板1等には、予め、接着剤を塗布しておいてもよい。続いて、この金型内の空隙に、上記調製のゴム組成物を射出等により注入するか、もしくは、あらかじめロール等で調製したゴム組成物を重量成型し、金型に敷き詰めて、押し型加硫を行う。そして、上記ゴム組成物を、130〜180℃で、5〜90分間、加熱加硫する。免震支承体のような大型ゴム製品は、製品内部へ熱を伝えて加硫するのに長時間(20時間前後)を要するが、本発明に係る上記特殊な高減衰ゴム組成物は加硫時間の短縮化が狙えるため、このように加硫時間が短くても、充分な加硫を行うことができ、生産効率の向上効果等が期待できる。そして、上記加硫後、これを脱型することにより、目的とする免震支承体を得ることができる。
また、図1に示す免震支承体は、つぎのようにして作製することもできる。すなわち、上記と同様にして調製したゴム組成物を用い、押出成形等により所定厚みのゴムシート(ゴム層2)に成形した後、これを、適当な接着剤を用いて、所定の硬質板1と交互に積層し接着して、ゴムブロックを作製し、更に必要に応じて、その上下面に上部取付板3および下部取付板4を接着して一体化する。これにより、目的とする免震支承体を得ることができる(図1参照)。
そして、硬質板1とゴム層2とが交互に積層され一体化された上記免震支承体は、そのゴム層2が、本発明に係る上記特殊な高減衰ゴム組成物を加硫してなるものであり、その振動吸収により生じた熱エネルギーを外気に発散させる性能(熱伝導性)が高いことから、耐久使用によるゴム劣化(熱劣化)等も生じにくく、特に、橋梁用途や建築物用途の支承体として優れた免震性能を発揮することができる。
なお、図1に示す免震支承体は、そのゴム層2の水平方向の大きさが、硬質板1の大きさに比べると大きいことから、その断面において、硬質板1がゴム内に完全に埋設された状態となっている。しかしながら、本発明では、このような断面構造に限定されず、例えば、図2に示すように、硬質板1の水平方向の大きさが、ゴム層2の大きさと同じになるようにし、硬質板1の外周側面が、その積層体の側面と面一になるようにしてもよい。また、図3に示すように、硬質板1の水平方向の大きさが、ゴム層2の大きさより大きくなるよう設定し、図示のように積層一体化してもよい。そして、図1に示す免震支承体は、その構造上、端部への応力集中軽減という利点があり、図3のものは、製造しやすいという利点がある。
このようにして得られる免震支承体の寸法は、例えば、その外径は、20〜200cm程度であり、また、上記免震支承体の総厚みは、10〜80cm程度である。さらに、上記免震支承体を構成する各層の厚みも、各層の目的とする機能が充分に達成され得るような範囲内であればよく、例えば、硬質板1の厚みは、1層0.1〜2cm程度であり、ゴム層2の厚みは、1層0.5〜7cm程度であり、ゴム製外皮5の厚みは、0.5〜10cm程度である。さらに、上記免震支承体における硬質板1やゴム層2の積層数に関しても、免震積層体の用途に応じて適宜に設定することができる。
なお、上記免震支承体の外形は、円柱状,楕円柱状,角柱状等、その用途に応じて適宜に設定することができる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
まず、実施例および比較例に先立ち、下記に示す材料を準備した。
〔NR〕
天然ゴム
〔酸化亜鉛〕
酸化亜鉛2種、三井金属鉱業社製
〔ステアリン酸〕
ルーナックS30、花王社製
〔老化防止剤〕
オゾノン6C、精工化学社製
〔ワックス〕
サンノック、大内新興化学社製
〔カーボンブラック〕
ショウブラックN220、昭和キャボット社製
〔炭素繊維フィラー(i) 〕
ラヒーマX−A101(平均繊維径:8μm、平均繊維長:10μm、真密度:1.0g/cc、熱伝導率:約600W/m・K)、帝人社製
〔炭素繊維フィラー(ii)〕
ラヒーマR−A201(平均繊維径:8μm、平均繊維長:50μm、真密度:1.0g/cc、熱伝導率:約600W/m・K)、帝人社製
〔炭素繊維フィラー(iii) 〕
GRANOC XN−100−25Z(平均繊維径:10μm、平均繊維長:25mm、真密度:2. 2g/cc、熱伝導率:約900W/m・K)、日本グラファイトファイバー社製
〔プロセスオイル〕
サンセン410、日本サン石油社製
〔加硫促進剤〕
サンセラーCZ−G、三新化学社製
〔硫黄〕
イオウ、軽井沢精錬所社製
〔実施例1〕
NR100部と、酸化亜鉛5部と、ステアリン酸2部と、老化防止剤1部と、ワックス2部と、カーボンブラック30部と、炭素繊維フィラー(i) 30部と、プロセスオイル5部とを配合し、これらをバンバリーミキサーを用いて、140℃で5分間混練を行った。つぎに、これに、硫黄2.8部と、加硫促進剤1部とを配合し、オープンロールを用いて、60℃で5分間混練することにより、ゴム組成物を調製した。
〔実施例2〜3、比較例1〕
後記の表1に示すように、各成分の配合量等を変更する以外は、実施例1に準じて、ゴム組成物を調製した。
このようにして得られた実施例および比較例のゴム組成物を用い、下記の基準に従って、各特性の評価を行った。その結果を、後記の表1に併せて示した。
〔加硫時間〕
上記ゴム組成物を用いて、150℃でプレス加硫し、9cm×9cm×厚み4cmのゴム試験片を作製した。そして、上記ゴム試験片の作製に際し、その中央部を狙って削りだしたゴムブロック(3cm×3cm×厚み1.25cm)の圧縮永久歪み(JIS K6262に準じて25%圧縮し、70℃雰囲気下で24時間放置した後の圧縮永久歪み)の値が25%以下となるのに要する加硫時間(分)を測定した。
〔熱伝導率〕
上記ゴム組成物を用いて、150℃でプレス加硫し、9cm×9cm×厚み4cmのゴム試験片を作製した。そして、迅速熱伝導率計装置(KemthermQTM−D3、京都電子工業社製)を用い、そのプローブを、上記作製のゴム試験片の表面および裏面に押しあて、熱伝導率(W/m・K)を測定した。
Figure 2010229323
上記結果から、実施例品は、加硫時間の短縮を図ることができた。また、ゴム試験片の熱伝導率も高く、そのため、振動吸収により生じた熱エネルギーを外気に発散させる性能が高く、耐久使用によるゴム劣化(熱劣化)等も生じにくくなると推察される。このような結果から、例えば、実施例のゴム組成物を用い、図1〜図3に示す形状の橋梁用途や建築物用途の免震支承体を作製した場合、実施例に準じる優れた免震・防振性能を発揮することができると推察される。
これに対して、比較例1品は、炭素繊維フィラーでなく、カーボンブラックを多量配合することにより対処しているが、実施例品に比べ、熱伝導率は低く、そのため、振動吸収により生じた熱エネルギーがこもりやすく、耐久使用によりゴム劣化(熱劣化)等が生じると推察される。また、実施例に比べて加硫に要する時間が長く、生産効率が悪いことがわかる。
なお、実施例のゴム組成物のポリマーには、上記のように天然ゴム(NR)が使用されているが、他のジエン系ゴム(BR、NR/BRブレンド等)を用いた場合も、上記実施例と同様、優れた結果が得られた。
また、実施例で使用されている炭素繊維フィラー以外であっても、平均繊維径4〜15μm,平均繊維長10μm〜10cmのピッチ系炭素繊維フィラーであれば、本発明の高減衰ゴム組成物の材料として用いることにより、実施例と同様、優れた結果が得られることが、実験により確認されている。
本発明の高減衰ゴム組成物は、橋梁用支承体、建築物用支承体といった大型の免震支承体の材料として好ましく用いられるが、それ以外にも、自動車用制振材、洗濯機等の一般家電製品の制振ダンパー等にも用いることができる。
1 硬質板
2 ゴム層

Claims (5)

  1. 下記の(A)を主成分とし、下記の(B)および(C)成分を含有する高減衰ゴム組成物であって、(A)成分100重量部に対して、(B)成分の含有割合が5〜100重量部の範囲に設定されていることを特徴とする高減衰ゴム組成物。
    (A)ジエン系ゴム。
    (B)平均繊維径4〜15μm、平均繊維長10μm〜10cmのピッチ系炭素繊維フィラー。
    (C)硫黄系加硫剤。
  2. 上記(B)成分のピッチ系炭素繊維フィラーの、六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズが5nm以上である請求項1記載の高減衰ゴム組成物。
  3. 上記(B)成分のピッチ系炭素繊維フィラーの真密度が1.5〜2.3g/ccの範囲であり、その繊維軸方向の熱伝導率が300W/m・K以上である請求項1または2記載の高減衰ゴム組成物。
  4. 上記(A)成分のジエン系ゴムが、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンおよびエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一つである請求項1〜3のいずれか一項に記載の高減衰ゴム組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の高減衰ゴム組成物を用いてなるゴム支承体。
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Citations (6)

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