JP2000189105A - 血清脂質改善効果を有する機能性飲食品 - Google Patents
血清脂質改善効果を有する機能性飲食品Info
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Abstract
レステロールの増加およびトリグリセライドの低減を図
った機能性飲食品であって、乳清蛋白質を含有し且つ他
の成分により乳清蛋白質の効果を高めることにより、乳
清蛋白質の適用量を軽減し得る様に改善された上記の機
能性飲食品を提供する。 【解決手段】腸内生存性ラクトバチルス(Lactobacillu
s sp.)に属する乳酸菌で乳清蛋白質を含有する培養
基を培養した培養物(a)、ストレプトコッカス・サー
モフィラス(Streptococcus thermophilus)に属する
乳酸菌で乳清蛋白質を含有する培養基を培養した培養物
(b)を含有し、乳蛋白質中の乳清蛋白質の割合が21
重量%を超える割合である機能性飲食品。
Description
を有する機能性飲食品に関するものである。本発明にお
いて、血清脂質改善とは、血清中の総コレステロールの
低減とHDL一コレステロールの増加およびトリグリセ
ライドの低減を意味する。
脈硬化の原因となることが知られており、その低減物質
に関しては各種の提案がなされている。例えば、特開平
5−344864号公報や特開平6−165655号公
報においては、乳清蛋白質(ホエイ蛋白質)やその誘導
体について提案されている。また、特開昭62−258
323号公報、特開平5−65229号公報、特開平7
−250670号公報においては、ある種の乳酸菌の培
養物または菌体について提案されている。従って、乳清
蛋白質の他、効力レベルは低いものの、乳酸菌またはそ
の培養物によっても血清中の総コレステロールを低減し
得る。そして、斯かるコレステロール低減剤を飲食品に
含有させた機能性飲食品も公知である。
飲食品によって血清中の総コレステロールの低減を図ら
んとする場合、多量の乳清蛋白質の配合はアレルギー反
応を惹起する恐れがあるために注意を要する。また、多
量に乳清蛋白質を配合した飲食品は独特の好ましくない
風味を有する。従って、乳清蛋白質による血清中の総コ
レステロールの低減剤においては、その効果を高めるた
めの改良が切望されている。
鑑みなされたものであり、その目的は、血清中の総コレ
ステロールの低減とHDL−コレステロールの増加およ
びトリグリセライドの低減を図った機能性飲食品であっ
て、乳清蛋白質を含有し且つ他の成分により乳清蛋白質
の効果を高めることにより、乳清蛋白質の適用量を軽減
し得る様に改善された上記の機能性飲食品を提供するこ
とにある。
意検討を重ねた結果、次の様な新規な知見を得た。すな
わち、血清中の総コレステロールの低減効果が必ずしも
高くないレベルのある種の乳酸菌で乳清蛋白質を含有す
る培養基を培養するならば、意外にも、乳清蛋白質の総
コレステロールの低減効果が顕著に高められ、しかも、
HDL−コレステロールの増加効果が発現される。
基づき完成されたものであり、その要旨は、腸内生存性
ラクトバチルス(Lactobacillus sp.)に属する乳酸
菌で乳清蛋白質を含有する培養基を培養した培養物
(a)、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Strept
ococcus thermophilus)に属する乳酸菌で乳清蛋白質
を含有する培養基を培養した培養物(b)を含有し、乳
蛋白質中の乳清蛋白質の割合が21重量%を超える割合
であることを特徴とする血清脂質改善効果を有する機能
性飲食品に存する。
本発明に係る機能性飲食品は、腸内生存性ラクトバチル
ス(Lactobacillus sp.)に属する乳酸菌で乳清蛋白
質を含有する培養基を培養した培養物(a)、ストレプ
トコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermop
hilus)に属する乳酸菌で乳清蛋白質を含有する培養基
を培養した培養物(b)を含有する。
されず、市販品をそのまま使用することが出来る。培養
基は、上記の乳酸菌による乳酸発酵で変換される物質を
含有し、通常、乳清蛋白質の他、カゼイン、乳糖、飲食
品の種類に応じた乳酸発酵で使用される各種の成分を含
有している。
s sp.)に属する乳酸菌は、その胃酸耐性、胆汁酸耐
性、腸細胞付着性により、特徴的な菌学的性質として腸
内生存性を有し、例えば、ラクトバチルス・ブルガリカ
スの様な腸内非生存性ラクトバチルスと明確に区別され
る。
としては、特に制限されないが、発癌抑制の観点から、
二次胆汁酸非生産菌が好適に使用される。斯かる乳酸菌
の好適な具体例としては、ラクトバチルス・カゼイ(La
ctobacillus casei )が拳げられ、本出願人により発
見されたラクトバチルス・カゼイTMC0409菌株が好適
に使用される。
アにて古くから知られている発酵乳から見出されて培養
されてきた菌株である。そして、バージーズ・マニュア
ル・オブ・システマチック・バクテリオロジー第2巻
(BERGEY'S MANUAL OF Systematic Bacteriology
Volume 2,1986年)第1219頁に記載のデータ
と対比した結果、上記の菌株は、ラクトバチルス・カゼ
イであると考えられ、上記の通り、ラクトバチルス・カ
ゼイTMC0409株と命名した。
術院生命工学工業技術研究所において、受託番号「FE
RM P−17047」として、平成10年11月6日
から国内寄託され保管されている。
ス(Streptococcus thermophilus)に属する乳酸菌と
しては、特に制限されないが、乳清蛋白質との相乗効果
を高める観点から、粘質物生産菌が好適に使用される。
斯かる乳酸菌の好適な具体例としては、本出願人により
発見されたストレプトコッカス・サーモフィラスTMC
1543菌株が拳げられ、当該菌株は、高粘性の粘質物を産
生する特徴を有する。
パにて古くから知られている発酵乳から見出されて培養
されてきた菌株である。そして、バージーズ・マニュア
ル・オブ・システマチック・バクテリオロジー第2巻
(BERGEY'S MANUAL OF Systematic Bacteriology V
olume 2,1986年)第1068頁に記載のデータ
と対比した結果、上記の菌株は、ストレプトコッカス・
サーモフィラスであると考えられ、上記の通り、ストレ
プトコッカス・サーモフィラスTMC1543菌株と命名し
た。
術院生命工学工業技術研究所において、受託番号「FE
RM P−17046」として、平成10年11月6日
から国内寄託され保管されている。
スに属する乳酸菌で培養基を培養した培養物(a)及び
ストレプトコッカス・サーモフィラスに属する乳酸菌で
培養基を培養した培養物(b)は、同一の培養基を培養
した培養物であっても、各別に準備された培養基を培養
した後に混合された培養物であってもよいが、一般的に
は、同一の培養基を培養した培養物、すなわち、通常の
乳酸発酵による培養物である。なお、上記の培養物と
は、乳酸発酵で得られたブロス(菌体と乳酸発酵生成物
の全体)を意味する。
は、乳酸菌を添加して得られる液状または固形状の発酵
乳が挙げられる。一般に、発酵乳は、全乳または脱脂乳
に脱脂粉乳などを加えて固形分を増やし、更に、安定
剤、糖類などを添加し、乳酸菌で発酵させて製造され
る。本発明においては、前述の腸内生存性ラクトバチル
スに属する乳酸菌とストレプトコッカス・サーモフィラ
スに属する乳酸菌とを使用し、常法に従って発酵乳を製
造する。
中の乳清蛋白質の割合は21重量%を超える割合でなけ
ればならない。乳清蛋白質の割合が上記未満の場合は、
常識的に摂取する飲食品の量では充分な血清脂質改善効
果が発現されない。上記の割合以上であれば、単独で乳
清蛋白質を利用した際の血清脂質改善効果がより少ない
乳清蛋白質の使用量で得られる。従って、乳清蛋白質に
よるアレルギーの危険率を低下させることが出来、ま
た、乳清蛋白質独特の風味を軽減させることが出来る。
乳蛋白質中の乳清蛋白質の割合は、好ましくは30〜8
0重量%である。なお、通常、ヨーグルトにおける乳蛋
白質中の乳清蛋白質の割合は21重量%以下である。従
って、乳清蛋白質の割合が上記の範囲となる量の例えば
乳清蛋白質濃縮物を添加する必要がある。
状または固形状の発酵乳に限定されず、液状または固形
状の発酵乳を粉末化した健康補助食品も含む。また、サ
ワークリーム、クリームチーズ、バター等も挙げられ、
これらは何れも高脂肪食品であり、その摂取により血清
中の総コレステロールを増加させる傾向を有する。従っ
て、本発明に係る血清脂質改善効果を有する機能性飲食
品の対象食品として好適である。
acilli MRS broth(DIFCO)に供試乳酸菌を接種
し、37℃、17時間培養を行った。10000rp
m、10minの遠心分離により菌体を回収し、同様の
操作で蒸留水にて菌体を2回洗浄した。洗浄後、菌体を
凍結乾燥し、実験に供するまで4℃で保存した。
の凍結乾燥菌体、または、110℃、10分間加熱した
凍結乾燥加熱菌の90mgをPBS(pH7.2)(Gibc
oBRL,Grand Island,NY,USA)2mlに懸濁し、ボル
テックスミキサーで均一にした後、0.01g/mlの
タウロコール酸ナトリウム溶液100μlを添加し、3
7℃で60分間振盪培養した。振盪培養後、3000r
pm、15分間の遠心分離により上清を得た。上清を限
外ろ過(モルカットII:分画分子量5,000)(日本
ミリポア)した後、ろ液に残存するタウロコール酸ナト
リウム量を表1に示す条件でHPLCにより測定した。胆
汁酸減少率はタウロコール酸ナトリウムのみのコントロ
ールとの比較により算出した。結果を表2に示す。
5cm)(島津製作所(株)) 移動相 :0.25M K2HPO4−HClbuffer(pH
7.5)/エタノール/メタノール=50/40/10 流速 :0.6ml/min カラム温度:40℃ 検出波長 :210nm
るタウロコール酸の減少が認められた。生体の血清コレ
ステロールと生体中の胆汁酸の合成および代謝には密接
な関係があることが知られている。体外への胆汁酸排泄
の促進は肝臓内のコレステロールから胆汁酸の変換を高
め、結果的に血清コレステロールを低下させることが知
られている。一方、乳酸菌にはその菌体表面に発癌物質
を吸着する性質があることが知られており、それは菌体
を加熱しても同様な効果があるとする報告がある。同様
に乳酸菌が胆汁酸の一つであるタウロコール酸を吸着し
て体外へ排泄するならば血清コレステロールを低下させ
ることが出来ると考えられる。
%以上の乳酸菌群と38%未満の乳酸菌群の2群に分け
ることが出来た。しかしながら、減少率38%以上の乳
酸菌を予め加熱して試験に供した場合にはその減少率が
低下した。38%未満のものは変化しないか若干増加す
る傾向が認められた。これらのことから、タウロコール
酸減少率が38%未満のものはタウロコール酸を吸着し
たことが示唆され、38%以上のものは吸着以外の要因
も考えられた。そこで以下の実験を行った。
ことによりタウロコール酸減少率が低下したLactobacil
lus reuteriTMC4405と加熱することによりタウロコ
ール酸減少率が若干増加したLactobacillus casei T
MC0409を使用して定性試験を行った。凍結乾燥菌体9
0mgを使用してタウロコール酸減少試験を上記と同様
に実施し、その際に得られたろ液をBond Elute(C1
8,200mg)(varian)にて前処理した後、HPLC
胆汁酸分析システム(日本分光)により分析した。
ラムを示した。図1(a)はコントロール、図1(b)
はLactobacillus reuteri TMC4405を使用した場
合、図1(c)はLactobacillus casei TMC0409を
使用した場合であり、ピーク(1)は未知物質、ピーク
(2)はタウロコール酸、ピーク(3)はコール酸であ
る。
用した場合、添加したタウロコール酸が消失し、若干の
コール酸が産生されたが、大部分は溶出時間8.8分の
未知の物質が産生された。このHPLC胆汁酸分析システ
ムは胆汁酸を3α−HSD酵素反応で検出するため、ピ
ーク(1)の未知物質は胆汁酸代謝物(二次胆汁酸)と
考えることが出来る。
は発癌との関係が示唆されている。従って、上記の本未
知物質も注意を要する。また、若干産生されたコール酸
も腸内で腸内細菌により代謝され二次胆汁酸が産生され
ることが知られている。一方、Lactobacillus casei
TMC0409を添加した場合、タウロコール酸以外のピー
クは認められなかった。よって、Lactobacillus casei
TMC0409は二次胆汁酸非生成であることが明らかと
なった。
胆汁酸の一つであるタウロコール酸を吸着することが認
められたLactobacillus casei TMC0409が腸内で増
殖すれば血清コレステロール低下効果が期待できる。
bulgaricusの様に胃酸耐性および胆汁酸耐性の低いも
のが一般に使用されており、この様な乳酸菌は腸内では
増殖できない。腸内で乳酸菌が増殖するためには胃酸耐
性および胆汁酸耐性があることが不可欠である。そこ
で、次に、Lactobacillus casei TMC0409の胃酸耐
性および胆汁酸耐性を調査した。また、腸内で効果的に
増殖するには乳酸菌が腸壁に付着することが望ましい。
よって、腸細胞付着性も併せて調査した。
耐性試験>乳酸菌には高梨乳業(株)商品研究所保存菌
株であるLactobacillus acidophilus TMC0330、La
ctobacillus acidophilus TMC0343、Lactobacillu
scasei TMC0401、Lactobacillus casei TMC04
09を使用した。人工胃液は、MRS brothに6N塩酸
を加えてpH2に調整し、121℃、15分間加熱後に
無菌的にペプシン(Sigma)溶液を0.005%となる
様に添加して調製した。人工胆汁液は、MRS broth
に0.3%となる様にOxgall(Difco)を添加し、12
1℃15分間オートクレーブ処理して調製した。
養した乳酸菌のMRS培養液を人工胃液に1%接種し、
37℃で4時間培養した後、BCP加プレートカウント
寒天培地(栄研化学)により生菌数の変化を測定し、耐
性率を算出した。人工胆汁液耐性試験においても同様に
供試乳酸菌のMRS培溶液を人工胆汁液に5%接種し、
37℃10時間培養後、分光光度計(PV−5000、
島津製作所)により濁度(O.D.660)を測定し、胆
汁酸無添加のコントロールと比較して耐性率を算出し
た。
図2中、−●−はLactobacillus acidophilus TMC
0330、−■−はLactobacillus acidophilus TMC03
43、−▲−はLactobacillus casei TMC0401、−▼
−はLactobacillus caseiTMC0409を表す。
0、Lactobacillus acidophilus TMC0343、Lactoba
cillus casei TMC0401は培養4時間で生菌数が0
になったのに対してLactobacillus casei TMC0409
は生菌数が4(log cfu)/mlであり、人工胃液耐
性が認められた。
ずれの菌株も人工胆汁液に対して耐性を示したが、その
中でもLactobacillus casei TMC0409には最も高い
耐性(70.9%)が認められた。
培地(X)と胆汁酸非含有MRS培地(Y)でそれぞれ
37℃で4時間培養した際の吸光度の比較を表し、
(%)は(X/Y)×100の値を意味する。
細胞は、理化学研究所・細胞開発銀行から購入した。培
地には10%非働化牛胎児血清および非必須アミノ酸2
%ペニシリン・ストレプトマイシン溶液(5,000IU
/ml)(共にGibcoBRL)を添加したダルベッコの改変
Eagle培地(GibcoBRL)を使用した。細胞は25cm2培
養フラスコで10%CO2存在下、37℃のインキュベー
ター内で培養し、継代維持した。
2細胞に対する付着性試験は、Darfeuille−Michaudら
(Infection and Immunity,58:893−902.
1990)のE.coliのCaco−2細胞への付着性試験を
部分的に変更して実施した。すなわち、付着性試験のた
めにCaco−2細胞を8−well Lab−Tek chamber sl
ide(Nunc Inc.)に接種し(1.4×104cells/c
m2)、1日置きに培地交換をして約15日間培養し
た。細胞はPBS(pH7.2)(GibcoBRL)で2回洗浄
した後、乳酸菌懸濁液(1×108cells/mlPBS)を
300μl添加した。10%CO2存在下、37℃で2時
間反応させた。反応後、細胞はPBSで3回洗浄し、メタ
ノールで固定した後、ギムザ液で染色した。付着性は光
学顕微鏡により20視野を観察し、100細胞当たり付
着した乳酸菌の数として表した。
ctobacillus casei TMC0409は他の菌と比較してC
aco−2細胞に高い付着性を示した。Caco−2細胞は腸
のモデル細胞として広く利用されている。Lactobacillu
s casei TMC0409は、胃酸、胆汁酸に対して抵抗性
を示しながら、ヒト腸上皮上に付着して顕著に増殖する
と思われ、効率的なコレステロール低下効果が期待でき
る。
察し、100細胞当たりに付着した乳酸菌数を顕微鏡下
で計測し、(-):菌数0〜20、(+):21〜50、
(++):51〜100で表した。
酵乳の粘度測定試験>16株のStr.thermophilus16
株でそれぞれ発酵乳を調製してカードを破壊後、B型粘
度計(東京計器(株))で粘度を測定した。結果を表5
に示した。
MC1543発酵乳が最も高い粘度を示した。逆に、Str.t
hermophilus TMC1502発酵乳およびStr.thermophil
usTMC1504発酵乳の粘度はその約1/2であった。ま
た、酸脱脂乳の粘度は極めて低いものであった。
酵乳のコレステロール吸着性試験>粘度が最も高かった
Str.thermophilus TMC1543発酵乳と、粘度が低か
ったStr.thermophilus TMC1502発酵乳およびStr.
thermophilus TMC1504発酵乳をそれぞれ凍結乾燥し
た。また、乳酸でpH4.5に調整した酸脱脂乳も同様
に凍結乾燥した。これらの凍結乾燥物をコレステロール
溶液(100μg/ml(60%エタノール))に懸濁
し、37℃で1時間振盪した。遠心分離後、上清液を限
外ろ過(分画分子量5000)し、ろ液のコレステロー
ル量を測定し比較した。
た。図3中、(1)は酸脱脂乳、(2)はStr.thermop
hilus TMC1502発酵乳、(3)はStr.thermophilus
TMC1504発酵乳、(4)はStr.thermophilus T
MC1543発酵乳の結果を表す。数値は平均値±標準偏差
(n=3)で表した。酸脱脂乳と比較して有意差がある
(P<0.05)と判断される。
中のコレステロール量に有意な差は認められなかった。
しかしながら、上清液をさらに限外ろ過した場合、その
ろ液中のコレステロール量に変化が認められた。その中
で、Str.thermophilus TMC1543発酵乳は安定して
コレステロール量を低下させており、酸脱脂乳と比較し
て有意差が認められた(P<0.05)。
MC1543発酵乳の遠心分離した上清中に溶解する分子量
5000以上の物質がコレステロールを安定して吸着す
ることが示唆された。従って、Str.thermophilus T
MC1543発酵乳を飲用することによりコレステロールの
吸収抑制が期待される。
動物実験> (8−1.発酵乳の調製)発酵乳(90℃殺菌後、Lact
obacillus casei TMC0409及び/又はStr.thermoph
ilus TMC1543で発酵)の培養基の成分を表6に示し
た。この際のLactobacillus casei TMC0409とSt
r.thermophilus TMC1543の両菌で発酵させた発酵
乳の乳酸菌数は、Lactobacillus casei TMC0409
が1.0×109/ml、Str.thermophilus TMC15
43が5.0×107/mlであった。Lactobacillus ca
sei TMC0409のみで発酵させた発酵乳の乳酸菌数
は、Lactobacillus casei TMC0409が2.0×1
09/mlであった。Str.thermophilus TMC1543の
みで発酵させた発酵乳の乳酸菌数は、Str.thermophilu
sTMC1543が5.0×108/mlであった。何れの発
酵乳も乳蛋白質量は52.68g、乳清蛋白質量は1
9.91gであり、乳蛋白質中に占める乳清蛋白質の割
合は37.8%であり、本請求項の範囲内であった。
齢のSD系雄ラット(日本クレア(株))を使用した。市
販の固形飼料(MF:オリエンタル酵母工業)を与えて
1週間予備飼育し、平均体重がほぼ等しくなる様に群分
けした後、直ちに表7に示したコントロール食およびカ
ゼインの一部をWPC添加発酵乳またはWPC添加非発酵
乳の凍結乾燥物に置換した飼料にて飼育を行った。ま
た、5群の飼料の蛋白質含量は等しくなる様にした。水
および実験食は自由摂取とした。14日後に尾静脈より
採血を行い、血清中の脂質分析を実施した。血清中の総
コレステロールはコレステロールE―テストワコー(和
光純薬工業)、トリグリセライドはトリグリセライドG
テストワコー(和光純薬工業)、HDL−コレステロー
ルはHDL−コレステロール―テストワコー(和光純薬
工業)、リン脂質はリン脂質Cテストワコー(和光純薬
工業)を使用して測定した。なお、採血は一晩絶食させ
た後に実施した。
ールの測定結果を示した。図4中、(1)はコントロー
ル群、(2)はWPC非発酵物群、(3)は0409WPC発
酵乳群、(4)は1543WPC発酵乳群、(5)は0409−1
543WPC発酵乳群の結果である。
比較し、Lactobacillus casei TMC0409のみで発酵
させた0409WPC発酵乳群とStr.thermophilus TMC
1543のみで発酵させた1543WPC発酵乳群で低下する傾
向が見られたものの有意差は認められなかった。
MC0409とStr.thermophilusTMC1543の両菌で発酵
させた発酵乳(0409−1543WPC発酵乳)に顕著なコレ
ステロール低下効果が認められ、それは統計的に有意で
あった(P<0.05)。このことは、コレステロール
低下効果があるとされる乳清蛋白質とLactobacilluscas
ei TMC0409の発酵物(乳酸菌菌体を含む)とStr.t
hemophilus TMC1543発酵物(乳酸菌菌体を含む)の
相乗効果と考えられた。また、その他の血清脂質の測定
結果を表8に示した。コントロール群と比較して0409−
1543WPC発酵乳群でHDL−コレステロールの増加と
トリグリセリドの減少が観察された。
ヒト生体試験> (9−1.発酵乳の調製)発酵乳の培養基の成分を表9
に示した。この際の発酵乳の乳酸菌数は、Lactobacillu
s casei TMC0409が6.1×108/ml、Str.th
ermophilus TMC1543が2.6×107/mlであっ
た。この際の乳蛋白質量は40.18g、乳清蛋白質量
は22.405g、乳蛋白質中に占める乳清蛋白質の割
合は55.8%であり、本請求項の範囲内であった。
者の心理的影響を考慮するため、コレステロール低下作
用の有効成分と考えられる物質を含まない発酵乳類似物
質である偽薬(プラセボ)を調製した。その成分を表1
0に示した。
どで試験参加に適当であると判断された、健康な成人男
性を対象とした。そして、試験の目的、方法、予想され
得る副作用などについて十分な説明を行い、試験参加に
同意した者の中から、血清総コレステロール値の比較的
高い人(200mg/dl以上)を含む20名を被験者
として選出した。
無作為に2群に分け、発酵乳飲用群(10人)、偽薬
(プラセボ)飲用群(10人)とした。被験者にはどち
らの群に属するかを知らせない様にした。飲用期間は8
週間とした。飲用期間中、毎日、表9に記載の発酵乳、
または、表10に記載の偽薬(プラセボ)を1回200
ml毎で朝夕2回(1日合計400ml)飲用させた。
飲料飲用直前、飲用開始4週間後、飲用開始8週間後の
朝に産業医が実施した。また、同時に問診も行い、血圧
も測定した。採取した血液の分析は保健科学研究所(横
浜)にて実施した。
総コレステロールの測定結果を示した。図5(a)は偽
薬(プラセボ)群、図5(b)は発酵乳群である。図5
中、−●−は被験者全体(n=10)、−□−は200
mg/dl以上の被験者(n=7)、−△−は200m
g/dl未満の被験者(n=3)を表す。
上の高めの人と200mg/dl未満の人に区分した結
果も示した。偽薬(プラセボ)群の場合、被験者全体で
は僅かな総コレステロール値の上昇傾向を示した。20
0mg/dl以上の高めの被験者は変化を示さなかっ
た。一方、200mg/dl未満の被験者は顕著な上昇
を示した。発酵乳群では、被験者全体では総コレステロ
ール値の低下傾向を示した。200mg/dl以上の高
めの被験者もコレステロール値の低下を示した。200
mg/dl未満の被験者は変化を示さなかった。
を示した。図6中、−○−は偽薬(プラセボ)群、−●
−は発酵乳群である。
レステロール値の上昇を示した(0週と比較して危険率
5%で統計学的に有意差を示した)。飲用開始8週間目
では発酵乳群はさらに上昇した(危険率1%で統計学的
に有意差を示した)。一方、プラセボ群は4週間目では
変化を示さなかった。8週間目でプラセボ群は危険率5
%で有意な上昇を初めて示した。
た。図7中、−○−は偽薬(プラセボ)群、−●−は発
酵乳群である。
は僅かなトリグリセライド値の上昇傾向を示した。発酵
乳群では、トリグリセライド値の低下を示した。
り、総コレステロール値の低下、HDL−コレステロー
ルの上昇、トリグリセライドの低下を伴う血清脂質改善
効果が人においても認められることが明らかとなった。
た。図8中、−○−は偽薬(プラセボ)群、−●−は発
酵乳群である。
高血圧が統計学的に有意に低下することが明らかである
(0週と比較して危険率5%で統計学的に有意差を示し
た)。一方、偽薬(プラセボ)群の場合はその様な傾向
は示さなかった。血清脂質の改善と血圧を低下させるこ
とは生活習慣病(成人病)予防にとって重要であり、本
発明発酵乳はその予防にとって有効であることが示唆さ
れている。
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。なお、「%」は「重量
%」を意味する。
3kg、市販の乳清蛋白質濃縮物(AMPC,Inc.U.
S.A.蛋白質含量80%)2.21kg、市販の大豆ペ
プチド(不二製油(株))0.26kg、砂糖2.65
kg、果糖2.65kg、香料(協和香料興産(株))
100gを温水90.0kgに溶解し、均質化し、90
℃で瞬時殺菌し、発酵乳ミックス(培養基)を調製し
た。ラクトバチルス・カゼイTMC0409株とストレプト
コッカス・サーモフィラスTMC1543を上記発酵乳ミッ
クス(培養基)に接種し、34℃で24時間発酵させ、
冷却して発酵乳100kgを得た。この発酵乳の乳蛋白
質量は4.022kg、乳清蛋白質量は2.241kg
であり、乳蛋白質中の乳清蛋白質の割合は55.7%で
あった。
て粉末13kgを得た。これを100gずつガラス瓶に
充填し、粉末食品125個を得た。この粉末食品は実施
例1と同様で、乳蛋白質中の乳清蛋白質の割合は55.
7%であった。また、ラクトバチルス・カゼイTMC04
09株とストレプトコッカス・サーモフィラスTMC1543
は生菌として粉末1gあたり4×108個、4×107個
それぞれ検出された。
クリーム(乳脂肪47%)87kg、脱脂粉乳(高梨乳
業(株)、蛋白質含量34%)3.5kg、乳清蛋白質
濃縮物(AMPC,Inc.U.S.A. 蛋白質含量80%)
7.0kg、ヘキサメタリン酸ナトリウム(三栄源エフ
エフアイ(株))80g、水10.0kgを加温溶解
し、均質化した。次いで、120℃で4秒間殺菌し、冷
却した後、ラクトバチルス・カゼイTMC0409株とスト
レプトコッカス・サーモフィラスTMC1543を添加し、
37℃で24時間培養した。そして、カードを破壊後、
容器に充填した。このサワークリームの乳蛋白質中の乳
清蛋白質の割合は74.9%であった。
クリームチーズ((株)グローバルウォ−ク)10k
g、実施例2の粉末 1.2kgの割合で良く混合し、
冷却した。
6.0%、食塩1.1%、実施例2の粉末3.2%の配
合で常法により製造した。
総コレステロールの低減とHDL−コレステロールの増
加およびトリグリセライドの低減を図った機能性飲食品
であって、乳清蛋白質を含有し且つ他の成分により乳清
蛋白質の効果を高めることにより、乳清蛋白質の適用量
を軽減し得る様に改善された上記の機能性飲食品が提供
される。
のクロマトグラム
明図
結果(血清総コレステロール測定結果)の説明図
験の結果(血清総コレステロール測定結果)の説明図
験の結果(HDL−コレステロールの測定結果)の説明
図
験の結果(トリグリセライドの測定結果)の説明図
験の結果(血圧の変化の測定結果)の説明図
Claims (8)
- 【請求項1】 腸内生存性ラクトバチルス(Lactobacil
lus sp.)に属する乳酸菌で乳清蛋白質を含有する培
養基を培養した培養物(a)、ストレプトコッカス・サ
ーモフィラス(Streptococcus thermophilus)に属す
る乳酸菌で乳清蛋白質を含有する培養基を培養した培養
物(b)を含有し、乳蛋白質中の乳清蛋白質の割合が2
1重量%を超える割合であることを特徴とする血清脂質
改善効果を有する機能性飲食品。 - 【請求項2】 培養物(a)及び培養物(b)が同一の
培養基を培養した培養物である請求項1に記載の機能性
飲食品。 - 【請求項3】 培養物(a)及び培養物(b)が各別に
準備された培養基を培養した後に混合された培養物であ
る請求項1に記載の機能性飲食品。 - 【請求項4】 腸内生存性ラクトバチルスに属する乳酸
菌が二次胆汁酸非生産菌である請求項1〜3の何れかに
記載の機能性飲食品。 - 【請求項5】 腸内生存性ラクトバチルスに属する乳酸
菌がラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)
である請求項1〜4の何れかに記載の機能性飲食品。 - 【請求項6】 ラクトバチルス・カゼイがラクトバチル
ス・カゼイTMC0409株(FERM P−17047)
である請求項5に記載の機能性飲食品。 - 【請求項7】 ストレプトコッカス・サーモフィラス
(Streptococcus thermophilus)に属する乳酸菌が粘
質物生産菌である請求項1〜6の何れかに記載の機能性
飲食品 - 【請求項8】 ストレプトコッカス・サーモフィラスに
属する乳酸菌がストレプトコッカス・サーモフィラスT
MC1543株(FERM P−17046)である請求項
1〜7の何れかに記載の機能性飲食品。
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