JP2003306436A - 血清コレステロール上昇抑制剤 - Google Patents

血清コレステロール上昇抑制剤

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Yutaka Suzuki
豊 鈴木
Kazumi Hatamoto
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Abstract

(57)【要約】 【課 題】 高コレステロール含有食品の摂取にとも
なう血清コレステロール値の上昇を抑制するために利用
される新規な血清コレステロール上昇抑制剤及び/また
は血清コレステロール上昇抑制作用を有する飲食品の提
供。 【解決手段】 ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillu
s gasseri)に属する乳酸菌を培養して得られる菌体及
びその培養物を有効成分とする培養物及び/または菌体
を有効成分とする剤又は飲食品を調製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高コレステロール
含有食品の摂取に伴う血清コレステロール値の上昇を抑
制するために利用される新規な血清コレステロール上昇
抑制剤及び/または血清コレステロール上昇抑制作用を
有する飲食品に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、食生活の欧風化に伴い、高脂肪食
品を摂取する機会が増え、高脂血症、動脈硬化症等の生
活習慣病が増加している。この現象は、中高年層のみな
らず、若年層にまで及んでいる。その結果、脂肪、特に
コレステロール含量の高い、動物性脂肪あるいはそれを
含有する畜肉類の摂取を忌避する傾向さえみられる。本
来、コレステロールは胆汁酸やホルモンの合成、あるい
は細胞膜成分として生体内では重要な役割を担ってい
る。しかし、上述のように高脂肪食品を摂取する機会が
増えた今日では、食餌性コレステロールの摂取が多くな
り、この外来性コレステロールが生体内のコレステロー
ルの上昇をもたらし、各種疾病を引き起こす原因になっ
てきている。
【0003】以上のことから、食餌性コレステロールを
適正に制御した食生活が重要視されている。そして、そ
のための食生活が提案されてきている。一方で、発酵乳
及び乳酸菌にはコレステロール低下作用のあることが報
告されている。例えば、Hawordらは、ラクトバチルス・
ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)及びストレ
プトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermo
philus)をスターターとして用いた発酵乳を2週間ヒト
に投与し、血清中のコレステロールが低下したと報告し
ている〔Lancet 2,957(1979)〕。更にRaoらは、ストレ
プトコッカス・サーモフィルス(S.thermophilus)を使
用した発酵乳を、また、Grunewaldは、アシドフィルス
・ミルクをラットに投与し、血清中のコレステロールが
低下したと報告している〔J.Food Sci.,46,1339(1981)
及び同誌,47,2078(1982)〕。
【0004】また、本出願人は、ラクトバチルス・アシ
ドフィルス(Lactobacillus acidophilus)及びビフィ
ドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum )
に血清中のコレステロール低下作用があることを見出し
特許出願した(特開昭62−258323号公報)。また、特開
平10−229841号公報には、豆乳を乳酸菌発酵させた飲料
に腸管からのコレステロール吸収を抑制させることが開
示されている。これらの従来技術についてはその作用機
構が比較的良く検討されている。主要な作用機構は、菌
体のコレステロール吸着による吸収阻害・体外排泄、菌
体の胆汁酸吸着による再吸収阻害・体外排泄、あるいは
発酵乳摂取による肝臓でのコレステロール代謝促進など
であり、これらは良く知られている。また、近年ラクト
バチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)に属する
乳酸菌に多様な生理作用が見出されつつあり、このよう
なコレステロールの代謝に関する先行技術としては、Us
manらによる菌体のコレステロール吸着作用(J.DairySc
i.Vol.82,243-248,1998)や上記特開平10−229841号公
報に開示された豆乳との併用によるコレステロールのミ
セル不溶化作用などがあげられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高コレステ
ロール含有食品、例えば、卵黄、バター等を摂取する
際、同時及び/またはその食事の前後に経口摂取するこ
とによって、これらの食品由来の食餌性コレステロール
による、血清コレステロールの上昇を抑制でき、さらに
血清コレステロールを低下させる薬剤及び上昇を抑制で
きる飲食品を提供することを課題とする。本発明者ら
は、種々の発酵乳の研究を行っていたところ、発酵乳か
ら分離された乳酸菌やヒト由来の乳酸菌の中で特にラク
トバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)が、従来
見られない高いヒト腸管内定着性を有しており、さらに
このラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)
に属する乳酸菌の培養物及び菌体が、新しい作用機構を
併せ持つことによってヒト血清コレステロール上昇抑制
をもたらすことを見出し、上記課題の解決に成功した。
【0006】
【発明を解決するための手段】すなわち、本発明は、ラ
クトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)に属す
る乳酸菌を培養して得られる菌体及びその培養物を有効
成分とする血清コレステロール上昇抑制剤に関する。さ
らに、本発明は、このような有効成分を含有してなる血
清コレステロール上昇抑制作用及び血清コレステロール
低下作用のある飲食品に関する。即ち本発明は特許請求
の範囲に記載した下記の構成からなる発明である。 (1)ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasser
i)に属する乳酸菌を培養して得られる培養物及び/また
は菌体を有効成分とする血清コレステロール上昇抑制
剤。 (2)ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasser
i)に属する乳酸菌が、ヒト腸管内定着性を有するラクト
バチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)である
(1)記載の血清コレステロール上昇抑制剤。 (3)ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasser
i)に属する乳酸菌が、コレステロールをコプロスタノー
ルに変換する性質を有する菌株であるラクトバチルス・
ガセリ(Lactobacillus gasseri)である(1)又は
(2)記載の血清コレステロール上昇抑制剤。 (4)ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasser
i)に属する乳酸菌を培養して得られる培養物が発酵乳で
ある、(1)〜(3)のいずれかに記載の血清コレステ
ロール上昇抑制剤。 (5)ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasser
i)属に属する乳酸菌を培養して得られる培養物及び/ま
たは菌体を添加したコレステロール上昇抑制作用を有す
る飲食品。 (6)ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasser
i)に属する乳酸菌がLG2055(FERM P-15535)である
(1)〜(5)のいずれかに記載の血清コレステロール
上昇抑制剤。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明は、上記した課題を解決す
るためになされたものであって、本発明者らは、目的と
する乳酸菌をスクリーニングするに際し、次のような基
準を新たに設定し目的に合致する株を選定した。すなわ
ち、本発明者らは、発酵乳やヒト由来の数多くのラクト
バチルス・ガセリのうち、胃酸耐性が高い、低pH条件
下での生育が良好である、血清コレステロールの上昇を
抑制する、ヒト腸管へ高い定着性を示す、ヒト腸管細胞
親和性を示す、胆汁酸耐性がある、コレステロール吸着
性を有する、胆汁酸吸着性がある、食品に適用した際に
生残性が高く、香味、物性も優れている等々の条件を設
定し、菌株の選定につき鋭意研究を重ねた。このような
条件を満足するラクトバチルス・ガセリ菌については全
く知られていなかった。本条件によってスクリーニング
した結果、これらの条件に合致する菌株として以下の菌
株を選択することができた。なお、これらの菌株は、下
記の寄託番号により独立行政法人産業技術総合研究所に
寄託されている。
【0008】菌株ラクトハ゛チルス・カ゛セリ (Lactobacillus gasseri) SBT 10801 FE
RM P-18137ラクトハ゛チルス・カ゛セリ (Lactobacillus gasseri) SBT 1703 FE
RM P-17785ラクトハ゛チルス・カ゛セリ (Lactobacillus gasseri) SBT 10241 FE
RM P-17786ラクトハ゛チルス・カ゛セリ (Lactobacillus gasseri) SBT 0274 FE
RM P-17784ラクトハ゛チルス・カ゛セリ (Lactobacillus gasseri) SBT 10239 FE
RM P-16639ラクトハ゛チルス・カ゛セリ (Lactobacillus gasseri) SBT 2055 FE
RM P-15535 さらにこれらの菌株は、ヒト腸管細胞に高い親和性を有
し、経口で投与した時、生存して腸管内に到達すること
ができ長期間腸管内に常在することが可能であり、腸管
内でヒト血清コレステロールの吸収を抑制し、またコレ
ステロールを腸管内でコプロスタノールに変換する能力
を有している。そしてこのことにより、コレステロール
の体外排出を促進し、食餌性あるいは疾病による血清コ
レステロールの上昇を抑制できる。体外から投与したラ
クトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)に属す
る乳酸菌が腸内に定着し、このようなコレステロール上
昇抑制効果を示すことは全く知られておらず、本発明者
らによって初めて明らかにされた。
【0009】さらに本発明では、上記寄託菌に限らずヒ
トや醗酵乳から分離されるラクトバチルス・ガセリ(La
ctobacillus gasseri)であって、上記の作用を示すもの
であれば、いずれのものでも使用できる。
【0010】次にこれらの乳酸菌の培養方法を記す。本
発明のラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasser
i)の培地には、乳培地または乳成分を含む培地、これを
含まない半合成培地等種々の培地を用いることができ
る。このような培地としては、脱脂乳を還元して加熱殺
菌した還元脱脂乳培地を例示することができる。培養法
は静置培養またはpHを一定にコントロールした中和培
養で行うが、菌が良好に生育する条件であれば特に培養
法に制限はない。
【0011】本発明は上述のようにして得られる培養物
及び/または菌体を有効成分とする。また乾燥した粉末
を有効成分としてもよい。これらの乾燥は凍結乾燥で行
なうことが菌体を変質させることなく乾燥することがで
きるので好ましい。これらの有効成分は経口摂取するこ
とが望ましい。その摂取に際しては、高コレステロール
含有食品に添加して同時に摂取するか、それ自体を高コ
レステロール食品の摂取の前後に摂取してもよい。ま
た、これらの粉末は乳糖等の適当な賦形剤と混合し粉
剤、錠剤、丸剤、カプセル剤または粒剤等として経口投
与することができる。投与量は、投与対象者の症状、年
齢等を考慮してそれぞれ個別に適宜決定されるが、通常
成人1日当たり乾燥物として0.5〜50gであり、これを
1日数回に分けて投与するとよい。
【0012】また、本発明の有効成分は、飲食品の製造
工程中に原料に添加してもよい。飲食品としてはどのよ
うな飲食品でもよく、その例としてコレステロール含量
の高いバター等の乳製品、マヨネーズ等の卵加工品、バ
ターケーキ等の菓子パン類等の食品をあげることができ
る。但し、本発明の特性として乳酸菌が生存した状態で
腸管に定着することが必要であり、過度の加熱は避けな
ければならない。また、マイクロカプセル等の従来技術
を採用して、加熱を避ける手段を講じることが好まし
い。さらにまた、本発明における飲食品は、前述したラ
クトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)の菌株
を使用して乳酸発酵を行なって製造されたヨーグル等で
あっても良い。
【0013】以下に本発明に用いる乳酸菌株としてラク
トバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)・SBT2
055(FERM P-15535)(以下、LG 2055という)を
いた試験例を示し、菌学的性質及びインビトロ、インビ
ボによる効果を具体的に説明する。しかし、本発明はこ
の記載内容に限定されるものではない。 乳酸菌の性状 乳酸菌の性状を表1に示す。
【0014】
【表1】
【0015】人工胃酸耐性 胃酸耐性試験は、塩酸を用いてpHを1.0、2.0、2.5、ま
たは3.0に調整したMRS培地に、各菌株のMRS培養液を、
それぞれ10%添加し、さらに4%ペプシン(和光純薬社
製)溶液を1%添加し、塩酸を用いて所定のpHに再調
整した後、37℃に保持して各菌株の生菌数を経時的に測
定した。その結果、LG2055はpH2.5の条件では3時間
を経過しても、菌数の減少は観察されなかった。また、
pH2.0の条件では、2時間を経過しても菌数に大きな
減少は観察されなかった。以上の結果から、LG2055株の
胃酸耐性が示された。
【0016】人工腸液耐性 腸液耐性試験は、胆汁末(Ox Gall powder: Sigma)を
0.1、0.2、0.5、または1.0%含むMRS培地に、pH3.0の
人工胃液で2時間処理した各菌株の処理液を、それぞれ
1%添加し、水酸化ナトリウム溶液を用いてpH7.0に
調整し、さらにトリプシン(和光純薬社製)及びパンク
レアチン(和光純薬社製)の1%溶液を、それぞれ1%
ずつ添加し、窒素ガス置換による嫌気条件で37℃に保持
して各菌株の生菌数およびpHを経時的に測定した。そ
の結果、LG2055株は1.0%の胆汁末を含む人工腸液中でも
生育できることが、生菌数の増加とpHの減少により確
認できた。以上の結果から、LG2055株の腸消化液耐性が
示された。
【0017】ヒト腸管への定着性 ヒト腸管への定着性は、LG2055(凍結乾燥物)を牛乳に
懸濁してヒトに経口摂取させ、摂取後、経時的に糞便を
採取してLG2055の消長を追跡した。その結果、LG2055は
摂取後90日を経過しても、これを摂取させたヒトの糞便
から回収された。これにより、LG2055の高い腸管定着性
が示された。
【0018】インビトロでの菌体のコレステロールの吸
着能 〔試験方法〕12%還元脱脂乳(121℃、10分加熱)にLG2
055を接種し、20℃で24時間培養した。培養終了後、こ
の培養物を90g採取した。これに2%コレステロール
(エタノール溶液)を10ml添加し、良く撹拌した後、
室温で1時間放置した。これを10,000回転、20分間遠心
分離し、上清液のコレステロール含量を測定し、脱脂乳
培養物のコレステロール吸着能とした。対照として、乳
酸でpHを4.7〜4.8に調整した上記の脱脂乳培地を用い
た。LG2055はこれまで公知のどの乳酸菌よりも高いコレ
ステロール吸着効果を示した。
【0019】ヒトの腸管通過能と腸内定着性 無脂乳固形9.5%、乳脂肪3.0%の乳にLG2055のスタータ
ーを4%接種して39℃で4時間発酵させた発酵乳を健康
な成人ボランティア42名に4週間、毎日100gを1日1回
食させて腸内菌の変化を観察した。試験期間中は腸内菌
に影響のある食品やオリゴ糖、薬品の摂取を禁ずる以外
は自由に食事をさせて評価を行った。試験前は検出され
なかったLG2055株がすべての被験者から4週間後には検
出され、LG2055株が高い腸内定着性を有することがわか
った。
【0020】血清コレステロール上昇抑制試験 [試験方法] 1. 乳酸菌脱脂乳培養物の調製 LG2055を115℃、20分間の滅菌処理をした0.5%酵母エキ
ス(アサヒビール社製)添加の11.55%脱脂乳培地にて3
7℃、16時間の培養を3代以上行なって賦活させた。こ
れを同培地に3%接種し、37℃で16時間培養した。得ら
れた培養物は、凍結乾燥後、乳鉢で粉砕した。
【0021】2.試験飼料 試験飼料組成、添加した脱脂粉乳(SM)及びLG2055脱脂乳
培養物(LG)の組成を表2及び表3に、試験飼料中生菌
数を表4に示す。飼料へのコレステロール及びコール酸
ナトリウム添加量は、コレステリン研究会の報告(コレ
ステリン研究会,日本栄養・食料学会誌45、 1992)を参
考にし、それぞれ0.5%、0.15%とした。また、脱脂粉
乳及びLG2055脱脂乳培養物は20%とし、それらに含まれ
るタンパク質含量を考慮してカゼインを添加した。
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】3.試験動物と試験試料 体重約72gの4週齢雄性SDラット(日本チャールス・
リバー社)を20匹購入し、摂食試験開始まで市販粉末飼
料CE−2(日本クレア社)にて予備飼育を行った。5
週齢時に、飼料を6時間除去した後、頚静脈採血して血
清総コレステロール及びトリグリセリド濃度を測定し
(生化学自動分析装置 富士ドライケム5500V、 富士メ
ディカルシステム〔株〕製)、血清総コレステロール、
トリグリセリド濃度及び体重が等しくなるよう10匹ずつ
2群に分けた(脱脂粉乳添加群及びLG2055脱脂乳培養物
添加群;以下、それぞれSM群、LG群と記す)。飼育は5
匹ずつステンレス製のケージに入れ、12時間毎の明暗サ
イクルの環境下で行った。群分け後は、脱イオン水及び
各試験飼料を自由摂取させた。飼育期間中、毎日飼料摂
取量を、採血日及び試験飼料投与後13日目に体重を測定
した。採血は、試験飼料投与開始3、7及び9日目に、
飼料を除去して6時間経過した後、頚静脈より行なっ
た。また、糞中ステロール排泄量を調べるために、試験
飼料投与開始8〜10日目に代謝ケージにて糞を採取し
た。採取した糞は、表面を生理食塩水で洗浄後、凍結乾
燥・粉砕し、分析用試料とした。試験飼料投与開始14日
目に、17時間絶食の後にエーテル麻酔下で開腹し、後大
静脈から採血した後、肝臓、盲腸および後腹壁脂肪を摘
出し、重量を測定した。肝臓は、一部を凍結乾燥・粉砕
して脂質の分析に供した。盲腸は、内容物のpHを測定
(ISFET pH Meter KS723、 新電元社製)した後、一部
をフローラ解析に、一部を有機酸分析に供した。
【0026】4. 血清脂質の分析 採取した血液は、血清を分離し(2,000×g、10min、4
℃)、総コレステロール、HDL-コレステロール、トリグ
リセリド及びリン脂質濃度を測定した。総コレステロー
ル、HDL-コレステロール及びトリグリセリド濃度の測定
には、生化学自動分析装置(富士ドライケム5500V、 富
士メディカルシステム社製)を、リン脂質濃度の測定に
は、酵素法(リン脂質Bテストワコー、和光純薬社製)
を用いて定量した。
【0027】5.糞中ステロールの定量 3.で得られた凍結乾燥粉砕試料を約0.1g秤量し、2.5
mlの熱エタノール(80℃)で1時間抽出した。抽出
後、2,000×g、10分間遠心分離して上澄み液を分離し、
この操作を3回繰り返した後、分離上澄み液に窒素ガス
を吹き込みながら(50℃)溶媒を蒸発させた。残渣を2
mlのエタノールで再溶解して、サンプル液とした。中性
ステロールの定量には「デタミナTC555」(協和メディ
ックス社製)を、酸性ステロールの定量には「エンザバ
イル・2」(第一化学薬品社製)を用い、酵素法にて定
量した。
【0028】6.肝臓脂質の分析 肝臓脂質は、Folchの方法(Folch, J. Biol. Chem. 22
6, 497-506, 1957)によりクロロホルム:メタノール
=2:1(v/v)溶液にて抽出・水洗後、トリグリセリ
ド、リン脂質、コレステロール量を定量した。トリグリ
セリドはアセチルアセトン法(トリグリセリドテストワ
コー、 和光純薬社製)、リン脂質は過マンガン酸塩灰
化法(リン脂質テストワコー、 和光純薬社製)、コレ
ステロールは酵素法(デタミナTC555、 協和メディック
ス社製)にてそれぞれ分析した。
【0029】7.盲腸内有機酸の分析 盲腸内容物に9倍量の超純水を添加・混合後、常温に30
分放置して有機酸を抽出し、遠心分離(10,000×g、20
分、4℃)して上清を回収した。回収した上清は0.45μ
mのフィルターを通してから高速液体クロマトグラフィ
ー(Waters Alliance、 Waters社製)に供し、電気伝導
度検出法にて有機酸濃度を測定した。なお、使用したOr
ganic Acid column(7.8×300mm、 Waters社製)は40℃
とし、移動相には5mmol/l p-トルエンスルホン酸溶液
(0.8ml/min)、ならびに検出試薬には5mmol/l p-トル
エンスルホン酸溶液及び100μmol/l EDTAを含む20mmol/
l Bis-tris水溶液(0.8ml/min)を用いた。
【0030】8.盲腸内フローラの解析 光岡らのフローラ解析法(Mitsuoka, T., Sega, T., et
al.Zentralbl. Bakteriol.[Orig.]195, 455-469, 196
5)に改良を加え、そのうちの3種類の培地を用いた。B
L寒天培地(日水製薬社製)ならびにTOS寒天培地は37℃
にて2から3日間嫌気培養し、酢酸添加量を1/2にし
たLBS寒天培地(BBL社製)は37℃にて2から3日間微好
気培養した。腸内フローラの解析には、各群5匹ずつ用
いた。解剖時に盲腸内容物を採取して均一になるよう撹
拌し、その1gを嫌気性希釈液(Mitsuoka, T., Morish
ita, Y., et al.Zentralbl. Bakteriol.[Orig.A] 226,
257-63, 1974)に分散した。これをさらに10倍ずつの段
階希釈を行い、前述した培地に一定量塗抹し、培養し
た。培地上に発現したコロニーを、属ならびに菌群毎に
糞便1g当たりの対数値として集計した。
【0031】[試験結果] 1.成長結果及び臓器重量 試験期間中の成長結果ならびに解剖時の体重、肝臓重
量、盲腸重量、盲腸内容物pH及び後腹壁脂肪重量を表
5に示す。両群とも成長は良好であり、いずれの項目に
ついても両群間で有意な差は認められなかった。
【0032】
【表5】
【0033】2.血清脂質 経時測定データ解析の結果、血清総コレステロール濃度
は経時的に上昇し、経時的な血清総コレステロール濃度
の上昇度合いは、SM群に比べLG群で緩やかな傾向が認め
られた(P=0.0688)。また、試験飼料投与開始9日目
の血清総コレステロールの値について解析した結果、LG
群はSM群に比べて有意に低いことが認められた(p<0.0
5)。絶食解剖時の血清総コレステロール、HDL-コレス
テロール、トリグリセリド、リン脂質濃度を表6に示
す。血清総コレステロールはLG群でSM群に比べて低い傾
向を示し、その他の項目には差は認められなかった。
【0034】
【表6】
【0035】3.肝臓脂質 肝臓脂質の分析結果を表7に示す。トリグリセリド、リ
ン脂質、コレステロールのいずれの脂質含量も、両群間
で有意な差は認められなかった。
【0036】
【表7】
【0037】4.盲腸内有機酸 盲腸内有機酸の分析結果を表8に示す。いずれの有機酸
についても、両群間で有意な差は認められなかった。
【0038】
【表8】
【0039】5.盲腸内フローラ 盲腸内フローラ解析の結果を表9に示す。盲腸内フロー
ラは、両群間で差は認められなかった。
【0040】
【表9】
【0041】以上の結果、以下のことが明らかとなっ
た。コレステロール負荷食を用いて血清コレステロール
濃度上昇抑制作用を検討した結果、飼育期間中にLG群は
SM群に比べ、血清総コレステロール濃度の上昇が抑制さ
れている傾向が認められ、試験飼料投与開始9日目に、
SM群に比べLG群で血清総コレステロールが有意に低いこ
とが認められた。
【0042】鈴木の報告(SNOW BRAND R&D REPORTS 10
5, 67-108 , 1995)では、コレステロール負荷モデルで
種々の乳酸菌株のコレステロール上昇抑制作用を試験し
た結果、コレステロール濃度の経時変化パターンによ
り、その効果を示す型を2つに分類している。第1の型
は、対照群に比べて飼育期間の初期から有意に血清コレ
ステロール濃度が低くなる型、第2の型は、対照群に比
べて飼育後期になって有意に血清コレステロール濃度が
低くなる型である。また、作用機序については、第1の
型では、腸管におけるコレステロール吸収抑制作用及び
肝臓におけるコレステロールの異化促進作用、第2の型
では、肝臓におけるコレステロールの異化促進作用のみ
働いている可能性を挙げている。本試験の結果をこの型
に当てはめると、LG群は第1の型に近いことが示唆さ
れ、血清コレステロール低下の作用機序について、腸管
におけるコレステロール吸収抑制作用および肝臓におけ
るコレステロールの異化促進作用が考えられた。
【0043】腸管におけるコレステロール吸収抑制作用
については、菌体がコレステロールを吸着することによ
り起こる吸収抑制作用と、菌体がコレステロールや胆汁
酸を吸着することにより複合ミセルの形成が阻害された
り複合ミセルへの溶解が阻害されたりして、結果的に吸
収抑制が起こる作用が考えられる。LG2055のコレステロ
ール吸着作用に関しては、他のLactbacillus gasseri
と比較しても吸着力が強い。この吸着作用および吸着に
よる複合ミセル形成阻害・複合ミセルへの溶解阻害が起
こり、コレステロールの吸収抑制作用が働いた可能性が
あると考えられた。一方、コレステロールは腸内細菌に
よってコプロスタノールへ変換される場合がある。コプ
ロスタノールは、コレステロールに比べて消化管からの
吸収が悪いことが知られており、コプロスタノール/コ
レステロール比と血清コレステロール濃度は逆相関する
という性質を持つ。すなわち、糞中中性ステロール排泄
量は同じでも、コプロスタノールの割合が多い場合には
血清コレステロール濃度の低下が起こると考えられる。
糞中コプロスタノールが上昇していた本試験では、投与
した乳酸菌によって腸管内でコレステロールからコプロ
スタノールへの変換が起こり、その結果、血清コレステ
ロールの上昇が抑制されたと考えられた。
【0044】血清コレステロール上昇抑制試験(ヒトに
対する試験) 次に、ヒトに対して、本発明の培養物(LG2055を含有す
る発酵乳)を摂取させたときの、血中脂質に対する影響
及び安全性の試験結果を示す。なお本試験はヘルシンキ
宣言の主旨に則り、医師の監督下で実施した。 [試験方法] 1.被験者 被験者は、血清総コレステロール値が180mg/dl以上260m
g/dl未満を示した境界域および軽度の高コレステロール
血症を呈する日本人の成人男性64名である。64名を4群
に分け、LG2055発酵乳200群、LG2055発酵乳100群、プラ
セボ発酵乳(従来品)群、非摂取群として二重盲検試験
を実施した。
【0045】2.発酵乳 発酵乳は、Lactobacillus delbruekii subsp. bulgaric
usStreptococcus thermophilusから構成されるヨーグ
ルトカルチャーにLG2055のカルチャーを混合し、これを
スターターとして無脂乳固形分11%および乳脂肪分1.5
%の発酵乳原料に摂取し発酵させて製造した。発酵乳10
0 gあたりの栄養成分値は、熱量76 kcal、タンパク質4.
1 g、脂質1.5 g、炭水化物11.6 g、ナトリウム51 mg、
カルシウム140 mgであった。また、発酵乳に含まれるLG
2055の菌数は1×107 cfu/g以上であった。なお、プラセ
ボ発酵乳には同じ発酵乳原料をヨーグルトスターターの
みで発酵させた発酵乳を用いた。両発酵乳に共通して含
まれるL. delbruekii subsp. bulgaricusS. thermoph
ilusの菌数は、それぞれ1×107 cfu/g以上、ならびに1
×108 cfu/g以上であった。
【0046】3.摂取方法 LG2055発酵乳200群、LG2055発酵乳100群、プラセボ発酵
乳群には、該当する発酵乳を1日1回朝食時に11週間摂取
させた。LG2055発酵乳200群にはLG2055発酵乳を200g/d
ay、LG2055発酵乳100群にはLG2055発酵乳を100g/day、
プラセボ発酵乳群にはプラセボ発酵乳を200g/day、それ
ぞれ摂取させた。
【0047】[測定方法]各被験者について、観察期間
前(以下、観察前と記す)、観察後の摂取期間直前(以
下、摂取前と記す)、摂取4週間後、摂取8週間後、摂取
11週間後(終了時:以下、摂取後と記す)、摂取後の観
察期間後(以下、観察後と記す)の6回、血液検査を実
施した。血液検査項目は、血球成分(赤血球、ヘモグロ
ビン、ヘマトクリット、白血球、血小板)、総コレステ
ロール、レムナント様粒子(RLP)コレステロール、LDL
コレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライ
ド、LDL、VLDL、βリポ蛋白、リポ蛋白(a)、アポ蛋白
A1、アポ蛋白A2、アポ蛋白B、アポ蛋白E、カイロミクロ
ン、遊離脂肪酸(NEFA)、BUN、クレアチニン、尿酸、N
a、K、Cl、空腹時血糖、ヘモグロビンA1C、総蛋白、A/G
比、アルブミン、GOT、GPT、γ‐GTP、総ビリルビン、A
LP、LDHである。血液検査は、常法にて行った。また、
血液検査の実施においては、血清タンパク成分及び血清
脂質値への外因的影響を避けるため、最低5分以上の安
静状態を維持した後、坐位にて採血を行った。
【0048】[測定結果]試験期間中における血清脂質
に関する検査値の推移を表10に示した。血清総コレステ
ロール値の推移に関しては、さらに図1に示す。非摂取
群ではすべての期間を通じて、血清総コレステロール値
に変化がみられなかった。プラセボ発酵乳群では、摂取
期間において総コレステロール値の平均が208.8 mg/dl
から215.7 mg/dlへわずかに増加したものの有意な変化
は観察されなかった。一方、LG2055発酵乳200群では、
摂取前の血清総コレステロール値の平均は212.2 mg/dl
から摂取後平均200.8 mg/dlに有意に低下し(p<0.05)、
プラセボ発酵乳群、非摂取群との間に有意な差を認めた
(それぞれp<0.05, p<0.1)。同様の傾向は、LDLにおいて
も観察された。LG2055発酵乳200群のLDL値は、摂取前の
平均432.1 mg/dlから摂取後の367.5 mg/dlに有意に低下
し(p<0.001)、プラセボ発酵乳群、非摂取群との間に有
意な差を認めた(p<0.05, p<0.1)。この他、βリポ蛋
白(p<0.05)、アポ蛋白B(p<0.05)、アポ蛋白 E(p<
0.05)、トリグリセライド(p<0.1)、NEFA(p<0.0
1)、カイロミクロン(p<0.1)において、LG2055発酵乳
200群で摂取後に有意に低下した。LG2055発酵乳100群で
は、血清総コレステロール値の平均が摂取前の212.4 mg
/dlから摂取後には206.5 mg/dlに低下した。
【0049】
【表10】
【表10のつづき】
【0050】試験期間中における血球成分(赤血球、ヘ
モグロビン、ヘマトクリット、白血球、血小板など)に
おいては、摂取期間中、いずれの群においても有意な変
動はみられず、またいずれの群間においても有意差を認
めなかった。検査値を個別にみた場合においても、異常
変動を示した例は観察されなかった。血清生化学に関す
る検査値も、摂取期間中、群間あるいは期間において顕
著な変化はみられなかった。また、いずれの値も正常範
囲内であり、個別にみた場合においても、肝機能検査
値、腎機能検査値、および空腹時血糖値、電解質バラン
スにおいて、異常変動を示した例は認めなかった。
【0051】以上の結果から、LG2055発酵乳200g/day
群の血清総コレステロール値が有意に低下(表10、図
2)し、本群とプラセボ発酵乳群の比較(表10)から、
これがLG2055の作用であることが分かった。また、LG20
55発酵乳200g/day群と非摂取群の比較(表10)によ
り、血清脂質を改善する目的で本発酵乳を積極的に摂取
する有用性が示された。発酵乳100g/day群の血清総コ
レステロール値も低下した。本試験においてボランティ
アは、LG2055を1×107 cfu/g以上含有する発酵乳を毎日
100g、あるいは200g、連続11週間摂取したが、副作用
と思われるような血液学的変化、理学的変化、臨床上の
変化は認められなかった。これにより、LG2055を含有す
る発酵乳の食品としての安全性が確認された。
【0052】以下に実施例を示して本発明を具体的に説
明する。しかし、本発明はこの実施例に限定されるもの
ではない。
【実施例】実施例1 LG2055株を10%還元脱脂乳培地(121℃、10分加熱)で
培養し、本培養物を凍結乾燥し粉末化し、血清コレステ
ロール上昇抑制剤を調製した(A)。
【0053】実施例2 LG2055株をヨーグルトミックス(生乳に2%脱脂乳を添
加し、100℃、10分加熱した)に接種し、20℃で24時間
培養した。紙カップに充填し冷却後、コレステロール上
昇抑制ヨーグルトとした(B)。
【0054】実施例3 LG2055株をホエー培地(0.5%酵母エキス、0.1%トリプ
チケースペプトン添加)で培養後、遠心分離を行い菌体
を除去した。この上清液に最終濃度が50%になるように
氷冷したエタノールを添加し沈澱物を得た。この沈澱物
を0.2N・NaClに溶解し、上述のエタノール沈澱を更に3
回繰り返し、沈澱物を約500mg/(L・培養物)得た。こ
の培養物1gを乳糖5gと混合し顆粒状に成形して顆粒
剤を得た。
【0055】実施例4 高コレステロール含有食品に配合した例を示す。 発酵バター (wt/wt) 乳脂肪 96.8% 食塩 1.2 実施例1で得られた抑制試料A 2
【0056】 バターケーキ (wt/wt) バター 24% 薄力粉 24 砂糖 24 全卵 24 実施例2で得られた抑制試料B 4 香料 少々
【0057】 マヨネーズ (wt/wt) サラダ油 65% 卵黄 17 食酢 10 試験例2で得られた抑制試料A 3 香辛料 4.4 グルタミン酸モノナトリウム 0.6
【0058】実施例5 LG2055株をMRS液体培地(Difco社製)5Lに接種
後、37℃、18時間静置培養を行った。培養終了後、7,00
0rpm、15分間遠心分離を行い、培養液の1/50量の濃縮菌
体を得た。次いで、この濃縮菌体を脱脂粉乳10%(重
量)、グルタミン酸ナトリウム1%(重量)を含む分散
媒と同量混合し、pH7に調整後、凍結乾燥を行った。
得られた凍結乾燥物を60メッシュのフルイで粉体化し、
凍結乾燥菌末を得た。
【0059】実施例6 第13改正日本薬局方解説書製剤総則「散剤」の規定に準
拠し、上記実施例5で得られたLG2055株の凍結乾燥菌末
1gにラクトース(日局)400g、バレイショデンプン
(日局)600gを加えて均一に混合し、散剤を製造し
た。
【0060】実施例7 脱脂乳を80〜85℃で20〜30分間殺菌した後、ホモゲナイ
ズし、冷却した。これにスターターとして本菌株LG2055
株の純培養物を2〜5%加え、37〜40℃で16時間発酵さ
せ、乳酸含量2%の酸乳(脱脂乳培地における培養物)
を得た。次いで、生じたカードを砕きながら、5℃に冷
却し、これを酸乳とした。別に、ショ糖15%のほかに適
量の酸味料、香料、色素を含有する糖液を調合し、ホモ
ジナイズし、70〜80℃で20〜30分間殺菌した後、5℃に
冷却し、糖液とした。このようにして得た酸乳35に対し
て糖液65の割合で混合して酸乳飲料を得た。
【0061】実施例8 ビタミンC40gまたはビタミンCとクエン酸の等量混合
物40g、グラニュー糖100g、コーンスターチと乳糖の
等量混合物60gに、上記実施例1で得られた脱脂乳培地
における培養物の凍結乾燥粉末を40g加えて十分に混合
した。混合物を袋に詰め、1袋1.5gのステック状栄養
健康食品を150袋製造した。
【0062】実施例9 次の配合により抗潰瘍剤を製造した。 (1)LG2055株の脱脂粉乳培地における培養物の凍結乾
燥物50g、 (2)ラクトース90、 (3)コーンスターチ29g、 (4)ステアリン酸マグネシウム1g、 (5)この混合物を圧縮錠剤機により圧縮して、1錠あ
たり有効成分を40mg含有する錠剤100個を製造した。
【0063】
【発明の効果】本発明によれば、ラクトバチルス・ガセ
リ(Lactobacillus gasseri)に属する乳酸菌を培養し
て得られる菌体、その培養物を有効成分とする血清コレ
ステロール上昇抑制剤、乳酸菌及び/またはその変異株
を主成分とするコレステロール上昇抑制剤が提供するこ
とができる。本発明の血清コレステロール上昇抑制剤
は、毒性及び副作用が極めて少なく食品素材としても有
用である。さらに、本発明の血清コレステロール上昇抑
制剤は、他の生理機能に影響を及ぼすことなく血清コレ
ステロールの上昇を抑制するのに有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】血清総コレステロール値の推移を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A23L 2/52 A61P 3/06 A61P 3/06 A23L 2/00 F (72)発明者 手島 珠紀 埼玉県川越市小仙波町5−8−15 エスペ ランサB−101 (72)発明者 田中 博 東京都小平市花小金井南町2−18−3− 507 (72)発明者 川上 浩 埼玉県川越市藤間204−5 (72)発明者 鈴木 豊 埼玉県入間市仏子601−1,16−304 (72)発明者 畑本 二美 埼玉県川越市並木43−1 コーポレート南 古谷駅前201 Fターム(参考) 4B001 AC31 BC14 EC05 4B017 LC03 LK21 LK25 LP05 4B018 MD71 MD86 ME04 MF13 4C087 AA01 AA02 BC56 CA09 CA10 NA14 ZC33

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus
    gasseri)に属する乳酸菌を培養して得られる培養物及び
    /または菌体を有効成分とする血清コレステロール上昇
    抑制剤。
  2. 【請求項2】ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus
    gasseri)に属する乳酸菌が、ヒト腸管内定着性を有する
    ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)であ
    る請求項1記載の血清コレステロール上昇抑制剤。
  3. 【請求項3】ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus
    gasseri)に属する乳酸菌が、コレステロールをコプロス
    タノールに変換する性質を有する菌株であるラクトバチ
    ルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)である請求項1
    又は2記載の血清コレステロール上昇抑制剤。
  4. 【請求項4】ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus
    gasseri)に属する乳酸菌を培養して得られる培養物が発
    酵乳である、請求項1〜3のいずれかに記載の血清コレ
    ステロール上昇抑制剤。
  5. 【請求項5】ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus
    gasseri)に属する乳酸菌を培養して得られる培養物及び
    /または菌体を添加したコレステロール上昇抑制作用を
    有する飲食品。
  6. 【請求項6】ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus
    gasseri)に属する乳酸菌がラクトバチルス・ガセリ(La
    ctobacillus gasseri)・SBT2055(FERM P-15535)であ
    る請求項1〜5のいずれかに記載の血清コレステロール
    上昇抑制剤。
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