JP2000186165A - 発泡体ならびにそれを利用した遅延した形状回復性を有する独立気泡発泡収縮体およびその製造方法 - Google Patents

発泡体ならびにそれを利用した遅延した形状回復性を有する独立気泡発泡収縮体およびその製造方法

Info

Publication number
JP2000186165A
JP2000186165A JP11222790A JP22279099A JP2000186165A JP 2000186165 A JP2000186165 A JP 2000186165A JP 11222790 A JP11222790 A JP 11222790A JP 22279099 A JP22279099 A JP 22279099A JP 2000186165 A JP2000186165 A JP 2000186165A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
foam
closed
weight
cell
thickness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11222790A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideyuki Taguchi
秀之 田口
Hitoshi Shirato
斉 白土
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP11222790A priority Critical patent/JP2000186165A/ja
Publication of JP2000186165A publication Critical patent/JP2000186165A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧縮状態で放置した発泡体の弾性低下を抑制
すると共に、適度な遅延した形状回復性を有し、特に耐
熱性に優れ、遅延した形状回復性を有する独立気泡発泡
収縮体およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 独立気泡率が10〜100%である熱可
塑性樹脂発泡シートを、そのシートの厚みを一定に保持
して50℃に加熱した状態で1週間経過させた後、23
℃の雰囲気下で発泡シートを一定の厚みの保持状態から
開放して放置し、25日以内にシート厚みが少なくとも
1.7倍以上に膨張することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発泡体ならびにそ
れを利用した遅延した形状回復性を有する独立気泡発泡
収縮体およびその製造方法に関し、特に耐熱性に優れた
遅延した形状回復性を有する独立気泡発泡収縮体および
その製造方法に関する。
【0002】本明細書において用いられる用語「遅延し
た形状回復性」とは、任意の形状に変形させても元の形
状を記憶しており、徐々に変形前の形状に近づく性質を
意味する。
【0003】
【従来の技術】遅延した形状回復性を有する発泡収縮体
を製造する従来方法としては、例えば、特開平9−71
675号公報に開示されているように、揮発性発泡剤を
含有する樹脂を、当該発泡剤の沸点より高い温度で発泡
させて独立気泡発泡体を得、この独立気泡発泡体の一部
を固定した後に発泡剤の沸点より低い温度まで冷却す
る、または得られた独立気泡発泡体を弾性変形領域内の
歪み幅で圧縮することにより収縮させる方法などが挙げ
られる。
【0004】しかし、特開平9−71675号公報に開
示されている製造方法で使用する樹脂は、熱可塑性樹
脂、熱硬化性樹脂等の合成樹脂であってもよく、天然樹
脂であってもよく、ゆっくりと形状回復する発泡体であ
れば特に限定はなく、また、発泡体に圧縮を施す前に特
別な手段を講じていなかった。
【0005】従って、このような方法で得られた収縮発
泡体においては、この収縮発泡体を収縮した状態のまま
長時間放置しておくと形状回復性が低下し、結果とし
て、収縮前の形状に回復し難くなるという問題がある。
特に、収縮発泡体を収縮した状態で放置した時の温度が
常温よりも高い場合では、収縮状態を1週間程度続ける
だけで、収縮前の形状にほとんど回復しなくなるという
傾向が顕著である。例えば、厚み10mmの無架橋ポリ
エチレン発泡シートを厚み2mmに圧縮して40℃で1
日間放置した場合には、形状回復後のシートの厚みは4
mmにも満たず、50℃で1週間放置した後では2.2
mmにも満たない。
【0006】このような遅延した形状回復性を示す発泡
体を狭い隙間へ施工しても十分な形状回復性が得られ
ず、結果として隙間を埋めることは難しい。逆に圧縮後
の厚みが厚い発泡体を用いて施工しようとすると、狭い
隙間に押し込むことが面倒となり施工性が低下する。施
工性を満足するためには少なくとも1.7倍程度(即ち
厚み2mmの発泡体であれば3.4mm以上)の回復が
必要である。
【0007】上記のような形状回復性の低下の原因は必
ずしも明らかではないが、収縮状態で放置されている間
に、発泡収縮体内部の分子鎖同士の絡み合いが解れるよ
うにしてはずれてしまうため、回復に必要とされる分子
の弾性力が低下するからであると推察されている。
【0008】一方で、一般的なウレタン発泡体を圧縮し
て50℃で1週間放置した場合、圧縮開放時の回復性は
優れるが、瞬時に厚みが回復するために隙間への施工中
に厚みが増し、満足できる施工性が得られない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記問
題点について鋭意検討した結果、発泡体を高度に架橋し
た、あるいは特定のゴム性材料を所定の割合で熱可塑性
樹脂に添加した原料樹脂を架橋および発泡させると共に
熱可塑性樹脂のゲル分率を10%以上にした独立気泡発
泡体を収縮させることにより得られた独立気泡発泡収縮
体が極めて優れた耐熱性を有するという知見を見出し、
本発明を完成するに至った。即ち、本発明は上記課題を
解決するためになされ、その目的とするところは、圧縮
状態で放置した発泡体の弾性低下を抑制すると共に、適
度な遅延した形状回復性を有し、特に耐熱性に優れ、遅
延した形状回復性を有する独立気泡発泡収縮体およびそ
の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発泡体
は、独立気泡率が10〜100%である熱可塑性樹脂発
泡シートを、そのシートの厚みを一定に保持して50℃
に加熱した状態で1週間経過させた後、23℃の雰囲気
下でシートを一定の厚みの保持状態から開放して放置
し、25日以内にシート厚みが少なくとも1.7倍以上
に膨張するものである。
【0011】請求項2記載の発泡体は、50℃の雰囲気
下において、独立気泡率が10〜100%である熱可塑
性樹脂発泡シートの厚み方向に外力を加えて圧縮するこ
とにより圧縮前の厚みの5分の1以下の厚みとし、その
圧縮状態での厚みを保持したまま該発泡シートを50℃
に加熱し、そのまま50℃で1週間経過した後に23℃
の雰囲気下で圧縮状態から開放し、25日以内に前記圧
縮前の厚みの少なくとも34%まで厚みが回復するもの
である。
【0012】請求項3記載の発泡体は請求項1又は請求
項2に記載の発泡体であって、熱可塑性樹脂の発泡完了
後に発泡体を架橋し、ゲル分率を80〜100%とした
ことを特徴とするものである。
【0013】請求項4記載の発泡体は請求項1又は請求
項2に記載の発泡体であって、ゲル分率が10%以上で
ある熱可塑性樹脂100重量部に対して、圧縮永久歪み
値が60%以下であるゴム性材料が5重量部以上250
重量部以下含まれていることを特徴とするものである。
【0014】請求項5記載の遅延した形状回復性を有す
る独立気泡発泡収縮体は、ゲル分率が30%以上である
熱可塑性樹脂100重量部に対して、圧縮永久歪み値が
60%以下であるゴム性材料が5重量部を超え250重
量部以下の割合で含まれているものである。
【0015】請求項6記載の発明は、熱可塑性樹脂の発
泡完了後に、発泡体を架橋してゲル分率を80〜100
%とした発泡体、又は、ゲル分率が少なくとも10%で
ある熱可塑性樹脂100重量部に対して、圧縮永久歪み
値が60%以下であるゴム性材料が5重量部以上250
重量部以下含まれる原料樹脂を発泡させて独立気泡発泡
体を得る工程(a)、及び該独立気泡発泡体の気泡中の
気体を抜くことにより、上記発泡体を収縮させる工程
(b)とよりなる遅延した形状回復性を有する独立気泡
発泡収縮体の製造方法である。
【0016】請求項7記載の発明は、熱可塑性樹脂10
0重量部に対して、圧縮永久歪み値が60%以下である
ゴム性材料が5重量部を超え250重量部以下の割合で
含まれている原料樹脂を、熱可塑性樹脂のゲル分率が3
0%以上となるように架橋および発泡させて独立気泡発
泡体を得る工程(a)、及び該独立気泡発泡体を収縮さ
せる工程(b)とよりなる遅延した形状回復性を有する
独立気泡発泡収縮体の製造方法である。
【0017】尚、本明細書では、「遅延した形状回復性
を有する独立気泡発泡収縮体」を単に「独立気泡発泡収
縮体」という場合がある。又、特に記載しない限り、
「発泡体」には独立気泡発泡体および独立気泡発泡収縮
体の両者を含むことにする。
【0018】以下に本発明を詳しく説明する。 (熱可塑性樹脂について)本発明において用いられる熱
可塑性樹脂は特に限定されず、例えば、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共
重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プ
ロピレン−ジエン3元共重合体などのポリオレフィン系
樹脂、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、
スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−
イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン
共重合体、ABS樹脂などのスチレン系樹脂、ポリメチ
ルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、エチレン
−エチルアクリレート共重合体などのポリアクリル系樹
脂、塩素化ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどの塩素系
樹脂、ポリフッ化エチレン、ポリフッ化ビニルなどのフ
ッ素系樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロン、1,2
−ナイロンなどのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエス
テル系樹脂などの他、ポリカーボネート、ポリアセター
ル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテ
ルケトン、ポリエーテルイミド、ケイ素樹脂、熱可塑性
ウレタン、天然ゴム、各種エラストマーなどが挙げられ
る。(尚、上記ポリエチレンにはエチレンの単独重合体
の他、エチレンとα−オレフィン(即ち、1−ブテン、
1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテ
ン、1−ヘプテン、1−オクテン等)の共重合体を含
む。)
【0019】発泡体を構成する熱可塑性樹脂はTgが0
℃以下であることが好ましい。この理由は、Tgが0℃
を超えると通常この発泡体を使用する温度領域(常用環
境雰囲気温度)では、1)極めて高倍率の発泡体としない
限り、樹脂の柔軟性が不充分となって凹凸のある隙間を
埋めるだけの追従性が不足し、結果として隙間を埋める
ためのシール性能が低下する、2)圧縮時の緩和が起こり
易くなり、本発明の効果が得られなくなる場合があるか
らである。
【0020】0℃以下のTgを有する樹脂としては、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共
重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体、ポリブテン等のポリオレフ
ィン系樹脂、スチレン−イソプレン−スチレン共重合
体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、ポリフッ
化ビニル、ポリアセタール、シリコーン樹脂、天然ゴム
などが挙げられる。
【0021】特に耐熱性が要求される場合には、樹脂の
軟化温度が50℃以上、より好ましくは80℃以上のも
のが好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合
体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、ポリフ
ッ化ビニル、ポリアセタール、シリコーン樹脂等が挙げ
られる。
【0022】また、気密性が要求される場合は、樹脂の
ショアD硬度が60以下(ショアA硬度換算で約105
以下)が好ましい。しかし、上記硬度は樹脂のグレード
により異なるので樹脂名で指定することは困難であり、
このような硬度を有する樹脂のグレードを選択すればよ
い。
【0023】このなかでも、特に架橋および発泡が容易
であって確実に耐熱性を向上させることができるいう観
点などから、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、そのな
かでも、本発明に係る方法により高倍率な発泡が容易で
あって独立気泡発泡収縮体における遅延した形状回復性
を極めて向上させることが確実にできるという観点など
からポリエチレンが好ましい。
【0024】更に、請求項3〜請求項7に記載の熱可塑
性樹脂の好適な例として、メタロセン系触媒により合成
されたオレフィン系ポリマー(以下「メタロセン系ポリ
マー」と略称する)及び直鎖状低密度ポリエチレンが挙
げられる。メタロセンポリマーとして、具体的には、例
えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロ
ピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合
体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
尚、上記ポリエチレンにはエチレンの単独重合体の他、
エチレンとα−オレフィン(即ち、1−ブテン、1−ペ
ンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1
−ヘプテン、1−オクテン等)の共重合体を含む。
【0025】メタロセン系触媒とは、遷移金属をπ電子
系の不飽和化合物で挟んだ構造のメタロセン化合物を触
媒とするものであり、チタン、ジルコニウム、ニッケ
ル、パラジウム、ハフニウム、白金等の四価の遷移金属
に1個又は2個以上のシクロペンタジエニル環もしくは
その類縁体がリガンド(配位子)として存在する化合物
である。
【0026】上記リガンドとしては、例えば、シクロペ
ンタジエニル環、インデニル環、炭化水素基や置換炭化
水素基又は炭化水素−置換メタロイド基により置換され
たシクロペンタジエニル環及びインデニル環、シクロペ
ンタジエニルオリゴマー環等が挙げられる。尚、これら
のπ電子系の不飽和化合物以外に、例えば、塩素、臭素
等の1価のアニオンもしくは2価のアニオンキレート、
炭化水素基、アルコキシド、アミド、ホスフィド、アリ
ールアルコキシド、アリールアミド、アリールホスフィ
ド、アリールオキシド等が遷移金属に配位されていても
よい。
【0027】上記シクロペンタジエニル環及びインデニ
ル環が置換される炭化水素基としては、例えば、メチ
ル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、アミル、
イソアミル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、ヘプチ
ル、オクチル、ノニル、デシル、セチル、フェニル等が
挙げられる。
【0028】具体的なメタロセン化合物としては、例え
ば、シクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチル
アミド)、メチルシクロペンタジエニルチタニウムトリ
ス(ジメチルアミド)、ビス(シクロペンタジエニル)
チタニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシ
クロペンタジエニル−t−ブチルアミドジルコニウムジ
クロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジ
エニル−t−ブチルアミドハフニウムジクロリド、ジメ
チルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−p−n
−ブチルフェニルアミドジルコニウムクロリド、メチル
フェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−t
−ブチルアミドハフニウムジクロリド、インデニルチタ
ニウムトリス(ジメチルアミド)、インデニルチタニウ
ムトリス(ジエチルアミド)、インデニルチタニウムト
リス(ジ−n−プロピルアミド)、インデニルチタニウ
ムビス(ジ−n−ブチルアミド)(ジ−n−プロピルア
ミド)等が挙げられる。上記メタロセン化合物は、主と
してメチルアミノキサン(MAO)、ホウ素化合物等を
共触媒として組み合わせた系でポリマーの重合に用いら
れる。
【0029】メタロセン系ポリマーにより本発明の効果
が増大できる理由は明確ではないが、以下のように推察
される。即ち、メタロセン系触媒(シングルサイト触
媒)によるポリマーは従来のチーグラーナッタ系触媒
(マルチサイト触媒)により合成されるポリマーと比
べ、分子量分布が狭い特徴を有する。この分子量分布が
狭い材料を用いることにより発泡体に含まれる低分子量
成分の含有量が少なくなり、結果として発泡体収縮状態
での放置中に分子鎖同士の絡み合いが顕著に発生すると
考えられ、低分子量成分のほつれ(はずれ)が抑制され
るためであると考えられる。
【0030】直鎖状低密度ポリエチレンによる本発明の
効果の増大も上記と同様な理由によるものと推測され
る。触媒の関係上、上記メタロセン系ポリマーに比較し
て分子量分布が若干広がる傾向にあるが、メタロセン系
ポリマーに次いで好ましい例である。
【0031】更に、請求項3〜請求項7に記載の熱可塑
性樹脂の好適な他の例として、樹脂密度が0.910g
/cm3 以上の樹脂が挙げられる。より好ましくは0.
920g/cm3 以上、特に好ましくは0.925g/
cm3 以上である。密度が0.910g/cm3 に満た
ないと発泡体を収縮状態で保管中に発泡体に緩和が大き
く発生する場合がある。この理由は明確ではないが次の
ように考えられる。つまり、高温状態での保管時にも緩
和しないという効果を得るためには、樹脂の密度低下に
よる弾性性能向上効果(樹脂弾性力アップによる形状回
復性能の向上)だけではなく、樹脂の密度上昇による分
子鎖同士の固定の効果(結晶性成分増加による分子のほ
つれ抑制の効果)が寄与しているためであると推測され
る。 尚、樹脂密度は一般に広く用いられている手法に
よって測定される。例えば、JIS K 7112やA
STM D 1505に準ずる方法が用いられる。
【0032】(その他の添加剤)発泡体には架橋および
発泡などに悪影響を与えない限り、必要に応じて任意の
添加剤が添加され得る。このような添加剤としては、例
えば、充填材、難燃剤、酸化防止剤、補強繊維、着色
剤、核添加剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。充填剤
としては、炭酸カルシウム、タルク、クレー、酸化マグ
ネシウム、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、カーボンブラ
ック、二酸化珪素、酸化チタン、ガラス繊維、ガラス
粉、ガラスビーズなどが挙げられる。難燃剤としては、
ヘキサブロモビフェニルエーテル、デカブロモビフェニ
ルエーテルなどの臭素系難燃剤、ポリリン酸アンモニウ
ム、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート
などの含リン酸系難燃剤、メラミン誘導体、無機系難燃
剤などが挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、テ
トラキス〔メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシハイドロシンナメート)〕メタン、チオジプロ
ピオン酸ジラウリル、1,1,3−トリス(2−メチル
−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタンな
どが挙げられる。補強繊維としては、例えば、ガラス繊
維、炭素繊維等が挙げられる。着色剤としては、例え
ば、酸化チタン等の顔料が挙げられる。核添加剤として
は、例えば、タルクが挙げられる。紫外線吸収剤として
はベンゾフェノン誘導体などが挙げられる。なお、これ
らの添加剤は単独で用いられても良く、2種類以上組み
合わせて用いられても良い。
【0033】請求項1に記載の発明で発泡シートの厚み
が1.7倍以上の膨張性を示さず、請求項2に記載の発
明で発泡シートの厚み回復率が34%に満たない場合、
いずれも高温での保管後、あるいは長期間の保管後に厚
み増加性能が不充分であるため、膨張前あるいは厚み回
復前の発泡体を狭い隙間に施工しても隙間を完全に塞ぐ
ことができない。請求項5記載の発泡体の厚みを大きく
すると圧縮時の厚みが厚くなって狭い隙間に挿入し難く
なり、作業性が悪くなる。施工性の面からみて請求項1
記載の発泡体の厚み増加性能は2.0倍以上、請求項2
記載の発泡体の厚み回復率は40%以上がより好まし
い。
【0034】
【0035】請求項3記載の発泡体において、熱可塑性
樹脂のゲル分率が80%に満たない場合、架橋度が低い
ために圧縮状態で長期間保管すると、分子鎖の流動が起
こり圧縮状態にある樹脂の応力緩和が大きくなる。特に
50℃という高温条件下では大きな緩和が発生し、結果
として回復する際に応力が失われて回復率が低下し、請
求項1に記載の条件下で厚みが1.7倍以上の膨張性、
請求項2に記載の条件下で34%以上の回復率を得るこ
とはできなくなる。応力緩和をより小さくするために
は、ゲル分率を80〜100%の範囲に設定することが
好ましく、より好ましくは85〜100%である。尚、
請求項6記載のゲル分率80〜100%の発泡体につい
ても同様である。
【0036】発泡前又は発泡途中でゲル分率が80〜1
00%となるまで架橋すると充分な発泡倍率が得られ
ず、最悪の場合、発泡しなくなることがある。従って、
ゲル分率が80%を超える架橋は発泡完了後に行わねば
ならない(ゲル分率が80%に満たない架橋は発泡完了
前に行っておいても構わない)。発泡完了後、電子線又
は紫外線又は水や過酸化物を用いて架橋する。しかし、
過酸化物を用いると、80%以上のゲル分率も高倍率の
発泡も満足させることはできないので、電子線や紫外
線、水を用いることが好ましい。更に、発泡体への後架
橋のし易さの点で電子線又は水架橋がより好ましく、特
に高架橋の達成が比較的容易な電子線を用いるのが好ま
しい。発泡後の架橋に紫外線を用いるときは光架橋剤、
水を用いるときはシラン架橋剤を予め原料樹脂に添加混
合しておかなければならない。
【0037】(架橋について)
【0038】架橋手段として紫外線架橋法が用いられる
場合、熱可塑性樹脂には紫外線により分解して架橋を行
う光架橋剤を予め添加しておく必要がある。光架橋剤と
しては、例えば、ベンゾフェノンのようなラジカル発生
型、およびトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロフ
ォスフィンのようなイオン発生型のいずれをも用いるこ
とができる。紫外線の光源としては水銀灯またはメタル
ハライドランプが用いられ、このような光源から紫外線
を発泡剤を含有する熱可塑性樹脂に照射あるいは発泡後
の独立気泡発泡体に照射して樹脂を架橋する。
【0039】架橋手段としてシラン架橋法が用いられる
場合には、熱可塑性樹脂にはシラン架橋剤を予め添加し
ておく必要がある。シラン架橋剤としてはビニルシラン
化合物が挙げられ、このビニルシラン化合物を熱可塑性
樹脂にグラフト付加反応させ、必要に応じてシラノール
縮合触媒を添加した後、熱可塑性樹脂を水分雰囲気下に
曝すことにより熱可塑性樹脂を架橋する。通常、シラン
架橋剤は熱可塑性樹脂100重量部あたり0.1重量部
以上の割合で用いられ得る。なお、熱可塑性樹脂にはシ
ラン架橋剤の他、過酸化物などの極少量のシラン架橋開
始剤を予め添加する。
【0040】架橋手段として過酸化物架橋法が用いられ
る場合には、熱可塑性樹脂には有機過酸化物を予め添加
しておく必要がある。過酸化物架橋法において用いられ
得る有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキ
サイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパ
ーオキサイド)−3−ヘキシンなどが挙げられる。通
常、有機過酸化物は熱可塑性樹脂100重量部あたり1
重量部以上の割合で用いられ得る。
【0041】このような有機過酸化物を添加した熱可塑
性樹脂を有機過酸化物の分解温度付近まで加熱して樹脂
を架橋させる。なお、この過酸化物架橋法が用いられる
場合には、有機過酸化物が分解して架橋が進行する温度
と、熱可塑性樹脂に含まれる発泡剤が発泡する温度がほ
ぼ同じである場合がある。このため、発泡させる前に樹
脂を加熱して架橋のみを行うことが困難になる場合があ
り、このような場合には発泡と架橋とが同時に行なわれ
ることになる。
【0042】架橋手段として電子線架橋法が用いられる
場合、上記とは異なり発泡剤を含有する熱可塑性樹脂に
は、予め光架橋剤、シラン架橋剤、または有機過酸化物
のような架橋に必要とされる添加剤を添加させる必要は
ない。
【0043】熱可塑性樹脂には、架橋助剤を予め添加し
ておき、架橋効率を上げてもよい。架橋助剤としては、
トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロ
ールプロパントリメタクリレート、テトラエチレングリ
コールジアクリレートなどのアクリル系モノマーを用い
ることが好ましい。これらの架橋助剤は架橋手段にもよ
るが、通常、熱可塑性樹脂100重量部あたり0.5重
量部以上5重量部以下の割合で用いられ得る。尚、この
ような架橋助剤は特に紫外線架橋法または電子線架橋法
に用いられる。
【0044】尚、本明細書で用いられる用語「ゲル分
率」とは、架橋の程度を表す1つの指標であり、JIS
C 3005に従って「架橋度」として求められる数
値を指す。より詳細には、「ゲル分率」とは架橋物から
重量m1 の試験片を細片状に切り出し、これを50gの
キシレンが入った試験管に入れて約120℃で24時間
保持する。その後、試験片を試験管から取り出し、真空
デシケーターにより約80℃の温度及び1.3kPaの
真空度で24時間乾燥した後の試験片の重量m2を正確
に測定し、以下の式に基づいて算出される値である。
【0045】ゲル分率(%)=(m2 /m1 )×100
【0046】尚、本発明に係る発泡体で熱可塑性樹脂の
他にゴム性材料が含まれる場合には、発泡体において熱
可塑性樹脂が占める部分のゲル分率を正確に測定するこ
とは困難である。従って、ゴム性材料を含まずに架橋及
び発泡を行った発泡体において測定されたゲル分率を、
便宜的にゴム性材料を含む発泡体のゲル分率とする。
【0047】請求項3〜請求項7の発明において、架橋
は発泡前又は発泡途中又は発泡後に行われ、架橋手段は
特に限定されない(請求項3及び請求項6に記載の発泡
完了後のゲル分率増加に関しては除く)。架橋手段は例
えば、過酸化物やジビニルベンゼン、シランカップリン
グ剤等の化学架橋剤を用いる方法、電離性放射線(電子
線やγ線)を用いる方法、光重合開始剤を用いる方法な
どいずれの方法を用いてもよい。架橋は発泡前後で2段
階で行ってもよい。
【0048】発泡体における熱可塑性樹脂のゲル分率は
10%以上が好ましく、より好ましくは30%以上であ
る。ゲル分率が10%未満である場合には、発泡倍率が
15倍以上という高倍率の独立気泡発泡体を得ることが
できたとしても、この独立気泡発泡体を収縮させて得ら
れた独立気泡発泡収縮体を長時間放置した後に、その形
状が収縮前の元の形状まで十分に回復せず、本発明の効
果を十分に得ることができない。特にゲル分率が30%
以上である場合には、独立気泡発泡収縮体を長時間放置
した後であっても、独立気泡発泡収縮体の形状が元の形
状に、より近くまで回復することができる。
【0049】上記いずれの方法であってもゲル分率を1
0%以上とするのは、発泡体を収縮率させた状態で長時
間放置しても緩和が起こり難くし、発泡体が元の形状に
回復するようにするためであるから、架橋は発泡体全体
にわたりなるべく均一に行われることが好ましい。具体
的には、化学架橋剤を用いるときは架橋剤を充分に均一
に混合しておくこと、分解時に付与する温度ムラを小さ
くしておくこと、電子線を用いる場合は、発泡体の厚み
が大きいときは片面照射よりも両面照射することなどが
挙げられる。
【0050】(ゴム性材料について)本発明の発泡体
は、熱可塑性樹脂にゴム性材料が含まれていてもよい。
請求項4〜請求項7の発明では、ゴム性材料は、JIS
K 6301(70℃,22時間圧縮)に準じた圧縮
永久歪み値が60%以下、好ましくは50%以下のもの
が含まれていなければならない。圧縮永久歪み値が60
%を超えると、独立気泡発泡体を収縮して得られた独立
気泡発泡収縮体を長時間放置した後に、その形状が収縮
前の元の形状近くまで十分に回復せず、本発明の効果を
得ることができない。圧縮永久歪み値が50%以下の場
合には、独立気泡発泡収縮体を長時間放置した後であっ
ても、独立気泡発泡収縮体の形状が元の形状まで、より
近く回復し、本発明の効果を大きく得ることができる。
【0051】このようなゴム性材料は、熱可塑性樹脂1
00重量部に対して、5重量部以上、250重量部以
下、好ましくは10重量部以上200重量部以下の割合
で用いられる。5重量部に満たない場合、独立気泡発泡
体を収縮して得られた独立気泡発泡収縮体を長時間放置
した後に、その形状が収縮前の元の形状まで十分に回復
せず、本発明の効果を得ることができない。また、25
0重量部を超える場合には、熱可塑性樹脂とゴム性材料
とを十分均一に混合することが難しく、高倍率な発泡を
行うことができなかったり、美麗な発泡体が得られない
ことがある。ゴム性材料が10重量部以上、150重量
部以下であると本発明の効果が顕著となり、10重量部
以上、100重量部以下が特に好ましい。
【0052】上記のようなゴム性材料としては、ポリウ
レタン、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンゴム(ス
チレン−ブタジエン共重合体)、スチレン−エチレン−
ブチレン−スチレンゴム(SEBS)、スチレン−イソ
プレン−スチレンゴム(SIS)、ブタジエンゴム、ニ
トリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリル
ゴム、エチレンプロピレンゴム、三フッ化樹脂、四フッ
化樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニ
ル系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラス
トマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステ
ル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラ
ストマー、フッ素系エラストマー、シリコーン系エラス
トマー、ニトリル系エラストマー、塩素化オレフィンコ
ポリマー系エラストマー、およびこれらの架橋体などが
挙げられる。これらのゴム性材料は、単独で用いられて
も良く、また、組み合わされた後のゴム性材料の圧縮永
久歪み値が60%以下であるという条件を満たす限り、
2種類以上組み合わせて用いられても良い。
【0053】上記のうち、熱可塑性樹脂との混合が容易
であり、得られた独立気泡発泡収縮体の形状が元の形状
近くまで十分に回復し、取り扱いが楽でコスト的に有利
であるという観点から、オレフィン系熱可塑性エラスト
マー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱
可塑性エラストマー、スチレン−ブタジエン共重合体
(スチレンゴム)、エチレン−プロピレンゴム、スチレ
ン−エチレン−ブチレン−スチレンゴム(SEBS)、
スチレン−イソプレン−スチレンゴム(SIS)、ブタ
ジエンゴム、ニトリルゴム等が特に好ましい。
【0054】更に、上記ゴム性材料の中でも特に、スチ
レン−エチレン−ブチレン−スチレンゴム(SEB
S)、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系
熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマ
ーが好ましい。これは、熱可塑性樹脂との混練性がよく
分散しやすいこと、コスト的に有利なこと、取り扱いが
楽なこと等が理由である。尚、化学分解型発泡剤を用い
て発泡体を製造するときは、製造時の温度(発泡剤の分
解温度)との関係から、オレフィン系熱可塑性エラスト
マー、スチレン系熱可塑性エラストマーが好ましい。オ
レフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性
エラストマーにおいては、圧縮永久歪み値が40%以下
のものが特によく、具体的には部分架橋型、完全架橋型
オレフィン系熱可塑性エラストマーや疑似架橋型スチレ
ン系熱可塑性エラストマーを挙げることができる。尚、
材料同士の混練の方法や発泡体の発泡方法は特に限定さ
れるものではなく、従来の方法が適用される。混合に用
いる装置についても、必要に応じて、例えば押出機やミ
キサー等から適宜選択すればよい。
【0055】(効果の発現について)請求項3乃び4に
記載の発泡体及び請求項5記載の形状回復性を有する独
立気泡発泡収縮体においては、第1に、極めて高い架橋
(ゲル分率)を圧縮前の発泡体に施すことにより、圧縮
後から形状回復の過程における形状回復率の低下を抑制
することができる。これは、圧縮に先だつ分子鎖同士の
架橋により材料が有する分子鎖の絡みが密になることに
よると推測される。即ち、架橋によりその後の圧縮工程
で分子鎖に及ぼされる大きな歪み(変形)を受けたとき
にも分子鎖同士の絡まりが密の状態に維持される。結果
として収縮状態のまま常温以上で保持しても分子鎖同士
の絡まりが解け難く、回復に必要な分子の弾性力が失わ
れなくなるからと推察される。
【0056】上記の作用は発泡することが極めて困難と
されるゲル分率80%以上(好ましくは85%以上)と
いう特異な領域で発現可能となるため、発泡後の過程で
は80%に達しなかったゲル分率を補う必要がある。
【0057】第2に、熱可塑性樹脂の架橋度を規定する
ことと、ゴム性材料を適当量添加することにより、15
倍以上の高倍率発泡体と、発泡体の充分な緩和抑制効果
を同時に得ることができる。この原因は明確ではないが
以下のによるものと推測される。
【0058】本発明での圧縮前の架橋は、発泡に適す
る溶融粘度として高倍率化を達成するとともに、発泡体
が圧縮時に大きな歪み(変形)をうけたときに、分子鎖
同士の絡まりを少しでも密の状態にしておくという目的
がある。これにより分子鎖同士の絡まりが解け難く、形
状回復に必要な分子の弾性力が失われることが抑制され
る。
【0059】適当なゴム性材料を特定量添加すること
によって、樹脂の発泡特性を低下させず、架橋の導入だ
けでは不充分な分子の回復弾性力を補い、収縮された発
泡体の形状回復に必要な弾性力を増加させることができ
る。
【0060】(発泡について)本発明において用いられ
得る発泡手段としては特に限定されず、例えば、押出発
泡、型内発泡、常圧発泡、化学反応発泡などの手段が挙
げられる。
【0061】押出発泡とは、発泡剤を含有する原料樹脂
を溶融状態で高圧状態に保った押出機の先端に設けられ
た金型から押し出すことにより、高圧状態から常圧への
圧力変化によって樹脂を発泡させる方法である。この押
出発泡においては、発泡剤として常温常圧で気体である
ガスが用いられる場合には、押出機の中央部付近にはガ
スを押出機内に導入できるベント部が設けられている。
【0062】型内発泡とは、高圧下に保った圧力容器内
に投入された原料樹脂に発泡剤を注入し、発泡剤が溶解
樹脂中に溶解した後、容器内の圧力を常圧まで低下させ
ることにより樹脂を発泡させる方法である。
【0063】常圧発泡とは、熱分解型発泡剤と熱可塑性
樹脂とを予め樹脂の融点以上、発泡剤の分解ピーク温度
以下で溶融混練し、この溶融混練した樹脂を所望の形状
に賦形した後、常圧下で発泡剤の温度以上にまで樹脂を
加熱することにより樹脂を発泡させる方法である。
【0064】化学反応発泡とは、ポリマーである熱可塑
性樹脂の生成反応と同時にこの反応により発生するガス
により樹脂を発泡させる方法である。
【0065】このような発泡剤は製造工程の簡素化の面
から、熱可塑性樹脂とゴム性材料との混合の際に同時に
これらに混合されることが好ましい。発泡剤としては、
物理型発泡剤および化学型発泡剤のいずれをも用いるこ
とができる。物理型発泡剤としては、空気、二酸化炭
素、窒素、酸素、水素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、
キセノンなどの無機ガス、ブタン、ペンタン、ヘキサン
などの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン
などの芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン
などのケトン類、メタノール、エタノール、プロパノー
ルなどのアルコール類、1,1−ジクロロ−1−フルオ
ロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、モ
ノクロロジフルオロエタン、モノクロロジフルオロメタ
ンなどのハロゲン化炭化水素、ジエチルエーテル、水な
どが挙げられる。
【0066】上記無機ガスとしては、熱可塑性樹脂に対
するガス透過係数Pagentが樹脂に対する空気のガス透過
係数Pairより大きい関係にあることが好ましい。この関
係にあるガスを用いると、工程(a)において得られた
独立気泡発泡体を常温・常圧下に放置するだけで独立気
泡発泡体を収縮させることができるからである。このよ
うなガスとしては、例えば、水素、ヘリウム、アルゴ
ン、キセノン、二酸化炭素、および空気が挙げられる。
【0067】また、上記以外の好ましい物理型発泡剤と
しては、常温常圧下で液体状態にあるものが挙げられ
る。このような物理型発泡剤を用いた場合には、工程
(a)において得られた独立気泡発泡体を常温・常圧下
に放置するだけで独立気泡発泡体を収縮させることがで
きるからである。
【0068】このような物理型発泡剤としては、ペンタ
ン(沸点36.07℃)、ヘキサン(沸点68.74
℃)、ベンゼン(沸点80.1℃)、メタノール(沸点
64.51℃)、エタノール(沸点78.32℃)、ジ
エチルエーテル(沸点34.48℃)、および水(沸点
100℃)が挙げられる。
【0069】熱分解型発泡剤(化学型発泡剤)として
は、アゾジカルボンアミド(分解ピーク温度200
℃)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン
(分解ピーク温度200℃)、ベンゼンスルホニルヒド
ラジド(分解ピーク温度95℃)、トルエンスルホニル
ヒドラジド(分解ピーク温度110℃)、アゾビスイソ
ブチロニトリル(分解ピーク温度115℃)、N,N’
−ジメチル−N,N’−ジニトロテレフラルアミド(分
解ピーク温度105℃)などが挙げられる。
【0070】また、これらの発泡剤と共に、発泡速度を
調節する発泡助剤を用いても良い。発泡速度を速める発
泡助剤としては、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛,ステア
リン酸カルシウムなどの金属石けん、亜鉛華、硝酸亜鉛
などの無機塩、アジピン酸、シュウ酸などの酸類が挙げ
られ、発泡速度を遅延する発泡助剤としては、マレイン
酸、フタル酸などの有機酸、無水マレイン酸、無水フタ
ル酸などの有機酸無水物、ジブチル錫マレート、塩化錫
などの錫化合物が挙げられる。
【0071】発泡助剤は、使用する樹脂、発泡剤、発泡
助剤の種類などによって異なるが、通常、熱可塑性樹脂
100重量部に対して0.1重量部以上10重量部以下
の割合で添加されることが好ましい。添加量が0.1重
量部以下では発泡助剤の効果が小さく、一方、10重量
部を超える場合にはそれ以上発泡助剤を添加する効果は
ほとんどなく、発泡助剤が無駄となり不経済となる場合
がある。
【0072】原料樹脂を発泡させた後の発泡体の発泡倍
率は10倍以上であることが好ましく、15倍以上であ
ることがより好ましい。10倍未満である場合には樹脂
が充分に発泡しているとはいえず、特に遅延した形状回
復性を有する独立気泡発泡収縮体を得ようとした際には
発泡体セルの座屈が発生することがあり、最終的に得ら
れた独立気泡発泡収縮体が遅延した形状回復性を十分有
しない場合がある。
【0073】(収縮について)本発明において、最終的
に得られる発泡体に遅延した形状回復性を付与する場合
には、独立気泡発泡体を収縮する。
【0074】収縮手段としては特に限定されず、例え
ば、(1)ガス透過係数(PagentおよびPair)の差を利
用する手段、(2)工程(a)において発泡剤を含有す
る原料樹脂を当該発泡剤の沸点よりも高温下で発泡させ
た後、冷却する手段、(3)工程(a)により得られた
独立気泡発泡体を物理的に圧縮する手段、及び(4)外
圧の変化に伴う変形を利用する手段が挙げられる。
【0075】(1)ガス透過係数(PagentおよびPair)
の差を利用する手段においては、発泡剤として、その熱
可塑性樹脂に対するガス透過係数Pagentが樹脂に対する
空気のガス透過係数Pairより大きい関係にあるガスを用
いる。尚、このようなガスとしては無機ガスが好ましい
が有機ガスであってもよい。本手段においては、工程
(a)により独立気泡発泡体を得た後に、この独立気泡
発泡体を常温・常圧下に放置する。すると、上記のよう
にPagent>Pairという関係があるため、独立気泡発泡体
の気泡内から発泡剤が大気中に透過して放散するガスの
方が独立気泡発泡体の気泡内に大気中から透過して入っ
てくる空気より多くなる。
【0076】従って、気泡内圧は大気圧より低くなり、
独立気泡発泡体は大気圧により圧縮される。この大気圧
が独立気泡発泡体を圧縮する力F1と、これに抵抗する
独立気泡発泡体の弾性力F2とが釣り合うまで圧縮が続
くと共に、気泡内から大気圧に放散するガスの量が減少
する。最終的には独立気泡発泡体の気泡内から大気中に
放散するガスの量と、独立気泡発泡体の気泡内に大気中
から入ってくる空気の量とが平衡に達し、収縮が停止し
て独立気泡発泡収縮体となる。この後、独立気泡発泡収
縮体はその弾性力F2のために膨張を開始し、形状回復
する。
【0077】(2)工程(a)において発泡剤を含有す
る原料樹脂を当該発泡剤の沸点よりも高温下で発泡させ
た後、冷却する手段については、前述のとおり若干説明
したが、詳しく説明すると、工程(a)において発泡剤
を含有する原料樹脂を当該発泡剤の沸点よりも高温下で
発泡させると発泡剤は気化する。その後、冷却すると気
化していた発泡剤は再び液化するため、気泡内において
気化状態にあった発泡剤が占めていた体積が液化により
著しく減少する。
【0078】従って、気泡内圧も著しく低下して大気圧
より低くなり、独立気泡発泡体は大気圧により圧縮され
る。この大気圧が独立気泡発泡体を圧縮する力F1と、
これに抵抗する独立気泡発泡体の弾性力F2とが釣り合
うまで圧縮が続き、独立気泡発泡体は独立気泡発泡収縮
体となる。釣り合った平衡状態になると独立気泡発泡収
縮体はその弾性力F2のために膨張を開始し、形状回復
する。尚、発泡剤の沸点が常温以下の場合、独立気泡発
泡体を冷却するための手段を必要とするが、発泡剤の沸
点が常温以上の場合には、特にこのような手段は必要と
されない。
【0079】(3)工程(a)により得られた独立気泡
発泡体を物理的に圧縮する手段を詳細に説明すると、例
えば、シート状の独立気泡発泡収縮体を得るためには、
独立気泡発泡体の両面をプレス、ダブルベルトなどで圧
縮して気泡内のガスを透過させて大気中に放散させる。
また、ロッド状、チューブ状の独立気泡発泡収縮体を得
るためには、ロールに巻き付けながら軸方向に張力をか
けた状態に保ち、気泡内のガスを透過させて大気中に放
散させる。しばらくすると、気泡内の圧力と外界の圧力
とが平衡に達し、独立気泡発泡体は独立気泡発泡収縮体
となる。このとき圧縮を開放しても独立気泡発泡収縮体
は収縮した状態を保持している。
【0080】一方、このように圧縮された後には、独立
気泡発泡収縮体にはその圧縮に抵抗するための弾性力F
2が生じているので、この後、この弾性力F2により独
立気泡発泡収縮体は膨張を開始する。なお、このように
独立気泡発泡体を物理的に圧縮する場合には、圧縮を素
早く行うために独立気泡発泡体に針を刺して気泡の一部
を連続気泡としてもよい。
【0081】(4)外圧の変化に伴う変形を利用する手
段について詳細に説明すると、上記工程(a)を減圧状
態で行い、得られた独立気泡発泡体を減圧状態に保った
ままこの独立気泡発泡体の軟化点未満まで冷却し、次い
で大気圧下に曝す。気泡内部は減圧状態であるので独立
気泡発泡体は大気圧により圧縮される。この大気圧が独
立気泡発泡体を圧縮する力F1と、これに抵抗する独立
気泡発泡体の弾性力F2とが釣り合うまで圧縮が続き、
独立気泡発泡収縮体となる。釣り合った平衡状態になる
と独立気泡発泡収縮体はその弾性力F2のために膨張を
開始し、形状回復する。
【0082】又、これに代えて上記工程(a)を1at
m下で行って得られた独立気泡発泡体の発泡倍率(A)
が、上記工程(a)を減圧下で行って得られた独立気泡
発泡体の発泡倍率(B)を下回るような関係となるよう
に上記工程(a)を減圧状態で行い、次いで大気圧下に
独立気泡発泡体を曝すことによっても独立気泡発泡体を
収縮することができる。
【0083】尚、独立気泡発泡収縮体の樹脂の種類、発
泡倍率、ガス透過度などを適切に制御することによって
形状回復時間を制御することができる。このような形状
回復時間の制御は、本明細書および特開平9−7167
5号公報を考慮したいわゆる当業者によってなされ得
る。
【0084】
【0085】請求項6に記載の発明では、独立気泡発泡
体の気泡中の気体を抜き、該発泡体の体積を収縮させる
が、このようにした発泡体は常温で保管しておいても発
泡体の変形が回復しなくなることがないので、遅延した
形状回復性を有する発泡体を得るための原料発泡体とし
て特に好適である。
【0086】上記「保管」とは独立気泡発泡体が圧縮さ
れた状態で維持されることをいう。例えば、発泡体を厚
み方向に圧縮しながら巻物状態とし、厚みが戻らないよ
うに外側をフィルムで巻いた状態、鉄板のような剛性を
有する平板の間に挟んだ状態、減圧用袋の中に入れ減圧
状態を維持した状態等である。
【0087】気泡中の気体を抜く方法は前述のとおりで
ある。
【0088】原料発泡体の体積を収縮させる前に、その
独立気泡率を10〜90%としておくことが好ましく、
より好ましくは20〜90%、特に好ましくは40〜9
0%とすることである。独立気泡率が20%よりも少な
いと圧縮状態から開放したときに、形状回復のスピード
が速すぎて狭い空間に押し込み難く、作業性が悪くな
る。90%を超えると収縮に要する時間が長くなり生産
性が悪くなる。
【0089】独立気泡率の調節は、原料発泡体と比べて
独立気泡率を下げたい場合は、原料発泡体に切れ目を入
れたり、微細な孔を開けたりすることで容易に達成でき
る。逆に原料発泡体と比べて独立気泡率を上げたい場合
は、表層をフィルムなどで覆って連続気泡部分のセル膜
を閉じる必要がある。
【0090】収縮した発泡体の形状を回復させるには特
に外部からの刺激(光や熱、圧力差など)を必要としな
いが、回復速度を任意の時間内で速めたいときは、例え
ば発泡体を加熱したり、外気を減圧してもよい。加熱す
るには遠赤外線ランプや各種ヒーター、ドライヤーのよ
うな熱風送風機等を用いることができる。
【0091】本発明の発泡体は、圧縮し(発泡体のセル
壁に大きな歪みを与え)た状態で常温以上の雰囲気下に
長時間放置した後にも充分な形状回復(元のセル状態)
を示すことが可能である。
【0092】請求項7記載の発明では、熱可塑性樹脂1
00重量部に対して、圧縮永久歪み値が60%以下であ
るゴム性材料が5重量部を超え250重量部以下の割合
で含有される。熱可塑性樹脂とゴム性材料との混合手段
は特に限定されず、これらを共に押出機に投入して混練
しながら混合する手段、所定温度まで加熱したミキサー
に投入して混合する手段などが挙げられる。
【0093】熱可塑性樹脂とゴム性材料とを混合する際
に、これらに加える温度、圧力などは特に限定されず、
熱可塑性樹脂、ゴム性材料などに応じて適切に選択し得
る。
【0094】上記調整した原料樹脂を架橋及び発泡させ
る。架橋及び発泡の順序は特に限定されない。即ち、原
料樹脂を架橋させた後に発泡させてもよく、或いは原料
樹脂を発泡した後に架橋させてもよい。又、架橋と発泡
とを同時に行ってもよい。
【0095】架橋は発泡前後で2度行ってもよい。即
ち、発泡前に一旦原料樹脂を予備架橋した後に発泡さ
せ、その後もう一度架橋を行ってもよい。このように発
泡前に予備架橋した後の熱可塑性樹脂のゲル分率は10
〜70%であることが好ましい。10%未満の場合や7
0%を超える場合には、発泡倍率の高い発泡体を得るこ
とができなくなる。発泡倍率を15倍(15cc/g)
以上にするためには、上記ゲル分率は20〜65%であ
ることが好ましい。
【0096】請求項7における遅延した形状回復性を有
する独立気泡発泡収縮体に使用する熱可塑性樹脂は、そ
の分子鎖同士が架橋しており、ゲル分率が30%以上で
あるので、物理的に圧縮されて変形されたことにより分
子鎖に大きな歪みが生じた場合であっても、分子鎖同士
が絡まった状態が維持されている。従って、独立気泡発
泡収縮体においては物理的な圧縮に抵抗する弾性力が生
じており、これにより本発明に係る独立気泡発泡収縮体
は遅延した形状回復性を有する。
【0097】そして、ゲル分率が30%以上となるよう
に樹脂を架橋させただけでは独立気泡発泡収縮体の形状
回復に必要な弾性力が充分とは言えないが、本発明にお
いては、上記ゴム性材料が含まれているので形状回復に
必要な弾性力が補なわれている。
【0098】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例と共に説明
するが、以下の実施例は例示の目的にのみ用いられ、限
定の目的に用いられてはならない。 (実施例1)メタロセン系触媒を用いて重合された熱可
塑性樹脂としてポリエチレン樹脂(ダウ・ケミカル社
製、商品名:PL1880)100重量部と、発泡剤と
しての15重量部のアゾジカルボンアミド(大塚化学社
製、分解ピーク温度:200℃)と、ゴム性材料として
の20重量部のスチレン−エチレン−ブチレン−スチレ
ン共重合体(以下「SEBS」という、JSR社製、商
品名:ラバロンSE5400N、圧縮永久歪み値:42
%)と、発泡助剤としての2重量部の酸化亜鉛とを、セ
ルフワイピング型の2条スクリューエレメントとニーデ
ィングディスクエレメントとからなる直径39mm、L
/D=42のスクリューを備えた噛み合い型同方向回転
二軸スクリュー押出機に投入して、この押出機の温度を
145℃に設定して溶融混練して押し出し、厚み2.0
mmの原料樹脂シートを得た。
【0099】次に、この原料樹脂シートの両面に750
kV×6Mradの電子線を照射することによりポリエ
チレンを架橋させた。その後、240℃まで加熱するこ
とによりポリエチレンを発泡させて独立気泡発泡シート
を得た。シートの厚みAは5.5mmであり、発泡倍率
は21倍であり、独立気泡率は81%であった。尚、実
施例および比較例においてシートの厚みの測定には厚み
ゲージを用いた。
【0100】この独立気泡発泡シートを縦100mm×
横100mmに裁断し、直径500μmの針を用いて孔
間隔が5mm(即ち、孔あけ密度4孔/cm2 )となる
ように、裁断片の表裏を貫通する通気路を裁断片に穿設
した。次いでこの裁断片の両面に750kV×20Mr
adの電子線を照射することによりポリエチレンをもう
一度架橋させた(以下、このようにして得られた発泡シ
ートを「収縮前サンプルシート」という)。この架橋後
の収縮前サンプルシートのゲル分率は69%であった。
【0101】上記厚み5.5mmの収縮前サンプルシー
トを、プレス板間に1.1mmのスペーサーを備えたプ
レス装置を用いて厚み1.1mmまで圧縮し、12時
間、この圧縮した状態を保持して、遅延した形状回復性
を有する独立気泡発泡収縮シートを得た。なお、実施例
2以降では収縮前サンプルシート厚みの5分の1になる
ようにスペーサー厚みを適宜選択した。
【0102】上記シートの厚みを測定した後、シートを
プレス板に挟んだまま50℃に設定したオーブン内に5
日間放置した。その後、プレス板から取り出し、次いで
室温で30日間放置して形状を回復させた。この形状回
復後の厚みBを厚みゲージを用いて測定したところ3.
3mmであり、収縮前のシートの厚みAおよび形状回復
後の厚みBとから、形状回復率を式「形状回復率C=B
/A×100%」に従って求めたところ61%であっ
た。
【0103】尚、各実施例及び各比較例において、発泡
倍率および独立気泡率は以下のようにして求めた。 〔発泡倍率〕得られた独立気泡発泡シートから縦35mm
×横35mmの小片を切り出し、その小片を水が入れられ
たメスシリンダー内に沈めてその体積Aを測定するとと
もに、電子天秤を用いてその重量を測定する。そして、
得られた独立気泡発泡シートの重量を独立気泡発泡シー
トの小片の体積Aで除することによって独立気泡発泡シ
ートの密度を算出し、式「発泡倍率=用いた樹脂の発泡
前の密度/独立気泡発泡シートの密度」より求める。 〔独立気泡率〕空気比較式比重計1000型(東京サイ
エンス社製)を用い、1〜1/2〜1気圧法で体積B
(独立気泡体積+樹脂体積)を測定する。そして、独立
気泡率=(体積B−重量/樹脂の密度)/(体積A−重
量/樹脂の密度)の式により求める。
【0104】(実施例2)熱可塑性樹脂としてメタロセ
ン系触媒を用いて重合されたポリエチレン樹脂(ダウ・
ケミカル社製、商品名:HF1030)としたこと、及
びゴム性材料としてSEBSを50重量部用いたこと以
外は実施例1と同様にして厚み2.0mmの原料樹脂シ
ートを得た。
【0105】次に、この原料樹脂シートの両面に750
kV×8radの電子線を照射することによりポリエチ
レンを架橋させた。その後、240℃まで加熱すること
によりポリエチレンを発泡させて独立気泡発泡シートを
得た。シートの厚みAは5.8mmであり、発泡倍率は
25倍であり、独立気泡率は69%であった。
【0106】次いで、この独立気泡発泡シートから実施
例1と同様にして裁断片を得、この裁断片の両面に75
0kV×10Mradの電子線を照射することによりポ
リエチレンをもう一度架橋して収縮前サンプルシートを
作製した。この架橋後の収縮前サンプルシートのゲル分
率は68%であった。
【0107】この厚み5.8mmの収縮前サンプルシー
トを実施例1と同様にして圧縮し、オーブン内に入れ、
その後形状を回復させた。この形状回復後の厚みBは
3.7mmであり、形状回復率は64%であった。
【0108】(実施例3)熱可塑性樹脂として三菱化学
株式会社製の低密度ポリエチレン樹脂(商品名:LD5
20H)を用いたこと、およびゴム性材料として60重
量部のオレフィン系熱可塑性エラストマー(住友化学株
式会社製、商品名:TPE−4552、圧縮永久歪み
値:44%)を用いたこと以外は実施例1と同様にし
て、厚み2.0mmの原料樹脂シートを得た。
【0109】次に、この原料樹脂シートの両面に実施例
1と同様にしてポリエチレンを架橋させた。その後、2
40℃まで加熱することによりポリエチレンを発泡させ
て独立気泡発泡シートを得た。シートの厚みAは6.1
mmであり、発泡倍率は30倍であり、独立気泡率は8
0%であった。
【0110】次いで、この独立気泡発泡シートから実施
例1と同様にして裁断片を得、実施例1と同様に電子線
を照射することによりポリエチレンをもう一度架橋して
収縮前サンプルシートを作製した。この架橋後の収縮前
サンプルシートのゲル分率は73%であった。
【0111】上記厚み6.1mmの収縮前サンプルシー
トを実施例1と同様にして圧縮し、オーブン内に入れ、
その後形状を回復させた。この形状回復後の厚みBは
3.9mmであり、形状回復率は64%であった。
【0112】(実施例4)熱可塑性樹脂として三菱化学
株式会社製の低密度ポリエチレン樹脂(商品名:LD5
20H)を用いたこと、およびゴム性材料として150
重量部のスチレン系熱可塑性エラストマー(住友化学株
式会社製、商品名:TPE−SB2400、圧縮永久歪
み値:38%)を用いたこと以外は実施例1と同様にし
て、厚み2.0mmの原料樹脂シートを得た。
【0113】次に、この原料樹脂シートの両面に実施例
1と同様に電子線を照射することによりポリエチレンを
架橋させた。その後、240℃まで加熱することにより
ポリエチレンを発泡させて独立気泡発泡シートを得た。
シートの厚みAは6.0mmであり、発泡倍率は29倍
であり、独立気泡率は77%であった。
【0114】次いで、この独立気泡発泡シートから実施
例1と同様にして裁断片を得、この裁断片に750kV
×10Mradの電子線を照射することによりポリエチ
レンをもう一度架橋して収縮前サンプルシートを作製し
た。この架橋後の収縮前サンプルシートのゲル分率は6
8%であった。
【0115】この厚み6.0mmの収縮前サンプルシー
トを実施例1と同様にして圧縮し、オーブン内に入れ、
その後形状を回復させた。この形状回復後の厚みBは
3.6mmであり、形状回復率は60%であった。
【0116】(実施例5)100重量部の低密度ポリエ
チレン樹脂(三菱化学株式会社製、商品名:LF540
B)と、ゴム性材料としての20重量部のSEBSと、
核形成剤としての1重量部のタルク(日本タルク株式会
社製、商品名:MS)とを、直径65mmの1軸押出機
に投入して、この押出機の温度を130℃に設定して溶
融混練しながら、発泡剤としての10重量部のペンタン
(沸点36.07℃)を添加した。このようにして溶融
混練して調製された原料樹脂を押出機の先端に設けられ
た金型から押し出しながら発泡させた。この金型は10
5℃に設定されており、厚み2.0mm、幅100mm
の押出口を有しており、この押出口から原料樹脂シート
を発泡させながら押し出して独立気泡発泡シートとし
た。なお、この独立気泡発泡シートの厚みは6.0mm
であり、発泡倍率は27倍であり、独立気泡率は60%
であった。
【0117】上記独立気泡発泡シートを押出直後に縦1
00mm×横100mmに裁断し、直径500μmの針
を用いて孔間隔が10mm(すなわち、孔あけ密度1孔
/cm2 )となるように、裁断片の表裏を貫通する通気
路を裁断片に穿設した。次いでこの裁断片の両面に75
0kV×80Mradの電子線を照射することによりポ
リエチレンを架橋した(以下、本実施例においては、こ
のようにして得られた発泡シートを「収縮前サンプルシ
ート」という)。この架橋後の収縮前サンプルシートの
ゲル分率は56%であった。
【0118】この厚み6.0mmの収縮前サンプルシー
トをプレス板間に1.2mmのスペーサーを備えたプレ
ス装置を用いて厚み1.2mmまで圧縮し、12時間、
この圧縮した状態を保持して、遅延した形状回復性を有
する独立気泡発泡収縮シートを得た。
【0119】このシートの厚みを測定した後、シートを
プレス板に挟んだまま50℃に設定したオーブン内に5
日間放置した。その後、プレス板から取り出し、次いで
室温で30日間放置して形状を回復させた。この形状回
復後の厚みBを測定したところ3.3mmであり、形状
回復率は55%であった。
【0120】(実施例6)熱可塑性樹脂として実施例1
と同様のポリエチレン樹脂(商品名:PL1880)を
用い、ゴム性材料として25重量部のオレフィン系熱可
塑性エラストマー(AESジャパン社製、商品名:サン
トプレーン201−68W、圧縮永久歪み値:30%)
を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚み2.0
mmの原料樹脂シートを得た。
【0121】次に、この原料樹脂シートの両面に750
kV×10Mradの電子線を照射することによりポリ
エチレンを架橋させた。その後、240℃まで加熱する
ことによりポリエチレンを発泡させて独立気泡発泡シー
トを得た。シートの厚みAは6.1mmであり、発泡倍
率は20倍であり、独立気泡率は80%であった。
【0122】これをこのまま収縮前サンプルシートと
し、実施例1と同様にして圧縮し、オーブン内に入れ、
その後形状を回復させた。この形状回復後の厚みBは
3.4mmであり、形状回復率は55%であった。な
お、ゲル分率は55%であった。
【0123】(実施例7)実施例1のゴム性材料を30
重量部として厚み2.0mmの原料樹脂シートを得た。
次に、この原料樹脂シートの両面に電子線を4Mrad
照射することによりポリエチレンを架橋させた。架橋後
のポリエチレンのゲル分率は25%であった。その後、
240℃まで加熱することによりポリエチレンを発泡さ
せて独立気泡発泡シートを得た。この独立気泡発泡シー
トの厚みAは5.5mmであり、発泡倍率は24倍であ
り、独立気泡率は80%であった。
【0124】(比較例1)用いられるゴム性材料を0.
5重量部としたこと以外は実施例1と同様にして、厚み
2.0mmの原料樹脂シートを得た後にポリエチレンを
架橋させた。その後、240℃まで加熱することにより
ポリエチレンを発泡させて独立気泡発泡シートを得た。
シートの厚みAは5.2mmであり、発泡倍率は20倍
であり、独立気泡率は85%であった。
【0125】次いで、この独立気泡発泡シートから実施
例1と同様にして裁断片を得、裁断片に電子線を照射す
ることによりポリエチレンをもう一度架橋して収縮前サ
ンプルシートを作製した。この架橋後の収縮前サンプル
シートのゲル分率は67%であった。
【0126】この厚み5.2mmの収縮前サンプルシー
トを、実施例1と同様にして圧縮し、オーブン内に入
れ、その後形状を回復させた。この形状回復後の厚みB
は1.6mmであり、形状回復率は31%であった。
【0127】(比較例2)用いられるゴム性材料を実施
例4と同じスチレン系熱可塑性エラストマー(住友化学
株式会社製、商品名:TPE−SB2400、圧縮永久
歪み値:38%)として300重量部添加したこと以外
は、実施例1と同様にして厚み2.0mmの原料樹脂シ
ートを得た。次いで、この原料樹脂シートに750kV
×8Mradの電子線を照射することによりポリエチレ
ンを架橋させた。この架橋後のポリエチレンのゲル分率
は51%であった。その後、240℃まで加熱すること
によりポリエチレンを発泡させようとしたが、発泡倍率
は4倍であり、樹脂が充分に発泡しなかった。これは、
原料樹脂シートにおけるゴム性材料があまりにも多すぎ
るためと考えられる。なお、240℃まで加熱した後の
シートの厚みは3.0mmであった。
【0128】(比較例3)用いられるゴム性材料として
オレフィン系熱可塑性エラストマー(住友化学株式会社
製、商品名:TPE−820、圧縮永久歪み値:92
%)20重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様に
して厚み2.0mmの原料樹脂シートを得た。次に、こ
の原料樹脂シートの両面に実施例1と同様に電子線を照
射することによりポリエチレンを架橋させた。その後、
240℃まで加熱することによりポリエチレンを発泡さ
せて独立気泡発泡シートを得た。シートの厚みAは5.
6mmであり、発泡倍率は25倍であり、独立気泡率は
86%であった。
【0129】次いで、この独立気泡発泡シートから実施
例1と同様にして裁断片を得、この裁断片に750kV
×10radの電子線を照射することによりポリエチレ
ンをもう一度架橋して収縮前サンプルシートを作製し
た。この架橋後の収縮前サンプルシートのゲル分率は6
4%であった。
【0130】この厚み5.6mmの収縮前サンプルシー
トを実施例1と同様にして圧縮し、オーブン内に入れ、
その後形状を回復させた。この形状回復後の厚みBは
1.7mmであり、形状回復率は30%であった。
【0131】次いで、この独立気泡発泡シートから実施
例1と同様にして裁断片を得、この裁断片に架橋を施さ
ずに、そのまま収縮前サンプルシートとした。この厚み
5.6mmの収縮前サンプルシートを実施例1と同様に
して圧縮し、オーブン内に入れた後形状を回復させた。
この形状回復後の厚みBは2.0mmであり、形状回復
率は35%であった。上記各実施例および各比較例の結
果を以下の表1および表2に示す。なお、各実施例およ
び各比較例においては、別途、ゴム性材料を含まない独
立気泡発泡体を作製し、この独立気泡発泡体のゲル分率
を各実施例および各比較例におけるゴム性材料を含む独
立気泡発泡体におけるゲル分率としている。
【0132】
【表1】
【0133】
【表2】
【0134】表1および表2において、各実施例と比較
例1および2とを比較すると、ポリエチレン樹脂100
重量部に対して、圧縮永久歪み値が60%以下であるゴ
ム性材料が5重量部を超え250重量部以下の割合で含
まれている独立気泡発泡収縮シートにおいては、50℃
の温度下で収縮させた状態で5日間放置した後であって
も、40%以上の形状回復性を有し、従って耐熱性に優
れることが理解される。一方、ゴム性材料が5重量部未
満である場合には、得られた独立気泡発泡収縮シートの
形状回復性は低く、耐熱性に劣ることが理解される。ま
た、ゴム性材料が250重量部を超える場合には発泡が
充分に行われないことも理解される。
【0135】また、各実施例と比較例3とを比較する
と、ゴム性材料の圧縮永久歪み値が60%以下である場
合には、50℃の温度下で収縮させた状態で5日間放置
した後であっても、独立気泡発泡収縮シートは40%以
上の形状回復性を有し、従って耐熱性に優れることが理
解される。一方、ゴム性材料の圧縮永久歪み値が60%
を超える場合には、得られた独立気泡発泡収縮シートの
形状回復性は低く、耐熱性に劣ることが理解される。
【0136】(実施例8)低密度ポリエチレン(三菱化
学社製,商品名「LE520H」)100重量部と、発
泡剤としてアゾジカルボンアミド(分解ピーク温度20
0℃)15重量部、酸化亜鉛2重量部とをセルフワイピ
ング型の二条スクリューエレメントとニーディングディ
スクエレメントからなる直径39mm、L/D=42の
スクリューを備えた噛み合い型同方向回転二軸スクリュ
ー押出機(145℃設定)に投入して混練した。この混
練物を2.0mmの厚みでシート状に押出成形した。得
られたシートの両面に750kV×4Mradの電子線
を照射して架橋させた後、240℃で加熱発泡させて厚
み6.0mm、発泡倍率28倍の「原料発泡体」を得
た。
【0137】この原料発泡体を縦100mm×横100
mmの大きさに裁断した後、直径500μmの針を用い
て孔間隔5mm(密度4個/cm2 )で上記裁断片の表
裏面に貫通する通気路を設け、これを「収縮前サンプ
ル」とした。上記収縮前サンプルを1.2mmのスペー
サーを備えたプレス板の間で圧縮し、圧縮状態を12時
間保持して「形状回復発泡体」を得た。尚、実施例8以
降では収縮前サンプル厚みの5分の1の厚みとなるよう
にスペーサーの厚みを適宜選択した。
【0138】(実施例9)実施例8で用いた低密度ポリ
エチレンをメタロセン系ポリエチレン(ダウ・ケミカル
社製,商品名「HF1030」)に変更し、発泡前の電
子線照射量を8Mrad、収縮前サンプルへの照射量を
120Mradとしたこと以外は実施例8と同様にして
形状回復性発泡体を作製した。
【0139】(実施例10)実施例8で用いた低密度ポ
リエチレンを直鎖状低密度ポリエチレン(ダウ・ケミカ
ル社製,商品名「ダウレックス2037」)に変更し、
発泡前の電子線照射量を8Mrad、収縮前サンプルへ
の照射量を75Mradとしたこと以外は実施例8と同
様にして形状回復性発泡体を作製した。
【0140】(実施例11)メタロセン系ポリエチレン
(ダウ・ケミカル社製,商品名「HF1030」)10
0重量部と、発泡剤としてアゾジカルボンアミド(分解
ピーク温度200℃)15重量部、ゴム性成分としてス
チレン系熱可塑性エラストマー(住友化学社製,商品名
「TPE−SB2400」,圧縮永久歪み値38%)2
5重量部と、酸化亜鉛2重量部とをセルフワイピング型
の二条スクリューエレメントとニーディングディスクエ
レメントからなる直径39mm、L/D=42のスクリ
ューを備えた噛み合い型同方向回転二軸スクリュー押出
機(145℃設定)に投入して混練した。この混練物を
2.0mmの厚みでシート状に押出成形した。
【0141】得られたシートは750kV×8Mrad
の電子線を両面に照射して架橋させた後、240℃で加
熱発泡させて厚み6.0mm、発泡倍率28倍の「原料
発泡体」を得た。この原料発泡体を縦100mm×横1
00mmの大きさに裁断した後、直径500μmの針を
用いて孔間隔5mm(密度4個/cm2 )で上記裁断片
の表裏面に貫通する通気路を設けた。これを「収縮前サ
ンプル」とした。上記収縮前サンプルを1.2mmのス
ペーサーを備えたプレス板の間で圧縮し、圧縮状態を1
2時間保持して形状回復発泡体を得た。一方、上記一連
の操作において、「ゴム性成分を含まない原料発泡体」
及び「ゴム性成分を含まない収縮前サンプル」を別途作
製し、これをゲル分率測定用サンプルとした。
【0142】(実施例12〜15)ゴム性成分の配合量
を表3に示す通りとしたこと以外は実施例11と同様に
して形状回復発泡体を作製した。
【0143】(実施例16、17)ゴム性成分を実施例
15ではオレフィン系熱可塑性エラストマー(AESジ
ャパン社製,商品名「サントプレーン201−68
W」,圧縮永久歪み値30%)に、実施例16ではスチ
レン系熱可塑性エラストマー(住友化学社製,商品名
「SB2710」,圧縮永久歪み値45%)にそれぞれ
変更したこと以外は実施例11と同様にして形状回復発
泡体を作製した。
【0144】(実施例18)メタロセン系ポリエチレン
(ダウ・ケミカル社製,商品名「HF1030」)10
0重量部と、核形成剤としてタルク(日本タルク社製,
商品名「MS」)1重量部、ゴム性成分としてウレタン
系熱可塑性エラストマー(日本ミラクトラン社製,商品
名「E590」,圧縮永久歪み値31%)25重量部と
をφ65mmの一軸押出機(260℃設定)に投入して
混練すると共に、発泡剤としてのブタンを樹脂100重
量部に対して10重量部の割合でこの混練物に添加し
た。尚、エラストマーは予め粉砕し、粉状にして配合し
た。これを200℃に設定した厚さ2mm、幅100m
mの押出口金から20kg/hrで連続的に押出して原
料発泡体を得た。
【0145】上記原料発泡体を縦100mm×横100
mmの大きさに裁断した後、直径500μmの針を用い
て孔間隔5mm(密度4個/cm2 )で上記裁断片の表
裏面に貫通する通気路を設けた。これを「収縮前サンプ
ル」とした。続いて750kV×6Mradの電子線を
両面に照射して架橋させ収縮前架橋サンプルとした。次
に、上記収縮前架橋サンプルを厚み方向に圧縮し、圧縮
状態を12時間保持して形状回復発泡体を得た。
【0146】(実施例19〜22)実施例11で用いた
低密度ポリエチレンを実施例19ではメタロセン系ポリ
エチレン(ダウ・ケミカル社製,商品名「エリート51
10」)に変更し、実施例20ではメタロセン系ポリエ
チレン(三石社製,商品名「SP4060」)に、実施
例21では直鎖状低密度ポリエチレン(ダウ・ケミカル
社製,商品名「ダウレックス2037」)に、実施例2
2では実施例8と同じ低密度ポリエチレン(三菱化学社
製,商品名「LE520H」)に、且つゴム性成分をオ
レフィン系熱可塑性エラストマー(住友化学社製,商品
名「TPE4552」,圧縮永久歪み値44%)にそれ
ぞれ変更したこと以外は実施例11と同様にして形状回
復発泡体を得た。
【0147】(比較例4)発泡後の電子線照射量を10
Mradとしたこと以外は実施例8と同様にして形状回
復発泡体を作製した。
【0148】(比較例5、6)表5に示す樹脂とゴム性
成分をそれぞれの量で配合したこと以外は実施例8と同
様にして形状回復発泡体を作製した。
【0149】(比較例7)ゴム性成分を住友化学社製、
商品名「TPE−820」(圧縮永久歪み値92%)2
5重量部、収縮前サンプルへの電子線照射量を6Mra
dとしたこと以外は実施例22と同様にして形状回復発
泡体を作製した。
【0150】(比較例8)実施例11の配合比の樹脂類
を圧力型の中に充填して加圧状態で加熱し、発泡剤を分
解した後に型を開いて発泡剤を得た。この発泡体に電子
線を1Mradで照射して原料発泡体とした。
【0151】(比較例9〜11)ゴム性成分を配合せ
ず、表5に示す樹脂成分だけを使用し、発泡前後の電子
線照射量を表5に示す通りとした。
【0152】性能評価 (1)ゲル分率:前記JIS C 3005に準じて測
定した。 (2)変形追従性:図1は変形追従性を調べる方法を示
す断面図であり、下板2の上面に発泡体1(50℃保管
せず)を貼付し、スペーサー4を介して下面に凹凸を有
する上板3を被せて固定し、30日放置した後、発泡体
1と上板3との隙間の状態を観察し、隙間のないものを
○、図2に示すように隙間tがあるものを×で表した。 (3)施工性:発泡体をプレス板に挟んだまま50℃の
オーブン内で7日間放置した後、プレス板を開放して取
り出した2枚の発泡体1a、1bを重ねて貼り合わせ、
これを図3に示すように4.5mmの隙間を開けて向き
合う2枚の板5、51の間へ押し込み、その作業の難易
を評価した。 (4)形状回復率:収縮前サンプルの厚みA(mm)
と、これを上記(3)でプレス板を開放して取り出し、
室温で25日間放置した後の厚みB(mm)を測定し、
厚み回復率Cを次式により算出した。 厚み回復率C(%)=B/A×100 以上の結果を表3〜5に示した。
【0153】
【表3】
【0154】
【表4】
【0155】
【表5】
【0156】表3、4の各実施例と表5の比較例を比較
すると、実施例のものはいずれも圧縮回復率が高く、施
工性にも優れている。しかし、比較例4、5ではゴム性
成分が含まれないか、含まれても5重量部未満であるか
ら圧縮回復率が低い。比較例6のものはゴム性成分の含
有量が250重量部を超えているので発泡体とすること
ができず、比較例7のものは圧縮永久歪みが60%を超
えているので圧縮回復率が低い。又、比較例8のものは
ゲル分率が10%未満であるため特に圧縮回復率が低
く、比較例9、10のものはゴム性成分が含まれていな
いので、圧縮回復率が低い。比較例11のものは圧縮回
復率は高いが、連続気泡だけであるため回復が早すぎ、
隙間に充填する施工性が悪かった。
【0157】
【発明の効果】本発明に係る遅延した形状回復性を有す
る独立気泡発泡収縮体は、収縮した状態で物と物との隙
間に挟み込まれた場合のように、長期に渡って荷重がか
かり、変形を受けたまま用いられても、独立気泡発泡収
縮体が元来有しているクッション性、シール性などを保
持し、さらに高い発泡倍率を保持しているだけでなく、
耐熱性及び緩衝性をも有している。従って、住宅の隙間
部分(壁と壁の間の隙間、天井と壁、基礎土台と建築木
材、屋根材同士、柱同士の突き合わせ部分、壁とコンセ
ント類との隙間、床材同士、窓枠と壁、扉と壁等のそれ
ぞれの隙間、風呂パネル間の隙間、バスタブ回りや洗面
具、トイレの浄化槽回りの隙間)や、住宅部材の間(例
えば、窓ではサッシと構造材との間、天井では瓦と屋根
部材との間等)、各種器具や家具の隙間などに好適に用
いることができる。本発明により、上記耐熱性に優れた
発泡体ならびに遅延した形状回復性を有する独立気泡発
泡収縮体およびその製造方法が提供され、特にそのなか
でも、常温より高い状態に収縮した状態のまま長時間放
置した後であっても遅延した形状回復性を有する独立気
泡発泡収縮体およびその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】変形追従性を調べる方法を示す断面図。
【図2】変形追従性を調べる状態を示す断面図。
【図3】施工性を評価するための方法を示す断面図。
【符号の説明】
1,1a,1b:発泡体 2:下板 3:上板 4:スペーサー 5,51:板 t:隙間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 101/16 C08L 101/00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 独立気泡率が10〜100%である熱可
    塑性樹脂発泡シートを、そのシートの厚みを一定に保持
    して50℃に加熱した状態で1週間経過させた後、23
    ℃の雰囲気下で発泡シートを一定の厚みの保持状態から
    開放して放置し、25日以内にシート厚みが少なくとも
    1.7倍以上に膨張する発泡体。
  2. 【請求項2】 50℃の雰囲気下において、独立気泡率
    が10〜100%である熱可塑性樹脂発泡シートの厚み
    方向に外力を加えて圧縮することにより圧縮前の厚みの
    5分の1以下の厚みとし、その圧縮状態での厚みを保持
    したまま該発泡シートを50℃に加熱し、そのまま50
    ℃で1週間経過した後に23℃の雰囲気下で圧縮状態か
    ら開放し、25日以内に前記圧縮前の厚みの少なくとも
    34%まで厚みが回復する発泡体。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂の発泡完了後に発泡体を架
    橋し、ゲル分率を80〜100%としたことを特徴とす
    る請求項1又は請求項2に記載の発泡体。
  4. 【請求項4】 ゲル分率が10%以上である熱可塑性樹
    脂100重量部に対して、圧縮永久歪み値が60%以下
    であるゴム性材料が5重量部以上250重量部以下含ま
    れていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載
    の発泡体。
  5. 【請求項5】 ゲル分率が30%以上である熱可塑性樹
    脂100重量部に対して、圧縮永久歪み値が60%以下
    であるゴム性材料が5重量部を超え250重量部以下の
    割合で含まれており、遅延した形状回復性を有する独立
    気泡発泡収縮体。
  6. 【請求項6】 熱可塑性樹脂の発泡完了後に発泡体を架
    橋してゲル分率を80〜100%とした発泡体、又は、
    ゲル分率が10%以上である熱可塑性樹脂100重量部
    に対して、圧縮永久歪み値が60%以下であるゴム性材
    料が5重量部以上250重量部以下含まれる原料樹脂を
    発泡させて独立気泡発泡体を得る工程(a)、及び該独
    立気泡発泡体の気泡中の気体を抜くことにより、上記発
    泡体を収縮させる工程(b)とよりなる遅延した形状回
    復性を有する独立気泡発泡収縮体の製造方法。
  7. 【請求項7】 熱可塑性樹脂100重量部に対して、圧
    縮永久歪み値が60%以下であるゴム性材料が5重量部
    を超え250重量部以下の割合で含まれている原料樹脂
    を、熱可塑性樹脂のゲル分率が30%以上となるように
    架橋および発泡させて独立気泡発泡体を得る工程
    (a)、及び該独立気泡発泡体を収縮させる工程(b)
    とよりなる遅延した形状回復性を有する独立気泡発泡収
    縮体の製造方法。
JP11222790A 1998-10-14 1999-08-05 発泡体ならびにそれを利用した遅延した形状回復性を有する独立気泡発泡収縮体およびその製造方法 Pending JP2000186165A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11222790A JP2000186165A (ja) 1998-10-14 1999-08-05 発泡体ならびにそれを利用した遅延した形状回復性を有する独立気泡発泡収縮体およびその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10-292247 1998-10-14
JP29224798 1998-10-14
JP11222790A JP2000186165A (ja) 1998-10-14 1999-08-05 発泡体ならびにそれを利用した遅延した形状回復性を有する独立気泡発泡収縮体およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000186165A true JP2000186165A (ja) 2000-07-04

Family

ID=26525088

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11222790A Pending JP2000186165A (ja) 1998-10-14 1999-08-05 発泡体ならびにそれを利用した遅延した形状回復性を有する独立気泡発泡収縮体およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000186165A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005342500A (ja) * 2004-05-13 2005-12-15 La Pointique Internatl Ltd 圧縮装具のための弾性材料等
JP2009074014A (ja) * 2007-09-21 2009-04-09 Toyo Quality One Corp ゴム発泡体及びその製造方法
JP2010031137A (ja) * 2008-07-29 2010-02-12 Sekisui Chem Co Ltd 独立気泡発泡シート
CN105885294A (zh) * 2016-06-15 2016-08-24 苏州锦腾电子科技有限公司 一种电子产品用包装材料及其制备方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005342500A (ja) * 2004-05-13 2005-12-15 La Pointique Internatl Ltd 圧縮装具のための弾性材料等
JP2009074014A (ja) * 2007-09-21 2009-04-09 Toyo Quality One Corp ゴム発泡体及びその製造方法
JP2010031137A (ja) * 2008-07-29 2010-02-12 Sekisui Chem Co Ltd 独立気泡発泡シート
CN105885294A (zh) * 2016-06-15 2016-08-24 苏州锦腾电子科技有限公司 一种电子产品用包装材料及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4663023B2 (ja) 架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シート及び粘着テープ
JP6082239B2 (ja) 樹脂発泡体シート、樹脂発泡体シート製造方法、及び樹脂発泡複合体
TW201241064A (en) Resin foam and production method therefor
JP7295623B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂発泡シート及びそれを用いた粘着テープ
JP2000186165A (ja) 発泡体ならびにそれを利用した遅延した形状回復性を有する独立気泡発泡収縮体およびその製造方法
JP2001139929A (ja) シール材の施工方法
JP2019147918A (ja) ポリオレフィン系樹脂発泡体
JP5227058B2 (ja) 積層発泡シート
JPH07188442A (ja) ポリエチレン系樹脂発泡体
JP2007332177A (ja) ポリオレフィン系樹脂連続気泡発泡シート
JPH059325A (ja) オレフイン系エラストマー組成物の架橋発泡体の製造方法
JP2002146075A (ja) ポリオレフィン系樹脂発泡体およびポリオレフィン系樹脂組成物
JPH0347849A (ja) 部分架橋熱可塑性エラストマー発泡体およびその製造方法
JP4313637B2 (ja) 架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体
JP2851507B2 (ja) 発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物
JPH03139535A (ja) ポリオレフィン架橋発泡体用組成物
JPH08142155A (ja) ポリオレフィン系樹脂架橋発泡体の製造法及び該製造法で製造したポリオレフィン系樹脂架橋発泡体
JPH059326A (ja) オレフイン系エラストマー組成物の架橋発泡体の製造方法
JP2015151478A (ja) 架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体
JP2000246850A (ja) 積層シート
JP2000119429A (ja) 発泡体の製造方法およびこの発泡体を利用した遅延した形状回復性を有する独立気泡発泡収縮体の製造方法
JPH07224182A (ja) ポリオレフィン架橋発泡体の製造方法
JPH07224183A (ja) ポリオレフィン系架橋樹脂発泡体及び該発泡体の製造方法
JP2851509B2 (ja) 発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物
JPS633038A (ja) ポリプロピレン系発泡体の製造方法