JP2000186060A - ビフェニル−2−カルボン酸の製造方法 - Google Patents
ビフェニル−2−カルボン酸の製造方法Info
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Abstract
でビフェニル−2−カルボン酸を製造する。 【解決手段】 フルオレンの酸化生成物であるフルオレ
ノンを、アルコールおよびケトン以外の有機溶媒中、分
散状態の水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムと加熱
下に反応させ、生成物を酸析により回収すると、短い反
応時間で定量的収率で99%以上の純度のビフェニル−2
−カルボン酸が得られる。
Description
して広く利用されているビフェニル−2−カルボン酸の
製造方法に関するものである。
態の水酸化カリウムにフルオレノンを加えて反応させる
アルカリ溶融法 (Chem. Ber., 39, (1906) 801) により
工業的に製造されている。この反応は下記反応式の第二
段 [即ち、(b) 式] に示す反応である。
はカリウム塩として得られるので、反応生成物を酸と反
応させて遊離のビフェニル−2−カルボン酸を回収す
る。このアルカリ溶融法の原料であるフルオレノンは、
上記反応式の第一段[(a)式] に示すように、フルオレン
を酸化クロム(VI)などの酸化剤で酸化するか、空気酸化
することにより容易に製造できる。フルオレンはコール
タール中に約1.6 %の割合で存在しており、コールター
ルの蒸留により安価に取得できる化合物である。従っ
て、フルオレンの酸化生成物であるフルオレノンを原料
とする上記方法は、高純度の原料を安価に得ることがで
きるという利点がある。
が220 ℃以上と非常に苛酷な反応条件を必要とするこ
と、反応系が非常に流動性の悪い濃厚なスラリーであ
り、操作性が悪いこと、多量の水酸化カリウムを使用す
るため、後工程で多量の水や酸が必要である上、目的物
の回収が容易でなく、また廃水も多量に発生すること、
といった多くの問題点があり、ビフェニル−2−カルボ
ン酸の工業的な製造にとって有利な方法とは言えない。
触媒の存在下で液相空気酸化する方法(EP-0 300 922)、
ビフェニル−2−カルボニトリルを金属水酸化物の存在
下に溶媒中で加水分解する方法 (特開平10−077244号公
報) といった、別の原料から出発するビフェニル−2−
カルボン酸の製造方法も提案されている。しかし、これ
らの原料は高純度品を安価に得ることが容易でなく、原
料の入手の点で工業的に有利な方法ではない。
度品を安価に取得できるフルオレノンを原料として、工
業的に有利な反応操作でビフェニル−2−カルボン酸を
製造することができる方法を提供することにある。
ノンと水酸化カリウムとの反応によるビフェニル−2−
カルボン酸の製造について検討した結果、水酸化カリウ
ムを溶融状態で使用するのではなく、単に有機溶媒中に
分散状態で存在させるだけで、フルオレノンと極めて迅
速に反応し、高純度の生成物を短い反応時間で収率よく
得ることができること、およびこの反応は水酸化ナトリ
ウムのような他のアルカリ金属水酸化物でも可能である
ことを見出し、本発明を完成させた。
よびケトン以外の有機溶媒中、アルカリ金属水酸化物と
加熱下に反応させることを特徴とする、ビフェニル−2
−カルボン酸の製造方法である。
の方法では、反応温度を従来の220℃から100 ℃以下ま
で下げることができ、使用するアルカリ金属水酸化物の
量は、原料フルオレノンに対して、従来の6〜8倍モル
から1〜4倍モルに低減できる。また、反応は速やかに
定量的に進行し、最高で100 %近い反応収率を達成する
ことができ、特別な精製を行わずに純度99%以上と非常
に高純度の生成物を回収することができる。
用いるフルオレノンは、融点85℃の室温で固体の化合物
であり、アルコールからベンゼンまでの各種有機溶媒に
可溶で、水に不溶である。前述したように、フルオレノ
ンは安価な化合物であるフルオレンを既知の方法で酸化
することにより容易に製造でき、また市販品をかなり安
価に入手することもできる。
せ、有機溶媒には溶解せずに分散状態で存在しているア
ルカリ金属水酸化物と反応させると、目的生成物である
ビフェニル−2−カルボン酸がアルカリ金属塩として生
成する。反応溶媒としては、アルコールおよびケトン以
外の有機溶媒を使用し、2種以上の混合溶媒であっても
よい。反応溶媒が水、またはアルコールもしくはケトン
であると、理由は不明であるが、目的とする反応が進行
しない。
ン、メチルナフタレン、ピリジン、キノリンなどの芳香
族系溶媒である。これも理由が不明であるが、芳香族系
溶媒を使用すると特に高い収率を得ることができ、実質
的に定量的収率で目的物が生成する。それ以外では、ヘ
プタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性非プロ
トン溶媒;ジイソプロピルエーテル、フェニルエチルエ
ーテル等のエーテル類も好ましい溶媒である。溶媒の使
用量には特に制限はないが、アルカリ金属水酸化物の分
散性、生成した目的物の流動性等から、原料フルオレノ
ン重量の2〜10倍、好ましくは3〜6倍である。
を回収して再使用することができる。このように溶媒を
リサイクルする場合、有機溶媒中に1〜2重量%程度ま
での水分が混入していても反応に特に問題はない。但
し、有機溶媒中の水分は少ない方が好ましい。
は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウ
ム、水酸化セシウム、水酸化ルビジウムから選んだ1種
もしくは2種以上を使用できるが、工業的に安価に入手
できる水酸化ナトリウムと水酸化カリウムが好ましい。
使用するアルカリ金属水酸化物は、少量の水分を含んで
いる工業用のもの (例、5重量%程度の水分を含む水酸
化カリウム) でもよい。
ましくは分散状態でフルオレノンと反応させる。アルカ
リ金属水酸化物の使用量は、原料フルオレノンに対して
等モル以上であれば問題はないが、反応速度の点から
は、フルオレノンに対し1.2 倍モル以上が望ましい。
物の種類により異なる。例えば、水酸化カリウムを使用
する場合は70℃以上、水酸化ナトリウムを使用する場合
には150 ℃以上が望ましい。他のアルカリ金属水酸化物
の場合も、実験により適当な反応温度を決定できる。
んでも反応には全く問題はないが、反応が速やかに起こ
るため、時間当たりの発熱量が大きくなる。その結果、
反応液の温度が急激に上昇する恐れがあり、反応温度の
制御が困難となる。従って、反応温度を確実に制御する
ためには、溶媒とアルカリ金属水酸化物を仕込んでアル
カリ金属水酸化物を溶媒に分散させた後、所定温度に加
熱した後、フルオレノンを逐次的に添加することが望ま
しい。この場合、反応溶媒にフルオレノンを溶解して、
連続的に滴下するのが操作性の面で好ましい。なお、反
応はバッチ式、連続式およびセミバッチ式のいずれでも
実施できる。
下時間も含めて 0.5〜5時間程度であり、適正な温度で
あれば 0.5〜2時間で反応は完了する。反応圧力は大気
圧が好ましいが、減圧下または加圧下で実施することも
可能である。反応終了時、生成したビフェニル−2−カ
ルボン酸はアルカリ金属塩として、反応溶媒中にスラリ
ー状態で分散している。
カルボン酸を任意の適当な方法で回収することができ
る。例えば、反応液に水を加えてビフェニル−2−カル
ボン酸アルカリ金属塩を溶解させ、分液後、水層を酸析
して、生成物を回収することができる。即ち、分液で得
られた水層は、生成物以外に未反応のアルカリ金属水酸
化物を含有しているが、これに酸 (例、塩酸、硝酸、硫
酸等の強酸) を加えて酸性化すると、ビフェニル−2−
カルボン酸だけが析出するので、これを濾過等により回
収して、未反応物と分離できる。また、反応液に水を添
加した後、分液する前に酸を加えて水層を酸性化する
と、酸により遊離したビフェニル−2−カルボン酸は有
機層に抽出されて移行するので、分液後に有機層を濃縮
し、濃縮残渣として生成物を回収することも可能であ
る。
しそれに近い高収率 (例、90〜99モル%) でビフェニル
−2−カルボン酸が生成するので、再結晶や蒸留といっ
た特別な精製工程を実施しなくても、水洗だけで純度99
%以上の生成物が得られる。使用した溶媒は、上記のよ
うに分液または分液後の濃縮で回収した後、そのまま再
び反応に使用することができる。従って、本発明では従
来法では使用しない有機溶媒が必要であるが、その使用
量は少なくてすむ。前述したように、回収された溶媒が
多少の水を含んでいても反応に支障はないが、適当な脱
水方法により水分を除去してから反応に利用してもよ
い。
と工業用の純度95%のフレーク状水酸化カリウム17.1g
(0.290モル) を仕込み、攪拌して水酸化カリウムを分散
させた。この分散液を攪拌を続けながら85℃まで昇温し
た後、フルオレノン26g(0.144モル)をキシレン50gに
溶解した溶液を30分で滴下した。滴下終了後、更に30分
攪拌を継続してから、反応液に水80gを加えて、生成し
たビフェニル−2−カルボン酸カリウム塩を溶解した。
30分静置後、分液し、下層の水層に塩酸を加えてpH 2.0
とした。析出した結晶を濾別し、水洗し、乾燥して、ビ
フェニル−2−カルボン酸を得た。この生成物の液体ク
ロマトグラフ面百法による純度は99.6%、収率は99モル
%であった。
からヘプタンに代えた以外は同様の操作を行った。得ら
れたビフェニル−2−カルボン酸の純度は99.3%、収率
は91モル%であった。
ムアミド(DMF) 40gと純度95%のフレーク状水酸化カリ
ウム17.1g(0.290モル) とを仕込み、攪拌して水酸化カ
リウムを分散させた。この分散液を攪拌を続けながら10
0 ℃まで昇温した後、フルオレノン26g(0.144モル) を
DMF 40gに溶解した溶液を30分で滴下した。滴下終了
後、更に1時間攪拌を継続してから、反応液に水を加え
て、生成したビフェニル−2−カルボン酸カリウム塩を
溶解した。30分静置後、分液し、下層の水層に塩酸を加
えてpH 2.0に調整し、析出した結晶を濾別し、水洗し、
乾燥して、ビフェニル−2−カルボン酸を得た。生成物
の純度は99.8%、収率は80モル%であった。
ルナフタレンに、水酸化カリウムを等モルの純度99%の
工業用フレーク状水酸化ナトリウムに変更し、反応温度
を200 ℃に上げた以外は、同様の操作を行った。得られ
たビフェニル−2−カルボン酸の純度は99.4%、収率は
95モル%であった。
度95%フレーク状水酸化カリウム 400g(6.79モル) を
仕込み、220 ℃まで加熱して溶融状態にした後、フルオ
レノン 129g(0.717モル) を1時間かけて添加した。そ
の後、220 ℃で攪拌を3時間継続した後、反応液を1時
間かけて水1.8 kgの中に攪拌しながら加えた。この水溶
液を濾過して不溶物を除去し、さらにトルエン800 mlで
水層を洗浄した。洗浄した水層に20%硫酸を加えてpH
2.0に調整し、析出した結晶を濾別し、水洗し、乾燥し
て、ビフェニル−2−カルボン酸を得た。生成物の純度
は98.6%、収率は85モル%であった。
に比べて、より低い反応温度および短い反応時間で、よ
り高純度のビフェニル−2−カルボン酸をより高い収率
で製造することが可能となる。また、この従来法では腐
食性の強い溶融状態の水酸化カリウムを使用するため、
高耐食性の反応装置を使用する必要があるが、そのよう
な必要性がなくなる。さらに、反応後の生成物の回収も
従来法より容易である。従って、本発明の方法は、医薬
や農薬原料として有用なビフェニル−2−カルボン酸の
工業的な製造に非常に有利であり、従来より安価に高品
質の生成物を供給することが可能となる。
Claims (2)
- 【請求項1】 フルオレノンを、アルコールおよびケト
ン以外の有機溶媒中、アルカリ金属水酸化物と加熱下に
反応させることを特徴とする、ビフェニル−2−カルボ
ン酸の製造方法。 - 【請求項2】 溶媒が芳香族系溶媒である、請求項1記
載のビフェニル−2−カルボン酸の製造方法。
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JP36316498A JP4069531B2 (ja) | 1998-12-21 | 1998-12-21 | ビフェニル−2−カルボン酸の製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100355717C (zh) * | 2005-12-09 | 2007-12-19 | 浙江工业大学 | 一种联苯-2-羧酸的合成方法 |
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1998
- 1998-12-21 JP JP36316498A patent/JP4069531B2/ja not_active Expired - Fee Related
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