JP2000185986A - 窒化ケイ素摺動材料 - Google Patents

窒化ケイ素摺動材料

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JP2000185986A
JP2000185986A JP10362094A JP36209498A JP2000185986A JP 2000185986 A JP2000185986 A JP 2000185986A JP 10362094 A JP10362094 A JP 10362094A JP 36209498 A JP36209498 A JP 36209498A JP 2000185986 A JP2000185986 A JP 2000185986A
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silicon nitride
sliding material
lubricant
sliding
holes
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Kazuo Matsuo
一雄 松尾
Yoshio Akimune
淑雄 秋宗
Fumio Munakata
文男 宗像
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に油中での耐摩耗性を大幅に改善し、且つ
板状形態で使用可能な窒化ケイ素摺動材料を提供するこ
と。 【解決手段】 窒化ケイ素結晶粒と焼結助剤を焼成し、
潤滑材を含有させて成る摺動材料である。窒化ケイ素結
晶粒は、c軸方向が摺動方向とほぼ一致するように配向
しており、その粒界に存在する焼結助剤ガラス相に空孔
を穿設し、この空孔に上記潤滑材を充填して成る。空孔
は化学的エッチング及び/又はレーザー照射によって穿
設される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、窒化ケイ素多結晶
体を利用した摺動部材に係り、更に詳細には、該多結晶
体の粒界に空孔を設け、ここに潤滑材を含有させること
により、耐熱性、耐摩耗性及び熱伝導性に優れた窒化ケ
イ素の油中での耐摩耗性を大幅に改善した窒化ケイ素摺
動材料に関するもので、本摺動材料は、自動車用部品、
化学装置及び宇宙航空機器の構造部品等に好適に用いら
れる。
【0002】
【従来の技術】従来から、自動車用部品、化学装置及び
宇宙航空機器等の摺動材料としては、金属を主成分とす
るものが広く用いられている。一方、近年では、上記の
金属摺動材料の代替品として、セラミックス材料が種々
検討されており、例えば、低摩擦性を有するセラミック
スボールベアリングが商品化されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような従来の金属摺動材料にあっては、水中等の使用環
境によっては腐食を発生したり異常摩耗を生じて、摺動
性能の低下をもたらすという課題があった。
【0004】一方、上述のセラミックスボールベアリン
グは、高荷重が負荷された場合に荷重に耐えきれずに破
壊してしまうことがあるため、高荷重部品として用いる
には適当でなく、構造的にも小型、軽量化できないとい
う課題がある。
【0005】また、窒化ケイ素は、耐熱性、耐摩耗性及
び熱伝導性に優れることから、セラミックス材料として
好適であるが、かかる窒化ケイ素を用いたセラミックス
摺動材料は、水中での摺動性能には優れるものの、自動
車用部品等が用いられる環境である油中での摺動性能
が、水中での摺動性能に比べて遥かに劣るという課題が
あった。更に、かかる窒化ケイ素摺動材料の形状は、通
常は不定形であり、組識形態制御が困難であるため、実
用性が高い板状の摺動材料としての利用は、事実上不可
能であった。
【0006】本発明は、このような従来技術の有する課
題に鑑みてなされたものであり、特に油中での耐摩耗性
を大幅に改善し、且つ板状形態で使用可能な窒化ケイ素
摺動材料を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ね、窒化ケイ素結晶粒と焼結
助剤を混合・焼成し、得られる窒化ケイ素多結晶体の粒
界での摩擦発熱を除去することに着目した。即ち、接触
摩擦面たる摺動面の発熱を除去すべく、摺動面での結晶
粒配向を2次元的に発生させて平板状の多結晶体摺動材
料を形成し、特に摺動面に現れている粒界ガラス相に所
定の空孔を穿設し、この空孔に潤滑材を添加保持させる
とともに、上記結晶粒配向による良好な熱伝導率を活用
することにより、上記課題が解決されることを見出し、
本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明の窒化ケイ素摺動材料は、窒
化ケイ素結晶粒と焼結助剤を焼成し、潤滑材を含有させ
て成る摺動材料であって、上記窒化ケイ素結晶粒は、そ
のc軸方向が摺動方向とほぼ一致するように配向してお
り、その粒界に存在する上記焼結助剤に起因したガラス
相に空孔を穿設し、この空孔に上記潤滑材を充填して成
ることを特徴とする。
【0009】また、本発明の窒化ケイ素摺動材料の好適
形態は、摺動面に存在する上記粒界に空孔を穿設し、こ
の摺動面空孔に上記潤滑材を充填して成ることを特徴と
する。
【0010】更に、本発明の窒化ケイ素摺動材料の他の
好適形態では、上記窒化ケイ素結晶粒は、β−窒化ケイ
素含有率が90重量%であり、平均粒子径が0.5〜
0.7μmであり、上記空孔が0.1μm以上の深さ及
び径を有することを特徴とする。
【0011】また、本発明の窒化ケイ素摺動材料の更に
他の好適形態は、上記空孔が化学的エッチング及び/又
はレーザー照射によって穿設されたことを特徴とする。
【0012】更に、本発明の窒化ケイ素摺動材料の他の
好適形態は、上記潤滑材が、液体潤滑材及び/又は固体
潤滑材であることを特徴とする。
【0013】更にまた、本発明の窒化ケイ素摺動材料の
他の好適形態は、70W/mK以上の熱伝導率を有する
ことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の窒化ケイ素摺動材
料について詳細に説明する。上述の如く、本発明の摺動
材料は、窒化ケイ素結晶粒と焼結助剤を混合・焼成し、
潤滑材を含有させて成る多結晶体の摺動材料である。こ
の摺動材料において、窒化ケイ素結晶粒は、そのc軸方
向が摺動方向とほぼ一致するように配向している。ま
た、その粒界は焼結助剤により生ずるガラス相を含む
が、この粒界ガラス相には空孔が穿設され、この空孔に
潤滑材が充填・保持されている。
【0015】ここで、用いる窒化ケイ素結晶粒たる粉末
は、平均粒子径が0.5〜0.7μmのものであること
が好ましい。平均粒子径が0.7μmを超えると、所望
の温度範囲での焼結が困難となることがあり、0.5μ
m未満では、取扱いが困難となることがあり、好ましく
ない。また、かかる窒化ケイ素粉末としては、β−窒化
ケイ素含有率が90重量%以上で、残分がα−窒化ケイ
素と不可避的不純物であるのものが好ましい。β−窒化
ケイ素の含有率が90重量%未満では、所望温度域での
熱伝導率が十分でないことがあり、好ましくない。
【0016】一方、使用する焼結助剤としては、特に限
定されるものではないが、希土類元素酸化物や他の酸化
物を含有するものが好ましく、具体的には、酸化ネオジ
ウム(Nd)、酸化イットリウム(Y)、
アルミナ(Al)、マグネシア(MgO)、カル
シア(Ca)、シリカ(SiO)及びユーロビ
ュウム(Er)を含有するものを例示できる。な
お、このような焼結助剤の配合量は、上記窒化ケイ素粉
末に対して1〜8.5重量%とすることが好ましい。1
重量%未満では、窒化ケイ素の焼結が十分でないことが
あり、8.5重量%を超えると、ガラス相が多く生成し
て熱伝導性や強靱性が低下することがあり、好ましくな
い。
【0017】更に、上述の如く、粒界ガラス相に穿設し
た空孔に保持させる潤滑材としては、各種の液体潤滑材
や固体潤滑材を挙げることができる。液体潤滑材として
は、各種潤滑油や自動車用潤滑油、具体的には、動粘度
が3〜1600(mm/s)at40℃の潤滑油を好
ましく用いることができる。これらの潤滑油の動粘度が
3.0未満では、空孔にとどまらず、1600を超える
と、摩擦面への供給が不完全であるため好ましくない。
また、潤滑油としては、エンジンオイル(4〜10mm
/s)、ギアオイル(100〜1200mm/s)
が好ましく、軸受油としては、5〜430mm /sの
動粘度を有するものが好ましい。一方、固体潤滑材とし
ては、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)、黒鉛及びパ
ラフィンのような高分子材料、並びに炭化ケイ素(Si
C)、窒化ホウ素(BN)、二硫化モリブデン(MoS
)及びチタン酸バリウム(BaO、TiO)、酸化
鉛(PbO)等のセラミックス及び硫化物、酸化物を好
適に用いることができる。なお、本発明において、これ
ら液体潤滑材や固体潤滑材は、一種単独でも二種以上を
任意に組み合わせて用いてもよい。
【0018】次に、本発明の摺動部材の製造方法の一例
について説明する。本発明の摺動部材は、上述のような
窒化ケイ素粉末と焼結助剤とを混合してマトリックス粉
末を作成し、このマトリックス粉末に有機バインダーを
添加して押出成形し、得られた成形体を窒素雰囲気下に
焼成して焼結体(多結晶体)を得、この焼結体の粒界に
空孔を穿設し、更にこの空孔に上記潤滑材を充填して得
られる。
【0019】ここで、有機バインダーは、特に限定され
るものではないが、軟化点が50〜150℃のものを好
ましく用いることができる。かかるバインダーを添加す
ると、バインダーの軟化点以上でセラミックス粒子が再
配列して緻密に成形され易くなるので有効である。な
お、有機バインダーの添加量は、窒化ケイ素粉末量に対
して0.5〜2.0重量%とすることが望ましい。この
添加量は、バインダーがマトリックス粒子の界面に付着
して粒子間の摩擦を低減するのに適切な量である。添加
量が0.5重量%未満では、成形時に窒化ケイ素粒子を
所望方向に配向させる押出成形が困難である。また、
2.0重量%を超えると、成形時の有機バインダーが十
分に除去されず、焼成時の密度が上昇せず、破壊の発生
源となることがあり、好ましくない。
【0020】また、押出成形は、好ましくは平板状の成
形体を得るように行い、窒化ケイ素粒子を再配列させる
べく、上述した有機バインダーの軟化点以上の温度で行
うのがよいが、通常は60〜90℃で実施する。なお、
押出圧力は、150〜400MPaの範囲に調整するこ
とが好ましい。150MPa未満では、マトリックス粒
子が緻密に成形されないことがあり、焼結が不十分とな
ることがあるので、好ましくない。一方、400MPa
を超えると、得られる成形体が緻密になりすぎて後処理
で空孔を穿設することが困難となり、また、装置能力上
も一般的ではなく、特殊な押出成形機が必要とされるの
で好ましくない。
【0021】押出成形により得られた成形体の焼成は、
0.2〜1MPaの窒素雰囲気下、1950〜2000
℃の温度範囲でガス圧焼結を行ってガス圧焼結体を得、
更にこのガス圧焼結体につき、30〜200MPaの窒
素雰囲気下、2000〜2200℃で熱間静水圧焼結法
(HIP法)を適用することにより、行うことが好まし
い。ガス焼結法において、1950℃未満の温度域で
は、密度が増大せず、得られる焼結体を構造材用とする
には不適である。また、2100℃を超える温度域で
は、窒素分圧が不足して分解が始まるため、強度低下が
発生することがあり好ましくなく、このため、上述のよ
うにHIP法を併用する。
【0022】以上のようにして得られる窒化ケイ素焼結
体(多結晶体)は、図2に示したような微構造を有し、
窒化ケイ素粒子の中に窒化ケイ素針状粒子が存在してお
り、これらは添加粒子の直径や長さに応じて存在してい
る。なお、図中(a)は空孔の大きさを示している。ま
た、図3に示すように、窒化ケイ素粒子(b)は、上述
のような押出成形及び焼成により、そのc軸を摺動方向
に配向し、且つ当該方向に結晶成長しており、代表的に
は、熱伝導率が70W/mK以上となるように制御され
る。かかる結晶配向や微構造を有する場合には、摩擦に
より生じた熱は窒化ケイ素結晶粒(b)を伝達するが、
この際、空孔(a)に保持されている潤滑材(c)によ
って、乾燥状態での接触が防止されるので、摩擦発熱を
抑制することが可能となるので有利である。
【0023】更に、本発明の摺動材料を得るには、図3
に示すように、上述の焼結体の粒界ガラス相に空孔
(a)を設け、この空孔に潤滑材(c)を充填すること
を要するが、この空孔の穿設は、化学的エッチング又は
レーザー照射及び両者を併用することにより実施するこ
とができる。かかる処理によって、ガラス相部分を選択
的に除去することができ、また、所望の空孔を容易に設
けることができる。
【0024】なお、本発明においては、摺動面(平板状
焼結体の表面)に存在する粒界に空孔を穿設し、潤滑材
を充填すれば所期の効果が得られるので、摺動面にのみ
空孔を穿設すれば十分である。また、穿設する空孔は、
0.1μm以上の深さ及び径を有することが好ましく、
この範囲を逸脱する場合、例えば、0.1μm未満の場
合は、潤滑材、特に固体潤滑材の浸透が不完全であり、
有効な潤滑性を示さないことがあり、好ましくない。
【0025】上記化学的エッチングは、焼結体の摺動面
に耐薬品性を有するマスク材を所望空孔パターンで被覆
した後、フッ化水素酸、硫酸、硝酸、水酸化カリウム、
水酸化ナトリウム又はアンモニア水及びこれらの任意の
混合液を用いて行うことができる。図4は、化学的エッ
チングの際に用いるマスク材の一例を示すもので、ポリ
四フッ化エチレンなどの耐薬品性を有する防護シート
(d)に、所望パターンの空孔穿設用の穴(e)が設け
られている。一方、上記レーザー照射は、20kJ/m
以上、3Hz以上及び100パルス以上の条件下で行
えばよく、これにより、空孔を効率よく穿設することが
できる。また、空孔への潤滑材の充填は、常法に従って
浸漬や塗布により行うことができる。
【0026】
【実施例】以下、本発明を、図面を参照して実施例及び
比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実
施例に限定されるものではない。
【0027】(実施例1)[レーザー照射&高分子潤滑
材及び液体潤滑材] 窒化ケイ素粉末(電気化学工業(株)製:P21FC)
に、焼結助剤としてのNdを1〜2wt%、Y
を1〜2wt%加えて、96時間アルコール中でボ
ールミルにより粉砕混合した後、乾燥した。粉末量に対
し有機バインダーを1.0wt%添加した後、80℃、
400MPaで押出成形し、窒素雰囲気(0.9MP
a)にて1900℃で4時間のガス圧焼結を行い、更に
2000℃、300気圧、4時間の熱間静水圧成形によ
り結晶成長処理を行い、40×35×5mm平板状の窒
化ケイ素焼結体を作製した。
【0028】得られた平板状焼結体の表面に、100k
J/m、5Hz以上、100パルスの条件下でレーザ
ー照射を実施し、窒化ケイ素結晶粒界の焼結助剤を溶解
除去して100μm程度の空孔を穿設し、次いで、固体
潤滑材である高分子材料(PTFE)を塗布して240
℃で焼成した後、自動車用潤滑油(5W−30)を塗布
した表面微構造を作製し、本例の摺動部材を得た。
【0029】(実施例2)[化学的エッチング&液体潤
滑材] 本例では、レーザー照射の代わりに化学的エッチングを
実施して表面微構造を作製した以外は、実施例1と同様
の操作を繰り返して本例の摺動材料を得た。即ち、上述
のような平板状焼結体の表面に、化学処理に耐性がある
被膜を塗布し、所定の空孔径を開けた後、アルカリ液で
洗浄処理し、次いで、フッ化水素酸や硫酸により70
℃、5時間の化学エッチングを実施して、窒化ケイ素結
晶粒界の焼結助剤ガラス相(特にSiO)を溶解除去
し、深さ及び径が50μm程度の空孔を設けた。しかる
後、PTFEを用いることなく、上記表面に自動車用潤
滑油(5W−30)を塗布し、この潤滑油が空孔に保持
された本例の摺動部材を得た。
【0030】(実施例3)[レーザー照射&セラミック
ス潤滑材及び液体潤滑材] 潤滑材を変更した以外は実施例1と同様の操作を繰り返
し、本例の摺動材料を得た。即ち、PTFEの代わりに
BNを用い、自動車用潤滑油(5W−30)を表面塗布
して、本例の摺動材料を得た。
【0031】(実施例4)[化学的エッチング&高分子
潤滑材] 液体潤滑材の代わりに高分子潤滑材を用いた以外は、実
施例2と同様の操作を繰り返し、本例の摺動材料を得
た。即ち、潤滑材としてPTFEを塗布して240℃で
焼成し、自動車用潤滑油(5W−30)を塗布すること
なく、本例の摺動材料を得た。
【0032】(実施例5)[レーザー照射&高分子潤滑
材及びセラミックス潤滑材] 潤滑材を変更した以外は、実施例1と同様の操作を繰り
返し、本例の摺動材料を得た。即ち、PTFEと自動車
用潤滑油(5W−30)の組合せの代わりに、PTFE
とBNの組合せを採用し、本例の摺動材料を得た。
【0033】(従来例)一般的な窒化ケイ素材料で多結
晶体を示し、組織形態制御による結晶配向を施さず、機
械加工により粗さを0.8aに仕上げたものである。
【0034】(比較例)窒化ケイ素材料に、組織形態制
御による結晶配向を施し、機械加工により、粗さを0.
8aに仕上げたものであるが、潤滑材の保持用空孔を有
しないものである。
【0035】[性能評価] (摩擦試験)上述のようにして得られた各例の摺動材料
について、図1に示す摩擦測定専用のバーデン・レーベ
ン試験機を用いて油中の摩擦係数を測定し、得られた結
果を表1に示した。図1において、符号1は摩擦抵抗を
測定する表面スライド金属球、2は試験片(摺動材料)
を固定する押さえ、3は固定押さえ2を止めるネジ、4
は試験片を保持する台座、4は試験片を示す。なお、摩
擦試験は、表面スライド球1を試験片4の表面に所定荷
重で押圧し、一定速度で摺動させて行い、このときの抵
抗力に係数を加えて摩擦係数を算出した。
【0036】(熱伝導率)φ10mmで厚さ2mmの円
板体を軸方向へ結晶配向させ、軸との直交面について、
レーザーフラッシュ法により熱伝導率を測定した。得ら
れた結果を表1に示す。
【0037】(表面微構造)走査型電子顕微鏡(SE
M)により、摺動材料表面を観察し、空孔の径を測定し
た。得られた結果を表1に示す。また、実施例1のSE
M写真を図2に示した。
【0038】
【表1】
【0039】表1より、本発明の範囲に属する実施例1
〜5の摺動材料は、比較材(機械加工)の摩擦係数(μ
=0.81)及び従来材(熱伝導率:30W/mK級)
の摩擦係数(μ=1.1)に比べて、実施例1で摩擦係
数がμ=0.21、実施例2でμ=0.26、実施例3
でμ=0.11、実施例4でμ=0.08、実施例5で
μ=0.09と小さく、油中での耐摩耗性に優れること
が分かる。
【0040】また、レーザー照射に係る実施例1,3及
び5では、固体潤滑剤のみを組合せた実施例5(PTF
E+BN)が、摩擦係数をより一層低く抑え得ることも
分かった。一方、化学的エッチングに係る実施例2及び
4では、固体潤滑材を用いた実施例4の方が、摩擦係数
をより一層低く抑え得ることも分かった。
【0041】以上、本発明を若干の好適実施例により詳
細に説明したが、本発明はこれら実施例に限定されるも
のではなく、当業者には、本発明の開示の範囲内におい
て種々の変形が可能である。例えば、窒化ケイ素結晶粒
としては、粒径が0.5〜0.7μmの窒化ケイ素粉末
を用いたが、これに限定されるものではなく、例えば、
窒化ケイ素ウィスカーや単結晶を用いることも可能であ
る。また、窒化ケイ素結晶粒のみならず、針状や棒状の
結晶構造を有するセラミックス材料であれば、本発明に
係る表面微構造の形成法を適用することが可能である。
【0042】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、接触摩擦面たる摺動面での結晶粒配向を2次元的に
発生させて平板状の多結晶体摺動材料を形成し、特に摺
動面に現れている粒界ガラス相に所定の空孔を穿設し、
この空孔に潤滑材を添加保持させるとともに、上記結晶
粒配向による良好な熱伝導率を活用することとしたた
め、特に油中での耐摩耗性を大幅に改善し、且つ板状形
態で使用可能な窒化ケイ素摺動材料を提供することがで
きる。また、本発明に係る表面微構造の形成方法は、量
産性に優れ、且つコスト面を大幅に増大させることもな
く、従来のセラミックス材の特性を顕著に改善し得る新
規な手法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】摩擦試験機の一例を示す側面図である。
【図2】レーザー照射により空孔を設けた窒化ケイ素摺
動材料のSEM写真である。
【図3】本発明の摺動材料の一例を示す概念図である。
【図4】化学エッチングの際に用いるマスク材の一例を
示す平面図である。
【符号の説明】
1 表面スライド金属球 2 押さえ 3 ネジ 4 台座 5 試験片 (a) 空孔 (b) 窒化ケイ素結晶粒 (c) 潤滑材 (d) 防護シート (e) 空孔形成用穴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宗像 文男 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 4G001 BA08 BA09 BA22 BA32 BA33 BA87 BB08 BB09 BB22 BB32 BB33 BB85 BC12 BC13 BC71 BD03 BD12 BE03 BE11 BE12 BE22 BE26 BE34

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化ケイ素結晶粒と焼結助剤を焼成し、
    潤滑材を含有させて成る摺動材料であって、 上記窒化ケイ素結晶粒は、そのc軸方向が摺動方向とほ
    ぼ一致するように配向しており、その粒界に存在する上
    記焼結助剤に起因したガラス相に空孔を穿設し、この空
    孔に上記潤滑材を充填して成ることを特徴とする窒化ケ
    イ素摺動材料。
  2. 【請求項2】 摺動面に存在する上記粒界に空孔を穿設
    し、この摺動面空孔に上記潤滑材を充填して成ることを
    特徴とする請求項1記載の窒化ケイ素摺動材料。
  3. 【請求項3】 上記窒化ケイ素結晶粒は、β−窒化ケイ
    素含有率が90重量%であり、平均粒子径が0.5〜
    0.7μmであることを特徴とする請求項1又は2記載
    の窒化ケイ素摺動材料。
  4. 【請求項4】 上記空孔が0.1μm以上の深さ及び径
    を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つ
    の項に記載の窒化ケイ素摺動材料。
  5. 【請求項5】 上記空孔が化学的エッチング及び/又は
    レーザー照射によって穿設されたことを特徴とする請求
    項1〜4のいずれか1つの項に記載の窒化ケイ素摺動材
    料。
  6. 【請求項6】 上記化学的エッチングが、フッ化水素
    酸、硫酸、硝酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及
    びアンモニア水から成る群より選ばれた少なくとも1種
    の溶液を用いて行われたことを特徴とする請求項5記載
    の窒化ケイ素摺動材料。
  7. 【請求項7】 上記レーザー照射が、20kJ/m
    上、3Hz以上及び100パルス以上の条件下で行われ
    たことを特徴とする請求項5又は6記載の窒化ケイ素摺
    動材料。
  8. 【請求項8】 上記潤滑材が、液体潤滑材及び/又は固
    体潤滑材であることを特徴とする請求項1〜7のいずれ
    か1つの項に記載の窒化ケイ素摺動材料。
  9. 【請求項9】 上記液体潤滑材が、機械油、エンジン
    油、ギア油及びグリースから成る群より選ばれた少なく
    とも1種の潤滑油であることを特徴とする請求項8記載
    の窒化ケイ素摺動材料。
  10. 【請求項10】 上記固体潤滑材が、ポリ四フッ化エチ
    レン、炭化ケイ素及び窒化ホウ素から成る群より選ばれ
    た少なくとも1種のものであることを特徴とする請求項
    8又は9記載の窒化ケイ素摺動材料。
  11. 【請求項11】 70W/mK以上の熱伝導率を有する
    ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つの項に
    記載の窒化ケイ素摺動材料。
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