JP2000185931A - マルチコア光ファイバのねじり加工方法及びねじり加工装置 - Google Patents

マルチコア光ファイバのねじり加工方法及びねじり加工装置

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JP2000185931A
JP2000185931A JP10363483A JP36348398A JP2000185931A JP 2000185931 A JP2000185931 A JP 2000185931A JP 10363483 A JP10363483 A JP 10363483A JP 36348398 A JP36348398 A JP 36348398A JP 2000185931 A JP2000185931 A JP 2000185931A
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twisting
fiber
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、イメージファイバなどのマルチコ
ア光ファイバにねじりを加えるねじり加工装置を提供せ
んとするものである。 【解決手段】 かゝる本発明は、マルチコア光ファイバ
10が載置されると共に、途中に加熱用のスペース部1
11を有する長尺な載置台110と、マルチコア光ファ
イバ10の一端を固定する固定部130と、マルチコア
光ファイバ10の他端を長手方向への動きが可能な状態
で回転方向へ所定のねじりを加えるねじり付与部140
と、マルチコア光ファイバ10のねじり状態を測定する
ねじり状態検出手段150と、載置台110の加熱用の
スペース部111に対して移動可能に設置された加熱手
段160とからなるマルチコア光ファイバのねじり加工
装置にあり、これによって、マルチコア光ファイバ10
のねじり加工を、曲がりや撓みなどを生じさせることな
く行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバ素線を
多数本束ねてガラス管中に収納してマルチコア光ファイ
バ母材とし、この母材を加熱して溶融させ、線引きして
製造するイメージファイバなどのマルチコア光ファイバ
にねじりを加えるねじり加工方法及びねじり加工装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】このようなイメージファイバなどのマル
チコア光ファイバは、ファイバスコープなどの画像伝送
媒体として使用されるわけであるが、その機能として、
入力された画像が両端で正確に一致していることが望ま
れる。そして、入射端側と出射端側との間にずれ(ねじ
れ)がある場合には、ねじり加工を施して修正する必要
が生じる場合もある。また、組み合わせられるレンズ系
などによっては、画像方向を回転させる必要があるた
め、この場合には、故意に入射端側と出射端側との間に
回転方向のずれを生じさせる必要がある。さらに、画質
を改善する目的を持って、光ファイバにねじりを加える
必要が生じる場合もある。例えば画像のコントラストな
どが悪い場合、不要な光がクラッド中を伝搬しているこ
とが考えられるため、このとき、適当なねじれを加える
ことで解消されるからである。
【0003】このようなねじりを加える場合、従来特別
な装置がなく、例えば図15に示すような、マルチコア
光ファイバ1の両端を作業者が手で持って、所定のねじ
りを加え、この状態で、火炎バーナなどの加熱手段2で
所定の部分を加熱して、軟化させた後、ねじりを加え
(この際冷却することも可)、マルチコア光ファイバ1
に塑性変形的なねじりを与える方法が行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記手作業
によるねじり加工では、マルチコア光ファイバ自体の外
径が太くとも約0.2〜3mm程度であるため、加熱に
よりマルチコア光ファイバ1が曲がったり、撓んだりす
ることがあった。また、この曲がりや撓みなどによる変
形が大きかったり、或いはねじりが急激に加えられる
と、内部のコア部分が損傷して歩留りの低下を招く。ま
た、外形の細いマルチコア光ファイバに手作業で、所定
の角度でねじりを加えることが難しく、長時間を要し、
作業性が悪いという問題もあった。
【0005】そこで、例えば図16に示すような治具を
用いる方法も考えられる。先ず、マルチコア光ファイバ
1の両端寄りに適当なチューブや筒体などからなるファ
イバホルダ3,3を装着させ、次に、一方のファイバホ
ルダ3側には固定治具(又は回転治具)4Aをセットす
ると共に、他方のファイバホルダ3側には回転治具4B
をセットし、これらの治具4A,4Bの固定や回転によ
って、マルチコア光ファイバ1に所定のねじりを加え、
この状態で、火炎バーナなどの加熱手段2で所定の部分
を加熱して、軟化させた後、ねじりを加え(この際冷却
することも可)、マルチコア光ファイバ1に塑性変形的
なねじりを与える方法である。
【0006】しかしながら、この方法でも、両治具4
A,4Bによって、マルチコア光ファイバ1の2箇所を
固定するため、加熱手段2での加熱による膨張や変形に
よって、マルチコア光ファイバ10が長手方向に若干伸
縮した場合、この変動はうまく吸収されず、やはりマル
チコア光ファイバ1が曲がったり、撓んだりする懸念が
あった。
【0007】本発明は、このような実情に鑑みてなされ
たもので、マルチコア光ファイバに曲げや撓みを与える
ことなく、ねじりを加えるようにしたマルチコア光ファ
イバのねじり加工方法及びねじり加工装置を提供せんと
するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、マルチコア光ファイバを途中に加熱用のスペース部
を有する載置台上に載せ、その一端を固定する一方、他
端には長手方向への動きが可能な状態で回転方向へ所定
のねじりを加え、前記載置台の加熱用のスペース部から
マルチコア光ファイバを加熱することを特徴とするマル
チコア光ファイバのねじり加工方法にある。
【0009】請求項2記載の本発明は、マルチコア光フ
ァイバが載置されると共に、途中に加熱用のスペース部
を有する載置台と、前記マルチコア光ファイバの一端を
固定する固定部と、前記マルチコア光ファイバの他端を
長手方向への動きが可能な状態で回転方向へ所定のねじ
りを加えるねじり付与部と、前記マルチコア光ファイバ
のねじり状態を測定するねじり状態検出手段と、前記載
置台の加熱用のスペース部に対して移動可能に設置され
た加熱手段とからなることを特徴とするマルチコア光フ
ァイバのねじり加工装置にある。
【0010】請求項3記載の本発明は、前記マルチコア
光ファイバのねじり状態検出手段が、前記マルチコア光
ファイバの両端面側の一方に設置されると共に当該端面
側に測定基準部を有するターゲット板と、前記マルチコ
ア光ファイバの両端面側の他方に設置されて前記ターゲ
ット板の測定基準部を捉える撮像部と、当該撮像部から
の画像データを処理する画像処理部とからなることを特
徴とする請求項2記載のマルチコア光ファイバのねじり
加工装置にある。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係るマルチコア光
ファイバのねじり加工装置の一例を示したものである。
図中、10は例えばイメージファイバなどの外径が約
0.2〜3mm程度のマルチコア光ファイバ、110は
途中に設けた比較的大きな穴や左右を分割した離間構造
などからなる加熱用のスペース部111を有すると共
に、その長手方向にマルチコア光ファイバ10の嵌め込
まれるV溝などの保持部112が形成された長尺な載置
台、120は載置台110上のマルチコア光ファイバ1
0の一端(図中右端)を回転方向の動きから固定する固
定部、130は載置台110上のマルチコア光ファイバ
10の途中部分を長手方向及び回転方向の両方の動きが
可能な状態でその浮き上がりを押さえる程度のファイバ
押さえ部、140はマルチコア光ファイバ10に長手方
向への動きが可能な状態で回転方向へ所定のねじりを加
える回転機構などからなるねじり付与部、150はマル
チコア光ファイバ10のねじり状態(ねじり角)を測定
するためのねじり状態検出手段、160は載置台110
の加熱用のスペース部111に対して上下左右などの多
次元方向に移動可能に設置された火炎バーナなどの加熱
手段、170はディスプレ170aやキーボード170
bなどを備えると共に装置全体を制御するコンピュータ
などの電子部品が内蔵されたメインコントローラ、17
1〜172は第1サブコントローラ及び第2サブコント
ローラである。
【0012】上記載置台110の固定部120は、例え
ば図2〜図4に示すように、V溝の保持部112に嵌め
込まれたマルチコア光ファイバ10の一端を押さえ板1
21で強めに押さえて固定してある。これによって、こ
の場合この一端は、回転方向に動くことなく、規制され
る。
【0013】一方、上記載置台110のファイバ押さえ
部130は、例えば図2〜図3、図5(A)に示すよう
に、V溝の保持部112に嵌め込まれたマルチコア光フ
ァイバ10の途中部分を押さえ板131によって浮き上
がりを押さえる程度で軽く押さえてある。なお、図5
(B)に示すように、回転可能とするローラ132で軽
く押さえるようにしてもよい。この軽い押圧によって、
マルチコア光ファイバ10の途中部分は、その浮き上が
りが押さえられるものの、長手方向及び回転方向への動
きは可能な状態となっている。
【0014】上記ねじり付与部140は、図6に示すよ
うに、固定枠体141と、この内側にベアリングなどを
介して回転自在に装着されたリング部材からなる回転ス
テージ142と、この回転ステージ142に取り付けら
れたファイバ保持部200Aとからなる。そして、この
回転ステージ142は、例えばパルスモータなどの駆動
源(図示省略)によって、適宜方向へ回転されるように
なっている。
【0015】一方、上記ファイバ保持部200Aは、回
転ステージ142に固着されると共にセンターに開口部
を有する矩形などのベース部材210と、互いに対向す
るセンター部分にV溝形のファイバ挟持部211a,2
11aを有する一対のクランプ板211,211と、こ
のクランプ板210,210の一方の縁部寄りのねじ穴
(図示省略)に互いにねじの向きが異なるねじ部分21
3a,213bが螺着されると共に上記ベース部材21
0に軸着片212,121を介して軸着され、かつその
延長部分が操作部213cとなる開閉用の可動シャフト
213と、上記クランプ板210,210の他方の縁部
寄りの貫通穴(図示省略)に挿入されると共に上記ベー
ス部材210に固定片214,124を介して固定され
た固定シャフト215とからなる。
【0016】したがって、このファイバ保持部200A
では、マルチコア光ファイバ10を保持する際、先ず、
その外周に、硬質樹脂や金属部材からなり、外周が角柱
形状である筒状のスペーサ310を嵌め込み、仮りに固
定させる。この状態で、一対のクランプ板211,21
1の開らかれたファイバ挟持部211a,211aに通
し、可動シャフト213の操作部213cを回して、ス
ペーサ310が長手方向に固定されていないクリアラン
スを有する程度で、一対のクランプ板211,211を
閉じればよい。これによって、スペーサ310は、ファ
イバ挟持部211a,211a間にあって、その長手方
向に滑ることができるため、マルチコア光ファイバ10
は、長手方向への動きが可能な状態で保持される。
【0017】上記ねじり状態検出手段150は、マルチ
コア光ファイバ10の一方の端面側に設置されると共に
この端面側に、図7に示すように、目印となる基準線な
どの測定基準部151aを有するターゲット板151
と、マルチコア光ファイバ10の他方の端面側に設置さ
れて、ターゲット板151の測定基準部151aを捉え
るTVカメラなどの撮像部152と、この撮像部162
からの画像データを処理する画像処理部163とからな
り、この画像処理部163は、メインコントローラ17
0に入力されるようになっている。
【0018】上記加熱手段160は、図3に示すよう
に、火炎バーナ161(電熱ヒータやアーク放電具など
の使用も可)からなり、さらに、この火炎バーナ161
は、図1に示すように、上下左右などの多次元方向に移
動可能とするXYZステージ162の可動アーム162
aに設置されている。このXYZステージ162は、上
記第1サブコントローラ171によって、ねじり付与部
140と連動させるなどして制御されるようになってお
り、また、この加熱手段160の発火装置163は、上
記メインコントローラ170によって制御されるように
なっている。さらに、火炎バーナ161への燃焼ガス
(酸素ガスや水素ガスなど)の供給は、電磁弁などの制
御弁164,164を通じて行われると共に、また、こ
の制御弁164,164の制御は、メインコントローラ
170から、第2サブコントローラ172を通じて行わ
れるようになっている。
【0019】つまり、この加熱手段160の火炎バーナ
161では、ねじり付与部140のねじり状態と関連さ
せる形で、その点火やXYZステージ162による上下
左右などの多次元方向への移動、ガス供給量による加熱
温度などの制御を適宜行うことができる。もちろん、各
コントローラ170〜172の連動によって、加工工程
の自動化も容易に可能となる。
【0020】次に、このように構成されたねじり加工装
置を用いて、本発明に係るマルチコア光ファイバのねじ
り加工方法について述べる。
【0021】先ず、ねじり加工対象のマルチコア光ファ
イバ10の加熱する加工部分の被覆を除去(口出し)す
る一方、ねじり付与部140にセットされる部分には、
スペーサ310に仮り固定する。
【0022】この後、上記前処理済みのマルチコア光フ
ァイバ10を載置台110上に載せ、丁度口出し部分が
載置台110の加熱用のスペース部111に位置するよ
うにして、V溝の保持部112に嵌め込む一方、スペー
サ310の装着された側は、ねじり付与部140のファ
イバ保持部200Aの一対のクランプ板211,211
の開らかれたファイバ挟持部211a,211aに通
す。
【0023】次に、マルチコア光ファイバ10の一端を
長手方向及び回転方向の両方に動くことのないように固
定部120で固定する一方、その途中部分はファイバ押
さえ部130の押さえ板131によって、長手方向及び
回転方向の両方に移動可能な状態として軽く押さえ、さ
らに、ねじり付与部140では、可動シャフト213の
操作部213cを適宜回して、スペーサ310が長手方
向に移動可能な程度で、一対のクランプ板211,21
1を閉じる。
【0024】このマルチコア光ファイバ10のセットが
完了したら、ねじり状態検出手段150によって、セッ
トされたマルチコア光ファイバ10の一端側(固定端
側)のターゲット板151の測定基準部151aを、当
該マルチコア光ファイバ10自体の光伝送機能を利用し
て、撮像部152でモニタし、メインコントローラ17
0のディスプレ170aに表示させて、ねじり状態を測
定する。
【0025】ここで、ねじり加工の目的にもよるが、仕
上がった製品の正確な画像伝送特性を確保する場合に
は、入出射端間の画像のずれを測定し、ずれ修正用デー
タを捉える。例えば測定基準部151aに対して5°ず
れていれば、修正用データを5°とする。また、例えば
画像方向を積極的にθ°回転させる場合には、この初期
ずれ5°の考慮して、ねじり角データを(θ°−5°)
に設定すればよい。さらに、画像改善の場合には、ディ
スプレ170aの表示画像を目視して判定し、或いは画
像処理によってねじり角を測定させて判定し、画像が改
善されるまで、適当なねじれを加える必要が生じる。
【0026】したがって、上記測定結果に基づいて、キ
ーボード170bからメインコントローラ170に所定
の設定入力を行う。或いは自動的にデータを取り込み、
メインコントローラ170に対して、所定のねじり量
(ねじり角)を入力させる。もちろん、このねじり量に
対応した、ねじり付与部140の回転ステージ142の
回転量や、加熱手段160の火炎バーナ161のXYZ
ステージ162による上下左右などの多次元方向への移
動形態、さらにはガス供給量などは、予めメインコント
ローラ170や第1サブコントローラ171及び第21
サブコントローラ172側にソフト(プログラミング)
として格納させてある。
【0027】この状態で、キーボード170bのスター
ト用のキーを押せば、或いは設定によりオートで、ねじ
り加工の処理が開始され、ねじり付与部140の回転ス
テージ142が所定量だけ回動しようとする一方、発火
装置163を通じて、火炎バーナ161は着火されると
共に、XYZステージ162によって所定の移動形態を
取り、また、火炎バーナ161には所定量のガスが制御
弁164,164を通じて供給される。
【0028】この火炎バーナ161による加熱によっ
て、マルチコア光ファイバ10の加工部分は、軟化し、
ねじり付与部140からのねじり力によってねじられ
る。このとき、加熱による膨張や変形によって、マルチ
コア光ファイバ10が長手方向に若干伸縮したりするわ
けであるが、この変動は、ねじり付与部140のファイ
バ保持部200Aによって、良好に吸収される。したが
って、この加熱加工は、マルチコア光ファイバ10側に
曲がりや撓みなどを生じさせることなく行われる。因み
に、マルチコア光ファイバ10の外径が約0.2〜3m
m程度で、長さが数10cm〜1m程度の場合、数10
μm〜1mm程度の長さの変動が発生する。
【0029】そして、例えば画像方向を積極的にθ°回
転させる場合、そのねじり量に達したか否かは、例えば
図7に示すように、ねじり状態検出手段150における
ターゲット板151の測定基準部151aが角θ°だけ
ずれた位置(151a´)に変位したか否かを、撮像部
152で捉えられた画像で判定すればよい。この点はデ
ィスプレ170aにも表示させることができる。もちろ
ん、入出射端間の画像のずれを修正する場合には、ター
ゲット板151の測定基準部151aが垂直に表示され
ているか否かを、伝送画像により判定すればよい。ま
た、画像改善にあっては、ねじりを加えた際における画
像のコントラストを捉えて判定すればよい。これらの判
定は、作業者の目視で行ってもよく、ソフト的にメイン
コントローラ170側などで自動的に判定するようにし
てもよい。
【0030】ねじり量が所定の値に達していなときに
は、再度の不足分のねじり量を再設定して、再ねじり加
工を行えばよい。また、ねじり加工中のねじり状態は、
ねじり状態検出手段150によってモニタされているた
め、常時フィードバックさせて、ねじり量に達するま
で、ねじり付与部140を制御することも可能である。
【0031】このようにして、所定のねじり量が与えら
れたら、一連のコントローラ170〜172の働きによ
って、ねじり付与部140の回転ステージ142の回動
を停止させると共に、火炎バーナ161をXYZステー
ジ162によってマルチコア光ファイバ10の加工部分
から離間させる。なお、離間された火炎バーナ161
は、制御弁164,164によってガスの供給を絶って
一旦消火するか、或いは火力を弱めて、次のねじり加工
に備えるようにするとよい。
【0032】この加熱加工部分が冷えると、ねじりが固
定されるため、本発明の目的とする所定量ねじられたマ
ルチコア光ファイバ10が得られる。この加工済みのマ
ルチコア光ファイバ10では、加工部分のコーティング
が取り除かれていて保護層がないため、傷が付くと強度
的に弱くなる。このため好ましくは図8に示すように、
この加工部分に保護被覆11を施すとよい。この保護被
覆11としては、例えば金属や樹脂、セラミック、或い
はこれらの複合材などからなるチューブや分割筒状体の
もの、さらには、マルチコア光ファイバ10の被覆材料
と同様の被覆材料をリコートしたものが挙げられる。こ
れによって、加工前と同程度の強度が得られると共に、
必要とされる遮光性や材質によってはフレキシビリティ
なども保持される。
【0033】図9は本発明に係るマルチコア光ファイバ
のねじり加工装置の他の例になるねじり付与部のファイ
バ保持部を示したものである。このファイバ保持部20
0Bも、基本的な部分は、上記ファイバ保持部200A
と同様であるが、一対のクランプ板211,211の互
いに対向するV溝形のファイバ挟持部211a,211
aで、直接マルチコア光ファイバ10を保持するように
する一方、ファイバ保持部200Bのベース部材210
を、回転ステージ142の図中前後方向に延ばして取り
付けられたガイド部材143のガイド溝143aに摺動
可能に嵌め込まれたスライダ144に固着させてある。
【0034】したがって、マルチコア光ファイバ10を
一対のクランプ板211,211のファイバ挟持部21
1a,211aで直接保持しても、加熱時の膨張や変形
によって、マルチコア光ファイバ10が長手方向に若干
伸縮しても、この変動は、ガイド部材143に対するス
ライダ144の摺動によって、良好に吸収される。つま
り、このファイバ保持部200Bによっても、マルチコ
ア光ファイバ10は長手方向への動きが可能な状態で保
持される。また、このファイバ保持部200Bの場合、
上記ファイバ保持部200Aのように、スペーサ310
を嵌め込む必要がないため、作業性の向上が図られる。
【0035】図10〜図11は本発明に係るマルチコア
光ファイバのねじり加工装置の他の例になるねじり付与
部のファイバ保持部を示したものである。このファイバ
保持部200Cも、基本的な部分は上記ファイバ保持部
200Aと同様であるが、一対のクランプ板211,2
11に換えて一対のクランプローラ220,220を、
例えば回転ステージ142の表側と裏側にその方向を変
えて2組み設けて、マルチコア光ファイバ10を直接保
持するようにしてある。
【0036】この2組みの一対のクランプローラ22
0,220は、可動シャフト213の互いにねじの向き
が異なるねじ部分213a,213bに螺着された一対
のスライダー部材221,221と、これに対応して固
定シャフト215に嵌め込まれた一対のスライダー部材
222,222との間にそれぞれ軸着片223,233
を介して回転自在に装着されている。
【0037】したがって、加熱時、膨張や変形によっ
て、マルチコア光ファイバ10が長手方向に若干伸縮し
ても、この変動は、各一対のクランプローラ220,2
20の回転によって、良好に吸収される。つまり、この
ファイバ保持部200Cによっても、マルチコア光ファ
イバ10は長手方向への動きが可能な状態で保持され
る。また、このファイバ保持部200Cでも、スペーサ
310を嵌め込む必要がないため、作業性の向上が図ら
れる。
【0038】図12は本発明に係るマルチコア光ファイ
バのねじり加工装置の他の例になるねじり付与部のファ
イバ保持部を示したものである。このファイバ保持部2
00Dも、基本的な部分は、上記ファイバ保持部200
Aと同様であるが、一対のクランプ板211,211の
互いに対向するV溝形のファイバ挟持部211a,21
1aで、直接チューブ状の緩衝材320が嵌め込まれた
マルチコア光ファイバ10を保持するようにしてある。
【0039】上記チューブ状の緩衝材320は、例えば
シリコンゴムやシリコン樹脂などからなる弾性に富む材
料からなり、比較的肉厚に形成してある。このような材
料からなる緩衝材320の嵌め込みによって、一対のク
ランプ板211,211のファイバ挟持部211a,2
11aで直接保持しても、加熱時、膨張や変形によっ
て、マルチコア光ファイバ10が長手方向に若干伸縮し
ても、この変動は、緩衝材320の弾性による変形によ
って、良好に吸収される。
【0040】因みに、マルチコア光ファイバ10の長手
方向への変動は、上述したように、マルチコア光ファイ
バ10の外径が約0.2〜3mm程度で、長さが数10
cm〜1m程度の場合、数10μm〜1mm程度の長さ
であるため、緩衝材320の弾性変形によって、十分吸
収することが可能であった。つまり、このファイバ保持
部200Dによっても、マルチコア光ファイバ10は長
手方向への動きが可能な状態で保持される。また、この
ファイバ保持部200Dの場合、緩衝材320の嵌め込
みが必要となるものの、機械的な変動の吸収部が不要と
なるため、装置の簡略化が図られる。
【0041】図13〜図14は本発明に係るマルチコア
光ファイバのねじり加工装置の他の例になるねじり付与
部のファイバ保持部を示したものである。このファイバ
保持部200Eは、上記ファイバ保持部200Aと同様
の構成からなる回転ステージ142に、例えば3個の開
閉されるチャック部材230が組み付けられると共に、
これらのチャック部材230の開閉は、リング状の回動
操作部231によって行われるようにしてある。
【0042】このファイバ保持部200Eでも、上記フ
ァイバ保持部200Dと同様、3個の開閉されるチャッ
ク部材230で、直接チューブ状の緩衝材320が嵌め
込まれたマルチコア光ファイバ10を保持する。
【0043】したがって、この緩衝材320の嵌め込み
によって、上記ファイバ保持部200Dと同様、加熱
時、膨張や変形によって、マルチコア光ファイバ10が
長手方向に若干伸縮しても、この変動は、緩衝材320
の弾性による変形によって、良好に吸収される。つま
り、このファイバ保持部200Eでも、マルチコア光フ
ァイバ10は長手方向への動きが可能な状態で保持され
る。また、このファイバ保持部200Eの場合、緩衝材
320の嵌め込みが必要となるものの、機械的な変動の
吸収機構部分がないため、装置の簡略化が図られる。さ
らに、チャック部材230からなるチャック機構の場
合、回動操作部231の操作によりセンターの芯出しが
自動的に行われるため、マルチコア光ファイバ10のセ
ンター合わせが容易になる。
【0044】なお、上記実施の態様では、載置台110
のマルチコア光ファイバ10の嵌め込まれる保持部11
2をV溝としてあるが、本発明は、これに限定されず、
マルチコア光ファイバ10の長手方向に並べた複数のロ
ーラ間の谷部とすることもできる。また、マルチコア光
ファイバ10も、イメージファイバに限定されず、イメ
ージファイバなどに溶融線引きする前のマルチコア光フ
ァイバ母材や、多数の光ファイバ素線がバラバラの状態
で集合された単なるファイババンドルや、加熱してねじ
りを与える必要のある他の棒状の部材にも適用すること
ができる。
【0045】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、マルチ
コア光ファイバのねじり加工方法及びねじり加工装置に
よれば、次のような優れた効果が得られる。
【0046】(1)先ず、請求項1記載のマルチコア光
ファイバのねじり加工方法では、ねじり加工の対象であ
るマルチコア光ファイバの一端はほぼ完全に固定するも
のの、マルチコア光ファイバのねじり加工部分側は長手
方向への動きが可能な状態にして、回転方向へ所定のね
じりを加えるため、ねじり加工時の加熱による膨張や変
形によって、マルチコア光ファイバが長手方向に若干変
動して、この変動が良好に吸収される。つまり、マルチ
コア光ファイバのねじり加工を曲がりや撓みなどを生じ
させることなく行うことができる。
【0047】(2)次に、請求項2記載のマルチコア光
ファイバのねじり加工装置では、マルチコア光ファイバ
を載置台に載せて、その一端を固定部で固定する一方、
マルチコア光ファイバの他端は長手方向への動きが可能
な状態で、ねじり付与部により回転方向へ所定のねじり
が加えられ、かつ、載置台の加熱用のスペース部から移
動可能に設置された加熱手段によって加熱され、さら
に、このときのマルチコア光ファイバのねじり状態がね
じり状態検出手段によってモニタできるため、極めて簡
単かつスムーズにねじり加工を行うことができる。ま
た、このような構成によって、コンピュータ内蔵のコン
トローラなどと適宜組み合わせれば、各工程の自動化が
容易に達成できる。
【0048】(3)また、請求項3記載のマルチコア光
ファイバのねじり加工装置では、ねじり状態検出手段
が、測定基準部を有するターゲット板とこのターゲット
板の測定基準部を捉える撮像部とこの撮像部からの画像
データを処理する画像処理部とからなるため、ねじり状
態が画像として視覚的に捉えることができ、良好な作業
性が得られる。また、上記のようにコンピュータシステ
ム化にあって、良好な融合性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るマルチコア光ファイバのねじり加
工装置の全体の一例を示した概略説明図である。
【図2】図1のねじり加工装置における載置台部分を示
した拡大平面図である。
【図3】図1のねじり加工装置における載置台部分を示
した拡大側面図である。
【図4】図1のねじり加工装置における載置台の固定部
部分を示した縦断面図である。
【図5】本発明に係るマルチコア光ファイバのねじり加
工装置における載置台のファイバ押さえ部部分を示し、
(A)〜(B)は各例の縦断面図である。
【図6】本発明に係るマルチコア光ファイバのねじり加
工装置におけるねじり付与部を示した正面図である。
【図7】本発明に係るマルチコア光ファイバのねじり加
工装置におけるねじり状態検出手段のターゲット板を正
面図である。
【図8】本発明に係るマルチコア光ファイバのねじり加
工装置によりねじり加工された加工部分に保護被覆を施
したマルチコア光ファイバの部分縦断側面図である。
【図9】本発明に係るマルチコア光ファイバのねじり加
工装置におけるねじり付与部の他の例を示した部分縦断
正面図である。
【図10】本発明に係るマルチコア光ファイバのねじり
加工装置におけるねじり付与部の他の例を示した正面図
である。
【図11】図10のねじり加工装置におけるねじり付与
部の背面を示した背面図である。
【図12】本発明に係るマルチコア光ファイバのねじり
加工装置におけるねじり付与部の他の例を示した正面図
である。
【図13】本発明に係るマルチコア光ファイバのねじり
加工装置におけるねじり付与部の他の例を示した正面図
である。
【図14】図13のねじり加工装置におけるねじり付与
部の側面を示した側面図である。
【図15】従来のマルチコア光ファイバのねじり加工方
法の一例を示した概略説明図である。
【図16】従来のマルチコア光ファイバのねじり加工方
法の他の例を示した概略説明図である。
【符号の説明】
10 マルチコア光ファイバ 110 載置台 111 加熱用のスペース部 112 保持部 120 固定部 130 ファイバ押さえ部 140 ねじり付与部 150 ねじり状態検出手段 160 加熱手段 170 メインコントローラ 171 第1サブコントローラ 172 第2サブコントローラ 200A〜E ファイバ保持部 310 スペーサ 320 緩衝材

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マルチコア光ファイバを途中に加熱用の
    スペース部を有する載置台上に載せ、その一端を固定す
    る一方、他端には長手方向への動きが可能な状態で回転
    方向へ所定のねじりを加え、前記載置台の加熱用のスペ
    ース部からマルチコア光ファイバを加熱することを特徴
    とするマルチコア光ファイバのねじり加工方法。
  2. 【請求項2】 マルチコア光ファイバが載置されると共
    に、途中に加熱用のスペース部を有する載置台と、前記
    マルチコア光ファイバの一端を固定する固定部と、前記
    マルチコア光ファイバの他端を長手方向への動きが可能
    な状態で回転方向へ所定のねじりを加えるねじり付与部
    と、前記マルチコア光ファイバのねじり状態を測定する
    ねじり状態検出手段と、前記載置台の加熱用のスペース
    部に対して移動可能に設置された加熱手段とからなるこ
    とを特徴とするマルチコア光ファイバのねじり加工装
    置。
  3. 【請求項3】 前記マルチコア光ファイバのねじり状態
    検出手段が、前記マルチコア光ファイバの両端面側の一
    方に設置されると共に当該端面側に測定基準部を有する
    ターゲット板と、前記マルチコア光ファイバの両端面側
    の他方に設置されて前記ターゲット板の測定基準部を捉
    える撮像部と、当該撮像部からの画像データを処理する
    画像処理部とからなることを特徴とする請求項2記載の
    マルチコア光ファイバのねじり加工装置。
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