JP2000180250A - 質量センサ及び質量検出方法 - Google Patents

質量センサ及び質量検出方法

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JP2000180250A
JP2000180250A JP11059504A JP5950499A JP2000180250A JP 2000180250 A JP2000180250 A JP 2000180250A JP 11059504 A JP11059504 A JP 11059504A JP 5950499 A JP5950499 A JP 5950499A JP 2000180250 A JP2000180250 A JP 2000180250A
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Yukihisa Takeuchi
幸久 武内
Kosei Onishi
孝生 大西
Koji Kimura
浩二 木村
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NGK Insulators Ltd
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    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01GWEIGHING
    • G01G3/00Weighing apparatus characterised by the use of elastically-deformable members, e.g. spring balances
    • G01G3/12Weighing apparatus characterised by the use of elastically-deformable members, e.g. spring balances wherein the weighing element is in the form of a solid body stressed by pressure or tension during weighing
    • G01G3/13Weighing apparatus characterised by the use of elastically-deformable members, e.g. spring balances wherein the weighing element is in the form of a solid body stressed by pressure or tension during weighing having piezoelectric or piezoresistive properties

Abstract

(57)【要約】 【課題】 細菌、ウイルス等の微生物や化学物質、蒸着
膜厚等のナノグラムオーダーの微小質量の測定を、簡単
に、かつ正確に行うことのできる質量センサ及び質量検
出方法を提供する。 【解決手段】 連結板3が振動板2と圧電素子6を配設
した検出板4に挟持されるように、それぞれの側面を接
合することで共振部が形成され、連結板3がセンサ基板
7に設けられた凹部8の側部側面に跨設され、かつ、検
出板4が少なくとも凹部8の底部と接合されてなる質量
センサ50である。振動板2の質量変化に伴う共振部の
共振周波数の変化を測定することにより、振動板2の質
量変化を測定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、ナノグラム(1
-9g)オーダーの微小質量を測定する質量センサ、例
えば、細菌、ウィルス、原虫等の微生物を検出するため
の質量センサ(免疫センサ)や、水分や有毒物質あるい
は味覚成分等の化学物質の検出に使用される質量センサ
(水分計、ガスセンサ、味覚センサ)と質量検出方法に
関し、特に、これらの検出対象(被検出体)とのみ反応
して被検出体を捕捉する捕捉物質を塗布した振動板の質
量変化に基づく共振周波数の変化を測定することで、被
検出体の質量を測定する目的に好適に使用される質量セ
ンサ及び質量検出方法に関する。なお、本発明の質量セ
ンサは、上述のように、振動板に塗布された捕捉物質の
質量変化を測定する、即ち、間接的な振動板の質量変化
を測定することに限られず、振動板自体の質量変化に基
づく共振周波数の変化を検知することも、当然可能であ
るため、蒸着膜厚計や露点計としても用いることができ
る。また、直接的あるいは間接的に振動板の質量を変化
させることがなくとも、共振周波数の変化を起こさせる
環境に置く、即ち、真空度や粘性、温度等の異なる気体
や液体等の媒体環境下に置くことによって、真空計や粘
性計、温度センサとしても使用することができる。この
ように、本発明の質量センサは、その実施の形態によ
り、種々の用途があるが、振動板及び振動板を含む共振
部の共振周波数の変化を測定するという基本的な測定原
理は同じものである。
【0002】
【従来の技術】 近年の科学技術、医療技術の進歩と、
抗生物質や化学薬品等の新たに開発される薬品により、
これまで治療が困難とされていた種々の病気についての
治療が可能となってきている。病気と呼ばれるもののう
ち、細菌やウィルス、原虫といった微生物に起因する病
気については、これらの病原体を見つけ出し、それがい
かなる種類のものかを明らかにし、更に、どのような薬
剤に感受性があるかを決定する微生物検査が、病気の治
療に必要不可欠である。
【0003】 現在では病状からおおよその原因、病原
体の種類を推測することが可能であるため、微生物検査
の第一段階では、病気の種類によって血液等の種々の検
体が選ばれ、検体中に存在する病原体を形態学的に、あ
るいは検体中に存在する抗原や病原体の特異代謝産物
(毒素や酵素等)を免疫化学的に確認している。この過
程は、細菌検査で行われている塗抹、染色、鏡検といっ
た作業であるが、最近は、蛍光抗体染色や酵素抗体染色
といった方法により、即時同定が可能となってきてい
る。
【0004】 また、近年、ウィルスの検出に用いられ
ているウィルス血清検査法は、患者の血清中に出現する
特異免疫抗体を証明する方法であり、例えば、試験血液
へ補体を加えることによって、補体がその血液中の抗原
もしくは抗体と反応して抗原もしくは抗体の細胞膜へ付
着するか、あるいは細胞膜を破壊することにより抗体も
しくは抗原の存在を決定する補体結合反応が例として挙
げられる。
【0005】 病状が従来に見られない新たなもので、
その病気がこれまでに未発見な新たな病原体によるもの
である極めて特殊な場合を除けば、微生物等による病気
の治療においては、上述した微生物検査により、早期に
病原体を発見することで、適当な処置を施すことがで
き、病状が悪化することなく病人を回復に導くことが可
能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、上述
した塗抹、染色、鏡検等の方法では、微生物の量により
検出が困難な場合が多々あり、必要に応じて検体を寒天
培地等で培養するといった時間を要する処理を行う必要
がある。また、ウィルス血清検査法においては、原則と
して、急性期と恢復期の両者について測定し、その抗体
量の動きから判定する必要があり、早期診断という観点
から時間的な問題がある。
【0007】 ところで、上述した補体結合反応にみら
れるように、被検出体たる特定の微生物とのみ反応して
被検出体を捕捉する捕捉物質と被検出体が反応した場合
には、非常に小さいが被検出体の質量の分だけ捕捉物質
の質量が増加する。このような質量増加は、特定のガス
物質や臭い成分等の化学物質とその捕捉物質(吸着物
質)との関係においても同様であり、更に、質量変化の
ない基板自体を捕捉物質と見立てて、その基板に特定物
質が析出、付加等した場合にもあてはまる。反対に、捕
捉物質等に捕捉されていた被検出体が脱離するような反
応が起こった場合には、捕捉物質等の質量が微小に減少
することとなる。
【0008】 このような微小質量の変化を検出する方
法として、例えば、米国特許No.4789804に
は、図20に示されるように、水晶振動子81の対向す
る面に電極82・83を形成し、この電極82・83に
何らかの物質が外部から付着したときの電極面の面方向
の水晶振動子81の厚みすべり振動の共振周波数の変化
を利用して、その質量変化を検出する質量センサ80が
開示されている。
【0009】 しかし、質量センサ80にあっては、外
部からの物質の付着部と共振周波数の検出部とが同じ部
位となるため、例えば、検体の温度あるいは温度変化に
より質量センサ80自体の圧電特性が変化した場合に
は、共振周波数が一定せず、また、検体が導電性溶液の
場合には質量センサ80をそのまま検体に浸漬すると、
電極間の短絡を引き起こすために常に、樹脂コーティン
グ等の絶縁処理を施さなければならないといった不具合
が生ずる問題がある。
【0010】 そこで発明者らは、この質量センサ80
の有する問題点を解決すべく、先に特願平9−3613
68号において、振動板の質量を直接的もしくは間接的
に変化させて振動させたときの質量変化前後での共振周
波数の変化を測定する質量センサを種々開示した。一例
を図19に示す。質量センサ30は、振動板31に連結
板33を接合し、平板面上に圧電素子35を配設した検
出板32を連結板33に接合して構成される共振部が、
直角な側面を有するセンサ基板34の側面に接合された
構成を有している。この質量センサ30においては、主
に振動板31の質量変化にともなう共振部の共振周波数
の変化を測定することにより、簡単にしかも短時間にそ
の質量変化を知ることが可能である。
【0011】 しかしながら、このような質量センサ3
0においては、振動板31の同質量の変化であっても、
質量が変化した位置が、例えば振動板31の中央部であ
るか、あるいは端部であるかによって検出感度に差が生
ずる問題があり、この検出感度差をより小さくする改良
が望まれる。また、振動板31をより揺れ易くすること
で検出感度の向上が図られる。
【0012】
【課題を解決するための手段】 本発明は上述した微小
質量センサの問題点に鑑みてなされたものであり、本発
明によれば、構造的に大別される以下の第一から第三の
質量センサが提供される。即ち本発明によれば、第一の
質量センサとして、連結板が振動板と少なくとも一方の
平板面の少なくとも一部に圧電素子を配設した検出板に
挟持されるように、それぞれの側面を接合して共振部が
形成され、当該連結板がセンサ基板に設けられた凹部の
側部側面に跨設され、かつ、当該検出板が少なくとも当
該凹部の底部と接合されてなることを特徴とする質量セ
ンサ、が提供される。
【0013】 この第一の質量センサにおいては、連結
板にスリット部を設けることも好ましい。また、連結板
の少なくとも一方の平板面に、少なくとも1枚のバネ板
もしくはキャビティ部を有する少なくとも1枚のバネ板
を貼合することも好ましく、この場合に、連結板のバネ
板が貼合されていない部分もしくはキャビティ部と相対
する部分の少なくとも一部にスリット部を設けることも
好ましい。この場合、連結板は、バネ板を貼合した厚み
の厚い部分と空洞部とを有するようになる。
【0014】 なお、凹部とは、対向する側面とそれら
側面を接続する底部側面とからなるものをいうが、本発
明においては、必ずしも底部側面は一平面である必要は
なく、底部側面に窪みを設けたり、あるいは逆に突起部
を設ける等、振動板の振動や共振周波数の測定に影響を
及ぼさない限りにおいて、種々に形状を変更することが
できるものをいう。また、本願において使用する「圧
電」という言葉には「電歪」の意味も含まれる。
【0015】 また、本発明によれば、第二の質量セン
サとして、少なくとも一方の平板面の少なくとも一部に
圧電素子を配設した検出板が第一の連結板と第二の連結
板に挟持され、かつ、当該第一の連結板が第一の振動板
と当該検出板に挟持され、かつ、当該第二の連結板が第
二の振動板と当該検出板に挟持されるようにそれぞれの
側面を一方向に接合して共振部が形成され、少なくとも
当該連結板が、センサ基板に設けられた対向する側面に
跨設されてなることを特徴とする質量センサ、が提供さ
れる。
【0016】 更に、本発明によれば、第三の質量セン
サとして、第一の検出板及び第二の検出板それぞれの少
なくとも一方の平板面の少なくとも一部に圧電素子が配
設され、干渉防止板が当該第一の検出板と当該第二の検
出板に挟持され、かつ、第一の連結板が当該第一の検出
板と第一の振動板とに挟持され、かつ、第二の連結板が
当該第二の検出板と第二の振動板に挟持されるように、
それぞれの側面を一方向に接合して共振部が形成され、
少なくとも当該連結板及び当該干渉防止板が、センサ基
板に設けられた対向する側面に跨設されてなることを特
徴とする質量センサ、が提供される。ここで、この第三
の質量センサにおいては、干渉防止板にバネ板を貼合す
ることが好ましい。
【0017】 これら第二及び第三の質量センサにおい
ては、第一の連結板及び/又は第二の連結板にスリット
部を設けることも好ましい。また、第一の連結板及び/
又は第二の連結板の少なくとも一方の平板面に、少なく
とも1枚のバネ板もしくはキャビティ部を有する少なく
とも1枚のバネ板を貼合することも好ましく、この場合
に、第一の連結板及び/又は第二の連結板のバネ板が貼
合されていない部分もしくはキャビティ部と相対する部
分の少なくとも一部にスリット部を設けることも好まし
い。つまり、連結板は、バネ板を貼合した厚みの厚い部
分と空洞部とを有することとなる。更に、第一の振動板
と第二の振動板の形状を異なるものとすることも好まし
い。
【0018】 さて、本発明の上記第一から第三の全て
の質量センサにおいては、振動板、連結板、検出板及び
センサ基板を一体的に形成し、かつ、連結板にバネ板を
貼合した場合にはこのバネ板もまた一体的に形成するこ
とが好ましい。このような一体的な構造を得るための手
段としては、連結板と振動板及び検出板を振動プレート
から一体的に形成し、かつ、センサ基板を振動プレート
とベースプレートを積層することで一体的に形成し、か
つ、連結板にバネ板を貼合した場合にはそのバネ板を中
間プレートから形成するとともに、中間プレートを振動
プレートとベースプレートとの間に嵌挿して一体的に形
成する方法が挙げられる。
【0019】 また、本発明の質量センサにおいては、
1箇所以上の凹部もしくは貫通孔をセンサ基板に形成
し、それぞれの凹部もしくは貫通孔の内周面のそれぞれ
に、共振部を形成することが好ましい。なお、貫通孔の
形状は任意であるが共振部の構造上、平行に対向する辺
を有するものであることが好ましい。また、凹部につい
ての基本的な定義は、前述した通りであるが、ここで、
例えば四角形状の貫通孔の一部は凹部とみなすことがで
きることから、逆に凹部は貫通孔の一部を利用するもの
であっても構わない。
【0020】 さて、本発明の全ての質量センサは、特
に微小質量の変化の測定に好適に用いられるものである
が、使用の一態様として、振動板に被検出体とのみ反応
して被検出体を捕捉する捕捉物質を塗布し、この捕捉物
質に被検出体が捕捉されていない状態及び捕捉物質に被
検出体が捕捉された後の状態における共振部の共振周波
数を圧電素子で測定し、測定された共振周波数の変化か
ら捕捉された被検出体の質量を測定する方法が挙げられ
る。このような質量センサの使用方法において、質量セ
ンサが複数の振動板を有する場合には、少なくとも1枚
の振動板には捕捉物質を塗布せず、参照用等として用い
ることができる。また、複数の振動板のそれぞれに、異
なる種類の捕捉物質を塗布することで、異なる種類の被
検出体を同時に検出する等することも可能である。
【0021】 上記使用態様によらず、本発明の質量セ
ンサにおいては、複数の振動板が形成されていると、振
動板の状態変化に起因するそれぞれの信号を積算してダ
イナミックレンジを大きくとることができ、好ましい。
ここで、「複数の振動板が形成されている場合」とは、
1枚の振動板を有する共振部がセンサ基板に2箇所以上
形成されている場合や、複数の振動板が形成された共振
部が1箇所以上形成されている場合を指す。また、共振
部に配設された圧電素子を2分割もしくは3分割するこ
とも好ましく、共振部に圧電素子を複数個配設すること
も、好ましい。この場合、分割された圧電素子、及び/
又は複数個の圧電素子のうち、少なくとも1個の圧電素
子を駆動用とし、少なくとも別の1個の圧電素子を検出
用として用いると、検出感度の向上が図られ、好まし
い。更に、1個の質量センサに、共振部を複数個配設す
ることも好ましい。なお、分極の方向を互いに逆向きと
する圧電素子を、検出板の両平板面にそれぞれ形成する
ことによっても検出感度の向上を図ることができる。
【0022】 本発明の質量センサは、その使用環境を
選ばないが、導電性溶液に浸漬して用いる場合には、振
動板は導電性溶液に浸漬されるが、圧電素子はその導電
性溶液に浸漬されないように、センサ基板上の振動板と
圧電素子との中間位置に一対の電極からなる位置センサ
が設けられていると、振動板に重点的に質量変化を起こ
させることができ、また、圧電素子の短絡を防止するこ
とができ、好ましい。一方、圧電素子及び圧電素子の電
極にそれぞれ導通する電極リードが、樹脂又はガラスか
らなる絶縁層により被覆されていると、加湿雰囲気や液
体中での使用に至便である。このとき、樹脂としては、
フッ素樹脂もしくはシリコーン樹脂が好適に用いられ
る。更に、少なくともこの絶縁層の一部の表面上に、導
電性部材からなるシールド層を形成すると、外部からの
ノイズが減少されて測定感度の向上が図られ、好まし
い。
【0023】 なお、本発明の質量センサにおけるセン
サ基板、振動板、連結板、検出板ならびバネ板を設けた
場合にはバネ板は、完全安定化ジルコニアあるいは部分
安定化ジルコニアを用いて好適に作製される。また、圧
電素子における圧電膜には、ジルコン酸鉛、チタン酸
鉛、マグネシウムニオブ酸鉛からなる成分を主成分とす
る材料が好適に用いられる。振動板、連結板、検出板の
少なくともいずれかの形状の寸法調整は、レーザ加工も
しくは機械加工によるトリミングにより好適に行われ
る。レーザ加工もしくは機械加工によるトリミングは、
圧電素子の電極の寸法調整にも好適に用いられ、こうし
て圧電素子の有効電極面積を容易に調整することができ
る。
【0024】 さて、本発明によれば、上述した本発明
の質量センサ、即ち、連結板が振動板と少なくとも一方
の平板面に圧電素子を配設した検出板に挟持されるよう
に、それぞれの側面を接合してなる共振部を有する質量
センサの質量検出方法であって、当該検出板と当該振動
板が当該連結板を挟持する方向に、当該振動板が平行に
往復振動する振動モードに基づく共振周波数を当該圧電
素子により測定することを特徴とする質量センサの質量
検出方法、もまた提供される。
【0025】
【発明の実施の形態】 本発明の質量センサによれば、
振動板における質量変化位置に依存した感度差が小さ
く、また、振動板がより大きく揺れ易い構造となってい
るので、共振部の共振周波数の変化という具体的な数値
により、確実にしかも短時間の間に微小質量の変化を精
度良く知ることができる。従って、例えば、検体中にお
ける微生物や化学物質等の検出に好適に用いることがで
きる。以下、本発明の実施形態について、特定の被検出
体とのみ反応してその被検出体を捕捉する捕捉物質を振
動板に塗布した質量センサとその使用方法を中心に、図
面を参照しながら説明する。但し、本発明の質量センサ
には、前述したように、また後述するように質量変化の
測定以外にも多くの用途がある。従って、本発明は以下
の説明に限定されるものではない。
【0026】 図1(a)は、本発明の質量センサの一
実施形態を示す平面図であり、図1(b)は図1(a)
中のY軸におけるX軸方向から見た断面図、即ちY軸に
おける厚み方向の断面図である。以下、このような断面
図を、単に「Y軸における断面図」のように記すことと
する。質量センサ50においては、連結板3が振動板2
と検出板4に挟持されるようにしてそれぞれの側面で接
合され、検出板4の一表面には圧電素子6が配設されて
いる。そして、振動板2、連結板3、検出板4及び圧電
素子6から共振部が形成され、連結板3がセンサ基板7
に設けられた凹部8の側部側面に跨設され、かつ、検出
板4が凹部8の底部に嵌合された構造を有している。な
お、質量センサ50において、圧電素子6には、その電
極に導通するように電極リードが設けられるが、図1
(a)においてはこの電極リードは省略されており、後
述する図1(c)についても同様である。
【0027】 ここで、振動板とは主に質量変化を起こ
させる場もしくは受ける場であって、後述する種々のモ
ードで振動する要素をいい、連結板とは振動板とセンサ
基板並びに検出板とを連結する要素をいい、検出板とは
振動板の動きによって歪みを生じ、表面に配設した圧電
素子等の検知素子にその歪みを伝達し、もしくはその逆
に圧電素子等の駆動素子が発生する歪みないし振動を振
動板に伝達する要素をいうものとする。また、センサ基
板は、共振部を保持すると共に測定装置へ取り付けるた
めの種々の電極端子を配設し、実際の使用においてハン
ドリングに供される要素をいう。
【0028】 質量センサ50においては、振動板2と
連結板3及び検出板4は、必ずしも同一の厚みを有する
ことを必要としないが、振動板2と連結板3及び検出板
4は、好適には1枚の板(以下、このような板を「振動
プレート」という。)から一体的に形成されていること
が好ましい。この場合、振動板2と連結板3及び検出板
4は同一平板面を形成するように同じ厚みを有すること
となり、製造上も製造が容易となる利点がある。従っ
て、図1(a)では、振動板2と連結板3及び検出板4
のそれぞれの接合部に実線で境界が明示されているが、
実際には、また好ましくは、図1(c)に示すように、
振動板2と連結板3及び検出板4は、構造的な境界のな
い一体構造とされる。
【0029】 また、連結板3及び検出板4は、センサ
基板7とも直接一体的に形成されることが好ましい。こ
のような構造を実現するために、センサ基板7は、後述
する本発明の質量センサの作製方法において詳述される
ように、振動プレートとベースプレートを積層して一体
的に形成することが好ましい。ここで、ベースプレート
を振動プレートよりも厚く形成し、質量センサ50自体
の機械的強度の維持を図ると好ましい。なお、ベースプ
レートとは、センサ基板7の主要部を形成するために用
いられる板をいう。
【0030】 振動板2の厚みは3〜20μm程度とす
ることが好ましく、好適には7〜15μm程度に設定さ
れ、連結板3や検出板4についても同様である。このと
きのベースプレートの厚みは操作性を考慮し、適宜決め
られる。なお、検出感度向上のためには、振動板2と連
結板3の質量比(振動板2の質量/連結板3の質量)を
0.1以上とすることが好ましく、振動板2の厚みと面
積を考慮に入れつつ、この質量比の範囲内で適宜、好適
な比率に設定することが好ましい。後述するように、連
結板にバネ板を設けた場合には、振動板の質量を、連結
板とバネ板との合計の質量で除して、この質量比を検討
すればよい。
【0031】 このような振動板2と連結板3及び検出
板4並びにセンサ基板7は、好適にはセラミックスから
形成されていることが好ましく、例えば、完全安定化ジ
ルコニアや部分安定化ジルコニア、アルミナ、マグネシ
ア、窒化珪素等を用いることができる。このうち、完全
安定化/部分安定化ジルコニアは、薄板においても機械
的強度が大きいこと、靭性が高いこと、圧電膜や電極材
との反応性が小さいことから最も好適に採用される。
【0032】 そして、センサ基板7等の材料として安
定化/部分安定化ジルコニアを使用する場合には、少な
くとも、検出板4にアルミナあるいはチタニア等の添加
物を含有した振動プレートを準備することが好ましい。
なお、センサ基板7を形成する振動プレートとベースプ
レートは、必ずしも同一の材料から構成される必要はな
く、設計に応じて前述した各種セラミックス材料を組み
合わせて用いることが可能である。しかし、同一の材料
系のものを用いて一体的に構成することが、各部の接合
部の信頼性の確保や製造工程の簡略化等の見地からは好
ましい。これらの材料は本発明の質量センサ全てに共通
して使用されるものであり、後述するバネ板、干渉防止
板といった部材にも適用される。
【0033】 さて、圧電素子6の形態としては、図2
に示すように、検出板89上に第一電極85、圧電膜8
6、第二電極87が層状に形成された圧電素子88、あ
るいは図3に示すような検出板89上に圧電膜90を配
し、圧電膜90上部に第一電極91と第二電極92と
が、一定幅の間隙部93を形成した櫛型構造を有する圧
電素子94Aが挙げられる。なお、図3における第一電
極91と第二電極92は、検出板89と圧電膜90と間
に挟まれるようにして形成されていてもかまわない。更
に、図4に示すように、櫛型の第一電極91と第二電極
92との間に圧電膜90を埋設するようにして圧電素子
94Bを形成してもよい。ここで、図3及び図4に示し
た櫛型電極を用いる場合には、ピッチDを小さくするこ
とで、測定感度を上げることが可能となる。
【0034】 圧電素子6における圧電膜としては、圧
電セラミックスからなるものが好適に用いられるが、電
歪セラミックスあるいは強誘電体セラミックスを用いる
こともできる。また、分極処理が必要な材料あるいは必
要でない材料のいずれであってもよい。
【0035】 圧電セラミックスとしては、例えば、ジ
ルコン酸鉛、チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、マ
グネシウムタンタル酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛、亜鉛ニ
オブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、
マンガンタングステン酸鉛、コバルトニオブ酸鉛、チタ
ン酸バリウム等やこれらのいずれかを組み合わせた成分
を含有する複合セラミックスが挙げられるが、本発明に
おいては、ジルコン酸鉛とチタン酸鉛及びマグネシウム
ニオブ酸鉛からなる成分を主成分とする材料が好適に用
いられる。これは、このような材料が高い電気機械結合
係数と圧電定数を有することに加え、圧電膜の焼結時に
おけるセンサ基板材料との反応性が小さく、所定の組成
のものを安定に形成することができることに基づく。
【0036】 更に、上記圧電セラミックスに、ランタ
ン、カルシウム、ストロンチウム、モリブデン、タング
ステン、バリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガ
ン、セリウム、カドミウム、クロム、コバルト、アンチ
モン、鉄、イットリウム、タンタル、リチウム、ビスマ
ス、スズ等の酸化物、もしくはこれらいずれかの組み合
わせ、又は他の化合物を適宜、添加したセラミックスを
用いてもよい。例えば、ジルコン酸鉛とチタン酸鉛及び
マグネシウムニオブ酸鉛からなる成分を主成分とし、こ
れにランタンやストロンチウムを添加したセラミックス
を用いることもまた好ましい。
【0037】 一方、圧電素子6における第一電極及び
第二電極は、室温で固体であって導電性の金属で構成さ
れていることが好ましく、例えば、アルミニウム、チタ
ン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ニオ
ブ、モリブデン、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、
銀、スズ、タンタル、タングステン、イリジウム、白
金、金、鉛等の金属単体あるいはこれらのいずれかを組
み合わせた合金が用いられ、更に、これらに圧電膜ある
いは検出板と同じ材料を分散させたサーメット材料を用
いてもよい。
【0038】 なお、実際の第一電極及び第二電極の材
料選定は、圧電膜の形成方法に依存して決定される。例
えば、前述した圧電素子88を形成する場合に、先ず、
検出板4A・4B上に第一電極85を形成した後、第一
電極85上に圧電膜86を焼成により形成する場合に
は、第一電極85は、圧電膜86の焼成温度においても
変化しない白金等の高融点金属を使用する必要がある。
これに対し、圧電膜86を形成した後に圧電膜86上に
形成される第二電極87は、低温での形成が可能なこと
から、アルミニウム等の低融点金属を使用することがで
きる。
【0039】 また、圧電素子88を一体焼成して形成
することもできるが、この場合には、第一電極85及び
第二電極87の両方を圧電膜86の焼成温度に耐える高
融点金属としなければならない。一方、図3に示したよ
うに、圧電膜90上に第一及び第二電極91・92を形
成する場合には、双方を同じ低融点金属を用いて形成す
ることができる。このように、第一電極及び第二電極
は、圧電膜の焼成温度や圧電素子の構造に依存して、適
宜、好適なものを選択すればよい。
【0040】 なお、圧電膜の面積を広げると出力電荷
が増加するために感度が上がるが、センササイズが大き
くなる問題が生ずるため、適宜、好適な大きさに設定す
ることが好ましい。また、圧電膜の厚みを薄くすると感
度が向上するが、その一方で、剛性が低下するといった
問題が生ずる。このため、好ましくは、検出板4A・4
Bと圧電膜との厚みの合計は、好適には、15〜50μ
mとなるように設定される。上述した圧電素子の構造、
使用される材料は、本発明の質量センサの全てに共通し
て用いられる。
【0041】 質量センサ50において、共振周波数の
測定に好適に用いられる振動板2の振動モードとして
は、検出板4と振動板2が連結板3を挟持する方向であ
るY軸方向に、振動板2が平行に往復振動する振動モー
ド(以下、このような振動モードを「一軸振動モード」
という。)が挙げられる。この一軸振動モードにおける
振動板2の動きは、図1(a)のX軸方向から見た場合
には、図5(a)に示されるように、静止状態では実線
位置にあり、振動時には点線位置間を往復運動する運動
として表される。この一軸振動モードに基づく共振周波
数を圧電素子6により測定すると、振動板2内での質量
変化位置による感度差を低減することができ、好まし
い。また、一軸振動モードは、振動板2の側面を利用し
た剛体モードであって、振動板2の厚みが薄いために密
度や粘性等の外部環境の影響を受け難く、従って温度変
化に強く、最も検出感度が良好で対環境性に優れたもの
となる。このような特性から、質量センサ50は振動板
2もしくは質量センサ50全体を液体に浸漬しても用い
ることができる。
【0042】 その他に質量センサ50において用いら
れる振動モードとしては、図5(b)に示されるよう
に、振動板2が、X軸方向から見た場合に、X軸とY軸
の双方に垂直なZ軸方向(紙面に垂直な方向)に撓むよ
うに曲がる曲げモードや、図5(c)に示されるよう
に、振動板2が、X軸方向から見た場合に、連結板3の
中心を通るX軸回りに回転するX軸回転モード、及び図
5(d)に示されるように、振動板2をY軸方向から見
た場合に、振動板2がY軸を中心軸として回転するY軸
回転モードが挙げられる。これらの振動モードは液体中
での測定には、振動板2の平板面が振動の際に環境から
受ける抵抗が大きくなり、好ましくないが、気体中での
測定においては十分に質量センサとして使用可能であ
る。
【0043】 なお、図5(b)〜(d)において、実
線は振動板2の静止状態の位置を示し、点線は振動状態
の静止位置以外の位置を示している。また、これらの各
種の変位モードは、振動板2の変位方向がそれぞれ前述
した方向に支配的であることを意味しているものであっ
て、記された方向以外の方向成分を有することを完全に
排除しているものではない。このことは、以下、種々の
実施の形態について説明する際に、変位モードについて
言及する場合にも同様に言えることである。
【0044】 さて、質量センサ50において、圧電素
子6の圧電膜に交流電圧をかけた場合には、圧電膜には
31あるいはd33により伸縮振動が生じて検出板4に屈
曲運動が生じる。この運動が振動板2に伝達されて、振
動板2が圧電膜にかけた交流電圧と同じ周波数で振動
し、その交流電圧の周波数がある周波数のときに、上記
一軸振動モード等の共振現象が生ずる。その共振周波数
の変化を圧電素子6自身で測定することにより、振動板
2の質量変化の有無を調べることができる。
【0045】 一方、振動板2が外部からの励振力等で
振動すると、検出板4に屈曲/撓み振動が生じ、これに
より圧電素子6が圧電素子88のような構造を有する場
合には、平板状の圧電膜86には伸縮振動が生じて、圧
電膜86の電気機械結合係数k31(圧電定数d31)に基
づく電圧が発生する。なお、圧電素子6が櫛型電極構造
を有する圧電素子94A・94Bの場合には、k33(d
33)に基づいて一定の電圧が発生する。このような電圧
値のP−P値を検出し、P−P値の極大となる周波数を
検知することで、一軸振動モード等の共振周波数を検出
し、質量変化を知ることが可能となる。
【0046】 なお、本発明においては、圧電素子とし
て前述したd31、k31に表される電界誘起歪みの横効
果、又はd33、k33に表される電界誘起歪みの縦効果を
利用する素子で構成することが好ましいが、d15、k15
に表される電界誘起歪みのすべり効果(shear m
ode)等を利用する素子で構成することもできる。
【0047】 さて、質量センサ50においては、検出
板4の一方の平板面にのみ圧電素子6が配設されている
が、圧電素子6は検出板4の両平板面にそれぞれ形成し
ても良い。この場合、一方の圧電素子を振動板2の駆動
用(励振用)に用い、他方の圧電素子を検出用(受信
用)として用いると、検出感度の向上が図られ、好まし
い。また、圧電素子における圧電膜の分極方向を互いに
逆向きとすることによっても検出感度の向上が図られ、
好ましい。なお、両方の圧電素子で同時に振動板2を駆
動しつつ、それぞれの圧電素子で共振周波数の検出を行
っても構わない。こうしてそれぞれの圧電素子の検出す
る信号を比較演算処理することにより、ノイズを減少さ
せ、他の振動モードの影響を排除し、検出精度を向上さ
せつつ、ダイナミックレンジを大きくとることが可能と
なる。
【0048】 また、検出板4の一方の平板面に圧電素
子6を配設した場合であっても、図6(a)の平面図に
示すように、圧電素子6をY軸を中心としてX軸方向に
2個の圧電素子(圧電素子6A・6B)が形成されるよ
うに分割して配設し、圧電素子6A・6Bを同時に駆動
して連結板3の中央部が撓むことなく振動板2を駆動す
ると、振動板2内の検出感度差を低減することができ、
好ましい。更に、図6(b)の平面図に示すように、圧
電素子6をY軸方向に3個の圧電素子(圧電素子6A・
6B・6C)に分割して配設し、中央に位置する圧電素
子6Bを駆動用として用い、外側の圧電素子6A・6C
を検出用として用いると、応力の集中する連結板3と検
出板4との接合部並びにセンサ基板7と検出板4との接
合部に近いところに、検出用の圧電素子6A・6Cが配
設されているため、共振時の波形が安定して検出精度が
向上できる利点がある。
【0049】 このような圧電素子6の分割形成は、1
個の圧電素子6を配設した後に、レーザ加工等により分
割加工する方法、あるいは圧電素子6を配設する際に、
最初から分割して配設する方法のいずれを用いてもよ
い。なお、圧電素子6を上述の通り3分割する場合に
は、圧電素子の形態として、図2に示した層状構造のも
のを用いることが好ましく、下部電極(第一電極85)
は共通とし、上部電極(第二電極87)のみをレーザ等
によるパターニングにより形成すると作製が容易であ
る。上述した圧電素子の配設についての種々の形態は、
後述する本発明の他の質量センサにも好適に用いられ
る。
【0050】 こうして配設する圧電素子の数を多くす
ると、検出感度の向上等の効果を得ることができるが、
反対に、製造工程(圧電素子の形成工程)が複雑になる
といった問題も生ずる。従って、圧電素子の配設数は、
検出する質量のオーダーや精度、製造コスト等を考慮し
て決定すればよい。なお、質量センサの検出感度を上げ
る方法としては、上述した圧電素子の配設数によるもの
の他にも、振動板を薄くして、被検出体の質量と振動板
の質量との比(被検出体の質量/振動板の質量)を大き
くする方法も好適に用いられる。
【0051】 次に、質量センサ50の使用の態様につ
いて説明する。質量センサ50の一使用態様として、振
動板2に被検出体とのみ反応して被検出体を捕捉する捕
捉物質を塗布して用いる場合が挙げられる。この場合、
振動板2の捕捉物質に被検出体が捕捉されていない状態
での共振部の共振周波数と、被検出体が捕捉された後で
の共振部の共振周波数とは、捕捉された被検出体の質量
の分に依存して異なる値を示すことから、この共振周波
数の変化を圧電素子6により測定することで、逆に、捕
捉物質に捕捉された被検出体の質量を測定することが可
能となる。被検出体の一例としては病気の原因となる抗
原を、また捕捉物質してはこの抗原に対する抗体を挙げ
ることができる。
【0052】 測定方法としては、この場合より具体的
には、振動板2に捕捉物質を塗布して、この振動板2を
検体たる液体に浸漬し、もしくは特定ガス等の気体雰囲
気にさらして、被検出体を補足物質に補足させて振動板
2の質量を変化させ、圧電素子6により共振部の共振周
波数の変化を測定する方法が挙げられる。また、捕捉物
質を塗布した振動板2を液体に浸漬させて被検出体を捕
捉させた後、気体中で振動板2を乾燥させて共振周波数
を測定することもできる。ここで、上述した種々の振動
モードが用いられ、圧電素子の構造や配設数についても
種々の形態を適宜選択して用いることができることはい
うまでもない。
【0053】 なお、質量センサ50は、振動板2の質
量が初期の状態から減少するような場合に、その減少量
を測定するために使用することも可能である。例えば、
塗布した捕捉物質が何らかの原因で剥離したときや、振
動板2に塗布された物質の微小腐食量や特定溶液に対す
る微小溶解量の測定、あるいは振動板2に捕捉物質では
なく特定の化学物質を塗布して、その化学物質の蒸発、
溶解等の変化量を測定する目的にも好適に使用すること
ができる。
【0054】 上述の通り、質量センサ50を共振部の
共振周波数を変化させる環境下におくという測定原理を
応用すれば、種々の物理量や化学量の測定に用いること
が可能となる。詳しくは後述することとするが、例え
ば、振動板上に付着する質量変化を利用する蒸着膜厚計
や露点計、振動板の置かれた真空度や粘性あるいは温度
といった環境を利用する真空計や粘性計あるいは温度セ
ンサとして用いることができる。
【0055】 次に、上述した質量センサ50を用いた
別の実施形態である質量センサ51の平面図を図7に示
す。質量センサ51内には、質量センサ50と同様の共
振部が2箇所(共振部11A・11B)形成されてい
る。これら共振部11A・11Bの詳細な構成について
は質量センサ50と同等であるので、この場での説明は
割愛する。また、共振部11A・11Bの使用方法は、
前述した質量センサ50の使用方法に準ずるが、質量セ
ンサ51のように、1個のセンサ内に形成される共振部
の数を2箇所以上とすることにより、各共振部からの信
号を積算してダイナミックレンジを大きくとることが可
能となる他、少なくとも1つの共振部を参照用、あるい
は他の物理量の測定のために用いることができるように
なる。
【0056】 センサ基板17に設けられた基準孔18
は質量センサ51のパッケージング及び製造工程におい
て利用されるアライメントマークとして設けられるもの
であり、センサ基板17は、質量センサ50と同様に振
動プレート及びベースプレートを積層して、好ましくは
一体的に形成される。また共振部11A・11Bにおけ
る振動板12A・12B、検出板14A・14B、連結
板13A・13Bは、振動プレートから一体的に形成さ
れていることが好ましい。検出板14A・14Bの表面
に設けられた一対の電極を有する圧電素子16A・16
Bからは、センサ基板17下部へ電極リード19A・1
9Bが引かれており、電極リード19A・19Bの末端
が測定プローブ等の測定装置側の端子等と接続される。
【0057】 更に、質量センサ51には、一対の電極
からなる位置センサ20が設けられている。この位置セ
ンサ20は、質量センサ51を水溶液等の導電性を有す
る検体に浸漬させたときに検体によって導通し、質量セ
ンサ51の浸漬位置を検出するものである。即ち、検体
が導電性を有する場合には、位置センサ20の水平方向
に形成されたパターンから上部を検体に浸漬させ、位置
センサ20が応答した位置より深くは質量センサ51を
検体に浸漬させないようにすると、圧電素子16A・1
6B及び電極リード19A・19Bの短絡を防止するこ
とができる。このような位置センサ20は、前述した質
量センサ50において、そのセンサ基板7にも形成する
ことができることはいうまでもない。但し、圧電素子1
6A・16B及び電極リード19A・19Bを絶縁樹脂
等でコーティングした場合には、質量センサ51を導電
性の検体に浸漬させた場合でも、圧電素子16A・16
Bと電極リード19A・19Bの短絡を防止することが
できるので、位置センサ20は、必ずしも設けなくとも
よい。また、液体中に浸漬させ、液中でのセンサ深さを
制御するときは、この位置センサ20により、容易にセ
ンサ深さを制御することができる。
【0058】 さて、質量センサ51においては、セン
サ基板17内に設けた貫通孔21A・21Bの周囲を利
用して共振部11A・11Bを設けている。つまり、貫
通孔21A・21Bの周囲の一部を質量センサ50にお
けるセンサ基板7の凹部8とみなして共振部11A・1
1Bを配設している。このように本発明の質量センサに
おいては、1箇所以上の任意形状の貫通孔をセンサ基板
に形成し、それぞれの貫通孔に2枚の検出板並びに連結
板が嵌合されるようにして共振部を形成した構造とする
ことも好ましい。
【0059】 一方、共振部をセンサ基板の外周部に設
けても構わない。例えば図7の質量センサ51の上辺部
に凹部を設けて、この凹部に共振部を配設する形態が考
えられる。しかしながら、この場合、薄板状の振動板1
2A・12Bはセンサ基板17の外周から突出するよう
に設けられることから、質量センサ51の取り扱い時に
振動板12A・12Bを破損しないように注意しなけれ
ばならない。従って、外的な衝撃から共振部11A・1
1Bを保護することを考えれば、図7に示したように、
センサ基板17の内部に共振部11A・11Bを設ける
構造を採用することが好ましい。また、このような構造
は後述するように、質量センサの製造を容易にすること
からも好ましい。更に、振動板12A・12Bと、対向
する貫通孔21A・21Bの上側側面との距離を長くし
て、センサ振動の反射波の影響を小さくしてノイズを低
減することも可能である。このようなノイズ低減のため
には、貫通孔21A・21Bの面積を共振部の面積の数
倍以上とすることが好ましい。
【0060】 なお、センサ振動の反射波によるノイズ
については、質量センサ自体の構造を考慮する他、例え
ば、液体中で使用する際には、その液体を入れる容器の
材質、形状をも考慮して低減を図ることが好ましい。例
えば、容器壁面からの反射を低減するために、容器材質
として柔軟な樹脂等を使用したり、容器内壁面にゴム状
或いはゲル状のシリコーン樹脂や弾性エポキシ樹脂等の
可撓性樹脂をコーティングすることが好ましい。また、
このときに音波の周波数帯域を考慮して材質を選択する
ことも好ましい。更に、容器の形状についても、振動板
の振動モードに応じて壁面形状を変更し、反射波が振動
板に戻って来ないような形状とすることも好ましい。
【0061】 次に、質量センサ51の使用方法につい
て、質量センサ51を免疫センサとして用いた場合を例
に説明する。2箇所に設けられた共振部11A・11B
の一方(11A)を検出共振部11Aとし、検出共振部
11Aの振動板12Aには、検出したい病原体ウィルス
等の被検出体とのみ反応して被検出体を捕捉する捕捉物
質を塗布する。例えば、被検出体として抗原、捕捉物質
として抗体の組み合わせが挙げられ、ヒト血清アルブミ
ン/抗ヒト血清アルブミン抗体、ヒト免疫グロブリン/
抗ヒト免疫グロブリン抗体等を例示することができる。
これに対し、他方の共振部11Bは参照共振部11Bと
して、その振動板12Bには捕捉物質を塗布しないもの
とする。
【0062】 そして、共振部11A・11Bのいずれ
をも同じ検体中に浸漬あるいは載置する。こうして検体
中の被検出体が捕捉物質と反応して捕捉されると、検出
共振部11Aの振動板12Aの質量が大きくなり、この
振動板12Aの質量増加に伴って共振部11Aの共振周
波数が変化する。これにより、共振部11Aの共振周波
数の変化を調べることによって、振動板12Aに被検出
体が捕捉されたか否か、即ち、被検出体が検体中に存在
したか否かを判断し、増加した質量の大きさを測定する
ことができる。検体は多くの場合、液体や気体といった
流体であるが、共振部11A・11Bからの信号を比較
することで、流体の種類や流れ、温度といった検体の物
理的特性あるいは検査環境の影響を受けることなく、検
査を行うことが可能となる。
【0063】 なお、共振部11A・11Bをそれぞれ
検出共振部11A、参照共振部11Bとして用いる場合
には、参照共振部11Bにテフロンコーティングを行う
と、参照共振部11Bへの被検出体の付着を低減もしく
は防止することができ、より高精度な測定が可能とな
る。また、検出共振部11Aにおいても、振動板12A
以外の部分にテフロンコーティングすることで、振動板
12A上のみにおいて被検出体を選択的に捕らえること
ができ、高精度化が図れ、好ましい。更に、高価な抗体
等の捕捉物質を必要な最小限部分にのみ塗布するだけで
済むため、コスト面でも好ましい。
【0064】 その一方で、同一の捕捉物質を共振部1
1A・11Bの振動板12A・12Bに塗布して、共振
部11A・11Bの信号を積算することで、ダイナミッ
クレンジを大きくするような使用方法も可能である。更
に、参照共振部11Bを参照用とせずに検出共振部11
Aと異なる捕捉物質を塗布して、異なる種類の被検出体
を同時に検出するように使用することも可能である。
【0065】 さて、質量センサ51においては、質量
センサ51を液体等の検体に浸漬して用いる場合、ある
いは振動板12A・12Bに捕捉物質を塗布するために
振動板12A・12Bを捕捉物質に浸漬させる場合に、
2箇所の共振部11A・11Bが両方同時に検体に浸漬
されるように、図7中、センサ基板17の横方向(水平
方向)に配置された構造を取っている。
【0066】 これに対し、2箇所の共振部11A・1
1Bをセンサ基板17の縦方向(上下方向)に配設す
る、つまり、検出共振部11Aが先に液体等に浸漬さ
れ、参照共振部11Bが液体等に浸漬されないような位
置に配設すると、検出共振部11Aのみを捕捉物質等に
浸漬して塗布する一方、参照共振部11Bについては、
いかなる物質の塗布等もせずに温度補正センサ等のセン
サとして使用するように処理することが簡単に行える。
【0067】 続いて、本発明の質量センサのその他の
実施形態について説明する。図8(a)の平面図に示し
た質量センサ52は、前述した質量センサ50におい
て、圧電素子6及び圧電素子6に通ずる電極リード9を
絶縁部材でコーティングして保護した後、更にこの絶縁
層36を導電性部材で覆い、シールドしたものである。
なお、図8(b)は図8(a)中の破線AAにおける断
面図の一例である。
【0068】 絶縁層36により共振部全体を液体に浸
漬して用いることが可能となり、シールド層37により
外部からの電磁波等のノイズを減少させることが可能と
なって検出感度並びに精度の向上が図られる。このよう
な絶縁層36とシールド層37の形成が、本発明の全て
の質量センサに適用できることはいうまでもない。な
お、シールド層37はスルーホール38を通じて導通す
るように、センサ基板7の両平板面に形成されている
が、センサ基板7の側面を利用してセンサ基板7の両平
板面のシールド層37を導通させてもよい。また、シー
ルド層37は、図8に示すように、絶縁層36をはじ
め、センサ基板7の裏面並びに側面をも覆う、即ち、セ
ンサ基板7上の配線部を周囲から覆うようにすることが
最も好ましいが、少なくとも絶縁層36の一部の表面上
に形成すれば効果は認められる。
【0069】 なお、絶縁層36に好適に使用される絶
縁部材としては、絶縁性樹脂もしくはガラスが挙げられ
るが、共振部の振動減衰の観点から特に絶縁性樹脂を用
いることが好ましい。特に好適に用いられる絶縁性樹脂
としてはフッ素樹脂が挙げられ、具体的には、四フッ化
エチレン樹脂系テフロン(テフロンPTFE)、四フッ
化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体樹脂系テフロ
ン(テフロンFEP)、四フッ化エチレン・パーフロロ
アルキルビニルエーテル共重合体樹脂系テフロン(テフ
ロンPFA)、PTFE/PFA複合テフロンが挙げら
れるが、その他にもシリコーン樹脂(特に熱硬化性シリ
コーン樹脂)も好適に用いられ、更にアクリル樹脂やエ
ポキシ樹脂等も用途に応じて用いることが可能である。
なお、圧電素子6並びにその近傍と、電極リード9並び
にその近傍とで、それぞれ異なる材料を用いて、絶縁層
36を形成することも好ましい。更に、絶縁性樹脂に無
機・有機充填材を添加し、共振部の剛性を調整すること
も好ましい。
【0070】 一方、シールド層37用の導電性部材と
しては、金属が最も好適に用いられ、アルミニウム、ニ
ッケル、銅、パラジウム、銀、スズ、タングステン、白
金、金等の金属単体や合金といった、スパッタ法等の低
温で膜形成が可能な材料が挙げられるが、これらの金属
の粉末を含有する導電性接着剤等の導電性ペーストを用
いることもできる。
【0071】 次に、図9に、上述した質量センサ50
の検出板4と凹部8の側部側面との間に間隙部10を形
成した質量センサ60の平面図を示す。このように、検
出板4は少なくとも凹部8の底部と接合されていればよ
く、液体中で使用する場合に、共振波形の減衰を抑える
ことができる利点がある。
【0072】 続いて、質量センサ50の連結板3にバ
ネ板41を貼合した質量センサ53の平面図を図10
(a)に、図10(a)中のY軸における断面図を図1
0(b)に示す。ここで、バネ板とは、連結板を補強す
る役割と所定のモードで振動しやすくするために連結板
の剛性を調整する要素である。従って、連結板3にバネ
板41を貼合することにより、連結板の剛性を上げるこ
とができ、また、共振周波数を上げて、振動板2のX軸
回転モード並びにY軸回転モードを減衰させて、一軸振
動モードを支配的とすることが可能となり、好ましい。
なお、このようなバネ板41は、後述する本発明の質量
センサの作製方法において説明されるように、振動プレ
ートとベースプレートの間に嵌挿されて一体化される中
間プレートを所定形状に加工することにより、容易に連
結板3と一体的に形成することが可能である。
【0073】 さて、質量センサ53では、1枚のバネ
板41が連結板3の一方の表面に貼合されているが、図
11(a)の平面図及び図11(a)のY軸における断
面図である図11(b)に示される質量センサ54のよ
うに、連結板3の両表面にバネ板41A・41Bを配設
することも可能である。ここで、圧電素子6が配設され
る面側に形成されるバネ板41Bとしては、圧電素子6
と同じ構造を有するものを用いると、バネ板41Bと圧
電素子6とを同時に形成することができるので、製造工
程上好ましい。但し、バネ板41Bにおける電極は、電
極として用いない。
【0074】 また、圧電素子6側のバネ板41Bは、
その端面がセンサ基板7の凹部側面と直接に連結される
か、もしくはセンサ基板7に貼合されたバネ板補強部4
2の側面と連結されるように、形成されることが好まし
い。バネ板補強部42の材料は、センサ基板7もしくは
圧電素子6のいずれかと同じものとすることが好まし
い。
【0075】 バネ板を設ける場合には、連結板の片面
あるいは両面に貼合するいずれの場合であっても、その
厚さは10〜220μm、幅50〜500μmが好適で
あり、バネ板のアスペクト比(幅/厚み)は、0.2〜
50の範囲とすることが好ましい。更に、液体中での本
発明の質量センサの使用による振動振幅の減衰を考慮す
ると、その厚みは10〜70μmで幅が50〜500μ
m、アスペクト比が0.7〜50とすることが好まし
い。更に好ましい設定範囲は、厚みが10〜70μm、
幅が50〜300μm、アスペクト比が0.7〜30で
ある。なお、バネ板補強部を配設する場合、バネ板補強
部の厚さは、そのバネ板補強部に接合されるバネ板の厚
さと同等とすることが好ましい。
【0076】 さて、このように連結板にバネ板を貼合
する場合には、図12(a)の平面図並びに図12
(a)中のY軸における断面図である図12(b)に示
される質量センサ55のように、2枚のバネ板41Aと
41Bを、溝部43が形成されるように連結板3に貼合
することも好ましい。このような構造は、X軸回転モー
ド並びにY軸回転モードでの振動を抑制しつつ共振周波
数を上げ、しかも連結板3とバネ板41A・41Bとの
合計質量を減少させることができる点で好ましい。ま
た、圧電素子6からの駆動力を連結板3全体、つまり連
結板3とバネ板41A・41Bからなる部分に伝達する
ことができる点からも好ましい形態となる。
【0077】 なお、この溝部43の底に当たる連結板
3の部分、即ち、連結板3のバネ板41A・41Bが貼
合されていない部分に、スリット、即ち、空間部を設け
ることも、連結板の質量を減少させることができ、好ま
しい。このようにバネ板41A・41Bを貼合すること
は、連結板3の両平板面において行ってもよく、バネ板
補強部を設けることも好ましいことはいうまでもない。
【0078】 さて、次に、図13(a)に、連結板3
にキャビティ部44を有するバネ板41を貼合した実施
形態である質量センサ56の平面図、及び図13(b)
に平面図中のY軸における断面図を示す。このような構
造とすることで、圧電素子6の駆動力が、質量センサ5
5と比較して、更に連結板3全体に伝わり易くなること
で、振動板2の振動振幅が大きくなり、共振周波数の検
出が容易となる利点がある。
【0079】 なお、質量センサ56においては、連結
板3がキャビティ部44の底を形成しているが、この連
結板3のキャビティ部44の底に相当する部分にスリッ
トを設け、つまり、キャビティ部44を完全な空洞とし
ても構わない。質量センサ56では、3箇所のキャビテ
ィ部44が形成されているが、このうち、少なくとも1
つを空洞化させれば、連結板3全体の質量を低減するこ
とができ、検出感度の向上が図られる。但し、この空洞
の形成は振動モードを考慮して、適宜選択的に形成され
る。
【0080】 続いて、図14には、連結板3にスリッ
ト45を設け、スリット45両端の連結板3平板面上に
バネ板46を設けた質量センサ57の平面図を示す。バ
ネ板46は連結板3の両平板面上に設けることが可能で
ある。このような構造とすることにより、振動板2の一
軸振動モードを支配的とすることができ、共振周波数の
認識が容易となり、S/N比の向上が図られ、好まし
い。
【0081】 このように、本発明の質量センサにおい
ては、連結板の構造を種々に変えることによって、種々
の効果を質量センサに付与することができる。このよう
な連結板の種々の形態は、後述する本発明の別の実施形
態においても、好適に用いられるものである。
【0082】 次に、本発明の質量センサの更に別の実
施形態について説明する。図15の平面図に示す質量セ
ンサ58は、圧電素子6を配設した検出板4が第一の連
結板(第一連結板)3Aと第二の連結板(第二連結板)
3Bに挟持され、かつ、第一連結板3Aが第一の振動板
(第一振動板)2Aと検出板4に挟持され、かつ、第二
連結板3Bが第二の振動板(第二振動板)2Bと検出板
4に挟持されるようにそれぞれの側面を一方向に接合し
て共振部が形成され、検出板4及び各連結板3A・3B
が、センサ基板7に設けられた貫通孔21における対向
する側面に跨設された構造を有している。ここで、検出
板4は、センサ基板7と接合されているが、必ずしも接
合されている必要はない。つまり、検出板4は、センサ
基板7と接合されることなく、第一連結板3Aと第二連
結板3Bとの間に跨設されるように接合された構造とし
ても構わない。
【0083】 なお、質量センサ58においては、第一
連結板3Aにはバネ板41が貼合されており、一方、第
二連結板にはスリット45が形成されるとともにバネ板
46が貼合されているが、これらは必ずしも必要なもの
ではないことは前述した質量センサ53〜57に関する
説明から明らかである。
【0084】 第一振動板2Aと第二振動板2Bを、同
じ形状とすることは必要とされない。こうして、2枚の
振動板を配設した場合には、所望する検出感度に合わせ
て各振動板の大きさや形を決定することで、感度を下げ
ることなく、測定レンジの拡大を図ることができる利点
がある。
【0085】 図16は、本発明の質量センサの更に別
の実施形態を示す平面図である。質量センサ59は、圧
電素子6Aの配設された第一の検出板(第一検出板)4
A及び圧電素子6Bの配設された第二の検出板(第二検
出板)4Bによって、干渉防止板47が挟持され、か
つ、第一の連結板(第一連結板)3Aが第一検出板4A
と第一の振動板(第一振動板)2Aとに挟持され、か
つ、第二の連結板(第二連結板)3Bが第二検出板4B
と第二の振動板(第二振動板)2Bに挟持されるよう
に、それぞれの側面を一方向に接合して共振部が形成さ
れ、各検出板4A・4B及び各連結板3A・3Bが、セ
ンサ基板7に設けられた貫通孔21の対向する側面に跨
設された構造を有している。なお、各連結板3A・3B
には、バネ板41A・41Bがそれぞれ貼合されている
が、必ずしも必要なものではない。また、干渉防止板4
7と各連結板3A・3Bは、センサ基板7と接合されて
いることが必要であるが、各検出板4A・4Bはセンサ
基板7と必ずしも接合されている必要はない。
【0086】 質量センサ59は、干渉防止板47を介
して、共振部が2箇所設けられた構造であることから、
この干渉防止板47に更に、バネ板を貼合して肉厚とす
ることにより、各共振部の振動の干渉を更に効果的に低
減することが可能である。また、共振部を2箇所有する
点から、前述した質量センサ41と同様にして用いるこ
とが可能である。更に、各振動板2A・2Bの大きさを
変え、各振動板2A・2Bで質量感度を変えて使用する
ときには、それぞれの振動が干渉するが、各振動板2A
・2Bにそれぞれ対応する圧電素子6A・6Bを配設
し、干渉防止板47を配設することで、この振動干渉を
抑制し、検出精度の向上が図られる。
【0087】 さて、図22の平面図(a)及び平面図
中のY軸における断面図(b)に示した質量センサ61
は、先に図9に示した質量センサ60における検出板4
及び圧電素子6の形状を、圧電素子6に駆動電圧が印加
されていない状態において、検出板4側に凸状に湾曲さ
せて構成したものである。この場合の圧電素子6として
は、図2に示したd31を利用する型の圧電素子88を配
設することが好ましい。なお、質量センサ61において
は、連結板3は連結板2よりも肉厚に形成されている。
【0088】 また、図23の平面図(a)及び平面図
中のY軸における断面図(b)に示した質量センサ62
は、図16に示した質量センサ59に類似した構造を有
している。即ち、質量センサ62は、検出板4A・4B
が基板7と直接に接合しないように間隙部10が形成さ
れ、また検出板4A・4Bによって挟持される干渉防止
板47が検出板4A・4Bよりも肉厚に形成されるとと
もに、連結板3A・3Bにバネ板41A〜41Dが貼合
され、更に検出板4A・4B及び圧電素子6A・6B
が、圧電素子6A・6Bに駆動電圧が印加されていない
状態において、圧電素子6A・6B側に凸状に湾曲した
形状を有している。質量センサ62においては、圧電素
子6A・6Bとして、図3又は図4に示したd33を利用
する型の圧電素子94A・94Bを配設することが好ま
しい。
【0089】 このように、本発明の質量センサにおい
ては、質量センサ61・62に示されるように、検出板
及び圧電素子の形状を予め湾曲させておくことが好まし
い場合がある。また、複数の検出板及び圧電素子を有す
るデバイスにおいては、必ずしも個々の検出板及び圧電
素子を同一方向に湾曲させる必要はなく、配設する圧電
素子の形態等を考慮して、適宜、湾曲方向を選択するこ
とができる。
【0090】 以上、本発明に係る質量センサの種々の
実施形態について説明してきたが、次に、質量センサ5
3を例に、その製造方法について説明する。センサ基板
7等の材料としてのジルコニア等のセラミックス粉末に
バインダ、溶剤、分散剤等を添加混合してスラリーを作
製し、これを脱泡処理後、リバースロールコーター法、
ドクターブレード法等の方法により所定の厚みを有する
振動プレート用、中間プレート用及びベースプレート用
のそれぞれのグリーンシートあるいはグリーンテープを
作製する。なお、バネ板41を設けない質量センサ50
のような場合には、中間プレート用のグリーンテープを
作製する必要はない。
【0091】 次に、それぞれのグリーンシート等を金
型あるいはレーザ等を用いて打ち抜き加工等し、図17
に示すような、基準孔74と貫通孔75A・75B及び
バネ板76が形成された中間プレート用グリーンシート
72A、基準孔74と貫通孔75が形成されたベースプ
レート用グリーンシート71A、基準孔74が形成され
た振動プレート用グリーンシート73Aを作製する。
【0092】 ここで、振動プレート用グリーンシート
73Aにおいて、貫通孔75や振動板2となる部分等を
形成することは可能であるが、一般に、振動プレート用
グリーンシート73Aの厚みは20μm程度以下と薄い
ために、焼結後に振動プレート73B内に形成される振
動板2や連結板3あるいは検出板4の平坦性、寸法精度
等を確保するためには、センサ基板7の形成及び圧電素
子6の配設後に、レーザ加工等を用いて、所定形状を得
ることが好ましい。なお、振動プレート73Bとは、振
動プレート用グリーンシート73Aを焼成して得られた
ものを指す。
【0093】 こうして作製したグリーンシート71A
〜73Aを、振動プレート用/中間プレート用/ベース
プレート用の順序で少なくとも各1枚ずつ基準孔74の
位置が重複するように積層し、熱圧着等により一体化し
た後、焼成する。こうして、グリーンシート71A〜7
3Aが全て積層された外周部分が一体的に形成されたセ
ンサ基板7となり、また、振動プレート73Bと中間プ
レート72Bのバネ板76部分との積層部分により連結
板3が一体的に形成される。なお、中間プレート72B
とは、中間プレート用グリーンシート72Aを焼成して
得られたものを指す。
【0094】 次に、振動プレート73B上の所定位置
に、第一電極、圧電膜、第二電極からなる圧電素子6を
配設する方法について説明する。圧電素子6の形態につ
いては既に、図2〜図4に示した。圧電素子6の配設
は、グリーンシート71A〜73Aの焼成前後で、その
状態に応じた各種の成形方法により行うことができる。
まず、各グリーンシート71A〜73Aの焼成前に形成
する方法としては、金型を用いたプレス成形法又はスラ
リー原料を用いたテープ成形法等によって圧電膜を成形
し、この焼成前の圧電膜を振動プレート用グリーンシー
ト73A上の所定位置に熱圧着して積層し、その他のグ
リーンシート71A・72Aと同時に一体的に焼結する
方法が挙げられる。この場合には、電極は後述する膜形
成法により、振動プレート用グリーンシート73Aある
いは圧電膜に予め形成しておく必要がある。
【0095】 圧電膜の焼成温度は、これを構成する材
料によって適宜定められるが、一般には、800℃〜1
400℃であり、好ましくは1000℃〜1400℃で
ある。この場合、圧電膜の組成を制御するために、圧電
膜の材料の蒸発源の存在下に雰囲気調整して焼結するこ
とが好ましい。そして、特に後述する焼成後のセンサ基
板を用いる場合に圧電膜の焼成応力を緩和し、より高い
材料特性を引き出すための前記雰囲気調整は、焼成後の
圧電膜を電子顕微鏡等で観察し、成分の分布をモニタす
ることで制御することが好ましい。
【0096】 例えば、本発明で好適に採用される圧電
セラミックスであるジルコン酸鉛とチタン酸鉛及びマグ
ネシウムニオブ酸鉛を主成分とする材料のように、ジル
コン酸鉛を含有する材料を使用する場合には、焼成した
圧電膜においてジルコニウム成分が偏析するように雰囲
気を調整し、焼成することが好ましい。更に好ましく
は、圧電膜表面にはジルコニウム成分の偏析が認めら
れ、圧電膜内部ではその偏析がほとんど認められないよ
うな雰囲気とすることが望ましい。このような成分分布
を有する圧電膜は、偏析のない圧電膜と比較すると、振
動特性に優れ、即ち振動振幅が大きく、また、ジルコニ
ウム成分の偏析によって焼成応力が緩和されているの
で、圧電粉末の本来有する材料特性が大きく低下するこ
となく、維持される特徴を有する。
【0097】 従って、本発明の質量センサでは、この
ような圧電膜となるように圧電素子を形成することが最
も好ましい。また、前記圧電膜組成にするとともに、圧
電膜焼成後、質量センサの各部材、例えば連結板、バネ
板、センサ基板等に、圧電材料の成分、特に前記酸化チ
タンを含む圧電材料の場合には酸化チタンが含有される
ように雰囲気焼成することも好ましい。そして、圧電膜
の焼成とセンサ基板との焼成を同時に行う場合には、両
者の焼成条件をマッチングすることが必要である。な
お、このような圧電膜は、質量センサのみならず、膜型
の圧電素子を構成要素とするアクチュエータ、センサ等
のデバイスにも、もちろん好適に適用できる。
【0098】 一方、焼結後のセンサ基板7に圧電素子
6を配設する方法としては、種々の膜形成法を用いるこ
とができる。例えば、スクリーン印刷法、ディッピング
法、塗布法、電気泳動法等の厚膜形成法や、イオンビー
ム法、スパッタリング法、真空蒸着、イオンプレーティ
ング法、化学気相蒸着法(CVD)、メッキ等の各種薄
膜形成法を用いることができる。このうち、本発明にお
いては、圧電膜を形成するにあたり、スクリーン印刷法
やディッピング法、塗布法、電気泳動法等による厚膜形
成法が好適に採用される。これらの手法は、平均粒径
0.01〜5μm、好ましくは0.05〜3μmの圧電
セラミックスの粒子を主成分とするペーストやスラリ
ー、又はサスペンションやエマルション、ゾル等を用い
て圧電膜を形成するものであり、簡便な方法であるが、
良好な圧電作動特性が得られるという特徴を有する。ま
た、特に電気泳動法は、膜を高い密度で、かつ、高い形
状精度で形成できることをはじめ、技術文献「「DEN
KI KAGAKU」、53,No.1(1985)p
63〜68、安斎和夫著」に記載されているような特徴
を有する。従って、要求精度や信頼性等を考慮して、適
宜、手法を選択して用いると良い。
【0099】 具体的には、焼成して得たセンサ基板7
の振動プレート73B表面の所定位置に第一電極を印
刷、焼成し、次いで圧電膜を印刷、焼成し、更に、第二
電極を印刷、焼成して圧電素子6を配設することができ
る。そして、形成された各電極を測定装置に接続するた
めの電極リード9を印刷、焼成し、分極処理が必要なも
のは分極を行う。ここで、例えば、第一電極として白金
(Pt)を、圧電膜としてはジルコン酸チタン酸鉛(P
ZT)を、第二電極としては金(Au)を、更に電極リ
ードとして銀(Ag)等の材料を使用すると、焼成工程
における焼成温度が逐次低くなるように設定されるの
で、ある材料の焼成段階において、それより以前に焼成
された材料の再焼結や凝集が起こらず、電極材等の剥離
や凝集による電極切れといった不具合の発生を回避する
ことが可能となる。
【0100】 なお、適当な材料を選択することによ
り、圧電素子6の各部材とリードを逐次印刷して、一回
で圧電素子6を一体焼成することも可能である。また、
圧電素子6A・6Bの各部材と電極リードの逐次印刷を
未焼成の振動プレート用グリーンシート73Aに施し、
他のグリーンシート71A・72Aとともに一体的に焼
成することも可能である。更に、圧電膜を形成した後に
低温で各電極等を設けることもできる。なお、圧電素子
6の各部材と電極リードはスパッタ法や蒸着法等の薄膜
法によって形成してもかまわず、この場合には、必ずし
も熱処理を必要としない。
【0101】 こうして圧電素子6を上述した種々の膜
形成法、その中でも特に厚膜形成法によって形成する
と、接着剤を用いることなく圧電素子6と検出板4とを
一体的に接合、配設することができるので、信頼性、再
現性に優れ、集積化が容易となり、特に好ましい。ここ
で、更に圧電膜を適当なパターンに形成してもよく、そ
の形成方法としては、例えば、スクリーン印刷法やフォ
トリソグラフィー法、あるいはレーザ加工法、又はスラ
イシング、超音波加工等の機械加工法を用いることがで
きる。
【0102】 次に、作製されたセンサ基板の所定位置
に振動板2、検出板4等を形成する。ここでは、YAG
レーザの第4次高調波を用いたトリミングにより、振動
板2や検出板4A・4Bといったセンサ基板7と一体的
に接合される部位を残しながら振動プレート73Bの不
要部分を除去する方法が好適に用いられる。このとき、
振動板2等の形状を調整することで、共振部の共振周波
数を所定値となるように調整し、検出できる被検出体の
質量範囲を定めることが可能である。また、スリット4
5の形成を容易に行うことも可能である。
【0103】 なお、振動板2の形状は、長方形に限定
されるものではない。形状加工の際に、円形や逆三角
形、多角形等の種々の形状となるようにトリミングを行
っても構わない。つまり、本発明の質量センサにおい
て、振動板2の形状は特に限定されるものではなく、振
動板2の配設空間を無駄なく使用して振動板2の面積を
大きく取れるように、適宜、形状を設定すればよい。
【0104】 更に、図18に示すように、図2に示し
た積層型の圧電素子88を配設した場合には、配設後
に、上部の第二電極87をYAG第4次高調波レーザに
よりトリミングして圧電素子88の有効電極面積を調整
し、検出感度の調整を行うことができる。なお、圧電素
子の構造が、図3あるいは図4に示されるような櫛型構
造である場合には、一方のあるいは両方の電極の一部を
トリミングすればよい。
【0105】 このような共振部や圧電素子6の形成加
工においては、上記YAG第4次高調波レーザを用いた
加工以外にも、YAGレーザ及びYAGレーザの第2次
又は第3次高調波、エキシマレーザ、CO2レーザ等に
よるレーザ加工、電子ビーム加工、ダイシング加工(機
械加工)など、共振部等の大きさと形状に適した種々の
加工方法を適用することができる。なお、センサ基板7
は、上述したグリーンシートを用いた作製方法の他に、
成形型を用いた加圧成形法や鋳込成形法、射出成形法等
を用いて作製することもできる。これらの場合において
も、焼成前後において、切削や研削加工、レーザ加工、
超音波加工等の機械加工により加工が施され、所定形状
の質量センサを得ることができる。
【0106】 こうして作製された質量センサ53の圧
電素子6並びに電極リード9を絶縁する場合、絶縁層3
6は、スクリーン印刷法、塗布法、スプレー法等によっ
て形成することができる。ここで、絶縁材料としてガラ
スを用いた場合には、質量センサ53全体をガラスの軟
化温度程度まで昇温する必要があり、また、ガラスは硬
度が大きいので振動を阻害するおそれがあるが、樹脂は
柔らかく、しかも乾燥程度の処理で済むため、作製工程
上及び振動特性上、樹脂を用いることが好ましい。本発
明において好適に用いられるフッ素樹脂あるいはシリコ
ーン樹脂を用いた絶縁層36の形成にあっては、下地の
セラミックス(センサ基板7)との密着性を改善する目
的で、使用する樹脂とセラミックスとの種類に応じたプ
ライマー層を形成し、その上に絶縁層36を形成するこ
とが好ましい。
【0107】 更に、絶縁層36上に更に導電性部材か
らなるシールド層37を設ける場合には、絶縁層36が
樹脂からなる場合には、焼成処理を行うことが困難なた
め、導電性部材として種々の金属材料を用いる場合に
は、スパッタ法等の加熱を要しない方法を用いて行わ
れ、一方、金属粉末と樹脂からなる導電性ペーストを用
いる場合には、スクリーン印刷法、塗布法等を好適に用
いることができる。なお、絶縁層36をガラスで形成し
た場合には、ガラスが流動しない温度以下で、導体ペー
ストをスクリーン印刷等し、焼成することも可能であ
る。
【0108】 こうして作製した質量センサ53の振動
板2もしくは共振部全体に捕捉物質等を塗布することで
質量センサが完成する。そして、共振周波数の測定は、
インピーダンスアナライザやネットワークアナライザを
用いて行ったり、あるいはSINSWEEP方式や、外
部から超音波等で加振して伝達関数測定をすることで行
う。更に、共振周波数値の変化を見れば、振動板2等に
おける質量変化を測定することができる。
【0109】 以上、本発明の質量センサについて詳述
してきたが、前述したように、本発明の質量センサは、
その測定原理を応用することにより、他の用途にも使用
することが可能である。以下、これらの用途について説
明する。まず、振動板に塗布する捕捉物質として、水分
吸着材を用いた場合には、質量センサを水分計として使
用することができる。また、振動板に捕捉物質として特
定のガス成分や有機物質、無機物質を吸着する吸着材を
塗布することにより、ガスセンサ、臭気センサ、味覚セ
ンサ等として使用することができる。更に、振動板の温
度を制御して結露させると、振動板の質量が増大したと
きの温度から露点を計測する露点計としても使用するこ
とができる。
【0110】 また、本質量センサは、膜厚計として使
用することができる。対象となる膜には、真空中等で形
成されるスパッタ膜やCVD膜、気体中で形成されるL
B膜や液体中で形成される電着膜等が含まれる。即ち、
これらの膜形成を行う際に、質量センサの振動板もしく
は共振部を同じ膜形成環境に置くと、振動板もしくは共
振部に膜が形成されることによって質量が変化し、共振
周波数が変化するので、形成された膜厚や膜の成長速度
を計測することが可能となる。
【0111】 従来、このような膜厚計としては、図2
0に示したものと同等の水晶振動子81の膜厚変化時の
すべり方向共振周波数の変化を検出する水晶蒸着膜厚計
が知られているが、水晶振動子81自体を蒸着雰囲気中
で使用するため、温度変化や不純物の衝突等によるノイ
ズ、真空圧の変化の影響を大きく受けるという問題があ
る。
【0112】 これに対し、蒸着膜厚計として本発明の
質量センサを一軸振動モードにより使用すると、振動板
の剛体モードで揺れるために温度変化に強く、また、振
動板が3〜20μmと薄いために不純物が衝突する確率
が小さくなる利点があり、更に共振部を一定雰囲気に保
ち易い構造を採ることができるため、水晶振動子79を
用いた場合と比較して、測定精度の向上を図ることが可
能となる。
【0113】 更に、質量センサは、振動板を液体に浸
漬させたときに、流体に横波のずれ波を引き起こして粘
性波の進入長の部分の質量負荷を受ける粘性計としても
使用することができる。ここで、一軸振動モードを用い
て測定した場合には、振動板以外の部分を液体に浸漬さ
せる必要がなく、また、振動モードが剛体モードである
ために温度変化に強く、更に振動板19が3〜20μm
と薄いために不純物が衝突する確率が小さくなることか
ら、測定精度の向上が図られる。なお、従来、このよう
な粘性計としてもまた、水晶振動子のすべり方向共振周
波数の変化を検出する水晶粘性計が用いられているが、
この場合、水晶振動子自体を液体中に浸漬させるため、
温度変化や液体中の不純物の衝突等のノイズの影響を受
け易い欠点がある。
【0114】 更にまた、水晶振動子は、真空中では気
体分子の摩擦や気体の粘性摩擦により電気抵抗が変化す
るため、摩擦真空計として用いられるが、この真空計は
結果的に水晶振動子の質量負荷効果による周波数変化を
測定するものであるので、基本的な測定原理が同じであ
る本発明の質量センサもまた、真空計として用いること
ができる。
【0115】 水晶振動子を用いた摩擦真空計において
は、図21に示すように、音叉型に形成した振動子79
をX軸方向に振動させたときの抵抗値の変化を検出する
ものであるが、振動子79の厚みd1を薄くすることが
困難であり、従って、検出感度の向上が困難であるとい
う問題がある。これに対し、質量センサにおいては、振
動板の厚みを3〜20μmとする薄膜化が容易であり、
一軸振動モードを利用することで、検出感度の向上を図
ることが可能となる。
【0116】 加えて、本発明の質量センサは、振動板
の曲げモードを用いる、即ち、曲げモード時のヤング率
変化を共振周波数の変化として検出することにより、温
度センサとしても使用することが可能である。
【0117】 このように、質量センサは多種多様なセ
ンサとして使用することができるが、その基本的な測定
原理は、振動板への質量負荷に基づく共振部の共振周波
数の変化を測定しているというものである。そのため、
異なる機能を有する共振部を1個の質量センサ内に複数
設けることが容易であり、例えば、温度センサや真空
計、粘性センサとしての機能を質量センサとしての使用
に併用すること、即ち、1個の質量センサへ温度補正や
真空度又は粘性補正を行うための参照用センサを組み込
むことが容易であり、このような場合には、形状の異な
る複数の各用途別のセンサを集合させて用いる必要がな
いため、測定位置へのセンサの組み込み、取扱いや測定
のための計測機器等の設備コスト等の点においても有利
である。
【0118】 上述した本発明の質量センサ並びにその
他の用途におけるセンサにおいては、共振部の振動を検
出し、電気信号に変換する装置として、圧電作用を利用
する圧電膜を用いた圧電変換装置を用いたものである。
しかしながら、振動板の振動に基づいて発生する信号変
換装置は、圧電作用を利用するものには限定されず、電
磁誘導作用を利用するもの、静電容量変化を利用するも
の、光の入射変化を利用するもの、電気抵抗変化を利用
するもの、焦電作用を利用するもの等で構成してもよ
い。
【0119】 例えば、電磁誘導を利用するものとして
は、検出板に設けられるコイルと、このコイルに流れる
電気信号を検出する電気回路と、当該コイルに磁場を形
成する磁石(電磁石であってもよい)とを有するものが
挙げられる。この場合、共振部とともにコイルが振動す
る際に、電磁誘導によりコイルに電流が流れ、この電流
を電気回路が検出する。また、静電容量変化を利用する
ものは、検出板の表面に設けた一対の電極と、この電極
に挟まれた誘電体と、電極に接続する電子回路を有し、
この特定の空間に荷電される静電容量を電子回路により
検出するものが挙げられる。
【0120】 光の入射変化を利用するものには、光ダ
イオード等の共振部に投光するデバイスと、共振部で反
射した光量を測定するデバイス(受光部)とを有するも
のがある。この受光部には光センサ等を用いることがで
き、共振部が振動するに従って共振部で反射する光量が
変化し、その受光部でその入射光量の変化が測定され
る。
【0121】 また、電気抵抗変化を利用するものに
は、大きく分けて導体を使用するもの、半導体を使用す
るものが挙げられる。このうち、導体を使用するもの
は、共振部の表面に設けた導体と、この導体に接続する
電気回路を有し、共振部とともに導体が振動する際に振
動により導体が歪み、抵抗が変化するので、電気回路で
この抵抗変化を検出するものである。一方、半導体を使
用するものは、この導体の代わりに半導体を用いたもの
である。
【0122】 焦電作用を利用するものは、検出板の表
面に設けた一対の電極とその間に形成された焦電体並び
に電極に接続する電子回路及び赤外線等の熱源からな
り、振動による焦電流を電子回路により検出するものが
挙げられる。
【0123】 これらの振動の信号変換装置は、前述し
た圧電素子の代わりに設置される他、共振部の駆動と検
出とを異なる信号変換装置、例えば、駆動を圧電変換装
置、検出を静電容量式変換装置で構成することも可能で
ある。また、駆動・検出装置の配置は、設けた検出板の
数によっても適宜、好適な配置を選択することができ、
例えば、検出板が1枚の場合にはその平面内に、検出板
を2枚設けた場合には各検出板の両平面、あるいは各検
出板に分けて駆動・検出装置を配置させてもよい。
【0124】 以上、本発明の質量センサの実施の形態
について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限
定されるものでないことはいうまでもない。従って、各
実施形態の有する特徴を互いに組み合わせた実施形態が
存在することはいうまでもなく、また、本発明の趣旨を
逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々
の変更、修正、改良等を加え得るものであることが理解
されるべきである。
【0125】
【発明の効果】 上述の通り、本発明の質量センサ及び
質量検出方法によれば、主に振動板上で起こる種々の微
小質量の変化、即ち、質量負荷の変化を簡単に、正確
に、しかも短時間で測定することができるという優れた
効果を奏し、検体の温度や検体温度による質量センサ自
体の材質の特性変化による変化の影響が小さいため、そ
の構成により、0.1ナノグラム(ng)の微小量まで
測定することが可能であるという優れた特徴を有する。
また、剛体モードの採用と、好適な連結板の形状設計に
より、検出感度の向上と共振周波数の認識が容易となる
利点がある。従って、種々の被検出体を捕捉する物質を
振動板に塗布した場合には、多様な化学物質や細菌等の
検出に好適に用いられるガスセンサ、味覚センサ、臭気
センサ、免疫センサ、水分計として使用することがで
き、このような捕捉物質を塗布しない場合においても、
膜厚計や粘性計、真空計、温度計等として用いることが
可能である。しかも、免疫センサ、臭気センサ、味覚セ
ンサとして使用した場合には、人間の感覚に依存して判
断されることがないので、検査の信頼性を向上させるこ
とができる。更に、本発明の質量センサは、異なる物理
量、化学量の検出に用いる共振部を1個の質量センサ内
に複数設けることが容易に行える特徴を有する。従っ
て、各種別個の複数のセンサを用いる必要がないため、
測定位置へのセンサの組み込み、取扱いや測定のための
計測機器等の設備コスト、更には、製造設備の集約と共
有による低コスト化が図れるといった極めて優れた効果
を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の質量センサの一実施形態を示す平面
図及び断面図である。
【図2】 本発明の質量センサに配設される圧電素子の
一実施形態を示す斜視図である。
【図3】 本発明の質量センサに配設される圧電素子の
別の実施形態を示す斜視図である。
【図4】 本発明の質量センサに配設される圧電素子の
更に別の実施形態を示す斜視図である。
【図5】 本発明の質量センサにおいて好適に用いられ
る振動板の振動モードの説明図である。
【図6】 本発明の質量センサにおける圧電素子の分割
の形態の一例を示す平面図である。
【図7】 本発明の質量センサの別の実施形態を示す平
面図である。
【図8】 本発明の質量センサの更に別の実施形態を示
す平面図及び断面図である。
【図9】 本発明の質量センサの更に別の実施形態を示
す平面図である。
【図10】 本発明の質量センサの更に別の実施形態を
示す平面図及び断面図である。
【図11】 本発明の質量センサの更に別の実施形態を
示す平面図及び断面図である。
【図12】 本発明の質量センサの更に別の実施形態を
示す平面図及び断面図である。
【図13】 本発明の質量センサの更に別の実施形態を
示す平面図及び断面図である。
【図14】 本発明の質量センサの更に別の実施形態を
示す平面図である。
【図15】 本発明の質量センサの更に別の実施形態を
示す平面図である。
【図16】 本発明の質量センサの更に別の実施形態を
示す平面図である。
【図17】 本発明の質量センサの作製に用いられるセ
ンサ基板用のグリーンシートの加工例を示す平面図であ
る。
【図18】 本発明の質量センサの圧電素子の加工方法
の一例を示す説明図である。
【図19】 微小質量センサの基本構造を示す断面図で
ある。
【図20】 従来の質量センサの基本構造を示す断面図
である。
【図21】 従来の水晶摩擦真空計の水晶振動子の構造
を示す斜視図である。
【図22】 本発明の質量センサの更に別の実施形態を
示す平面図及び断面図である。
【図23】 本発明の質量センサの更に別の実施形態を
示す平面図及び断面図である。
【符号の説明】
2・2A・2B…振動板、3・3A・3B…連結板、4
・4A・4B…検出板、6・6A・6B・6C…圧電素
子、7…センサ基板、8…凹部、9…電極リード、10
…間隙部、11A・11B…共振部、12A・12B…
振動板、13A・13B…連結板、14A・14B…検
出板、16A・16B…圧電素子、17…センサ基板、
18…基準孔、19A・19B…電極リード、20…位
置センサ、21・21A・21B…貫通孔、30…質量
センサ、31…振動板、32…検出板、33…連結板、
34…センサ基板、35…圧電素子、36…絶縁層、3
7…シールド層、38…スルーホール、41・41A〜
41D…バネ板、42…バネ板補強部、43…溝部、4
4…キャビティ部、45…スリット、46…バネ板、4
7…干渉防止板、50〜62…質量センサ、71A…ベ
ースプレート用グリーンシート、72A…中間プレート
用グリーンシート、72B…中間プレート、73A…振
動プレート用グリーンシート、73B…振動プレート、
74…基準孔、75・75A・75B…貫通孔、76…
バネ板、79…水晶振動子、80…質量センサ、81…
水晶振動子、82…電極、83…電極、85…第一電
極、86…圧電膜、87…第二電極、88…圧電素子、
89…検出板、90…圧電膜、91…第一電極、92…
第二電極、93…間隙部、94A・94B…圧電素子、
D…ピッチ。

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連結板が振動板と少なくとも一方の平板
    面の少なくとも一部に圧電素子を配設した検出板に挟持
    されるように、それぞれの側面を接合して共振部が形成
    され、 当該連結板がセンサ基板に設けられた凹部の側部側面に
    跨設され、かつ、当該検出板が少なくとも当該凹部の底
    部と接合されてなることを特徴とする質量センサ。
  2. 【請求項2】 当該連結板にスリット部が設けられてい
    ることを特徴とする請求項1記載の質量センサ。
  3. 【請求項3】 当該連結板の少なくとも一方の平板面
    に、少なくとも1枚のバネ板もしくはキャビティ部を有
    する少なくとも1枚のバネ板が貼合されていることを特
    徴とする請求項1又は2記載の質量センサ。
  4. 【請求項4】 当該連結板の当該バネ板が貼合されてい
    ない部分もしくは当該キャビティ部と相対する部分の少
    なくとも一部にスリット部が設けられていることを特徴
    とする請求項3記載の質量センサ。
  5. 【請求項5】 少なくとも一方の平板面の少なくとも一
    部に圧電素子を配設した検出板が第一の連結板と第二の
    連結板に挟持され、かつ、当該第一の連結板が第一の振
    動板と当該検出板に挟持され、かつ、当該第二の連結板
    が第二の振動板と当該検出板に挟持されるようにそれぞ
    れの側面を一方向に接合して共振部が形成され、 少なくとも当該連結板が、センサ基板に設けられた対向
    する側面に跨設されてなることを特徴とする質量セン
    サ。
  6. 【請求項6】 第一の検出板及び第二の検出板それぞれ
    の少なくとも一方の平板面の少なくとも一部に圧電素子
    が配設され、 干渉防止板が当該第一の検出板と当該第二の検出板に挟
    持され、かつ、第一の連結板が当該第一の検出板と第一
    の振動板とに挟持され、かつ、第二の連結板が当該第二
    の検出板と第二の振動板に挟持されるように、それぞれ
    の側面を一方向に接合して共振部が形成され、 少なくとも当該連結板及び当該干渉防止板が、センサ基
    板に設けられた対向する側面に跨設されてなることを特
    徴とする質量センサ。
  7. 【請求項7】 当該干渉防止板にバネ板が貼合されてい
    ることを特徴とする請求項6記載の質量センサ。
  8. 【請求項8】 当該第一の連結板及び/又は当該第二の
    連結板にスリット部が設けられていることを特徴とする
    請求項5〜7のいずれか一項に記載の質量センサ。
  9. 【請求項9】 当該第一の連結板及び/又は当該第二の
    連結板の少なくとも一方の平板面に、少なくとも1枚の
    バネ板もしくはキャビティ部を有する少なくとも1枚の
    バネ板が貼合されていることを特徴とする請求項5〜8
    のいずれか一項に記載の質量センサ。
  10. 【請求項10】 当該第一の連結板及び/又は当該第二
    の連結板の当該バネ板が貼合されていない部分もしくは
    当該キャビティ部と相対する部分の少なくとも一部にス
    リット部が設けられていることを特徴とする請求項9記
    載の質量センサ。
  11. 【請求項11】 当該第一の振動板と当該第二の振動板
    の形状が異なることを特徴とする請求項5〜10のいず
    れか一項に記載の質量センサ。
  12. 【請求項12】 当該振動板と当該連結板と当該検出板
    及び当該センサ基板が一体的に形成され、かつ、当該連
    結板に当該バネ板を貼合した場合には当該バネ板もまた
    一体的に形成されていることを特徴とする請求項1〜1
    1のいずれか一項に記載の質量センサ。
  13. 【請求項13】 当該連結板と当該振動板及び当該検出
    板が振動プレートから一体的に形成され、かつ、当該セ
    ンサ基板が当該振動プレートとベースプレートを積層す
    ることで一体的に形成され、かつ、当該連結板に当該バ
    ネ板を貼合した場合には当該バネ板が中間プレートから
    形成されるとともに、当該中間プレートが当該振動プレ
    ートと当該ベースプレートとの間に嵌挿されて一体的に
    形成されていることを特徴とする請求項12記載の質量
    センサ。
  14. 【請求項14】 当該センサ基板に形成された1箇所以
    上の凹部もしくは貫通孔の内周側面を用いて、当該共振
    部が形成されていることを特徴とする請求項1〜13の
    いずれか一項に記載の質量センサ。
  15. 【請求項15】 当該振動板に被検出体とのみ反応して
    当該被検出体を捕捉する捕捉物質が塗布され、当該捕捉
    物質に当該被検出体が捕捉されていない状態及び当該捕
    捉物質に当該被検出体が捕捉された後の状態における当
    該共振部の共振周波数を当該圧電素子で測定し、測定さ
    れた共振周波数の変化から捕捉された当該被検出体の質
    量を測定することを特徴とする請求項1〜14のいずれ
    か一項に記載の質量センサ。
  16. 【請求項16】 複数の当該振動板を有している場合
    に、少なくとも1枚の当該振動板には当該捕捉物質が塗
    布されていないことを特徴とする請求項15記載の質量
    センサ。
  17. 【請求項17】 複数の当該振動板を有している場合
    に、当該振動板のそれぞれに異なる種類の捕捉物質が塗
    布されていることを特徴とする請求項15又は16記載
    の質量センサ。
  18. 【請求項18】 複数の当該振動板が形成されている場
    合に、当該振動板の状態変化に起因するそれぞれの信号
    を積算することで、ダイナミックレンジを大きくとるこ
    とを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の
    質量センサ。
  19. 【請求項19】 当該共振部の当該圧電素子を2分割も
    しくは3分割したことを特徴とする請求項1〜18のい
    ずれか一項に記載の質量センサ。
  20. 【請求項20】 当該共振部に当該圧電素子を複数個配
    設したことを特徴とする請求項1〜19のいずれか一項
    に記載の質量センサ。
  21. 【請求項21】 当該分割された圧電素子、及び/又は
    当該複数個の圧電素子のうち、少なくとも1個の圧電素
    子を駆動用とし、少なくとも別の1個の圧電素子を検出
    用として用いることを特徴とする請求項19又は20記
    載の質量センサ。
  22. 【請求項22】 当該共振部を複数個配設したことを特
    徴とする請求項1〜21のいずれか一項に記載の質量セ
    ンサ。
  23. 【請求項23】 分極の方向を互いに逆向きとする当該
    圧電素子が、当該検出板の両平板面にそれぞれ形成され
    ていることを特徴とする請求項1〜22のいずれか一項
    に記載の質量センサ。
  24. 【請求項24】 当該センサ基板上の当該振動板と当該
    圧電素子との中間位置に一対の電極からなる位置センサ
    が設けられていることを特徴とする請求項1〜23のい
    ずれか一項に記載の質量センサ。
  25. 【請求項25】 当該圧電素子及び当該圧電素子の電極
    にそれぞれ導通する電極リードが、樹脂又はガラスから
    なる絶縁層により被覆されていることを特徴とする請求
    項1〜24のいずれか一項に記載の質量センサ。
  26. 【請求項26】 当該樹脂がフッ素樹脂もしくはシリコ
    ーン樹脂であることを特徴とする請求項25記載の質量
    センサ。
  27. 【請求項27】 少なくとも当該絶縁層の一部の表面上
    に、導電性部材からなるシールド層が形成されているこ
    とを特徴とする請求項25又は26記載の質量センサ。
  28. 【請求項28】 当該センサ基板、当該振動板、当該連
    結板、当該検出板並びに当該バネ板を設けた場合には当
    該バネ板が、完全安定化ジルコニアもしくは部分安定化
    ジルコニアからなることを特徴とする請求項1〜27の
    いずれか一項に記載の質量センサ。
  29. 【請求項29】 当該圧電素子における圧電膜が、ジル
    コン酸鉛、チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛からな
    る成分を主成分とする材料からなることを特徴とする請
    求項1〜28のいずれか一項に記載の質量センサ。
  30. 【請求項30】 当該振動板、当該連結板、当該検出板
    の少なくともいずれかの形状が、レーザ加工もしくは機
    械加工によるトリミングにより寸法調整されたものであ
    ることを特徴とする請求項1〜29のいずれか一項に記
    載の質量センサ。
  31. 【請求項31】 レーザ加工もしくは機械加工により、
    当該圧電素子の電極をトリミングして、当該圧電素子の
    有効電極面積を調整したことを特徴とする請求項1〜3
    0のいずれか一項に記載の質量センサ。
  32. 【請求項32】 連結板が振動板と少なくとも一方の平
    板面に圧電素子を配設した検出板に挟持されるように、
    それぞれの側面を接合してなる共振部を有する質量セン
    サの質量検出方法であって、 当該検出板と当該振動板が当該連結板を挟持する方向
    に、当該振動板が平行に往復振動する振動モードに基づ
    く共振周波数を当該圧電素子により測定することを特徴
    とする質量センサの質量検出方法。
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