JP3545269B2 - 質量センサ及び質量検出方法 - Google Patents

質量センサ及び質量検出方法 Download PDF

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    • G01G3/12Weighing apparatus characterised by the use of elastically-deformable members, e.g. spring balances wherein the weighing element is in the form of a solid body stressed by pressure or tension during weighing
    • G01G3/13Weighing apparatus characterised by the use of elastically-deformable members, e.g. spring balances wherein the weighing element is in the form of a solid body stressed by pressure or tension during weighing having piezoelectric or piezoresistive properties

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ナノグラム(10−9g)オーダーの微小質量を測定する質量センサ、例えば、細菌、ウィルス、原虫等の微生物を検出するための質量センサ(免疫センサ)や、水分や有毒物質あるいは味覚成分等の化学物質の検出に使用される質量センサ(水分計、ガスセンサ、味覚センサ)と質量検出方法に関し、特に、これらの検出対象(被検出体)とのみ反応して被検出体を捕捉する捕捉物質を塗布した振動板の質量変化に基づく共振周波数の変化を測定することで、被検出体の質量を測定する目的に好適に使用される質量センサ及び質量検出方法に関する。
なお、本発明の質量センサは、上述のように、振動板に塗布された捕捉物質の質量変化を測定する、即ち、間接的な振動板の質量変化を測定することに限られず、振動板自体の質量変化に基づく共振周波数の変化を検知することも、当然可能であるため、蒸着膜厚計や露点計としても用いることができる。
また、直接的あるいは間接的に振動板の質量を変化させることがなくとも、共振周波数の変化を起こさせる環境に置く、即ち、真空度や粘性、温度等の異なる気体や液体等の媒体環境下に置くことによって、真空計や粘性計、温度センサとしても使用することができる。
このように、本発明の質量センサは、その実施の形態により、種々の用途があるが、振動板及び振動板を含む共振部の共振周波数の変化を測定するという基本的な測定原理は同じものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の科学技術、医療技術の進歩と、抗生物質や化学薬品等の新たに開発される薬品により、これまで治療が困難とされていた種々の病気についての治療が可能となってきている。病気と呼ばれるもののうち、細菌やウィルス、原虫といった微生物に起因する病気については、これらの病原体を見つけ出し、それがいかなる種類のものかを明らかにし、更に、どのような薬剤に感受性があるかを決定する微生物検査が、病気の治療に必要不可欠である。
【0003】
現在では病状からおおよその原因、病原体の種類を推測することが可能であるため、微生物検査の第一段階では、病気の種類によって血液等の種々の検体が選ばれ、検体中に存在する病原体を形態学的に、あるいは検体中に存在する抗原や病原体の特異代謝産物(毒素や酵素等)を免疫化学的に確認している。この過程は、細菌検査で行われている塗抹、染色、鏡検といった作業であるが、最近は、蛍光抗体染色や酵素抗体染色といった方法により、即時同定が可能となってきている。
【0004】
また、近年、ウィルスの検出に用いられているウィルス血清検査法は、患者の血清中に出現する特異免疫抗体を証明する方法であり、例えば、試験血液へ補体を加えることによって、補体がその血液中の抗原若しくは抗体と反応して抗原若しくは抗体の細胞膜へ付着するか、あるいは細胞膜を破壊することにより抗体若しくは抗原の存在を決定する補体結合反応が例として挙げられる。
【0005】
病状が従来に見られない新たなもので、その病気がこれまでに未発見な新たな病原体によるものである極めて特殊な場合を除けば、微生物等による病気の治療においては、上述した微生物検査により、早期に病原体を発見することで、適当な処置を施すことができ、病状が悪化することなく病人を回復に導くことが可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した塗抹、染色、鏡検等の方法では、微生物の量により検出が困難な場合が多々あり、必要に応じて検体を寒天培地等で培養するといった時間を要する処理を行う必要がある。また、ウィルス血清検査法においては、原則として、急性期と恢復期の両者について測定し、その抗体量の動きから判定する必要があり、早期診断という観点から時間的な問題がある。
【0007】
ところで、上述した補体結合反応に見られるように、被検出体たる特定の微生物とのみ反応して被検出体を捕捉する捕捉物質と被検出体が反応した場合には、非常に小さいが被検出体の質量の分だけ捕捉物質の質量が増加する。このような質量増加は、特定のガス物質や臭い成分等の化学物質とその捕捉物質(吸着物質)との関係においても同様であり、更に、質量変化のない基板自体を捕捉物質と見立てて、その基板に特定物質が析出、付加等した場合にもあてはまる。反対に、捕捉物質等に捕捉されていた被検出体が脱離するような反応が起こった場合には、捕捉物質等の質量が微小に減少することとなる。
【0008】
このような微小質量の変化を検出する方法として、例えば、米国特許No.4789804には、図28に示されるように、水晶振動子81の対向する面に電極82・83を形成し、この電極82・83に何らかの物質が外部から付着したときの電極面の面方向の水晶振動子81の厚みすべり振動の共振周波数の変化を利用して、その質量変化を検出する質量センサ80が開示されている。
【0009】
しかし、質量センサ80にあっては、外部からの物質の付着部と共振周波数の検出部とが同じ部位となるため、例えば、検体の温度あるいは温度変化により質量センサ80自体の圧電特性が変化した場合には、共振周波数が一定せず、また、検体が導電性溶液の場合には質量センサ80をそのまま検体に浸漬すると、電極間の短絡を引き起こすために常に、樹脂コーティング等の絶縁処理を施さなければならないといった不具合が生ずる問題がある。
【0010】
そこで発明者らは、この質量センサ80の有する問題点を解決すべく、先に特願平9−361368号において、振動板の質量を直接的若しくは間接的に変化させて振動させたときの質量変化前後での共振周波数の変化を測定する質量センサを種々開示した。一例を図27に示す。質量センサ30は、振動板31に連結板33を接合し、表面上に圧電素子35を配設した検出板32を連結板33に接合して構成される共振部が、直角な側面を有するセンサ基板34の側面に接合された構成を有している。この質量センサ30においては、主に振動板31の質量変化に伴う共振部の共振周波数の変化を測定することにより、簡単にしかも短時間にその質量変化を知ることが可能である。
【0011】
しかしながら、このような質量センサ30においては、振動板31の同質量の変化であっても、質量が変化した位置が、例えば振動板31の中央部であるか、あるいは端部であるかによって検出感度に差が生ずる問題があり、この検出感度差をより小さくする改良が望まれる。また、振動板31をより揺れ易くすることで検出感度の向上が図られ、更に、振動板31の大面積化が図れると、より微小なオーダーでの質量測定が可能となる。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述した微小質量センサの問題点に鑑みてなされたものであり、本発明によれば、構造的に大別される以下の第一から第六の質量センサが提供される。
即ち、本発明によれば、第一の質量センサとして、1箇所以上のスリット及び/又は孔部が形成され、及び/又は、薄肉部と厚肉部とが形成された連結板と、振動板とが互いの側面において接合され、少なくとも一方の表面上の少なくとも一部に圧電素子が配設された検出板が、当該振動板と当該連結板との接合方向と直交する方向において、当該連結板と互いの側面において接合され、当該連結板と当該検出板の少なくとも一部の側面が、センサ基板側面に接合されて、当該振動板と当該連結板と当該検出板及び当該圧電素子から共振部が形成されてなることを特徴とする質量センサ、が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、第二の質量センサとして、1箇所以上のスリット及び/又は孔部が形成され、及び/又は、薄肉部と厚肉部とが形成された連結板と、振動板とが互いの側面において接合され、2枚の検出板が当該振動板と当該連結板との接合方向と直交する方向において当該連結板を挟持するように当該連結板と側面において接合され、少なくとも1枚の当該検出板の少なくとも一方の表面上の少なくとも一部に圧電素子が配設され、当該連結板と当該検出板の少なくとも一部の側面がセンサ基板の側面の一部に接合されて、当該振動板と当該連結板と当該検出板及び当該圧電素子から共振部が形成されてなることを特徴とする質量センサ、が提供される。
この第二の質量センサにおいては、1枚の検出板のみに圧電素子を配設した場合には、圧電素子を配設しない他方の1枚の検出板に、検出板と連結板との接合方向に垂直な方向に1箇所以上のスリットを形成することが好ましい。また、2枚の検出板の同方向の表面にそれぞれ圧電素子を配設した場合には、それぞれの圧電素子の圧電膜の分極方向を互いに逆向きとすることも、検出感度の向上の点等から、好ましい。
【0014】
更に、本発明によれば、第三の質量センサとして、1箇所以上のスリット及び/又は孔部が形成され、及び/又は、薄肉部と厚肉部とが形成された2枚の連結板によって、振動板を互いの側面で接合して挟持したものが、センサ基板に設けられた凹部の側部側面の間に跨設され、少なくとも一方の表面の少なくとも一部に圧電素子を配設した検出板が、当該連結板と当該振動板との接合方向に垂直な方向において、当該連結板のそれぞれについて、当該凹部の底部側面と当該連結板の側面との間に跨設され、当該振動板と当該連結板と当該検出板及び当該圧電素子から共振部が形成されてなることを特徴とする質量センサ、が提供される。
ここで凹部とは、対向する側面とそれら側面を接続する底部側面とからなるものをいうが、本発明においては、必ずしも底部側面は一平面である必要はなく、底部側面に窪みを設けたり、あるいは逆に突起部を設ける等、振動板の振動や共振周波数の測定に影響を及ぼさない限りにおいて、種々に形状を変更することができるものをいう。
【0015】
次に、本発明によれば、第四の質量センサとして、1箇所以上のスリット及び/又は孔部が形成され、及び/又は、薄肉部と厚肉部とが形成された2枚の連結板によって、振動板を互いの側面で接合して挟持したものが、センサ基板に設けられた対向する凹部の底部側面の間に跨設され、当該連結板のそれぞれについて、2枚の検出板が当該連結板と当該振動板との接合方向に垂直な方向において当該連結板を挟持するように互いに側面で接合されると共に、当該検出板は少なくとも当該凹部の側部側面と接合され、当該連結板について対向する少なくとも1枚の当該検出板の少なくとも一方の表面上の少なくとも一部に圧電素子が配設されて、当該振動板と当該連結板と当該検出板及び当該圧電素子から共振部が形成されてなることを特徴とする質量センサ、が提供される。
この第四の質量センサにおいては、圧電素子を配設しない検出板がある場合、その検出板に、その検出板と連結板との接合方向に垂直な方向に、1箇所以上のスリットを形成することが好ましい。一方、連結板を介して対向する2枚の検出板の同方向の表面にそれぞれ圧電素子を配設した場合には、それらの圧電素子の圧電膜の分極方向を互いに逆向きとすることが好ましい。
【0016】
また、本発明によれば、第五の質量センサとして、第一の連結板及び第二の連結板が、1箇所以上のスリット及び/又は孔部を有し、及び/又は、薄肉部と厚肉部とから形成され、第一の振動板と互いの側面において接合された当該第一の連結板と、第二の振動板と互いの側面において接合された当該第二の連結板との間に、少なくとも一方の表面上の少なくとも一部に圧電素子が配設された第一の検出板が跨設され、当該第一の連結板と当該第二の連結板における、当該第一の振動板と当該第二の振動板との接合側面の対向側面がセンサ基板の一側面に接合され、当該振動板と当該連結板と当該検出板及び当該圧電素子から共振部が形成されてなることを特徴とする質量センサ、が提供される。
この第五の質量センサにおいては、第一の連結板を第二の検出板と第一の検出板で挟持するように互いの側面で接合し、及び/又は、第二の連結板を第三の検出板と第一の検出板で挟持するように互いに側面で接合し、第二の検出板と第三の検出板を少なくとも連結板との接合方向において、センサ基板とも接合した構造とすることも好ましい。つまり、各検出板と各連結板を接合してなる部分が、センサ基板に設けられた凹部に嵌合された構造とすることが好ましい。また、第二の検出板及び/又は第三の検出板の少なくとも一方の表面上の少なくとも一部に圧電素子を配設し、若しくは、第二の検出板及び/又は第三の検出板に、第一の検出板と第一の連結板との接合方向に垂直な方向に1箇所以上のスリットを形成することも好ましい。なお、第二の検出板と第三の検出板に圧電素子を配設した場合には、これらの圧電素子の圧電膜の分極方向と、第一の検出板上に配設された圧電素子の圧電膜における分極方向とを、互いに逆向きとすることが好ましい。
【0017】
次に、本発明によれば、第六の質量センサとして、第一の連結板及び第二の連結板が、1箇所以上のスリット及び/又は孔部を有し、及び/又は、薄肉部と厚肉部とから形成され、第一の振動板と互いの側面において接合された当該第一の連結板と、第二の振動板と互いの側面において接合された当該第二の連結板との間に、第一の検出板が跨設されるとともに、第二の検出板と当該第一の検出板が当該第一の連結板を挟持するように互いの側面において接合され、かつ、第三の検出板と当該第一の検出板が当該第二の連結板を挟持するように互いに側面において接合され、当該第二の検出板と当該第三の検出板それぞれの少なくとも一方の表面上の少なくとも一部に圧電素子が配設され、当該第一の連結板と当該第二の連結板における、当該第一の振動板と当該第二の振動板との接合側面の対向側面がセンサ基板に設けられた凹部の底部側面に接合されると共に、当該第二の検出板と当該第三の検出板が、少なくとも当該凹部の側部側面と接合されてなることを特徴とする質量センサ、が提供される。
この第6の質量センサにおいては、第一の検出板に、第一の検出板の跨設方向に垂直な方向に、1箇所以上のスリットを形成することも好ましい。
【0018】
さて、本発明の上記第一から第六の全ての質量センサにおいて、連結板は、1枚の薄平板と1箇所以上のスリット及び/又は孔部が形成された別の平板あるいは柱状のバネ板とが貼合されて形成されていることが好ましく、振動板、連結板、検出板及びセンサ基板は、一体的に形成されていることが好ましい。従って、連結板自体も一体的に形成されることが好ましい。
【0019】
また、このような一体的な構成を得るために、連結板を形成する1枚の薄平板と振動板及び検出板が振動プレートから一体的に形成され、かつ、連結板を形成する別の平板あるいは柱状のバネ板が中間プレートから形成されると共に連結板が中間プレートと振動プレートを積層することで一体的に形成され、かつ、センサ基板が振動プレートと中間プレート及びベースプレートを積層することで一体的に形成すると、容易に一体構造の本発明の質量センサを得ることができる。
【0020】
更に、連結板の薄肉部の厚みを、振動板及び/又は検出板の厚みよりも厚くすることも好ましく、特に、連結板の薄肉部の厚みを、検出板と圧電素子とを加えた厚みよりも厚いものとすると、感度の向上が図られ、より好ましい。なお、1箇所以上の凹部若しくは任意形状の貫通孔をセンサ基板に形成し、それぞれの凹部若しくは貫通孔の内周面のそれぞれに、共振部を形成することも好ましい。
【0021】
本発明の全ての質量センサは、特に微小質量の変化の測定に好適に用いられるものであるが、使用の一態様として、振動板に被検出体とのみ反応して被検出体を捕捉する捕捉物質を塗布し、この捕捉物質に被検出体が捕捉されていない状態及び捕捉物質に被検出体が捕捉された後の状態における共振部の共振周波数を圧電素子で測定し、測定された共振周波数の変化から捕捉された被検出体の質量を測定する方法が挙げられる。このような質量センサを使用方法において、質量センサが少なくとも複数の振動板を有する場合には、少なくとも1枚の振動板には捕捉物質を塗布せず、参照用等として用いることができる。また、少なくとも複数の振動板のそれぞれに、異なる種類の捕捉物質を塗布することで、異なる種類の被検出体を同時に検出する等することも可能である。
【0022】
上記使用態様によらず、本発明の質量センサにおいては、共振部がセンサ基板に少なくとも2箇所以上設けられていると、各共振部からの信号を積算してダイナミックレンジが大きく取れ、好ましい。また、2枚の検出板の同方向の表面にそれぞれ圧電素子を配設し、各圧電素子における圧電膜の分極方向を互いに逆向きとすることも好ましい。更に、圧電素子の少なくとも1個を2分割し、一方を駆動用、他方を検出用として用いることも可能であり、検出感度の向上に寄与する。更に、1箇所の共振部に圧電素子を2個配設し、一方の圧電素子を駆動用として用い、他方の圧電素子を検出用として用いても同様の効果を得ることができる。加えて、連結板の表面上に、検出用圧電素子を配設することも好ましい。
【0023】
本発明の質量センサは、その使用環境を選ばないが、導電性溶液に浸漬して用いる場合には、振動板は導電性溶液に浸漬されるが、圧電素子はその導電性溶液に浸漬されないように、センサ基板上の振動板と圧電素子との中間位置に一対の電極からなる位置センサが設けられていると、振動板に重点的に質量変化を起こさせることができ、また、圧電素子の短絡を防止することができ、好ましい。一方、圧電素子及び圧電素子の電極にそれぞれ導通する電極リードが、樹脂又はガラスからなる絶縁層により被覆されていると、加湿雰囲気や液体中での使用に至便である。このとき、樹脂としては、フッ素樹脂若しくはシリコーン樹脂が好適に用いられる。更に、この絶縁層の少なくとも一部の表面上に、導電性部材からなるシールド層を形成すると、ノイズを減少させて測定感度の向上が図られ、好ましい。
【0024】
なお、本発明の質量センサにおけるセンサ基板、振動板、連結板、検出板は、完全安定化ジルコニアあるいは部分安定化ジルコニアを用いて好適に作製される。また、圧電素子における圧電膜には、ジルコン酸鉛、チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛からなる成分を主成分とする材料が好適に用いられる。振動板、連結板、検出板の少なくともいずれかの形状の寸法調整は、レーザ加工若しくは機械加工によるトリミングにより好適に行われる。レーザ加工若しくは機械加工によるトリミングは、圧電素子の電極の寸法調整にも好適に用いられ、こうして圧電素子の有効電極面積が容易に調整される。
【0025】
さて、本発明によれば、上述した本発明の質量センサ、即ち、1箇所以上のスリット及び/又は孔部が形成され、及び/又は薄肉部と厚肉部とが形成された連結板に、振動板と少なくとも1枚以上の検出板が互いに側面において接合され、当該連結板と当該検出板の少なくとも一部の側面がセンサ基板の側面の一部に接合された、少なくとも1個以上の圧電素子を有する質量センサの質量検出方法であって、当該振動板が、当該連結板と当該センサ基板との接合面の中心を垂直に貫通する垂直軸を中心として、当該振動板の表面に平行、かつ、当該垂直軸に垂直な方向に直線的に往復振動するνモード揺れ振動、若しくは、当該振動板が、当該垂直軸を中心として、当該振動板の表面に平行かつ当該垂直軸に垂直な方向へ、当該振動板の表面に垂直な方向の移動を伴いながら振子状に往復振動するνzモード揺れ振動、の少なくともいずれかの振動モードに基づく共振周波数を当該圧電素子により測定することを特徴とする質量センサの質量検出方法、が提供される。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の質量センサによれば、振動板における質量変化位置に依存した感度差が小さく、また、連結板の構造が振動板がより大きく揺れ易い構造となっているので、共振部の共振周波数の変化という具体的な数値により、確実にしかも短時間の間に微小質量の変化を精度良く知ることができる。従って、例えば、検体中における微生物や化学物質等の検出に好適に用いることができる。
以下、本発明の実施形態について、特定の被検出体とのみ反応してその被検出体を捕捉する捕捉物質を振動板に塗布した質量センサとその使用方法を中心に、図面を参照しながら説明する。
但し、本発明の質量センサには、前述したように、また後述するように質量変化の測定以外にも多くの用途がある。従って、本発明は以下の説明に限定されるものではない。
【0027】
図1(a)は、本発明の質量センサの一実施形態を示す平面図及び平面図中の破線AAにおける断面図(破線AAを通り紙面に垂直な面における断面図をいい、以下同様とする。)である。質量センサ1は、振動板2と、1箇所のスリット5が形成された連結板3とが、互いの側面において接合され、2枚の検出板4A・4Bが振動板2と連結板3との接合方向(Y軸方向)と直交する方向(X軸方向)において、連結板3を挟持するように連結板3と側面において接合され、また、検出板4A・4Bの一方の表面上に圧電素子6A・6Bがそれぞれ配設され、振動板2がセンサ基板7と直接に接合されることなく、連結板3と検出板4A・4Bの少なくとも一部の側面が、センサ基板7の側面の一部に接合(この場合にはセンサ基板7に設けられた凹部に嵌合する形で接合)されて、形成されている。そして、振動板2と連結板3と検出板4A・4B及び圧電素子6A・6Bから共振部が形成されている。
【0028】
ここで、スリット5は、連結板3の長手方向中央部に形成されているが、このような位置に限定されるものではない。しかし、スリット5は連結板3の長手方向の中心線について対称な位置に形成されていることが好ましい。また、センサ基板7と接合される連結板3と検出板4A・4Bの少なくとも一部の側面とは、基本的に、連結板3については、連結板3における振動板2との接合側面に対向する側面をいい、検出板4A・4Bについては、検出板4A・4Bにおける連結板3との接合側面に対向する側面をいう。従って、検出板4A・4Bは、センサ基板7の凹部底面とは必ずしも接合される必要はないが、凹部の側面と接合されていることが好ましい。このような連結板3と検出板4A・4Bのセンサ基板7との接合の形態は、後述する本発明の質量センサにも適用される。
【0029】
なお、振動板とは主に質量変化を起こさせる場若しくは受ける場であって、後述する種々のモードで振動する要素をいい、連結板とは振動板とセンサ基板並びに検出板とを連結する要素をいい、検出板とは振動板の動きよって歪みを生じ、表面に配設した圧電素子等の検知素子にその歪みを伝達し、若しくはその逆に圧電素子等の駆動素子が発生する歪みないし振動を振動板に伝達する要素をいうものとする。また、センサ基板は、共振部を保持すると共に、測定装置へ取り付けるための種々の電極端子を配設し、実際の使用においてハンドリングに供される要素をいう。
【0030】
質量センサ1においては、振動板2と連結板3及び検出板4A・4Bは、必ずしも同一の厚みを有することを必要としないが、好ましくは同一平面を形成するように同じ厚みを有していることが好ましい。このため、振動板2と連結板3及び検出板4A・4Bは、好適には1枚の板(以下、このような板を「振動プレート」という。)から一体的に形成されていることが好ましく、この場合、製造上も製造が容易となる利点がある。従って、図1(a)では、振動板2と連結板3及び検出板4A・4Bのそれぞれの接合部に実線で境界が明示されているが、実際には、また好ましくは、図1(b)に示すように、振動板2と連結板3及び検出板4A・4Bの構造的な境界のない一体構造とされる。
【0031】
また、連結板3及び検出板4A・4Bは、センサ基板7とも直接一体的に形成されることが好ましい。このような構造を実現するために、センサ基板7は、後述する本発明の質量センサの作製方法において詳述されるように、振動プレートとベースプレートを積層して一体的に形成することが好ましい。ここで、ベースプレートは振動プレートよりも厚く形成され、質量センサ1自体の機械的強度の維持を図ると好ましい。なお、ベースプレートとは、センサ基板7の主要部を形成するために用いられる板をいう。
【0032】
振動板2の厚みは3〜20μm程度とすることが好ましく、好適には7〜15μm程度に設定され、連結板3や検出板4A・4Bについても同様である。このときのベースプレートの厚みは操作性を考慮し、適宜決められる。
【0033】
このような振動板2と連結板3及び検出板4A・4B並びにセンサ基板7は、好適にはセラミックスから形成されていることが好ましく、例えば、安定化ジルコニアや部分安定化ジルコニア、アルミナ、マグネシア、窒化珪素等を用いることができる。このうち、安定化/部分安定化ジルコニアは、薄板においても機械的強度が大きいこと、靭性が高いこと、圧電膜や電極材との反応性が小さいことから最も好適に採用される。そして、センサ基板7等の材料として安定化/部分安定化ジルコニアを使用する場合には、少なくとも、検出板4A・4Bにアルミナあるいはチタニア等の添加物が含有されるように、振動プレートを準備することが好ましい。なお、これらの材料は、本発明の質量センサ全てに共通して使用されるものである。
【0034】
なお、センサ基板7を形成する振動プレートとベースプレートは、必ずしも同一の材料から構成される必要はなく、設計に応じて前述した各種セラミックス材料を組み合わせて用いることが可能である。しかし、同一の材料系のものを用いて一体的に構成することが、各部の接合部の信頼性の確保や製造工程の簡略化等の見地からは好ましい。
【0035】
さて、圧電素子6A・6Bの形態としては、図2に示すように、検出板89上に、第一電極85、圧電膜86、第二電極87が層状に形成された圧電素子88、あるいは図3に示すような検出板89上に圧電膜90を配し、圧電膜90上部に第一電極91と第二電極92とが、一定幅の間隙部93を形成した櫛型構造を有する圧電素子94Aが挙げられる。なお、図3における第一電極91と第二電極92は、検出板89と圧電膜90と間に挟まれるようにして形成されていても構わない。更に、図4に示すように、櫛型の第一電極91と第二電極92との間に圧電膜90を埋設するようにして圧電素子94Bを形成してもよい。ここで、図3及び図4に示した櫛型電極を用いる場合には、ピッチDを小さくすることで、測定感度を上げることが可能となる。なお、質量センサ1において、圧電素子6A・6Bには、その電極に導通するように電極リードが設けられるが、図1(a)においてはこの電極リードは省略されている。
【0036】
圧電素子6A・6Bにおける圧電膜としては、圧電セラミックスからなるものが好適に用いられるが、電歪セラミックスあるいは強誘電体セラミックスを用いることもできる。また、分極処理が必要な材料あるいは必要でない材料のいずれであってもよい。
【0037】
圧電セラミックスとしては、例えば、ジルコン酸鉛、チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、マグネシウムタンタル酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、マンガンタングステン酸鉛、コバルトニオブ酸鉛、チタン酸バリウム等やこれらのいずれかを組み合わせた成分を含有する複合セラミックスが挙げられるが、本発明においては、ジルコン酸鉛とチタン酸鉛及びマグネシウムニオブ酸鉛からなる成分を主成分とする材料が好適に用いられる。これは、このような材料が高い電気機械結合係数と圧電定数を有することに加え、圧電膜の焼結時におけるセンサ基板材料との反応性が小さく、所定の組成のものを安定に形成することができることに基づく。
【0038】
更に、上記圧電セラミックスに、ランタン、カルシウム、ストロンチウム、モリブデン、タングステン、バリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガン、セリウム、カドミウム、クロム、コバルト、アンチモン、鉄、イットリウム、タンタル、リチウム、ビスマス、スズ等の酸化物、若しくはこれらいずれかの組み合わせ、又は他の化合物を適宜、添加したセラミックスを用いてもよい。例えば、ジルコン酸鉛とチタン酸鉛及びマグネシウムニオブ酸鉛を主成分とし、これにランタンやストロンチウムを含有するセラミックスを用いることもまた好ましい。
【0039】
一方、圧電素子6A・6Bにおける第一電極及び第二電極は、室温で固体であって導電性の金属で構成されていることが好ましく、例えば、アルミニウム、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、銀、スズ、タンタル、タングステン、イリジウム、白金、金、鉛等の金属単体あるいはこれらのいずれかを組み合わせた合金が用いられ、更に、これらに圧電膜あるいは検出板と同じ材料を分散させたサーメット材料を用いてもよい。
【0040】
なお、実際の第一電極及び第二電極の材料選定は、圧電膜の形成方法に依存して決定される。例えば、前述した圧電素子88を形成する場合に、先ず、検出板4A・4B上に第一電極85を形成した後、第一電極85上に圧電膜86を焼成により形成する場合には、第一電極85は、圧電膜86の焼成温度においても変化しない白金等の高融点金属を使用する必要がある。これに対し、圧電膜86を形成した後に圧電膜86上に形成される第二電極87は、低温での形成が可能なことから、アルミニウム等の低融点金属を使用することができる。
【0041】
また、圧電素子88を一体焼成して形成することもできるが、この場合には、第一電極85及び第二電極87の両方を圧電膜86の焼成温度に耐える高融点金属としなければならない。一方、図3に示したように、圧電膜90上に第一及び第二電極91・92を形成する場合には、双方を同じ低融点金属を用いて形成することができる。このように、第一電極及び第二電極は、圧電膜の焼成温度や圧電素子の構造に依存して、適宜、好適なものを選択すればよい。
【0042】
なお、圧電膜の面積を広げると出力電荷が増加するために感度が上がるが、センササイズが大きくなる問題が生ずるため、適宜、好適な大きさに設定することが好ましい。また、圧電膜の厚みを薄くすると感度が向上するが、その一方で、剛性が低下するといった問題が生ずる。このため、好ましくは、検出板4A・4Bと圧電膜との厚みの合計は、好適には、15〜50μmとなるように設定される。上述した圧電素子の構造、使用される材料は、本発明の質量センサの全てに共通して用いられる。
【0043】
質量センサ1においては、連結板3にスリット5を設け、これにより連結板3の質量を減少させ、振動板2と連結板3との質量比(振動板の質量/連結板の質量)を大きくして検出感度の向上を図り、更に振動板2を後述するνモードにおいて揺れ易くして、振動板2内での感度ばらつきを小さくしている。
【0044】
この質量比(振動板2の質量/連結板3の質量)は0.1以上とすることが好ましく、更に、振動板2の厚みと面積を考慮に入れつつ、この質量比の範囲内で適宜、好適な比率に設定することが好ましい。
【0045】
振動板2の振動モードとしては、振動板2が、X軸方向に揺れるνモード、若しくは振動板2が、紙面に垂直な方向であるZ軸方向(X軸方向とY軸方向の両方に垂直な方向)の成分を伴ってX軸方向に揺れるνzモードが好適に用いられ、これらの振動モードを用いることで、振動板2における質量変化位置の違いによる検出感度の差を小さくすることができる。また、これらの振動モードは振動板2の側面を利用した剛体モードであって、振動板2の厚みが薄いために密度や粘性等の外部環境の影響を受け難く、従って温度変化に強く、最も検出感度が良好で対環境性に優れたものとなる。このような特性から、質量センサ1は振動板2若しくは質量センサ1全体を液体に浸漬しても用いることができる。
【0046】
ここで、νモード及びνzモードについて詳しく説明する。図5は、νモードの説明図であり、図1(a)の質量センサ1を図1(a)のX軸上Y軸方向から見た振動板2の動きを示している。ここで、振動板2の上部側面2Fは振動していない状態では位置P1にあるが、νモードでは、振動板2は振動板2の面内方向においてX軸方向に揺れ、Y軸方向の揺れの成分をほとんど含まない。従って、振動板2の上部側面2Fの動きは、X軸上の位置P2と位置P3との間を往復移動する振動として表すことができる。本発明においては、この振動運動をνモードと定義する。
【0047】
次に、図6はνzモードの説明図であり、図5と同様に、図1(a)中のX軸上Y軸方向から見た振動板2の動きを示している。ここでも振動板2の上部側面2Fは、振動していない状態では位置P1にある。νzモードにおいては、振動板2はX軸方向に揺れるが、このときY軸方向の成分をほとんど伴うことなく、Z軸方向の成分を伴って揺れるため、振動板2の上部側面2Fの動きは、Z軸上の一点を回転中心Oとし、位置P1を通る円弧軌道上の位置P4と位置P5間を往復する振動として表される。本発明においては、この振動運動をνzモードと定義する。
【0048】
なお、これらの各種の変位モードは、振動板2の変位方向がそれぞれ前述した方向に支配的であることを意味しているものであって、記された方向以外の方向成分を有することを完全に排除しているものではない。このことは、以下、種々の実施の形態について説明する際に、変位モードについて言及する場合にも同様に言えることである。
【0049】
質量センサ1においては、上記νモード、νzモードの他、振動板2がZ軸方向に振り子様に振動する曲げモード、あるいはY軸を基軸として回転するように振動する軸回転モードを利用することもできる。但し、曲げモードは振動板2の表面が外部からの抵抗を受け易く、その影響が大きいという問題があり、また、軸回転モードでは、振動板2の質量変化位置の違い、例えば中央部と左右端部とでは、慣性モーメントに差が生ずるため検出誤差を生じ易いといった欠点がある。
【0050】
さて、質量センサ1において、一方の圧電素子、例えば、圧電素子6Aを用い、その電極を通して圧電膜に交流電圧をかけた場合には、圧電膜にはd31あるいはd33により伸縮振動が生じて検出板4Aに屈曲運動が生じる。この運動が振動板2に伝達されて、振動板2が圧電膜にかけた交流電圧と同じ周波数で振動し、その交流電圧の周波数がある周波数のときに、上記νモード等の共振現象が生ずる。その共振周波数の変化を圧電素子6A自身で測定することにより、振動板2の質量変化の有無を調べることができる。なお、圧電素子6Aと圧電素子6Bの両方から振動板2を励振するとともに、共振周波数を圧電素子6Aと圧電素子6Bのそれぞれで測定することも可能である。
【0051】
一方、振動板2が外部からの励振力等で振動すると、検出板4A・4Bに屈曲/撓み振動が生じ、これにより圧電素子6A・6Bが圧電素子88のような構造を有する場合には、平板状の圧電膜86には伸縮振動が生じて、圧電膜86の電気機械結合係数k31(圧電定数d31)に基づく電圧が発生する。なお、圧電素子6A・6Bが、櫛型電極構造を有する圧電素子94A・94Bの場合には、k33(d33)に基づいて一定の電圧が発生する。このような電圧値のP−P値を検出し、P−P値の極大となる周波数を検知することで、νモード、νzモードそれぞれの共振周波数を検出し、質量変化を知ることが可能となる。この共振周波数の測定は、圧電素子6A・6Bの両方を用いることが好ましいが、一方のみを用いて行うこともできる。
【0052】
また、本発明においては、圧電素子として前述したd31、k31に表される電界誘起歪みの横効果、又はd33、k33に表される電界誘起歪みの縦効果を利用する素子で構成することが好ましいが、d15、k15に表される電界誘起歪みのすべり効果(shear mode)等を利用する素子で構成することもできる。
【0053】
なお、前述した各種の振動モードの検出に当たっては、一次モードの共振周波数を用いた検出のみならず、二次、三次といった高次モードの共振周波数を用いて検出を行うことも好ましい。例えば、一次の共振周波数に対して、設計段階でνモード或いはνZモードではない他の振動モードと、検出に用いたいνモード或いはνZモードの共振周波数が接近することが予想される場合には、他の次数で接近しないモードの共振周波数で検出すると、判定精度の向上が図られる。
【0054】
さて、質量センサ1に示されるように、検出板4A・4Bの同一方向の表面上に、それぞれ1個の圧電素子6A・6Bを配設した場合には、一方の検出板4Aに配設された圧電素子6Aの圧電膜の分極方向と、他方の検出板4Bに配設された圧電素子6Bの圧電膜の分極方向とを互いに逆向きとすることが、検出感度向上の点から好ましい。また、一方の圧電素子6Aを振動板2の駆動用(励振用)に用い、他方の圧電素子6Bを検出用(受振用)として用いることにより、検出感度を向上させることもできる。更に、圧電素子6A・6Bの検出する信号を比較演算処理することにより、ダイナミックレンジを大きくとることが可能となる。
【0055】
ところで、本発明の質量センサにおいては、圧電素子は少なくとも1個が、2枚の検出板のいずれかの表面上に形成されていればよい。この場合でも、検出感度の向上を図ることができ、例えば、質量センサ1において、圧電素子6Aのみを配設した場合に、圧電素子6AをY軸方向に2個の圧電素子が形成されるように分割して配設すると、一方を駆動用に使用し、他方を検出用に用いることができるようになる。ここで、このような圧電素子6Aの分割形成は、1個の圧電素子6Aを配設した後に、レーザ加工等により分割加工する方法、あるいは圧電素子6Aを配設する際に、最初から分割して配設する方法のいずれを用いてもよい。
【0056】
また、1つの質量センサ内に2個の圧電素子を設ける場合には、1枚の検出板の両表面上の少なくとも一部に圧電素子をそれぞれ1箇所、計2箇所設けて、得られる信号を比較演算することにより、ノイズを減少させ、他の振動モードの影響を排除し、検出精度を向上させることも可能である。
【0057】
更に、2枚の検出板の両表面上に圧電素子を配設してもよく、この場合には圧電素子の配設数は4個となる。更に、これら4個の圧電素子のうちの任意のものを、前述したように更にY軸方向に分割してもよい。この場合、信号演算や駆動/検出等、各圧電素子に役割分担をさせることでより高精度な測定が可能となるが、製造工程(圧電素子の形成工程)が複雑になるといった問題も生ずる。つまり、圧電素子の配設数は、検出する質量のオーダーや精度、製造コスト等を考慮して決定すればよい。
【0058】
なお、検出感度の調節については、上述した振動板と連結板の質量比の調節や圧電素子の使用方法の選択といった方法以外にも、振動板を薄くすることによって被検出体の質量と振動板の質量との比(被検出体の質量/振動板の質量)を大きくする方法も好適に用いられる。
【0059】
次に、質量センサ1の使用の態様について説明する。質量センサ1の一使用態様として、振動板2に被検出体とのみ反応して被検出体を捕捉する捕捉物質を塗布して用いる場合が挙げられる。この場合、振動板2の捕捉物質に被検出体が捕捉されていない状態での共振部の共振周波数と、被検出体が捕捉された後での共振部の共振周波数とは、捕捉された被検出体の質量の分に依存して異なる値を示すことから、この共振周波数の変化を圧電素子6A・6Bにより測定することで、逆に、捕捉物質に捕捉された被検出体の質量を測定することが可能となる。被検出体の一例としては病気の原因となる抗原を、また捕捉物質してはこの抗原に対する抗体を挙げることができる。
【0060】
測定方法としては、この場合、より具体的には、振動板2に捕捉物質を塗布し、この振動板2を検体たる液体に浸漬し、若しくは特定ガス等の気体雰囲気にさらして、被検出体を捕捉物質に捕捉させて振動板2の質量を変化させ、圧電素子6A・6Bにより共振部の共振周波数の変化を測定する方法がある。また、捕捉物質を塗布した振動板2を液体に浸漬させて被検出体を捕捉させた後、気体中で振動板2を乾燥させて共振周波数を測定することもできる。ここで、上述した振動モード及び圧電素子の種々の使用形態が用いられることはいうまでもない。
【0061】
なお、質量センサ1は、振動板2の質量が初期の状態から減少するような場合に、その減少量を測定するために使用することも可能である。例えば、塗布した捕捉物質が何らかの原因で剥離したときや、振動板2に塗布された物質の微小腐食量や特定溶液に対する微小溶解量の測定、あるいは振動板2に捕捉物質ではなく特定の化学物質を塗布して、その化学物質の蒸発、溶解等の変化量を測定する目的にも好適に使用することができる。
【0062】
上述の通り、質量センサ1を共振部の共振周波数を変化させる環境下におくという測定原理を応用すれば、種々の物理量や化学量の測定に用いることが可能となる。詳しくは後述することとするが、例えば、振動板上に付着する質量変化を利用する蒸着膜厚計や露点計、振動板の置かれた真空度や粘性あるいは温度といった環境を利用する真空計や粘性計あるいは温度センサとして用いることができる。
【0063】
次に、上述した質量センサ1を用いた別の実施形態である質量センサ10の平面図を図7に示す。質量センサ10内には、質量センサ1と同様の共振部が2箇所(共振部11A・11B)形成されている。これら共振部11A・11Bの詳細な構成については質量センサ1と同等であるので、この場での説明は割愛する。また、共振部11A・11Bの使用方法は、前述した質量センサ1の使用方法に準ずるが、質量センサ10のように、1個のセンサ内に形成される共振部の数を2箇所以上とすることにより、各共振部からの信号を積算してダイナミックレンジを大きくとることが可能となる他、少なくとも1つの共振部を参照用、あるいは他の物理量の測定のために用いることができるようになる。
【0064】
センサ基板17に設けられた基準孔18は質量センサ10のパッケージング及び製造工程において利用されるアライメントマークとして設けられるものであり、センサ基板17は、質量センサ1と同様に振動プレート及びベースプレートを積層して、好ましくは一体的に形成される。また共振部11A・11Bにおける振動板12A・12B、検出板14A〜14D、連結板13A・13Bは、振動プレートから一体的に形成されていることが好ましく、連結板13A・13Bには、それぞれスリット15A・15Bが形成されている。検出板14A〜14Dの表面に設けられた一対の電極を有する圧電素子16A〜16Dからは、センサ基板17下部へ電極リード19A〜19Dが引かれており、電極リード19A〜19Dの末端が測定プローブ等の測定装置側の端子等と接続される。
【0065】
更に、質量センサ10には、一対の電極からなる位置センサ20が設けられている。この位置センサ20は、質量センサ10を水溶液等の導電性を有する検体に浸漬させたときに検体によって導通し、質量センサ10の浸漬位置を検出するものである。即ち、検体が導電性を有する場合には、位置センサ20の水平方向に形成されたパターンから上部を検体に浸漬させ、位置センサ20が応答した位置より深くは質量センサ10を検体に浸漬させないようにすると、圧電素子16A〜16D及び電極リード19A〜19Dの短絡を防止することができる。このような位置センサ20は、前述した質量センサ1において、そのセンサ基板7にも形成することができることはいうまでもない。但し、圧電素子16A〜16D及び電極リード19A〜19Dを絶縁樹脂等でコーティングした場合には、質量センサ10を導電性の検体に浸漬させた場合でも、圧電素子16A〜16Dと電極リード19A〜19Dの短絡を防止することができるので、位置センサ20は、必ずしも設けなくともよい。また、液体中に浸漬させ、液中でのセンサ深さを制御するときは、この位置センサ20により、容易にセンサ深さを制御することができる。
【0066】
さて、質量センサ10においては、センサ基板17内に設けた貫通孔21A・21Bの周囲を利用して共振部11A・11Bを設けている。このように本発明の質量センサにおいては、1箇所以上の任意形状の貫通孔をセンサ基板に形成し、それぞれの貫通孔に2枚の検出板並びに連結板が嵌合されるようにして共振部を形成した構造とすることが好ましい。
【0067】
一方、共振部をセンサ基板の外周部に設けても構わない。例えば図7の質量センサ10の上辺部に凹部を設けて、この凹部に共振部を配設する形態が考えられる。しかしながら、この場合、薄板状の振動板12A・12Bはセンサ基板17の外周から突出するように設けられることから、質量センサ10の取り扱い時に振動板12A・12Bを破損しないように注意しなければならない。従って、外的な衝撃から共振部11A・11Bを保護することを考えれば、図7に示したように、センサ基板17の内部に共振部11A・11Bを設ける構造を採用することが好ましい。また、このような構造は後述する質量センサの製造方法を簡潔なものとすることからも好ましい。更に、振動板12A・12Bと貫通孔21A・21Bの上側側面との距離を長くし、センサ振動の反射波の影響を小さくしてノイズを低減することも可能である。このようなノイズ低減のためには、振動板12A・12Bをセンサ基板17外部へ突出させて設けることが好ましい。
【0068】
なお、センサ振動の反射波によるノイズについては、質量センサ自体の構造を考慮する他、例えば、液体中で使用する際には、その液体を入れる容器の材質、形状をも考慮して低減を図ることが好ましい。例えば、容器壁面からの反射を低減するために、容器材質として柔軟な樹脂等を使用したり、容器内壁面にゴム状若しくはゲル状のシリコーン樹脂や弾性エポキシ樹脂等の可撓性樹脂をコーティングすることが好ましい。また、このときに音波の周波数帯域を考慮して材質を選択することも好ましい。更に、容器の形状についても、振動板の振動モードに応じて壁面形状を変更し、反射波が振動板に戻って来ないような形状とすることも好ましい。
【0069】
次に、質量センサ10の使用方法について、質量センサ10を免疫センサとして用いた場合を例に説明する。2箇所に設けられた共振部11A・11Bの一方(11A)を検出共振部11Aとし、検出共振部11Aの振動板12Aには、検出したい病原体ウィルス等の被検出体とのみ反応して被検出体を捕捉する捕捉物質を塗布する。例えば、被検出体として抗原、捕捉物質として抗体の組み合わせが挙げられ、ヒト血清アルブミン/抗ヒト血清アルブミン抗体、ヒト免疫グロブリン/抗ヒト免疫グロブリン抗体等を例示することができる。これに対し、他方の共振部11Bは参照共振部11Bとして、その振動板12Bには捕捉物質を塗布しないものとする。
【0070】
そして、共振部11A・11Bのいずれをも同じ検体中に浸漬あるいは載置する。こうして検体中の被検出体が捕捉物質と反応して捕捉されると、検出共振部11Aの振動板12Aの質量が大きくなり、この振動板12Aの質量増加に伴って共振部11Aの共振周波数が変化する。これにより、共振部11Aの共振周波数の変化を調べることによって、振動板12Aに被検出体が捕捉されたか否か、即ち、被検出体が検体中に存在したか否かを判断し、増加した質量の大きさを測定することができる。検体は多くの場合、液体や気体といった流体であるが、共振部11A・11Bからの信号を比較することで、流体の種類や流れ、温度といった検体の物理的特性あるいは検査環境の影響を受けることなく、検査を行うことが可能となる。
【0071】
なお、共振部11A・11Bをそれぞれ検出共振部11A、参照共振部11Bとして用いる場合には、参照共振部11Bにテフロンコーティングを行うと、参照共振部11Bへの被検出体の付着を防止することができ、より高精度な測定が可能となる。また、検出共振部11Aにおいても、振動板12A以外の部分にテフロンコーティングすることで、振動板12A上のみにおいて被検出体を確実に捕らえることができ、高感度化が図れ、好ましい。更に、高価な抗体等の捕捉物質を必要な最小限部分にのみ塗布するだけで済むため、コスト面でも好ましい。
【0072】
その一方で、同一の捕捉物質を共振部11A・11Bの振動板12A・12Bに塗布して、共振部11A・11Bの信号を積算することで、ダイナミックレンジを大きくするような使用方法も可能である。更に、参照共振部11Bを参照用とせずに検出共振部11Aと異なる捕捉物質を塗布して、異なる種類の被検出体を同時に検出するように使用することも可能である。
【0073】
さて、質量センサ10においては、質量センサ10を液体等の検体に浸漬して用いる場合、あるいは振動板12A・12Bに捕捉物質を塗布するために振動板12A・12Bを捕捉物質に浸漬させる場合に、2箇所の共振部11A・11Bが両方同時に検体に浸漬されるように、図7中、センサ基板17の横方向(水平方向)に配置された構造を取っている。
【0074】
これに対し、2箇所の共振部11A・11Bをセンサ基板17の縦方向(上下方向)に配設する、つまり、検出共振部11Aが先に液体等に浸漬され、参照共振部11Bが液体等に浸漬されないような位置に配設すると、検出共振部11Aのみを捕捉物質等に浸漬して塗布する一方、参照共振部11Bについては、いかなる物質の塗布等もせずに温度補正センサ等のセンサとして使用するように処理することが簡単に行える。
【0075】
続いて、本発明の質量センサのその他の実施形態について説明する。図8に示した質量センサ22は、前述した質量センサ1において、圧電素子6A・6B及び圧電素子6A・6Bに通ずる電極リード9A・9Bを絶縁部材でコーティングして保護した後、更にこの絶縁層36を導電性部材で覆い、シールドしたものである。このシールド層37により、外部からの電磁波等のノイズを減少させることが可能となり、検出精度の向上が図られる。このような絶縁層36とシールド層37の形成が、本発明の全ての質量センサに適用できることはいうまでもない。なお、シールド層37は、スルーホール38を通じて導通するようにして、センサ基板7の両表面に形成されている。
【0076】
なお、絶縁層36に好適に使用される絶縁部材としては、絶縁性樹脂若しくはガラスが挙げられるが、成形性から特に絶縁性樹脂を用いることが好ましい。特に好適に用いられる絶縁性樹脂としてはフッ素樹脂が挙げられ、具体的には、四フッ化エチレン樹脂系テフロン(テフロンPTFE)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体樹脂系テフロン(テフロンFEP)、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂系テフロン(テフロンPFA)、PTFE/PFA複合テフロンが挙げられるが、その他にもシリコーン樹脂(特に熱硬化性シリコーン樹脂)も好適に用いられ、更にアクリル樹脂やエポキシ樹脂等も用途に応じて用いることが可能である。なお、圧電素子6A・6B並びにその近傍と、電極リード9A・9B並びにその近傍とで、それぞれ異なる材料を用いて、絶縁層36を形成することも好ましい。更に、絶縁性樹脂に無機・有機充填材を添加し、共振部の剛性を調整することも好ましい。
【0077】
一方、シールド層37用の導電性部材としては、金属が最も好適に用いられ、アルミニウム、ニッケル、銅、パラジウム、銀、スズ、タングステン、白金、金等の金属単体や合金といった、スパッタ法等の低温で膜形成が可能な材料が挙げられるが、これらの金属の粉末を含有する導電性接着剤等の導電性ペーストを用いることもできる。
【0078】
次に、図9(a)、(b)は、質量センサ1において、スリット5の形状や配置位置を種々に異ならしめた実施形態を示す平面図である。図9(a)の質量センサ23に示すように、スリット5をセンサ基板7との接続部側の位置に形成すると、振動板2が剛体モード(νモード、νzモード)で揺れ易くなるため、好ましい。また、図9(b)の質量センサ24は、圧電素子6A・6Bによる駆動力が連結板3に形成されたスリット5によって吸収されることを防止した構造を有する。これにより、振動板2はνモードで揺れ易くなり、共振周波数の認識が容易となる。
【0079】
図10(a)、(b)の平面図に示した質量センサ25、26は、スリットに加えて、孔部8を形成した実施形態を示しており、孔部8の形成によって連結板3の質量を減少させて、質量比(振動板2の質量/連結板3の質量)を大きくし、検出感度の向上を図っている。なお、本発明において、スリット5とは連結板3の一方向に長い形状を有する空間部を指し、一方、孔部8は点対称若しくは略点対称な形状の空間部を指しているが、両者は形状的な違いはあっても、機能的な違いはない。
【0080】
図11(a)〜(c)の平面図に示す質量センサ27〜29は、スリット5に代えて複数の孔部8を形成した実施形態を示しており、孔部8の形成により連結板3の質量の減少を図っている。孔部8の形状は、質量センサ27に形成されている四角形状に限定されず、質量センサ28・29に形成されている円形の他、多角形や楕円、長円といった形状のものを用いても構わない。孔部8の形成位置は連結板3内であればよいが、連結板3の長手方向の中心線について対称な位置に形成することが好ましく、長手方向中央部であれば更に好ましい。なお、上述した質量センサ23〜29を示した図9〜図11においては、質量センサ23〜29の一部の構成要素については符号を記していない。しかし、質量センサ1との対応から、その構造は明確である。
【0081】
以上、連結板にスリット及び/又は孔部を設けた本発明の質量センサの実施形態について説明してきたが、これらの質量センサにあっては、連結板と振動板の厚みが同じである。従って、検出感度を上げることを目的として振動板の厚みを薄くすると、連結板の強度不足により破損し易くなるという問題を生ずる。また、共振周波数の低下やνモード、νzモード等の剛体モードで振動させようとしても、曲げモードや回転モードが混在し易くなるといった問題も生ずる。
【0082】
そこで、本発明においては、このような問題を解決する質量センサとして、図12に示す質量センサ40が提供される。図12(a)の平面図及び平面図中の破線AAにおける断面図においては、質量センサ40の構成要素が明瞭となるように、各要素ごとに境界を明示しているが、図12(b)に示すように、前述した質量センサ1等と同様、好ましくは一体構造を有する。
【0083】
質量センサ40は、振動板2と、薄肉部と厚肉部とからなる連結板39とが、互いの側面において接合され、2枚の検出板4A・4Bが振動板2と連結板39との接合方向と直交する方向において連結板39を挟持するように連結板39と側面において接合され、振動板2がセンサ基板7と直接に接合されることなく、連結板39と検出板4A・4Bの少なくとも一部の側面がセンサ基板7の側面の一部に接合された構造を有する。なお、質量センサ40においても、検出板4A・4B上にそれぞれ圧電素子6A・6Bが配設され、振動板2と連結板39と検出板4A・4B及び圧電素子6A・6Bから共振部が形成される。
【0084】
質量センサ40の構造的特徴は連結板39の構造であり、連結板39においては、その長手方向中央部の少なくとも一部が長手方向左右部より薄肉に形成されている。このような連結板39は、振動板2と同じ厚みを有する薄状連結板の表面の左右部に、柱状のバネ板41A・41Bを貼合することで形成される。従って、連結板39の長手方向中央部は、振動板2と同じ厚みを有する。その他の質量センサ40の構成要素は、前述した質量センサ1に準ずる。なお、薄状連結板とバネ板41A・41Bとは一体構造を有していることが好ましく、後述するように、セラミックスグリーンシートを用いた積層成形により、容易に作製することが可能である。
【0085】
ところで、連結板39における薄肉の部分は長手方向中央部に限定されるものではなく、連結板39の長手方向の中心線に対して、対称な位置に形成されればよい。
【0086】
このような連結板39の構造を採用することにより、連結板の機械的強度を確保しつつ、その質量を減少させることができるので、検出感度の向上が図られ、また、回転モードが抑制され、かつνモード、νzモードの共振周波数が増加し、更に機械的に破損しなくなり好ましい。また、圧電素子6A・6Bによる振動板2の駆動を行う場合にも、スリットを設けた場合のようなスリットによる力の吸収がないため、駆動力を連結板全体に伝えることができるようになる。従って、このような特性から、質量センサ40は、特に、液体中での測定に好適に用いることができる。
【0087】
次に、図34に示した質量センサ49は、バネ板41A・41Bを用いた別の実施形態を表しており、(a)は平面図、(b)は平面図(a)中の破線AAにおける断面図、(c)は平面図(a)中の破線BBにおける断面図をそれぞれ示している。質量センサ49は、バネ板41A・41Bを有する連結板39における薄肉の部分は、検出板4A・4B及び振動板2よりもその厚みを厚くした構造を有しており、この点で図12に示した質量センサ40と形態が異なる。
【0088】
このような構造の連結板39を用いた場合には、例えば、大きな振動板を有する質量センサであっても、バネ板41A・41B間の間隔を大きく取り、νモード若しくはνzモードの振動を優位に発生させることが容易となる。これは、圧電素子6A・6Bが振動板2を駆動する力が、離れたバネ板41A・41B間の空間部で吸収され難い為に、所定の振動モードが得られ易くなることによる。また、連結板39に薄肉の部分のみを検出板4A等に比して厚くすることにより、検出板4A等も併せて厚くした場合と比較して、検出感度を向上させることも可能となる。
【0089】
なお、質量センサ49の連結板39にあっては、特に、連結板39における薄肉の部分の厚みを、検出板4A(又は4B)と圧電素子6A(又は6B)とを足した厚みよりも、厚くすることが好ましい。この場合には、連結板39の剛性が有効に維持され、振動モード及び感度の両面で更に優れた効果が得られる。質量センサ49における上述した連結板39の構造は、本発明の全ての質量センサに適用することができる。
【0090】
なお、バネ板を図13に示す質量センサ42のように、薄状連結板の両表面に形成することも可能である。この場合、圧電素子6A・6Bが配設される面側に形成されるバネ板41C・41Dとして、圧電素子6A・6Bと同じ構造を有するものを用いると、バネ板41C・41Dと圧電素子6A・6Bとを同時に形成することができるので、製造工程上好ましい。但し、バネ板41C・41Dにおける電極は、電極として用いない。
【0091】
また、圧電素子6A・6B側のバネ板41C・41Dは、その底辺がセンサ基板7の側面と直接に連結されるか、若しくはセンサ基板7に貼合されたバネ板補強部43の側面と連結されるように、形成されることが好ましい。バネ板補強部43の材料は、センサ基板7若しくは圧電素子6A・6Bのいずれかと同じものとすることが好ましい。
【0092】
バネ板41A〜41Dを設ける場合には、薄状連結板の片面あるいは両面に貼合するいずれの場合であっても、その厚さは10〜220μm、幅50〜500μmが好適であり、バネ板41A〜41Dのアスペクト比(幅/厚み)は、0.2〜50の範囲とすることが好ましい。更に、液体中での質量センサ40・42の使用による振動振幅の減衰を考慮すると、その厚みは10〜70μmで幅が50〜500μm、アスペクト比が0.7〜50とすることが好ましい。更に好ましい設定範囲は、厚みが10〜70μm、幅が50〜300μm、アスペクト比が0.7〜30である。なお、バネ板補強部43を配設する場合、バネ板補強部43の厚さは、そのバネ板補強部43に接合されるバネ板41C・41Dの厚さと同等とすることが好ましい。
【0093】
図14(a)〜(c)は、バネ板を用いた質量センサの別の実施形態を示す平面図である。質量センサ45は、質量センサ40における連結板39の長手方向中央部の薄状連結板部分にスリット5を設けた構造を有している。このようなスリット5の形成は、連結板39の質量を低減して検出感度を向上させ、かつ、振動板のνモード、νzモードでの振動を容易として、振動板2内における質量変化位置の違いによる感度差を低減することができるので、より高精度な測定が可能となる。
【0094】
また、質量センサ46は、バネ板41A・41Bどうしを一部で連結した構造を有するバネ板44を有しており、振動板2をより剛体モードで揺れ易くすることができる。更に、質量センサ47は、質量センサ46における連結板39の薄状連結板部分にスリット5を設けた構造を有しており、スリット5を設けることで、よりνモード及びνzモードでの振動を起こり易くしたものである。
【0095】
図15(a)〜(e)に示す質量センサ51〜55は、質量センサ40におけるバネ板41A・41Bを1箇所又は複数箇所で連結した構造を有するバネ板48を有し、また、必要に応じてスリット5若しくは孔部8を設けた実施形態を示している。これらの質量センサ51〜55は、圧電素子6A・6Bが振動板2を駆動する力が、バネ板48中央部に形成された空間部によって吸収されないようにすると共に、振動板2の剛体モードでの振動を容易ならしめ、共振周波数の認識を容易とするものである。
【0096】
図16に示す質量センサ56は、質量センサ55の連結板の表面上に更に検出用圧電素子6Cを配設したものである。この場合、検出板4A・4B上に設けられた圧電素子6A・6Bを用いて振動板2を駆動し、検出用圧電素子6Cで検出することで、S/N比の向上が図られ、好ましい。なお、上述した質量センサ42・45〜47・51〜55を示した図12〜図16においては、一部の構成要素については符号を記していない。しかし、質量センサ40との対応から、その構造は明確である。
【0097】
図17に示す質量センサ57は、質量センサ1における検出板4Aに圧電素子6Aを配設せず、代わりにスリット70を形成した実施形態を示している。ここで、スリット70は連結板3と検出板4Aの接合方向に垂直な方向、即ちY軸方向に平行に形成されている。このような構造とすることで、νモード、νzモードのQ値を大きく取ることができるようになる。
【0098】
なお、このようなスリットは、連結板を挟持するように検出板を2枚配設した本発明の質量センサ全てに適用される。また、本発明において、検出板内に形成されるスリットは、連結板内に形成されるスリットのような広い空間を有することは必ずも必要でなく、例えば、線状の切り込みでも構わず、少なくとも1箇所設ければよいが、好ましくは複数を形成すると前記効果が大きい。
【0099】
次に、図18に検出板を1枚のみ用いた質量センサ58の平面図を示す。連結板3内には、連結板3の長手方向の中心線であるY軸を対称軸とする2つのスリット5A・5Bが形成されている。そして、質量センサ58は、連結板3と振動板2とが互いの側面において接合され、一方の表面上に圧電素子6Aが配設された検出板4Aが、振動板2と連結板3との接合方向と直交する方向において、連結板3と互いの側面において接合され、連結板3と検出板4Aの一側面がセンサ基板7の側面に接合された構造を有しており、振動板2と連結板3と検出板4A及び圧電素子6Aから共振部が形成されている。ここで、連結板3と検出板4Aのセンサ基板7との接合の形態(接合側面の位置関係)は、前述した質量センサ1の場合と同様であることは、図1と図18との比較から明らかであろう。
【0100】
なお、質量センサ58においては、センサ基板7と連結板3及び検出板4Aから囲まれる間隙部69が形成されている。このような間隙部69を形成することで、液体中での測定において、測定波形の減衰を防ぐことが可能となる。但し、このような効果を必要としない場合等には、間隙部69を設けずに、検出板4Aをセンサ基板7と2辺で接合させても構わない。
【0101】
続いて、図19に振動板を2枚用いた質量センサ59の平面図を示す。第一の連結板(第一連結板)3Aと第二の連結板(第二連結板)3Bのそれぞれにスリット5A・5Bがそれぞれ形成されている。そして、質量センサ59は、第一の振動板(第一振動板2A)と互いの側面において接合された第一連結板3Aと、第二振動板2Bと互いの側面において接合された第二連結板3Bとの間に、圧電素子6Aを配した第一の検出板(第一検出板)4Aが跨設され、第一連結板3Aと第二連結板3Bの少なくとも一部の側面、即ち振動板との接合側面に対向する側面、がセンサ基板7の側面に接合されて構成されている。共振部は、振動板2A・2B、連結板3A・3B、第一検出板4A並びに圧電素子6Aから構成される。質量センサ59においても、間隙部69が設けられているが、検出板4Aを直接センサ基板7に接合した構造としてもよい。
【0102】
質量センサ59のようにスリット5A・5Bを入れることで、2枚の振動板2A・2Bを配設する構造としても、振動板2A・2B内の質量変化位置の違いによる感度差を低減することができ、また、振動板2A・2Bの揺れ量が大きくなり、検出感度の向上が図られる。
【0103】
これら質量センサ57〜59においては、スリットを形成した連結板に代えて、薄肉部と厚肉部からなる連結板を用いることができることはいうまでもない。また、質量センサ57〜59のように、圧電素子を配設する検出板を1枚しか有しない構造においては、検出板の両表面にそれぞれ圧電素子を配設して、一方を駆動用、他方を検出用として用いることが、検出感度の向上の点から好ましい。また、検出板の一方の表面に形成した1つの圧電素子を、Y軸方向に2分割して、振動板側の圧電素子を駆動用として用い、他方を検出用として用いることも好ましい。このような1つの圧電素子の分割は、後述するレーザ加工等により、容易に行うことができる他、最初から、分割された圧電素子を配設することによっても、形成することができる。
【0104】
さて、質量センサ59には、更に第二の検出板(第二検出板)と第三の検出板(第三検出板)を配設することも可能であり、その実施形態を示す質量センサ60の平面図を図20に示す。質量センサ60においては、第二検出板4Bと第一検出板4Aが第一連結板3Aを挟持し、第三検出板4Cと第一検出板4Aが第二連結板4Bを挟持しており、第二検出板4Bと第三検出板4Cがそれぞれセンサ基板7に接合されている。
【0105】
ここで、第二検出板4Bと第三検出板4Cの一方のみを配設した構造としてもよい。圧電素子は全ての検出板に形成することができるが、複数の圧電素子を配設した場合には、少なくとも1つを駆動用、少なくとも1つを検出用として用いることが好ましい。更に、第二検出板4Bと第三検出板4Cには、圧電素子を配設せず、質量センサ57のように、スリット70を形成することも好ましい。
【0106】
次に、図21は、本発明の更に別の実施形態である質量センサ61の平面図であり、簡潔に言えば、質量センサ61の構造は、前述した質量センサ60における第一検出板4Aに圧電素子6Aに代えてスリット70を形成したものである。より詳しくは、質量センサ61においては、第一連結板3A及び第二連結板3Bは、それぞれスリット5A、スリット5Bを有し、第一振動板2Aと互いの側面において接合された第一連結板3Aと、第二振動板2Bと互いの側面において接合された第二連結板3Bとの間に、第一検出板4Aが跨設されるとともに、第二検出板4Bと第一検出板4Aが第一連結板3Aを挟持し、かつ、第三検出板4Cと第一検出板4Aが第二連結板3Bを挟持するように、互いに側面において接合されている。また、第二検出板4Bと第三検出板4Cそれぞれの少なくとも一方の表面上に圧電素子6B・6Cが配設され、第一連結板3Aと第二連結板3Bにおける、第一振動板2Aと第二振動板2Bとの接合側面の対向側面がセンサ基板7に設けられた凹部58の底部側面に接合されると共に、第二検出板4Bと第三検出板4Cが、凹部68の側部側面と接合された構造を有している。
【0107】
第一検出板4Aには、第一検出板4Aの跨設方向に垂直な方向、即ちY軸方向にスリット70が形成されており、前述した質量センサ57と同様に、νモード、νzモードのQ値を大きく取ることができるようになる特徴を有する。スリット70は、少なくとも1箇所あればよいが、好ましくは複数ほど形成することが好ましい。しかしながら、スリット70が形成されていなくとも、十分に使用に供することが可能である。このスリット70を設けた質量センサ61においては、2枚の振動板2A・2Bの感度差を小さく抑えるため、Y軸に対して対称となる構造とすることが好ましい。
【0108】
続いて、図22に本発明の質量センサの更に別の実施形態を示す平面図を示す。質量センサ62においては、スリット5A・5Bがそれぞれ形成された2枚の連結板3A・3Bが、振動板2を、互いの側面で接合して挟持してなる部分が、センサ基板7に設けられた凹部68の側部側面の間に跨設され、圧電素子6A・6Bをそれぞれ配設した検出板4A・4Bが、連結板3A・3Bのそれぞれについて、連結板3A・3Bと振動板2との接合方向に垂直な方向、即ちX軸方向において、凹部68の底部側面と連結板3A・3Bの側面との間に跨設されて形成されている。共振部は、振動板2と連結板3A・3Bと検出板4A・4B及び圧電素子6A・6Bから形成される。
【0109】
質量センサ62においては、X軸方向の一軸方向振動における振幅を大きく取ることができ、検出感度の向上が図られる。しかしながら、Y軸を中心とする回転モードをもまた取り易いという問題がある。そこで、次に図23に示すように、連結板3A・3Bを挟持するように、検出板4A〜4Dを配置すると、回転モードを抑制することができ、好ましい。
【0110】
即ち、図23の平面図に示す質量センサ63においては、先ず、2枚の連結板3A・3Bには、連結板3A・3Bの長手方向中央部にスリット5A・5Bが形成されている。ここで、スリット5A・5Bに代えて孔部を形成してもよく、及び/又は、薄肉部と厚肉部とからなる連結板を用いてもよい。そして、連結板3A・3Bが振動板2を挟持するようにして互いに側面で接合され、連結板3A・3Bのそれぞれの側面がセンサ基板7に設けられた対向する凹部68の側面に跨設されている。そして、連結板3A・3Bのそれぞれについて、2枚の検出板(4A・4B)・(4C・4D)が、連結板3A・3Bと振動板2との接合方向に垂直な方向において連結板3A・3Bを挟持するようにして互いに側面で接合されると共に、少なくとも連結板3A・3Bを挟持する方向において凹部68の側面に跨設されている。また、検出板4A〜4Dの一方の表面上にはそれぞれ圧電素子6A〜6Dが配設されて、振動板2と連結板3A・3Bと検出板4A〜4D及び圧電素子6A〜6Dから共振部が形成されている。
【0111】
このような質量センサ63の構造においては、振動板2が、よりX軸方向に揺れ易くなる。つまり、前述したνモードにおいてほぼ完全にY軸方向の成分を排除した振動モードで揺れ易くなり、振動板2内の質量変化位置の違いに基づく感度分布を小さくすることができることと同様に、質量センサ63でもセンサとして使用できる振動板面積を増大させることができる。
【0112】
なお、検出板4Aと4Cに圧電素子6A・6Cを配設し、検出板4Bと4Dには、圧電素子を配設せずに、質量センサ58のようにスリット70を設けることも好ましい。このようなスリット70の配設は、検出板4Aと4Dに圧電素子6A・6Dを配設し、検出板4Bと4Cにスリット70を配設する形態としても構わない。また、共振部は、凹部68の代わりに、センサ基板7に貫通孔を設け、その側面に跨設するように形成してもよい。検出板4A〜4Dへの圧電素子の配設の形態には、既に述べた種々の圧電素子の配設の形態を適用することができる。
【0113】
さて、図30の平面図(a)及び平面図中の破線AAにおける断面図(b)に示した質量センサ64は、先に図12に示した質量センサ40における検出板4A・4B及び圧電素子6A・6Bの形状を、圧電素子6A・6Bに駆動電圧が印加されていない状態において、検出板4A・4B側に凸状に湾曲させて構成したものである。この場合の圧電素子6A・6Bとしては、図2に示したd31を利用する型の圧電素子88を配設することが好ましい。
【0114】
図31の平面図(a)及び平面図中の破線AAにおける断面図(b)に示した質量センサ65は、図1に示した質量センサ1における連結板3にスリット5を設けず、かつ、質量センサ1における検出板4A・4B及び圧電素子6A・6Bの形状を、圧電素子6A・6Bに駆動電圧が印加されていない状態において、圧電素子6A・6B側に凸状に湾曲させて構成したものである。この場合には、図3又は図4に示したd33を利用する型の圧電素子94A・94Bを配設することが好ましい。
【0115】
続いて、図32は、先に図20に示した質量センサ60において、検出板4A〜4C及び圧電素子6A〜6Cの形状を、圧電素子6A〜6Cに駆動電圧が印加されていない状態において、検出板4A〜4C側に凸状に湾曲させて構成した質量センサ66の平面図(a)及び平面図中の破線AAにおける断面図(b)である。検出板4A〜4C側に凸状に湾曲させた場合には、前述した質量センサ64と同様に、圧電素子4A〜4Cとしては、図2に示したd31を利用する型の圧電素子88を配設することが好ましい。
【0116】
図33は、質量センサ67の概略構造を示す平面図(a)及び平面図中の破線AAにおける断面図(b)である。質量センサ67は、先に図19に示した質量センサ59における連結板3A・3Bにスリット5A・5Bを形成せず、かつ、圧電素子6Aに駆動電圧が印加されていない状態で、検出板4A及び圧電素子6Aを、検出板4A側に凸状に湾曲させて構成した構造を有している。この場合の圧電素子6Aとしては、質量センサ64と同様に、図2に示したd31を利用する型の圧電素子88を配設することが好ましい。
【0117】
このように、本発明の質量センサにおいては、質量センサ64〜67に示されるように、検出板及び圧電素子の形状を予め湾曲させておくことが好ましい場合がある。また、複数の検出板及び圧電素子を有するデバイスにおいては、必ずしも個々の検出板及び圧電素子を同一方向に湾曲させる必要はなく、配設する圧電素子の形態等を考慮して、適宜、湾曲方向を選択することができる。
【0118】
以上、本発明に係る質量センサの種々の実施形態について説明してきたが、次に、質量センサ40を例に、その製造方法について説明する。センサ基板7の材料としてのジルコニア等のセラミックス粉末にバインダ、溶剤、分散剤等を添加混合してスラリーを作製し、これを脱泡処理後、リバースロールコーター法、ドクターブレード法等の方法により所定の厚みを有する振動プレート用、中間プレート用及びベースプレート用のそれぞれのグリーンシートあるいはグリーンテープを作製する。なお、バネ板41A・41Bを設けない質量センサ1のような場合には、中間プレート用のグリーンテープを作製する必要はない。
【0119】
次に、それぞれのグリーンシート等を金型あるいはレーザ等を用いて打ち抜き加工等し、図24に示すような、基準孔74と貫通孔75及びバネ板76が形成された中間プレート用グリーンシート72A、基準孔74と貫通孔75が形成されたベースプレート用グリーンシート71A、基準孔74が形成された振動プレート用グリーンシート73Aを作製する。
【0120】
ここで、振動プレート用グリーンシート73Aにおいて、貫通孔75や振動板2となる部分等を形成することは可能であるが、一般に、振動プレート用グリーンシート73Aの厚みは10μm程度と薄いために、焼結後に振動プレート73B内に形成される振動板2や連結板39あるいは検出板4A・4Bの平坦性、寸法精度等を確保するためには、センサ基板7の形成及び圧電素子6A・6Bの配設後に、レーザ加工等を用いて、所定形状を得ることが好ましい。なお、振動プレート73Bとは、振動プレート用グリーンシート73Aを焼成して得られたものである。
【0121】
こうして作製した各グリーンシート71A〜73Aを、振動プレート用/中間プレート用/ベースプレート用の順序で少なくとも各1枚ずつ基準孔74の位置が重複するように積層し、熱圧着等により一体化した後、焼成する。こうして、各グリーンシート71A〜73Aが全て積層された外周部分が一体的に形成されたセンサ基板7となり、また、振動プレート73Bと中間プレート72Bのバネ板76部分との重複部分により連結板39が一体的に形成される。
【0122】
なお、前述した質量センサ49のように、連結板39の薄肉の部分を、検出板4A等より厚く形成するためには、振動プレート用グリーンシート73Aと中間プレート用グリーンシート72Aとの間に、同じく図24中に示されるような、連結板39の幅ほどの凸部77が形成された中間プレート用グリーンシート78Aを挟み込んで、積層、一体化して焼成すればよい。
【0123】
次に、振動プレート上の所定位置に、第一電極、圧電膜、第二電極からなる圧電素子6A・6Bを配設する方法について説明する。圧電素子6A・6Bの形態については既に、図2〜図4に示した。圧電素子6A・6Bの配設は、グリーンシート71A〜73Aの焼成前後で、その状態に応じた各種の成形方法により行うことができる。先ず、グリーンシート71A〜73Aの焼成前に形成する方法としては、金型を用いたプレス成形法又はスラリー原料を用いたテープ成形法等によって圧電膜を成形し、この焼成前の圧電膜を振動プレート用グリーンシート73A上の所定位置に熱圧着して積層し、その他のグリーンシート71A・72Aと同時に一体的に焼結する方法が挙げられる。この場合には、電極は後述する膜形成法により、振動プレート用グリーンシート73Aあるいは圧電膜に予め形成しておく必要がある。
【0124】
圧電膜の焼成温度は、これを構成する材料によって適宜定められるが、一般には、800℃〜1400℃であり、好ましくは1000℃〜1400℃である。この場合、圧電膜の組成を制御するために、圧電膜の材料の蒸発源の存在下に雰囲気調整して焼結することが好ましい。そして、特に後述する焼成後のセンサ基板を用いる場合に圧電膜の焼成応力を緩和し、より高い材料特性を引き出すための前記雰囲気調整は、焼成後の圧電膜を電子顕微鏡等で観察し、成分の分布をモニタすることで制御することが好ましい。
【0125】
例えば、本発明で好適に採用される圧電セラミックスであるジルコン酸鉛とチタン酸鉛及びマグネシウムニオブ酸鉛からなる成分を主成分とする材料のように、ジルコン酸鉛を含有する材料を使用する場合には、焼成した圧電膜においてジルコニウム成分が偏析するように雰囲気を調整し、焼成することが好ましい。更に好ましくは、圧電膜表面にはジルコニウム成分の偏析が認められ、圧電膜内部ではその偏析がほとんど認められないような雰囲気とすることが望ましい。このような成分分布を有する圧電膜は、偏析のない圧電膜と比較すると、振動特性に優れ、即ち振動振幅が大きく、また、ジルコニウム成分の偏析によって焼成応力が緩和されているので、圧電粉末の本来有する材料特性が大きく低下することなく、維持される特徴を有する。
【0126】
従って、本発明の質量センサでは、このような圧電膜となるように圧電素子を形成することが最も好ましい。また、前記圧電膜組成にすると共に、圧電膜焼成後、質量センサの各部材、例えば連結板、バネ板、センサ基板等に、圧電材料の成分、特に前記酸化チタンを含む圧電材料の場合には酸化チタンが含有されるように雰囲気焼成することも好ましい。そして、圧電膜の焼成とセンサ基板との焼成を同時に行う場合には、両者の焼成条件をマッチングすることが必要である。なお、このような圧電膜は、質量センサのみならず、膜型の圧電素子を構成要素とするアクチュエータ、センサ等のデバイスにも、もちろん好適に適用できる。
【0127】
一方、焼結後のセンサ基板7に圧電素子6A・6Bを配設する方法としては、種々の膜形成法を用いることができる。例えば、スクリーン印刷法、ディッピング法、塗布法、電気泳動法等の厚膜形成法や、イオンビーム法、スパッタリング法、真空蒸着、イオンプレーティング法、化学気相蒸着法(CVD)、メッキ等の各種薄膜形成法を用いることができる。このうち、本発明においては、圧電膜を形成するにあたり、スクリーン印刷法やディッピング法、塗布法、電気泳動法等による厚膜形成法が好適に採用される。これらの手法は、平均粒径0.01〜5μm、好ましくは0.05〜3μmの圧電セラミックスの粒子を主成分とするペーストやスラリー、又はサスペンションやエマルション、ゾル等を用いて圧電膜を形成するものであり、簡便な方法であるが、良好な圧電作動特性が得られるという特徴を有する。また、特に電気泳動法は、膜を高い密度で、かつ、高い形状精度で形成できることをはじめ、技術文献「「DENKI KAGAKU」、53,No.1(1985)p63〜68、安斎和夫著」に記載されているような特徴を有する。従って、要求精度や信頼性等を考慮して、適宜、手法を選択して用いるとよい。
【0128】
具体的には、焼成して得たセンサ基板7の振動プレート73B表面の所定位置に第一電極を印刷、焼成し、次いで圧電膜を印刷、焼成し、更に、第二電極を印刷、焼成して圧電素子6A・6Bを配設することができる。そして、形成された各電極を測定装置に接続するための電極リード(9A・9B)を印刷、焼成する。ここで、例えば、第一電極として白金(Pt)を、圧電膜としてはジルコン酸チタン酸鉛(PZT)を、第二電極としては金(Au)を、更に電極リードとして銀(Ag)等の材料を使用すると、焼成工程における焼成温度が逐次低くなるように設定されるので、ある材料の焼成段階において、それより以前に焼成された材料の再焼結や凝集が起こらず、電極材等の剥離や凝集による電極切れといった不具合の発生を回避することが可能となる。
【0129】
なお、適当な材料を選択することにより、圧電素子6A・6Bの各部材とリードを逐次印刷して、一回で圧電素子6A・6Bを一体焼成することも可能である。また、圧電素子6A・6Bの各部材と電極リードの逐次印刷を未焼成の振動プレート用グリーンシート73Aに施し、他のグリーンシート71A・72Aと共に一体的に焼成することも可能である。更に、圧電膜を形成した後に低温で各電極等を設けることもできる。なお、圧電素子6A・6Bの各部材と電極リードはスパッタ法や蒸着法等の薄膜法によって形成しても構わず、この場合には、必ずしも熱処理を必要としない。
【0130】
こうして圧電素子6A・6Bを上述した種々の膜形成法によって形成すると、接着剤を用いることなく圧電素子6A・6Bと検出板4A・4Bとを一体的に接合、配設することができるので、信頼性、再現性に優れ、集積化が容易となる。ここで、更に圧電膜に適当なパターンを形成してもよく、その形成方法としては、例えば、スクリーン印刷法やフォトリソグラフィー法、あるいはレーザ加工法、又はスライシング、超音波加工等の機械加工法を用いることができる。
【0131】
次に、作製されたセンサ基板の所定位置に振動板2、検出板4A・4B等を形成する。ここでは、YAGレーザの第4次高調波を用いたトリミングにより、振動板2や検出板4A・4Bといったセンサ基板7と一体的に接合される部位を残しながら振動プレート73Bの不要部分を除去する方法が好適に用いられる。このとき、振動板2等の形状を調整することで、共振部の共振周波数を所定値となるように調整し、検出できる被検出体の質量範囲を定めることが可能である。また、スリット5や孔部8の形成を容易に行うことも可能である。
【0132】
なお、振動板2の形状は、長方形に限定されるものではない。形状加工の際に、円形や逆三角形、多角形等の種々の形状となるようにトリミングを行っても構わない。つまり、本発明の質量センサにおいて、振動板2の形状は特に限定されるものではなく、振動板2の配設空間を無駄なく使用して振動板2の面積を大きく取れるように、適宜、形状を設定すればよい。
【0133】
さて、ここで、図25に示すように、振動板2の長さをLからLへ短くするように振動板2の一部を切削、削除すると、共振点を高くすることができ、一方、連結板3の幅をtからtへ狭くすると、共振点を下げることが可能となる。従って、これらの組み合わせにより、共振点の調整を行うことができる。更に、振動板2の幅をWからWへ狭めることにより、回転モードを抑制し、νモードやνzモードのQ値を大きくすること、及び付着質量が同じ場合でも付着位置による共振周波数の変動差を小さくすることが可能となる。
【0134】
また、同じく図25に示すように、振動形態は、連結板3の長さN並びに振動板2と検出板4A・4Bとの距離Mにも依存する。一般に、M及びN共に長くなる方向で設計すると、νモード若しくはνzモードでの振動を支配的とすることができ、かつ、その振動モードでのQ値の向上が図られ、好ましいが、一方で共振周波数が低下することにもなる。従って、この連結板3の形状設定と、前述した振動板2の形状設定とを組み合わせることによって、用途に応じた感度に調整することが好ましい。
【0135】
更に、図26に示すように、図2に示した圧電素子88を配設した場合には、配設後に、上部の第二電極87をYAG第4次高調波レーザによりトリミングして圧電素子88の有効電極面積を調整し、検出感度の調整を行うことができる。なお、圧電素子の構造が、図3あるいは図4に示されるような櫛型構造である場合には、一方のあるいは両方の電極の一部をトリミングすればよい。
【0136】
このような共振部や圧電素子6A・6Bの形成加工においては、上記YAG第4次高調波レーザを用いた加工以外にも、YAGレーザ及びYAGレーザの第2次又は第3次高調波、エキシマレーザ、COレーザ等によるレーザ加工、電子ビーム加工、ダイシング加工(機械加工)など、共振部等の大きさと形状に適した種々の加工方法を適用することができる。なお、センサ基板7は、上述したグリーンシートを用いた作製方法の他に、成形型を用いた加圧成形法や鋳込成形法、射出成形法等を用いて作製することもできる。これらの場合においても、焼成前後において、切削や研削加工、レーザ加工、超音波加工等の機械加工により加工が施され、所定形状の質量センサを得ることができる。
【0137】
こうして作製された質量センサ40の圧電素子6A・6B並びに電極リード(9A・9B)を絶縁する場合、絶縁層36は、スクリーン印刷法、塗布法、スプレー法等によって形成することができる。ここで、絶縁材料としてガラスを用いた場合には、質量センサ40全体をガラスの軟化温度程度まで昇温する必要があり、また、ガラスは硬度が大きいので振動を阻害するおそれがあるが、樹脂は柔らかく、しかも乾燥程度の低温処理で済むため、作製工程上及び振動特性上、樹脂を用いることが好ましい。本発明において好適に用いられるフッ素樹脂あるいはシリコーン樹脂を用いた絶縁層36の形成にあっては、下地のセラミックス(センサ基板7)との密着性を改善する目的で、使用する樹脂とセラミックスとの種類に応じたプライマー層を形成し、その上に絶縁層36を形成することが好ましい。
【0138】
更に、絶縁層36上に更に導電性部材からなるシールド層37を設ける場合には、絶縁層36が樹脂からなる場合には、焼成処理を行うことが困難なため、導電性部材として種々の金属材料を用いる場合には、スパッタ法等の加熱を要しない方法を用いて行われ、一方、金属粉末と樹脂からなる導電性ペーストを用いる場合には、スクリーン印刷法、塗布法等を好適に用いることができる。なお、絶縁層36をガラスで形成した場合には、導体ペーストをスクリーン印刷等し、ガラスが流動しない温度以下で焼成することも可能である。
【0139】
こうして作製した質量センサ40の振動板2若しくは共振部全体に捕捉物質等を塗布することで質量センサが完成する。そして、共振周波数の測定は、インピーダンスアナライザやネットワークアナライザを用いて行ったり、あるいはSINSWEEP方式や、外部から超音波等で加振して伝達関数測定をすることで行う。更に、共振周波数値の変化を見れば、振動板2等における質量変化を測定することができる。
【0140】
以上、本発明の質量センサについて詳述してきたが、前述したように、本発明の質量センサは、その測定原理を応用することにより、他の用途にも使用することが可能である。以下、これらの用途について説明する。先ず、振動板に塗布する捕捉物質として、水分吸着材を用いた場合には、質量センサを水分計として使用することができる。また、振動板に捕捉物質として特定のガス成分や有機物質、無機物質を吸着する吸着材を塗布することにより、ガスセンサ、臭気センサ、味覚センサ等として使用することができる。更に、振動板の温度を制御して結露させると、振動板の質量が増大したときの温度から露点を計測する露点計としても使用することができる。
【0141】
また、振動板に捕捉物質として膜状に磁性材料を形成すれば、その磁性を利用して選択的に物質を吸着することができる各種の吸着センサが実現される。ここで、磁性材料としては、一般にMO・Feで表されるフェライト系材料(M:Mn、Fe、Co、Ni、Cr、Zn、Mg、Cd、Cu、Li、Y、Gd等の金属元素又はこれらの混合物(Mn−Zn、Ni−Zn、Mg−Mn、Ni−Cu、Cu−Zn、Li−Zn、Mg−Zn等)や、Fe−Ni若しくはFe−Ni−Mで表されるパーマロイ系材料(M:Ta、Zr、Nb、Co、Mo、Cu、W、Mn、V、Cr、Si等の金属元素又はこれらの混合物、更にFe−Al−Si(センダスト)系材料、Fe−(Ta、Zr、Nb)−X系材料(X:N、C、O)、Fe−Co系材料、Fe−Cr−Co系材料、Co−Cr系材料、Co−Ni−Mn−P系材料、Fe−Al−Ni−Co−Ti−Cu系材料、その他、SmCo合金、Sm17合金(T:3d遷移元素)、NdFe14B合金等の希土類系材料が挙げられる。これらの材料は、真空蒸着、メッキ、スパッタリング、CVD等の方法によって、膜状に形成することができる。
【0142】
更に、本質量センサは、膜厚計として使用することができる。対象となる膜には、真空中等で形成されるスパッタ膜やCVD膜、気体中で形成されるLB膜や液体中で形成される電着膜等が含まれる。即ち、これらの膜形成を行う際に、質量センサの振動板若しくは共振部を同じ膜形成環境に置くと、振動板若しくは共振部に膜が形成されることによって質量が変化し、共振周波数が変化するので、形成された膜厚や膜の成長速度を計測することが可能となる。
【0143】
従来、このような膜厚計としては、図28に示したものと同等の水晶振動子81の膜厚変化時のすべり方向共振周波数の変化を検出する水晶蒸着膜厚計が知られているが、水晶振動子81自体を蒸着雰囲気中で使用するため、温度変化や不純物の衝突等によるノイズ、真空圧の変化の影響を大きく受けるという問題がある。
【0144】
これに対し、蒸着膜厚計として本発明の質量センサをνモードにより使用すると、振動板の剛体モードで揺れるために温度変化に強く、また、振動板が3〜20μmと薄いために不純物が衝突する確率が小さくなる利点があり、更に共振部を一定雰囲気に保ち易い構造を採ることができるため、水晶振動子79を用いた場合と比較して、測定精度の向上を図ることが可能となる。
【0145】
更に、質量センサは、振動板を液体に浸漬させたときに、流体に横波のずれ波を引き起こして粘性波の進入長の部分の質量負荷を受ける粘性計としても使用することができる。ここで、νモードを用いて測定した場合には、振動板以外の部分を液体に浸漬させる必要がなく、また、振動モードが剛体モードであるために温度変化に強く、更に振動板19が3〜20μmと薄いために不純物が衝突する確率が小さくなることから、測定精度の向上が図られる。なお、従来、このような粘性計としてもまた、水晶振動子のすべり方向共振周波数の変化を検出する水晶粘性計が用いられているが、この場合、水晶振動子自体を液体中に浸漬させるため、温度変化や液体中の不純物の衝突等のノイズの影響を受け易い欠点がある。
【0146】
更にまた、水晶振動子は、真空中では気体分子の摩擦や気体の粘性摩擦により電気抵抗が変化するため、摩擦真空計として用いられるが、この真空計は結果的に水晶振動子の質量負荷効果による周波数変化を測定するものであるので、基本的な測定原理が同じである本発明の質量センサ1もまた、真空計として用いることができる。
【0147】
水晶振動子を用いた摩擦真空計においては、図29に示すように、音叉型に形成した振動子79をX軸方向に振動させたときの抵抗値の変化を検出するものであるが、振動子79の厚みdを薄くすることが困難であり、従って、検出感度の向上が困難であるという問題がある。これに対し、質量センサにおいては、振動板の厚みを3〜20μmとする薄肉化が容易であり、νモードを利用することで、検出感度の向上を図ることが可能となる。
【0148】
加えて、本発明の質量センサは、振動板の曲げモードを用いる、即ち、曲げモード時のヤング率変化を共振周波数の変化として検出することにより、温度センサとしても使用することが可能である。
【0149】
このように、質量センサは多種多様なセンサとして使用することができるが、その基本的な測定原理は、振動板への質量負荷に基づく共振部の共振周波数の変化を測定しているというものである。そのため、異なる機能を有する共振部を1個の質量センサ内に複数設けることが容易であり、例えば、温度センサや真空計、粘性センサとしての機能を質量センサとしての使用に併用すること、即ち、1個の質量センサへ温度補正や真空度又は粘性補正を行うための参照用センサを組み込むことが容易であり、このような場合には、形状の異なる複数の各用途別のセンサを集合させて用いる必要がないため、測定位置へのセンサの組み込み、取扱いや測定のための計測機器等の設備コスト等の点においても有利である。
【0150】
上述した本発明の質量センサ並びにその他の用途におけるセンサにおいては、共振部の振動を検出し、電気信号に変換する装置として、圧電作用を利用する圧電膜を用いた圧電変換装置を用いたものである。しかしながら、振動板に振動に基づいて発生する信号変換装置は、圧電作用を利用するものには限定されず、電磁誘導作用を利用するもの、静電容量変化を利用するもの、光の入射変化を利用するもの、電気抵抗変化を利用するもの、焦電作用を利用するもの等で構成してもよい。
【0151】
例えば、電磁誘導を利用するものとしては、検出板に設けられるコイルと、このコイルに流れる電気信号を検出する電気回路と、当該コイルに磁場を形成する磁石(電磁石であってもよい)とを有するものが挙げられる。この場合、共振部と共にコイルが振動する際に、電磁誘導によりコイルに電流が流れ、この電流を電気回路が検出する。また、静電容量変化を利用するものは、検出板の表面に設けた一対の電極と、この電極に挟まれた誘電体と、電極に接続する電子回路を有し、この特定の空間に荷電される静電容量を電子回路により検出するものが挙げられる。
【0152】
光の入射変化を利用するものには、光ダイオード等の共振部に投光するデバイスと、共振部で反射した光量を測定するデバイス(受光部)とを有するものがある。この受光部には光センサ等を用いることができ、共振部が振動するに従って共振部で反射する光量が変化し、その受光部でその入射光量の変化が測定される。
【0153】
また、電気抵抗変化を利用するものには、大きく分けて導体を使用するもの、半導体を使用するものが挙げられる。このうち、導体を使用するものは、共振部の表面に設けた導体と、この導体に接続する電気回路を有し、共振部と共に導体が振動する際に振動により導体が歪み、抵抗が変化するので、電気回路でこの抵抗変化を検出するものである。一方、半導体を使用するものは、この導体の代わりに半導体を用いたものである。
【0154】
焦電作用を利用するものは、検出板の表面に設けた一対の電極とその間に形成された焦電体並びに電極に接続する電子回路及び赤外線等の熱源からなり、振動による焦電流を電子回路により検出するものが挙げられる。
【0155】
これらの振動の信号変換装置は、前述した圧電素子の代わりに設置される他、共振部の駆動と検出とを異なる信号変換装置、例えば、駆動を圧電変換装置、検出を静電容量式変換装置で構成することも可能である。また、駆動・検出装置の配置は、設けた検出板の数によっても適宜、好適な配置を選択することができ、例えば、検出板が1枚の場合にはその平面内に、検出板を2枚設けた場合には各検出板の両平面、あるいは各検出板に分けて駆動・検出装置を配置させてもよい。
【0156】
以上、本発明の質量センサの実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものでないことはいうまでもない。従って、各実施形態の有する特徴を互いに組み合わせた実施形態が存在することはいうまでもなく、また、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々の変更、修正、改良等を加え得るものであることが理解されるべきである。
【0157】
【発明の効果】
上述の通り、本発明の質量センサ及び質量検出方法によれば、主に振動板上で起こる種々の微小質量の変化、即ち、質量負荷の変化を簡単に、正確に、しかも短時間で測定することができるという優れた効果を奏し、検体の温度や検体温度による質量センサ自体の材質の特性変化による変化の影響が小さいため、その構成により、0.1ナノグラム(ng)の微小量まで測定することが可能であるという優れた特徴を有する。また、剛体モードの採用と、好適な連結板の形状設計により、検出感度の向上と共振周波数の認識が容易となる利点がある。従って、種々の被検出体を捕捉する物質を振動板に塗布した場合には、多様な化学物質や細菌等の検出に好適に用いられるガスセンサ、味覚センサ、臭気センサ、免疫センサ、水分計として使用することができ、このような捕捉物質を塗布しない場合においても、膜厚計や粘性計、真空計、温度計等として用いることが可能である。しかも、免疫センサ、臭気センサ、味覚センサとして使用した場合には、人間の感覚に依存して判断されることがないので、検査の信頼性を向上させることができる。
更に、本発明の質量センサは、異なる物理量、化学量の検出に用いる共振部を1個の質量センサ内に複数設けることが容易に行える特徴を有する。従って、各種別個の複数のセンサを用いる必要がないため、測定位置へのセンサの組み込み、取扱いや測定のための計測機器等の設備コスト、更には、製造設備の集約と共有による低コスト化が図れるといった極めて優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の質量センサの一実施形態を示す平面図及び断面図である。
【図2】本発明の質量センサに配設される圧電素子の一実施形態を示す斜視図である。
【図3】本発明の質量センサに配設される圧電素子の別の実施形態を示す斜視図である。
【図4】本発明の質量センサに配設される圧電素子の更に別の実施形態を示す斜視図である。
【図5】本発明の質量センサにおける振動板のνモード揺れ振動の説明図である。
【図6】本発明の質量センサにおける振動板のνzモード揺れ振動の説明図である。
【図7】本発明の質量センサの別の実施形態を示す平面図である。
【図8】本発明の質量センサの更に別の実施形態を示す平面図である。
【図9】本発明の質量センサの更に別の実施形態を示す平面図である。
【図10】本発明の質量センサの更に別の実施形態を示す平面図である。
【図11】本発明の質量センサの更に別の実施形態を示す平面図である。
【図12】本発明の質量センサの更に別の実施形態を示す平面図及び断面図である。
【図13】本発明の質量センサの更に別の実施形態を示す平面図及び断面図である。
【図14】本発明の質量センサの更に別の実施形態を示す平面図である。
【図15】本発明の質量センサの更に別の実施形態を示す平面図である。
【図16】本発明の質量センサの更に別の実施形態を示す平面図である。
【図17】本発明の質量センサの更に別の実施形態を示す平面図である。
【図18】本発明の質量センサの更に別の実施形態を示す平面図である。
【図19】本発明の質量センサの更に別の実施形態を示す平面図である。
【図20】本発明の質量センサの更に別の実施形態を示す平面図である。
【図21】本発明の質量センサの更に別の実施形態を示す平面図である。
【図22】本発明の質量センサの更に別の実施形態を示す平面図である。
【図23】本発明の質量センサの更に別の実施形態を示す平面図である。
【図24】本発明の質量センサの作製に用いられるセンサ基板用のグリーンシートの加工例を示す平面図である。
【図25】本発明の質量センサの作製の際に調整することが好ましい寸法形状を示す説明図である。
【図26】本発明の質量センサの圧電素子の加工方法の一例を示す説明図である。
【図27】微小質量センサの基本構造を示す断面図である。
【図28】従来の微小質量センサの基本構造を示す断面図である。
【図29】従来の水晶摩擦真空計の水晶振動子の構造を示す斜視図である。
【図30】本発明の質量センサの更に別の実施形態を示す平面図及び断面図である。
【図31】本発明の質量センサの更に別の実施形態を示す平面図及び断面図である。
【図32】本発明の質量センサの更に別の実施形態を示す平面図及び断面図である。
【図33】本発明の質量センサの更に別の実施形態を示す平面図及び断面図である。
【図34】本発明の質量センサの更に別の実施形態を示す平面図及び断面図である。
【符号の説明】
1…質量センサ、2・2A・2B…振動板、2F…振動板の上部側面、3・3A・3B…連結板、4・4A〜4D…検出板、5・5A・5B…スリット、6・6A〜6D…圧電素子、7…センサ基板、8…孔部、9…電極リード、10…質量センサ、11A・11B…共振部、12A・12B…振動板、13A・13B…連結板、14A〜14D…検出板、15A・15B…スリット、16A〜16D…圧電素子、17…センサ基板、18…基準孔、19A〜19D…電極リード、20…位置センサ、21A・21B…貫通孔、22〜29…質量センサ、30…質量センサ、31…振動板、32…検出板、33…連結板、34…センサ基板、35…圧電素子、36…絶縁層、37…シールド層、38…スルーホール、39…連結板、40…質量センサ、41A〜41D…バネ板、42…質量センサ、43…バネ板補強部、44…バネ板、45〜47…質量センサ、48…バネ板、49…質量センサ、51〜67…質量センサ、68…凹部、69…間隙部、70…スリット、71A…ベースプレート用グリーンシート、71B…ベースプレート、72A…中間プレート用グリーンシート、72B…中間プレート、73A…振動プレート用グリーンシート、73B…振動プレート、74…基準孔、75…貫通孔、76…バネ板、77…凸部、78A…中間プレート用グリーンシート、79…水晶振動子、80…質量センサ、81…水晶振動子、82…電極、83…電極、85…第一電極、86…圧電膜、87…第二電極、88…圧電素子、89…検出板、90…圧電膜、91…第一電極、92…第二電極、93…間隙部、94A・94B…圧電素子、P1〜P5…振動板の位置、D…ピッチ。

Claims (36)

  1. 1箇所以上のスリット及び/又は孔部が形成され、及び/又は、薄肉部と厚肉部とが形成された連結板と、振動板とが互いの側面において接合され、
    少なくとも一方の表面上の少なくとも一部に圧電素子が配設された検出板が、当該振動板と当該連結板との接合方向と直交する方向において、当該連結板と互いの側面において接合され、
    当該連結板と当該検出板の少なくとも一部の側面が、センサ基板側面に接合されて、
    当該振動板と当該連結板と当該検出板及び当該圧電素子から共振部が形成されてなることを特徴とする質量センサ。
  2. 1箇所以上のスリット及び/又は孔部が形成され、及び/又は、薄肉部と厚肉部とが形成された連結板と、振動板とが互いの側面において接合され、
    2枚の検出板が当該振動板と当該連結板との接合方向と直交する方向において当該連結板を挟持するように当該連結板と側面において接合され、
    少なくとも1枚の当該検出板の少なくとも一方の表面上の少なくとも一部に圧電素子が配設され、
    当該連結板と当該検出板の少なくとも一部の側面がセンサ基板の側面の一部に接合されて、
    当該振動板と当該連結板と当該検出板及び当該圧電素子から共振部が形成されてなることを特徴とする質量センサ。
  3. 1枚の当該検出板に、当該検出板と当該連結板との接合方向に垂直な方向に1箇所以上のスリットが形成されていることを特徴とする請求項2記載の質量センサ。
  4. 当該2枚の検出板の同方向の表面にそれぞれ圧電素子を配設し、当該圧電素子の圧電膜の分極方向を互いに逆向きとしたことを特徴とする請求項2記載の質量センサ。
  5. 1箇所以上のスリット及び/又は孔部が形成され、及び/又は、薄肉部と厚肉部とが形成された2枚の連結板によって、振動板を互いの側面で接合して挟持したものが、センサ基板に設けられた凹部の側部側面の間に跨設され、
    少なくとも一方の表面の少なくとも一部に圧電素子を配設した検出板が、当該連結板と当該振動板との接合方向に垂直な方向において、当該連結板のそれぞれについて、当該凹部の底部側面と当該連結板の側面との間に跨設され、
    当該振動板と当該連結板と当該検出板及び当該圧電素子から共振部が形成されてなることを特徴とする質量センサ。
  6. 1箇所以上のスリット及び/又は孔部が形成され、及び/又は、薄肉部と厚肉部とが形成された2枚の連結板によって、振動板を互いの側面で接合して挟持したものが、センサ基板に設けられた対向する凹部の底部側面の間に跨設され、
    当該連結板のそれぞれについて、2枚の検出板が当該連結板と当該振動板との接合方向に垂直な方向において当該連結板を挟持するように互いに側面で接合されると共に、当該検出板は少なくとも当該凹部の側部側面と接合され、
    当該連結板について対向する少なくとも1枚の当該検出板の少なくとも一方の表面上の少なくとも一部に圧電素子が配設されて、
    当該振動板と当該連結板と当該検出板及び当該圧電素子から共振部が形成されてなることを特徴とする質量センサ。
  7. 当該圧電素子が配設されない検出板に、当該検出板と当該連結板との接合方向に垂直な方向に、1箇所以上のスリットが形成されていることを特徴とする請求項6記載の質量センサ。
  8. 当該連結板を介して対向する2枚の検出板の同方向の表面にそれぞれ圧電素子を配設し、当該圧電素子の圧電膜の分極方向を互いに逆向きとしたことを特徴とする請求項6記載の質量センサ。
  9. 第一の連結板及び第二の連結板が、1箇所以上のスリット及び/又は孔部を有し、及び/又は、薄肉部と厚肉部とから形成され、
    第一の振動板と互いの側面において接合された当該第一の連結板と、第二の振動板と互いの側面において接合された当該第二の連結板との間に、少なくとも一方の表面上の少なくとも一部に圧電素子が配設された第一の検出板が跨設され、当該第一の連結板と当該第二の連結板における、当該第一の振動板と当該第二の振動板との接合側面の対向側面がセンサ基板の一側面に接合され、
    当該振動板と当該連結板と当該検出板及び当該圧電素子から共振部が形成されてなることを特徴とする質量センサ。
  10. 第二の検出板と当該第一の検出板が当該第一の連結板を挟持するように互いの側面において接合され、及び/又は、第三の検出板と当該第一の検出板が当該第二の連結板を挟持するように互いに側面において接合されて、当該第二の検出板と当該第三の検出板が、少なくとも当該連結板との接合方向において、当該センサ基板とも接合されていることを特徴とする請求項9記載の質量センサ。
  11. 当該第二の検出板及び/又は当該第三の検出板の少なくとも一方の表面上の少なくとも一部に圧電素子が配設され、若しくは、当該第二の検出板及び/又は当該第三の検出板に当該第一の検出板と当該第一の連結板との接合方向に垂直な方向に1箇所以上のスリットが形成されていることを特徴とする請求項10記載の質量センサ。
  12. 当該第一の検出板上に配設された圧電素子における圧電膜の分極方向と、当該第二の検出板及び当該第三の検出板に配設された圧電素子の圧電膜との分極方向を、互いに逆向きとしたことを特徴とする請求項11記載の質量センサ。
  13. 第一の連結板及び第二の連結板が、1箇所以上のスリット及び/又は孔部を有し、及び/又は、薄肉部と厚肉部とから形成され、
    第一の振動板と互いの側面において接合された当該第一の連結板と、第二の振動板と互いの側面において接合された当該第二の連結板との間に、第一の検出板が跨設されるとともに、第二の検出板と当該第一の検出板が当該第一の連結板を挟持するように互いの側面において接合され、かつ、第三の検出板と当該第一の検出板が当該第二の連結板を挟持するように互いに側面において接合され、
    当該第二の検出板と当該第三の検出板それぞれの少なくとも一方の表面上の少なくとも一部に圧電素子が配設され、
    当該第一の連結板と当該第二の連結板における、当該第一の振動板と当該第二の振動板との接合側面の対向側面がセンサ基板に設けられた凹部の底部側面に接合されると共に、当該第二の検出板と当該第三の検出板が、少なくとも当該凹部の側部側面と接合されてなることを特徴とする質量センサ。
  14. 当該第一の検出板に、当該第一の検出板の跨設方向に垂直な方向に、1箇所以上のスリットが形成されていることを特徴とする請求項13記載の質量センサ。
  15. 当該連結板が、1枚の薄平板と、1箇所以上のスリット及び/又は孔部が形成された別の平板あるいは柱状のバネ板とが貼合されてなることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の質量センサ。
  16. 当該振動板と当該連結板と当該検出板及び当該センサ基板が、一体的に形成されていることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の質量センサ。
  17. 当該連結板を形成する1枚の薄平板と当該振動板及び当該検出板が振動プレートから一体的に形成され、かつ、当該連結板を形成する別の平板あるいは柱状のバネ板が中間プレートから形成されると共に当該連結板が当該中間プレートと当該振動プレートを積層することで一体的に形成され、かつ、当該センサ基板が当該振動プレートと当該中間プレート及びベースプレートを積層することで一体的に形成されてなることを特徴とする請求項15又は16記載の質量センサ。
  18. 当該連結板の薄肉部の厚みが、当該振動板及び/又は検出板の厚みよりも厚いことを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の質量センサ。
  19. 当該連結板の薄肉部の厚みが、当該検出板と当該圧電素子とを加えた厚みよりも厚いことを特徴とする請求項18記載の質量センサ。
  20. 当該センサ基板に形成された1箇所以上の凹部若しくは任意形状の貫通孔の内周面のそれぞれに、当該共振部が形成されてなることを特徴とする請求項1〜19のいずれか一項に記載の質量センサ。
  21. 当該振動板に被検出体とのみ反応して当該被検出体を捕捉する捕捉物質が塗布され、当該捕捉物質に当該被検出体が捕捉されていない状態及び当該捕捉物質に当該被検出体が捕捉された後の状態における当該共振部の共振周波数を当該圧電素子で測定し、測定された共振周波数の変化から捕捉された当該被検出体の質量を測定することを特徴とする請求項1〜20のいずれか一項に記載の質量センサ。
  22. 少なくとも複数の当該振動板を有し、少なくとも1枚の当該振動板には当該捕捉物質が塗布されていないことを特徴とする請求項21記載の質量センサ。
  23. 少なくとも複数の当該振動板を有し、当該振動板のそれぞれに異なる種類の捕捉物質が塗布されていることを特徴とする請求項21又は22記載の質量センサ。
  24. 当該共振部が当該センサ基板に少なくとも2箇所以上設けられ、当該共振部からの信号を積算することで、ダイナミックレンジを大きくとることを特徴とする請求項1〜23のいずれか一項に記載の質量センサ。
  25. 少なくとも1つの当該圧電素子を2分割し、一方を駆動用、他方を検出用として用いることを特徴とする請求項1〜24のいずれか一項に記載の質量センサ。
  26. 当該共振部に当該圧電素子を2個配設し、当該一方の圧電素子を駆動用として用い、当該他方の圧電素子を検出用として用いることを特徴とする請求項1〜25のいずれか一項に記載の質量センサ。
  27. 当該連結板の表面上に、検出用圧電素子が配設されていることを特徴とする請求項1〜26のいずれか一項に記載の質量センサ。
  28. 当該センサ基板上の当該振動板と当該圧電素子との中間位置に一対の電極からなる位置センサが設けられていることを特徴とする請求項1〜27のいずれか一項に記載の質量センサ。
  29. 当該圧電素子及び当該圧電素子の電極にそれぞれ導通する電極リードが、樹脂又はガラスからなる絶縁層により被覆されていることを特徴とする請求項1〜28のいずれか一項に記載の質量センサ。
  30. 当該樹脂がフッ素樹脂若しくはシリコーン樹脂であることを特徴とする請求項29記載の質量センサ。
  31. 当該絶縁層の少なくとも一部の表面上に、導電性部材からなるシールド層が形成されていることを特徴とする請求項29又は30記載の質量センサ。
  32. 当該センサ基板、当該振動板、当該連結板、当該検出板が、完全安定化ジルコニア若しくは部分安定化ジルコニアからなることを特徴とする請求項1〜31のいずれか一項に記載の質量センサ。
  33. 当該圧電素子における圧電膜が、ジルコン酸鉛、チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛からなる成分を主成分とする材料からなることを特徴とする請求項1〜32のいずれか一項に記載の質量センサ。
  34. 当該振動板、当該連結板、当該検出板の少なくともいずれかの形状が、レーザ加工若しくは機械加工によるトリミングにより寸法調整されたものであることを特徴とする請求項1〜33のいずれか一項に記載の質量センサ。
  35. レーザ加工若しくは機械加工により、当該圧電素子の電極をトリミングして、当該圧電素子の有効電極面積を調整したことを特徴とする請求項1〜34のいずれか一項に記載の質量センサ。
  36. 1箇所以上のスリット及び/又は孔部が形成され、及び/又は薄肉部と厚肉部とが形成された連結板に、振動板と少なくとも1枚以上の検出板が互いに側面において接合され、
    当該連結板と当該検出板の少なくとも一部の側面がセンサ基板の側面の一部に接合された、少なくとも1個以上の圧電素子を有する質量センサの質量検出方法であって、
    当該振動板が、当該連結板と当該センサ基板との接合面の中心を垂直に貫通する垂直軸を中心として、当該振動板の表面に平行、かつ、当該垂直軸に垂直な方向に直線的に往復振動するνモード揺れ振動、若しくは、
    当該振動板が、当該垂直軸を中心として、当該振動板の表面に平行かつ当該垂直軸に垂直な方向へ、当該振動板の表面に垂直な方向の移動を伴いながら振子状に往復振動するνzモード揺れ振動、
    の少なくともいずれかの振動モードに基づく共振周波数を当該圧電素子により測定することを特徴とする質量センサの質量検出方法。
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