JP2000179365A - カム位相可変装置 - Google Patents

カム位相可変装置

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JP2000179365A
JP2000179365A JP35287298A JP35287298A JP2000179365A JP 2000179365 A JP2000179365 A JP 2000179365A JP 35287298 A JP35287298 A JP 35287298A JP 35287298 A JP35287298 A JP 35287298A JP 2000179365 A JP2000179365 A JP 2000179365A
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真一 村田
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秀樹 宮本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エンジン始動後の進角制御をより適正に行う
ことが可能なカム位相可変装置を提供する。 【解決手段】 カム位相可変装置10は、クランクシャ
フトと同期回転するスプロケット11に設けるハウジン
グ12と、ハウジング12に対し相対回転可能でカムシ
ャフト20と同期回転するロータ21と、油圧アクチュ
エータ53を構成するベーン40および遅角油室および
進角油室と、制御手段90と、温度センサ91と、エン
ジン運転センサ92などを有している。制御手段90
は、エンジン運転センサ92の出力に基いてコントロー
ルバルブ70の作動を制御してカム位相を可変制御す
る。この制御手段90は、エンジン始動後の所定時間内
はカム位相可変制御を中止するように構成され、しかも
温度センサ91によって検出されるエンジン温度の高さ
に応じて上記所定時間を短くするように構成されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動車等の内燃
機関(エンジン)のバルブの開閉タイミングを可変制御
するためのカム位相可変装置に関する。
【0002】
【従来の技術】燃費向上あるいは環境への配慮から、車
両停止時にエンジンが自動停止するように制御される自
動車が提案されている。この種の車両では、エンジンが
再始動する時のクランキングの圧縮反力による振動が問
題となる。この振動を低減するための一手段として、エ
ンジンの吸気バルブの開弁時機をシフトさせることがで
きるカム位相可変装置を用いて、クランキング時に吸気
バルブを最遅角位相に設定し、吸入空気量を減らすこと
が提案されている。この種の車両において、低中速域で
は、上記カム位相可変装置によって、クランキング時や
アイドリング時よりも吸気バルブを進角側にシフトさせ
ることにより、トルクを増大させることが行われる。し
たがってこの車両をエンジン停止状態からフル加速させ
るには、クランキング時の最遅角状態からエンジン点火
後は素早く進角側に変化させる必要がある。
【0003】上記カム位相可変装置として、例えばベー
ン式のものがある。ベーン式のカム位相可変装置は、カ
ムシャフトと同期回転するスプロケットにハウジングを
固定し、このハウジングの内部に、カムシャフトに固定
されるベーンを相対回転可能に収容したもので、ベーン
とハウジングとの間に遅角油室と進角油室とを形成して
いる。そしてコントロールバルブを介して上記遅角油室
および進角油室に油を供給することにより、ベーンとハ
ウジングとの回転方向の相対位置を変化させ、スプロケ
ットとカムシャフトとの位相をずらして吸気バルブの開
閉タイミングをシフトさせる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしベーン式のカム
位相可変装置は、ベーンで仕切られている遅角油室と進
角油室に油が充満していない状態(空気が入っている状
態)で上記位相制御を行うと、吸気バルブの駆動トルク
変動により空気が圧縮されたり膨張するなどしてベーン
の位相が変化し、所望の進角制御あるいは遅角制御を行
うことができないことが問題である。
【0005】上記ベーンは、エンジン停止時にロック機
構によって最遅角側に固定されるようになっている。そ
してエンジン停止後は、コントロールバルブのスプール
隙間などから油がリークするなどして遅角油室内に空気
が吸い込まれることから、比較的短時間に油量が減少す
る。このような油挙動はオイル粘度が低いほど早く進行
する。
【0006】このためエンジン再始動時に遅角油室が油
で満たされていない状態となり、そのまま進角制御を行
ってしまうと、ベーンを所定位置に保持できなくなり、
カムシャフトとスプロケットの位相ばたつきを生じ、失
火の原因となる。また、位相ばたつきによって、ベーン
等の油圧アクチュエータ構成要素に過剰な負荷がかか
り、耐久性に悪影響を与えることにもなる。このため点
火後に素早く進角側に移行させることができず、エンジ
ン停止状態からのフル加速制御などに支障が生じる。こ
のことはベーン式に限らず、ヘリカル式等の油圧を用い
てカム位相可変するものにもあてはまる。
【0007】さらには、前記コントロールバルブがオイ
ルパン油面よりも高い位置にあると長時間エンジンが停
止していた時に、オイルポンプからコントロールバルブ
に至る供給油路中の油が自重により落ちてしまい、供給
油路に空気が入り込む。このため長時間停車していた車
両では、油温が下がっていることにより粘度が高く、流
動しにくいことから、エンジン始動直後にオイルポンプ
から遅角油室に送られる空気の混入した油が比較的ゆっ
くりと遅角油室に供給され、遅角油室内の空気が排出さ
れにくいことから、前述の問題が助長されてしまう。
【0008】そこで、エンジン始動後に無条件に所定時
間の間、カム位相制御を中止することも考えられるが、
そのようにすると、例えばハイブリッド車のように短時
間のエンジン停止後にエンジンを再始動し、始動と同時
に高出力が要求される状況においては、上記所定時間は
ベーンが最遅角側に保持されたままとなるため、高出力
が出せずにドライバビリティが悪化してしまう。
【0009】従って本発明の目的は、位相ばたつきを防
止することができ、かつ、エンジン停止時間が短い時に
はエンジン始動後に進角制御を速やかに行うことが可能
なカム位相可変装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を果たすための
請求項1に記載された本発明では、エンジン温度検出手
段は、エンジン始動時の油温あるいはエンジン冷却水等
の温度を検出し、エンジンの温度に関する電気的な信号
を出力する。エンジンが暖まっていれば、エンジンが停
止していた時間が短く、油が低粘度に維持されていて流
動しやすい状態にあると判断される。エンジン運転状態
検出手段は、エンジンの回転あるいはアクセル開度など
を検出し、エンジンが動いているか否かの情報やエンジ
ンの運転速度などに関する信号を出力する。
【0011】エンジンコントロールコンピュータ等を利
用する制御手段は、エンジン運転状態検出手段から出力
される電気的な信号に基き、エンジンが動いている間、
コントロールバルブの作動を制御して油圧アクチュエー
タを作動させ、カム位相を可変制御する。この制御手段
は、エンジン始動後の所定時間内は上記カム位相可変制
御を中止し、かつ、上記エンジン温度検出手段によって
検出されるエンジン温度の高さに応じて上記所定時間を
短く設定するように構成されている。すなわちエンジン
温度が高いときには上記所定時間を短縮し(ゼロでもよ
い)、エンジン始動後に速やかにコントロールバルブに
よるカム位相制御を開始できるようにする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、この発明の一実施形態の
ベーン式カム位相可変装置について、添付図面を参照し
て説明する。図1に示すベーン式カム位相可変装置10
は、エンジンのクランクシャフトと同期して回転するス
プロケット11に設けたハウジング12を備えている。
スプロケット11とハウジング12は、この発明でいう
第1回転部材の一例である。スプロケット11は、図示
しないタイミングベルトによってクランクシャフトと同
期回転する。
【0013】ハウジング12は、その周壁を構成するハ
ウジングブロック15と、ハウジングブロック15の前
面を塞ぐ蓋部16と、蓋部16に設けたキャップボルト
17などによって構成されている。このハウジング12
は、ボルト18(図2等に示す)によって、スプロケッ
ト11の円板部11aに液密に締結されている。図2に
示すようにハウジング12の内部には、正面側からみて
十字形のベーン油室を規定する内壁面12aが形成され
ている。
【0014】エンジンの動弁系を構成するカムシャフト
20の端部に、この発明でいう第2回転部材として機能
するロータ21が設けられている。ロータ21は、その
中心部に位置するボルト22によってカムシャフト20
の端面に固定され、カムシャフト20とロータ21とが
一体に回転するようになっている。すなわちカムシャフ
ト20とロータ21は、スプロケット11とハウジング
12に対して軸回りに相対回転変位可能であり、後述す
る油圧アクチュエータ53によって相対回転角を変える
ことができる。
【0015】カムシャフト20は、軸受部材25によっ
てエンジンのシリンダヘッド側に回転自在に支持されて
いる。軸受部材25に2系統の流通部26,27が形成
されている。第1の流通部26は、カムシャフト20に
形成された流通孔30を介して、ロータ21の遅角油室
用油路31に連通している。第2の流通部27は、カム
シャフト20に形成された流通孔32とボルト22に形
成された流通孔33を介して、ロータ21の進角油室用
油路34に連通している。
【0016】ハウジング12の内部にベーン40が収容
されている。図2に示すようにベーン40は、ロータ2
1の外周側にロータ21と一体に放射状に形成されてい
る。すなわちこれらのベーン40はロータ21の径方向
に延出している。なお図示例のベーン40は4枚である
が、2枚あるいはそれ以外の枚数でもかまわない。ベー
ン40の先端部にはハウジング12の内壁面12aとの
間をシールするためのシール材41が設けられている。
【0017】図2に示すように、各ベーン40の時計回
り側の面40aとハウジング12の内壁面12aとの間
に、遅角油室50が形成されている。各ベーン40の反
時計回り側の面40bとハウジング12の内壁面12a
との間に、進角油室51が形成されている。ハウジング
12とベーン40は互いに相対回転変位自在であるか
ら、ハウジング12とベーン40との相対位置に応じ
て、遅角油室50と進角油室51との容積比が変化する
ことになる。
【0018】上記ベーン40と遅角油室50と進角油室
51などは、この発明で言う第1回転部材(スプロケッ
ト11など)と第2回転部材(ロータ21)との相対回
転角を調整するための油圧アクチュエータ53を構成す
る。
【0019】このカム位相可変装置10は、図3および
図4に示すようにロック機構55を備えている。ロック
機構55は、ベーン40に設けたロックピン56と、ス
プロケット11に設けたピン嵌合穴57と、ロック用油
路58と、ロック解除用油路59などからなる。ピン嵌
合穴57は、ベーン40が最遅角位置まで回動したとき
にロックピン56の先端が嵌合できる位置に形成されて
いる。
【0020】ロック用油路58はロックピン56の基端
側と遅角油室50に連通し、遅角油室50に導入される
油圧により、ロックピン56をピン嵌合穴57に向かっ
て押し出すようになっている。ロック解除用油路59は
ロックピン56の先端側と進角油室51に連通し、進角
油室51に導入される油圧により、ロックピン56をピ
ン嵌合穴57から出す方向に移動させることができるよ
うになっている。
【0021】図1に示すように、この位相可変装置10
は油圧を発生するための油圧供給源61を備えている。
油圧供給源61としては、エンジンの潤滑系に標準装備
されているオイルポンプ等を利用できる。油圧供給源6
1は、その吐出側に接続される供給油路62と下記コン
トロールバルブ70を介して、遅角油室50と進角油室
51とに接続される。供給油路62の途中に、エンジン
潤滑部63への潤滑油路64が分岐する分岐部65が設
けられている。
【0022】油圧供給源61および分岐部65の上方
に、オイルコントロールバルブ70が設けられている。
このコントロールバルブ70は、分岐部65よりも高い
位置において供給油路62に設けられ、後述するエンジ
ン運転センサ92の出力に基いて、エンジンコントロー
ルコンピュータ等の下記制御手段90からの指令によっ
てスプール位置を制御するように構成されている。
【0023】電磁弁の一種であるコントロールバルブ7
0は、例えば制御電流非通電時(デューティ:ゼロ)に
は図1に示す第1ポジションにあって、遅角油室50は
流通孔30、流通部26、第1油路71を介して油圧供
給源61と連通する。進角油室51は、流通孔32,3
3、流通部27、第2油路72を介してドレンタンク7
3、排出油路74と連通する。また制御電流通電時(デ
ューティ:100%)にはスプール位置が第2ポジショ
ンに切り替わり、油圧供給源61とドレンタンク73、
排出油路74とが逆になる。そしてスプール中立位置の
とき油路71,72を遮断するといった制御が行われ
る。
【0024】上記供給油路62は、分岐路65とコント
ロールバルブ70との間の流通部80にチェックバルブ
81を備えている。このチェックバルブ81は、コント
ロールバルブ70側からの油の逆流を阻止するものであ
り、分岐部65の下流側でかつこの分岐部65の近傍に
設けられている。従ってチェックバルブ81からコント
ロールバルブ70に至る供給油路62は、その全長がチ
ェックバルブ81よりも高い位置にある。
【0025】上記チェックバルブ81を備えた供給油路
62を採用したことにより、エンジン停止後に30分経
過してもベーン油室(遅角油室50と進角油室51)に
は約90%の残油量が確保され、さらに長期間が経過し
てようやく50%程度の残油量に至る。なお、チェック
バルブ81を設けない場合には、エンジン停止後に数分
間で25%ほど油量が急減し、その後は徐々に油量が減
少して数時間で50%前後の残油量となる。いずれにせ
よ、放置時間が長ければ残油量は減少する。
【0026】この実施形態のカム位相可変装置10は、
エンジンコントロールコンピュータ等を利用した制御手
段90と、エンジン温度を検出するためのエンジン温度
検出手段の一例として機能する温度センサ91と、エン
ジンの運転状態を検出するためのエンジン運転状態検出
手段として機能するエンジン運転センサ92を備えてい
る。温度センサ91は、例えば潤滑油の温度あるいは冷
却水温を検出するものである。エンジン運転センサ92
は、例えばエンジン回転数あるいはアクセル開度などを
検出することによって、エンジンが動いているか否かを
判断し、かつ、エンジンの運転速度などに関する電気的
な信号を制御手段90に出力するようになっている。
【0027】制御手段90は、エンジン運転センサ92
の出力に基いてコントロールバルブ70の作動を制御し
て油圧アクチュエータ53によりカム位相を可変制御す
る。そしてこの制御手段90は、エンジン始動後の所定
時間内は、エンジン運転センサ92の出力に基く前記カ
ム位相制御を中止し、温度センサ91が検出するエンジ
ン温度の高さに応じて上記所定時間を短縮するようにプ
ログラミングされている。
【0028】図5は、制御手段90の機能の一例とし
て、しきい値に基いて前記所定時間を判断する場合を示
している。このフローチャートの機能例では、エンジン
始動時にエンジン潤滑油の油温を検出し、油温が例えば
60℃のしきい値に達しているか否かを判断する。そし
て油温が上記しきい値(60℃)に達している場合に、
エンジン停止時間が短いと判断する。
【0029】言い換えると、エンジン停止時間が短かけ
れば油圧アクチュエータ53の遅角油室50に十分な残
油量があると判断され、かつ、油温が高いことにより油
の粘度が低く、流通抵抗が小さいことにより、油圧供給
源61から遅角油室50に短時間で油が供給されると判
断することができる。従ってこの場合、前記所定時間を
短縮する(例えばゼロにする)ことにより、エンジン始
動後に直ちにコントロールバルブ70を作動させて、カ
ム位相進角制御を行うようにしている。
【0030】また図5に示すフローチャートにおいて、
油温が前記しきい値に達していない場合には、エンジン
停止から長時間経過していたと判断する。その場合、遅
角油室50の残油量が減少している可能性があるととも
に、油の粘度が高くなっていて流通抵抗が大きいと判断
される。従ってこの場合には、遅角油室50に油が充填
されるまでにある程度時間がかかると判断することによ
り、前記所定時間を長く設定し、エンジン始動後のカム
位相進角制御を一時中止するように構成されている。
【0031】なお、上記しきい値を用いる代りに、油温
と時間との関係を表すマップをコンピュータのメモリに
記憶しておき、このマップに基いて前記所定時間を設定
するように構成してもよい。その場合、エンジン停止後
の経過時間とベーン油室の残油量との関係を予め測定し
ておき、また、エンジン始動からベーン油室に油が満た
されるのに要する時間を予め求めてマップ化しておき、
始動時のエンジン温度が低いときほど前記所定時間を長
く設定するような制御を行ってもよい。このような制御
を行えば、ベーン油室に油が満たされた直後に進角制御
が行えるため、いかなる状況においても、その状況下
で、正確かつ一番早い制御を行うこととなる。
【0032】次に上記カム位相可変装置10の作用につ
いて説明する。エンジン回転中は、クランクシャフトの
回転に同期して動くタイミングベルトによりスプロケッ
ト11が回転する。また、油圧供給源61によって加圧
された油が分岐部65と潤滑油路64を経てエンジン潤
滑部63に供給され、エンジンの潤滑がなされる。
【0033】クランキング時やアイドリング時あるいは
エンジンが停止するときには、ベーン40が最遅角側に
位置するように制御手段90によってコントロールバル
ブ70が制御される。すなわち油圧供給源61から送ら
れる油がコントロールバルブ70を経て遅角油室50に
供給され、ベーン40が最遅角側に移動する。このと
き、ロックピン56は遅角油室50に導入された油圧に
よってピン嵌合穴57の方向に押されるため、図6およ
び図7に示すようにロックピン56がピン嵌合穴57に
嵌合し、ロック状態になる。
【0034】エンジンの始動時に、温度センサ91から
の電気的な出力とエンジン運転センサ92からの電気的
な出力が制御手段90に入力され、エンジン始動後の所
定時間内は、前記カム位相制御を中止し、かつ、温度セ
ンサ91によって検出されるエンジン温度の高さに応じ
て上記所定時間を短縮する。すなわち、エンジン温度が
高ければ速やかにカム位相制御に移行できるようにし、
エンジン温度が低い場合には所定時間だけカム位相制御
を中止する。カム位相制御を中止している間、ベーン4
0は主にロック機構55によって最遅角側に保持され、
クランクキングおよびエンジン始動後の回転が維持され
る。
【0035】前記実施形態では、チェックバルブ81の
下流側からコントロールバルブ70に至る間の供給油路
62に油が常に確保されているから、エンジンが長期間
停止することによって遅角油室50の残油量が減少して
も、エンジンを始動させたときにオイルポンプ等の油圧
供給源61が作動することにより、それまで供給油路6
2内に残留していた油(チェックバルブ81によって閉
じ込められていた空気の混入していない油)が速やかに
遅角油室50に充填されることになる。このため前記所
定時間(待ち時間)を可及的短く設定することが可能と
なる。
【0036】そしてエンジンの中低速域では、エンジン
運転センサ92の出力に基いて、図2に示すようにベー
ン40がエンジン回転数に応じて進角側に移動するよう
にコントロールバルブ70が制御される。この場合、油
圧供給源61から送られる油がコントロールバルブ70
を経て進角油室51に供給され、ベーン40が進角側に
移動する。このときロックピン56は、進角油室51に
導入された油圧によってピン嵌合穴57から抜ける方向
に付勢されている。
【0037】なお、この発明はベーン式以外のカム位相
可変装置、例えばヘリカル式カム位相可変装置などにも
適用することができる。またこの発明を実施するに当た
ってこの発明を構成する第1回転部材、第2回転部材、
油圧アクチュエータ、コントロールバルブ、エンジン温
度検出手段、エンジン運転状態検出手段をはじめとし
て、各構成要素をそれぞれ適宜に変形して実施できるこ
とは言うまでもない。
【0038】
【発明の効果】請求項1に記載した発明によれば、エン
ジンが長時間停止していてもエンジン始動後に油圧アク
チュエータ内に油が満たされたのちにカム位相制御に移
行するため、位相ばたつきが防止され、失火の発生が回
避される。また、短時間のエンジン停止後の再始動時に
はクランキングから加速に移行する際の迅速なカム位相
制御が可能となり、高出力が得られることにより加速性
能が向上する。また、油圧アクチュエータ内に空気が入
ったまま位相制御が行われてしまうことを回避できるた
め、ベーン等の油圧アクチュエータ構成要素の負担が軽
減し、始動回数が多くても耐久性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態を示すカム位相可変
装置の断面図。
【図2】 図1中のF2−F2線に沿うカム位相可変装
置の非ロック状態の断面図。
【図3】 図2中のF3−F3線に沿う上記カム位相可
変装置の一部の断面図。
【図4】 図2中のF4−F4線に沿う上記カム位相可
変装置の断面図。
【図5】 上記カム位相可変装置に使われる制御手段の
機能を示すフローチャート。
【図6】 図1中のF2−F2線に沿う上記カム位相可
変装置のロック状態の断面図。
【図7】 図6中のF7−F7線に沿う上記カム位相可
変装置の断面図。
【符号の説明】
10…ベーン式カム位相可変装置 11…スプロケット(第1回転部材) 12…ハウジング(第1回転部材) 21…ロータ(第2回転部材) 53…油圧アクチュエータ 70…コントロールバルブ 90…制御手段 91…温度センサ(エンジン温度検出手段) 92…エンジン運転センサ(エンジン運転状態検出手
段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横山 友 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動車 工業株式会社内 Fターム(参考) 3G016 AA06 AA19 BA22 BA38 CA13 CA21 CA24 CA33 CA36 CA40 CA48 CA51 CA52 CA59 DA04 DA06 DA22 GA00 GA07 3G092 AA11 AC03 DA09 DF04 DF09 DG05 EA10 EA14 EA17 FA05 FA06 FA11 FA13 GA01 HE01Z HE08Z HF08Z

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クランクシャフトと同期して回転する第1
    回転部材と、 上記第1回転部材に対し相対回転変位可能に設けられか
    つカムシャフトと同期回転する第2回転部材と、 上記第1回転部材と上記第2回転部材との相対回転角を
    調整可能に設けられた油圧アクチュエータと、 上記油圧アクチュエータへの油の供給を制御するコント
    ロールバルブと、 エンジンの温度を検出するエンジン温度検出手段と、 エンジンの運転状態を検出するエンジン運転状態検出手
    段と、 上記エンジン運転状態検出手段の出力に基いて上記コン
    トロールバルブの作動を制御してカム位相を可変制御す
    るとともに、エンジン始動後の所定時間内は上記エンジ
    ン運転状態検出手段の出力に基くカム位相可変制御を中
    止し、上記エンジン温度検出手段から検出されるエンジ
    ン温度の高さに応じて上記所定時間を短く設定するよう
    に構成された制御手段と、 を具備したことを特徴とするカム位相可変装置。
JP35287298A 1998-12-11 1998-12-11 ベーン式カム位相可変装置 Expired - Lifetime JP3799462B2 (ja)

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