JP2000178442A - ポリアミド組成物 - Google Patents

ポリアミド組成物

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JP2000178442A
JP2000178442A JP10360892A JP36089298A JP2000178442A JP 2000178442 A JP2000178442 A JP 2000178442A JP 10360892 A JP10360892 A JP 10360892A JP 36089298 A JP36089298 A JP 36089298A JP 2000178442 A JP2000178442 A JP 2000178442A
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acid
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Takeshi Utsunomiya
健 宇都宮
Katsunori Takamoto
克則 高本
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融滞留安定性に優れると共に、難燃性、耐
熱性、低吸水性などの性能にも優れたポリアミド組成物
およびそれからなる成形品を提供すること。 【解決手段】 テレフタル酸単位を60〜100モル%含有
するジカルボン酸単位(a)と、1,9-ノナンジアミン単位
および/または2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位を6
0〜100モル%含有するジアミン単位(b)とからなるポリ
アミド(A)100重量部に対して、330℃で10分間加熱した
時の臭素発生量が400ppm/g以下である臭素化ポリスチレ
ン(B)1〜100重量部を含有してなるポリアミド組成物;
および該ポリアミド組成物からなる成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融滞留安定性に
優れると共に、難燃性、耐熱性、低吸水性等にも優れる
ポリアミド組成物およびそれからなる成形品に関する。
本発明のポリアミド組成物およびそれからなる成形品
は、産業資材、工業材料、自動車用部品、家庭用品など
の、難燃性が要求される用途などに好適に使用すること
ができる。
【0002】
【従来の技術】ナイロン6、ナイロン66に代表される
脂肪族ポリアミドは、耐熱性、耐薬品性、剛性、耐磨耗
性、成形性などの優れた性質を持つために、エンジニア
リングプラスチックとして多くの用途に使用されてき
た。電気・電子分野では、UL−94規格に基づく高い
難燃性が要求されるので、種々の難燃剤による難燃化の
方法が多数提案され、実用化されている。しかしなが
ら、これらの脂肪族ポリアミドは吸水性が大きく、成形
品の寸法変化や物性低下などが問題となっていた。さら
に近年では、難燃化が必要とされる電気・電子分野で
は、部品の高密度実装、半田付け工程の効率化などの目
的で、表面実装方式(SMT)と呼ばれる方法が急速に
浸透してきており、それにともないこれまでのポリアミ
ド樹脂では耐熱性の面でも対応できなくなってきてい
る。
【0003】これに対し、最近では1,6−ヘキサンジ
アミンとテレフタル酸からなるポリアミドを主成分とし
た6T系ポリアミドと呼ばれる半芳香族ポリアミドが、
難燃性が必要な電気・電子分野に参入しており、6T系
ポリアミドを始めとする半芳香族ポリアミドの難燃化技
術が提案されている。しかしながら、テレフタル酸と
1,6−ヘキサンジアミンからなるポリアミドは、ポリ
マーの分解温度を超える370℃付近に融点があるた
め、溶融重合、溶融成形が困難であり、実用に耐えるも
のではない。そのため実際には、アジピン酸、イソフタ
ル酸などのジカルボン酸成分、あるいはナイロン6など
の脂肪族ポリアミドを30〜40モル%共重合すること
により、実使用可能温度領域、すなわち280〜320
℃程度にまで低融点化した組成で用いられているのが現
状である。このように多量の第3成分(場合によっては
第4成分)を共重合することは、確かにポリマーの低融
点化には有効なものの、一方では結晶化速度、到達結晶
化度の低下を伴い、その結果、高温下での剛性、耐薬品
性、寸法安定性などの諸物性が低下するばかりでなく、
成形サイクルの延長に伴う生産性の低下をも招く。ま
た、吸水による寸法安定性などの諸物性の変動に関して
も、芳香族基の導入により、従来の脂肪族ポリアミドに
比べれば多少改善されてはいるものの、実質的な問題解
決のレベルまでには達していない。
【0004】これらの問題を解決するものとして、1,
9−ノナンジアミンとテレフタル酸からなるポリアミド
を主成分とした芳香族ポリアミドに、特定の有機ハロゲ
ン化合物および特定の無機化合物を配合してなる難燃性
ポリアミド組成物が提案されている(特開平7−228
775号公報参照)。
【0005】その他、融点が280℃以上のポリアミド
樹脂(a)に、加熱時に発生する無機塩素量が10pp
m/g以下かつ無機臭素量が300ppm/g以下の臭
素化ポリスチレン(b)、酸化アンチモンおよび/また
はアンチモン酸ナトリウム(c)を配合してなる難燃性
ポリアミド樹脂組成物が提案されている(特開平8−2
08978号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平7−228775号公報に記載されている難燃性ポ
リアミド組成物は、難燃性、耐熱性、低吸水性等に優れ
るものの、実施例で具体的に使用されているような、加
熱時に臭素発生量が多い有機ハロゲン化合物を用いた場
合には、加熱時に発生する臭素により有機ハロゲン化合
物自身およびポリアミド樹脂が劣化するため、溶融成形
時の溶融滞留安定性が低下するのみならず、得られる成
形品が着色したり、物性が低下したり、さらには、分解
ガスの発生により金型が汚染されるという欠点がある。
【0007】また、上記特開平8−208978号公報
に記載されている難燃性ポリアミド樹脂組成物は、ガス
焼け等の発生が少なく、かつ耐金属腐食性に優れてはい
るものの、実施例で具体的に使用されているようなナイ
ロン46を用いた場合には、低吸水性に劣り、吸水時の
寸法変化が大きいという欠点がある。その他、使用でき
るポリアミド樹脂として、6T系のポリアミドが例示さ
れているが、これらのポリアミドを用いた場合にも同様
に、吸水時の寸法変化が大きいという欠点がある。
【0008】本発明の目的は、溶融滞留安定性に優れる
と共に、難燃性、耐熱性、低吸水性等にも優れるポリア
ミド組成物およびそれからなる成形品を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意研究した結果、ジアミン単位と
して1,9−ノナンジアミン単位および/または2−メ
チル−1,8−オクタンジアミン単位を特定の割合で含
有する半芳香族ポリアミドに、特定の臭素化ポリスチレ
ンを配合してなるポリアミド組成物が、溶融安定滞留
性、難燃性、耐熱性、低吸水性等に優れていることを見
出だして、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は、テレフタル酸単位を
60〜100モル%含有するジカルボン酸単位(a)
と、1,9−ノナンジアミン単位および/または2−メ
チル−1,8−オクタンジアミン単位を60〜100モ
ル%含有するジアミン単位(b)とからなるポリアミド
(A)100重量部に対して、330℃で10分間加熱
した時の臭素発生量が400ppm/g以下である臭素
化ポリスチレン(B)1〜100重量部を含有してなるポ
リアミド組成物に関する。さらに、本発明は該ポリアミ
ド組成物からなる成形品に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明を具体的に説明す
る。本発明に用いられるポリアミド(A)を構成するジ
カルボン酸単位(a)としては、テレフタル酸単位を6
0〜100モル%含有していることが必要であり、75
〜100モル%含有していることが好ましく、90〜1
00モル%含有していることがより好ましい。テレフタ
ル酸単位の含有率が60モル%未満の場合には、得られ
るポリアミド組成物の耐熱性が低下するため好ましくな
い。
【0012】テレフタル酸単位以外の他のジカルボン酸
単位としては、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク
酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、
トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチル
グルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン
酸、セバシン酸、スベリン酸などの脂肪族ジカルボン
酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シ
クロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;
イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,
7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカ
ルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3
−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、ジ安息香
酸、4,4−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−
4,4−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4−
ジカルボン酸、4,4−ビフェニルジカルボン酸などの
芳香族ジカルボン酸から誘導される単位を挙げることが
でき、これらのうち1種または2種以上を含ませること
ができる。これらのなかでも芳香族ジカルボン酸から誘
導される単位を含ませることが好ましい。さらに、トリ
メリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの多価
カルボン酸から誘導される単位を、溶融成形が可能な範
囲内で含ませることもできる。
【0013】本発明に用いられるポリアミド(A)を構
成するジアミン単位としては、1,9−ノナンジアミン
単位および/または2−メチル−1,8−オクタンジア
ミン単位を60〜100モル%含有している必要があ
り、75〜100モル%含有しているのが好ましく、9
0〜100モル%含有しているのがより好ましい。1,
9−ノナンジアミン単位および2−メチル−1,8−オ
クタンジアミン単位を併用する場合には、1,9−ノナ
ンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミ
ン単位のモル比は、99:1〜20:80であるのが好
ましく、99:1〜60:40であるのがより好まし
く、99:1〜80:20であるのがさらに好ましい。
1,9−ノナンジアミン単位および/または2−メチル
−1,8−オクタンジアミン単位を上記の割合で含有す
るポリアミドを用いると、耐熱性に優れたポリアミド組
成物が得られる。
【0014】1,9−ノナンジアミン単位および2−メ
チル−1,8−オクタンジアミン単位以外の他のジアミ
ン単位としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミ
ン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミ
ン、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジア
ミン、1,12−ドデカンジアミン、3−メチル−1,
5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,
6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,
6−ヘキサンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジ
アミンなどの脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミ
ン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミ
ンなどの脂環式ジアミン;p−フェニレンジアミン、m
−フェニレンジアミン、キシレンジアミン、4,4−ジ
アミノジフェニルメタン、4,4−ジアミノジフェニル
スルホン、4,4−ジアミノジフェニルエーテルなどの
芳香族ジアミンから誘導される単位を挙げることがで
き、これらのうち1種または2種以上を含ませることが
できる。
【0015】本発明に用いられるポリアミド(A)は、
好ましくはその分子鎖の末端基の10%以上が、より好
ましくは40%以上が、さらに好ましくは70%以上が
末端封止剤により封止されている。末端封止率が10%
以上のポリアミドを用いると、溶融安定性、耐熱水性な
どの物性がより優れたポリアミド組成物が得られるので
好ましい。
【0016】ポリアミドの末端封止率を求めるにあたっ
ては、ポリアミドに存在しているカルボキシル基末端、
アミノ基末端および末端封止剤によって封止された末端
の数をそれぞれ測定し、下記の式(1)により末端の封
止率を求めることができる。各末端基の数は、1H−N
MRにより、各末端基に対応する特性シグナルの積分値
より求めるのが精度、簡便さの点で好ましい。
【0017】 末端封止率(%)=[(A−B)÷A]×100 (1) 〔式中、Aは分子鎖末端基総数(これは通常、ポリアミ
ド分子の数の2倍に等しい)を表し、Bはカルボキシル
基末端およびアミノ基末端の合計数を表す。〕
【0018】末端封止剤としては、ポリアミド末端のア
ミノ基またはカルボキシル基と反応性を有する単官能性
の化合物であれば特に制限はないが、反応性および封止
末端の安定性などの点から、モノカルボン酸またはモノ
アミンが好ましく、取扱いの容易さなどの点から、モノ
カルボン酸がより好ましい。その他、無水フタル酸など
の酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化
物、モノエステル類、モノアルコール類なども使用でき
る。
【0019】末端封止剤として使用されるモノカルボン
酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば
特に制限はないが、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪
酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ト
リデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン
酸、ピバリン酸、イソブチル酸などの脂肪族モノカルボ
ン酸;シクロヘキサンカルボン酸などの脂環式モノカル
ボン酸;安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボ
ン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカ
ルボン酸、フェニル酢酸などの芳香族モノカルボン酸、
あるいはこれらの任意の混合物を挙げることができる。
これらのなかでも、反応性、封止末端の安定性、価格な
どの点から、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプ
ロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリ
スチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸が特
に好ましい。
【0020】末端封止剤として使用されるモノアミンと
しては、カルボキシル基との反応性を有するものであれ
ば特に制限はないが、例えば、メチルアミン、エチルア
ミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミ
ン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミ
ン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミ
ン、ジブチルアミンなどの脂肪族モノアミン;シクロヘ
キシルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどの脂環式モ
ノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、
ナフチルアミンなどの芳香族モノアミン、あるいはこれ
らの任意の混合物を挙げることができる。これらのなか
でも、反応性、沸点、封止末端の安定性および価格など
の点から、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルア
ミン、デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシ
ルアミン、アニリンが特に好ましい。
【0021】本発明に用いられるポリアミド(A)は、
結晶性ポリアミドを製造する方法として知られている任
意の方法を用いて製造することができる。例えば、酸ク
ロライドとジアミンを原料とする溶液重合法あるいは界
面重合法、ジカルボン酸とジアミンを原料とする溶融重
合法、固相重合法、溶融押出機重合法などの方法により
重合可能である。
【0022】ポリアミド(A)の製造方法としては、例
えば、最初にジアミンおよびジカルボン酸、触媒および
必要に応じて末端封止剤を一括して添加し、ナイロン塩
を製造した後、いったん200〜250℃の温度におい
て加熱重合して濃硫酸中30℃における極限粘度〔η〕
が0.1〜0.6dl/gのプレポリマーとし、さらに
固相重合するか、あるいは溶融押出機を用いて重合を行
うことによりポリアミドを製造する方法を挙げることが
できる。プレポリマーの極限粘度〔η〕が0.1〜0.
6dl/gの範囲内であると、後重合の段階においてカ
ルボキシル基とアミノ基のモルバランスのずれや重合速
度の低下が少なく、さらに分子量分布の小さな、各種物
性や成形性に優れたポリアミドが得られる。重合の最終
段階を固相重合により行う場合、減圧下または不活性ガ
ス流通下に行うのが好ましく、重合温度が200〜28
0℃の範囲内であれば、重合速度が大きく、生産性に優
れ、着色やゲル化を有効に押さえることができるので好
ましい。重合の最終段階を溶融押出機により行う場合、
重合温度が370℃以下であるとポリアミドの分解がほ
とんどなく、劣化の無いポリアミドが得られるので好ま
しい。
【0023】ポリアミド(A)を製造するに際して、前
記の末端封止剤の他に、例えば、触媒として、リン酸、
亜リン酸、次亜リン酸またはその塩またはそのエステ
ル、具体的にはカリウム、ナトリウム、マグネシウム、
バナジウム、カルシウム、亜鉛、コバルト、マンガン、
錫、タングステン、ゲルマニウム、チタン、アンチモン
などの金属塩やアンモニウム塩、エチルエステル、イソ
プロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステ
ル、イソデシルエステル、オクタデシルエステル、デシ
ルエステル、ステアリルエステル、フェニルエステルな
どを添加することができる。
【0024】本発明に用いられるポリアミド(A)の濃
硫酸中30℃で測定した極限粘度〔η〕は、好ましくは
0.4〜3.0dl/gであり、より好ましくは0.6
〜2.0dl/g、さらに好ましくは0.8〜1.8d
l/gである。上記の範囲内の極限粘度〔η〕を有する
ポリアミドを用いると、力学的特性、溶融成形性などが
より優れたポリアミド組成物が得られるので好ましい。
【0025】本発明に用いられる臭素化ポリスチレン
(B)としては、330℃で10分間加熱した時の臭素
発生量が400ppm/g以下のものを用いる必要があ
る。330℃で10分間加熱した時の臭素発生量とは、
臭素化ポリスチレン1.0gを、アルゴンガス気流下、
330℃で10分間加熱し、発生したガスの中の臭素分
を過酸化水素水溶液でトラップし、イオンクロマトグラ
フィーで定量したものである。上記の臭素発生量が40
0ppm/gより多い臭素化ポリスチレンを用いると、
得られるポリアミド組成物の溶融滞留安定性が低下する
のみならず、得られる成形品が着色したり、物性が低下
したり、さらには、分解ガスの発生により金型が汚染さ
れるという問題を生じる。また、臭素化ポリスチレンと
して、臭素元素含有量が15〜87%のものを使用する
のが好ましく、50〜80%のものを使用するのがより
好ましい。
【0026】本発明に用いられる臭素化ポリスチレン
(B)としては、例えば、フェロ・ジャパン株式会社製
「パイロチェック68PBi」、グレートレイクスケミ
カル製「GLC PDBS−80」などを挙げることが
できる。
【0027】臭素化ポリスチレン(B)の含有量は、ポ
リアミド(A)100重量部に対して、1〜100重量
部であり、好ましくは30〜80重量部である。臭素化
ポリスチレンを上記の範囲内で用いると、難燃性に優れ
ているのみならず、各種機械的特性、熱的特性に優れた
ポリアミド組成物が得られる。
【0028】本発明のポリアミド組成物は、必要に応じ
て、さらに下記の難燃助剤(C)および/または下記の
補強剤(D)を含有させることができる。
【0029】難燃助剤(C)としては、例えば、三酸化
アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウ
ム、酸化ナトリウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化鉄、水酸
化マグネシウム、水酸化カルシウム、硼酸亜鉛、カオリ
ンクレー、炭酸カルシウムなどを挙げることができ、こ
れらのうち1種または2種以上を用いることができる。
これらの難燃助剤(C)はシランカップラーやチタンカ
ップラーなどで処理されていても良い。これらのなかで
も、五酸化アンチモンと酸化ナトリウムの混合物を用い
るのが好ましい。これらの難燃助剤(C)の含有量は、
ポリアミド(A)100重量部に対して、0.1〜50
重量部であるのが好ましく、1〜30重量部であるのが
より好ましい。これらの難燃助剤を含有させることによ
り、少量の難燃剤で難燃性に優れたポリアミド組成物が
得られるので好ましい。
【0030】補強剤(D)としては、例えば、ガラス繊
維、炭素繊維、ホウ素繊維、アラミド繊維、液晶ポリエ
ステル繊維などの繊維状補強剤;シリカ、シリカアルミ
ナ、アルミナ、タルク、グラファイト、二酸化チタン、
二硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレンなどの
粉末状補強剤などを挙げることができ、これらのうち1
種または2種以上を用いることができる。これらのなか
でも補強効果と成形性のバランスの観点から、ガラス繊
維を用いるのが好ましい。これらの補強剤(D)を、ポ
リアミド(A)100重量部に対して、0.5〜300
重量部含有させると、力学物性と成形性のバランスが取
れ好ましい。
【0031】本発明のポリアミド組成物には、必要に応
じて、さらにリン化合物を含有させることができる。リ
ン化合物の具体的な例としては、リン酸エステル、含ハ
ロゲンリン酸エステル、縮合リン酸エステル、ポリリン
酸塩、赤リンなどを挙げることができ、これらのうち1
種または2種以上を用いることができる。これらのリン
化合物の含有量は、ポリアミド(A)100重量部に対
して、0.1〜30重量部であるのが好ましく、0.5
〜20重量部であるのがより好ましい。これらのリン化
合物を配合することにより、得られるポリアミド組成物
の難燃性がさらに向上し、熱着色が防止されるなどの効
果が得られるので好ましい。
【0032】本発明のポリアミド組成物には、必要に応
じて、さらにヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒン
ダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオ系
酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、帯電
防止剤、可塑剤、離型剤、滑剤、結晶核剤あるいは他種
ポリマーなども配合することができる。
【0033】上記の各種添加剤をポリアミドに配合する
方法としては、例えば、ポリアミドの重縮合反応時に添
加する方法、ドライブレンドする方法、押出機を用いて
溶融混練する方法などが挙げられるが、これらのなかで
も操作の容易さから、通常は押出機を用いて溶融混練す
る方法が有利である。この際に用いられる押出機は2軸
スクリューのものが好ましく、溶融混練温度は280〜
340℃が好ましい。
【0034】本発明のポリアミド組成物は溶融滞留安定
性に優れるばかりではなく、難燃性、耐熱性、低吸水性
などの性能にも優れているので、特に、電気・電子部品
などの難燃性が要求される用途などの製造原料として好
適に使用することができる。
【0035】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではな
い。なお、実施例中の末端封止率、極限粘度、燃焼性、
臭素化ポリスチレンの臭素発生量、溶融滞留時の粘度保
持率、溶融滞留後の成形品着色と物性、飽和吸水率、飽
和吸水時の寸法変化率および金型汚染性については以下
の方法により測定した。
【0036】末端封止率:1H−NMR(500MH
z,重水素化トリフルオロ酢酸中、50℃で測定)を用
い、各末端基ごとの特性シグナルの積分値よりカルボキ
シル基末端、アミノ基末端および封止末端の数をそれぞ
れ測定し、前記の式(1)から末端封止率を求めた。
【0037】極限粘度〔η〕:ポリアミドを濃硫酸に溶
かして、濃度が0.05g/dl、0.1g/dl、
0.2g/dlおよび0.4g/dlの試料溶液をそれ
ぞれ調製し、各試料溶液の30℃における流下時間
(秒)を測定して、下記の式(2)より各試料溶液の固
有粘度を算出し、それを濃度0に外挿した値を極限粘度
〔η〕(dl/g)とした。
【0038】 ηinh (dl/g)=[ln(t1/t0)]/c (2) 〔式中、ηinhは各試料溶液の固有粘度(dl/g)
を、t0は溶媒の流下時間(秒)を、t1は試料溶液の流
下時間(秒)を、cは溶液中の試料の濃度(g/dl)
を表す。〕
【0039】燃焼性:以下に示すUL−94規格の規定
に準じて行った。厚さ0.8mmの射出成形品の上端を
クランプで止めて試験片を垂直に固定し、下端に所定の
炎を10秒間当てて離し、試験片の燃焼時間(1回目)
を測定する。消火したら直ちに再び下端に炎を当てて離
し、試験片の燃焼時間(2回目)を測定する。5片につ
いて同じ測定を繰り返し、1回目の燃焼時間のデータ5
個と、2回目の燃焼時間のデータ5個の、計10個のデ
ータを得る。10個のデータの合計をT、10個のデー
タのうち最大値をMとする。Tが50秒以下、Mが10
秒以下でクランプまで燃え上がらず、炎のついた溶融物
が落ちて12インチ下の木綿に着火するようなことがな
ければ「V−0」、Tが250秒以下、Mが30秒以下
でその他はV−0と同様の条件を満たせば「V−1」と
なる。
【0040】臭素化ポリスチレンの臭素発生量:臭素化
ポリスチレン1.0gをアルゴンガス気流下、330℃
で10分間加熱し、発生したガスの中の臭素分を過酸化
水素水溶液でトラップし、イオンクロマトグラフィー
(横河電機社製IC500)で定量した。
【0041】溶融滞留時の粘度保持率:330℃で5分
間溶融滞留させた後の、せん断速度1000sec-1
測定した溶融粘度を100%とし、330℃で20分間
滞留させた後の溶融粘度の保持率を測定した。なお溶融
粘度は東洋精機製作所製キャピログラフ1Cで測定し
た。
【0042】溶融滞留後の成形品着色と物性:射出成形
機(東芝機械製IS−80)を用い、金型温度140℃
で通常の方法で成形したJIS1号ダンベルと、樹脂組
成物を溶融状態で15分間滞留させた後に成形した同成
形品の着色を目視で比較した。さらにその成形品の引張
強さをオートグラフ(島津製作所製AG−5000)を
用い、チャック間距離115mm、引張速度5mm/分
で測定した。
【0043】飽和吸水率、飽和吸水時の寸法変化率:射
出成形機(東芝機械性IS−80)を用い、金型温度1
40℃の通常の条件で射出成形した40mm×100m
m×1mmの平板成形品を、80℃、90%RHの条件
下に放置した時の飽和吸水率を下記の式(3)より、ま
た飽和吸水時の寸法変化率を下記の式(4)より求め
た。
【0044】 飽和吸水率(%)=〔(W1−W0)/W0〕×100 (3) 〔式中、W0は成形直後の重量を、W1は飽和吸水時の重
量を表す。〕
【0045】 飽和吸水時の寸法変化率(%)=〔(L1−L0)/L0〕×100 (4) 〔式中、L0は成形直後の寸法を、L1は飽和吸水時の寸
法を表す。〕
【0046】金型汚染性:東芝機械製IS−80型射出
成形機を用い、シリンダ温度330℃、金型温度140
℃の条件で、40mm×200mm×1.6mmの平板
金型中でショートショット成形を1000ショット行っ
た後の金型表面を目視で観察した。
【0047】実施例1 テレフタル酸単位と1,9−ノナンジアミン単位とから
なる、極限粘度〔η〕1.00dl/g、融点317
℃、末端封止率90%のポリアミド(以下「PA9T」
と略称する)を減圧下120℃で24時間乾燥し、ガラ
ス繊維(日東紡績株式会社製「CS3J-256S」)、臭素化
ポリスチレン(フェロ・ジャパン株式会社製「パイロチ
ェック68PBi」、臭素発生量358ppm)および
酸化ナトリウムと五酸化アンチモンとの混合物(日産化
学工業株式会社製「サンエポックNA−1070L」)
を下記の表1に示す割合でドライブレンドした。これ
を、2軸押出機(スクリュー径30mm、L/D=2
8、シリンダー温度=310〜330℃、回転数=15
0rpm)を用いて溶融混練することによりポリアミド
組成物を得た。得られたポリアミド組成物について、上
記の方法で評価した結果を下記の表2に示す。なお、射
出成形時のシリンダー温度は330℃で行った。
【0048】実施例2 実施例1において用いたポリアミドをテレフタル酸単位
と、1,9−ノナンジアミン単位および2−メチル−
1,8オクタンジアミン単位(1,9−ノナンジアミン
単位:2−メチル−1,8オクタンジアミン単位のモル
比が85:15)とからなる、極限粘度〔η〕1.00
dl/g、融点308℃、末端封止率90%のポリアミ
ド(以下「PA9MT」と略称する)に変更した以外は
実施例1と同様の方法でポリアミド組成物を得た。得ら
れたポリアミド組成物について、上記の方法で評価した
結果を下記の表2に示す。なお射出成形時のシリンダー
温度は330℃で行った。
【0049】実施例3 実施例2において、臭素化ポリスチレン(フェロ・ジャ
パン株式会社製「パイロチェック68PBi」、臭素発
生量358ppm)を、他の臭素化ポリスチレン(グレ
ートレイクスケミカル製「GLC PDBS−80」、
臭素発生量322ppm)に変更した以外は実施例1と
同様の方法でポリアミド組成物を得た。得られたポリア
ミド組成物について、上記の方法で評価した結果を下記
の表2に示す。なお、射出成形時のシリンダー温度は3
30℃で行った。
【0050】比較例1 実施例2において、臭素化ポリスチレン(フェロ・ジャ
パン株式会社製「パイロチェック68PBi」、臭素発
生量358ppm)を、他の臭素化ポリスチレン(フェ
ロ・ジャパン株式会社製「パイロチェック68PB」、
臭素発生量826ppm)に変更した以外は実施例1と
同様の方法でポリアミド組成物を得た。得られたポリア
ミド組成物について、上記の方法で評価した結果を下記
の表2に示す。なお、射出成形時のシリンダー温度は3
30℃で行った。
【0051】比較例2 実施例3において、用いたポリアミドをアジピン酸単位
と1.4−ブタンジアミン単位とからなる極限粘度1.
42、融点291℃のポリアミド(以下「PA46」と
略称する)に変更した以外は、実施例3と同様の方法で
ポリアミド組成物を得た。得られたポリアミド組成物に
ついて、上記の方法で評価した結果を下記の表2に示
す。なお、射出成形時のシリンダー温度は310℃で行
った。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【発明の効果】本発明のポリアミド組成物は、溶融滞留
安定性に優れると共に、難燃性、耐熱性、低吸水性など
の諸性能にも優れ、難燃性が要求される用途などに好適
に使用することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 7/02 C08K 7/02 C08L 25/04 C08L 25/04 Fターム(参考) 4J002 BC112 BD153 CF003 CL031 CL063 DA017 DA027 DE056 DE076 DE086 DE096 DE106 DE116 DE126 DE137 DE186 DE236 DG027 DJ007 DJ017 DJ036 DJ047 DK006 DK007 DL007 FA043 FA047 FB096 FB166 FD013 FD017 FD130 FD132 FD136 GC00 GM00 GN00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テレフタル酸単位を60〜100モル%
    含有するジカルボン酸単位(a)と、1,9−ノナンジ
    アミン単位および/または2−メチル−1,8−オクタ
    ンジアミン単位を60〜100モル%含有するジアミン
    単位(b)とからなるポリアミド(A)100重量部に
    対して、330℃で10分間加熱した時の臭素発生量が
    400ppm/g以下である臭素化ポリスチレン(B)1
    〜100重量部を含有してなるポリアミド組成物。
  2. 【請求項2】 ポリアミド(A)の濃硫酸中30℃で測
    定した極限粘度〔η〕が0.4〜3.0dl/gである
    請求項1記載のポリアミド組成物。
  3. 【請求項3】 ポリアミド(A)100重量部に対し
    て、さらに難燃助剤(C)0.1〜50重量部および/
    または補強剤(D)0.5〜300重量部を含有してな
    る請求項1または2記載のポリアミド組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項記載のポリ
    アミド組成物からなる成形品。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002020618A (ja) * 2000-07-06 2002-01-23 Dsmjsr Engineering Plastics Kk 熱可塑性樹脂組成物
JP2005521767A (ja) * 2002-03-28 2005-07-21 イメリーズ ミネラルズ リミテッド 粒状粘土鉱物を含む難燃性ポリマー組成物

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