JP2000178047A - 強度が維持された粒状生石灰の製造方法 - Google Patents

強度が維持された粒状生石灰の製造方法

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JP2000178047A
JP2000178047A JP10359158A JP35915898A JP2000178047A JP 2000178047 A JP2000178047 A JP 2000178047A JP 10359158 A JP10359158 A JP 10359158A JP 35915898 A JP35915898 A JP 35915898A JP 2000178047 A JP2000178047 A JP 2000178047A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 石灰石粉末や石灰石を水洗した際に発生する
湿潤石灰石粉から十分な強度を有する粒状生石灰を製造
すること。 【解決手段】 採掘した石灰石を破砕した際に発生する
石灰石粉末と破砕した石灰石を水洗した際に発生する湿
潤石灰石粉を混合機10へ装入して混合した後、造粒機
11へ送って粒状化する。次いで、この粒状物を被覆機
12へ送り、酸化鉄粉末を添加して被覆した後、焼成炉
13へ装入して焼成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は生石灰の製造過程で
発生する石灰石の粉末や石灰石粉末を含む高含水物(以
下、湿潤石灰石粉と言う)から強度が維持された粒状の
生石灰を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】生石灰の製造設備においては、採掘した
石灰石を、破砕する工程、破砕した石灰石を篩い分ける
工程、篩い分けられた石灰石を水洗する工程などで処理
した後、焼成炉へ装入して焼成する操作が行われる。焼
成炉から排出された生石灰はさらに篩い分けられ、塊と
粉末とに分けられる。このため、生石灰の製造過程で
は、各種の粉末が発生する。
【0003】石灰石の篩い分け工程においては、破砕し
た際に生成した粉末が篩い分けられて取り除かれ、これ
が回収される。又、水洗する工程においては、水洗排水
を濾過処理した際に微粉末の石灰石を主とする固形分を
含む濾滓(湿潤石灰石粉)が排出され、これが回収され
る。又、焼成炉から排出された生石灰を篩い分けた際に
も、その粉末が回収される。
【0004】上記のような石灰石や生石灰の粉末は何れ
もその用途がごく一部に限られている。粉末の生石灰の
用途は肥料用や中和処理用などにとどまっており、石灰
石粉末は飼料や道路舗装用のフィラー用以外の利用先は
少ない。又、湿潤石灰石粉はその固形分が主として石灰
石の微粉末ではあるが、多量の水分を含有するものであ
り、これを石灰源として利用するにしても、廃棄するに
しても、何れの場合においても、ハンドリング可能な状
態にするための乾燥処理を施さなければならない。この
ため、湿潤石灰石粉の処理には多額の費用を要する。
【0005】このように、石灰石、生石灰などの粉末や
湿潤石灰石粉については十分な有効活用がなされておら
ず、特に、湿潤石灰石粉については、乾燥処理をしなけ
ればならない上に、ごく限られた利用先へしか供給する
ことができず、残りは廃棄物として処分しなければなら
ない。
【0006】このため、従来から、上記のような石灰類
の粉末や湿潤石灰石粉を有効に活用することができるも
のに加工するための技術開発が行われており、幾つかの
提案がなされている。例えば、特開昭53−62716
号公報においては、石灰石粉末に水洗工程で回収された
湿潤石灰ケーキ(湿潤石灰石粉)を混合して造粒する
か、又は、石灰石粉末に湿潤石灰ケーキと生石灰粉末を
混合して造粒することにより、製鉄所において鉄鉱石粉
末を焼結させる際の副原料として使用できるものを得る
ことができる方法が示されている。
【0007】又、特開昭53−137897号公報にお
いては、水洗工程で回収された石灰ケーキ(湿潤石灰石
粉)に生石灰粉末を混合し、これを加圧成型して造粒し
た後、焼成して粒状の生石灰を製造する方法が示されて
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術
によって得られる製品は活用の度合いが高い用途に向け
られるものではなく、上記従来技術についてはさらなる
技術開発や技術改良をすべき余地がある。すなわち、特
開昭53−62716号公報には石灰類の粉末や湿潤石
灰石粉を造粒する方法が記載されているだけであって、
その造粒物からより活用度合いが高い生石灰を製造する
ための方法は示されていない。
【0009】又、特開昭53−137897号公報には
粒状の生石灰を製造する方法が示されているが、この方
法によって得られる粒状生石灰は粒子の強度が十分では
ない。この技術において、焼成前の造粒物は加圧成型し
たものであるので、ハンドリング上で問題が生じない程
度の強度を有しているが、これを焼成すると、炭酸ガス
を放出して強度が低下するので、得られる生石灰粒子は
非常に崩壊しやすいものになってしまう。このため、こ
の生石灰はより有用な用途に供することはできない。
【0010】本発明は、上記従来技術の問題点を解決
し、石灰石粉末や石灰石を水洗した際に発生する湿潤石
灰石粉から十分な強度を有する粒状生石灰を製造するこ
とができる方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、第一の発明においては、採掘した石灰石を破砕し
た際に発生する石灰石粉末と破砕した石灰石を水洗した
際に発生する湿潤石灰石粉と酸化鉄粉末よりなる粒状物
を形成し、この粒状物を焼成して強度が維持された粒状
生石灰を製造する。
【0012】第二の発明においては、採掘した石灰石を
破砕した際に発生する石灰石粉末と破砕した石灰石を水
洗した際に発生する湿潤石灰石粉とのうち1種以上と、
生石灰と酸化鉄粉末よりなる粒状物を形成し、この粒状
物を焼成して強度が維持された粒状生石灰を製造する。
【0013】第三の発明においては、上記第一または第
二の発明において、酸化鉄粉末を、粒状物を形成した後
にこの粒状物の表面に付着させ、次いで粒状物を焼成し
て強度が維持された粒状生石灰を製造する。
【0014】本発明においては、石灰石粉末や湿潤石灰
石粉から強度が維持された粒状の生石灰を製造する際
に、添加物質として生石灰粉末と酸化鉄粉末を使用す
る。なお、本発明において、石灰石粉末とは粒子径が1
mm以下程度のものを指し、又、生石灰粉末とは粒子径
が0.1mm以下程度のものを指すものとする。
【0015】まず、石灰石粉末と湿潤石灰石粉又は石灰
石粉末を原料として、焼成炉へ装入する前の粒状物を造
る場合、必要に応じて生石灰粉末を混合して造粒する。
この粒状物の製造に際し、生石灰粉末は二通りの目的で
使用される。石灰石粉末から粒状物を造るときには、石
灰石粉末に生石灰を混合し、水を加えて造粒する。この
際、生石灰が水と反応して水酸化カルシウムになるの
で、生成した水酸化カルシウムがバインダーの役目をな
し、ハンドリング上で支障が生じない程度の強度を有す
る粒子ができる。
【0016】又、石灰石粉末と湿潤石灰石粉或いは湿潤
石灰石粉から粒状物を造る場合には、生石灰を混合し、
必要に応じ水を加えて造粒する。なお、湿潤石灰石粉は
その状態が粘土状であり、それ自体でも粒状化が可能で
あるが、十分な強度を有する粒状物を得ようとする場合
には、バインダーの添加を必要とする。この際、生石灰
を添加すると、上記と同様に生石灰が水と反応し、生成
した水酸化カルシウムがバインダーの役目をなし、所要
の強度を有する粒子ができる。又、生石灰が湿潤石灰石
粉の水分を吸収し、さらに反応熱による温度上昇が起こ
るので、生石灰が湿潤石灰石粉を脱水する役目をする。
このため、原料を湿潤状態にして造粒しても、得られた
粒状物の水分は低くなるので、通常の場合、乾燥する必
要はない。
【0017】上記のようにして得られた粒状物をそのま
ま焼成して生石灰にすると、前述のように、生石灰粒子
の強度が極度に低下しまうので、本発明においては、そ
の粒状物の強度が低下しないようにする方策が講じられ
ている。このために、焼成前の粒状物を造る際に、酸化
鉄粉末を添加する。
【0018】石灰石粉末、湿潤石灰石粉、生石灰などの
石灰類に酸化鉄粉末を添加した粒状物を加熱していく
と、850℃を超える時点から石灰石の脱炭酸反応が始
まって生石灰が生成するが、同時に、この温度以上の領
域では石灰粒子と酸化鉄粒子の界面で両者の反応が起こ
り、両者が固着する。このため、石灰の粒子が鉄の粒子
によって架橋された状態になり、強度が高い生石灰の粒
状物が生成する。
【0019】酸化鉄粉末を添加した粒状物を造る場合、
次の二通りの方法を採用することができる。第一の方法
によれば、最初に、石灰石粉末などの石灰類だけで粒状
物を造り、この粒状物に酸化鉄粉末を添加してその表面
に付着させる。又、第二の方法によれば、石灰石粉末な
どの石灰類と一緒に酸化鉄粉末を混合して粒状物にす
る。
【0020】なお、酸化鉄粉末を添加して生石灰を製造
すると、鉄分が不純物として混入することになるが、こ
れを製鉄所の製鋼工程で装入する生石灰源などの用途に
供すれば、問題なく使用することができ、大量の需要が
見込まれる。
【0021】得られる粒状生石灰の強度をより大きくし
ようとする場合には、酸化鉄粉末の添加量を増加する
か、或いは焼成前の粒状物を造る際に、加圧成型してブ
リケット或いはタブレットにする。
【0022】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の形態に係る
第1の例を示す概略のフロー図である。10はパドル型
ミキサーなどの混合機、11は造粒機、12は被覆装
置、13は焼成炉を示す。
【0023】この図に基づいて、本発明により石灰石粉
末と湿潤石灰石粉を主原料として強度が維持された粒状
生石灰を製造する方法の説明をする。原料全体の水分が
適度になる量の石灰石粉末を加え、これを混合機10へ
装入して混合すると共に、粘土状の湿潤石灰石粉を解き
ほぐす処理を行う。ここから排出される混合物を造粒機
11へ装入して粒状化する。
【0024】次いで、この粒状物を篩分けして所定粒度
のものだけを被覆機12へ送り、酸化鉄粉末を添加す
る。このとき、造粒機11から送られてきた粒状物は湿
潤状態であるので、酸化鉄粉末は粒子の表面に付着す
る。そして、この粒状物を焼成炉13へ装入して焼成
し、強度が維持された粒状生石灰を得る。なお、被覆機
12から排出された粒状物が所定値よりも高い水分を有
するものである場合、或る期間、製造ライン外の場所に
貯留した後、焼成する。
【0025】図2は本発明の実施の形態に係る第2の例
を示す概略のフロー図である。この図に基づいて、本発
明により石灰石粉末と湿潤石灰石粉を主原料として強度
が維持された粒状生石灰を製造する方法の説明をする。
図2において、図1と同じ箇所については同一の符号を
付し説明を省略する。
【0026】この実施の形態においては、混合機10か
ら造粒機11へ装入された石灰石粉末と湿潤石灰石粉の
混合物に生石灰粉末を添加しながら粒状化を行う。この
際、上述のように、生石灰が水と反応して水酸化カルシ
ウムとなり、これがバインダーの役目をして粒状化され
た混合物を固めるので、ハンドリング上で支障が生じな
い程度の強度を有する粒状物になる。
【0027】図3は本発明の実施の形態に係る第3の例
を示す概略のフロー図である。この図に基づいて、本発
明により湿潤石灰石粉を主原料として強度が維持された
粒状生石灰を製造する方法の説明をする。図3におい
て、図1及び図2で説明済みの箇所については同一の符
号を付し説明を省略する。
【0028】この実施の形態においては、主原料が湿潤
石灰石粉であるが、湿潤石灰石粉は多量の水分を含む粘
土状物のものであり、そのまま粒状化することができな
いので、混合機10へ湿潤石灰石粉と共に生石灰粉末を
装入して混合して、混合物の水分が適度になるようにす
る。そして、ほぐれる状態になるまで生石灰粉末が混合
されたものが造粒機11へ装入される。造粒機11で
は、水分含有量が所定値まで低下するように、さらに生
石灰粉末を添加して造粒する。
【0029】図4は本発明の実施の形態に係る第4の例
を示す概略のフロー図である。この図に基づいて、本発
明により石灰石粉末を主原料として強度が維持された粒
状生石灰を製造する方法の説明をする。図4において、
図1及び図2で説明済みの箇所については同一の符号を
付し説明を省略する。この実施の形態においては、主原
料が石灰石粉末だけであるので、造粒前の混合工程はな
い。造粒機11へ所定量の石灰石粉末を装入し、同時に
生石灰粉末を装入しながら水を噴霧して造粒する。
【0030】図5は本発明の実施の形態に係る第5の例
を示す概略のフロー図である。この図に基づいて、本発
明により石灰石粉末と湿潤石灰石粉を主原料として強度
が維持された粒状生石灰を製造する方法の説明をする。
図5において、図1及び図2で説明済みの箇所について
は同一の符号を付し説明を省略する。この実施の形態に
おいては、粒状化する前に、石灰石粉末や湿潤石灰石粉
などの主原料と酸化鉄粉末を混合する。このため、酸化
鉄粉末を被覆する工程はない。所定量の石灰石粉末、湿
潤石灰石粉、酸化鉄粉末をそれぞれ混合機10へ装入し
て混合する。排出される混合物を造粒機11へ装入し、
生石灰粉末を添加しながら粒状化する。次いで、この粒
状物を焼成炉13へ装入て焼成し、強度が維持された粒
状生石灰を得る。
【0031】
【実施例】図1〜図5で説明した方法により、表1に示
す性状の原料から強度が維持された粒状生石灰を製造す
る試験を行った。この試験においては、表2に記す割合
で石灰石粉末、湿潤石灰石粉、生石灰粉末の原料を配合
し、この配合された原料50kgをパン型の造粒機で造
粒した。次いで、同じ造粒機内へ、表2に記す割合で酸
化鉄粉末を投入し、粒状物の表面に酸化鉄粉末を被覆し
た。そして、この粒状物を電気炉に入れ、900℃で2
時間焼成した。なお、比較のために、酸化鉄粉末を添加
しない従来の方法(比較例)についても試験を行った。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】 試験の結果は表2に示すとおりである。なお、得られた
粒状生石灰の強度は次のようにして測定した。それぞれ
の試験において、粒径が約3mmのものを10個採取
し、万能圧縮試験機を使用して粒子の破壊荷重を測定し
た。表2に記載した値はその平均値である。
【0034】表2の記載から明らかなように、実施例で
得られた粒状生石灰は何れも3kgf以上の強度を有
し、製鉄所の製鋼工程で装入する生石灰源などの用途に
供することができるものであった。これに対し、酸化鉄
粉末を添付しない比較例で得られた粒状生石灰は脱炭酸
反応により粒子全体が脆くなっているため、強度測定が
不能なほどその強度が小さく、粒状の生石灰源とはなり
得ないものであった。
【0035】
【発明の効果】本発明においては、湿潤石灰石粉や石灰
石粉末などの粉末と酸化鉄粉末よりなる粒状物を形成
し、この粒状物を焼成するので、焼成時に石灰と酸化鉄
の反応が起こって両者が固着し、強度が大きい粒状生石
灰が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る第1の例を示す概略
のフロー図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る第2の例を示す概略
のフロー図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る第3の例を示す概略
のフロー図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る第4の例を示す概略
のフロー図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る第5の例を示す概略
のフロー図である。
【符号の説明】
10 混合機 11 造粒機 12 被覆装置 13 焼成炉

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 採掘した石灰石を破砕した際に発生する
    石灰石粉末と破砕した石灰石を水洗した際に発生する湿
    潤石灰石粉と酸化鉄粉末よりなる粒状物を形成し、この
    粒状物を焼成することを特徴とする強度が維持された粒
    状生石灰の製造方法。
  2. 【請求項2】 採掘した石灰石を破砕した際に発生する
    石灰石粉末と破砕した石灰石を水洗した際に発生する湿
    潤石灰石粉とのうち1種以上と、生石灰と酸化鉄粉末と
    よりなる粒状物を形成し、この粒状物を焼成することを
    特徴とする強度が維持された粒状生石灰の製造方法。
  3. 【請求項3】 酸化鉄粉末を、粒状物を形成した後にこ
    の粒状物の表面に付着させることを特徴とする請求項1
    または請求項2記載の強度が維持された粒状生石灰の製
    造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009114029A (ja) * 2007-11-07 2009-05-28 Chichibu Sekkai Kogyo Kk 石灰スラッジの焼成方法
CN116102269A (zh) * 2022-12-30 2023-05-12 江西景福环保建材有限公司 一种石灰环保生产工艺及脉冲袋式除尘器

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